男「あれ?何してたんだっけ?…なんで此処に居たんだっけ?」
住宅街の路地にポツリと立つ青年。見たところ、学生のようだ。
辺りを見渡しても、まるで自分以外の人間が魔法にでも掛けられたかのように姿を見せない。
灰色に染まった空は雨を降らせてパタパタと音を立てながらアスファルトを濡らしていく。
男「うわ!財布の中身散乱してるし!お札が濡れる!」
散乱しているお金を慌てて掻き集め、乱暴に財布に押し込んだ。
112: ◆b.qRGRPvDc:2011/11/3(木) 00:32:17 ID:BlrKqtJxIg
これにて今日の投下は終了とさせて頂きます。
いつも支援して下さってありがとうございます!
113: 名無しさん@読者の声:2011/11/3(木) 00:48:45 ID:aTgMsJ/gf2
この1区切るの上手すぎるぜ…気になって眠れん!支援支援!
114: 名無しさん@読者の声:2011/11/3(木) 08:04:56 ID:EG7w1yMPRs
つC
115: ◆b.qRGRPvDc:2011/11/4(金) 23:03:49 ID:e9xZwMYK/.
体調不良の為、今日はお休みします。昨日も投下出来ず申し訳ありませんorz
支援して下さってありがとうございます。レスは明日に必ずさせて頂きます
116: 名無しさん@読者の声:2011/11/5(土) 09:55:02 ID:7qWZnYTPBM
>>115
体調はいかがですか?
天候も気温も変化の大きい時期ですものね。
ゆっくり休まれてくださいね。
117: ◆b.qRGRPvDc:2011/11/5(土) 21:42:36 ID:gMBCdlvBpY
>>113-114
支援ありがとうございます!
めぐ「支援ありがとうございます」
少女「そうそう、お礼はそうやって言うんだよ」
男「調教されとる…」gkbr
>>116
暖かいお言葉ありがとうございます…急性胃腸炎に掛かってしまって2日程ですっかりトイレと仲良しになりましたorz
体調管理もしっかりしないといけませんね。お気遣い本当にありがとうございます(´ω`)
118: ◆b.qRGRPvDc:2011/11/5(土) 21:44:30 ID:gMBCdlvBpY
丘の上にある公園、二人で寄り添った木にめぐは居た。あの時と同じように木の枝に一人、腰掛けていた。
めぐ「男…」
男「何黙って居なくなってんだ、馬鹿…!」
青年は膝に手をついて呼吸をしながらめぐを見上げた。肩は大きく上下して、酸素を吸い込む度に咳き込んだ。
119: 名無しさん@読者の声:2011/11/5(土) 21:52:21 ID:EG7w1yMPRs
体調は大丈夫?
無理だけはしないように(`・ω・)キリッ
っCCCCCC
120: ◆b.qRGRPvDc:2011/11/5(土) 21:59:56 ID:abfFXIg/oE
男「待ってる奴が居るんだろ?居なくならないでほしいんだろ?なんであそこに居ないんだよ」
めぐはぴくりと体を揺らした。黒めがちな瞳に睫毛が掛かる。
ぎゅっと胸が、締め付けられる。
男「何を隠してんのか知らないけどさぁ…」
青年はゆっくりと体を起こし、真っ直ぐにめぐを見つめた。
男「お前と一緒に居たいんだよ、俺は」
121: ◆b.qRGRPvDc:2011/11/5(土) 22:06:17 ID:abfFXIg/oE
>>119
ありがとうございます…!
まだ少しトイレと仲良くはしていますが、点滴のお陰で大分距離を置けるようになりました!
恐るべし急性胃腸炎…119さんも気を付けて下さいね(`・ω・´)キリッ
めぐ「トイレと仲良しってどういう意味?」
男「え?それは、えーと…(下品すぎて言えねぇ…!!)」
少女「出るもん出してるだけだよ」
1「言わないでえぇえぇぇ!!」
122: ◆b.qRGRPvDc:2011/11/5(土) 22:12:04 ID:gMBCdlvBpY
まさか、とめぐは顔を上げる。青年の真っ直ぐな視線とぶつかって思わず唇を噛み締めた。
男「お前が何処の誰なのかとか、俺に何を隠してるのかなんてもうどうだっていい。俺は“めぐ”と一緒に居たいんだよ!」
青年の瞳からは涙が零れていた。
人前でこんなに泣くなんて何年ぶりだろうか。震える喉をグッと堪えた。
123: ◆b.qRGRPvDc:2011/11/5(土) 22:25:07 ID:abfFXIg/oE
男「お前はどうなんだよ、めぐ!」
めぐ「ボクは……」
めぐの肩が小刻みに震える。瞳は大きくゆらゆらと揺れ、やがて大粒の涙を溢れさせた。
雨に混ざってめぐの涙が落ちる。
めぐ「一緒に、居たい…男と一緒に居たい!」
124: ◆b.qRGRPvDc:2011/11/5(土) 22:50:06 ID:gMBCdlvBpY
めぐはわんわんと噎び泣いた。自分の行動が自らの存在意義を無にする事を理解していた。
それでも、この気持ちを抑える事が出来なかった。
男「めぐ、おいで」
青年が手を広げる。
男「…帰ろう、一緒に」
青年の言葉と同時にめぐの腰が浮く。とめどなく溢れる涙で顔を濡らして、青年の胸に飛び込んだ。
青年はめぐを腕の中に受け止めると、勢い良く後ろに倒れこんだ。
男「…ぐっ……!!」
男(頭強打した痛い泣いちゃう格好付けるんじゃなかった!!!)
125: ◆b.qRGRPvDc:2011/11/5(土) 23:15:00 ID:gMBCdlvBpY
めぐ(男、ごめんね…ごめんなさい、ごめんなさい…)
青年の暖かい腕の中で、めぐは思い続けた。
もう少しだけ、傍に居させて、と。
許されない事なのは分かっている。少女の忠告も理解はしている。
青年と過ごす時間は、意味のない事なのだと。いずれ自分という存在は消え失せて、もう二度と青年とこうする事も出来なくなるのだと。
めぐは、理解していた。
126: ◆b.qRGRPvDc:2011/11/5(土) 23:18:35 ID:abfFXIg/oE
少しですが今日の投下は此処までとさせて頂きます。
支援して下さった方、体を気遣って下さった方、皆さん本当にありがとうございます。大好きです(*´・ω・`*)
127: 名無しさん@読者の声:2011/11/6(日) 00:12:34 ID:8UfovPMLHI
くそっ男かっこいい…(´;_;)っC
1さん無理は禁物ですぞ!ゆっくり休んで早く良くなってね!
128: ◆b.qRGRPvDc:2011/11/6(日) 19:40:45 ID:U7KJ6HZvos
>>127
お気遣い感謝です(´;ω;`)
お粥や豆腐ばかり食べていますが、胃に優しいものは少し味気ないですね。うどんに大分救われていますw
男はお節介でとても良い奴です。子供の頃から捨て猫等を放っておけず、しょっちゅう家に連れて帰っていたという無駄な裏設定があります。彼の母親もまた然り。
だから母親亡き今も、大好きだった妹の息子の面倒を伯母が見てくれる。彼が学生でいられる理由がそれです。
すみません、語りすぎてしまいましたw格好良くないけど、良い奴。それが男という人間です。
男「イケメンの俺から礼を言おう。支援ありがとう」キリッ
少女「……(蔑むような目)」
男「分かってるからそんな目で見ないで…」
少女「何も言ってないのに何故泣くんだい鬱陶しい気持ち悪い」
男「」
129: ◆b.qRGRPvDc:2011/11/6(日) 21:04:00 ID:dhwnfalxmU
*
あれから幾日も時間が流れた。
めぐは青年の家での生活にもすっかり慣れ、苦手とするドライヤーも我慢出来るようになっていた。
少女もあの日から姿を現す事はなく、二人は穏やかに過ごしていた。
ゲームをしたり、青年の思い出話をただひたすらに聞いたり、公園の木に二人、肩を並べて座ったり。
幸せな時間が二人を包み込む。いつまでもこんな日が続けば良い――そう思っていた。
130: ◆b.qRGRPvDc:2011/11/6(日) 21:23:09 ID:U7KJ6HZvos
浴槽に張られたお湯をチャプチャプと弄ぶ音がする。手の平で掬ったお湯は隙間からいとも容易く零れていく。
男「ちゃんと十秒数えてから出るんだぞー」
めぐ「わかってるもん!いーち、にーい…」
ドアの向こうから聞こえる青年の声に返事をして、めぐは指折り数え始めた。
めぐ「…じゅう!」
131: ◆b.qRGRPvDc:2011/11/6(日) 21:57:36 ID:U7KJ6HZvos
浴槽に手を掛けて体を起こす。激しく波打つお湯の粒が弾けてめぐの顔に何滴か当たった。
ゆらゆらと揺れる水面。覗き込んでみても其処にめぐの姿はない。無機質な電球の灯りだけが水面で揺れている。指先でそっと灯りに触れると円を描いてその形を崩した。
めぐ「……もう、時間がないね」
自嘲じみた笑顔で水面を見つめる。電球の灯りが頷くように揺れていた。
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