姫「ありえないわ。しかも私より可愛いし」
王子「ありがとうございます」
姫「褒めてないから。……あんたちゃんとキンタマついてんの?」
王子「は?」
姫「見せてみなさい」ガバッ
王子「ちょっ、やめ…!うわあああああああぁ」 >>0
591: ◆qoozyz1NgY:2011/11/12(土) 20:09:51 ID:dOfZ1I1ro.
──────
侍女1「……ねぇ、姫さまは?」
侍女2「なんか部屋に閉じこもってるみたいで。開けてくれないの」
侍女3「誰も入ってこないでー、だって」
侍女2「そりゃあショックよねぇ…王子様がいなくなっちゃったんだもの」
侍女1「心配だわ…」
「──ねぇ」
592: ◆qoozyz1NgY:2011/11/12(土) 20:11:46 ID:yUqErVkrqI
侍女1「へっ!?」
侍女3「ロイ様!び、びっくりするじゃないですかぁ〜」
ロイ「わり。……姫は?」
侍女2「ご自室におられます」
ロイ「ふーん」
ロイ「…俺、入ってもいいかな?」
侍女3「えぇ!?」
侍女1「さ、さすがにロイ様でもそれは… 誰も入れるなと命じられていますので」
ロイ「……」
593: ◆qoozyz1NgY:2011/11/12(土) 20:14:08 ID:OSGANJ/Nfc
- 姫の部屋 -
姫「……」 グスン
姫(……なによ、王子のばか)
姫(やっぱり私となんか結婚したくなかったんじゃない。私のことなんて何とも思ってなかったんじゃない)
姫(……しかも、政略結婚ですらなかった)
姫(王子はただ、戦争に勝ちたかっただけ)
姫(……)
姫(あ…あんな薄情な奴と少しでも仲良くしてたなんて…)
姫(ほんと、馬鹿みたい…) グスッ
──コンコン
姫「……」
コンコン
姫「……誰よ。入ってこないで」
594: ◆qoozyz1NgY:2011/11/12(土) 20:16:44 ID:TtEmcv5bDI
ロイ『…俺です』
姫「……ロイ?」
ロイ『はい。……姫、中に入ってもいいですか』
姫「……」
姫「……ごめん、誰にも会いたくない」
ロイ『……あまり気を病まないようにしてください』
ロイ『王子は、あの程度の男だったんです。姫が気にすることはありません』
姫「っ…」
595: ◆qoozyz1NgY:2011/11/12(土) 20:20:23 ID:5tYfNPQVjY
ロイ『所詮、冷酷な隣国の人間です。自分勝手で、強欲だ』
ロイ『……俺たちと、わかり合うことなんてできないんです』
姫「……お、王子は…」
ロイ『?』
姫「そんな…そんな男じゃないわ」
ロイ『……え』
姫(…! わ、私なに言って…)
ロイ『……』
596: ◆qoozyz1NgY:2011/11/12(土) 20:23:29 ID:3MT/HFyZ1E
ロイ『……姫』
姫「……なに?」
ロイ『…俺はもう城を出るので、また暫く姫とは会えなくなると思います』
姫「……そっか」
姫「無事に帰ってきて、ね」
ロイ『……はい。最後に、姫にひとつだけ言っておきたいことが』
姫「?」
ロイ『……』
ロイ『俺が、姫を幸せにします』
597: 名無しさん@読者の声:2011/11/12(土) 20:25:21 ID:kU0.TrIKHA
姫は幸せ者だな
598: 名無しさん@読者の声:2011/11/12(土) 20:26:48 ID:CT7VV0836g
ロイ(つд;*)
つC
599: ◆qoozyz1NgY:2011/11/12(土) 20:57:10 ID:n4xBg0Pe5M
───王子は馬に乗り、荒原を駆けていた。
その方角にあるのは、隣国。
本来の予定なら、そろそろ自国の軍隊が出発する時刻である。
…走り続けて、3時間ほどたった頃。
王子「……!」
ザッザッ、と土を踏みしめる音と共に
前方から、隣国の軍勢が現れた。
600: ◆qoozyz1NgY:2011/11/12(土) 21:00:40 ID:l5Pa902z2Y
馬「ヒヒーン」
隣国の軍隊と向き合う形で、馬を止める。
第1王子「──あれ」
第2王子「王子じゃーん。何でこんなトコにいんの?」
先頭には、同じく馬に乗った二人の王子がいた。
王子「……」
第2王子「あ、そっかぁ〜。バレちゃったから、本国にいられなくなっちゃったんだね」
第1王子「あぁ、そういうことか。それは悪かったな」
王子「……出発時刻を早めたんだね」
第1王子「あぁ。予定が変わった」
第2王子「全く、兄さんが侵入者を逃がすからだよ」
601: ◆qoozyz1NgY:2011/11/12(土) 21:05:30 ID:3U3Hhll63g
王子「父さんは?」
第2王子「城で待機。ボクたち王子が出陣すれば十分だってさ」
王子「……そう」
第1王子「お前も早く、軍に加われ。また本国へ戻ることになるがな」
第2王子「王子が加わればもう最強だよねぇ。本国なんて相手にならないや」 クスクス
王子「……」
第2王子「……?」
第1王子「どうした?」
602: ◆qoozyz1NgY:2011/11/12(土) 21:08:12 ID:Ep/rQ5.Aro
王子は軍隊の前で馬に乗ったまま、動こうとしない。
馬「……」 ブルルッブルル
第2王子「……」
第1王子「……何を、考えている」
王子「……僕は、」
王子「僕は、戦争なんてするつもりはなかった」
603: ◆qoozyz1NgY:2011/11/12(土) 21:12:22 ID:nky3KnsThQ
第1王子「……あぁ、その話か」
王子「確かに、僕の役目は本国に潜り込んで油断させ、軍の準備をさせないこと…」
王子「だけどそれは、『戦争をせずに本国を降伏させる』ためだ」
第2王子「……」
王子「…僕は、戦争は嫌だと… 人が死ぬのは嫌だと、ずっと父さんに言ってきた」
王子「……でも、自国のためには、本国の土地が必要なんだと言われた。穀物を送られる程度じゃ足りない、もっと隣国の人々が豊かで幸せになるためには、どうしても本国の土地が必要だって」
604: ◆qoozyz1NgY:2011/11/12(土) 21:15:31 ID:wUf5zKLk5A
第2王子「そうさ。隣国は、もはやあの痩せた土地じゃ暮らしていけない。王子だってわかってるでしょ?」
王子「わかってる。わかってるから、本国へ行くことを了承した」
王子「……でもそれは、戦争に勝つためじゃない。本国に無血開城させるためだ」
王子「僕は、本国の人々を殺してまで土地を手に入れるのは絶対に嫌だ。そんな土地で、生きたいとは思わない」
第1王子「……お前は、相変わらず甘いな」
605: ◆qoozyz1NgY:2011/11/12(土) 21:19:53 ID:qf2Xyjydl2
第1王子「だが、仕方がないだろう。隣国に本国の侵入者が入ったせいで、計画がバレた」
第1王子「本国も軍の準備を始めただろう。もはや戦争は避けられない」
第2王子「それにさぁ、無血開城なんてほざいてたのはお前だけだよね?本国なんて、さっさと滅ぼしちゃえばいいんだよ」
第2王子「ほら、世の中焼肉定食っていうじゃん?」
第1王子「弱肉強食だ」
606: ◆qoozyz1NgY:2011/11/12(土) 21:30:15 ID:KqTJbdQyF2
王子「……そうさ、もう戦争は避けられない」
王子「だから僕は、本国を裏切ってきた」
第1王子「…?」
王子「……もう誰かが血を流すことを避けられないなら… どうせ戦争をするなら、僕は本国を支援する」
第1王子「!」
第2王子「はぁあ!?」
王子「本国にはもう、戦争をすることに迷いがない。僕がそうするように仕向けた」
607: ◆qoozyz1NgY:2011/11/12(土) 21:42:02 ID:qWiM/K5756
第1王子「…挑発でもしてきたか」
王子「あぁ。もうスッパリ嫌われてきた」
第2王子「……へぇ。まさか本気で本国に勝たせるつもりなんだ?」
第1王子「自分の国を捨ててか。
本国で情にでもほだされたか?」
王子「……」
王子「本国に、未練はない。未練があったら、これから僕のやろうとしてること… 僕の、責任を果たすことができそうにないから、全部切って捨ててきた」
第2王子「…?」
王子「…それに、これは隣国のためでもある」
第1王子「なに?」
608: 名無しさん@読者の声:2011/11/12(土) 21:42:19 ID:oLaq8djkcQ
王子っ信じてたよ(´Д⊂グスン
っCCCCC
609: ◆qoozyz1NgY:2011/11/12(土) 21:46:28 ID:fVVLBZ49.o
すぅっ、と息を吸った。
王子「──隣国の兵士たちよ、聞いてくれ!」
「!?」
王子「お前たちはこれから、本国を攻めるつもりなんだろうが、もう一度よく考えてみてほしい!」
王子「もし、隣国が勝って、隣国が本国の土地を手に入れたら、
お前たちは幸せになれると思うか!?」
第1王子「おい、一体なにを…」
王子「本国の土地を手に入れても、王が変わらない限り悪政は変わらない!多く作物が獲れる分だけ重税になるだけだ!」
ザワザワと兵士たちがどよめき始めた。
610: ◆qoozyz1NgY:2011/11/12(土) 21:52:21 ID:yUqErVkrqI
王子「そして、本国の人達もまた、隣国に支配されれば今までのお前たちと同じように悪政に苦しめられることになる!」
王子「お前たちはそれでいいのか!?不幸な人がこれ以上増えて…戦争に勝てば、全てがうまくいくと思っているのか!?」
ザワザワ ザワザワ
第2王子「……ねぇ、いい加減にしなよ。何が言いたいの?」
王子「僕は、本国で本国の王と国民を見てきた!王は国民のことをよく考え、思いやり、良い政治を行っている!隣国よりもずっとずっと、人々は幸せな生活を送っていた!」
王子「僕は……僕は、隣国は本国に支配されるべきだと思っている!そっちの方が、絶対にお前たちも幸せになれるんだ!」
ザワザワ ザワザワ
288.35 KBytes
[4]最25 [5]最50 [6]最75
[*]前20 [0]戻る [#]次20
【うpろだ】
【スレ機能】【顔文字】