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戦争の体験談を語るわ

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Part2
80:祐希◆fyiPNhmVqk :2010/05/19(水) 14:29:56.01 ID:60HAO/620
朝になったソニアママに起こされた時、俺とソニアは同じベットで寝てた。
多分、話している途中で寝ちゃったんだろうな。
ソニアママは少し驚いていたけれど、俺達の頭を撫でながら、
パパには内緒だね。と微笑んでくれた。その意味は当時理解できなかったけどね。
>>76 >>75
いや違う。健康だよ。ただ耐えられなくなったからさ。
とりあえず、この件についてはこれでおしまいで。

82:祐希◆fyiPNhmVqk :2010/05/19(水) 14:32:29.51 ID:60HAO/620
気持ちとしては、家に帰りたかったのだけれど、ソニアパパがフォーチャの街に
買い物に行こうと言うので、一緒に付いて行く事にしたんだ。
フォーチャまでは基本的に一本道で、高原を抜けた後は延々と山と
山の間の道を通り抜けていった。途中で沢山の木を積んだトラックが
かなりゆっくり走っていたりしたな。トラックは相当年季が入っていた。

83:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/05/19(水) 14:34:24.60 ID:5swMK0ox0
子供の頃の話なのにそんなに鮮明に覚えてるんだな

84:祐希◆fyiPNhmVqk :2010/05/19(水) 14:37:20.61 ID:60HAO/620
フォーチャの街が、ドリナ川の対岸に見えた時は、その景色がまるで絵画の
ように綺麗で、感動したよ。街にはカリノヴィクと比べて沢山の人たちがいて、
活気があった。日用品を買ったりしたり、ご飯を食べたりしたよ。
>>83
そりゃ日記を書いてたからね。そうじゃなきゃ、殆ど覚えてないと思う。
とはいえ、記憶違いな部分もあるかもしれないから、最初に忘れてたり
間違えてたりするかもって書いたんだ。

85:祐希◆fyiPNhmVqk :2010/05/19(水) 14:38:57.05 ID:60HAO/620
昼食を済ませた後だったと思う。結構古い雰囲気のモスクがあって、
まだきちんとしたモスクを実際に目にしていなかった俺は、
「あれは何?」って聞いたんだ。
そしたら、歴史あるモスクだから、見学してみるか?ってソニアパパが言ったんだ。
俺は当然異教徒なわけだけれど、丁度礼拝みたいのをやっていてさ、
俺も混ざっていい?って聞いたら、勿論って言われて、
一緒にアッラーフアクバルーみたいな言葉を唱えた。
貴重な経験だった。まさかこの場所にまた来ることになるとは、
この時はまだ想像もしていなかった。


86:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/05/19(水) 14:40:50.16 ID:9pMfAS1c0
なんですぐ死ぬとかいうの!(`;ω;´)

88:祐希◆fyiPNhmVqk :2010/05/19(水) 14:44:18.91 ID:60HAO/620
>>86
すぐ言ってるわけじゃない。15年だよ。15年も耐えてきたよ。毎晩のようにソニアとか
メルヴィナとかサニャが死ぬ夢を見て、それでも生きなきゃって思って生きてきたよ。
ドラガンを憎んでさ。それだけが俺の支えだったよ。
だけど、その支えもなくなって、もう耐えられないんだよ。もうこんなに頑張ってきたのだから、
ゆっくり休みたいんだ。

89:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/05/19(水) 14:45:57.48 ID:ABhAIbvT0
これどうしたらいいんだ。どんなテンションで読めばいいの?ねぇ

93:祐希◆fyiPNhmVqk :2010/05/19(水) 14:48:53.73 ID:60HAO/620
あー、そうそう。山と言えどもこの地域は木が少なくて、動物もあんまりいなかったな。
今はどうか知らないが。
確かドラガンだったと思う。ドラガンが敵の攻撃に備えるといって、
草を結んで罠を作ったりしていたんだ。そしたらサニャがそれに
引っかかってしまって転んでさ。そこにカミーユがすっ飛んできて、
「サニャが怪我したらどうするんだー!」ってすごい怒っていたよ。
それでサニャを慰めていたんだけど、それを見た俺以外の男子は
皆で「カミーユはサニャが好きでーす!みなさーん!カミーユはry」
ってからかったりしてたな。
>>89
笑ったり、馬鹿にしながら読んでくれて構わない。俺の妄想話だと思ってくれ。
その方が、俺も書きやすいし、精神的に楽だからさ。
自分だけが書いてると、気が滅入ってくる。

92:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/05/19(水) 14:48:27.65 ID:5swMK0ox0
おいおい早まるんじゃねーよ

94:祐希◆fyiPNhmVqk :2010/05/19(水) 14:51:23.88 ID:60HAO/620
カミーユはそんな事ない!って怒って否定してたけどさ。
当時の俺達にはそういった行為は格好のからかいのネタだった。
見かねたメルヴィナが「やめないよ!」って怒ったから、
収まったけどね。オロオロしていたソニアは、
後でこっそり俺の所に近づいてきて、
「内緒だよ。内緒。」と言ってきた。
俺は理由がよくわからなかったけれど、
「うん。」と答えた気がする。

96:祐希◆fyiPNhmVqk :2010/05/19(水) 14:53:48.13 ID:60HAO/620
メルヴィナも俺達と同い年なわけだけれど、かなり精神が大人だったな。
仲良くても、子どもだからほんのささいな事でどうしても喧嘩をしてしまう。
そんな時は、いつもメルヴィナが間に入って、「喧嘩しちゃだめ!」って言うんだ。
どっちも悪いって言ってね。ドラガンやミルコ達がイタズラをしても、
危ないから駄目って叱ったりして、俺達のお姉さんみたいな存在だったな。

97:祐希◆fyiPNhmVqk :2010/05/19(水) 14:54:34.53 ID:60HAO/620
ソニアは大体オロオロしてて、小動物みたいだった。男だから母性本能みたいのは
ないはずなんだけどさ、守ってあげなきゃって自然と思ったりしたな。

98:祐希◆fyiPNhmVqk :2010/05/19(水) 14:56:00.43 ID:60HAO/620
ああ。ごめん。何で戦争が起きたかとか、そういうのを説明しなきゃ駄目だよな。
後で説明しようと思っていたけれど、先に簡単に書くね。
いや、後の方がいいか・・・。皆さんに任せます。

99:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/05/19(水) 14:56:29.02 ID:P0/+v6OY0
>>1の視点で今頼む

101:祐希◆fyiPNhmVqk :2010/05/19(水) 15:00:02.47 ID:60HAO/620
じゃあ、軽く書くね。補足とかあれば言ってください。
この国一体はさ、昔はキリスト教圏だったのだけれど、15世紀くらいにオスマントルコの支配下に
入ってさ、非キリスト教徒であった人とか、現地のスラブ人がムスリムに改宗したりして、
ムスリムの比率が高まったんだ。

103:祐希◆fyiPNhmVqk :2010/05/19(水) 15:03:47.22 ID:60HAO/620
その後、セルビア王国だったかな。当然、スルツキ(セルビア人)を優越して、他の
フルヴァツキ(クロアチア人)やらボシュニャチ(ボスニア人)は長年不満を抱いていたんだ。
特に、フルヴァツキの人々は民族意識が高くてね。
そして各民族の民族意識の高さが、第一次世界大戦へと繋がっていくんだ。
この事は、皆知っていると思うので書かないけどね。

104:祐希◆fyiPNhmVqk :2010/05/19(水) 15:08:34.70 ID:60HAO/620
そして第二次世界大戦期、この地域の大半がナチスドイツの傀儡国家としての
クロアチアの支配下に組み込まれたんだ。
この支配下ではさ、フルヴァツキの民族主義組織、確かウスタシャだ。
ウスタシャによってスルツキの人々は激しい迫害を受けて、数十万人(30〜100万?)の人々が
殺害されたんだ。
また、これに対してスルツキの民族主義者チェトニクによって、
フルヴァツキやボシュニャチの人々が殺された。
つまり、この時期、フォーチャをはじめとする各地で、ウスタシャとチェトニクによる
凄惨な民族浄化の応報が繰り広げられたんだ。
チェトニクはさ、フルヴァツキやボシュニャチの人々を徹底的に虐殺して、
犠牲者はフルヴァツキ20万人、ボシュニャチ9万人ぐらいって、チェトニク側から公表されてる。
この民族浄化っていうのはさ…つまりは市民を襲うんだ。村を。
女や子どもはレイプしたり殺したりして、男は喉を切って殺したりして。

106:祐希◆fyiPNhmVqk :2010/05/19(水) 15:12:24.28 ID:60HAO/620
何でここまで殺しあうんだ?って思うかもしれない。これはWW1以前の因縁もあるけれど、
やはりWW1後に誕生したユーゴスラビア王国による政策に問題があったと思う。
建国当初からさ、スルツキによって国は占められていてさ、民族意識の強いフルヴァツキの
反発が絶えなかったんだ。
そこにウスタシャがつけこんで、反セルビア、打倒セルビアへと支持を拡大しながら突き進んでいったんだ。
これは、ユーゴ崩壊につながるフルヴァツカ紛争(クロアチア紛争)やボスニアの紛争にも繋がっていくんだ。
一方で、チェトニクは大セルビア主義という、西部バルカンの大半はセルビア人の土地っていう認識を持って痛んだ。

107:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/05/19(水) 15:12:47.19 ID:1ep46tes0
セルビアってマジキチ民族だよね
スラブ系ってみんなマジキチだけど


112:祐希◆fyiPNhmVqk :2010/05/19(水) 15:17:56.29 ID:60HAO/620
>>107
待って。スルツキの人々を貶めるつもりも、批判するつもりもないんだ。
だって、歴史を見れば、他の民族の勢力下にいたスルツキは、何度も
虐殺とかの犠牲になってるんだ。だからこそ、自分たちによる自分達の国家を
作ろうって、そして守ろうって考えたんだ。
皆、殺したくて殺してるんじゃなくて、殺さなければ殺されるって意識の下で戦ってたんだ。
だからこそ、単純に誰が悪いとは言えなくて、そして未だにバルカン半島が火薬庫である
理由なんだ。

108:祐希◆fyiPNhmVqk :2010/05/19(水) 15:13:42.75 ID:60HAO/620
この主義は、セルビア人とセルビア人の土地をひとつの国家に統一するという第一の目標があり、
中にはセルビア人が少数であっても、セルビアの土地という認識があるものもあった。
セルビア国家にとって、大セルビアは必要不可欠であり、セルビアの歴史的格言「統合のみがセルビア人を救う」との事で、正当性・必要性を訴えていた。第一次世界大戦ではこの主義が原因となり、国境外各方面でセルビア人たちが統一セルビアの建設の為に戦い、1990年代の紛争では統一されたセルビア維持のために戦った。
また、ユーゴスラビアはWW2以降もセルビア人以外を軽視しており、それが各民族を刺激してしまった。

110:祐希◆fyiPNhmVqk :2010/05/19(水) 15:15:08.61 ID:60HAO/620
現在においても、セルビアのセルビア急進党という右翼政党では、ボスニア・ヘルツェゴビナとクロアチアの大部分のみならず、ルーマニア、ブルガリア、ハンガリーの一部をも含めた大セルビアを建設すべきという綱領を掲げている。この方針によって、クロアチアではユーゴ紛争時にクライナ・セルビア人共和国、ボスニア・ヘルツェゴビナではスルプスカ共和国が建国された。(スルプスカ共和国は現在もボスニア・ヘルツェゴビナとの連邦制を採用し残っている)
セルビア人からすれば、歴史的仇敵であるクロアチア人などの、敵対勢力の支配下を避けることで、これらの地域におけるセルビア人の権利を守る必要があったんだ。

114:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/05/19(水) 15:26:21.64 ID:WrBrvmSI0
>>1よ
こんなところで話したって
この話がこの先多くの人の目に留まる可能性は低いぞ

116:祐希◆fyiPNhmVqk :2010/05/19(水) 15:30:06.60 ID:60HAO/620
>>114
それでも構わないんだ。
例え本を出したとして、日本人の誰が買う?誰が読む?
ブログで書いたとして、誰が見に来る?見に来ないよ。
だって、世界は深刻な状況になって初めて動いたんだ。
日本でだって、そんなに報道されていなかったと思う。
自分達に関係ない話だから。それでもいい。
これは俺のわがままで書いてるだけだから、多くの人が見てくれなく居ても構わないよ。

117:祐希◆fyiPNhmVqk :2010/05/19(水) 15:31:02.14 ID:60HAO/620
続き書くね。
楽しい夏休みはあっという間に過ぎ去ってしまい、
気づけば9月になっていた。学校が始まると、
それまで毎日のように会っていたソニアとも会えなくなり、
とても寂しかった。それでも、一つ変化があったんだ。
今までは、平日は学校の8人で遊び、休みの日には
ソニアの家に俺一人で行っていたのだけれど、
夏休み明けには、土曜日には皆でソニアの家に行くようになってた。
俺の場合は、次の日の日曜日にも一人で遊びに行っていたけれど。

119:祐希◆fyiPNhmVqk :2010/05/19(水) 15:32:24.97 ID:60HAO/620
今考えると行き過ぎだったと思う。でもソニアと会いたくて、
遊びたくて仕方が無かったんだ。ソニアやソニアのパパ・ママも
また来週って帰り際に言ってくれてさ。出会って数ヶ月だというのに、
まるで小さい頃から一緒だった幼馴染のようだったな。

122:祐希◆fyiPNhmVqk :2010/05/19(水) 15:33:50.26 ID:60HAO/620
9人で遊ぶ時は秘密基地で、ソニアと二人で遊ぶ日曜日は
ソニアの家で過ごしていた。たまに学校の別の子と遊んだり
もしたけどね。
今と違って携帯電話とかがなかったから、遊んだ日に大体次の約束をして、
どうしても行けない時はソニアに電話して伝えてた。

123:祐希◆fyiPNhmVqk :2010/05/19(水) 15:35:04.44 ID:60HAO/620
12月に入るとスルツキやフルヴァツキの人々が慌しくクリスマスの準備をして、
小さい街ではあるけれど、少し華やかになったのを覚えている。
ボシュニャチの人たちは基本的にムスリムだから、普段と変わらない生活だったんだけどね。

125:祐希◆fyiPNhmVqk :2010/05/19(水) 15:41:18.83 ID:60HAO/620
俺と父さんは久しぶりに休日を一緒に過ごした。
休みの日は殆ど家に居なかったからね。父さんは色んな料理を
作ってくれたよ。どれもやっぱり美味しくなかったけれど、
それでも嬉しかった。
「外国で生活させてしまってごめんな。」といった事を言われたけれど、
俺にとっては、既にこの国が故郷のように感じていたし、何より俺に
居場所があるというのが嬉しかった。だからこの国で一生暮らしたいって
言ったよ。

126:祐希◆fyiPNhmVqk :2010/05/19(水) 15:42:06.73 ID:60HAO/620
父さんは笑いながら、ここしか仕事ないし、永住するかみたいな事を言ってた気がする。
新年が過ぎ、冬の季節になった。日本と比べてそこまで寒いわけではないと思っていた
けれど、実際には急に冷え込んだりするから常に厚着をして、厚い時は脱いで手に
持ったり、リュックに入れたりしていた。

127:祐希◆fyiPNhmVqk :2010/05/19(水) 15:43:32.11 ID:60HAO/620
皆で雪だるまを作ったり、丘から雪だるまを落としたりして遊んでいた。
周りは広い平原というか高原、そして山々に囲まれた盆地だったから、
本当に一面が真っ白で、ソニアの家から見る景色は綺麗だった。
確かこの時雪合戦をしたんだ。皆で雪の壁で陣地を作って、
4・5に別れてさ。ドラガンの奴が雪をかなり硬く固めてさ、痛かった。
あぶないなぁーなんて思ってたら、それが丁度サニャの目に当たっちゃったんだ。
サニャは涙ぼろぼろ流しながら大丈夫、大丈夫って言ってたんだけど、
それを見たカミーユがぶち切れてしまって、ドラガンにつかみ掛かってた。
止めなきゃって思ったんだけど、この時はメルヴィナが好きにさせときなって言ってさ。

129:祐希◆fyiPNhmVqk :2010/05/19(水) 15:45:20.68 ID:60HAO/620
「男の子なんだから、たまにはああやって喧嘩しないと分かり合えない。」
みたいな事を言っていたよ。やべーメルヴィナやべー。って皆で口々に言ってた。

131:祐希◆fyiPNhmVqk :2010/05/19(水) 15:46:45.14 ID:60HAO/620
少し経つとさ、二人とも青タン作りながら喧嘩をやめて、ドラガンがサニャに謝った。
「怪我をさせるつもりじゃなかった。ごめんね。」みたいな事言ってたな。
メルヴィナが俺の後ろでぼそっと言ったんだ。
「悪いと思えば、悪いと思うほど、素直に謝れない時があるよね。
 あそこで二人が喧嘩をすれば、ドラガンは素直に謝れる。良かった。」
ってね。

133:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/05/19(水) 15:48:07.93 ID:SdMM970R0
>>131
やべーメルヴィナやべー。
でも後に・・・ああああああああああああ

132:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/05/19(水) 15:48:03.36 ID:P0Xxg9cJ0
メルヴィナに惚れた

135:祐希◆fyiPNhmVqk :2010/05/19(水) 15:50:55.72 ID:60HAO/620
>>132, 133
うん。メルヴィナは長女でさ、弟が確か何人かいたんだ。
だからかもしれないけど、色々と観察して、何時も一人冷静に
俺達の見守り?じゃないけど、注意とかしてくれた。
とても優しくて、強い子だった。

137:祐希◆fyiPNhmVqk :2010/05/19(水) 15:55:25.97 ID:60HAO/620
この時期は、ソニアママの言いつけで、危ないから秘密基地には行かないって
皆約束させられてたな。
そして気づけば5月。この国で過ごして1年が経過していた。
毎日が充実して、予定が一杯あって、忙しい日々だったと思う。
それでも、当時の俺にとっては、この一年がとても長く感じた。
充実した一年ではあったけれど。

138:祐希◆fyiPNhmVqk :2010/05/19(水) 15:56:33.48 ID:60HAO/620
俺の家に8人を招待して、皆でお祝いパーティーみたいのをしたんだ。
父さんは料理が下手だっていうのに、気合を入れて日本料理を作ったりしてさ、
でも皆の口には合わなかったらしく、全員引きつった顔をしていたよ。
俺も不味くて引きつった表情してしまったけれどね。
それでも、父さんは俺が友達を作って、そして毎日仲良く過ごしている事に
喜んでくれているようだった。

139:祐希◆fyiPNhmVqk :2010/05/19(水) 15:57:45.51 ID:60HAO/620
この時は、ずっとこの幸せな期間が永遠と続くと思っていたよ。

140:祐希◆fyiPNhmVqk :2010/05/19(水) 15:58:52.24 ID:60HAO/620
6月末頃だったと思う。隣のフルヴァツカで戦争が始まったんだ。
隣国だけれど、自分達には特に関係がないものだと思っていた。

141:祐希◆fyiPNhmVqk :2010/05/19(水) 16:00:47.75 ID:60HAO/620
しかし、実際にはそう簡単な問題ではなかったんだ。
街だけでなく、学校のクラスにおいても、
スルツキ・フルヴァツキ、そしてボシュニャチの間で
気まずい状況になり、ついにはクラスの席が民族ごとに
別れる様な状態になってきた。

143:祐希◆fyiPNhmVqk :2010/05/19(水) 16:02:14.63 ID:60HAO/620
言うまでも無く、今までのように放課後一緒に遊ぶ事は出来なくなったんだ。
ただ、それでもまだ大きな紛争にはなっていなかった。
まだフルヴァツカだけの話で済んでいたんだ。

144:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/05/19(水) 16:03:57.15 ID:Yev7RVh40
おいついた。>>1がんがりんさい

145:祐希◆fyiPNhmVqk :2010/05/19(水) 16:04:32.35 ID:60HAO/620
だから、民族間の陰での対立が始まる兆候が見えてからも、
俺達は大人に隠れてこっそりと秘密基地に集まっては、
9人で遊んでいた。自分達には関係ない話だったんだ。
俺達にとって大切なのは、民族や宗教じゃなくて、
目の前にいる友達だった。だから、何があっても俺達は
仲間だ。一緒に助け合っていこう。ずっと一緒だ。
そういった約束を交わしたんだ。
>>144
ありがとう。

146:祐希◆fyiPNhmVqk :2010/05/19(水) 16:06:44.06 ID:60HAO/620
ごめん。言い忘れてたけど、
俺は日本人で、
ソニア、サニャ、メルヴィナ、カミーユ、メフメット、カマルはボシュニャチでムスリム
ミルコはフルヴァツキでローマ・カトリック
ドラガンはスルツキでスルプスカ・プラボスラニナ

147:祐希◆fyiPNhmVqk :2010/05/19(水) 16:08:02.12 ID:60HAO/620
あ。スルプスカ・プラボスラニナっていうのは、セルビア正教ね。
俺達は友達であり、お互いに信頼し合う仲間だったけれど、
同じ言葉を話しているとはいえ、違う民族、そして違う宗教を信ずる集まりだったんだ。

148:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/05/19(水) 16:10:10.99 ID:j7kn5CxM0
なんでこんなゴミ溜めのVIPなんかに投下したんだよ

150:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/05/19(水) 16:11:20.22 ID:JeXMzKRoP
ドラガンだけがセルビア人なのか。

151:祐希◆fyiPNhmVqk :2010/05/19(水) 16:13:27.96 ID:60HAO/620
>>148
ここがゴミ溜めなら、外は偽善者ばかりの地獄だからだよ。
>>150
うん。実際、俺達の地域は5割くらいがボシュニャチで、4割がスルツキ、1割がフルヴァツキ
みたいな感じだったと思うんだ。だから、俺の地域では少なくともスルツキは少数派では
なかったよ。

149:祐希◆fyiPNhmVqk :2010/05/19(水) 16:10:15.12 ID:60HAO/620
夏休みに入っても、去年のように一緒に表立って遊ぶという事は出来なくなっていた。
少しずつではあるけれど、着実のこの国でも民族間の対立、宗教の対立、そして過去の
負の因縁の対立が次第に高まってきていた。大人たちは違う民族間で極力話さないように
なっていたし、話してはいけない雰囲気になっていたんだ。

152:祐希◆fyiPNhmVqk :2010/05/19(水) 16:14:19.09 ID:60HAO/620
父さんは、もしかしたら戦争になるかもしれない。お父さんは仕事をやめる事が出来ないが、
祐希は日本へ帰りなさい。って何度も言われた。でも、俺は友達を残して自分だけ日本に
帰るなんて出来なかった。それに戦争というものを理解していなかったんだ。
戦争にならないようにすればいいでしょ。そんな風に思っていた。
基本的に同じ民族、殆ど同じ宗教の人々が暮らす日本で育ったから、
理解できなかったんだ。民族間の対立というものを。子どもだったしね。

153:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/05/19(水) 16:16:22.71 ID:P0/+v6OY0
親父の仕事聞いてもいい?

161:祐希◆fyiPNhmVqk :2010/05/19(水) 16:22:17.73 ID:60HAO/620
遅れてごめん。
>>153
研究者だった。といっても、自然科学系だったんだけど、資料がある部屋とかには
入っちゃ駄目って言われたりしてたから、ボスニアの研究機関で仕事してるってことしか
知らなかったよ。

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