サシャ「味気なくなんかないですよ?」
Part2
22 : ◆H4iwFNXQsw:2013/07/08(月) 07:31:27 ID:4owukzX.
ーー 昼前 アクセサリー店前
\キャッキャッ/\コレカワイイー/\イラッシャイマセー/
ライナー「」
ライナー「こ、これは…………入りづらいな」グヌヌ
サシャ「ここで待ってます? すぐ終わりますから」
ライナー「……いや、一人にしたら何するかわからん。俺も入る」
サシャ「信用ないですねぇ」ムー...
23 :以下、名無しが深夜にお送りします:2013/07/08(月) 07:32:00 ID:GKhNGRug
ここのライナーニキいいゾ~
24 : ◆H4iwFNXQsw:2013/07/08(月) 07:32:11 ID:4owukzX.
ーー 昼前 アクセサリー店内
サシャ「えーっと……この辺でいいですかねー」ウーン
ライナー(しかし、あいつらには買ってやるとは言ってたものの、きっかけがないな……)ウーン
サシャ「……あ。ライナー見てくださいよこれ。虫ですよ虫」
ライナー「虫? ……おお、ちゃんと蝶の形をしてるな」
サシャ「……します? 虫トーク」
ライナー「メシ前だからなぁ」
サシャ「じゃあおいしそうな虫トークします?」
ライナー「いや、うまけりゃいいってものじゃないだろ。……でもまあ、この辺りならまだマシに見えるな」ヒョイッ
サシャ「わぁ……かわいいですね、この蝶の髪ゴム。飾りもうるさくなくていい感じです」ジーッ
ライナー「……気に入ったか?」
サシャ「はい。……ちょっと私には似合わなそうですけど」
25 : ◆H4iwFNXQsw:2013/07/08(月) 07:32:56 ID:4owukzX.
ライナー「よし、買ってやる」
サシャ「え? そんなつもりで言ったわけじゃないですからいいですよ!」アタフタ
ライナー「どうせ金だけあっても使い道ないしな。ついでにそれもまとめて会計してくる」ヒョイッ
サシャ「わっ……いえ、それこそ自分で出しますから!」アタフタ
ライナー「届くならお前が払ってもいいぞー」スタスタ...
サシャ「そんなに腕伸ばされたら無理に決まってるじゃないですかぁっ! もう!」ピョンピョン
ライナー「もう諦めて外で待ってーーいや、後ろにいろ。勝手に外に出るな」ジロッ
サシャ「……私、そんな子どもじゃないですよ?」ムー...
26 : ◆H4iwFNXQsw:2013/07/08(月) 07:33:36 ID:4owukzX.
店員「ーーこちら、贈り物なら包装いたしますか?」
ライナー「そうですね、じゃあ……」
サシャ「あー待ってください! 蝶のほうはそのまま、そのままでいいです!」ピョンピョン
ライナー「わかった、わかったから店の中で飛び跳ねるな。他の人の邪魔になるだろう」ギュムッ
サシャ「ライナーが大きいから見えないんですよ!」ジタバタ
ライナー「でかくて悪かったな。ーーすみません、そのままでお願いします」
店員「……はい、わかりました」クスッ
27 : ◆H4iwFNXQsw:2013/07/08(月) 07:34:34 ID:4owukzX.
ーー 昼前 アクセサリー店前
ライナー「持って帰るんなら何かにしまってもらったほうがよかったんじゃないのか?」
サシャ「それは、その……そうなんですけど」チラッ
ライナー「? 何かあるならちゃんと言え」
サシャ「えと……あの、お願いが、あるんですけど」モジモジ
ライナー「……街中でできないようなことはしないぞ?」
サシャ「違いますよ! えっと……これ、つけてもらえますか?」
ライナー「さっき買った髪ゴムか? 今?」
サシャ「はい、結ってください。……お願いします」
ライナー「綺麗に整ってるのにいいのか? アニやミーナにやってもらったんだろう?」
サシャ「それは、そうなんですけど……」モジモジ
サシャ「……今、つけてほしいんです。ライナーに」
28 : ◆H4iwFNXQsw:2013/07/08(月) 07:35:13 ID:4owukzX.
ライナー「そうは言ってもな……女の髪なんか触ったことがないぞ」
サシャ「それでも、いいんです。……でもライナーが嫌なら、無理にとは言いません」シュン
ライナー「……後から文句言うなよ?」
サシャ「! 言いません言いません!」ブンブン
ライナー「じゃあ、後ろ向け」
サシャ「はぁい」クルッ
ライナー「よし……」スッ
ライナー(まとめようとしても結構滑るな……こんな感じか?)シュルッ
ライナー「女は毎日こんなことしてるのか、大変だな……ほら、できたぞ」
サシャ「いえいえ、こういうのは慣れですよ。……ありがとうございます」
ライナー「……少し右にずれたな。下手で悪い」ジーッ
サシャ「そんなことないです。……とっても、嬉しいです」
29 : ◆H4iwFNXQsw:2013/07/08(月) 07:36:01 ID:4owukzX.
ーー 昼 とある大衆食堂
コニー「うまいなーこのハンバーグ!」モグモグ
マルコ「こんなところに食堂があるなんて……よく見つけたね、ジャン」
ジャン「まあな。俺に感謝しろよ」フッ
ベルトルト「僕まで誘ってもらっちゃって、なんだか悪いな」
ジャン「休日寂しいのは俺らも同じだしなー。気にすんな」ヒラヒラ
コニー「……ん? ライナーとサシャがいる」
ジャン「」ガタッ
マルコ「本当だ。……珍しい組み合わせだね。はじめて見る」
コニー「いや、最近あの二人は結構見るぞ? この前の虫退治の時も一緒だったしな」
30 : ◆H4iwFNXQsw:2013/07/08(月) 07:36:45 ID:4owukzX.
ベルトルト「そういえば、この前もサシャとハンバーグを食べに行くって言っていた気が……あ。ライナーがサシャの顔拭いた」
コニー「口元、ソースでベタベタだな……サシャも拭かれてないで自分で拭けよなー」
マルコ「なんだか、兄と妹って感じするね……ジャン?」
ジャン「お前ら、どこに目ぇついてんだよ……ありゃどう見ても女の顔だろうが……」ゴゴゴゴゴゴゴゴゴ
コニー「はぁ? サシャは女だろ?」
ジャン「違ぇよ馬鹿、そういう意味じゃねえよ……」ゴゴゴゴゴゴゴゴゴ
ベルトルト「じゃ、ジャン………目が据わってるけど……?」
マルコ「うん、一番熱心に見てる分だけ余計に怖いな……」
ジャン「マルコ、決めたぞ……」
ジャン「俺はこの夏、彼女を作る……!」ギリッ...
マルコ「が、頑張れ……」
マルコ(こんな殺気立ってるのにできるのか……?)
31 : ◆H4iwFNXQsw:2013/07/08(月) 07:37:28 ID:4owukzX.
ーー 夕方 街中
サシャ「散歩してたらすっかり夕方になっちゃいましたねー」
ライナー「そうだな、そろそろ兵舎に戻るか」
サシャ「はい! 今日の夕食のパァンは大きいといいですねー」グヘヘ...
ライナー「兵舎に着く前に涎は拭けよ?」
サシャ「わ、わかってますよ! ……あれ、あそこにいるのアルミンじゃないですか?」フキフキ
ライナー「あいつも今帰るところか。……本を持ってるみたいだな」
サシャ「本屋からの帰り道ですかね? ーーアルミーン!」フリフリ
32 :以下、名無しが深夜にお送りします:2013/07/08(月) 07:37:29 ID:GKhNGRug
関係ないけどアクセサリーは首輪の役割っていうよね
33 : ◆H4iwFNXQsw:2013/07/08(月) 07:38:04 ID:4owukzX.
アルミン「あ、二人とも……奇遇だね、今帰るところ?」
サシャ「はい! アルミンは本屋さんに行ってたんですか?」
アルミン「うん。面白そうな本があったからつい買っちゃったんだ。資料室の本はあらかた読み尽くしちゃったしね」
ライナー「アルミンの読む速さは相当だからな。……どこかの誰かの食欲も、そっち方面に向かえばいいんだが」チラッ
サシャ「……私も最近は勉強してますよ?」ムー...
ライナー「わかったわかった。悪い悪い」ポンポン
サシャ「謝り方に誠意が感じられないです……」ムー...
34 : ◆H4iwFNXQsw:2013/07/08(月) 07:38:45 ID:4owukzX.
アルミン「……あれ? サシャ、髪の結い方変えたの? いつもと雰囲気が違うね」
サシャ「これですか? えーっと、これはですね……」チラッ
アルミン「……ああ! ライナーに買ってもらったんだね? うん、似合ってるよ」ニコッ
ライナー「……当然だ」ボソッ
サシャ「? ライナー、今何か言いましたか?」
ライナー「…………言ってない」プイッ
サシャ「いえ、絶対何か言いましたって。聞き取れませんでしたけど」
アルミン「……ああ、ごめんねライナー。そんなつもりじゃないからね?」
ライナー「いや、俺も今のは大人げなかったな……悪い」
サシャ「? 二人はどうして謝りあってるんですか?」キョトン
アルミン「ううん、大したことじゃないよ。サシャは気にしなくていいから」
サシャ「そうは言われましてもですね……というかライナー、あっちのほうに何かあるんですか? こっち向いてくださいよー」クイクイ
アルミン「あはは。見ないであげて、サシャ」クスッ
35 : ◆H4iwFNXQsw:2013/07/08(月) 07:39:54 ID:4owukzX.
ーー 夜 女子寮 ユミルたちの部屋
クリスタ「……」
ユミル「……」
クリスタ「……さて、では夕方のやりとりを解説していただきましょうかユミルさん」
ユミル「そうだな、今回の主なポイントは3つだ。ーー順番に見ていこうか。まずはアルミンの指摘に対するライナーの返しだ」
クリスタ「『似合ってるよ』というアルミンの指摘に『当然だ』……これといったやりとりには思えませんが……?」ウーン
ユミル「青い、青いぞレンズ訓練兵ッ!! これは実に高度なテクニックだ!!」ダンッ!!
クリスタ「ひゃあっ! ゆ、ユミル、突然大きい声出さないでよ……」ドキドキ
ユミル「あ、ああ悪い。力入れすぎた……」シュン
クリスタ「消灯時間前だからいいけど、気をつけてね。……というわけで続けて?」
ユミル「言われなくても続ける」キリッ
36 : ◆H4iwFNXQsw:2013/07/08(月) 07:40:26 ID:4owukzX.
ユミル「私は……ライナーが言った『当然だ』の前には、『俺が選んだんだから』という一文が隠されていると見るッ!」クワッ!!
ユミル「これは紛れもなく、ライナーがアルミンに対して嫉妬したっていうことだ……!」
ユミル「『男の嫉妬ほど見苦しいものはない』という言葉があるが、むしろこれはアリだ。ポイントはかなり高い……!」ワナワナ...
クリスタ「なんか無駄に力入ってるね……じゃあ、その直後にライナーが顔を逸らしたのは?」
ユミル「非常にオイシイな。男のさりげない照れは極上のスパイスだ。ここがポイントその2だな」
クリスタ「ふぅん、『ごくじょうのすぱいす』っと……続けて?」カキカキ
ユミル「最後のポイントはアルミンに謝った時だな。自分の行動を思い出して恥ずかしがってやがる」ケケケ
クリスタ「これも……なんだっけ、『極上のスパイス』?」
ユミル「少し違うな。照れてはいるが味付けが異なる。ーーいや、一段階昇華された照れというべきだな」
クリスタ「いちだんかい……?」キョトン
37 : ◆H4iwFNXQsw:2013/07/08(月) 07:41:02 ID:4owukzX.
ユミル「前者は自分の行動を自覚した照れ、後者は自分の行動の『意味』を自覚した照れだな。前者は瞬発力があって後者は持続性が高い」
クリスタ「……ユミルはなんでそんなに詳しいの?」
ユミル「……って全部雑誌に書いてあった」パラパラ
クリスタ「わぁ。雑誌って便利」パチパチ
ユミル「……」
クリスタ「……」
ユミル「……」
クリスタ「……」
ユミル「……えんだあああああああああああ」ゴロゴロゴロゴロゴロ
クリスタ「いやー! いやー! きゃっふー!」ゴロゴロゴロゴロゴロ
ユミル「あああああああああ私も彼氏ほしいいいいいいいいいい!!」バタバタバタバタ
クリスタ「私も私も! いいなーサシャいいなーいいなー!!」バタバタバタバタ
38 : ◆H4iwFNXQsw:2013/07/08(月) 07:42:06 ID:4owukzX.
ーー 同刻 消灯時間前 女子寮 ミカサたちの部屋
\キャッフー!/
アニ「? ……今何か聞こえなかった?」
ミーナ「特に何も? ーーはい、サシャ。お手入れ終わったよ? ちゃんとやり方覚えた?」
サシャ「手が早くて追えませんでした……」シクシク
ミーナ「あらら……今度は追えるようにゆっくりやるね? ーーというわけで」ソワソワ
アニ「……ライナーに買ってもらったっていう髪ゴム、見てみたいんだけど」ソワソワ
サシャ「それが条件でしたもんね、いいですよ? ちょっと待ってくださいねー……」ゴソゴソ
ミーナ「ところでミカサはどこ行ったのかな? そろそろ消灯だけど」
アニ「どうせエレンのところじゃないの。消灯前には戻ってくるでしょ」
39 : ◆H4iwFNXQsw:2013/07/08(月) 07:42:58 ID:4owukzX.
サシャ「はい、これです!」 パカッ
ミーナ「おおっ! これは……」ノゾキコミ
アニ「どれどれ……」ノゾキコミ
ミーナ「……」
アニ「……」
ミーナ「……」
アニ「……」
サシャ「? どうかしましたか?」
ミーナ「……虫かぁ」ウーン
アニ「……虫だね」ウーン
サシャ「虫ですけど……?」キョトン
40 : ◆H4iwFNXQsw:2013/07/08(月) 07:43:40 ID:4owukzX.
ミーナ「うーん、もうちょっとセンスあると思ってたんだけどなー……」
アニ「なんか……ちょっとね」
ミーナ「うん、少し味気ない気がするなぁ」
サシャ「そんなことないですよ! ……ライナーが、私のために選んでくれたものですから」
サシャ「だからーーぜーんぜん、味気なくないですっ♪」ギュッ
おわり
41 : ◆H4iwFNXQsw:2013/07/08(月) 07:44:22 ID:4owukzX.
終わりです。読んでくださった方、レスしてくださった方ありがとうございました!
妄想は尽きてないけど風邪ひいて体力が尽きてました、またペースを徐々にあげていこうと思います
42 :以下、名無しが深夜にお送りします:2013/07/08(月) 07:45:00 ID:mo7HqBLc
乙!みんなかわいすぎてつらい!
43 : ◆H4iwFNXQsw:2013/07/08(月) 07:45:33 ID:4owukzX.
それと前スレでも書いたのですが、一度出したものは速やかに流して、新たなものは真っさらな気持ちで出したい派なので、1スレにまとめずこのまま別スレでやっていく予定です。
提案していただいたのに申し訳ありません
44 :以下、名無しが深夜にお送りします:2013/07/08(月) 07:53:12 ID:GKhNGRug
乙、ええんやで
野生児と乙女(笑)じゃ若干趣味がちがうのは仕方ない
45 :以下、名無しが深夜にお送りします:2013/07/08(月) 07:56:23 ID:DLB5MSUQ
乙
ライナーの好きな人がいる発言は流れちゃったの?掘り下げる予定?
46 :以下、名無しが深夜にお送りします:2013/07/08(月) 08:24:42 ID:vKt.4WPg
乙
このシリーズは毎度好きだ
ーー 昼前 アクセサリー店前
\キャッキャッ/\コレカワイイー/\イラッシャイマセー/
ライナー「」
ライナー「こ、これは…………入りづらいな」グヌヌ
サシャ「ここで待ってます? すぐ終わりますから」
ライナー「……いや、一人にしたら何するかわからん。俺も入る」
サシャ「信用ないですねぇ」ムー...
23 :以下、名無しが深夜にお送りします:2013/07/08(月) 07:32:00 ID:GKhNGRug
ここのライナーニキいいゾ~
24 : ◆H4iwFNXQsw:2013/07/08(月) 07:32:11 ID:4owukzX.
ーー 昼前 アクセサリー店内
サシャ「えーっと……この辺でいいですかねー」ウーン
ライナー(しかし、あいつらには買ってやるとは言ってたものの、きっかけがないな……)ウーン
サシャ「……あ。ライナー見てくださいよこれ。虫ですよ虫」
ライナー「虫? ……おお、ちゃんと蝶の形をしてるな」
サシャ「……します? 虫トーク」
ライナー「メシ前だからなぁ」
サシャ「じゃあおいしそうな虫トークします?」
ライナー「いや、うまけりゃいいってものじゃないだろ。……でもまあ、この辺りならまだマシに見えるな」ヒョイッ
サシャ「わぁ……かわいいですね、この蝶の髪ゴム。飾りもうるさくなくていい感じです」ジーッ
ライナー「……気に入ったか?」
サシャ「はい。……ちょっと私には似合わなそうですけど」
25 : ◆H4iwFNXQsw:2013/07/08(月) 07:32:56 ID:4owukzX.
ライナー「よし、買ってやる」
サシャ「え? そんなつもりで言ったわけじゃないですからいいですよ!」アタフタ
ライナー「どうせ金だけあっても使い道ないしな。ついでにそれもまとめて会計してくる」ヒョイッ
サシャ「わっ……いえ、それこそ自分で出しますから!」アタフタ
ライナー「届くならお前が払ってもいいぞー」スタスタ...
サシャ「そんなに腕伸ばされたら無理に決まってるじゃないですかぁっ! もう!」ピョンピョン
ライナー「もう諦めて外で待ってーーいや、後ろにいろ。勝手に外に出るな」ジロッ
サシャ「……私、そんな子どもじゃないですよ?」ムー...
26 : ◆H4iwFNXQsw:2013/07/08(月) 07:33:36 ID:4owukzX.
店員「ーーこちら、贈り物なら包装いたしますか?」
ライナー「そうですね、じゃあ……」
サシャ「あー待ってください! 蝶のほうはそのまま、そのままでいいです!」ピョンピョン
ライナー「わかった、わかったから店の中で飛び跳ねるな。他の人の邪魔になるだろう」ギュムッ
サシャ「ライナーが大きいから見えないんですよ!」ジタバタ
ライナー「でかくて悪かったな。ーーすみません、そのままでお願いします」
店員「……はい、わかりました」クスッ
ーー 昼前 アクセサリー店前
ライナー「持って帰るんなら何かにしまってもらったほうがよかったんじゃないのか?」
サシャ「それは、その……そうなんですけど」チラッ
ライナー「? 何かあるならちゃんと言え」
サシャ「えと……あの、お願いが、あるんですけど」モジモジ
ライナー「……街中でできないようなことはしないぞ?」
サシャ「違いますよ! えっと……これ、つけてもらえますか?」
ライナー「さっき買った髪ゴムか? 今?」
サシャ「はい、結ってください。……お願いします」
ライナー「綺麗に整ってるのにいいのか? アニやミーナにやってもらったんだろう?」
サシャ「それは、そうなんですけど……」モジモジ
サシャ「……今、つけてほしいんです。ライナーに」
28 : ◆H4iwFNXQsw:2013/07/08(月) 07:35:13 ID:4owukzX.
ライナー「そうは言ってもな……女の髪なんか触ったことがないぞ」
サシャ「それでも、いいんです。……でもライナーが嫌なら、無理にとは言いません」シュン
ライナー「……後から文句言うなよ?」
サシャ「! 言いません言いません!」ブンブン
ライナー「じゃあ、後ろ向け」
サシャ「はぁい」クルッ
ライナー「よし……」スッ
ライナー(まとめようとしても結構滑るな……こんな感じか?)シュルッ
ライナー「女は毎日こんなことしてるのか、大変だな……ほら、できたぞ」
サシャ「いえいえ、こういうのは慣れですよ。……ありがとうございます」
ライナー「……少し右にずれたな。下手で悪い」ジーッ
サシャ「そんなことないです。……とっても、嬉しいです」
29 : ◆H4iwFNXQsw:2013/07/08(月) 07:36:01 ID:4owukzX.
ーー 昼 とある大衆食堂
コニー「うまいなーこのハンバーグ!」モグモグ
マルコ「こんなところに食堂があるなんて……よく見つけたね、ジャン」
ジャン「まあな。俺に感謝しろよ」フッ
ベルトルト「僕まで誘ってもらっちゃって、なんだか悪いな」
ジャン「休日寂しいのは俺らも同じだしなー。気にすんな」ヒラヒラ
コニー「……ん? ライナーとサシャがいる」
ジャン「」ガタッ
マルコ「本当だ。……珍しい組み合わせだね。はじめて見る」
コニー「いや、最近あの二人は結構見るぞ? この前の虫退治の時も一緒だったしな」
30 : ◆H4iwFNXQsw:2013/07/08(月) 07:36:45 ID:4owukzX.
ベルトルト「そういえば、この前もサシャとハンバーグを食べに行くって言っていた気が……あ。ライナーがサシャの顔拭いた」
コニー「口元、ソースでベタベタだな……サシャも拭かれてないで自分で拭けよなー」
マルコ「なんだか、兄と妹って感じするね……ジャン?」
ジャン「お前ら、どこに目ぇついてんだよ……ありゃどう見ても女の顔だろうが……」ゴゴゴゴゴゴゴゴゴ
コニー「はぁ? サシャは女だろ?」
ジャン「違ぇよ馬鹿、そういう意味じゃねえよ……」ゴゴゴゴゴゴゴゴゴ
ベルトルト「じゃ、ジャン………目が据わってるけど……?」
マルコ「うん、一番熱心に見てる分だけ余計に怖いな……」
ジャン「マルコ、決めたぞ……」
ジャン「俺はこの夏、彼女を作る……!」ギリッ...
マルコ「が、頑張れ……」
マルコ(こんな殺気立ってるのにできるのか……?)
31 : ◆H4iwFNXQsw:2013/07/08(月) 07:37:28 ID:4owukzX.
ーー 夕方 街中
サシャ「散歩してたらすっかり夕方になっちゃいましたねー」
ライナー「そうだな、そろそろ兵舎に戻るか」
サシャ「はい! 今日の夕食のパァンは大きいといいですねー」グヘヘ...
ライナー「兵舎に着く前に涎は拭けよ?」
サシャ「わ、わかってますよ! ……あれ、あそこにいるのアルミンじゃないですか?」フキフキ
ライナー「あいつも今帰るところか。……本を持ってるみたいだな」
サシャ「本屋からの帰り道ですかね? ーーアルミーン!」フリフリ
32 :以下、名無しが深夜にお送りします:2013/07/08(月) 07:37:29 ID:GKhNGRug
関係ないけどアクセサリーは首輪の役割っていうよね
33 : ◆H4iwFNXQsw:2013/07/08(月) 07:38:04 ID:4owukzX.
アルミン「あ、二人とも……奇遇だね、今帰るところ?」
サシャ「はい! アルミンは本屋さんに行ってたんですか?」
アルミン「うん。面白そうな本があったからつい買っちゃったんだ。資料室の本はあらかた読み尽くしちゃったしね」
ライナー「アルミンの読む速さは相当だからな。……どこかの誰かの食欲も、そっち方面に向かえばいいんだが」チラッ
サシャ「……私も最近は勉強してますよ?」ムー...
ライナー「わかったわかった。悪い悪い」ポンポン
サシャ「謝り方に誠意が感じられないです……」ムー...
34 : ◆H4iwFNXQsw:2013/07/08(月) 07:38:45 ID:4owukzX.
アルミン「……あれ? サシャ、髪の結い方変えたの? いつもと雰囲気が違うね」
サシャ「これですか? えーっと、これはですね……」チラッ
アルミン「……ああ! ライナーに買ってもらったんだね? うん、似合ってるよ」ニコッ
ライナー「……当然だ」ボソッ
サシャ「? ライナー、今何か言いましたか?」
ライナー「…………言ってない」プイッ
サシャ「いえ、絶対何か言いましたって。聞き取れませんでしたけど」
アルミン「……ああ、ごめんねライナー。そんなつもりじゃないからね?」
ライナー「いや、俺も今のは大人げなかったな……悪い」
サシャ「? 二人はどうして謝りあってるんですか?」キョトン
アルミン「ううん、大したことじゃないよ。サシャは気にしなくていいから」
サシャ「そうは言われましてもですね……というかライナー、あっちのほうに何かあるんですか? こっち向いてくださいよー」クイクイ
アルミン「あはは。見ないであげて、サシャ」クスッ
35 : ◆H4iwFNXQsw:2013/07/08(月) 07:39:54 ID:4owukzX.
ーー 夜 女子寮 ユミルたちの部屋
クリスタ「……」
ユミル「……」
クリスタ「……さて、では夕方のやりとりを解説していただきましょうかユミルさん」
ユミル「そうだな、今回の主なポイントは3つだ。ーー順番に見ていこうか。まずはアルミンの指摘に対するライナーの返しだ」
クリスタ「『似合ってるよ』というアルミンの指摘に『当然だ』……これといったやりとりには思えませんが……?」ウーン
ユミル「青い、青いぞレンズ訓練兵ッ!! これは実に高度なテクニックだ!!」ダンッ!!
クリスタ「ひゃあっ! ゆ、ユミル、突然大きい声出さないでよ……」ドキドキ
ユミル「あ、ああ悪い。力入れすぎた……」シュン
クリスタ「消灯時間前だからいいけど、気をつけてね。……というわけで続けて?」
ユミル「言われなくても続ける」キリッ
36 : ◆H4iwFNXQsw:2013/07/08(月) 07:40:26 ID:4owukzX.
ユミル「私は……ライナーが言った『当然だ』の前には、『俺が選んだんだから』という一文が隠されていると見るッ!」クワッ!!
ユミル「これは紛れもなく、ライナーがアルミンに対して嫉妬したっていうことだ……!」
ユミル「『男の嫉妬ほど見苦しいものはない』という言葉があるが、むしろこれはアリだ。ポイントはかなり高い……!」ワナワナ...
クリスタ「なんか無駄に力入ってるね……じゃあ、その直後にライナーが顔を逸らしたのは?」
ユミル「非常にオイシイな。男のさりげない照れは極上のスパイスだ。ここがポイントその2だな」
クリスタ「ふぅん、『ごくじょうのすぱいす』っと……続けて?」カキカキ
ユミル「最後のポイントはアルミンに謝った時だな。自分の行動を思い出して恥ずかしがってやがる」ケケケ
クリスタ「これも……なんだっけ、『極上のスパイス』?」
ユミル「少し違うな。照れてはいるが味付けが異なる。ーーいや、一段階昇華された照れというべきだな」
クリスタ「いちだんかい……?」キョトン
37 : ◆H4iwFNXQsw:2013/07/08(月) 07:41:02 ID:4owukzX.
ユミル「前者は自分の行動を自覚した照れ、後者は自分の行動の『意味』を自覚した照れだな。前者は瞬発力があって後者は持続性が高い」
クリスタ「……ユミルはなんでそんなに詳しいの?」
ユミル「……って全部雑誌に書いてあった」パラパラ
クリスタ「わぁ。雑誌って便利」パチパチ
ユミル「……」
クリスタ「……」
ユミル「……」
クリスタ「……」
ユミル「……えんだあああああああああああ」ゴロゴロゴロゴロゴロ
クリスタ「いやー! いやー! きゃっふー!」ゴロゴロゴロゴロゴロ
ユミル「あああああああああ私も彼氏ほしいいいいいいいいいい!!」バタバタバタバタ
クリスタ「私も私も! いいなーサシャいいなーいいなー!!」バタバタバタバタ
38 : ◆H4iwFNXQsw:2013/07/08(月) 07:42:06 ID:4owukzX.
ーー 同刻 消灯時間前 女子寮 ミカサたちの部屋
\キャッフー!/
アニ「? ……今何か聞こえなかった?」
ミーナ「特に何も? ーーはい、サシャ。お手入れ終わったよ? ちゃんとやり方覚えた?」
サシャ「手が早くて追えませんでした……」シクシク
ミーナ「あらら……今度は追えるようにゆっくりやるね? ーーというわけで」ソワソワ
アニ「……ライナーに買ってもらったっていう髪ゴム、見てみたいんだけど」ソワソワ
サシャ「それが条件でしたもんね、いいですよ? ちょっと待ってくださいねー……」ゴソゴソ
ミーナ「ところでミカサはどこ行ったのかな? そろそろ消灯だけど」
アニ「どうせエレンのところじゃないの。消灯前には戻ってくるでしょ」
39 : ◆H4iwFNXQsw:2013/07/08(月) 07:42:58 ID:4owukzX.
サシャ「はい、これです!」 パカッ
ミーナ「おおっ! これは……」ノゾキコミ
アニ「どれどれ……」ノゾキコミ
ミーナ「……」
アニ「……」
ミーナ「……」
アニ「……」
サシャ「? どうかしましたか?」
ミーナ「……虫かぁ」ウーン
アニ「……虫だね」ウーン
サシャ「虫ですけど……?」キョトン
40 : ◆H4iwFNXQsw:2013/07/08(月) 07:43:40 ID:4owukzX.
ミーナ「うーん、もうちょっとセンスあると思ってたんだけどなー……」
アニ「なんか……ちょっとね」
ミーナ「うん、少し味気ない気がするなぁ」
サシャ「そんなことないですよ! ……ライナーが、私のために選んでくれたものですから」
サシャ「だからーーぜーんぜん、味気なくないですっ♪」ギュッ
おわり
41 : ◆H4iwFNXQsw:2013/07/08(月) 07:44:22 ID:4owukzX.
終わりです。読んでくださった方、レスしてくださった方ありがとうございました!
妄想は尽きてないけど風邪ひいて体力が尽きてました、またペースを徐々にあげていこうと思います
乙!みんなかわいすぎてつらい!
43 : ◆H4iwFNXQsw:2013/07/08(月) 07:45:33 ID:4owukzX.
それと前スレでも書いたのですが、一度出したものは速やかに流して、新たなものは真っさらな気持ちで出したい派なので、1スレにまとめずこのまま別スレでやっていく予定です。
提案していただいたのに申し訳ありません
44 :以下、名無しが深夜にお送りします:2013/07/08(月) 07:53:12 ID:GKhNGRug
乙、ええんやで
野生児と乙女(笑)じゃ若干趣味がちがうのは仕方ない
45 :以下、名無しが深夜にお送りします:2013/07/08(月) 07:56:23 ID:DLB5MSUQ
乙
ライナーの好きな人がいる発言は流れちゃったの?掘り下げる予定?
46 :以下、名無しが深夜にお送りします:2013/07/08(月) 08:24:42 ID:vKt.4WPg
乙
このシリーズは毎度好きだ
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