サシャ「同じ味を、知りたいですから」
Part1
1 : ◆H4iwFNXQsw:2013/07/02(火) 21:35:18 ID:LbJSLWpQ
・1『サシャ「キスの味、私に教えてください」』
2『サシャ「この味は、ウソをついてる味ですね」』
3『サシャ「二人だけの、秘密の味です」』
4『サシャ「とくと味あわせてあげましょう!」』の続きです。
・ネタバレほんのりとあり
・虫注意。できるだけ配慮してますが本当に注意。
・詳しい資料がないので、寮の構造などは想像です
2 : ◆H4iwFNXQsw:2013/07/02(火) 21:35:49 ID:LbJSLWpQ
ーー 消灯時間前、男子寮
エレン「そろそろ灯り消すぞー?」
ベルトルト「そうだね。ちょっと早いけど、明日は立体機動の訓練だし寝ちゃおうか」
ライナー「アルミン、本はもういいのか?」
アルミン「うん。ちょうどキリのいいところまで読み終わったから大丈夫だよ」
ミカサ「やめどきを覚えてくれて、私は嬉しい。アルミンはいい子」ナデナデ
アルミン「ちょっとやめてよミカサ、くすぐったいよぉ」アハハ
エレン「おーっし、じゃあ消すぞー」
3 :以下、名無しが深夜にお送りします:2013/07/02(火) 21:36:11 ID:cTHI7jUU
おっ
4 : ◆H4iwFNXQsw:2013/07/02(火) 21:36:22 ID:LbJSLWpQ
ベルトルト「……待って、待ってエレン。どう考えてもおかしいから」
エレン「? いや、別にどこもおかしくないと思うけどな」
ライナー「お前らには自然な状況かもしれないが、俺やベルトルトにとっては不自然だ」
ライナー「それで……ミカサ、何故ここにいる」
アルミン「え? ミカサ? いるわけないじゃない。やだなぁライナーったら」ハハッ
ベルトルト「現実を見るんだよ……アルミン」
アルミン「全然見えないよ?」
5 :以下、名無しが深夜にお送りします:2013/07/02(火) 21:36:48 ID:xt1n/XyE
ん?…まさかあなたか?
6 : ◆H4iwFNXQsw:2013/07/02(火) 21:37:02 ID:LbJSLWpQ
エレン「おいミカサ、お前寝ぼけてるぞ? ここは男子寮だ。とっとと帰れよ」
ミカサ「寝ぼけていない。私は正常」
ミカサ「というか、その……今日は、帰りたくない」モジモジ
エレン「またお前は……わがまま言うんじゃねえよ」ハァ
ミカサ「違う。今日はちゃんと理由がある」
ミカサ「……女子寮にアレが出た」
アルミン「」ビクゥッ!!
7 : ◆H4iwFNXQsw:2013/07/02(火) 21:37:59 ID:LbJSLWpQ
ベルトルト「アレって……あの……?」
ミカサ「黒光りした虫。動きがとっても素早い。本気を出されたら私でも追いにくい」
ライナー「大袈裟だな、どうせ一匹だろう?」
ミカサ「一匹なら、こんなところまで逃げてこない」
エレン「お前逃げてきたのかよ……で、何匹なんだ? 二匹か? 三匹か?」ハァ
ミカサ「あの……私が備品倉庫から持ち出してきた麻袋に、ちょっと良からぬものが入っていたらしくて……」ボソボソ
ミカサ「ミーナがその麻袋を不注意で蹴飛ばして、中身をぶちまけてしまって……」ボソボソ
ミカサ「その時ちょうどお風呂から帰ってきたアニが、扉を開けた……ので」
ミカサ「およそ百匹前後、女子寮に放たれてしまった……」
ライナー「」
ベルトルト「」
8 : ◆H4iwFNXQsw:2013/07/02(火) 21:38:45 ID:LbJSLWpQ
ライナー「……深刻だな、それは」
ベルトルト「なんとかしないと眠れないよね……」
エレン「廊下に出たんならそのまま全部外に行ったんじゃねえの? 考えすぎだって」
ミカサ「私もそう思っていたんだけれど、その直後にクリスタやユミルの悲鳴が聞こえた」
ミカサ「私たちの部屋とユミルたちの部屋は結構距離がある。ので、被害は甚大」
ベルトルト「うわぁ……」
ライナー「ミカサ、お前なぁ……」
ミカサ「……反省はしている」ショボン
エレン「反省してても逃げてきてちゃしょうがねえだろ? 他の奴らどうするんだよ」
ミカサ「あぅ……返す言葉もない」ズーン...
エレン「ったく、俺も一緒に謝ってやるから。後でちゃんとみんなに謝ろうぜ? な?」
ミカサ「そうする。ごめんなさい……」シュン
9 : ◆H4iwFNXQsw:2013/07/02(火) 21:39:53 ID:LbJSLWpQ
ライナー「しかし、百匹か……なんとかしてやりたいが、その数は一筋縄じゃいかないな」ウーン...
ベルトルト「女子寮に無断で入るわけにもいかないしね。ーーアルミン、何かいい方法ないかな?」
アルミン「そうだね、火でも放ったほうが早いんじゃない?」
ベルトルト「アルミン、アルミン。戻ってきてお願いだから」
アルミン「焼き払え」
ベルトルト「アルミーン! 帰ってきてー!!」オーイ
エレン「……おいアルミン、拗ねるなよ。ミカサが困ってるんだからなんとかしてやろうぜ?」
アルミン「……エレンも知ってるでしょ。僕はその虫嫌いなんだよ」プイッ
エレン「苦手だからって逃げるような男じゃないだろ、お前は」
10 :以下、名無しが深夜にお送りします:2013/07/02(火) 21:40:27 ID:LOmUJuoo
早速ミカサwwwwww
11 : ◆H4iwFNXQsw:2013/07/02(火) 21:42:17 ID:LbJSLWpQ
アルミン「……僕は、みんなの足手まといにはなりたくないんだ」
アルミン「あいつらの……あの虫の前に出たら、きっと僕は足が竦んで動けないと思う。何もできない」
エレン「……アルミン」
アルミン「ーーでもね、ミカサの力になりたい気持ちは、ないわけじゃないよ」
アルミン「だから、あいつらの前に出る以外のことなら、協力するよ。……それじゃダメかな、ミカサ」
ミカサ「……ううん、それで充分。とても嬉しい。ありがとう、アルミン」
アルミン「……ごめんね、情けない男で」
ミカサ「そんなことはない。アルミンはとっても頼もしい」
アルミン「ありがとう、嬉しいよ。ーーじゃあ、僕はちょっと教官のところまで行ってくるね。女子寮に入れるように、なんとか説得してくるよ」ガチャッ バタンッ
12 : ◆H4iwFNXQsw:2013/07/02(火) 21:42:57 ID:LbJSLWpQ
ライナー「……お前ら、本当に仲がいいんだな」
ベルトルト「うん。羨ましいよ」
エレン「二人も一緒にいれてやろうか?」
ベルトルト「いや、僕たちはいいよ。三人の関係を壊したくない」
ライナー「……話を戻すぞ。エレンはアレは平気なんだな?」
エレン「ああ、平気だぜ」
ライナー「ベルトルトはどうだ? いけるか?」
ベルトルト「得意っていうわけじゃないけど、人手が必要だろう? 僕も行くよ」
ライナー「助かる。……三人じゃ少し厳しいだろうが、仕方がないか」
13 : ◆H4iwFNXQsw:2013/07/02(火) 21:43:56 ID:LbJSLWpQ
ミカサ「いえ、他にもアテはある。たぶんもう少しで来る」
ライナー「アテ?」
\タッタッタッ... ガチャッ/
ジャン「おいうるせえぞ死に急ぎ野郎! こっちは寝てるんだから静かにしろよぉぉおおいミカサ!? は!? なんで!?」
ベルトルト「……よくわかったね、ミカサ」
ミカサ「聴勁という。興味があるなら教えてあげる」ニンニン
ベルトルト「いや、遠慮しとくよ……」
14 :以下、名無しが深夜にお送りします:2013/07/02(火) 21:44:37 ID:LOmUJuoo
Gは俺も苦手だ
15 : ◆H4iwFNXQsw:2013/07/02(火) 21:44:39 ID:LbJSLWpQ
ジャン「おいなんでミカサがここにいるんだよ! 誰が連れ込んだんだ!? ていうか本物か!?」
ミカサ「私は私の意思でここにきた」キリッ
エレン「俺が連れ込んだんじゃねえからなー」
ベルトルト「それと、紛れもなく本物だよ」
ライナー(深夜に寮に忍び込んでいること知ったら、発狂するかもな……)アワレミ
ジャン「はぁ!? なんで本物がここにいるんだよ! おかしいだろ常識的に考えて!!」
ライナー「女子寮にアレが出たから逃げてきたそうだ」
ジャン「アレ?」
ミカサ「黒光りした虫。動きがとっても素早い。本気を出されたら私でも追いにくい」
ジャン「……ああ。なるほどな、アレか……」
エレン「そういえばさっきからなんでみんなアレって呼んでるんだ? 名前で呼べばいいだろ? ゴ」
ベルトルト「やめようね、エレン」クチフサギ
16 : ◆H4iwFNXQsw:2013/07/02(火) 21:45:14 ID:LbJSLWpQ
ジャン「だとしてもよ、どうせ一匹や二匹だろ? ミカサが逃げてくるよりも、そこの死に急ぎ野郎がサッと行ってパッと帰ってくるほうが早いんじゃねぇの?」
ライナー「いや、百匹だ」
ジャン「」
ベルトルト「しかも女子寮に拡散済みだって」
ジャン「」
エレン「なんだよジャン、怖いのか?」
ジャン「いや、怖いとかの問題じゃねぇだろ……なんだその数。自然発生にしちゃ多すぎだろ」
ミカサ「……ごめんなさい、それは私のせい」ショボン
ジャン「あ、いや……ミカサを責めてるんじゃねえから、うん」
17 : ◆H4iwFNXQsw:2013/07/02(火) 21:46:09 ID:LbJSLWpQ
ライナー「ところでジャン。これから暇か?」
ジャン「えー……俺にも手伝えってのか? めんどくせえなぁ……」ボリボリ
ミカサ「ジャン……私からも、お願い」ウルウル
ジャン「」
ジャン(ミカサの涙目……!!)
ジャン「……あーもー、わぁーったよ。ついでにマルコとコニーにも声かけてくる。起きてるかどうかわかんねえし、そもそも来るかどうかも別だろうけどな!」
ライナー「ああ、頼んだぞ」
ジャン「気にすんなよ、仲間だろ。……じゃあ、後でまたここに来る」ガチャッ
エレン「お前目薬もなしでよく嘘泣きできるよなぁ」
ミカサ「お色気の術。エレンにかからないのが悔しくてならない」ニンニン
ライナー「……さて、これで少なくとも四人か」
ベルトルト「あとはアルミンの結果待ちだね。まあ、心配する必要ないだろうけど」
18 : ◆H4iwFNXQsw:2013/07/02(火) 21:46:46 ID:LbJSLWpQ
アルミン「ーーただいま。今雄叫びあげながら廊下を走ってるジャンとすれ違ったけど何かあったの?」ガチャッ
ミカサ「きっといいことがあったんだと思う。ーーそれでアルミン、どうだった?」
アルミン「女子寮に入る許可は出すから自分たちでなんとかしろ、だってさ。教官はこの件にはノータッチだって」
アルミン「それと、見回り用のランタンもいくつか貸してもらえるように頼んできたから。後で取りに行ってきてね」
エレン「ランタン? 何に使うんだ?」
アルミン「あの虫は基本的に暗いところに隠れたがるでしょ? だから室内の灯りだけじゃ、どうしても見落としが発生すると思うんだ」
アルミン「まあ、ランタンでも限界があると思うけど……ないよりはマシかと思って」
ベルトルト「……すごいな、アルミンは」
ライナー「ああ。感心した。気を回してくれてありがとうな」
アルミン「僕にはこれくらいしかできないから……頑張ってね、みんな」
19 : ◆H4iwFNXQsw:2013/07/02(火) 21:47:26 ID:LbJSLWpQ
ジャン「おい、連れてきたぞー。マルコは寝てたからコニーだけだけど」ガチャッ
コニー「……お前ら、明日は立体機動の訓練だってのに元気だなぁ」アクビ
エレン「別に元気だからって行くんじゃねぇよ。ジャンから話聞いたか?」
コニー「百匹はありえねえと思います」キリッ
ベルトルト「ちゃんと伝わってるみたいだね」
ライナー「そうだな。ーーよし、じゃあ人も揃ったし行くか?」
エレン「ああ。ーー 一匹残らず駆逐してやろうぜ!」
アルミン「……いってらっしゃーい」フリフリ
20 : ◆H4iwFNXQsw:2013/07/02(火) 21:48:06 ID:LbJSLWpQ
ーー消灯前 女子寮、談話室
ジャン「……混んでるな、談話室」
ミカサ「女子のほとんどが集まってるから、仕方がない」
ライナー「寮の見取り図はあるか?」
ミカサ「寮母さんから借りてきた。これ」ピラッ
エレン「……こうして見ると結構広いよなー、ここの寮」ウーン
コニー「だよなー。でも男子寮と構造はほとんど一緒だな」ジーッ
ライナー「ミカサたちの部屋とユミルたちの部屋はどこだ?」
ミカサ「ここと……ここ」ユビサシ
ベルトルト「これは……かなり遠くまで拡散してるね。ほぼ寮の端と端じゃないか」
21 : ◆H4iwFNXQsw:2013/07/02(火) 21:48:44 ID:LbJSLWpQ
クリスタ「ランタン、借りてきたよー」ゴトッ
ユミル「これ、見かけより結構重いんだな。ほらよ」ゴトッ
ライナー「数は……四つか。四人しか回れないな」
ベルトルト「片っ端からみんなで手分けしようか? 消灯まで時間もないし」
ジャン「いや、あまり手抜き仕事だとまずいだろ。ただでさえ小さいんだから見落としも発生しやすいだろうしよ」
コニー「? 見落とさなきゃいい話じゃねえの?」キョトン
エレン「だよなぁ。いくらちっせえって言ってもあいつら動き回るし、場所なんて簡単にわかるだろ?」
ジャン「ずっと動き回ってるわけねえだろ……これだから死に急ぎ野郎は」ボソッ
エレン「……今死に急ぎは関係ねえだろ?」ギロッ
ライナー「やめろ。喧嘩は後でやれ」
22 : ◆H4iwFNXQsw:2013/07/02(火) 21:49:23 ID:LbJSLWpQ
ミカサ「……それで、どうするの? 確かに四人で手分けした方が手っ取り早い。でも、見落としが発生する確率もあがる」
ライナー「そうだな……俺の作戦を話してもいいか?」
ミカサ「何かあるなら話してほしい。いいかどうかは聞いてから決める」
ライナー「なら……まず、中央の階段を境にして二手に分かれよう。東と西だ」
コニー「? 四つじゃなくて二つなのか?」
ライナー「ああ。一人が先行して、もう一人が後から追っかける。つまりダブルチェックだな。これを東西でやるから、必要な人数は二人×東西二つで四人。ランタンを持っていくのはその四人だ」
ライナー「そして、残りの一人は廊下で待機。全体を見て、状況に合わせて動いてもらう。廊下を移動している奴らもいるだろうしな」
エレン「えーっと……つまり、一つの場所を二人で見回るってことか?」
ライナー「そういうことだ。これなら見落としは大分減るだろう」
ライナー「四人で手分けするより時間はかかるが、このほうが確実だ。……というわけだが、どうだ?」
23 : ◆H4iwFNXQsw:2013/07/02(火) 21:50:06 ID:LbJSLWpQ
ジャン「ま、それで問題ねえと思うぜ。時間はかかるけど二回も見回りゃ漏れも減るだろ」
エレン「ライナーが考えた作戦に文句は言えねえよ。俺よりも頭いいんだし」ハイッ
コニー「右に同じ。他にマシな案も浮かばねえからな」ハイッ
ベルトルト「僕もそれでいいよ、ライナー」
ライナー「そうか。……悪いな、アルミンならもっとうまい作戦を立てるんだろうが、俺にはこれが限界だ」
ミカサ「いえ、悪くない作戦だと思う。アルミンがいたら、きっと賛成してくれたはず」
ライナー「反対意見が出ないと逆に不安になるんだがな。……じゃあこの作戦で行こう」
24 : ◆H4iwFNXQsw:2013/07/02(火) 21:50:41 ID:LbJSLWpQ
エレン「それで、誰がどこを受け持つんだ?」
ライナー「それも考えてあるが……俺が勝手に決めていいのか?」
コニー「時間もねえしさっさと進めようぜ。文句あるならその都度出すからよ」
ライナー「わかった。なら、東は俺とエレンだ。西はコニーとジャンが担当してくれ。先発組は俺とコニー。ベルトルトは廊下を頼む」
ジャン「……ライナーが廊下じゃねえのか?」
ライナー「ああ。……何か問題あるか?」
ジャン「……お前がそれでいいなら、別にねえよ」
ライナー「? そうか。ーー他の三人は? ベルトルトは灯りがないがいいか?」
ベルトルト「いいよ。いざという時は近くにいる誰かに頼んで借りるから」
エレン「俺も文句なし」ハイッ
コニー「右に同じ、だな」ハイッ
25 : ◆H4iwFNXQsw:2013/07/02(火) 21:51:22 ID:LbJSLWpQ
アニ「……遅くなったね。全員部屋から出したから、もう入れるよ」ガチャッ
ミーナ「談話室に集合でよかったんだよね?」
ミカサ「大丈夫。ーーアニもミーナもありがとう」
ミーナ「まあ、蹴飛ばしちゃった私のせいでもあるわけだし……」ショボーン...
アニ「被害を寮に広めたのは私だしね……」ズーン...
エレン「気にすんなって。もうやっちまったんだから、後でみんなに謝ろうぜ?」
ミカサ「うん、そうする。ーーそれで、他に何か私たちが手伝えることはある? できることならやるから言ってほしい」
ライナー「ああ。これから五人で見回るが、できれば女子の何人かについてきてもらえないか?」
ミカサ「? 私たちが戦力になるとは思えないけれど」
ライナー「いくら教官が許可したと言っても、男子が女子寮を一人でうろついていたら嫌だろう」
ライナー「それに、いざという時にランタンを持ってもらうかもしれないしな。つまり、監視役と手伝い要員だ」
26 : ◆H4iwFNXQsw:2013/07/02(火) 21:52:10 ID:LbJSLWpQ
アニ「……じゃあ、ライナーはサシャと組みなよ」
ライナー「……こんな時にまで変な気を回すな。アニ」
アニ「違う。人手は多いほうがいいでしょ? サシャはアレが平気なんだよ」
ライナー「サシャが?」
アニ「うん。最初にユミルたちの部屋に出たゴ……虫を、潰したのはサシャだよ」
アニ「エレンにはミカサがつくだろうし、ジャンやコニーじゃサシャは扱いきれないんじゃないかな。あの子、時々暴走するから」
アニ「そして、貴重な戦力をベルトルトと一緒に廊下に置いておく理由もない」
アニ「だから、先発組のあんたと組むのが一番いいよ。ライナー」
ライナー「……筋は通っているな」
アニ「小細工なんかしないよ。こっちは一大事なんだから」
アニ「それと、見回り組の残りの三人は私とミカサとミーナで受け持つよ。私たちの責任でもあるわけだし」
ミーナ「えっ、私も!?」ビクッ
アニ「これくらいしないと他のみんなに申し訳がたたないでしょ。覚悟決めなよ」
ミーナ「うう、そんなぁー……」ガックシ
27 : ◆H4iwFNXQsw:2013/07/02(火) 21:52:57 ID:LbJSLWpQ
ライナー「それで、サシャはどこにいるんだ? さっきから見ないが」
アニ「あそこに座ってるよ」ユビサシ
ライナー「……あいつはあんな隅でどうして一人でいるんだ?」
アニ「さあね。クリスタとユミルがランタン取りに行ったから、手持ちぶさたになったんじゃないの?」
アニ「他の班分けはこっちで決めとくから行ってきなよ。ーー王子様」ボソッ
ライナー「……ユミルから聞いたのか?」
アニ「さあ、知らないね」スタスタ...
28 : ◆H4iwFNXQsw:2013/07/02(火) 21:53:42 ID:LbJSLWpQ
サシャ「……」ボーッ
ライナー「ーーサシャ」
サシャ「……? ライナー、どうしたんですか? ここは女子寮ですよ?」キョトン
ライナー「俺たちが作戦会議してるの知らなかったのか?」
サシャ「作戦会議……?」クビカシゲ
ライナー「ああ。細かいことは後で話すが、お前は俺と同じ組だ。一緒に行こう」
サシャ「一緒に行っていいんですか?」パァッ...
ライナー「……そんなに喜ぶことか? 虫退治だぞ?」
サシャ「そ、それもそうですね……」テレテレ
ライナー「それで、いけそうか? アニからは虫が平気だと聞いたが」
サシャ「はい、へっちゃらです。……一緒に頑張りましょうね!」ニコッ
・1『サシャ「キスの味、私に教えてください」』
2『サシャ「この味は、ウソをついてる味ですね」』
3『サシャ「二人だけの、秘密の味です」』
4『サシャ「とくと味あわせてあげましょう!」』の続きです。
・ネタバレほんのりとあり
・虫注意。できるだけ配慮してますが本当に注意。
・詳しい資料がないので、寮の構造などは想像です
2 : ◆H4iwFNXQsw:2013/07/02(火) 21:35:49 ID:LbJSLWpQ
ーー 消灯時間前、男子寮
エレン「そろそろ灯り消すぞー?」
ベルトルト「そうだね。ちょっと早いけど、明日は立体機動の訓練だし寝ちゃおうか」
ライナー「アルミン、本はもういいのか?」
アルミン「うん。ちょうどキリのいいところまで読み終わったから大丈夫だよ」
ミカサ「やめどきを覚えてくれて、私は嬉しい。アルミンはいい子」ナデナデ
アルミン「ちょっとやめてよミカサ、くすぐったいよぉ」アハハ
エレン「おーっし、じゃあ消すぞー」
3 :以下、名無しが深夜にお送りします:2013/07/02(火) 21:36:11 ID:cTHI7jUU
おっ
4 : ◆H4iwFNXQsw:2013/07/02(火) 21:36:22 ID:LbJSLWpQ
ベルトルト「……待って、待ってエレン。どう考えてもおかしいから」
エレン「? いや、別にどこもおかしくないと思うけどな」
ライナー「お前らには自然な状況かもしれないが、俺やベルトルトにとっては不自然だ」
ライナー「それで……ミカサ、何故ここにいる」
アルミン「え? ミカサ? いるわけないじゃない。やだなぁライナーったら」ハハッ
ベルトルト「現実を見るんだよ……アルミン」
アルミン「全然見えないよ?」
5 :以下、名無しが深夜にお送りします:2013/07/02(火) 21:36:48 ID:xt1n/XyE
ん?…まさかあなたか?
エレン「おいミカサ、お前寝ぼけてるぞ? ここは男子寮だ。とっとと帰れよ」
ミカサ「寝ぼけていない。私は正常」
ミカサ「というか、その……今日は、帰りたくない」モジモジ
エレン「またお前は……わがまま言うんじゃねえよ」ハァ
ミカサ「違う。今日はちゃんと理由がある」
ミカサ「……女子寮にアレが出た」
アルミン「」ビクゥッ!!
7 : ◆H4iwFNXQsw:2013/07/02(火) 21:37:59 ID:LbJSLWpQ
ベルトルト「アレって……あの……?」
ミカサ「黒光りした虫。動きがとっても素早い。本気を出されたら私でも追いにくい」
ライナー「大袈裟だな、どうせ一匹だろう?」
ミカサ「一匹なら、こんなところまで逃げてこない」
エレン「お前逃げてきたのかよ……で、何匹なんだ? 二匹か? 三匹か?」ハァ
ミカサ「あの……私が備品倉庫から持ち出してきた麻袋に、ちょっと良からぬものが入っていたらしくて……」ボソボソ
ミカサ「ミーナがその麻袋を不注意で蹴飛ばして、中身をぶちまけてしまって……」ボソボソ
ミカサ「その時ちょうどお風呂から帰ってきたアニが、扉を開けた……ので」
ミカサ「およそ百匹前後、女子寮に放たれてしまった……」
ライナー「」
ベルトルト「」
8 : ◆H4iwFNXQsw:2013/07/02(火) 21:38:45 ID:LbJSLWpQ
ライナー「……深刻だな、それは」
ベルトルト「なんとかしないと眠れないよね……」
エレン「廊下に出たんならそのまま全部外に行ったんじゃねえの? 考えすぎだって」
ミカサ「私もそう思っていたんだけれど、その直後にクリスタやユミルの悲鳴が聞こえた」
ミカサ「私たちの部屋とユミルたちの部屋は結構距離がある。ので、被害は甚大」
ベルトルト「うわぁ……」
ライナー「ミカサ、お前なぁ……」
ミカサ「……反省はしている」ショボン
エレン「反省してても逃げてきてちゃしょうがねえだろ? 他の奴らどうするんだよ」
ミカサ「あぅ……返す言葉もない」ズーン...
エレン「ったく、俺も一緒に謝ってやるから。後でちゃんとみんなに謝ろうぜ? な?」
ミカサ「そうする。ごめんなさい……」シュン
9 : ◆H4iwFNXQsw:2013/07/02(火) 21:39:53 ID:LbJSLWpQ
ライナー「しかし、百匹か……なんとかしてやりたいが、その数は一筋縄じゃいかないな」ウーン...
ベルトルト「女子寮に無断で入るわけにもいかないしね。ーーアルミン、何かいい方法ないかな?」
アルミン「そうだね、火でも放ったほうが早いんじゃない?」
ベルトルト「アルミン、アルミン。戻ってきてお願いだから」
アルミン「焼き払え」
ベルトルト「アルミーン! 帰ってきてー!!」オーイ
エレン「……おいアルミン、拗ねるなよ。ミカサが困ってるんだからなんとかしてやろうぜ?」
アルミン「……エレンも知ってるでしょ。僕はその虫嫌いなんだよ」プイッ
エレン「苦手だからって逃げるような男じゃないだろ、お前は」
10 :以下、名無しが深夜にお送りします:2013/07/02(火) 21:40:27 ID:LOmUJuoo
早速ミカサwwwwww
11 : ◆H4iwFNXQsw:2013/07/02(火) 21:42:17 ID:LbJSLWpQ
アルミン「……僕は、みんなの足手まといにはなりたくないんだ」
アルミン「あいつらの……あの虫の前に出たら、きっと僕は足が竦んで動けないと思う。何もできない」
エレン「……アルミン」
アルミン「ーーでもね、ミカサの力になりたい気持ちは、ないわけじゃないよ」
アルミン「だから、あいつらの前に出る以外のことなら、協力するよ。……それじゃダメかな、ミカサ」
ミカサ「……ううん、それで充分。とても嬉しい。ありがとう、アルミン」
アルミン「……ごめんね、情けない男で」
ミカサ「そんなことはない。アルミンはとっても頼もしい」
アルミン「ありがとう、嬉しいよ。ーーじゃあ、僕はちょっと教官のところまで行ってくるね。女子寮に入れるように、なんとか説得してくるよ」ガチャッ バタンッ
12 : ◆H4iwFNXQsw:2013/07/02(火) 21:42:57 ID:LbJSLWpQ
ライナー「……お前ら、本当に仲がいいんだな」
ベルトルト「うん。羨ましいよ」
エレン「二人も一緒にいれてやろうか?」
ベルトルト「いや、僕たちはいいよ。三人の関係を壊したくない」
ライナー「……話を戻すぞ。エレンはアレは平気なんだな?」
エレン「ああ、平気だぜ」
ライナー「ベルトルトはどうだ? いけるか?」
ベルトルト「得意っていうわけじゃないけど、人手が必要だろう? 僕も行くよ」
ライナー「助かる。……三人じゃ少し厳しいだろうが、仕方がないか」
13 : ◆H4iwFNXQsw:2013/07/02(火) 21:43:56 ID:LbJSLWpQ
ミカサ「いえ、他にもアテはある。たぶんもう少しで来る」
ライナー「アテ?」
\タッタッタッ... ガチャッ/
ジャン「おいうるせえぞ死に急ぎ野郎! こっちは寝てるんだから静かにしろよぉぉおおいミカサ!? は!? なんで!?」
ベルトルト「……よくわかったね、ミカサ」
ミカサ「聴勁という。興味があるなら教えてあげる」ニンニン
ベルトルト「いや、遠慮しとくよ……」
14 :以下、名無しが深夜にお送りします:2013/07/02(火) 21:44:37 ID:LOmUJuoo
Gは俺も苦手だ
15 : ◆H4iwFNXQsw:2013/07/02(火) 21:44:39 ID:LbJSLWpQ
ジャン「おいなんでミカサがここにいるんだよ! 誰が連れ込んだんだ!? ていうか本物か!?」
ミカサ「私は私の意思でここにきた」キリッ
エレン「俺が連れ込んだんじゃねえからなー」
ベルトルト「それと、紛れもなく本物だよ」
ライナー(深夜に寮に忍び込んでいること知ったら、発狂するかもな……)アワレミ
ジャン「はぁ!? なんで本物がここにいるんだよ! おかしいだろ常識的に考えて!!」
ライナー「女子寮にアレが出たから逃げてきたそうだ」
ジャン「アレ?」
ミカサ「黒光りした虫。動きがとっても素早い。本気を出されたら私でも追いにくい」
ジャン「……ああ。なるほどな、アレか……」
エレン「そういえばさっきからなんでみんなアレって呼んでるんだ? 名前で呼べばいいだろ? ゴ」
ベルトルト「やめようね、エレン」クチフサギ
16 : ◆H4iwFNXQsw:2013/07/02(火) 21:45:14 ID:LbJSLWpQ
ジャン「だとしてもよ、どうせ一匹や二匹だろ? ミカサが逃げてくるよりも、そこの死に急ぎ野郎がサッと行ってパッと帰ってくるほうが早いんじゃねぇの?」
ライナー「いや、百匹だ」
ジャン「」
ベルトルト「しかも女子寮に拡散済みだって」
ジャン「」
エレン「なんだよジャン、怖いのか?」
ジャン「いや、怖いとかの問題じゃねぇだろ……なんだその数。自然発生にしちゃ多すぎだろ」
ミカサ「……ごめんなさい、それは私のせい」ショボン
ジャン「あ、いや……ミカサを責めてるんじゃねえから、うん」
17 : ◆H4iwFNXQsw:2013/07/02(火) 21:46:09 ID:LbJSLWpQ
ライナー「ところでジャン。これから暇か?」
ジャン「えー……俺にも手伝えってのか? めんどくせえなぁ……」ボリボリ
ミカサ「ジャン……私からも、お願い」ウルウル
ジャン「」
ジャン(ミカサの涙目……!!)
ジャン「……あーもー、わぁーったよ。ついでにマルコとコニーにも声かけてくる。起きてるかどうかわかんねえし、そもそも来るかどうかも別だろうけどな!」
ライナー「ああ、頼んだぞ」
ジャン「気にすんなよ、仲間だろ。……じゃあ、後でまたここに来る」ガチャッ
エレン「お前目薬もなしでよく嘘泣きできるよなぁ」
ミカサ「お色気の術。エレンにかからないのが悔しくてならない」ニンニン
ライナー「……さて、これで少なくとも四人か」
ベルトルト「あとはアルミンの結果待ちだね。まあ、心配する必要ないだろうけど」
18 : ◆H4iwFNXQsw:2013/07/02(火) 21:46:46 ID:LbJSLWpQ
アルミン「ーーただいま。今雄叫びあげながら廊下を走ってるジャンとすれ違ったけど何かあったの?」ガチャッ
ミカサ「きっといいことがあったんだと思う。ーーそれでアルミン、どうだった?」
アルミン「女子寮に入る許可は出すから自分たちでなんとかしろ、だってさ。教官はこの件にはノータッチだって」
アルミン「それと、見回り用のランタンもいくつか貸してもらえるように頼んできたから。後で取りに行ってきてね」
エレン「ランタン? 何に使うんだ?」
アルミン「あの虫は基本的に暗いところに隠れたがるでしょ? だから室内の灯りだけじゃ、どうしても見落としが発生すると思うんだ」
アルミン「まあ、ランタンでも限界があると思うけど……ないよりはマシかと思って」
ベルトルト「……すごいな、アルミンは」
ライナー「ああ。感心した。気を回してくれてありがとうな」
アルミン「僕にはこれくらいしかできないから……頑張ってね、みんな」
19 : ◆H4iwFNXQsw:2013/07/02(火) 21:47:26 ID:LbJSLWpQ
ジャン「おい、連れてきたぞー。マルコは寝てたからコニーだけだけど」ガチャッ
コニー「……お前ら、明日は立体機動の訓練だってのに元気だなぁ」アクビ
エレン「別に元気だからって行くんじゃねぇよ。ジャンから話聞いたか?」
コニー「百匹はありえねえと思います」キリッ
ベルトルト「ちゃんと伝わってるみたいだね」
ライナー「そうだな。ーーよし、じゃあ人も揃ったし行くか?」
エレン「ああ。ーー 一匹残らず駆逐してやろうぜ!」
アルミン「……いってらっしゃーい」フリフリ
20 : ◆H4iwFNXQsw:2013/07/02(火) 21:48:06 ID:LbJSLWpQ
ーー消灯前 女子寮、談話室
ジャン「……混んでるな、談話室」
ミカサ「女子のほとんどが集まってるから、仕方がない」
ライナー「寮の見取り図はあるか?」
ミカサ「寮母さんから借りてきた。これ」ピラッ
エレン「……こうして見ると結構広いよなー、ここの寮」ウーン
コニー「だよなー。でも男子寮と構造はほとんど一緒だな」ジーッ
ライナー「ミカサたちの部屋とユミルたちの部屋はどこだ?」
ミカサ「ここと……ここ」ユビサシ
ベルトルト「これは……かなり遠くまで拡散してるね。ほぼ寮の端と端じゃないか」
クリスタ「ランタン、借りてきたよー」ゴトッ
ユミル「これ、見かけより結構重いんだな。ほらよ」ゴトッ
ライナー「数は……四つか。四人しか回れないな」
ベルトルト「片っ端からみんなで手分けしようか? 消灯まで時間もないし」
ジャン「いや、あまり手抜き仕事だとまずいだろ。ただでさえ小さいんだから見落としも発生しやすいだろうしよ」
コニー「? 見落とさなきゃいい話じゃねえの?」キョトン
エレン「だよなぁ。いくらちっせえって言ってもあいつら動き回るし、場所なんて簡単にわかるだろ?」
ジャン「ずっと動き回ってるわけねえだろ……これだから死に急ぎ野郎は」ボソッ
エレン「……今死に急ぎは関係ねえだろ?」ギロッ
ライナー「やめろ。喧嘩は後でやれ」
22 : ◆H4iwFNXQsw:2013/07/02(火) 21:49:23 ID:LbJSLWpQ
ミカサ「……それで、どうするの? 確かに四人で手分けした方が手っ取り早い。でも、見落としが発生する確率もあがる」
ライナー「そうだな……俺の作戦を話してもいいか?」
ミカサ「何かあるなら話してほしい。いいかどうかは聞いてから決める」
ライナー「なら……まず、中央の階段を境にして二手に分かれよう。東と西だ」
コニー「? 四つじゃなくて二つなのか?」
ライナー「ああ。一人が先行して、もう一人が後から追っかける。つまりダブルチェックだな。これを東西でやるから、必要な人数は二人×東西二つで四人。ランタンを持っていくのはその四人だ」
ライナー「そして、残りの一人は廊下で待機。全体を見て、状況に合わせて動いてもらう。廊下を移動している奴らもいるだろうしな」
エレン「えーっと……つまり、一つの場所を二人で見回るってことか?」
ライナー「そういうことだ。これなら見落としは大分減るだろう」
ライナー「四人で手分けするより時間はかかるが、このほうが確実だ。……というわけだが、どうだ?」
23 : ◆H4iwFNXQsw:2013/07/02(火) 21:50:06 ID:LbJSLWpQ
ジャン「ま、それで問題ねえと思うぜ。時間はかかるけど二回も見回りゃ漏れも減るだろ」
エレン「ライナーが考えた作戦に文句は言えねえよ。俺よりも頭いいんだし」ハイッ
コニー「右に同じ。他にマシな案も浮かばねえからな」ハイッ
ベルトルト「僕もそれでいいよ、ライナー」
ライナー「そうか。……悪いな、アルミンならもっとうまい作戦を立てるんだろうが、俺にはこれが限界だ」
ミカサ「いえ、悪くない作戦だと思う。アルミンがいたら、きっと賛成してくれたはず」
ライナー「反対意見が出ないと逆に不安になるんだがな。……じゃあこの作戦で行こう」
24 : ◆H4iwFNXQsw:2013/07/02(火) 21:50:41 ID:LbJSLWpQ
エレン「それで、誰がどこを受け持つんだ?」
ライナー「それも考えてあるが……俺が勝手に決めていいのか?」
コニー「時間もねえしさっさと進めようぜ。文句あるならその都度出すからよ」
ライナー「わかった。なら、東は俺とエレンだ。西はコニーとジャンが担当してくれ。先発組は俺とコニー。ベルトルトは廊下を頼む」
ジャン「……ライナーが廊下じゃねえのか?」
ライナー「ああ。……何か問題あるか?」
ジャン「……お前がそれでいいなら、別にねえよ」
ライナー「? そうか。ーー他の三人は? ベルトルトは灯りがないがいいか?」
ベルトルト「いいよ。いざという時は近くにいる誰かに頼んで借りるから」
エレン「俺も文句なし」ハイッ
コニー「右に同じ、だな」ハイッ
25 : ◆H4iwFNXQsw:2013/07/02(火) 21:51:22 ID:LbJSLWpQ
アニ「……遅くなったね。全員部屋から出したから、もう入れるよ」ガチャッ
ミーナ「談話室に集合でよかったんだよね?」
ミカサ「大丈夫。ーーアニもミーナもありがとう」
ミーナ「まあ、蹴飛ばしちゃった私のせいでもあるわけだし……」ショボーン...
アニ「被害を寮に広めたのは私だしね……」ズーン...
エレン「気にすんなって。もうやっちまったんだから、後でみんなに謝ろうぜ?」
ミカサ「うん、そうする。ーーそれで、他に何か私たちが手伝えることはある? できることならやるから言ってほしい」
ライナー「ああ。これから五人で見回るが、できれば女子の何人かについてきてもらえないか?」
ミカサ「? 私たちが戦力になるとは思えないけれど」
ライナー「いくら教官が許可したと言っても、男子が女子寮を一人でうろついていたら嫌だろう」
ライナー「それに、いざという時にランタンを持ってもらうかもしれないしな。つまり、監視役と手伝い要員だ」
26 : ◆H4iwFNXQsw:2013/07/02(火) 21:52:10 ID:LbJSLWpQ
アニ「……じゃあ、ライナーはサシャと組みなよ」
ライナー「……こんな時にまで変な気を回すな。アニ」
アニ「違う。人手は多いほうがいいでしょ? サシャはアレが平気なんだよ」
ライナー「サシャが?」
アニ「うん。最初にユミルたちの部屋に出たゴ……虫を、潰したのはサシャだよ」
アニ「エレンにはミカサがつくだろうし、ジャンやコニーじゃサシャは扱いきれないんじゃないかな。あの子、時々暴走するから」
アニ「そして、貴重な戦力をベルトルトと一緒に廊下に置いておく理由もない」
アニ「だから、先発組のあんたと組むのが一番いいよ。ライナー」
ライナー「……筋は通っているな」
アニ「小細工なんかしないよ。こっちは一大事なんだから」
アニ「それと、見回り組の残りの三人は私とミカサとミーナで受け持つよ。私たちの責任でもあるわけだし」
ミーナ「えっ、私も!?」ビクッ
アニ「これくらいしないと他のみんなに申し訳がたたないでしょ。覚悟決めなよ」
ミーナ「うう、そんなぁー……」ガックシ
27 : ◆H4iwFNXQsw:2013/07/02(火) 21:52:57 ID:LbJSLWpQ
ライナー「それで、サシャはどこにいるんだ? さっきから見ないが」
アニ「あそこに座ってるよ」ユビサシ
ライナー「……あいつはあんな隅でどうして一人でいるんだ?」
アニ「さあね。クリスタとユミルがランタン取りに行ったから、手持ちぶさたになったんじゃないの?」
アニ「他の班分けはこっちで決めとくから行ってきなよ。ーー王子様」ボソッ
ライナー「……ユミルから聞いたのか?」
アニ「さあ、知らないね」スタスタ...
28 : ◆H4iwFNXQsw:2013/07/02(火) 21:53:42 ID:LbJSLWpQ
サシャ「……」ボーッ
ライナー「ーーサシャ」
サシャ「……? ライナー、どうしたんですか? ここは女子寮ですよ?」キョトン
ライナー「俺たちが作戦会議してるの知らなかったのか?」
サシャ「作戦会議……?」クビカシゲ
ライナー「ああ。細かいことは後で話すが、お前は俺と同じ組だ。一緒に行こう」
サシャ「一緒に行っていいんですか?」パァッ...
ライナー「……そんなに喜ぶことか? 虫退治だぞ?」
サシャ「そ、それもそうですね……」テレテレ
ライナー「それで、いけそうか? アニからは虫が平気だと聞いたが」
サシャ「はい、へっちゃらです。……一緒に頑張りましょうね!」ニコッ
ショートストーリーの人気記事
神様「神様だっ!」 神使「神力ゼロですが・・・」
神様の秘密とは?神様が叶えたかったこととは?笑いあり、涙ありの神ss。日常系アニメが好きな方におすすめ!
→記事を読む
女「ハローハロー。誰かいませんか?どうぞ」
→記事を読む
キモオタ「我輩がおとぎ話の世界に行くですとwww」ティンカーベル「そう」
→記事を読む
魔王「世界の半分はやらぬが、淫魔の国をくれてやろう」
→記事を読む
男「少し不思議な話をしようか」女「いいよ」
→記事を読む
同僚女「おーい、おとこ。起きろ、起きろー」
→記事を読む
妹「マニュアルで恋します!」
→記事を読む
きのこの山「最後通牒だと……?」たけのこの里「……」
→記事を読む
月「で……であ…でぁー…TH…であのて……?」
→記事を読む
彡(゚)(゚)「お、居酒屋やんけ。入ったろ」
→記事を読む