サシャ「いつだって、あなたの味方です」
Part1
1 : ◆H4iwFNXQsw:2014/03/15(土) 15:33:25 ID:PgauRLVM
・『サシャ「どんな味でも構いません」』の続きです
2 : ◆H4iwFNXQsw:2014/03/15(土) 15:33:57 ID:PgauRLVM
ーー 夕方 営庭
コニー「雪もかなり少なくなったなー。もう雪かきする必要ねえじゃん」ウロウロ
ジャン「トロスト区から運ばれてくる雪の量も減ってきたからな。卒業試験が終わる頃には全部溶けてなくなってるだろ」
コニー「スプリンガー帝国もなくなっちまったもんな。ちぇっ、もう跡形もねえや」
ジャン「帝国……? ああ、この前クリスタたちと一緒に作ってた雪だるまのことか」
コニー「何言ってんだ、一緒じゃねえよ。そもそもクリスタとは敵同士だったんだぞ? まあ、最後は和平を結んだんだけどな!」
ジャン「……お前らいったい何の遊びしてたんだ?」
コニー「ほう……俺たちの国の興亡の歴史を聞きたいのか?」フフン
ジャン「いらん。そんなくだらねえ歴史を暗記する暇があるならお前はもう少し机に向かえよ。時間がもったいねえだろ」
コニー「それを言うならこの当番こそ時間がもったいねえじゃねえか。もう土が見えてんだから雪かき当番なんて意味ねえのに」
ジャン「意味があるかないかを決めるのは教官だ。俺たちは兵士なんだから命令に従うだけだろ」
コニー「そんなもんかぁ?」
ジャン「ああそうだ。……いいから無駄話してないで働けよ。教官室に報告に行くのは俺なんだぞ」
コニー「へいへい、わかったよ」
3 : ◆H4iwFNXQsw:2014/03/15(土) 15:34:28 ID:PgauRLVM
コニー「……」ザクザク
ジャン「……」ザクザク
コニー「お前さぁ……中間成績見たか? 教官室の前に貼られてたの」
ジャン「ああ、ついさっきな」
コニー「俺、憲兵になれっかなぁ……」
ジャン「意外と成績伸びなかったよな、コニー。班の奴らとうまくいかなかったのか?」
コニー「いや、正直ジャンの班にいる時よりやりやすかった」
ジャン「おい」
コニー「けど到着まで時間がかかっちまってさ、あまり点数伸びなかったんだ。それに俺は元々座学が死んでたからなー……ところでジャンの班はどうだったんだ? お前一人だけ成績伸びてるみてえだけど」
ジャン「俺のところは……というか、俺の運がよかったんだよな。お前の代わりに入った女子が途中でへばっちまって、俺ともう一人で荷物の半分を引き受けたんだ。だがそいつも到着前に音を上げちまったから、そいつの荷物を更に半分俺がもらったわけだ。ーーさて、俺は結局全体の何割の荷物を運んだでしょう。具体的な数値を解答せよ」
コニー「…………………………………………た、たくさん」
ジャン「具体的な数値を答えろって言ったろ。はい戦死」
4 : ◆H4iwFNXQsw:2014/03/15(土) 15:35:13 ID:PgauRLVM
コニー「……まあ座学は置いといて」
ジャン「そろそろ手をつけねえとやばいんじゃねえか?」
コニー「とにかく、今回の山岳訓練のおかげで上位の奴らとの差は縮まったんだ! まだ望みはあるっ!」
ジャン「でも十位だよな」
コニー「……」シュン
ジャン「まっ、せいぜい頑張れよ。俺は高みの見物をさせてもらうぜ」ニヤニヤ
コニー「……浮かれてたら足元掬われるぞ?」
ジャン「浮かれてねえって。これが俺の元々の実力ってヤツだからなー。……死に急ぎ野郎も大きく突き放したし」ニヤニヤニヤニヤ
コニー「でもエレンとジャンは成績発表の度に順位が入れ替わってるだろ。だったら最後にまた入れ替わりがあるんじゃねえの?」
ジャン「……不吉なこと言うなよ」
5 : ◆H4iwFNXQsw:2014/03/15(土) 15:36:06 ID:PgauRLVM
コニー「つーかさ、クリスタがいきなり上位に食い込んできたのにも驚いたけど、サシャはいったいどうやってあの位置に入り込んだんだろうな。山岳訓練だけでいきなりあそこまで順位が上がるもんか?」
ジャン「お前もちったぁ頭使えよ、コニー。……山岳訓練でサシャと同じ班なのは誰だった?」
コニー「んあ? えーっと……確か、ベルトルトとアニだな」
ジャン「そういうことだ」
コニー「どういうことだ?」
ジャン「つまり、サシャが大きく上がれば同じ班のベルトルトとアニは自然と下がるだろ」
コニー「…………?」
ジャン「だーかーらー! どっかが上がればどっかが下がるってことだ! ……なんでそんな荷物の配分にしたのかは知らねえけどな」
ジャン(憲兵狙いのベルトルトやアニが、そう簡単に荷物を多く渡すわけがない……だが、サシャがあいつらをだまくらかすほどの頭を持ってるとも思えねえんだよな)
ジャン(俺も前に獲物を横から掻っ攫われたことはあったが……ありゃ不意打ちだからできたことだ。ベルトルトやアニがそう簡単にやられるとは考えられねえんだが……)
ジャン「とにかく、上位の成績なんて今となっちゃあほとんど誤差だ。……逆転するチャンスはまだあるからな、浮かれてもいられねえんだよ」
6 : ◆H4iwFNXQsw:2014/03/15(土) 15:38:25 ID:PgauRLVM
ーー 掲示板前
【第104期訓練兵団 中間成績】
1 ミカサ・アッカーマン
2 ライナーブラウン
3 サシャ・ブラウス
4 ジャン・キルシュタイン
5 ベルトルト・フーバー
6 アニ・レオンハート
7 クリスタ・レンズ
8 エレン・イェーガー
9 マルコ・ボット
10 コニー・スプリンガー
11 ××××・×××××
12 ユミル・××××
.
7 : ◆H4iwFNXQsw:2014/03/15(土) 15:39:19 ID:PgauRLVM
クリスタ「……」
サシャ「……」
サシャ(なんと言いましょうか……こうやって成績を目の当たりにすると、途端に罪悪感がこみあげてきますね)ドヨン
サシャ(そうですよね、成績上がったのって私だけじゃないんですよね……まだ安全圏だとは思いますけど、憲兵狙いのベルトルトとアニは大丈夫なんでしょうか)
サシャ(……というか、隣のクリスタがものすごーく怒ってるのが気になるんですけど)チラッ
クリスタ「…………」
サシャ(今までに見たことがないくらい、眉間に皺が寄っちゃってますね……えーっと)
サシャ「あの……クリスタすごいですね! 今回の訓練で一気に7位ですよ? 頑張ったんですね!」パチパチ
クリスタ「……」
サシャ「クリスタ?」
クリスタ「……私、ユミルのところに行ってくる」スタスタ...
サシャ「はぁ、そうですか……」
サシャ(成績が上がったの早く教えたかったんでしょうかねー? ……部屋に戻れば会えるのに)ウーン...
8 : ◆H4iwFNXQsw:2014/03/15(土) 15:39:59 ID:PgauRLVM
ーー 教官室付近の廊下
ライナー(そろそろあいつらとの待ち合わせの時間だな。当番も終わったし、なんとか間に合いそうだ)
ライナー(……ん? あそこにいるのは……サシャとクリスタか?)
ライナー(そういや中間成績が発表されてたな、二人で一緒に見てるのか)
ライナー(おっと……クリスタが一人で外に出たな。サシャは……まだ動かないみたいだ)
ライナー「……」キョロキョロ
ライナー(周りに人は……いないな。よし)
ライナー(……少し驚かしてやるか)ニヤリ
サシャ(でも、まさか三位まで上がるなんて)
サシャ「……」
サシャ(……もうちょっとで、ライナーに届くんですね)
サシャ(届いたら、その後は……)
サシャ(……その後は、どうしましょう。やっぱりユミルが言ったとおり、私から行動しないとーー)
9 : ◆H4iwFNXQsw:2014/03/15(土) 15:40:45 ID:PgauRLVM
サシャ「……あれ?」
サシャ(目の前が急に暗く……? 夜にはまだ早いですよね? ということは、誰かが目隠ししてる……?)
ライナー(どうだ、いつぞや出かけた時にやられたお返しだ……! 驚いただろう! 驚いただろう!)ニヤニヤ
サシャ「えっ? えっ? 誰ですか?」
ライナー「……」
ライナー(答えたら声でバレるよな……ここは無視だ無視)
サシャ(むむっ、誰かはわかりませんがだんまりですか。私の知り合いで、こんなことをする人と言えばーー)ピコーン!
サシャ「わかりました! コニーですね!」
ライナー「……」
サシャ「あれー……? 違うんですか? じゃあミカサ……?」
ライナー「…………」
サシャ「うーん……ユミル!」
ライナー「……………………」
サシャ「ユミルでもないんですか? ……えーっと、クリスタはさっき女子寮に行きましたよね」ブツブツ
10 : ◆H4iwFNXQsw:2014/03/15(土) 15:42:19 ID:PgauRLVM
ライナー(いやいや、ちょっと待て……手の大きさとか指の太さとかで普通わかるもんじゃないのか? そもそも候補にも上がらないってどういうことだ?)
サシャ「ミーナ? ……は、さっきアニと一緒に歩いてるのを見ましたし、他に思い当たるのはぁー……」ブツブツ
ライナー(早く当てろよ……! 誰か来たらどうするんだ!)ソワソワ
ライナー「……」グニッ
サシャ「痛っ!? いたたたた、誰ですかほっぺた摘んでるのー! 実はまさかの複数犯!?」ジタバタ
ライナー(ほら当てろ! さっさと当てろ! 二人ずつなら簡単だろ!)ソワソワソワソワ
サシャ「二人で仲良し……! あっ、わかりました!」ポン
ライナー(よしこい! この際ベルトルトとセットでも許してやる!)
サシャ「エレンとミカサですね!」
ライナー「……」
サシャ「違う……? んーっと、じゃあアルミンとミカーー」
ライナー「…………」グニグニグニグニ
サシャ「んぎゃっ!? 駄目ですって、私のほっぺたは伸びませんってばー!」ジタバタジタバタ
ライナー(枠増やしても当てられないってどういうことだ!? ミカサなんか三回も出てるのになんで俺は一回も出ないんだ!! もっとしっかり考えてーー)ハッ
ライナー(しまった……! 廊下の向こうからジャンとコニーが来る!)
11 : ◆H4iwFNXQsw:2014/03/15(土) 15:43:09 ID:PgauRLVM
コニー「こうなっては、最早衝突は避けられない……! そんな絶望的な状況に現れたのがそう、ユミルの民だっ! まずユミルの民はクリスタ王国の主であるクリスタを抱きかかえるとそのまま」ペラペラペラペラ...
ジャン「お前そんなくだらねえ歴史覚えてる暇があるなら勉強しろよ」
コニー「くだらなくなんかねえ……俺たちの創った国はくだらなくなんかねえよ!」ダンッ!!
ジャン「うるせえな静かにしろ。ーーん? あそこにいるのは……ライナーとサシャか?」
コニー「あ、本当だ。あいつら教官室の前で何やってんだ? 目隠しして遊んでるのか?」
ジャン「…………」
コニー「本人たちに聞いてみるのが一番か。ーーおーいライナー! 何してんだー!?」ブンブン
ライナー(!! しまった、のんびりしすぎた……!)
ライナー(名前まで呼ばれたら、流石にバレたよな……?)チラッ
サシャ「むむむっ、この声は……コニーですね! ということはそれ以外の誰かだからー……えーっとえーっと」
ライナー(まだわかんねえのかこいつは!! ーーちっ、こうなったら仕方がない!)ガシッ
サシャ「ひぇっ!?」ビクッ!!
12 : ◆H4iwFNXQsw:2014/03/15(土) 15:43:44 ID:PgauRLVM
コニー「おお……すげぇな、片手一本で人抱えて走るなんて」
ジャン「……………………」
コニー「二人とも行っちまったな。……結局なんだったんだ?」
ジャン「……なあコニー、世の中にはどうして男と女がいると思う?」
コニー「知らん」
ジャン「どうして俺には黒髪美人のかわいい彼女がいないんだと思う?」
コニー「だから知らねえよ。……なあ、早く教官に報告しに行こうぜ。ついでにぶっ壊しちまったスコップのこと謝んなきゃなんねえんだからよ、早いほうがいいって」グイグイ
ジャン「なあ……なあコニー、ライナーを見たか? あいつの手つきを見たか? どこに手を回してたか見たか?」
コニー「見てねえよ。あいつらすぐに走って行っちまったじゃねえか。そもそもこんなに離れてちゃちゃんと見えねえだろ」
ジャン「腰だ」
コニー「お前よく見えたな」
13 : ◆H4iwFNXQsw:2014/03/15(土) 15:44:26 ID:PgauRLVM
ジャン「俺も……俺も、俺だって、ミカサの腰に手を回したいに決まってんだろっ……!」グスッ...
コニー「お、おい泣くなよ……腰に手を回せないくらいで……」オロオロ
ジャン「しかも教官室の前でイチャイチャとはいいご身分じゃねえかちくしょうライナーめ羨ましいっ!!」ダンダンダンダンダンッ!!
コニー「うわっ!? ーーじゃ、ジャン静かにしろって、ここ教官室の前だぞ!?」
ジャン「教官室がなんだってんだ! くそがぁっ!!」
コニー「え、えーっと、えーっと……俺マルコ呼んでくるな、あとは一人で頑張ってくれ!」ダッ
ーー ガラッ
キース「……楽しそうだな。キルシュタインにスプリンガー」
ジャン「」
コニー「」
14 : ◆H4iwFNXQsw:2014/03/15(土) 15:45:15 ID:PgauRLVM
ーー しばらく後 兵舎裏手
ライナー(人は……いないな。ここまで来ればいいか)キョロキョロ
ライナー「よっこらしょっと」ドサッ
サシャ「あうっ」ゴロンッ
ライナー「というわけで正解はコニーでもミカサでもユミルでもクリスタでもミーナでもアニでもエレンでもミカサでもアルミンでもミカサでもない。残念だったな」
サシャ「どうしてミカサのこと三回も言ったんですか?」
ライナー「胸に手を当ててよーく考えてみろ」
サシャ「……?」ペタン
ライナー「俺のじゃない。自分の胸だ自分の」
サシャ「へっ? ……ああっ、すみませんすみません」ペタペタ
ライナー「両手じゃなくて片手だ」
サシャ「細かいですね……これでいいですか?」ペタッ
ライナー「ああ、それでいい。ーーそしたら目を閉じて、今日お前がやったことを思い出してみろ。何か心当たりがあるんじゃないか?」
サシャ「心当たりですか? うーん、何かありましたかねー……?」ウーン...
15 : ◆H4iwFNXQsw:2014/03/15(土) 15:47:54 ID:PgauRLVM
サシャ「ええと……そうだ! 今日の朝はクリスタに起こしてもらったんですけど、すぐに起きられませんでした!」ポン
ライナー「……」
サシャ「あれ? でもこれじゃミカサ関係ありませんね……どういうことでしょう」
ライナー「そうじゃない、そうじゃないぞ……というか戻りすぎだ」
サシャ「えっ? でも今日私がやったことを思い出せばいいんですよね?」
ライナー「……ここ十分以内に何が起きたか考えてみろ」
サシャ「ライナーに目隠しされて攫われました。……ところで、どうして突然目隠しなんかしたんです? 私すごくびっくりしたんですよ?」
ライナー「驚いたなら狙い通りだな」フフン
サシャ「……私を驚かせるためだけに目隠ししたんですか?」
ライナー「それ以外に何かあるか?」
16 : ◆H4iwFNXQsw:2014/03/15(土) 15:49:25 ID:PgauRLVM
サシャ「じゃあ私をここまで連れてきたのは? 何か用事とか?」
ライナー「そりゃあ、もちろんーー」ハッ
ライナー(……待てよ? 冷静に考えたら、ここまで連れてくる必要はなかったんじゃないか?)
ライナー(あの場でネタばらしすればよかった話だよな。……何やってんだ俺は)
ライナー「……」
サシャ「……?」キョトン
ライナー「……いや、特に用はない」
サシャ「ええー……? 明日のことで話があったとか、そういうことじゃないんですか?」
ライナー「! そうだな、それだそれ」ポン
17 : ◆H4iwFNXQsw:2014/03/15(土) 15:49:59 ID:PgauRLVM
ライナー「明日は整備班の顔合わせがあるから……昼前に、兵舎の食堂で待ち合わせでいいか?」
サシャ「いいですけど、ここの食堂なんですか? 街のじゃなくて?」
ライナー「今回はいつ打ち合わせが終わるかお互いわからないからな、兵舎から直接街に向かう。……それに、街には変な虫がいるかもしれん」ギリッ
サシャ「虫……? 今は冬なんですが」
ライナー「お前は知らないだろうがな、冬にも活動する虫はいるんだ」
サシャ「食べられますか!?」
ライナー「……食わせるわけねえだろ」
サシャ「はぁ、そうですか……がっかりです」シュン
18 : ◆H4iwFNXQsw:2014/03/15(土) 15:50:35 ID:PgauRLVM
ライナー「他に決めておくことはーー そうだ、今のうちに何が欲しいか考えておけよ? 俺は女物の装飾品なんてさっぱりだからな」
サシャ「草食……ええと、お肉以外に何か食べるんですか? キャベツとか?」
ライナー「違う。髪ゴムの代わりになるもん買ってやるってこの前言っただろ? もう忘れたのか?」
サシャ「へっ? ……私、普通の髪ゴムを買いに行くんだと思ってたんですが」
ライナー「それだとただの買い出しじゃねえか」
サシャ「でも、この前みたいに高いものをもらうのって気が引けますし……ライナーが選んでくれるなら、私はなんでもいいんですけど」
ライナー「俺はお前が欲しいもんを贈ってやりたいから駄目だ。ーーそれにお前、今回の訓練で頑張ったみたいだからな。褒美だと思って気楽に構えとけ」
サシャ「ご褒美……」
サシャ(……ご褒美もらえるほど、私はいい子じゃないのに)
19 : ◆H4iwFNXQsw:2014/03/15(土) 15:51:12 ID:PgauRLVM
ライナー「それにしても、まさかいきなり三位まで上がってくるとはな。この調子ならミカサも追い越せるんじゃないか?」ハハハ
サシャ「……」
ライナー「……? どうした、黙りこくって。腹でも減ったか?」
サシャ「……いいえ、なんでもないですよ。ーーそろそろ私、寮に戻りますね。課題も片付けないといけませんし」
ライナー「そうか? それなら寮まで送って……やりたいところなんだが、この後用事があるんでな。ここまで連れてきて悪いが一人で戻ってくれ。できるよな?」
サシャ「……私、子どもじゃないんですけど」
ライナー「お前は見てないところで何をしてるかわからんからな……いいか、寄り道しないで真っ直ぐ帰れよ? 拾い食いするんじゃねえぞ? 危ないことはするなよ?」
サシャ「そんなに心配しなくってもやりませんよ。……じゃあライナー、また明日」
ライナー「ああ、また明日な」
20 : ◆H4iwFNXQsw:2014/03/15(土) 15:51:47 ID:PgauRLVM
ーー 兵舎 廊下
サシャ「……」
サシャ「はぁ……」トボトボ...
サシャ(……ライナーが褒めてくれたのに、どうも素直に喜べませんね)シュン
サシャ(ううっ……こんな気まずい気持ちになるなら、不意打ちなんかしなきゃよかったです……やっぱり、後でアニとベルトルトに謝りに行ったほうが)トン
サシャ「あ……っと、すみません、よそ見しててーー」ハッ
アニ「……ちゃんと前見なよ。危ないから」
サシャ「」
アニ「……? ちょっとサシャ、何その顔」
サシャ「……こ、こんばんは」ペコッ
アニ「どうも」
サシャ「……」
アニ「……」
サシャ「………あの、あああああ、ああああのあアニああににににああににアニアニあのアニ」モジモジ
アニ「あんた大丈夫? ……用があるなら手短に言って」
・『サシャ「どんな味でも構いません」』の続きです
2 : ◆H4iwFNXQsw:2014/03/15(土) 15:33:57 ID:PgauRLVM
ーー 夕方 営庭
コニー「雪もかなり少なくなったなー。もう雪かきする必要ねえじゃん」ウロウロ
ジャン「トロスト区から運ばれてくる雪の量も減ってきたからな。卒業試験が終わる頃には全部溶けてなくなってるだろ」
コニー「スプリンガー帝国もなくなっちまったもんな。ちぇっ、もう跡形もねえや」
ジャン「帝国……? ああ、この前クリスタたちと一緒に作ってた雪だるまのことか」
コニー「何言ってんだ、一緒じゃねえよ。そもそもクリスタとは敵同士だったんだぞ? まあ、最後は和平を結んだんだけどな!」
ジャン「……お前らいったい何の遊びしてたんだ?」
コニー「ほう……俺たちの国の興亡の歴史を聞きたいのか?」フフン
ジャン「いらん。そんなくだらねえ歴史を暗記する暇があるならお前はもう少し机に向かえよ。時間がもったいねえだろ」
コニー「それを言うならこの当番こそ時間がもったいねえじゃねえか。もう土が見えてんだから雪かき当番なんて意味ねえのに」
ジャン「意味があるかないかを決めるのは教官だ。俺たちは兵士なんだから命令に従うだけだろ」
コニー「そんなもんかぁ?」
ジャン「ああそうだ。……いいから無駄話してないで働けよ。教官室に報告に行くのは俺なんだぞ」
コニー「へいへい、わかったよ」
3 : ◆H4iwFNXQsw:2014/03/15(土) 15:34:28 ID:PgauRLVM
コニー「……」ザクザク
ジャン「……」ザクザク
コニー「お前さぁ……中間成績見たか? 教官室の前に貼られてたの」
ジャン「ああ、ついさっきな」
コニー「俺、憲兵になれっかなぁ……」
ジャン「意外と成績伸びなかったよな、コニー。班の奴らとうまくいかなかったのか?」
コニー「いや、正直ジャンの班にいる時よりやりやすかった」
ジャン「おい」
コニー「けど到着まで時間がかかっちまってさ、あまり点数伸びなかったんだ。それに俺は元々座学が死んでたからなー……ところでジャンの班はどうだったんだ? お前一人だけ成績伸びてるみてえだけど」
ジャン「俺のところは……というか、俺の運がよかったんだよな。お前の代わりに入った女子が途中でへばっちまって、俺ともう一人で荷物の半分を引き受けたんだ。だがそいつも到着前に音を上げちまったから、そいつの荷物を更に半分俺がもらったわけだ。ーーさて、俺は結局全体の何割の荷物を運んだでしょう。具体的な数値を解答せよ」
コニー「…………………………………………た、たくさん」
ジャン「具体的な数値を答えろって言ったろ。はい戦死」
4 : ◆H4iwFNXQsw:2014/03/15(土) 15:35:13 ID:PgauRLVM
コニー「……まあ座学は置いといて」
ジャン「そろそろ手をつけねえとやばいんじゃねえか?」
コニー「とにかく、今回の山岳訓練のおかげで上位の奴らとの差は縮まったんだ! まだ望みはあるっ!」
ジャン「でも十位だよな」
コニー「……」シュン
ジャン「まっ、せいぜい頑張れよ。俺は高みの見物をさせてもらうぜ」ニヤニヤ
コニー「……浮かれてたら足元掬われるぞ?」
ジャン「浮かれてねえって。これが俺の元々の実力ってヤツだからなー。……死に急ぎ野郎も大きく突き放したし」ニヤニヤニヤニヤ
コニー「でもエレンとジャンは成績発表の度に順位が入れ替わってるだろ。だったら最後にまた入れ替わりがあるんじゃねえの?」
ジャン「……不吉なこと言うなよ」
5 : ◆H4iwFNXQsw:2014/03/15(土) 15:36:06 ID:PgauRLVM
コニー「つーかさ、クリスタがいきなり上位に食い込んできたのにも驚いたけど、サシャはいったいどうやってあの位置に入り込んだんだろうな。山岳訓練だけでいきなりあそこまで順位が上がるもんか?」
ジャン「お前もちったぁ頭使えよ、コニー。……山岳訓練でサシャと同じ班なのは誰だった?」
コニー「んあ? えーっと……確か、ベルトルトとアニだな」
ジャン「そういうことだ」
コニー「どういうことだ?」
ジャン「つまり、サシャが大きく上がれば同じ班のベルトルトとアニは自然と下がるだろ」
コニー「…………?」
ジャン「だーかーらー! どっかが上がればどっかが下がるってことだ! ……なんでそんな荷物の配分にしたのかは知らねえけどな」
ジャン(憲兵狙いのベルトルトやアニが、そう簡単に荷物を多く渡すわけがない……だが、サシャがあいつらをだまくらかすほどの頭を持ってるとも思えねえんだよな)
ジャン(俺も前に獲物を横から掻っ攫われたことはあったが……ありゃ不意打ちだからできたことだ。ベルトルトやアニがそう簡単にやられるとは考えられねえんだが……)
ジャン「とにかく、上位の成績なんて今となっちゃあほとんど誤差だ。……逆転するチャンスはまだあるからな、浮かれてもいられねえんだよ」
ーー 掲示板前
【第104期訓練兵団 中間成績】
1 ミカサ・アッカーマン
2 ライナーブラウン
3 サシャ・ブラウス
4 ジャン・キルシュタイン
5 ベルトルト・フーバー
6 アニ・レオンハート
7 クリスタ・レンズ
8 エレン・イェーガー
9 マルコ・ボット
10 コニー・スプリンガー
11 ××××・×××××
12 ユミル・××××
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7 : ◆H4iwFNXQsw:2014/03/15(土) 15:39:19 ID:PgauRLVM
クリスタ「……」
サシャ「……」
サシャ(なんと言いましょうか……こうやって成績を目の当たりにすると、途端に罪悪感がこみあげてきますね)ドヨン
サシャ(そうですよね、成績上がったのって私だけじゃないんですよね……まだ安全圏だとは思いますけど、憲兵狙いのベルトルトとアニは大丈夫なんでしょうか)
サシャ(……というか、隣のクリスタがものすごーく怒ってるのが気になるんですけど)チラッ
クリスタ「…………」
サシャ(今までに見たことがないくらい、眉間に皺が寄っちゃってますね……えーっと)
サシャ「あの……クリスタすごいですね! 今回の訓練で一気に7位ですよ? 頑張ったんですね!」パチパチ
クリスタ「……」
サシャ「クリスタ?」
クリスタ「……私、ユミルのところに行ってくる」スタスタ...
サシャ「はぁ、そうですか……」
サシャ(成績が上がったの早く教えたかったんでしょうかねー? ……部屋に戻れば会えるのに)ウーン...
8 : ◆H4iwFNXQsw:2014/03/15(土) 15:39:59 ID:PgauRLVM
ーー 教官室付近の廊下
ライナー(そろそろあいつらとの待ち合わせの時間だな。当番も終わったし、なんとか間に合いそうだ)
ライナー(……ん? あそこにいるのは……サシャとクリスタか?)
ライナー(そういや中間成績が発表されてたな、二人で一緒に見てるのか)
ライナー(おっと……クリスタが一人で外に出たな。サシャは……まだ動かないみたいだ)
ライナー「……」キョロキョロ
ライナー(周りに人は……いないな。よし)
ライナー(……少し驚かしてやるか)ニヤリ
サシャ(でも、まさか三位まで上がるなんて)
サシャ「……」
サシャ(……もうちょっとで、ライナーに届くんですね)
サシャ(届いたら、その後は……)
サシャ(……その後は、どうしましょう。やっぱりユミルが言ったとおり、私から行動しないとーー)
9 : ◆H4iwFNXQsw:2014/03/15(土) 15:40:45 ID:PgauRLVM
サシャ「……あれ?」
サシャ(目の前が急に暗く……? 夜にはまだ早いですよね? ということは、誰かが目隠ししてる……?)
ライナー(どうだ、いつぞや出かけた時にやられたお返しだ……! 驚いただろう! 驚いただろう!)ニヤニヤ
サシャ「えっ? えっ? 誰ですか?」
ライナー「……」
ライナー(答えたら声でバレるよな……ここは無視だ無視)
サシャ(むむっ、誰かはわかりませんがだんまりですか。私の知り合いで、こんなことをする人と言えばーー)ピコーン!
サシャ「わかりました! コニーですね!」
ライナー「……」
サシャ「あれー……? 違うんですか? じゃあミカサ……?」
ライナー「…………」
サシャ「うーん……ユミル!」
ライナー「……………………」
サシャ「ユミルでもないんですか? ……えーっと、クリスタはさっき女子寮に行きましたよね」ブツブツ
10 : ◆H4iwFNXQsw:2014/03/15(土) 15:42:19 ID:PgauRLVM
ライナー(いやいや、ちょっと待て……手の大きさとか指の太さとかで普通わかるもんじゃないのか? そもそも候補にも上がらないってどういうことだ?)
サシャ「ミーナ? ……は、さっきアニと一緒に歩いてるのを見ましたし、他に思い当たるのはぁー……」ブツブツ
ライナー(早く当てろよ……! 誰か来たらどうするんだ!)ソワソワ
ライナー「……」グニッ
サシャ「痛っ!? いたたたた、誰ですかほっぺた摘んでるのー! 実はまさかの複数犯!?」ジタバタ
ライナー(ほら当てろ! さっさと当てろ! 二人ずつなら簡単だろ!)ソワソワソワソワ
サシャ「二人で仲良し……! あっ、わかりました!」ポン
ライナー(よしこい! この際ベルトルトとセットでも許してやる!)
サシャ「エレンとミカサですね!」
ライナー「……」
サシャ「違う……? んーっと、じゃあアルミンとミカーー」
ライナー「…………」グニグニグニグニ
サシャ「んぎゃっ!? 駄目ですって、私のほっぺたは伸びませんってばー!」ジタバタジタバタ
ライナー(枠増やしても当てられないってどういうことだ!? ミカサなんか三回も出てるのになんで俺は一回も出ないんだ!! もっとしっかり考えてーー)ハッ
ライナー(しまった……! 廊下の向こうからジャンとコニーが来る!)
11 : ◆H4iwFNXQsw:2014/03/15(土) 15:43:09 ID:PgauRLVM
コニー「こうなっては、最早衝突は避けられない……! そんな絶望的な状況に現れたのがそう、ユミルの民だっ! まずユミルの民はクリスタ王国の主であるクリスタを抱きかかえるとそのまま」ペラペラペラペラ...
ジャン「お前そんなくだらねえ歴史覚えてる暇があるなら勉強しろよ」
コニー「くだらなくなんかねえ……俺たちの創った国はくだらなくなんかねえよ!」ダンッ!!
ジャン「うるせえな静かにしろ。ーーん? あそこにいるのは……ライナーとサシャか?」
コニー「あ、本当だ。あいつら教官室の前で何やってんだ? 目隠しして遊んでるのか?」
ジャン「…………」
コニー「本人たちに聞いてみるのが一番か。ーーおーいライナー! 何してんだー!?」ブンブン
ライナー(!! しまった、のんびりしすぎた……!)
ライナー(名前まで呼ばれたら、流石にバレたよな……?)チラッ
サシャ「むむむっ、この声は……コニーですね! ということはそれ以外の誰かだからー……えーっとえーっと」
ライナー(まだわかんねえのかこいつは!! ーーちっ、こうなったら仕方がない!)ガシッ
サシャ「ひぇっ!?」ビクッ!!
12 : ◆H4iwFNXQsw:2014/03/15(土) 15:43:44 ID:PgauRLVM
コニー「おお……すげぇな、片手一本で人抱えて走るなんて」
ジャン「……………………」
コニー「二人とも行っちまったな。……結局なんだったんだ?」
ジャン「……なあコニー、世の中にはどうして男と女がいると思う?」
コニー「知らん」
ジャン「どうして俺には黒髪美人のかわいい彼女がいないんだと思う?」
コニー「だから知らねえよ。……なあ、早く教官に報告しに行こうぜ。ついでにぶっ壊しちまったスコップのこと謝んなきゃなんねえんだからよ、早いほうがいいって」グイグイ
ジャン「なあ……なあコニー、ライナーを見たか? あいつの手つきを見たか? どこに手を回してたか見たか?」
コニー「見てねえよ。あいつらすぐに走って行っちまったじゃねえか。そもそもこんなに離れてちゃちゃんと見えねえだろ」
ジャン「腰だ」
コニー「お前よく見えたな」
13 : ◆H4iwFNXQsw:2014/03/15(土) 15:44:26 ID:PgauRLVM
ジャン「俺も……俺も、俺だって、ミカサの腰に手を回したいに決まってんだろっ……!」グスッ...
コニー「お、おい泣くなよ……腰に手を回せないくらいで……」オロオロ
ジャン「しかも教官室の前でイチャイチャとはいいご身分じゃねえかちくしょうライナーめ羨ましいっ!!」ダンダンダンダンダンッ!!
コニー「うわっ!? ーーじゃ、ジャン静かにしろって、ここ教官室の前だぞ!?」
ジャン「教官室がなんだってんだ! くそがぁっ!!」
コニー「え、えーっと、えーっと……俺マルコ呼んでくるな、あとは一人で頑張ってくれ!」ダッ
ーー ガラッ
キース「……楽しそうだな。キルシュタインにスプリンガー」
ジャン「」
コニー「」
14 : ◆H4iwFNXQsw:2014/03/15(土) 15:45:15 ID:PgauRLVM
ーー しばらく後 兵舎裏手
ライナー(人は……いないな。ここまで来ればいいか)キョロキョロ
ライナー「よっこらしょっと」ドサッ
サシャ「あうっ」ゴロンッ
ライナー「というわけで正解はコニーでもミカサでもユミルでもクリスタでもミーナでもアニでもエレンでもミカサでもアルミンでもミカサでもない。残念だったな」
サシャ「どうしてミカサのこと三回も言ったんですか?」
ライナー「胸に手を当ててよーく考えてみろ」
サシャ「……?」ペタン
ライナー「俺のじゃない。自分の胸だ自分の」
サシャ「へっ? ……ああっ、すみませんすみません」ペタペタ
ライナー「両手じゃなくて片手だ」
サシャ「細かいですね……これでいいですか?」ペタッ
ライナー「ああ、それでいい。ーーそしたら目を閉じて、今日お前がやったことを思い出してみろ。何か心当たりがあるんじゃないか?」
サシャ「心当たりですか? うーん、何かありましたかねー……?」ウーン...
15 : ◆H4iwFNXQsw:2014/03/15(土) 15:47:54 ID:PgauRLVM
サシャ「ええと……そうだ! 今日の朝はクリスタに起こしてもらったんですけど、すぐに起きられませんでした!」ポン
ライナー「……」
サシャ「あれ? でもこれじゃミカサ関係ありませんね……どういうことでしょう」
ライナー「そうじゃない、そうじゃないぞ……というか戻りすぎだ」
サシャ「えっ? でも今日私がやったことを思い出せばいいんですよね?」
ライナー「……ここ十分以内に何が起きたか考えてみろ」
サシャ「ライナーに目隠しされて攫われました。……ところで、どうして突然目隠しなんかしたんです? 私すごくびっくりしたんですよ?」
ライナー「驚いたなら狙い通りだな」フフン
サシャ「……私を驚かせるためだけに目隠ししたんですか?」
ライナー「それ以外に何かあるか?」
16 : ◆H4iwFNXQsw:2014/03/15(土) 15:49:25 ID:PgauRLVM
サシャ「じゃあ私をここまで連れてきたのは? 何か用事とか?」
ライナー「そりゃあ、もちろんーー」ハッ
ライナー(……待てよ? 冷静に考えたら、ここまで連れてくる必要はなかったんじゃないか?)
ライナー(あの場でネタばらしすればよかった話だよな。……何やってんだ俺は)
ライナー「……」
サシャ「……?」キョトン
ライナー「……いや、特に用はない」
サシャ「ええー……? 明日のことで話があったとか、そういうことじゃないんですか?」
ライナー「! そうだな、それだそれ」ポン
17 : ◆H4iwFNXQsw:2014/03/15(土) 15:49:59 ID:PgauRLVM
ライナー「明日は整備班の顔合わせがあるから……昼前に、兵舎の食堂で待ち合わせでいいか?」
サシャ「いいですけど、ここの食堂なんですか? 街のじゃなくて?」
ライナー「今回はいつ打ち合わせが終わるかお互いわからないからな、兵舎から直接街に向かう。……それに、街には変な虫がいるかもしれん」ギリッ
サシャ「虫……? 今は冬なんですが」
ライナー「お前は知らないだろうがな、冬にも活動する虫はいるんだ」
サシャ「食べられますか!?」
ライナー「……食わせるわけねえだろ」
サシャ「はぁ、そうですか……がっかりです」シュン
18 : ◆H4iwFNXQsw:2014/03/15(土) 15:50:35 ID:PgauRLVM
ライナー「他に決めておくことはーー そうだ、今のうちに何が欲しいか考えておけよ? 俺は女物の装飾品なんてさっぱりだからな」
サシャ「草食……ええと、お肉以外に何か食べるんですか? キャベツとか?」
ライナー「違う。髪ゴムの代わりになるもん買ってやるってこの前言っただろ? もう忘れたのか?」
サシャ「へっ? ……私、普通の髪ゴムを買いに行くんだと思ってたんですが」
ライナー「それだとただの買い出しじゃねえか」
サシャ「でも、この前みたいに高いものをもらうのって気が引けますし……ライナーが選んでくれるなら、私はなんでもいいんですけど」
ライナー「俺はお前が欲しいもんを贈ってやりたいから駄目だ。ーーそれにお前、今回の訓練で頑張ったみたいだからな。褒美だと思って気楽に構えとけ」
サシャ「ご褒美……」
サシャ(……ご褒美もらえるほど、私はいい子じゃないのに)
19 : ◆H4iwFNXQsw:2014/03/15(土) 15:51:12 ID:PgauRLVM
ライナー「それにしても、まさかいきなり三位まで上がってくるとはな。この調子ならミカサも追い越せるんじゃないか?」ハハハ
サシャ「……」
ライナー「……? どうした、黙りこくって。腹でも減ったか?」
サシャ「……いいえ、なんでもないですよ。ーーそろそろ私、寮に戻りますね。課題も片付けないといけませんし」
ライナー「そうか? それなら寮まで送って……やりたいところなんだが、この後用事があるんでな。ここまで連れてきて悪いが一人で戻ってくれ。できるよな?」
サシャ「……私、子どもじゃないんですけど」
ライナー「お前は見てないところで何をしてるかわからんからな……いいか、寄り道しないで真っ直ぐ帰れよ? 拾い食いするんじゃねえぞ? 危ないことはするなよ?」
サシャ「そんなに心配しなくってもやりませんよ。……じゃあライナー、また明日」
ライナー「ああ、また明日な」
20 : ◆H4iwFNXQsw:2014/03/15(土) 15:51:47 ID:PgauRLVM
ーー 兵舎 廊下
サシャ「……」
サシャ「はぁ……」トボトボ...
サシャ(……ライナーが褒めてくれたのに、どうも素直に喜べませんね)シュン
サシャ(ううっ……こんな気まずい気持ちになるなら、不意打ちなんかしなきゃよかったです……やっぱり、後でアニとベルトルトに謝りに行ったほうが)トン
サシャ「あ……っと、すみません、よそ見しててーー」ハッ
アニ「……ちゃんと前見なよ。危ないから」
サシャ「」
アニ「……? ちょっとサシャ、何その顔」
サシャ「……こ、こんばんは」ペコッ
アニ「どうも」
サシャ「……」
アニ「……」
サシャ「………あの、あああああ、ああああのあアニああににににああににアニアニあのアニ」モジモジ
アニ「あんた大丈夫? ……用があるなら手短に言って」
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