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サシャ「……知りたくない味でしたね」

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Part2
25 : ◆H4iwFNXQsw:2013/09/26(木) 21:06:17 ID:oz0os7JY
ーー三十分後
エレン「だああああああああもうっ!! しいたけ鬱陶しいな!!」ダンッ!!
ライナー「どうあっても俺たちの邪魔をしたいらしいな、しいたけの奴は……!」イライライライラ
サシャ「私、食べ物を憎んだのは生まれてはじめてです……! こんな気持ち、知りたくありませんでした……!」グルルルル...
ミカサ「菌糸類のくせに……」チッ
ライナー「……」ゼエハア
ミカサ「……」ゼエハア
サシャ「……」ゼエハア
エレン「……」ゼエハア
ライナー「……一旦休憩しよう」
ミカサ「……賛成」
エレン「……異議なし」
サシャ「喉が渇きました……」

26 : ◆H4iwFNXQsw:2013/09/26(木) 21:07:05 ID:oz0os7JY
エレン「なんつーか……絶妙に邪魔な位置にあるよな。しいたけ」
ライナー「同感だ。しいたけを捨てれば、後の七つは比較的楽なんだが」
ミカサ「しいたけを選んだ途端、突然難易度が跳ね上がる……」
サシャ「こんな都合のいい位置にあるしいたけは罪作りですね……」
エレン「……これ、しいたけを通るんならしいたけを採ってくることになるんだよな?」
ライナー「まあ……そういうことになるな」
エレン「駆逐してやる……一本残らず!!」
ミカサ「……削ぐ」
サシャ「食い尽くしてやります……」
ライナー「気持ちはわかるぞ……後続がいないなら俺もそうしたい」

27 : ◆H4iwFNXQsw:2013/09/26(木) 21:08:10 ID:oz0os7JY
ーー 更に三十分後
サシャ「お、終わったぁ……」ヘロヘロ
ミカサ「……久しぶりに、かなり頭を使った」ズキズキ
ライナー「俺もだ。頭が痛ぇ……」ズキズキ
エレン「じゃあ俺、教官に清書した地図提出してくるな。ついでに課題も出してくる」ガタッ スタスタ...
ライナー「ああ、頼んだぞ。ーーカップは俺が戻しておくから、ミカサとサシャは帰っていいぞ」ガタッ
ミカサ「洗い物もしなければならないはず。手伝おう」スクッ
ライナー「女子の風呂は時間が短いんだろ? 早く行かないと入りそびれるぞ。ここはいいから行け」
ミカサ「……では、お言葉に甘えることにする」
ライナー「おう。そうしてくれ」スタスタ...
サシャ「あっ……待ってください、ライナー!」ガタッ

28 : ◆H4iwFNXQsw:2013/09/26(木) 21:09:01 ID:oz0os7JY
ライナー「なんだ?」
サシャ「えっと、さっきのことなんですけど……あの、あれってどういう……」モジモジ
ライナー「……また明日な、サシャ」ワッシャワッシャ
サシャ「ひゃうっ!?」ピクッ
ライナー「じゃあな。おやすみ」スタスタ...
サシャ「……うぅ」ムー...
サシャ(頭撫でて、誤魔化しましたよね……今)
サシャ(人の気も知らないで、さっきは手まで握って……反則ですよ、あんなの……)ムー...
ミカサ「……らーぶらーぶ」ダキッ
サシャ「み、ミカサ!? なんで後ろから抱きついてーー」ジタバタ
ミカサ「さっき机の下で何をしていたのか、私はとても気になっている。ので、あなたは今すぐ話すべき」コチョコチョ
サシャ「ひゃっ!? ーーはっ、話しますっ! 話しますからっ、くすぐるのはっ、ふふっ、やめてくださいよぅ! あははっ!」ジタバタジタバタ
ミカサ「なら、早く教えて?」クスッ

29 : ◆H4iwFNXQsw:2013/09/26(木) 21:09:55 ID:oz0os7JY
ーー 男子寮 エレンたちの部屋
ライナー「ただいま。……ん? ジャン、来てたのか」ガチャッ バタンッ
ジャン「おう、お疲れ。ーー山岳訓練の打ち合わせだって? 訓練中もあいつの世話係とは、お前も気苦労が絶えねえなぁ」ケケケ
ライナー「……俺が好きでやってるからいいんだよ」
ジャン『はい惚気入りましたー』クルリンパッ
アルミン『ひゅーひゅー、熱いねえ!』グールグール
ライナー「無言で会話するのはやめろ。あと見えないところでそういう会話はやってくれ」
ベルトルト「……? 何かいいことでもあったの? ライナー」
ライナー「……わかるのか?」
ベルトルト「まあね。おおっぴらにからかわれたのに、あんまり怒ってないし」
ライナー「あー……それはだな……」ボソボソ
ジャン「なーにその図体で恥ずかしがってんだよ!! 男だろしっかり俺たちにいい思いを共有させろ!!」バンッ!!
アルミン「さあライナー、大きな声で言ってくれ! 僕たちは決して笑わないから!!」ダンッ!!
ベルトルト(そんな言い方したら、逆に言いづらいと思うんだけど……)チラッ


30 : ◆H4iwFNXQsw:2013/09/26(木) 21:10:48 ID:oz0os7JY
ライナー「その……ーーか、間接キスを、だな……してきた、というか」ボソボソ
ベルトルト「……は?」
アルミン「……間接キスね」
ジャン「……なるほどな」
ベルトルト「……いやいやいや。あのさぁ、君たちもっとすごいこと普段からやってるでしょ? 馬鹿なの?」
ジャン「いや、わかるぜライナー……ありゃ興奮するよな」
ライナー「!! ーーわかってくれるか、ジャン」
ジャン「ああ。間接キスには無限の可能性があるからな」
アルミン「そうだね……たった一度の間接キスで、女の子の様々な表情を自由自在に引き出せるからね。あれは恐ろしい行為だよ……!」
ベルトルト「……僕、もう寝るね。眠いし」モソモソ
ジャン「おいおい夢がねえぞベルトルト! もっと自分に素直になれ!!」ユサユサ
アルミン「そうだよっ! 君だって一度は妄想したことがあるんじゃあないかっ!? 好きな子と間接キスする妄想をっ!!」ユサユサユサユサ
ベルトルト「しないよそんなの。……もう起こさないでね。後は三人で勝手にやって」バサッ

31 : ◆H4iwFNXQsw:2013/09/26(木) 21:12:03 ID:oz0os7JY
ジャン『……ったく、本の話はいくらでも乗ってくるくせに、こういう話になるとすぐ付き合い悪くなるんだもんなー、ベルトルトの奴』シュッシュッ
アルミン『まあまあ。ーーここは僕たちの力でこじ開けてやろうよ。ベルトルトのウォール・オフトンをね……!』キラーン
ライナー『やりすぎるなよ?』
アルミン『ムッツリスケベが一番タチが悪いと思います!』
ジャン『同感であります!』
ライナー『あまり酷いと止めに入るからな』
アルミン・ジャン『了解』グッ
アルミン「……じゃあ間接キスがどんなに素晴らしいものかを存分に語り合おうか」
ジャン「そうだな。字面だけじゃ何も興奮しねえからな」
ベルトルト(ううっ、外で何か始まった……聞かないようにしよう……)ミミフサギ

32 : ◆H4iwFNXQsw:2013/09/26(木) 21:12:56 ID:oz0os7JY
アルミン「どうせなら、具体的な例を挙げたほうが想像しやすいよね。どういう子がいいかな?」
ジャン「そうだな……金髪で、小さくてかわいい子がいいんじゃねえか? 身長を使ったテクニックも使えるし」
ベルトルト「……」ピクッ
アルミン『よっし! ベルトルトが反応してるよ! ナイスだジャン!』
ジャン『はっはーあいつの好みは全て把握済みだぜ! ダテに妹同盟組んでねえよ!』
ライナー『お前ら二人のその情熱はどこから来るんだ?』
アルミン『下半身!!』
ライナー『いや間違っちゃいないだろうが』
ジャン「ーーで、まあその子がよ、ひょいとフォークを差し出して言うわけだ。ーー『はいベルトルト、これ食べる?(※裏声)』」スッ
ベルトルト(僕の名前はやめてよ……しかも裏声って……)モゾモゾ

33 : ◆H4iwFNXQsw:2013/09/26(木) 21:13:45 ID:oz0os7JY
ジャン「ただし、ここで『あれっ? こいつ俺のこと好きなんじゃね?』と思いこむのはNGだ。『嫌われてはないようだ』くらいの認識に留めておいたほうがいいな」
アルミン「女の子ってその辺の意識緩いもんね。……それで、君は間接キスだと気がつきながら、フォークごと受け取るわけだよ、ベルトルト」フフフ
ベルトルト「……」モソモソ
アルミン「もちろん、君はすぐには食べない。その間に小粋なトークを楽しんだり、ちょっとした雑談を挟んでもいい。ーーその子が間接キスだと気づいたら作戦開始だ」ニヤッ
ジャン「お前の強みである身長差を生かすのはこの時だぞ、ベルトルト」ユサユサ
ベルトルト(わっ! ……揺らさないでよ、聞かないようにしてるのに)カタツムリー
ジャン「間接キスだと気づいたその子は、お前から必死にフォークを取り返そうとする……顔を真っ赤にして『かっ、返してよぉっ!(※裏声)』とぴょんぴょんお前の周りを飛び跳ねるわけだ」
アルミン「そう、君はその子の恥じらいの表情と間接キスと食べ物、三つの味を堪能することができるんだよ、ベルトルト……!」ウフフ
ベルトルト(知らないよ)
アルミン「こればっかりは、僕には一生できないシチュエーションだからね。正直羨ましいよ……」
ジャン「そう言うなってアルミン。お前はまだまだ成長期だ、そのうち背だって伸びるさ」ポンポン
アルミン「ジャン……!」ジーン...

34 : ◆H4iwFNXQsw:2013/09/26(木) 21:14:45 ID:oz0os7JY
ジャン「まあ、間接キスで最も重要なのは恥じらいだよな。ーー恥じらいのねえ間接キスは断固として認めねえ」キリッ
ライナー「……ちょっと待て。そりゃ異議ありだ」
ジャン「おっと、落ち着けよライナー……勘違いするなよ? 俺が言いたいのは、『間接キスだとわかって仕掛けてくる奴』のことだ。そういう奴は目を見りゃわかる。下心で濁ってるからな」
ベルトルト(君の瞳も今は濁ってると思うよ、ジャン)モゾモゾ
ジャン「だからよ、間接キスだって自覚をしねえで仕掛けてくる行為も、それはそれでオイシイもんだと俺は思うぜ……?」グッ
ライナー「ジャン……流石だな!」グッ
ジャン「おうよ!」
アルミン「くれたほうが全然気にしてないってのはこっちに背徳感があっていいよねー」
ジャン「ははっ、上級者だなぁアルミンは」
ライナー「なあ、まだ続くならメモっていいか?」
ベルトルト(やめなさい)

35 : ◆H4iwFNXQsw:2013/09/26(木) 21:15:52 ID:oz0os7JY
ジャン「……まあ口でいくら語っても実戦には敵わないよな」
アルミン「そうだね。実際やったことないとわからないよね、この感覚は」
ベルトルト(全くもう……君たちが余計な心配しなくても、この前アニと出かけた時に僕はやったから、何も興奮なんかしないよ……)モソモソ
ジャン「というわけで、だ。ーーアルミンやれ」
アルミン「仕方ないなぁ。……ベルトルト、あーん♪(※裏声)」キャピッ
ベルトルト「~~~~っ! もう、人の記憶上書きしないでよ!!」バサッ
ライナー「おっ、出て来たな」
アルミン「……なるほど、上書きね」ニコッ
ジャン「へー……誰としたんだろうな、ベルトルト?」ニタァ
ベルトルト「……あっ」ピタッ

36 : ◆H4iwFNXQsw:2013/09/26(木) 21:16:43 ID:oz0os7JY
ベルトルト「……」バサッ
ジャン「おらおら引きこもってねえで吐け吐け、そっちのほうが楽になるぞ!」バシバシバシバシ
ベルトルト「嫌だ! 嫌だ!」ギューッ!!
アルミン「ライナー、ベルトルトを引き摺り出してよ! くすぐるから!」
ライナー「いや、それは流石に……」
アルミン「サシャのとっておき情報教えるよ!」
ライナー「悪いなベルトルト」バサッ ガシッ
ベルトルト「この裏切り者があああああああああああああっ!」ジタバタジタバタ
ジャン「よーし俺は足を押さえる! 頼むぞアルミン!」ガシッ
アルミン「ふっふっふ……観念するんだベルトルト!!」クワッ!!

37 : ◆H4iwFNXQsw:2013/09/26(木) 21:18:30 ID:oz0os7JY
                             \ヤメテエエエエエエエエエ!!/
エレン(うるせえな、そろそろ消灯時間だってのに……どこの部屋だ?)キョロキョロ
エレン(……おいおい、俺たちの部屋かよ)
エレン「おい、廊下まで音響いてんぞ! 静かにしねえと教官がーー」ガチャッ
ジャン「……」ピタッ (※ベルトルトの足を押さえつけています)
アルミン「……」ピタッ (※ベルトルトの脇をくすぐろうとしています)
ライナー「……」ピタッ (※ベルトルトの腕を押さえつけています)
エレン「」
ベルトルト「え、エレン、助けて……」グスッ
エレン「……お前ら、ベルトルトに何やってんだ?」

38 : ◆H4iwFNXQsw:2013/09/26(木) 21:19:31 ID:oz0os7JY
ーー 山岳訓練当日 出発時間
ライナー「よし、信煙弾があがった。……行くぞ三人とも」
ミカサ「エレン、さっきまで後ろにぴょこぴょこついてきていたベルトルトは何事」クイクイ
エレン「話せば長いからまた今度な。……あと近い」グイグイ
サシャ「うーさーぎーおーいしーまーるーやーきー♪」ゴソゴソ
ライナー「……」
ライナー(自由すぎるな……本当にこの面子で大丈夫なのか?)ウーン...
ライナー「……点呼! 1!」
エレン「2!」ハイッ
ミカサ「3」
サシャ「4!」バッ
ライナー「よし、全員いるな。……エレンは手を下げろ。サシャは敬礼しなくていい。出発するぞ」

39 : ◆H4iwFNXQsw:2013/09/26(木) 21:21:28 ID:oz0os7JY
サシャ(うーん、いい天気です! 晴れてよかったですね)ノビー
サシャ(それにしても、本格的な山歩きは久しぶりですね……背嚢と腰の立体機動装置がちょっと邪魔ですけど)
サシャ「……」ウズウズ
サシャ「うーさーぎーおーいしーまーるーやーきー♪」ザクザク
ライナー「……サシャ、さっきから気になってたんだが歌詞が違うぞ? 『丸焼き』じゃなくて『かのやま』だ」
サシャ「……? カノヤマってなんですか? 食べられますか?」
ライナー「いや、俺もどういう意味なのかは知らんが……少なくとも食いもんじゃないってことくらいわかるぞ」
サシャ「そうですか、食べものじゃないんですか……」ショボン...
サシャ(……そういえば、鹿の子どものことを『かのこ』って言いますよね)
サシャ(鹿の子の山……鹿の山……お肉の山!?)ピコーン!!
サシャ「……」ジトッ...
ライナー「なんだ?」
サシャ「……一人占めしないで私にも分けてくださいよ」ボソッ
ライナー「お前何か勘違いしてるだろ」

40 : ◆H4iwFNXQsw:2013/09/26(木) 21:22:26 ID:oz0os7JY
ーー 二時間後 チェックポイント・キキョウ
ミカサ「これで3つ目」スパッ
サシャ「花束を作ってると思うと楽しいですよね、これ」
ミカサ「うん。……これにしいたけを添えなければならないのが、残念」チッ
サシャ「……しいたけ」ギリッ...
ミカサ「削ぐ瞬間が、楽しみ……」ニタァッ...
ライナー(ここまで順調だな。全員、体力は問題ないか……いや、余裕がある時だからこそ、一旦休憩を入れるべきか?)ウーン...
エレン「なあライナー。ーーこの訓練ってさ、立体機動装置をつける意味があんのかな」
ライナー「……ん? 突然どうした?」
エレン「だってよ、この山の木の高さって全体的に低いだろ? これじゃ立体機動装置なんて使えないんだから、着けて歩く意味なんてねえじゃねえか」
ライナー「……ふむ」

42 : ◆H4iwFNXQsw:2013/09/26(木) 21:23:27 ID:oz0os7JY
ライナー「エレンの言い分も一理あるな。ーーということは、今回は“使えない立体機動装置を着けている”ってことが重要なんじゃないか?」
エレン「……そうなのか?」
ライナー「たぶんな。ーーそうだな、例えば……エレンは調査兵団志望だろ? 将来、装備を着けたまま壁外に放り出されることがあるかもしれない」
エレン「……嫌な例え話だな」
ライナー「まあ聞け。装置は使えるが、壁内に戻るためにはこういう山を越えなくちゃならない時もあるだろう。巨人にやられる前に、獣や飢えに殺されるのは嫌だよな?」
エレン「……確かに、そんなことで死んだら笑い話にもならねえな」
ライナー「ああ。……だからな、こういう機会に少しでも知識や技術を学んだり、装置を着けて山を歩く経験を積むことは損じゃないと思うぞ? ーーこの訓練を生かすも殺すも、全てお前次第だ」
エレン「そっか、なるほどな……俺次第、か」
ライナー「ああ。どんな訓練もしっかりやれば……いつか、この人類の役に立つさ」
エレン「……」
ライナー「あー……しまった、またやっちまったな……。ーー説教くさくなって悪い、エレン」
エレン「いや、すぐにそういう答えが出てくるんだからすげえよ。さすがライナーだよな!」ニッ
ライナー「……」

43 : ◆H4iwFNXQsw:2013/09/26(木) 21:24:16 ID:oz0os7JY
ライナー(人類の役に立つ、か。……どの口が言ってるんだろうな)
ライナー(この訓練が役に立つのかなんて……俺が言えた義理じゃーー)
サシャ「ライナー! ライナー!」ピョンピョン
ライナー「……」
サシャ「ライナーってば! 聞いてますー?」ピョンピョン
ライナー「……はいはいなんだなんだ」
サシャ「あの、ここまで順調ですし……山菜! 山菜取ってきていいですか!? ギンナンとかアケビとかサルナシとかヤマブドウとか! 夜ご飯がちょぴっとだけ豪華になりますよ? ね?」ソワソワソワソワ
ライナー「……十分だけな。延長はなしだ。それと、荷物になるから今採るのは今日食べる分だけにしろ。わかったか?」
サシャ「」コクコクコクコク
ライナー「よし、行ってこい」
サシャ「わーい! 行ってきまーす!」ガサガサ
エレン「犬っころみたいに走って行ったな、サシャ」
ミカサ「……ライナーが、まるで飼い主のよう」

44 : ◆H4iwFNXQsw:2013/09/26(木) 21:25:20 ID:oz0os7JY
ライナー「サシャを待ってる間にここで少し休憩するか。荷物下ろしていいぞ、二人とも」ドサッ
エレン「サシャが休みなしになるけどいいのか?」ドサッ
ライナー「まさか。……ちゃんと戻ってきてから休ませるさ」
ミカサ「ちゃんと戻ってくるだろうか。……私もついていけばよかったかもしれない」
エレン「やめとけやめとけ、あの勢いじゃ置いてかれるのがオチだって。……それにしても、サシャは体力だけは化け物だよなー」
ミカサ「エレンは体力がある割に少し身体が細い。もう少し鍛えるべき」サワサワ
エレン「……どこ触ってんだ」
ミカサ「ふくらはぎ」サワサワ ナデナデ
ライナー「お前らなぁ……見えないところでやれよな、そういうのは」プイッ
ミカサ「なるほど……見えないところなら何をやってもいいということ?」
ライナー「……サシャから聞いたな?」
ミカサ「何のことやら」ニヤニヤ

45 : ◆H4iwFNXQsw:2013/09/26(木) 21:26:28 ID:oz0os7JY
ーー 同刻 森の中
サシャ「♪~」ヒョイヒョイ
サシャ(ギンナン……は、見当たらないですね。アケビはありましたけど)モグモグ
サシャ(まあ、おいしいですけど匂いがキツイですからね、今回はギンナンは諦めますか……あ、ヤマブドウ)ブチブチッ
サシャ(さてと、あっちはどうでしょうかねー……)ガサガサ
サシャ(それにしても、結構歩きやすいですね。整備なんかされてないはずなのに、まるで何かが通った後のような……)
サシャ(…………獣道?)ピタッ
サシャ「……」キョロキョロ
サシャ「ーー!!」


46 : ◆H4iwFNXQsw:2013/09/26(木) 21:27:26 ID:oz0os7JY
ーー 数分後 チェックポイント・キキョウ付近
サシャ「あのっ、全員いますか!?」ガサガサ
エレン「おっ、サシャ早かったなー。おかえり」
ライナー「もういいのか? まだ時間はあるぞ?」
サシャ「はい。ーーそれよりも、今すぐ移動しましょう」
ライナー「……? お前も身体を休めたほうがーー」
ミカサ「何かあったの? サシャ」
サシャ「ありました。……でも、どちらかというと勘に近いものなので、確証はないんですけど」
ライナー「……なら、すぐここから離れるか。話は歩きながらでもできる」ゴソゴソ
サシャ「はい、そうしてください。できるだけ急いで」

47 : ◆H4iwFNXQsw:2013/09/26(木) 21:28:22 ID:oz0os7JY
ーー 三十分後
エレン「おい、ここまで歩いたらもういいんじゃないか?」
ライナー「そうだな。……そろそろ何があったか話してくれ、サシャ」
サシャ「……たぶん、クマが近くにいます」
エレン「は? クマだぁ!?」
ライナー「確かなのか?」
サシャ「はい。草が倒れて獣道ができてましたから。木の幹には爪痕が残ってましたし、草むらには動物の糞がありました。しかも結構新しいです。ーーライナー、地図を貸してくれますか?」
ライナー「ああ、いいぞ」スッ
サシャ「ありがとうございます。……えっと」バサッ
サシャ「今までのルートでは、そういう痕跡は見られませんでしたから……たぶん、だいたいこの辺りが縄張りだと思います」
ライナー「……かなり広いな」
サシャ「ここに立ち入り禁止区域があるでしょう? きっとこの辺りが本来の縄張りなんだと思います。もしかしたら、今年はクマの餌が少なくて移動範囲を広げているのかもしれませんね」
エレン「でもこれじゃあ、第一候補のルートが全然使えねえぞ? どうする?」
ミカサ「こうなったら、こっちの道を通って第二候補だったルートに切り替えよう。多少距離が伸びるけど、クマと戦うよりはマシ」
ライナー「ああ。そうしたほうがいいだろうな」

48 : ◆H4iwFNXQsw:2013/09/26(木) 21:29:35 ID:oz0os7JY
エレン「なあ、煙弾で教官か他の班に知らせたほうがいいんじゃねえか?」
サシャ「いえ、そこまでしなくても大丈夫だと思いますよ。合格ラインの5つを選んで通るなら、この辺りを敢えて通るよりももっと楽なルートがいくつもありますから」
ライナー「仮に知らせたとしても、『この程度で煙弾を撃つんじゃない』って一蹴されて終わりだろうな」
ミカサ「でも、もしかしたら誰かここを通るかもしれない。……ので、符牒を残しておこう」ニンニン
サシャ「フチョウ? 食べられますか?」
ライナー「無理だろ。……その葉っぱに枝を刺したのがそうなのか?」
ミカサ「そう。……本当は五色米が欲しかったんだけど調達できなかった」ショボーン...
エレン「がっかりの基準がわかんねえよ、ミカサ」
サシャ「ゴシキマイ? 食べられますか?」
ミカサ「本物の忍者は非常時にその五色米を食べる」キリッ
サシャ「な、なんと……! 私も食べたかったです……!」ジュルリ
ミカサ「ごめんなさい、私の財力が及ばなかったせいで……!」ガクッ

49 : ◆H4iwFNXQsw:2013/09/26(木) 21:30:37 ID:oz0os7JY
ライナー「そういう目印を残しておくのはいいが、お前以外誰もわからないんじゃないか?」
ミカサ「いいえ、アルミンなら……! アルミンならきっと気づいてくれる……!」グッ
サシャ「なんでそこでアルミンが出てくるんですか?」
エレン「あー……それな。この前芋食った帰り道に、アルミンが古本屋からニンジャ小説を探してきたんだよ。たぶんそれのせいだな。五式なんちゃらーもその小説の影響だろ?」
ミカサ「五式なんちゃらーではなく、五色米。……あの本のおかげで、私の忍術は更に磨きがかかった」ニンニン
サシャ「なんでいきなりニンジャ小説なんか探してきたんですかね、アルミンは」
エレン「さあなー。『火の中から栗を取り出す技術は本当にないの!?』ってブツブツ言いながら読んでたから、たぶんそれじゃねえの?」
ライナー「……まだ諦めてなかったのか、アルミン」

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