サシャ「……知りたくない味でしたね」
Part1
1 : ◆H4iwFNXQsw:2013/09/26(木) 20:43:55 ID:oz0os7JY
・サシャ「どうぞ、ご賞味ください」の続きです。変態注意
2 : ◆H4iwFNXQsw:2013/09/26(木) 20:44:37 ID:oz0os7JY
ーー 夜 調理場
ミーナ「ねえアニ、『滑らかになるまで』ってこれくらいでいいー?」マゼマゼ
アニ「……うん、大丈夫。あとはこっちの布で絞ればできあがり」
ミーナ「へー……あまり聞いたことないお菓子だよね、これ」
アニ「栗きんとんって言うんだよ。これならあんたでも作れると思ってさ」キュッ
ミーナ「ううっ……確かに私、料理は下手だし、これは簡単だったけど……」ムー...
アニ「はい、できた。……味見する?」
ミーナ「あっ、食べたい食べたい!」アーン
アニ「……そこまではしないよ」プイッ
ミーナ「くぅっ……! いきなり距離を詰めすぎたか……ん?」
サシャ「……」ジーッ...
3 : ◆H4iwFNXQsw:2013/09/26(木) 20:45:29 ID:oz0os7JY
アニ「……」
ミーナ「……アニさんや」
アニ「何?」
ミーナ「なんか、調理台から顔だけ出してこっちを見てる何者かがいるんだけど」
アニ「妖精か何かでしょ」
サシャ「……おかしください」
ミーナ「あれれー? おかしいなー妖精さんの声が聞こえるぞー?」
アニ「奇遇だね。私にも聞こえるよ」
サシャ「妖精じゃないですよ、サシャですよ。サシャ・ブラウスですよ」ヒョコヒョコ
ミーナ「だよねー」
アニ「知ってた」
サシャ「おかし! 私にもください!」キラキラキラキラ
アニ「……つまみ食いしようとしなかっただけ偉いよあんた。成長したね」
4 : ◆H4iwFNXQsw:2013/09/26(木) 20:46:16 ID:oz0os7JY
ミーナ「サシャ、こんなところで何してるの? お菓子の気配でも感じた?」
サシャ「いえいえ、違いますよ。あったかーいお茶でも入れようかと思って、お湯をもらいにきたんです」
ミーナ「お茶? 一人で飲むなら、私たちのと一緒に入れてあげようか?」
サシャ「いえ、二人……じゃなくて、四人分なので自分で入れますよ」
アニ「四人? ……誰の分?」
サシャ「ライナーとミカサとエレンと私の分です。これから山岳訓練の打ち合わせなんですよ」
ミーナ「そっか、今回は自分たちでルート作らなきゃならないんだもんね。私の班は明日だけど……アニは終わった?」
アニ「私のところは昨日終わったよ。……ねえサシャ、あんたの班にはミカサがいるでしょ? 一緒に来なかったの?」
ミーナ「うん、四人分は流石に一人で運ぶんじゃきついんじゃない?」
サシャ「あー……えーっとですね……」モジモジ
5 : ◆H4iwFNXQsw:2013/09/26(木) 20:47:01 ID:oz0os7JY
サシャ「実は……ミカサたちが来るまで、ライナーに勉強教えてもらってるんです。なので、ミカサは今いなくて……」モジモジ
ミーナ「へー……二人で、ねえ」ニヤニヤ
アニ「よかったね。……あいつ、アルミンほどじゃないけど教えるの上手いし」
サシャ「? なんでそこでアルミンが出てくるんですか?」キョトン
アニ「……なんでもない。それより、これ持って行きなよ。栗きんとん」スッ
サシャ「えっ、いいんですかっ!?」パァッ!
アニ「この前約束したからね、あげるよ。……ちなみにあんたのツレの分はないから、一人でこっそり食べな」
サシャ「うわーい! おかしー! おかしー!」ヒャッホウ
ミーナ「……聞いてないね、サシャ」
アニ「……お湯沸かすから、ミーナはお盆とカップの準備して」スタスタ...
ミーナ「はーい」スタスタ...
6 : ◆H4iwFNXQsw:2013/09/26(木) 20:47:54 ID:oz0os7JY
ミーナ「はいサシャ、お盆はこれでいいよね。……でも四人分ってやっぱり重くない?」
サシャ「大丈夫ですよ、これでも鍛えてますからね!」グッ
ミーナ「むぅ……っ! 私だって負けないよ! 最近ミカサに倣って毎日筋トレしてるんだから!」グッ
アニ「ごめん、待たせーー何やってるの二人とも」
ミーナ「筋肉比べ……!」プルプルプルプル
サシャ「くぅっ……! ミーナも二の腕固いですね……!!」プルプルプルプル
アニ「……もうできたから早く持って行きなよ。冷めるから」スッ
サシャ「えっ、入れてくれたんですか? ありがとうございます! ……ちなみにこれ、なんて飲み物ですか? お茶じゃないですよね?」
アニ「お湯にはちみつとレモン溶かしただけだよ。頭使ってんだから糖分いるでしょ」
サシャ「……はちみつレモン」ジーッ...
アニ「気になるなら少し飲んでいけば?」
サシャ「じゃあ、一口だけ……」ゴクゴク
サシャ「おおー……おいしいですねこれ」ホンワカ
7 : ◆H4iwFNXQsw:2013/09/26(木) 20:48:38 ID:oz0os7JY
サシャ「二人とも、何から何までありがとうございました! それじゃ、私はこれで!」ニンマリ
アニ「待って。……あんたさ、その顔でライナーに勉強教えてもらってるの?」
サシャ「おっと、いけないいけない」キリッ
ミーナ「勉強頑張ってね。……二人で」ニヤニヤ
サシャ「はい、頑張ります!」ニヘラ
アニ「……戻ってる」
サシャ「おっと、いけないいけない……では、失礼しますねー」スタスタ...
\ガチャッ バタンッ/
ミーナ「……サシャってさ、ライナーに告白しないのかな?」
アニ「まだしないって言ってたよ」
ミーナ「じゃあ、ライナーからサシャには?」
アニ「さあね。……どうでもいいよ」
8 : ◆H4iwFNXQsw:2013/09/26(木) 20:49:26 ID:oz0os7JY
ーー とある空き教室
サシャ「すみません、お待たせしました!」タタタッ
ライナー「おう。遅かったな」
サシャ「調理場にアニとミーナがいたんですよ。ほら、飲み物も入れてもらっちゃいました」ジャーン!!
ライナー「……ん? さっき二人分入れてくるって言ってなかったか?」
サシャ「そうしようと思ってたんですけど……面倒なのでついでに入れてもらっちゃいました」
ライナー「四人分じゃ重かっただろ? ……言えばついていったのに」
サシャ「いえいえ、鍛えたかったのでいいんですよ! ほら見てくださいよ、最近力こぶできたんですよー力こぶ!」グッ
ライナー「……」ジッ...
サシャ「? どうしました?」
ライナー「……」グッ ムキッ
サシャ「……調子に乗ってすみませんでした」
ライナー「いや、俺も大人げなかったな……一息入れるか。もらうぞ」スッ
サシャ「どうぞどうぞ! まだかなり熱いので気をつけてくださいね」
9 : ◆H4iwFNXQsw:2013/09/26(木) 20:50:14 ID:oz0os7JY
ライナー「甘いのにさっぱりするな、これ」ズズッ
サシャ「はい、私も味見してきたんですけど、口当たりがいいですよねーーあれっ?」
ライナー「……? どうした?」
サシャ「ちょっ、ちょっと待っててくださいね……」
サシャ(えーっと、左手で受け取って、一口もらって……そのままお盆の上に、取っ手を外向きに置いて……あれ? でもその後、扉の開け閉めする時にお盆を持ち直したから……?)グルグルグルグル
サシャ「……」ダラダラダラダラ
ライナー「おい、何かあったのか?」
サシャ「……あの、怒りません?」
ライナー「どこで零してきた」ガタッ
サシャ「ちっ、違いますよ! ーーあのですね、さっき私、調理場で味見してきたって言いましたよね?」モジモジ
ライナー「それがどうした? ……はっきり言え、はっきり」
サシャ「じゃあ言いますけど……それ、たぶん私が口をつけたカップです」
ライナー「」ピタッ
10 : ◆H4iwFNXQsw:2013/09/26(木) 20:51:27 ID:oz0os7JY
サシャ「……他のと交換します?」
ライナー「味は変わらないだろ。……このまま使う」
サシャ「そ、そうですか……///」カァッ...
サシャ(うう……ライナーったら、そういうのあまり気にしないんですかねー……)ジーッ...
サシャ(この前、私のことかわいいって言ってくれたのに……なんだか私ばっかり意識して、不公平ですよ……)ムー...
サシャ「……あ、そうだ! アニからお菓子もらったんです、半分こしましょう」ゴソゴソ
ライナー「お菓子? 今の時間に作ってたのか?」
サシャ「しばらくお休みの日ないですしね。数日くらいなら保ちそうでしたし、今日作って明日以降食べるんじゃないですかね……っと、はいどうぞ!」パカッ スッ
11 : ◆H4iwFNXQsw:2013/09/26(木) 20:52:07 ID:oz0os7JY
ライナー「……くれるのか? 俺に?」
サシャ「え? 甘いの嫌いでしたっけ?」キョトン
ライナー「いや、好きだぞ……大好きだ!!」
サシャ「は、はぁ……そんな力説しなくてもわかりましたけど……?」
ライナー「……ありがとな、サシャ」
サシャ「いえいえ、どういたしまして」
ライナー「……甘いな」モグモグ
サシャ「そうですね、おいしいですよねー」モグモグ
ライナー「食ったら続きやるからな」
サシャ「了解です!」バッ
ライナー「敬礼はしなくていい」
サシャ「……すみません」エヘヘ
12 : ◆H4iwFNXQsw:2013/09/26(木) 20:53:19 ID:oz0os7JY
ーー 五分後
ライナー「ーーに代入すれば、到達するまでの距離が割り出せるわけだから……ここの数値が出るよな」カキカキ...
サシャ「おお……出ましたね!」
ライナー「というわけで値は253だ。……ここまではいいか?」カキカキ...
サシャ「……」ジーッ...
ライナー「サシャ?」
サシャ「よく逆さまで文字が書けますね」
ライナー「そうか? 数字なら簡単だろ?」
サシャ「そうですか? ーーえーっと、253っと……」カキカキ
zSε
サシャ「……あれ?」
ライナー「下手くそ」
13 : ◆H4iwFNXQsw:2013/09/26(木) 20:54:05 ID:oz0os7JY
サシャ「でもでも、2は数字になってますし、5だって頑張って見ればそれっぽいですよ!」
ライナー「いや、どう控えめに見ても記号だろ?」ニヤニヤ
サシャ「……練習します」ショボン...
ライナー「しなくていい」
サシャ「もうっ、いいですよ消しますから!」プンスカ
サシャ(ふんだ、どうせ私はこういうことに向いてませんよーだ……)ケシケシ
ライナー(くっそかわいいなーこいつ)ニヤニヤ
サシャ(うー……そんなに笑わなくたってもいいのに……! ライナーのいじわる……!)ケシケシ
サシャ「そもそもですね、ライナーが正面にいるから悪いんですよ!」ガタッ
ライナー「は? 教えてるんだからこうなるだろ?」
14 : ◆H4iwFNXQsw:2013/09/26(木) 20:55:23 ID:oz0os7JY
サシャ「いいえ、対面じゃなくたって教えられるはずですよ! ーーというわけで、隣座ります!」ギュムッ!
ライナー「おい、隣に座ったら狭くないか?」
サシャ「そんなの知りませんよーだ。せいぜい窮屈な気持ち味わってくださいっ」プイッ
ライナー(……窮屈なのはお前のほうだと思うんだがな)
サシャ「さあ、続きお願いします」クイクイ
ライナー「わかった、じゃあ続きからーー」
サシャ「ふむふむ……」ピトッ ムニュッ
ライナー「」
ライナー(あーそっかー離れてたらノートの字が見えないもんなー、仕方ないよなー)
ライナー(左腕に胸が当たってるのも気のせいだよなー……不可抗力だよなー)
サシャ「……? ライナー? 続きはどうしました?」ヒョコヒョコ
ライナー(…………髪の毛、動物の尻尾みたいだな)ウズウズ
サシャ「ライナーってばー、どうしたんですー?」クイクイ
ライナー(……ダメだ、これじゃ集中できん。教えるどころじゃない)
15 : ◆H4iwFNXQsw:2013/09/26(木) 20:56:15 ID:oz0os7JY
ライナー「……やっぱり正面に戻れ。サシャ」
サシャ「えっ、どうしてですか? ーーもしかして私変な匂いしてます!?」クンクン
ライナー「こら、嗅ぐんじゃない! ……髪の毛が隣で動いてると気になるんだよ」
サシャ「これですか? んー、やっぱり邪魔ですかねー……切るべきなんでしょうか」チョイチョイ
ライナー「……髪切るのか?」
サシャ「正直、悩んでるんですよね……ライナーはどう思います?」
ライナー「切るな」
サシャ「……即答ですね」
ライナー「切るなよ?」
サシャ「理由を聞いてもいいですか?」
ライナー「……もったいないだろ」
サシャ「髪はまた生えてきますけど」
ライナー「いいから伸ばしてろ」ワシャワシャ
サシャ「ちょっ!? もう何するんですかぁっ!」ジタバタジタバタ
16 : ◆H4iwFNXQsw:2013/09/26(木) 20:57:28 ID:oz0os7JY
ミカサ「失礼します。ーーこんばんは、二人とも」ヒョコッ
ライナー「」ピタッ
サシャ「」ピクッ
エレン「おーっす。……あれ? 時間間違ったか?」スタスタ...
ライナー「いっ、いや、合ってるぞ?」アセアセ
ミカサ「……何をしていたの? 二人きりで」
サシャ「勉強! 勉強教えてもらってたんですよ! ご飯食べた後暇でしたし!」アタフタ
ミカサ「なるほど……熱心なのはいいこと。エレンも見習って」
エレン「あーあー聞こえなーい」
ライナー「全員揃ったから打ち合わせするか。ちょっと待ってろ、今片付ける」ガサゴソ
サシャ「そ、そうですね片付けましょう! 飲み物はそっちのお盆に並んでますからどうぞ! 少し冷めてちょうどよくなってると思いますから!」ユビサシ
エレン「おっ、ありがとよ。ちょうどあったかいもん欲しかったんだ」
17 : ◆H4iwFNXQsw:2013/09/26(木) 20:58:24 ID:oz0os7JY
ライナー「よし、片付けたからもういいぞ」
エレン「じゃあ俺、ライナーの正面もーらいっ」ドサッ
ミカサ「なら、私はサシャの前に」ギュムッ
エレン「……ミカサ」
ミカサ「何?」
エレン「隣に座るのはいいけどよ……近くね?」
ミカサ「何を言ってるの? これでもまだ遠いくらい」ギュウギュウ
エレン「……ちょっとでいいから離れろ。な?」
ミカサ「これ以上離れたらお互いの声を聞き逃してしまう。ので、不可能」ギュウギュウギュウギュウ
サシャ「……」ジーッ
18 : ◆H4iwFNXQsw:2013/09/26(木) 20:59:18 ID:oz0os7JY
サシャ「……///」カァッ...
サシャ(今、私とライナーの距離って……拳一個分もないですよね……?)
サシャ(もしかして私、かなり大胆なことしてたんじゃ……)
サシャ「あ、あのっ、ライナー……私、やっぱり少し離れたほうが……」ヒソヒソ
ライナー「……」ギュッ
サシャ「っ!?」ピクッ
サシャ(手、掴まれちゃいました……これは、行くなって解釈でいいんでしょうか……)ドキドキドキドキ
ライナー「何か言ったか?」ボソッ
サシャ「な、なんでもないです……///」モジモジ
ミカサ「……サシャ、顔が真っ赤」
サシャ「ふぁっ!? ……え、えっと、暑いですからね! あはは!」パタパタ
エレン「そうかー? 俺は寒いけどな。そろそろ冬物出すかなぁ」サスサス
ミカサ「寒いなら私が温めてあげるエレン」ギュウッ
エレン「だからお前はもう少し離れろっての」グイグイ
19 : ◆H4iwFNXQsw:2013/09/26(木) 21:00:08 ID:oz0os7JY
ライナー「二人とも、その辺にしとけ。ーーミカサ、地図は持ってきたか?」
ミカサ「抜かりない。チェックポイントに印もつけておいた」バサッ
エレン「今回はいつもの山岳訓練とは違って特別ルールがあるんだったよな? チェックポイントまでのルートを自分たちの班で作るってのはわかったけど、後はよくわかんなかったんだよなー」
サシャ「私も途中までしかわからなかったんですけど……8つあるチェックポイントの中から、自分たちで5つを選んで回るんですよね?」
ミカサ「基本はそう。2日間で5つのチェックポイントを回ることが合格の最低ライン。ーーそして、6つめ以降は別に得点が加算される」
エレン「えーっと……つまり、最高成績狙うには8つ全て回る必要があるってことか?」
ライナー「そういうことだな。ーー当然、俺たちの班は8つ全てを狙うぞ。山歩きに慣れてる面子が揃ってるからな」
エレン「異議なし!」
ミカサ「右に同じく」
サシャ「問題ありません!」
20 : ◆H4iwFNXQsw:2013/09/26(木) 21:01:04 ID:oz0os7JY
サシャ「でも私たちの班だけなんだか偏ってません? ……てっきり、ミカサとライナーは別の班だと思ってたんですが」
ミカサ「私もそれは疑問に思っていた。……何故?」
ライナー「俺に聞くなよ」
エレン「それ、俺もアルミンと話してたんだけどよ。どうやら教官側がわざと体力馬鹿同士を組ませたんじゃないか、って言ってたぜ」
ミカサ「……」
サシャ「……」
ライナー「……どういう意味だ? エレン」
エレン「断っとくけど、俺もアルミンから聞いただけだからな? ーー今回の訓練は、敢えて山歩きが得意な奴と不得意な奴とを組ませて、それぞれの対応力を見ることが目的らしいんだ」
エレン「でも、俺たちの班はみんな体力があって山歩きに慣れてるだろ? 8つ全部回ってもたぶん余裕があるだろうしな」
エレン「それで、ここからはアルミンの推測なんだが……実は、毎年こういう俺たちみたいな奴らを集めた班が、最低一つは作られているんじゃないかって話だ」
エレン「その班がどういうルートを辿って、どれくらいの時間がかかったか毎年記録することで、前の年の訓練兵と実力を比べてるんじゃないか、……だとよ」
エレン「へへっ、俺たちが104期の代表って考えたら悪い気しないよなー! ……あれ? どうしたんだ三人とも」
21 : ◆H4iwFNXQsw:2013/09/26(木) 21:02:01 ID:oz0os7JY
ミカサ「エレンは馬鹿じゃない!!」クワッ!!
ライナー「サシャは馬鹿じゃないぞ!!」ダンッ!!
サシャ「ライナーとミカサは馬鹿じゃないですよ!!」バンッ!!
エレン「は? なんで俺に怒ってんだよ?」ビクッ
ミカサ「エレン、訂正して……」ゴゴゴゴゴ...
ライナー「そうだ、失礼だぞエレン」ゴゴゴゴゴ...
サシャ「謝るなら今のうちですよエレン」ゴゴゴゴゴ...
エレン「へっ? ……え、えーっと、体力自慢がどんなルートを選ぶか、記録してるんだとよ……?」ビクビク
ミカサ「私は知っていた。エレンはやればできる子」ニコッ
ライナー「エレン、偉いぞ」ニッ
サシャ「見直しましたよ、エレン」ニコニコ
エレン「ええー……?」
エレン(おいおい、大丈夫かよこいつら……? ーーいや待てよ、みんながダメなら俺がしっかりしないと……!)
22 : ◆H4iwFNXQsw:2013/09/26(木) 21:03:48 ID:oz0os7JY
エレン「な、なあ、それよりルート決めようぜ!」アセアセ
ライナー「おっと、そうだったな。雑談で時間が潰れちまう」
サシャ「ルートを作るのはいいんですけど、今回は番号が振ってないから厄介ですよね」
ミカサ「数字だとみんな順番通りに回ろうとするから、敢えてやめたのだと思う。ーーそれと、アルミンが言っていた。このチェックポイントの名前は、秋の七草の名前らしい」
サシャ「ナナクサ……ですか?」キョトン
ミカサ「秋の七草は、純粋に見るのを楽しむもの。他にも春の七草というものがあって、そちらは七草粥という料理にしてーー」
サシャ「食べ物ですか!?」キラキラキラキラ
ミカサ「今は秋」
サシャ「……そうでしたね」ショボーン...
23 : ◆H4iwFNXQsw:2013/09/26(木) 21:04:38 ID:oz0os7JY
エレン「チェックポイントと同じ名前の植物を採ってくれば合格なんだよな? でもそう都合よく生えてるもんか?」
ライナー「まあ……生えてるんだろうな。きっとこのチェックポイントの位置に群生してるんだろう」
ミカサ「七草の花束を作らせるなんて……、もしかしたら教官は意外とメルヘンチックなのかもしれない」
エレン「まあ、それはともかく……」
ライナー「そうだな。……この“しいたけ”ってなんだ?」ユビサシ
サシャ「しいたけは……しいたけでしょう?」
エレン「そうじゃなくてさ、なんでチェックポイントの中にしいたけが入ってるんだ? この場所に都合よく生えてるのか?」
サシャ「私が知るわけないでしょう」
ミカサ「行けばわかる。気にしてはダメ」
エレン「気になる……」ウーン...
24 : ◆H4iwFNXQsw:2013/09/26(木) 21:05:24 ID:oz0os7JY
ライナー「話を進めるぞ。ーー取り敢えず、各自で考えたルートを出していってくれ。ある程度意見が出たらまとめよう」
エレン「そうだな……まず最初に思いつくのはこのルートだよな。ナデシコから出発して、西側に回りこみながら山頂近くのオミナエシを目指して……、最後にフジバカマを採って終わり」
ミカサ「待って。その経路だと途中に立ち入り禁止区域があるから、しいたけを通過するのに余計に回り道しなければならない。……ので、ススキからはじめるのはどうだろう。このルートだとエレンが提案した経路より距離は長いけれど、傾斜は緩いから比較的楽に回れる」
サシャ「んん……? でも、これだと帰りにしいたけを採らなくちゃいけないですよね? 地図だとそうでもないですけど、たぶんこっち側の道は下りの傾斜がキツイですよ。だったら帰りはこっちのキキョウを通ったほうが」
ライナー「いや、それだとしいたけはいいが、フジバカマまでの距離が遠くなるぞ。……ハギから始めるこのルートはどうだ?」
エレン「それだとオミナエシを回収できないだろ。やっぱりナデシコからはじめて、しいたけはーー」
ミカサ「だから、その経路はダメだと言った。やはりこちらのススキから、最後にしいたけへとーー」
サシャ「ですからね、ミカサのルートだとしいたけがーー」
ライナー「一旦山頂に登ってから……うーん、ダメか……」ブツブツ
・サシャ「どうぞ、ご賞味ください」の続きです。変態注意
2 : ◆H4iwFNXQsw:2013/09/26(木) 20:44:37 ID:oz0os7JY
ーー 夜 調理場
ミーナ「ねえアニ、『滑らかになるまで』ってこれくらいでいいー?」マゼマゼ
アニ「……うん、大丈夫。あとはこっちの布で絞ればできあがり」
ミーナ「へー……あまり聞いたことないお菓子だよね、これ」
アニ「栗きんとんって言うんだよ。これならあんたでも作れると思ってさ」キュッ
ミーナ「ううっ……確かに私、料理は下手だし、これは簡単だったけど……」ムー...
アニ「はい、できた。……味見する?」
ミーナ「あっ、食べたい食べたい!」アーン
アニ「……そこまではしないよ」プイッ
ミーナ「くぅっ……! いきなり距離を詰めすぎたか……ん?」
サシャ「……」ジーッ...
3 : ◆H4iwFNXQsw:2013/09/26(木) 20:45:29 ID:oz0os7JY
アニ「……」
ミーナ「……アニさんや」
アニ「何?」
ミーナ「なんか、調理台から顔だけ出してこっちを見てる何者かがいるんだけど」
アニ「妖精か何かでしょ」
サシャ「……おかしください」
ミーナ「あれれー? おかしいなー妖精さんの声が聞こえるぞー?」
アニ「奇遇だね。私にも聞こえるよ」
サシャ「妖精じゃないですよ、サシャですよ。サシャ・ブラウスですよ」ヒョコヒョコ
ミーナ「だよねー」
アニ「知ってた」
サシャ「おかし! 私にもください!」キラキラキラキラ
アニ「……つまみ食いしようとしなかっただけ偉いよあんた。成長したね」
4 : ◆H4iwFNXQsw:2013/09/26(木) 20:46:16 ID:oz0os7JY
ミーナ「サシャ、こんなところで何してるの? お菓子の気配でも感じた?」
サシャ「いえいえ、違いますよ。あったかーいお茶でも入れようかと思って、お湯をもらいにきたんです」
ミーナ「お茶? 一人で飲むなら、私たちのと一緒に入れてあげようか?」
サシャ「いえ、二人……じゃなくて、四人分なので自分で入れますよ」
アニ「四人? ……誰の分?」
サシャ「ライナーとミカサとエレンと私の分です。これから山岳訓練の打ち合わせなんですよ」
ミーナ「そっか、今回は自分たちでルート作らなきゃならないんだもんね。私の班は明日だけど……アニは終わった?」
アニ「私のところは昨日終わったよ。……ねえサシャ、あんたの班にはミカサがいるでしょ? 一緒に来なかったの?」
ミーナ「うん、四人分は流石に一人で運ぶんじゃきついんじゃない?」
サシャ「あー……えーっとですね……」モジモジ
5 : ◆H4iwFNXQsw:2013/09/26(木) 20:47:01 ID:oz0os7JY
サシャ「実は……ミカサたちが来るまで、ライナーに勉強教えてもらってるんです。なので、ミカサは今いなくて……」モジモジ
ミーナ「へー……二人で、ねえ」ニヤニヤ
アニ「よかったね。……あいつ、アルミンほどじゃないけど教えるの上手いし」
サシャ「? なんでそこでアルミンが出てくるんですか?」キョトン
アニ「……なんでもない。それより、これ持って行きなよ。栗きんとん」スッ
サシャ「えっ、いいんですかっ!?」パァッ!
アニ「この前約束したからね、あげるよ。……ちなみにあんたのツレの分はないから、一人でこっそり食べな」
サシャ「うわーい! おかしー! おかしー!」ヒャッホウ
ミーナ「……聞いてないね、サシャ」
アニ「……お湯沸かすから、ミーナはお盆とカップの準備して」スタスタ...
ミーナ「はーい」スタスタ...
ミーナ「はいサシャ、お盆はこれでいいよね。……でも四人分ってやっぱり重くない?」
サシャ「大丈夫ですよ、これでも鍛えてますからね!」グッ
ミーナ「むぅ……っ! 私だって負けないよ! 最近ミカサに倣って毎日筋トレしてるんだから!」グッ
アニ「ごめん、待たせーー何やってるの二人とも」
ミーナ「筋肉比べ……!」プルプルプルプル
サシャ「くぅっ……! ミーナも二の腕固いですね……!!」プルプルプルプル
アニ「……もうできたから早く持って行きなよ。冷めるから」スッ
サシャ「えっ、入れてくれたんですか? ありがとうございます! ……ちなみにこれ、なんて飲み物ですか? お茶じゃないですよね?」
アニ「お湯にはちみつとレモン溶かしただけだよ。頭使ってんだから糖分いるでしょ」
サシャ「……はちみつレモン」ジーッ...
アニ「気になるなら少し飲んでいけば?」
サシャ「じゃあ、一口だけ……」ゴクゴク
サシャ「おおー……おいしいですねこれ」ホンワカ
7 : ◆H4iwFNXQsw:2013/09/26(木) 20:48:38 ID:oz0os7JY
サシャ「二人とも、何から何までありがとうございました! それじゃ、私はこれで!」ニンマリ
アニ「待って。……あんたさ、その顔でライナーに勉強教えてもらってるの?」
サシャ「おっと、いけないいけない」キリッ
ミーナ「勉強頑張ってね。……二人で」ニヤニヤ
サシャ「はい、頑張ります!」ニヘラ
アニ「……戻ってる」
サシャ「おっと、いけないいけない……では、失礼しますねー」スタスタ...
\ガチャッ バタンッ/
ミーナ「……サシャってさ、ライナーに告白しないのかな?」
アニ「まだしないって言ってたよ」
ミーナ「じゃあ、ライナーからサシャには?」
アニ「さあね。……どうでもいいよ」
8 : ◆H4iwFNXQsw:2013/09/26(木) 20:49:26 ID:oz0os7JY
ーー とある空き教室
サシャ「すみません、お待たせしました!」タタタッ
ライナー「おう。遅かったな」
サシャ「調理場にアニとミーナがいたんですよ。ほら、飲み物も入れてもらっちゃいました」ジャーン!!
ライナー「……ん? さっき二人分入れてくるって言ってなかったか?」
サシャ「そうしようと思ってたんですけど……面倒なのでついでに入れてもらっちゃいました」
ライナー「四人分じゃ重かっただろ? ……言えばついていったのに」
サシャ「いえいえ、鍛えたかったのでいいんですよ! ほら見てくださいよ、最近力こぶできたんですよー力こぶ!」グッ
ライナー「……」ジッ...
サシャ「? どうしました?」
ライナー「……」グッ ムキッ
サシャ「……調子に乗ってすみませんでした」
ライナー「いや、俺も大人げなかったな……一息入れるか。もらうぞ」スッ
サシャ「どうぞどうぞ! まだかなり熱いので気をつけてくださいね」
9 : ◆H4iwFNXQsw:2013/09/26(木) 20:50:14 ID:oz0os7JY
ライナー「甘いのにさっぱりするな、これ」ズズッ
サシャ「はい、私も味見してきたんですけど、口当たりがいいですよねーーあれっ?」
ライナー「……? どうした?」
サシャ「ちょっ、ちょっと待っててくださいね……」
サシャ(えーっと、左手で受け取って、一口もらって……そのままお盆の上に、取っ手を外向きに置いて……あれ? でもその後、扉の開け閉めする時にお盆を持ち直したから……?)グルグルグルグル
サシャ「……」ダラダラダラダラ
ライナー「おい、何かあったのか?」
サシャ「……あの、怒りません?」
ライナー「どこで零してきた」ガタッ
サシャ「ちっ、違いますよ! ーーあのですね、さっき私、調理場で味見してきたって言いましたよね?」モジモジ
ライナー「それがどうした? ……はっきり言え、はっきり」
サシャ「じゃあ言いますけど……それ、たぶん私が口をつけたカップです」
ライナー「」ピタッ
10 : ◆H4iwFNXQsw:2013/09/26(木) 20:51:27 ID:oz0os7JY
サシャ「……他のと交換します?」
ライナー「味は変わらないだろ。……このまま使う」
サシャ「そ、そうですか……///」カァッ...
サシャ(うう……ライナーったら、そういうのあまり気にしないんですかねー……)ジーッ...
サシャ(この前、私のことかわいいって言ってくれたのに……なんだか私ばっかり意識して、不公平ですよ……)ムー...
サシャ「……あ、そうだ! アニからお菓子もらったんです、半分こしましょう」ゴソゴソ
ライナー「お菓子? 今の時間に作ってたのか?」
サシャ「しばらくお休みの日ないですしね。数日くらいなら保ちそうでしたし、今日作って明日以降食べるんじゃないですかね……っと、はいどうぞ!」パカッ スッ
11 : ◆H4iwFNXQsw:2013/09/26(木) 20:52:07 ID:oz0os7JY
ライナー「……くれるのか? 俺に?」
サシャ「え? 甘いの嫌いでしたっけ?」キョトン
ライナー「いや、好きだぞ……大好きだ!!」
サシャ「は、はぁ……そんな力説しなくてもわかりましたけど……?」
ライナー「……ありがとな、サシャ」
サシャ「いえいえ、どういたしまして」
ライナー「……甘いな」モグモグ
サシャ「そうですね、おいしいですよねー」モグモグ
ライナー「食ったら続きやるからな」
サシャ「了解です!」バッ
ライナー「敬礼はしなくていい」
サシャ「……すみません」エヘヘ
12 : ◆H4iwFNXQsw:2013/09/26(木) 20:53:19 ID:oz0os7JY
ーー 五分後
ライナー「ーーに代入すれば、到達するまでの距離が割り出せるわけだから……ここの数値が出るよな」カキカキ...
サシャ「おお……出ましたね!」
ライナー「というわけで値は253だ。……ここまではいいか?」カキカキ...
サシャ「……」ジーッ...
ライナー「サシャ?」
サシャ「よく逆さまで文字が書けますね」
ライナー「そうか? 数字なら簡単だろ?」
サシャ「そうですか? ーーえーっと、253っと……」カキカキ
zSε
サシャ「……あれ?」
ライナー「下手くそ」
13 : ◆H4iwFNXQsw:2013/09/26(木) 20:54:05 ID:oz0os7JY
サシャ「でもでも、2は数字になってますし、5だって頑張って見ればそれっぽいですよ!」
ライナー「いや、どう控えめに見ても記号だろ?」ニヤニヤ
サシャ「……練習します」ショボン...
ライナー「しなくていい」
サシャ「もうっ、いいですよ消しますから!」プンスカ
サシャ(ふんだ、どうせ私はこういうことに向いてませんよーだ……)ケシケシ
ライナー(くっそかわいいなーこいつ)ニヤニヤ
サシャ(うー……そんなに笑わなくたってもいいのに……! ライナーのいじわる……!)ケシケシ
サシャ「そもそもですね、ライナーが正面にいるから悪いんですよ!」ガタッ
ライナー「は? 教えてるんだからこうなるだろ?」
14 : ◆H4iwFNXQsw:2013/09/26(木) 20:55:23 ID:oz0os7JY
サシャ「いいえ、対面じゃなくたって教えられるはずですよ! ーーというわけで、隣座ります!」ギュムッ!
ライナー「おい、隣に座ったら狭くないか?」
サシャ「そんなの知りませんよーだ。せいぜい窮屈な気持ち味わってくださいっ」プイッ
ライナー(……窮屈なのはお前のほうだと思うんだがな)
サシャ「さあ、続きお願いします」クイクイ
ライナー「わかった、じゃあ続きからーー」
サシャ「ふむふむ……」ピトッ ムニュッ
ライナー「」
ライナー(あーそっかー離れてたらノートの字が見えないもんなー、仕方ないよなー)
ライナー(左腕に胸が当たってるのも気のせいだよなー……不可抗力だよなー)
サシャ「……? ライナー? 続きはどうしました?」ヒョコヒョコ
ライナー(…………髪の毛、動物の尻尾みたいだな)ウズウズ
サシャ「ライナーってばー、どうしたんですー?」クイクイ
ライナー(……ダメだ、これじゃ集中できん。教えるどころじゃない)
15 : ◆H4iwFNXQsw:2013/09/26(木) 20:56:15 ID:oz0os7JY
ライナー「……やっぱり正面に戻れ。サシャ」
サシャ「えっ、どうしてですか? ーーもしかして私変な匂いしてます!?」クンクン
ライナー「こら、嗅ぐんじゃない! ……髪の毛が隣で動いてると気になるんだよ」
サシャ「これですか? んー、やっぱり邪魔ですかねー……切るべきなんでしょうか」チョイチョイ
ライナー「……髪切るのか?」
サシャ「正直、悩んでるんですよね……ライナーはどう思います?」
ライナー「切るな」
サシャ「……即答ですね」
ライナー「切るなよ?」
サシャ「理由を聞いてもいいですか?」
ライナー「……もったいないだろ」
サシャ「髪はまた生えてきますけど」
ライナー「いいから伸ばしてろ」ワシャワシャ
サシャ「ちょっ!? もう何するんですかぁっ!」ジタバタジタバタ
16 : ◆H4iwFNXQsw:2013/09/26(木) 20:57:28 ID:oz0os7JY
ミカサ「失礼します。ーーこんばんは、二人とも」ヒョコッ
ライナー「」ピタッ
サシャ「」ピクッ
エレン「おーっす。……あれ? 時間間違ったか?」スタスタ...
ライナー「いっ、いや、合ってるぞ?」アセアセ
ミカサ「……何をしていたの? 二人きりで」
サシャ「勉強! 勉強教えてもらってたんですよ! ご飯食べた後暇でしたし!」アタフタ
ミカサ「なるほど……熱心なのはいいこと。エレンも見習って」
エレン「あーあー聞こえなーい」
ライナー「全員揃ったから打ち合わせするか。ちょっと待ってろ、今片付ける」ガサゴソ
サシャ「そ、そうですね片付けましょう! 飲み物はそっちのお盆に並んでますからどうぞ! 少し冷めてちょうどよくなってると思いますから!」ユビサシ
エレン「おっ、ありがとよ。ちょうどあったかいもん欲しかったんだ」
17 : ◆H4iwFNXQsw:2013/09/26(木) 20:58:24 ID:oz0os7JY
ライナー「よし、片付けたからもういいぞ」
エレン「じゃあ俺、ライナーの正面もーらいっ」ドサッ
ミカサ「なら、私はサシャの前に」ギュムッ
エレン「……ミカサ」
ミカサ「何?」
エレン「隣に座るのはいいけどよ……近くね?」
ミカサ「何を言ってるの? これでもまだ遠いくらい」ギュウギュウ
エレン「……ちょっとでいいから離れろ。な?」
ミカサ「これ以上離れたらお互いの声を聞き逃してしまう。ので、不可能」ギュウギュウギュウギュウ
サシャ「……」ジーッ
18 : ◆H4iwFNXQsw:2013/09/26(木) 20:59:18 ID:oz0os7JY
サシャ「……///」カァッ...
サシャ(今、私とライナーの距離って……拳一個分もないですよね……?)
サシャ(もしかして私、かなり大胆なことしてたんじゃ……)
サシャ「あ、あのっ、ライナー……私、やっぱり少し離れたほうが……」ヒソヒソ
ライナー「……」ギュッ
サシャ「っ!?」ピクッ
サシャ(手、掴まれちゃいました……これは、行くなって解釈でいいんでしょうか……)ドキドキドキドキ
ライナー「何か言ったか?」ボソッ
サシャ「な、なんでもないです……///」モジモジ
ミカサ「……サシャ、顔が真っ赤」
サシャ「ふぁっ!? ……え、えっと、暑いですからね! あはは!」パタパタ
エレン「そうかー? 俺は寒いけどな。そろそろ冬物出すかなぁ」サスサス
ミカサ「寒いなら私が温めてあげるエレン」ギュウッ
エレン「だからお前はもう少し離れろっての」グイグイ
19 : ◆H4iwFNXQsw:2013/09/26(木) 21:00:08 ID:oz0os7JY
ライナー「二人とも、その辺にしとけ。ーーミカサ、地図は持ってきたか?」
ミカサ「抜かりない。チェックポイントに印もつけておいた」バサッ
エレン「今回はいつもの山岳訓練とは違って特別ルールがあるんだったよな? チェックポイントまでのルートを自分たちの班で作るってのはわかったけど、後はよくわかんなかったんだよなー」
サシャ「私も途中までしかわからなかったんですけど……8つあるチェックポイントの中から、自分たちで5つを選んで回るんですよね?」
ミカサ「基本はそう。2日間で5つのチェックポイントを回ることが合格の最低ライン。ーーそして、6つめ以降は別に得点が加算される」
エレン「えーっと……つまり、最高成績狙うには8つ全て回る必要があるってことか?」
ライナー「そういうことだな。ーー当然、俺たちの班は8つ全てを狙うぞ。山歩きに慣れてる面子が揃ってるからな」
エレン「異議なし!」
ミカサ「右に同じく」
サシャ「問題ありません!」
20 : ◆H4iwFNXQsw:2013/09/26(木) 21:01:04 ID:oz0os7JY
サシャ「でも私たちの班だけなんだか偏ってません? ……てっきり、ミカサとライナーは別の班だと思ってたんですが」
ミカサ「私もそれは疑問に思っていた。……何故?」
ライナー「俺に聞くなよ」
エレン「それ、俺もアルミンと話してたんだけどよ。どうやら教官側がわざと体力馬鹿同士を組ませたんじゃないか、って言ってたぜ」
ミカサ「……」
サシャ「……」
ライナー「……どういう意味だ? エレン」
エレン「断っとくけど、俺もアルミンから聞いただけだからな? ーー今回の訓練は、敢えて山歩きが得意な奴と不得意な奴とを組ませて、それぞれの対応力を見ることが目的らしいんだ」
エレン「でも、俺たちの班はみんな体力があって山歩きに慣れてるだろ? 8つ全部回ってもたぶん余裕があるだろうしな」
エレン「それで、ここからはアルミンの推測なんだが……実は、毎年こういう俺たちみたいな奴らを集めた班が、最低一つは作られているんじゃないかって話だ」
エレン「その班がどういうルートを辿って、どれくらいの時間がかかったか毎年記録することで、前の年の訓練兵と実力を比べてるんじゃないか、……だとよ」
エレン「へへっ、俺たちが104期の代表って考えたら悪い気しないよなー! ……あれ? どうしたんだ三人とも」
ミカサ「エレンは馬鹿じゃない!!」クワッ!!
ライナー「サシャは馬鹿じゃないぞ!!」ダンッ!!
サシャ「ライナーとミカサは馬鹿じゃないですよ!!」バンッ!!
エレン「は? なんで俺に怒ってんだよ?」ビクッ
ミカサ「エレン、訂正して……」ゴゴゴゴゴ...
ライナー「そうだ、失礼だぞエレン」ゴゴゴゴゴ...
サシャ「謝るなら今のうちですよエレン」ゴゴゴゴゴ...
エレン「へっ? ……え、えーっと、体力自慢がどんなルートを選ぶか、記録してるんだとよ……?」ビクビク
ミカサ「私は知っていた。エレンはやればできる子」ニコッ
ライナー「エレン、偉いぞ」ニッ
サシャ「見直しましたよ、エレン」ニコニコ
エレン「ええー……?」
エレン(おいおい、大丈夫かよこいつら……? ーーいや待てよ、みんながダメなら俺がしっかりしないと……!)
22 : ◆H4iwFNXQsw:2013/09/26(木) 21:03:48 ID:oz0os7JY
エレン「な、なあ、それよりルート決めようぜ!」アセアセ
ライナー「おっと、そうだったな。雑談で時間が潰れちまう」
サシャ「ルートを作るのはいいんですけど、今回は番号が振ってないから厄介ですよね」
ミカサ「数字だとみんな順番通りに回ろうとするから、敢えてやめたのだと思う。ーーそれと、アルミンが言っていた。このチェックポイントの名前は、秋の七草の名前らしい」
サシャ「ナナクサ……ですか?」キョトン
ミカサ「秋の七草は、純粋に見るのを楽しむもの。他にも春の七草というものがあって、そちらは七草粥という料理にしてーー」
サシャ「食べ物ですか!?」キラキラキラキラ
ミカサ「今は秋」
サシャ「……そうでしたね」ショボーン...
23 : ◆H4iwFNXQsw:2013/09/26(木) 21:04:38 ID:oz0os7JY
エレン「チェックポイントと同じ名前の植物を採ってくれば合格なんだよな? でもそう都合よく生えてるもんか?」
ライナー「まあ……生えてるんだろうな。きっとこのチェックポイントの位置に群生してるんだろう」
ミカサ「七草の花束を作らせるなんて……、もしかしたら教官は意外とメルヘンチックなのかもしれない」
エレン「まあ、それはともかく……」
ライナー「そうだな。……この“しいたけ”ってなんだ?」ユビサシ
サシャ「しいたけは……しいたけでしょう?」
エレン「そうじゃなくてさ、なんでチェックポイントの中にしいたけが入ってるんだ? この場所に都合よく生えてるのか?」
サシャ「私が知るわけないでしょう」
ミカサ「行けばわかる。気にしてはダメ」
エレン「気になる……」ウーン...
24 : ◆H4iwFNXQsw:2013/09/26(木) 21:05:24 ID:oz0os7JY
ライナー「話を進めるぞ。ーー取り敢えず、各自で考えたルートを出していってくれ。ある程度意見が出たらまとめよう」
エレン「そうだな……まず最初に思いつくのはこのルートだよな。ナデシコから出発して、西側に回りこみながら山頂近くのオミナエシを目指して……、最後にフジバカマを採って終わり」
ミカサ「待って。その経路だと途中に立ち入り禁止区域があるから、しいたけを通過するのに余計に回り道しなければならない。……ので、ススキからはじめるのはどうだろう。このルートだとエレンが提案した経路より距離は長いけれど、傾斜は緩いから比較的楽に回れる」
サシャ「んん……? でも、これだと帰りにしいたけを採らなくちゃいけないですよね? 地図だとそうでもないですけど、たぶんこっち側の道は下りの傾斜がキツイですよ。だったら帰りはこっちのキキョウを通ったほうが」
ライナー「いや、それだとしいたけはいいが、フジバカマまでの距離が遠くなるぞ。……ハギから始めるこのルートはどうだ?」
エレン「それだとオミナエシを回収できないだろ。やっぱりナデシコからはじめて、しいたけはーー」
ミカサ「だから、その経路はダメだと言った。やはりこちらのススキから、最後にしいたけへとーー」
サシャ「ですからね、ミカサのルートだとしいたけがーー」
ライナー「一旦山頂に登ってから……うーん、ダメか……」ブツブツ
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