サシャ「ひと味違いますよ?」
Part1
1 : ◆H4iwFNXQsw:2013/08/26(月) 18:42:55 ID:BnISPj..
・サシャ「安心する味なんですもん……」の続きです
・話の都合上、ある程度食糧事情を無視しています
・進撃BD2巻特典ドラマCDの間接的なネタバレあり
2 : ◆H4iwFNXQsw:2013/08/26(月) 18:44:03 ID:BnISPj..
ーー 消灯時間前 女子寮 ユミルたちの部屋
クリスタ「……くしゅんっ」プルッ
ユミル「最近冷え込んできたなー。ーーほらクリスタ、髪拭け髪」ポイッ
クリスタ「ありがとユミル……昼間はあんなに暑かったのに、夜は寒いね」フキフキ
ユミル「ああ、過ごしやすくなったよな。……とはいえ、寝苦しくてパンツ一枚で寝るクリスタを見られなくなると思うと寂しいな」
クリスタ「ぱっ、ぱんつ一枚じゃないもん!! 上も着てたもん!!」アセアセ
ユミル「しかもフリッフリのキャミソールな」ケケケ
クリスタ「~~~~!! もうっ、ユミルのばかぁっ!! いじわるっ!!」ポカポカ
ユミル「あっはっはっはっは、クリスタったら全然痛くないぞぉー。ーーそんで、かつてシャツ1パン1で寝てたサシャが今は上下きちんと着てるんだもんなぁ。いつの間にか逆転してるもんだからたまげたよ」
サシャ「だって、夜中に何があるかわかりませんし」パラッ...
3 : ◆H4iwFNXQsw:2013/08/26(月) 18:45:38 ID:BnISPj..
ユミル「本当だな、世の中何があるかわかったもんじゃない」
クリスタ「そうだね、信じられないことが簡単に起きちゃうもの」
ユミル「サシャが本を読んでるなんてな、そんなのありえないのにな」
クリスタ「最近ちょっと寒くなってきたしね」
ユミル「……」チラッ
クリスタ「……」チラッ
サシャ「……」ジーッ...
サシャ「……」パラッ...
ユミル「ちょっと私医務室行ってくるわ」ガラッ
クリスタ「待ってユミル、そっちは窓だよ? 扉はこっちだから早く行こう?」ガタゴトッ
ユミル「クリスタこそ机の下に潜りこんでんじゃねえよ。……かわいいからいいけど」
サシャ「……もう、静かにしてくださいよ二人とも」ムー...
ユミル・クリスタ「」ビクッ!!
4 : ◆H4iwFNXQsw:2013/08/26(月) 18:46:46 ID:BnISPj..
クリスタ「ひっ……! さ、サシャが反応した……!!」ガタガタガタガタ
ユミル「ば、馬鹿な……! ただの置物かそっくりさんだと思ってたのに……!!」ガタガタガタガタ
サシャ「正真正銘本物ですよ。……というか二人してなんですか? そんなに私が本を読んでたらおかしいですか?」ムー...
クリスタ「……ごめんねサシャ、悪気はないの」シュン...
ユミル「ちなみに何の本読んでるんだ?」
サシャ「料理本です」
ユミル・クリスタ「……」
ユミル「……」ガサゴソ スッ
クリスタ「……」ガサゴソ スッ
サシャ「……あの、無言でお菓子差し出すのやめてもらえませんか。もらいますけど」
ユミル「いや……ついに料理本で味を想像……いや、創造しはじめたんだと思うと、かわいそうで……」
クリスタ「ひもじいからって、本は食べちゃダメだからね……?」
サシャ「……私はいつまで食いしん坊さん扱いなんですか」ムー...
5 : ◆H4iwFNXQsw:2013/08/26(月) 18:47:41 ID:BnISPj..
ユミル「他に真っ当な理由があるなら言ってみろ」
サシャ「……笑いません?」モジモジ
クリスタ「笑わないよ、安心して。……話してくれる?」
サシャ「えっとですね……今度、ライナーに料理を作ってあげようと思ってまして……」モジモジ
クリスタ「? どこかに食べにでかけるんじゃなくて、サシャが作るの?」
サシャ「はい。幸い、料理は一通りできますし……この前スイカを卸してもらった店で、食材も調達できそうなので、そうするつもりです」
ユミル「……大枚はたいて手間暇かけてまでやりたい理由は?」
サシャ「私、ライナーからはいつもいろんなもの、たくさんもらってて……何も返せてないんですもん」
サシャ「だから、少しでも返せたらいいなって思ってまして……」モジモジ
ユミル「……」キュンッ...
クリスタ「……」キュンッ...
サシャ「本当は、ユミルやクリスタにも作ってあげたいんですけど、その……予算がなくてですね……ごめんなさい。いつもお世話になってるのに」ショボーン...
6 : ◆H4iwFNXQsw:2013/08/26(月) 18:48:20 ID:BnISPj..
サシャ「……あれ? 二人とも、どうしました? 変な顔してーー」
ユミル「サシャ、疑って悪かったなぁっ!」ダキッ!!
クリスタ「絶対うまくいくよ! 頑張って!」ダキッ!!
ミカサ「私も混ざる」ダキッ
サシャ「わぁっ!? もうっ、重いですよぉー三人ともー!」ジタバタジタバタ
クリスタ「ねえねえサシャ、私の妹になろうよ? それでね、二人で一緒にお菓子食べるの。いいでしょ? ね? そうしよ?」ギューッ
ユミル「もうお前クリスタと一緒にまとめて私のところに娘に来いよ、養ってやるからさー」ギューッ
ミカサ「いえ、サシャは私のところに嫁として来るべき。何故なら私たちは友だちだから」ギューッ
サシャ「あはは、お友だちなのにお嫁さんはちょっと無理がありますってー」テレテレ
7 :以下、名無しが深夜にお送りします:2013/08/26(月) 18:48:38 ID:rBpxnRqc
なっなんだと
サシャが本を読むなんて・・・
きゃわいい
8 : ◆H4iwFNXQsw:2013/08/26(月) 18:49:02 ID:BnISPj..
ユミル「……」
クリスタ「……」
ミカサ「……」
サシャ「……」
ユミル「……ミカサ、いつからいた」
ミカサ「潜入成功」ニンニン
ユミル「……あのなミカサ。静かに入ってくるとこっちがびっくりするから、お前今度から大騒ぎしながら来い」
ミカサ「わかった、次から努力する」
サシャ「そっちのほうがよっぽどびっくりすると思うんですが……」
クリスタ「まあまあ。……ひとまずはいらっしゃい、ミカサ」
ミカサ「おじゃまします、サシャにクリスタ。それとユミル」
ユミル「私はオマケかよ」ケッ
9 : ◆H4iwFNXQsw:2013/08/26(月) 18:50:00 ID:BnISPj..
サシャ「それでミカサ、どうしたんです? そろそろ消灯時間ですよ?」
ミカサ「私は、先人としてサシャに助言をしにきた」キリッ
クリスタ「先人?」キョトン
ミカサ「おいしいものを食べさせたいからと言って、奇をてらいすぎるのはよくない。び……びしびしそわーず? とか、えっと……難しいのはだめ」
クリスタ「ビシソワーズね。芋の冷たいスープ」
ミカサ「そう、それ。……私はこの前失敗した」ズーン...
ユミル「ほお、珍しい。首席様の失敗か……見てみたかったな」ケケケ
ミカサ「……」ムー...
ユミル「睨むな睨むな。殺気出てるぞ」
ミカサ「……というわけで、作り慣れている家庭料理が一番」
サシャ「なるほど、家庭料理ですか……となると、熊か鹿を見つけないとですね」
ミカサ「えっ」
10 : ◆H4iwFNXQsw:2013/08/26(月) 18:51:03 ID:BnISPj..
サシャ「……」
ミカサ「……」
サシャ「……」
ミカサ「……」
サシャ「……」
ミカサ「……私には、提案した責任がある」
サシャ「はあ」
ミカサ「よし、狩ろう」ジャキンッ!! スクッ
サシャ「そうですね。そうしましょう」スクッ
ユミル「そうしましょうじゃねえよ。やめろ。座れ。あとミカサは包丁しまえ危ないから」
クリスタ「そうだよ、もう夜も遅いよ? 狩りはさすがに無理なんじゃないかな?」
ユミル「そういう問題じゃねえよ。いいから座れそこの山育ち二人」
11 : ◆H4iwFNXQsw:2013/08/26(月) 18:51:33 ID:BnISPj..
クリスタ「ところで、ミカサって狩りしたことあるの?」
ミカサ「はじめてだけど、きっと上手くいくだろう。愛の力がある限り」ジャキンッ!!
ユミル「お前の愛は抜き身過ぎて危険だよ。ーーそもそもだな、熊だの狐だの猪だの鹿だの狩ってきたとして、どこで解体するつもりだ?」
ミカサ「えっと……営庭……?」ウーン...
ユミル「営庭を血で染めるな」
サシャ「じゃあ厩舎で」
クリスタ「馬は肉食じゃないよ? やめてね?」
ミカサ「……女子寮」
ユミル「女子全員を地獄に叩き込む気か」
サシャ「なら男子寮で!」
クリスタ「ライナーにごちそうする前に、他の男子に食べられちゃうんじゃない?」
ミカサ「……難しい」ウーン...
サシャ「ですね」ウーン...
ユミル「……もういいから。それで、サシャは何を作る気だったんだ? さっき料理本見てて少しは検討ついたろ?」
12 : ◆H4iwFNXQsw:2013/08/26(月) 18:53:37 ID:BnISPj..
サシャ「えっとですね、最初はアイントプフにしようかと思ってたんですけど、スープはいつも食べてますし、他のがいいかなって」パラパラッ
サシャ「食材はある程度融通してもらえるので、凝ったものにしようかと思ったんですが……そしたら今度は時間が足りないんですよね。昼前に片付けまで全て終了しないといけないので」パラパラッ
ミカサ「! ……サシャ、これはどう?」ユビサシ
サシャ「これは……」
クリスタ「うん、いいんじゃないかな?」
ユミル「あんまり小難しいと作れねえだろうしなー。『子どもでも簡単』って書いてあるしいいんじゃねえの?」
サシャ「でも、これで勝負するのはかなり不安なんですが……それにこの料理、作ったことありませんし」
ミカサ「これは、二人の思い出の味。……大丈夫。仮に失敗しても、きっといい思い出になる。私が保証する」
サシャ「……いえ、失敗しないように勉強します! きっとこんな機会、もうないでしょうし!」グッ
クリスタ「ふふっ、頑張ってね」
ユミル「心配なら味見してやろうか?」
ミカサ「……横取りしてはダメ」ムー...
ユミル「冗談だっての」
13 : ◆H4iwFNXQsw:2013/08/26(月) 18:55:37 ID:BnISPj..
ーー 数日後 調理室
クリスタ「好きな人のために作ると味が変わる……っていうのは、本当なのかな?」シュルシュルッ
ミーナ「うーん、そうだね……やっぱり、その人のために丁寧に作ろうとするから、少しは変わってくるんじゃない?」シュルシュルッ
クリスタ「そんなものかなぁ……?」
ミーナ「こればっかりは実演してもらったほうがわかりやすいかもね。ーーねえミカサ、この芋を切ってみてくれない?」
ミカサ「お安いご用」スッ
ミーナ「あっ、エレンのことを考えながら切ってみてね?」
ミカサ「エレン……」 シュルシュルッ スパッ
クリスタ「わあっ……! 大きさも均一だし、芽も完璧に取り除いてある!」
ミカサ「当然」エッヘン
ミーナ「次はジャンのことを考えながら切ってみて?」
ミカサ「ジャン……?」 シュルシュルッ スパッ
クリスタ「……芽はちゃんと取れてるけど、大きさが不揃いになったね」
ミカサ「……ジャンの口の大きさがわからない。ので、仕方がない」ムー...
14 : ◆H4iwFNXQsw:2013/08/26(月) 18:57:02 ID:BnISPj..
ミカサ「もう行ってもいい? 切り終わった芋を運ばないといけないから」ヨイショット
クリスタ「うん、助かったよミカサ。どうもありがとう!」
ミカサ「どういたしまして」スタスタ...
ミーナ「……まあ、ミカサのは極端な例だけど、ちょっとした意識の違いで料理ってかなり違ってくるんじゃないかな?」
ミーナ「野菜の切り方一つで食感が変わるって言うし。味つけも、その人の好きな味にしようって思うもの」
クリスタ「なるほどなるほど」フムフム
ミーナ「だからね、私が料理下手なのは、私のせいじゃないんだよ……?」デローン...
クリスタ「私も、いつか上手くなるかなぁ……」ベローン...
ミーナ「こんなことなら、もうちょっと家の手伝いしておくべきだったなぁ……」
クリスタ「私、配給の食事係にはなりたくないなぁ……これだと逆にみんなの健康を駆逐しちゃうよ……」ズーン...
ミーナ「私も……」ズーン...
15 : ◆H4iwFNXQsw:2013/08/26(月) 18:58:41 ID:BnISPj..
アニ「……うん、いい味」ズズッ
マルコ「どう? 進んでる?」
アニ「……」スッ
マルコ「? 味見していいの?」
アニ「……どうぞ」
マルコ「ありがとう。……うん、悪くないと思うな」ズズッ
ジャン「おいマルコ、何して……っと、アニも一緒か」
アニ「……あんたの意見も聞かせて」スッ
ジャン「どれどれ……んー、俺はもうちょっと濃い味のほうが好みだな」ズズッ
アニ「じゃあこのままでいいね」マゼマゼ
ジャン「なんで聞いたんだよ!?」
アニ「これ以上は薄くするしかできないんだよ。文句言うなら食べなきゃいいんじゃない?」マゼマゼ
ジャン「……」ジトッ...
マルコ「まあまあ、早く食器運ぼうよ。ジャン」
16 : ◆H4iwFNXQsw:2013/08/26(月) 19:00:43 ID:BnISPj..
ーー 食堂
ベルトルト「……薄い」ズズッ
ユミル「文句あるなら食うんじゃねえよベルトルさん」シャクシャク
ベルトルト「……ごめん」
ユミル「ったく、配給を想定した調理実習だかなんだか知らねえけど、女子だけ調理で男子は食うだけって不公平だよな。ベルトルさんもそう思うだろ?」シャクシャク
ベルトルト「……それは君が野菜の切れっ端の盛り合わせを食べているのと関係があるの?」
ユミル「……」ピタッ
ベルトルト「……」
ユミル「……実習サボってた女子は、スープ抜きだって」ボソッ
ベルトルト「……」
ユミル「……」
ベルトルト「……一口あげようか?」ソッ...
ユミル「……どうも」
17 : ◆H4iwFNXQsw:2013/08/26(月) 19:01:31 ID:BnISPj..
コニー「おおっ、いつものよりうまいな!」ズズッ
ジャン「そりゃ冷めてねえからだろ。第一、味なんてそう簡単に変わんねえよ」ズズッ
マルコ「とか言いながら、アニにはしっかり注文つけてたよね」
ジャン「無視されたけどな」
ミーナ「……」
サシャ「……? どうしたんですミーナ、手が止まってますよ?」
ミーナ「あのさ、配給を想定した訓練、ってことは……ウォール・マリアが破られた時のための、訓練なんだよね……?」
コニー「……あー、そういうことになんのか」
マルコ「……」
ジャン「……」
サシャ「……って、ほらほら! 食事の時に暗くなってちゃダメですよ!」
・サシャ「安心する味なんですもん……」の続きです
・話の都合上、ある程度食糧事情を無視しています
・進撃BD2巻特典ドラマCDの間接的なネタバレあり
2 : ◆H4iwFNXQsw:2013/08/26(月) 18:44:03 ID:BnISPj..
ーー 消灯時間前 女子寮 ユミルたちの部屋
クリスタ「……くしゅんっ」プルッ
ユミル「最近冷え込んできたなー。ーーほらクリスタ、髪拭け髪」ポイッ
クリスタ「ありがとユミル……昼間はあんなに暑かったのに、夜は寒いね」フキフキ
ユミル「ああ、過ごしやすくなったよな。……とはいえ、寝苦しくてパンツ一枚で寝るクリスタを見られなくなると思うと寂しいな」
クリスタ「ぱっ、ぱんつ一枚じゃないもん!! 上も着てたもん!!」アセアセ
ユミル「しかもフリッフリのキャミソールな」ケケケ
クリスタ「~~~~!! もうっ、ユミルのばかぁっ!! いじわるっ!!」ポカポカ
ユミル「あっはっはっはっは、クリスタったら全然痛くないぞぉー。ーーそんで、かつてシャツ1パン1で寝てたサシャが今は上下きちんと着てるんだもんなぁ。いつの間にか逆転してるもんだからたまげたよ」
サシャ「だって、夜中に何があるかわかりませんし」パラッ...
3 : ◆H4iwFNXQsw:2013/08/26(月) 18:45:38 ID:BnISPj..
ユミル「本当だな、世の中何があるかわかったもんじゃない」
クリスタ「そうだね、信じられないことが簡単に起きちゃうもの」
ユミル「サシャが本を読んでるなんてな、そんなのありえないのにな」
クリスタ「最近ちょっと寒くなってきたしね」
ユミル「……」チラッ
クリスタ「……」チラッ
サシャ「……」ジーッ...
サシャ「……」パラッ...
ユミル「ちょっと私医務室行ってくるわ」ガラッ
クリスタ「待ってユミル、そっちは窓だよ? 扉はこっちだから早く行こう?」ガタゴトッ
ユミル「クリスタこそ机の下に潜りこんでんじゃねえよ。……かわいいからいいけど」
サシャ「……もう、静かにしてくださいよ二人とも」ムー...
ユミル・クリスタ「」ビクッ!!
4 : ◆H4iwFNXQsw:2013/08/26(月) 18:46:46 ID:BnISPj..
クリスタ「ひっ……! さ、サシャが反応した……!!」ガタガタガタガタ
ユミル「ば、馬鹿な……! ただの置物かそっくりさんだと思ってたのに……!!」ガタガタガタガタ
サシャ「正真正銘本物ですよ。……というか二人してなんですか? そんなに私が本を読んでたらおかしいですか?」ムー...
クリスタ「……ごめんねサシャ、悪気はないの」シュン...
ユミル「ちなみに何の本読んでるんだ?」
サシャ「料理本です」
ユミル・クリスタ「……」
ユミル「……」ガサゴソ スッ
クリスタ「……」ガサゴソ スッ
サシャ「……あの、無言でお菓子差し出すのやめてもらえませんか。もらいますけど」
ユミル「いや……ついに料理本で味を想像……いや、創造しはじめたんだと思うと、かわいそうで……」
クリスタ「ひもじいからって、本は食べちゃダメだからね……?」
サシャ「……私はいつまで食いしん坊さん扱いなんですか」ムー...
5 : ◆H4iwFNXQsw:2013/08/26(月) 18:47:41 ID:BnISPj..
ユミル「他に真っ当な理由があるなら言ってみろ」
サシャ「……笑いません?」モジモジ
クリスタ「笑わないよ、安心して。……話してくれる?」
サシャ「えっとですね……今度、ライナーに料理を作ってあげようと思ってまして……」モジモジ
クリスタ「? どこかに食べにでかけるんじゃなくて、サシャが作るの?」
サシャ「はい。幸い、料理は一通りできますし……この前スイカを卸してもらった店で、食材も調達できそうなので、そうするつもりです」
ユミル「……大枚はたいて手間暇かけてまでやりたい理由は?」
サシャ「私、ライナーからはいつもいろんなもの、たくさんもらってて……何も返せてないんですもん」
サシャ「だから、少しでも返せたらいいなって思ってまして……」モジモジ
ユミル「……」キュンッ...
クリスタ「……」キュンッ...
サシャ「本当は、ユミルやクリスタにも作ってあげたいんですけど、その……予算がなくてですね……ごめんなさい。いつもお世話になってるのに」ショボーン...
サシャ「……あれ? 二人とも、どうしました? 変な顔してーー」
ユミル「サシャ、疑って悪かったなぁっ!」ダキッ!!
クリスタ「絶対うまくいくよ! 頑張って!」ダキッ!!
ミカサ「私も混ざる」ダキッ
サシャ「わぁっ!? もうっ、重いですよぉー三人ともー!」ジタバタジタバタ
クリスタ「ねえねえサシャ、私の妹になろうよ? それでね、二人で一緒にお菓子食べるの。いいでしょ? ね? そうしよ?」ギューッ
ユミル「もうお前クリスタと一緒にまとめて私のところに娘に来いよ、養ってやるからさー」ギューッ
ミカサ「いえ、サシャは私のところに嫁として来るべき。何故なら私たちは友だちだから」ギューッ
サシャ「あはは、お友だちなのにお嫁さんはちょっと無理がありますってー」テレテレ
7 :以下、名無しが深夜にお送りします:2013/08/26(月) 18:48:38 ID:rBpxnRqc
なっなんだと
サシャが本を読むなんて・・・
きゃわいい
8 : ◆H4iwFNXQsw:2013/08/26(月) 18:49:02 ID:BnISPj..
ユミル「……」
クリスタ「……」
ミカサ「……」
サシャ「……」
ユミル「……ミカサ、いつからいた」
ミカサ「潜入成功」ニンニン
ユミル「……あのなミカサ。静かに入ってくるとこっちがびっくりするから、お前今度から大騒ぎしながら来い」
ミカサ「わかった、次から努力する」
サシャ「そっちのほうがよっぽどびっくりすると思うんですが……」
クリスタ「まあまあ。……ひとまずはいらっしゃい、ミカサ」
ミカサ「おじゃまします、サシャにクリスタ。それとユミル」
ユミル「私はオマケかよ」ケッ
9 : ◆H4iwFNXQsw:2013/08/26(月) 18:50:00 ID:BnISPj..
サシャ「それでミカサ、どうしたんです? そろそろ消灯時間ですよ?」
ミカサ「私は、先人としてサシャに助言をしにきた」キリッ
クリスタ「先人?」キョトン
ミカサ「おいしいものを食べさせたいからと言って、奇をてらいすぎるのはよくない。び……びしびしそわーず? とか、えっと……難しいのはだめ」
クリスタ「ビシソワーズね。芋の冷たいスープ」
ミカサ「そう、それ。……私はこの前失敗した」ズーン...
ユミル「ほお、珍しい。首席様の失敗か……見てみたかったな」ケケケ
ミカサ「……」ムー...
ユミル「睨むな睨むな。殺気出てるぞ」
ミカサ「……というわけで、作り慣れている家庭料理が一番」
サシャ「なるほど、家庭料理ですか……となると、熊か鹿を見つけないとですね」
ミカサ「えっ」
10 : ◆H4iwFNXQsw:2013/08/26(月) 18:51:03 ID:BnISPj..
サシャ「……」
ミカサ「……」
サシャ「……」
ミカサ「……」
サシャ「……」
ミカサ「……私には、提案した責任がある」
サシャ「はあ」
ミカサ「よし、狩ろう」ジャキンッ!! スクッ
サシャ「そうですね。そうしましょう」スクッ
ユミル「そうしましょうじゃねえよ。やめろ。座れ。あとミカサは包丁しまえ危ないから」
クリスタ「そうだよ、もう夜も遅いよ? 狩りはさすがに無理なんじゃないかな?」
ユミル「そういう問題じゃねえよ。いいから座れそこの山育ち二人」
11 : ◆H4iwFNXQsw:2013/08/26(月) 18:51:33 ID:BnISPj..
クリスタ「ところで、ミカサって狩りしたことあるの?」
ミカサ「はじめてだけど、きっと上手くいくだろう。愛の力がある限り」ジャキンッ!!
ユミル「お前の愛は抜き身過ぎて危険だよ。ーーそもそもだな、熊だの狐だの猪だの鹿だの狩ってきたとして、どこで解体するつもりだ?」
ミカサ「えっと……営庭……?」ウーン...
ユミル「営庭を血で染めるな」
サシャ「じゃあ厩舎で」
クリスタ「馬は肉食じゃないよ? やめてね?」
ミカサ「……女子寮」
ユミル「女子全員を地獄に叩き込む気か」
サシャ「なら男子寮で!」
クリスタ「ライナーにごちそうする前に、他の男子に食べられちゃうんじゃない?」
ミカサ「……難しい」ウーン...
サシャ「ですね」ウーン...
ユミル「……もういいから。それで、サシャは何を作る気だったんだ? さっき料理本見てて少しは検討ついたろ?」
12 : ◆H4iwFNXQsw:2013/08/26(月) 18:53:37 ID:BnISPj..
サシャ「えっとですね、最初はアイントプフにしようかと思ってたんですけど、スープはいつも食べてますし、他のがいいかなって」パラパラッ
サシャ「食材はある程度融通してもらえるので、凝ったものにしようかと思ったんですが……そしたら今度は時間が足りないんですよね。昼前に片付けまで全て終了しないといけないので」パラパラッ
ミカサ「! ……サシャ、これはどう?」ユビサシ
サシャ「これは……」
クリスタ「うん、いいんじゃないかな?」
ユミル「あんまり小難しいと作れねえだろうしなー。『子どもでも簡単』って書いてあるしいいんじゃねえの?」
サシャ「でも、これで勝負するのはかなり不安なんですが……それにこの料理、作ったことありませんし」
ミカサ「これは、二人の思い出の味。……大丈夫。仮に失敗しても、きっといい思い出になる。私が保証する」
サシャ「……いえ、失敗しないように勉強します! きっとこんな機会、もうないでしょうし!」グッ
クリスタ「ふふっ、頑張ってね」
ユミル「心配なら味見してやろうか?」
ミカサ「……横取りしてはダメ」ムー...
ユミル「冗談だっての」
13 : ◆H4iwFNXQsw:2013/08/26(月) 18:55:37 ID:BnISPj..
ーー 数日後 調理室
クリスタ「好きな人のために作ると味が変わる……っていうのは、本当なのかな?」シュルシュルッ
ミーナ「うーん、そうだね……やっぱり、その人のために丁寧に作ろうとするから、少しは変わってくるんじゃない?」シュルシュルッ
クリスタ「そんなものかなぁ……?」
ミーナ「こればっかりは実演してもらったほうがわかりやすいかもね。ーーねえミカサ、この芋を切ってみてくれない?」
ミカサ「お安いご用」スッ
ミーナ「あっ、エレンのことを考えながら切ってみてね?」
ミカサ「エレン……」 シュルシュルッ スパッ
クリスタ「わあっ……! 大きさも均一だし、芽も完璧に取り除いてある!」
ミカサ「当然」エッヘン
ミーナ「次はジャンのことを考えながら切ってみて?」
ミカサ「ジャン……?」 シュルシュルッ スパッ
クリスタ「……芽はちゃんと取れてるけど、大きさが不揃いになったね」
ミカサ「……ジャンの口の大きさがわからない。ので、仕方がない」ムー...
14 : ◆H4iwFNXQsw:2013/08/26(月) 18:57:02 ID:BnISPj..
ミカサ「もう行ってもいい? 切り終わった芋を運ばないといけないから」ヨイショット
クリスタ「うん、助かったよミカサ。どうもありがとう!」
ミカサ「どういたしまして」スタスタ...
ミーナ「……まあ、ミカサのは極端な例だけど、ちょっとした意識の違いで料理ってかなり違ってくるんじゃないかな?」
ミーナ「野菜の切り方一つで食感が変わるって言うし。味つけも、その人の好きな味にしようって思うもの」
クリスタ「なるほどなるほど」フムフム
ミーナ「だからね、私が料理下手なのは、私のせいじゃないんだよ……?」デローン...
クリスタ「私も、いつか上手くなるかなぁ……」ベローン...
ミーナ「こんなことなら、もうちょっと家の手伝いしておくべきだったなぁ……」
クリスタ「私、配給の食事係にはなりたくないなぁ……これだと逆にみんなの健康を駆逐しちゃうよ……」ズーン...
ミーナ「私も……」ズーン...
15 : ◆H4iwFNXQsw:2013/08/26(月) 18:58:41 ID:BnISPj..
アニ「……うん、いい味」ズズッ
マルコ「どう? 進んでる?」
アニ「……」スッ
マルコ「? 味見していいの?」
アニ「……どうぞ」
マルコ「ありがとう。……うん、悪くないと思うな」ズズッ
ジャン「おいマルコ、何して……っと、アニも一緒か」
アニ「……あんたの意見も聞かせて」スッ
ジャン「どれどれ……んー、俺はもうちょっと濃い味のほうが好みだな」ズズッ
アニ「じゃあこのままでいいね」マゼマゼ
ジャン「なんで聞いたんだよ!?」
アニ「これ以上は薄くするしかできないんだよ。文句言うなら食べなきゃいいんじゃない?」マゼマゼ
ジャン「……」ジトッ...
マルコ「まあまあ、早く食器運ぼうよ。ジャン」
16 : ◆H4iwFNXQsw:2013/08/26(月) 19:00:43 ID:BnISPj..
ーー 食堂
ベルトルト「……薄い」ズズッ
ユミル「文句あるなら食うんじゃねえよベルトルさん」シャクシャク
ベルトルト「……ごめん」
ユミル「ったく、配給を想定した調理実習だかなんだか知らねえけど、女子だけ調理で男子は食うだけって不公平だよな。ベルトルさんもそう思うだろ?」シャクシャク
ベルトルト「……それは君が野菜の切れっ端の盛り合わせを食べているのと関係があるの?」
ユミル「……」ピタッ
ベルトルト「……」
ユミル「……実習サボってた女子は、スープ抜きだって」ボソッ
ベルトルト「……」
ユミル「……」
ベルトルト「……一口あげようか?」ソッ...
ユミル「……どうも」
17 : ◆H4iwFNXQsw:2013/08/26(月) 19:01:31 ID:BnISPj..
コニー「おおっ、いつものよりうまいな!」ズズッ
ジャン「そりゃ冷めてねえからだろ。第一、味なんてそう簡単に変わんねえよ」ズズッ
マルコ「とか言いながら、アニにはしっかり注文つけてたよね」
ジャン「無視されたけどな」
ミーナ「……」
サシャ「……? どうしたんですミーナ、手が止まってますよ?」
ミーナ「あのさ、配給を想定した訓練、ってことは……ウォール・マリアが破られた時のための、訓練なんだよね……?」
コニー「……あー、そういうことになんのか」
マルコ「……」
ジャン「……」
サシャ「……って、ほらほら! 食事の時に暗くなってちゃダメですよ!」
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女「ハローハロー。誰かいませんか?どうぞ」
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キモオタ「我輩がおとぎ話の世界に行くですとwww」ティンカーベル「そう」
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魔王「世界の半分はやらぬが、淫魔の国をくれてやろう」
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男「少し不思議な話をしようか」女「いいよ」
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同僚女「おーい、おとこ。起きろ、起きろー」
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妹「マニュアルで恋します!」
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きのこの山「最後通牒だと……?」たけのこの里「……」
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月「で……であ…でぁー…TH…であのて……?」
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彡(゚)(゚)「お、居酒屋やんけ。入ったろ」
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