サシャ「この味だけは、譲れません」
Part3
47 : ◆H4iwFNXQsw:2013/08/06(火) 22:33:15 ID:6INNEWhI
ミカサ「というわけで、えいっ」ゴツンッ
サシャ「いたっ……なんですか、今の頭突き」ヒリヒリ
ミカサ「エレンはたまにこうやって私に元気をくれる。だから、お裾分け」ヒリヒリ
サシャ「……」
ミカサ「元気出た?」
サシャ「……そうですね、今なら巨人の二、三体くらい軽く倒せそうです!」
ミカサ「それは言い過ぎ」チョップ
サシャ「あはは、痛いですよミカサ」
ミカサ「ふふっ、ごめんサシャ」ナデナデ
ミカサ「ーーさて、そろそろ行こう。濡れた服のまま風に当たっていたら風邪を引いてしまう。……一人で立てる?」
サシャ「はい、立てます。大丈夫ですよ」
48 : ◆H4iwFNXQsw:2013/08/06(火) 22:34:28 ID:6INNEWhI
ーー 昼 営庭の隅っこ
エレン「よっ、ライナー。ちゃんと掃除道具返してきたぞ!」
ライナー「ああ、ありがとうな」
エレン「で、こんなところで胡座かいて何悩んでんだ?」
ライナー「……なあエレン。少し聞きたいことがあるんだが」
エレン「!! おうっ! なんでも俺に話してみろよ!!」キラキラキラキラ
ライナー「なんでそこではしゃぐんだ? ……まあいい、お前、ミカサが機嫌悪い時はいつもどうしてる?」
エレン「必死でなだめる」
ライナー「……どうやって?」
エレン「そりゃその時にもよるんじゃねえの?」
ライナー「なら、自分が悪い場合は?」
エレン「んー……露骨に機嫌取ると逆に拗ねて面倒だからな、でも全く気にしてない素振りもキレるんだよなー」
ライナー「打つ手なし、か」
49 : ◆H4iwFNXQsw:2013/08/06(火) 22:35:44 ID:6INNEWhI
エレン「でも、アルミンに聞いた必殺の手なら知ってるぜ!」
ライナー「必殺の手?」
エレン「花をやるんだよ。一本でいいからさ」
ライナー「一輪な」
エレン「揚げ足取るなよ。でも、だいたいミカサは喜んでたな」
ライナー「花か……けど、他に好物があるならそっちのがよくないか?」
エレン「いや、そんなことないと思うぞ? 逆に他に好きなモンがあったほうがいいってアルミンは言ってたな」
ライナー「どういう意味だ?」
エレン「確か……普段あげてないものだからこそ、特別なものって感じがして喜ぶんだってよ。……よくわかんねえけど」
ライナー「……なあエレン、これから暇か?」
エレン「……兄貴からの頼みとあっちゃあ、弟としては断れねえよな?」ニッ
50 : ◆H4iwFNXQsw:2013/08/06(火) 22:36:51 ID:6INNEWhI
ーー 数時間後 昼 医務室
ユミル「あのさ。見舞いに来てくれたのは嬉しいけど、辛気くさい顔で横に座るなよ。気が滅入る」ゴロゴロ
クリスタ「うん……ごめん……」ズーン...
ユミル「ったく……いくら心配だからって柄じゃねえはしゃぎ方するなっての。空回りしてたら意味ないだろ」ナデナデ
クリスタ「はい……反省してます……」ズズーン...
ミカサ「失礼します。……クリスタ、ユミルの具合はどう?」ガチャッ
クリスタ「!! ミカサ、サシャは大丈夫だった!?」ガタッ
ミカサ「膝の辺りに青あざができただけ。今は少し早いけどお風呂に入っている。クリスタも後で行ってあげて」
クリスタ「ううん、今行ってくる! ありがとうミカサ!」
ミカサ「いってらっしゃい。転ばないように気をつけて」
クリスタ「うん! いってきます!」ガチャッ バタンッ
51 : ◆H4iwFNXQsw:2013/08/06(火) 22:37:59 ID:6INNEWhI
ユミル「……珍しい客もあったもんだ。明日は雪だな」
ミカサ「今は夏。なので、それは困る」
ユミル「で、こうして見舞いに来たってことは、なんか今日は面白いことあったのか?」
ミカサ「サシャが、やっと自覚した」
ユミル「……」
ミカサ「……」
ユミル「……そっか」
ミカサ「それだけ?」
ユミル「他に私に何か言ってほしいってのか?」
ミカサ「……じゃあ私が喋る」
ユミル「どうぞご自由に」
52 : ◆H4iwFNXQsw:2013/08/06(火) 22:39:22 ID:6INNEWhI
ミカサ「今回は暗躍お疲れさま、ユミル」
ユミル「……お前に労われると調子狂うな、ミカサ」
ミカサ「それはちょっと心外」ムー...
ユミル「てっきりまた『余計なことすんな』って怒るのかと思ったよ」
ミカサ「この前は特定の行為を無理強いしようとしていた。ので止めた。今回は違う」
ユミル「へいへい、そりゃどうも」
ミカサ「サシャは、自分の気持ちをちゃんと知る必要があった。それを知らずに残りの時間を過ごしたら、きっと後悔していた、と思う」
ミカサ「だから私はお礼を言おう。ありがとう、ユミル。サシャにきっかけを作ってくれて」
ユミル「お前に礼なんか言われると調子狂うな。ーーまあでも、これで一安心だな、ミカサお姉ちゃん?」ニヤッ
ミカサ「へへっ、ユミルの姉御にゃ敵いませんよぉ」クネクネ
ユミル「真顔で言うな気色悪い。……それでも結局、私たちは状況を引っかき回してるクソ野郎だけどな?」
ミカサ「それは、後から振り返ってみないとわからない。せめて後から思い出した時に、いい選択だったと思えるような行動をしよう」
53 : ◆H4iwFNXQsw:2013/08/06(火) 22:40:39 ID:6INNEWhI
ーー 夕方 とある廊下
サシャ「だーれもいないお風呂って、気持ちいいですねえ……」ホカホカ
サシャ(掃除……投げ出しちゃったこと、みんなに謝らないといけませんね……)スタスタ...
サシャ(あれ? あそこにいるのって、もしかして……)
サシャ「ライナー? 何してるんですか?」
ライナー「……サシャ? だよな?」
サシャ「? はい、そうですけど」
ライナー「風呂に入ってきたのか?」
サシャ「はい、あのままだと体が冷えるってミカサに言われまして」
サシャ「ついでに洗濯とか細かい後片付けとか、諸々やってたらこんな時間になっちゃいました」
54 : ◆H4iwFNXQsw:2013/08/06(火) 22:42:06 ID:6INNEWhI
ライナー「……」
サシャ「ライナー? どうかしましたか?」
ライナー「いや……髪下ろすと、雰囲気違うと思ってな」
サシャ「? 前も下ろしてましたよ? ほら、髪ゴム買った時とか」
ライナー「そうじゃなくてだな、その………………風呂上がりだとほら、な?」
サシャ「……すみません、私馬鹿なのでもうちょっとわかりやすく言ってください」
ライナー「あーもういい!! ……ほら、これやるよ」
サシャ「わっ……これ、四つ葉のクローバーですか? どうしたんですこれ」
ライナー「本当は花を探してたんだが、この前草刈りしたばかりだからなかなか見つからなくてな。水汲み場の近くでようやく見つけたんだがーー」
55 : ◆H4iwFNXQsw:2013/08/06(火) 22:43:15 ID:6INNEWhI
ーー ライナーの回想
コニー「何してんだ? エレン、ライナー」
エレン「お花摘み」ブチブチ
コニー「……お前らそんなメルヘンチックな趣味持ってたっけ」
ライナー「一流の男はこういうことも嗜むもんだぞコニー」ブチブチ
コニー「だからってなぁ……雑草そのまま摘むんじゃ芸がねえだろうが」ブチブチッ
エレン「あっ、おい何抜いてんだよ!」
コニー「いっぱい生えてんだからいいだろ? これをこうしてだな……」アミアミ
56 : ◆H4iwFNXQsw:2013/08/06(火) 22:44:23 ID:6INNEWhI
コニー「ほい、花冠。もとい花輪」
ライナー「……おお」
エレン「……お前そんなメルヘンチックな趣味持ってたのか」
コニー「妹によく作ってやってたんだよ、腕輪とかネックレスもできるぞ」アミアミ
エレン「すっげえな、どうやるんだそれ」ワクワク
ライナー「もう一回やって見せてくれ」ワクワク
コニー「いいぞー俺に任せろ!!」ブチブチッ
57 : ◆H4iwFNXQsw:2013/08/06(火) 22:45:55 ID:6INNEWhI
ーー 夕方 とある廊下
ライナー「……ということがあってだな」
サシャ「全部なくなっちゃったわけですね。コニーらしいです」クスッ
ライナー「……やっと笑ったか」ボソッ
サシャ「? 何か言いました?」
ライナー「いいや何も?」ワシャワシャ
サシャ「……どうして頭撫でるんです?」
ライナー「……お前ちゃんと髪乾かしてこいよ。肩のタオルはオマケか?」
サシャ「いえいえこれはですね、ミーナが乾かす前に色々髪に塗るので、先にそれを取りにーーわぷっ!?」
ライナー「いいから拭け。水滴が床に垂れたら掃除したのに台無しだろうが」ゴッシゴッシ
サシャ「もうっ! わかりましたわかりましたから!! 自分でやりますよ!!」ジタバタジタバタ
58 : ◆H4iwFNXQsw:2013/08/06(火) 22:47:29 ID:6INNEWhI
サシャ「全く……私がハゲたらライナーのせいですからね、責任取ってくださいよ?」フキフキ
ライナー「俺の髪じゃ植え替えても足しにならんだろうなぁ」
サシャ「そう思うんならやらないでくださいよ……ああっ、何本か抜けてる!?」ガーン!!
ライナー「二、三本なら大丈夫だろ。今は夏毛の季節だしな」
サシャ「私は動物じゃないですよぅ!!」プンスカ
ライナー「そうだったな、悪い悪い」
サシャ「……もう」
ライナー「詫びと言っちゃなんだが、一つ言うことなんでも聞いてやろう。何がいい?」
59 : ◆H4iwFNXQsw:2013/08/06(火) 22:48:33 ID:6INNEWhI
サシャ「……なら、少しだけ時間ください」
ライナー「……場所を変えるか?」
サシャ「ここでいいですよ。ちょっと屈んでください。届かないので」
ライナー「? ……こんな感じか?」
サシャ「えいっ」ゴツンッ
ライナー「……お前やっぱりまだ怒ってるだろ」ヒリヒリ
サシャ「違いますよ、元気のお裾分けです。ミカサからもらったので、ライナーにもお裾分けです」ヒリヒリ
ライナー「お裾分けって、お前な……」
サシャ「今日もお疲れさまでした、ライナー。明日も頑張りましょうね?」
ライナー「…………おう」
60 : ◆H4iwFNXQsw:2013/08/06(火) 22:50:23 ID:6INNEWhI
サシャ「そろそろ行きましょうか? 髪も拭いたんで、このまま食堂に行きましょう?」
ライナー「そうだな、行くか。……その草はどこかにしまえよ。間違って食うんじゃないぞ」
サシャ「食べませんってば!」ゴソゴソ
サシャ(四つ葉のクローバー……っていうことは、たくさんある中から、これを見つけたってことですよね)
サシャ(『私のものになって、私を想ってください』、か……)
サシャ(いつか、私のことも……こんな風に選んでくれたら、いいな)チラッ
ライナー「? なんだ?」
サシャ「いいえ、なんでもないです」
サシャ(この先、何があったってーー)
サシャ(ーーこの味だけは、誰にも譲りません)ギュッ
おわり
61 : ◆H4iwFNXQsw:2013/08/06(火) 22:51:27 ID:6INNEWhI
終わりです。読んでくださった方&レスくださった方ありがとうございましたー!
ここでやっと折り返しです。ほんっとズルズルダラダラと付き合わせてすみません
まあまだ秋ネタも冬ネタも消化しきってないのでまだ続くんですけどね!
ていうか飽きたら切ってくださっていいですからねマジで
62 : ◆H4iwFNXQsw:2013/08/06(火) 22:52:38 ID:6INNEWhI
ところで何か書いてほしい夏イベントありますかね 今まで出て来たの以外で
書けそうなイベントなら書かせていただきたいと思います 書けなかったらすみません
特になければ次々回くらいから秋ネタに入る予定です
それと今回はオマケがあります コニー×ユミルです。読みたい方だけどうぞー
63 :以下、名無しが深夜にお送りします:2013/08/06(火) 22:53:26 ID:sEFcsMCU
乙です!このじれったさがたまらない
64 : ◆H4iwFNXQsw:2013/08/06(火) 22:53:40 ID:6INNEWhI
・おまけ 花冠の行方
ーー 夕方 女子寮近くの廊下
ユミル「っあー、よく寝たよく寝たー」アクビ
ユミル「メシ食ったらもう一回寝るか……」スタスタ...
コニー「おーいユミル!」ブンブン
ユミル「んあ? ……なんだよコニー、走ってくるほど緊急の用事か?」
コニー「おう。ちょっと頭下げろ」
ユミル「……出会い頭に謝罪を要求される謂われはないね」スタスタ...
コニー「違ぇよ、屈めって言ってんだよ俺は!!」
ユミル「へいへい、これで満足ですかねおチビさん」
コニー「ぐっ……! まあいいや、これやるよ」パサッ
65 :以下、名無しが深夜にお送りします:2013/08/06(火) 22:53:47 ID:R0FegU6M
乙です
そろそろこのシリーズも終わりかと思っていたらまだ折り返しだったとは
今後も期待
66 : ◆H4iwFNXQsw:2013/08/06(火) 22:54:55 ID:6INNEWhI
ユミル「? ……何の真似だ? コニー」
コニー「せっかく作ったのに捨てるのはもったいなかったしよ。やる」
ユミル「なんだ、私はゴミ処理係ってか?」
コニー「違ぇよ、花もらうと女って元気になるんだろ? エレンとライナーが言ってたぞ」
ユミル「……安直」プーックスクス
コニー「なんだよ素直に受け取っとけよ、かわいくねー奴」ケッ
ユミル「うっさいな、用事が済んだならとっとと行けチビ!! ハゲ!!」
コニー「誰がハゲだ誰が!! やっぱ返せそれ!!」ピョンピョン
ユミル「やだね! ふんっ!」スタスタ...
ユミル「あーあ、虫だらけなのに、頭にのせやがってコニーの奴……」
ユミル「……」ジーッ...
ユミル「…………へへっ」
67 : ◆H4iwFNXQsw:2013/08/06(火) 22:57:13 ID:6INNEWhI
って本当はめちゃくちゃ嬉しいのに素直にお礼言えないで陰で照れてるユミルって超萌えると思いませんかね? というわけで本当に終わり
>>65 さん
デレサシャもあざといサシャも甘えサシャも書いてないのにここで終われるはずがないでしょう!! 終われるはずがないでしょう!!
68 :以下、名無しが深夜にお送りします:2013/08/06(火) 22:57:14 ID:61jCegos
やだもー、皆かわいすぎじゃないですかーやだーww
69 :以下、名無しが深夜にお送りします:2013/08/06(火) 23:40:59 ID:qFem6dh.
夏なので肝試しとか見たいです!
70 :以下、名無しが深夜にお送りします:2013/08/06(火) 23:44:45 ID:TuJfonCk
夏なら海でしょ!
進撃の世界は海と縁遠いから、川辺か湖のほとりで水掛合ったり私を捕まえてごらんなさいしたりしてキャッキャッウフフすればいいと思います!
71 :以下、名無しが深夜にお送りします:2013/08/07(水) 10:13:43 ID:2RREvVQ.
>>1さんの書くミカサはいいミカサ
そしてこんなにかっこいいライナーも珍しい
72 :以下、名無しが深夜にお送りします:2013/08/07(水) 17:14:36 ID:8w80Az9k
面白かったもえる!
77 : ◆H4iwFNXQsw:2013/08/08(木) 21:18:26 ID:5n/KnwRw
>>1です。乙くださった方&ネタ提供してくださった方ありがとうございました! 何個かありがたく使わせてもらいます
肝試しは他のSSで何度か見かけてたので避けてたんですが、せっかくなのでやろうと思います
海というか川遊びは前にやったので、ちょっと違う形で一緒に絡める予定です
というわけで次回は肝試し編です
BBQ・流し素麺・花火・盆踊りはやりたいんですけど、進撃の世界に持ち込むのがかなり難しい&>>1の妄想力不足でちょっと書けそうにないっぽいです。せっかく提案してくださったのにすみませんorz
特に花火大会だと屋台の食べ物食べ歩きとか下駄の鼻緒が切れたりとか花火見上げてたらいつの間にか距離近くなってたとか人混みではぐれたとか恋愛イベント盛りだくさんなんですけどね……
ミカサ「というわけで、えいっ」ゴツンッ
サシャ「いたっ……なんですか、今の頭突き」ヒリヒリ
ミカサ「エレンはたまにこうやって私に元気をくれる。だから、お裾分け」ヒリヒリ
サシャ「……」
ミカサ「元気出た?」
サシャ「……そうですね、今なら巨人の二、三体くらい軽く倒せそうです!」
ミカサ「それは言い過ぎ」チョップ
サシャ「あはは、痛いですよミカサ」
ミカサ「ふふっ、ごめんサシャ」ナデナデ
ミカサ「ーーさて、そろそろ行こう。濡れた服のまま風に当たっていたら風邪を引いてしまう。……一人で立てる?」
サシャ「はい、立てます。大丈夫ですよ」
48 : ◆H4iwFNXQsw:2013/08/06(火) 22:34:28 ID:6INNEWhI
ーー 昼 営庭の隅っこ
エレン「よっ、ライナー。ちゃんと掃除道具返してきたぞ!」
ライナー「ああ、ありがとうな」
エレン「で、こんなところで胡座かいて何悩んでんだ?」
ライナー「……なあエレン。少し聞きたいことがあるんだが」
エレン「!! おうっ! なんでも俺に話してみろよ!!」キラキラキラキラ
ライナー「なんでそこではしゃぐんだ? ……まあいい、お前、ミカサが機嫌悪い時はいつもどうしてる?」
エレン「必死でなだめる」
ライナー「……どうやって?」
エレン「そりゃその時にもよるんじゃねえの?」
ライナー「なら、自分が悪い場合は?」
エレン「んー……露骨に機嫌取ると逆に拗ねて面倒だからな、でも全く気にしてない素振りもキレるんだよなー」
ライナー「打つ手なし、か」
49 : ◆H4iwFNXQsw:2013/08/06(火) 22:35:44 ID:6INNEWhI
エレン「でも、アルミンに聞いた必殺の手なら知ってるぜ!」
ライナー「必殺の手?」
エレン「花をやるんだよ。一本でいいからさ」
ライナー「一輪な」
エレン「揚げ足取るなよ。でも、だいたいミカサは喜んでたな」
ライナー「花か……けど、他に好物があるならそっちのがよくないか?」
エレン「いや、そんなことないと思うぞ? 逆に他に好きなモンがあったほうがいいってアルミンは言ってたな」
ライナー「どういう意味だ?」
エレン「確か……普段あげてないものだからこそ、特別なものって感じがして喜ぶんだってよ。……よくわかんねえけど」
ライナー「……なあエレン、これから暇か?」
エレン「……兄貴からの頼みとあっちゃあ、弟としては断れねえよな?」ニッ
50 : ◆H4iwFNXQsw:2013/08/06(火) 22:36:51 ID:6INNEWhI
ーー 数時間後 昼 医務室
ユミル「あのさ。見舞いに来てくれたのは嬉しいけど、辛気くさい顔で横に座るなよ。気が滅入る」ゴロゴロ
クリスタ「うん……ごめん……」ズーン...
ユミル「ったく……いくら心配だからって柄じゃねえはしゃぎ方するなっての。空回りしてたら意味ないだろ」ナデナデ
クリスタ「はい……反省してます……」ズズーン...
ミカサ「失礼します。……クリスタ、ユミルの具合はどう?」ガチャッ
クリスタ「!! ミカサ、サシャは大丈夫だった!?」ガタッ
ミカサ「膝の辺りに青あざができただけ。今は少し早いけどお風呂に入っている。クリスタも後で行ってあげて」
クリスタ「ううん、今行ってくる! ありがとうミカサ!」
ミカサ「いってらっしゃい。転ばないように気をつけて」
クリスタ「うん! いってきます!」ガチャッ バタンッ
51 : ◆H4iwFNXQsw:2013/08/06(火) 22:37:59 ID:6INNEWhI
ユミル「……珍しい客もあったもんだ。明日は雪だな」
ミカサ「今は夏。なので、それは困る」
ユミル「で、こうして見舞いに来たってことは、なんか今日は面白いことあったのか?」
ミカサ「サシャが、やっと自覚した」
ユミル「……」
ミカサ「……」
ユミル「……そっか」
ミカサ「それだけ?」
ユミル「他に私に何か言ってほしいってのか?」
ミカサ「……じゃあ私が喋る」
ユミル「どうぞご自由に」
ミカサ「今回は暗躍お疲れさま、ユミル」
ユミル「……お前に労われると調子狂うな、ミカサ」
ミカサ「それはちょっと心外」ムー...
ユミル「てっきりまた『余計なことすんな』って怒るのかと思ったよ」
ミカサ「この前は特定の行為を無理強いしようとしていた。ので止めた。今回は違う」
ユミル「へいへい、そりゃどうも」
ミカサ「サシャは、自分の気持ちをちゃんと知る必要があった。それを知らずに残りの時間を過ごしたら、きっと後悔していた、と思う」
ミカサ「だから私はお礼を言おう。ありがとう、ユミル。サシャにきっかけを作ってくれて」
ユミル「お前に礼なんか言われると調子狂うな。ーーまあでも、これで一安心だな、ミカサお姉ちゃん?」ニヤッ
ミカサ「へへっ、ユミルの姉御にゃ敵いませんよぉ」クネクネ
ユミル「真顔で言うな気色悪い。……それでも結局、私たちは状況を引っかき回してるクソ野郎だけどな?」
ミカサ「それは、後から振り返ってみないとわからない。せめて後から思い出した時に、いい選択だったと思えるような行動をしよう」
53 : ◆H4iwFNXQsw:2013/08/06(火) 22:40:39 ID:6INNEWhI
ーー 夕方 とある廊下
サシャ「だーれもいないお風呂って、気持ちいいですねえ……」ホカホカ
サシャ(掃除……投げ出しちゃったこと、みんなに謝らないといけませんね……)スタスタ...
サシャ(あれ? あそこにいるのって、もしかして……)
サシャ「ライナー? 何してるんですか?」
ライナー「……サシャ? だよな?」
サシャ「? はい、そうですけど」
ライナー「風呂に入ってきたのか?」
サシャ「はい、あのままだと体が冷えるってミカサに言われまして」
サシャ「ついでに洗濯とか細かい後片付けとか、諸々やってたらこんな時間になっちゃいました」
54 : ◆H4iwFNXQsw:2013/08/06(火) 22:42:06 ID:6INNEWhI
ライナー「……」
サシャ「ライナー? どうかしましたか?」
ライナー「いや……髪下ろすと、雰囲気違うと思ってな」
サシャ「? 前も下ろしてましたよ? ほら、髪ゴム買った時とか」
ライナー「そうじゃなくてだな、その………………風呂上がりだとほら、な?」
サシャ「……すみません、私馬鹿なのでもうちょっとわかりやすく言ってください」
ライナー「あーもういい!! ……ほら、これやるよ」
サシャ「わっ……これ、四つ葉のクローバーですか? どうしたんですこれ」
ライナー「本当は花を探してたんだが、この前草刈りしたばかりだからなかなか見つからなくてな。水汲み場の近くでようやく見つけたんだがーー」
55 : ◆H4iwFNXQsw:2013/08/06(火) 22:43:15 ID:6INNEWhI
ーー ライナーの回想
コニー「何してんだ? エレン、ライナー」
エレン「お花摘み」ブチブチ
コニー「……お前らそんなメルヘンチックな趣味持ってたっけ」
ライナー「一流の男はこういうことも嗜むもんだぞコニー」ブチブチ
コニー「だからってなぁ……雑草そのまま摘むんじゃ芸がねえだろうが」ブチブチッ
エレン「あっ、おい何抜いてんだよ!」
コニー「いっぱい生えてんだからいいだろ? これをこうしてだな……」アミアミ
56 : ◆H4iwFNXQsw:2013/08/06(火) 22:44:23 ID:6INNEWhI
コニー「ほい、花冠。もとい花輪」
ライナー「……おお」
エレン「……お前そんなメルヘンチックな趣味持ってたのか」
コニー「妹によく作ってやってたんだよ、腕輪とかネックレスもできるぞ」アミアミ
エレン「すっげえな、どうやるんだそれ」ワクワク
ライナー「もう一回やって見せてくれ」ワクワク
コニー「いいぞー俺に任せろ!!」ブチブチッ
57 : ◆H4iwFNXQsw:2013/08/06(火) 22:45:55 ID:6INNEWhI
ーー 夕方 とある廊下
ライナー「……ということがあってだな」
サシャ「全部なくなっちゃったわけですね。コニーらしいです」クスッ
ライナー「……やっと笑ったか」ボソッ
サシャ「? 何か言いました?」
ライナー「いいや何も?」ワシャワシャ
サシャ「……どうして頭撫でるんです?」
ライナー「……お前ちゃんと髪乾かしてこいよ。肩のタオルはオマケか?」
サシャ「いえいえこれはですね、ミーナが乾かす前に色々髪に塗るので、先にそれを取りにーーわぷっ!?」
ライナー「いいから拭け。水滴が床に垂れたら掃除したのに台無しだろうが」ゴッシゴッシ
サシャ「もうっ! わかりましたわかりましたから!! 自分でやりますよ!!」ジタバタジタバタ
58 : ◆H4iwFNXQsw:2013/08/06(火) 22:47:29 ID:6INNEWhI
サシャ「全く……私がハゲたらライナーのせいですからね、責任取ってくださいよ?」フキフキ
ライナー「俺の髪じゃ植え替えても足しにならんだろうなぁ」
サシャ「そう思うんならやらないでくださいよ……ああっ、何本か抜けてる!?」ガーン!!
ライナー「二、三本なら大丈夫だろ。今は夏毛の季節だしな」
サシャ「私は動物じゃないですよぅ!!」プンスカ
ライナー「そうだったな、悪い悪い」
サシャ「……もう」
ライナー「詫びと言っちゃなんだが、一つ言うことなんでも聞いてやろう。何がいい?」
59 : ◆H4iwFNXQsw:2013/08/06(火) 22:48:33 ID:6INNEWhI
サシャ「……なら、少しだけ時間ください」
ライナー「……場所を変えるか?」
サシャ「ここでいいですよ。ちょっと屈んでください。届かないので」
ライナー「? ……こんな感じか?」
サシャ「えいっ」ゴツンッ
ライナー「……お前やっぱりまだ怒ってるだろ」ヒリヒリ
サシャ「違いますよ、元気のお裾分けです。ミカサからもらったので、ライナーにもお裾分けです」ヒリヒリ
ライナー「お裾分けって、お前な……」
サシャ「今日もお疲れさまでした、ライナー。明日も頑張りましょうね?」
ライナー「…………おう」
60 : ◆H4iwFNXQsw:2013/08/06(火) 22:50:23 ID:6INNEWhI
サシャ「そろそろ行きましょうか? 髪も拭いたんで、このまま食堂に行きましょう?」
ライナー「そうだな、行くか。……その草はどこかにしまえよ。間違って食うんじゃないぞ」
サシャ「食べませんってば!」ゴソゴソ
サシャ(四つ葉のクローバー……っていうことは、たくさんある中から、これを見つけたってことですよね)
サシャ(『私のものになって、私を想ってください』、か……)
サシャ(いつか、私のことも……こんな風に選んでくれたら、いいな)チラッ
ライナー「? なんだ?」
サシャ「いいえ、なんでもないです」
サシャ(この先、何があったってーー)
サシャ(ーーこの味だけは、誰にも譲りません)ギュッ
おわり
61 : ◆H4iwFNXQsw:2013/08/06(火) 22:51:27 ID:6INNEWhI
終わりです。読んでくださった方&レスくださった方ありがとうございましたー!
ここでやっと折り返しです。ほんっとズルズルダラダラと付き合わせてすみません
まあまだ秋ネタも冬ネタも消化しきってないのでまだ続くんですけどね!
ていうか飽きたら切ってくださっていいですからねマジで
62 : ◆H4iwFNXQsw:2013/08/06(火) 22:52:38 ID:6INNEWhI
ところで何か書いてほしい夏イベントありますかね 今まで出て来たの以外で
書けそうなイベントなら書かせていただきたいと思います 書けなかったらすみません
特になければ次々回くらいから秋ネタに入る予定です
それと今回はオマケがあります コニー×ユミルです。読みたい方だけどうぞー
63 :以下、名無しが深夜にお送りします:2013/08/06(火) 22:53:26 ID:sEFcsMCU
乙です!このじれったさがたまらない
64 : ◆H4iwFNXQsw:2013/08/06(火) 22:53:40 ID:6INNEWhI
・おまけ 花冠の行方
ーー 夕方 女子寮近くの廊下
ユミル「っあー、よく寝たよく寝たー」アクビ
ユミル「メシ食ったらもう一回寝るか……」スタスタ...
コニー「おーいユミル!」ブンブン
ユミル「んあ? ……なんだよコニー、走ってくるほど緊急の用事か?」
コニー「おう。ちょっと頭下げろ」
ユミル「……出会い頭に謝罪を要求される謂われはないね」スタスタ...
コニー「違ぇよ、屈めって言ってんだよ俺は!!」
ユミル「へいへい、これで満足ですかねおチビさん」
コニー「ぐっ……! まあいいや、これやるよ」パサッ
65 :以下、名無しが深夜にお送りします:2013/08/06(火) 22:53:47 ID:R0FegU6M
乙です
そろそろこのシリーズも終わりかと思っていたらまだ折り返しだったとは
今後も期待
66 : ◆H4iwFNXQsw:2013/08/06(火) 22:54:55 ID:6INNEWhI
ユミル「? ……何の真似だ? コニー」
コニー「せっかく作ったのに捨てるのはもったいなかったしよ。やる」
ユミル「なんだ、私はゴミ処理係ってか?」
コニー「違ぇよ、花もらうと女って元気になるんだろ? エレンとライナーが言ってたぞ」
ユミル「……安直」プーックスクス
コニー「なんだよ素直に受け取っとけよ、かわいくねー奴」ケッ
ユミル「うっさいな、用事が済んだならとっとと行けチビ!! ハゲ!!」
コニー「誰がハゲだ誰が!! やっぱ返せそれ!!」ピョンピョン
ユミル「やだね! ふんっ!」スタスタ...
ユミル「あーあ、虫だらけなのに、頭にのせやがってコニーの奴……」
ユミル「……」ジーッ...
ユミル「…………へへっ」
って本当はめちゃくちゃ嬉しいのに素直にお礼言えないで陰で照れてるユミルって超萌えると思いませんかね? というわけで本当に終わり
>>65 さん
デレサシャもあざといサシャも甘えサシャも書いてないのにここで終われるはずがないでしょう!! 終われるはずがないでしょう!!
68 :以下、名無しが深夜にお送りします:2013/08/06(火) 22:57:14 ID:61jCegos
やだもー、皆かわいすぎじゃないですかーやだーww
69 :以下、名無しが深夜にお送りします:2013/08/06(火) 23:40:59 ID:qFem6dh.
夏なので肝試しとか見たいです!
70 :以下、名無しが深夜にお送りします:2013/08/06(火) 23:44:45 ID:TuJfonCk
夏なら海でしょ!
進撃の世界は海と縁遠いから、川辺か湖のほとりで水掛合ったり私を捕まえてごらんなさいしたりしてキャッキャッウフフすればいいと思います!
71 :以下、名無しが深夜にお送りします:2013/08/07(水) 10:13:43 ID:2RREvVQ.
>>1さんの書くミカサはいいミカサ
そしてこんなにかっこいいライナーも珍しい
72 :以下、名無しが深夜にお送りします:2013/08/07(水) 17:14:36 ID:8w80Az9k
面白かったもえる!
77 : ◆H4iwFNXQsw:2013/08/08(木) 21:18:26 ID:5n/KnwRw
>>1です。乙くださった方&ネタ提供してくださった方ありがとうございました! 何個かありがたく使わせてもらいます
肝試しは他のSSで何度か見かけてたので避けてたんですが、せっかくなのでやろうと思います
海というか川遊びは前にやったので、ちょっと違う形で一緒に絡める予定です
というわけで次回は肝試し編です
BBQ・流し素麺・花火・盆踊りはやりたいんですけど、進撃の世界に持ち込むのがかなり難しい&>>1の妄想力不足でちょっと書けそうにないっぽいです。せっかく提案してくださったのにすみませんorz
特に花火大会だと屋台の食べ物食べ歩きとか下駄の鼻緒が切れたりとか花火見上げてたらいつの間にか距離近くなってたとか人混みではぐれたとか恋愛イベント盛りだくさんなんですけどね……
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