サシャ「後味悪すぎです……」
Part1
1 : ◆H4iwFNXQsw:2013/07/31(水) 19:21:59 ID:rVHB9WWE
・1『サシャ「キスの味、私に教えてください」』(過去ログ倉庫行き)
2『サシャ「この味は、ウソをついてる味ですね」』(過去ログ倉庫行き)
3『サシャ「二人だけの、秘密の味です」』(過去ログ倉庫行き)
4『サシャ「とくと味あわせてあげましょう!」』(過去ログ倉庫行き)
5『サシャ「同じ味を、知りたいですから」』(過去ログ倉庫行き)
6『サシャ「味気なくなんかないですよ?」』(過去ログ倉庫行き)
7『サシャ「……興味ないです」』(過去ログ倉庫行き)
8『サシャ「味も匂いもたまりません!」』
9『サシャ「ありがとうの味、届きましたか?」』
10『サシャ「味も見ておきましょう」』の続きです
・ほんわかとネタバレあり&いつも通りのご都合主義&展開です
2 :以下、名無しが深夜にお送りします:2013/07/31(水) 19:21:41 ID:smUSMuag
きたああああああああ
3 : ◆H4iwFNXQsw:2013/07/31(水) 19:22:51 ID:rVHB9WWE
ーー 消灯時間前 女子寮 ミカサたちの部屋
ミカサ「……」シュッシュッ
ミカサ「……」ガチャガチャ
ミカサ「……」フワフワ
ミカサ「……」ギャリンギャリン
ミカサ「……」パサパサ
ミカサ「……」ギュルンギュルン
ミカサ「……ふふふ」ニヤッ
アニ「何してんのミカサ」
ミカサ「明日のお休みの日、ダブルデートに行く。ので、その準備」ゴソゴソ
アニ「……ふうん」
4 : ◆H4iwFNXQsw:2013/07/31(水) 19:24:05 ID:rVHB9WWE
ミカサ「ちなみに、エレンとサシャとライナーと私の四人で行く」
アニ「聞いてないよ」
ミカサ「アニが聞きたそうな顔をしていたから、答えただけ」
アニ「……あんた、エレンと出かける時にはそんな入念に準備しないよね」
ミカサ「……」ピタッ
アニ「今度は何企んでるわけ? 世話を焼くのはエレンだけじゃ物足りない?」
ミカサ「……あの二人は、見てて不安。このままだと、先に進む気配がちっともない」
ミカサ「この前、密室に二人をぶち込んでみたけれど特に何もなかった。アニも知っているはず」
アニ「それは知ってるけどさ……改めて言うけど何してんのあんた。暗躍しすぎでしょ」
ミカサ「……照れる///」テレテレ
アニ「褒めてないよ」
5 : ◆H4iwFNXQsw:2013/07/31(水) 19:25:13 ID:rVHB9WWE
ミカサ「もう一押しだけすれば、すぐにでも転がっていきそうなのに」
ミカサ「あと一歩が見てて……とても、もどかしい」
アニ「あんたのエゴだよね、それ」
ミカサ「……」
アニ「……ミカサもユミルも、よくあの二人に……っていうか、サシャにちょっかい出してるけどさ」
アニ「あの子、そんなに弱くないと思うよ。私がぶん投げても、いつも自分で起き上がってくるし」
アニ「必要なら、自分の力でなんとかするんじゃない」
アニ「それでも立ち上がれなくなった時に、手を差しのべてあげるくらいで……本当は、ちょうどいいんじゃないの」
6 : ◆H4iwFNXQsw:2013/07/31(水) 19:26:38 ID:rVHB9WWE
ミカサ「……」
アニ「何?」
ミカサ「今日のアニは、よく喋る」クスッ
アニ「……うるさいよ」プイッ
ミカサ「それに、ちょっと優しい」
アニ「やめてよ。私は……そう、そうやって準備するあんたが目障りだから注意しただけ」
ミカサ「……」
アニ「……何?」
ミカサ「ありがとう。アニのアドバイス、大切にする」
アニ「いいってば、そういうの。……ところでミーナ遅くない?」
ミカサ「照れ隠しぃ」ニヤニヤ
アニ「うっさい」
ミカサ「ミーナならクリスタたちのところに寄ってくると言っていた」ゴソゴソ
7 : ◆H4iwFNXQsw:2013/07/31(水) 19:27:44 ID:rVHB9WWE
ーー 同刻 消灯時間前 女子寮 ユミルたちの部屋
ミーナ「来ましたなぁ」ニマニマ
クリスタ「ですなぁ」ニマニマ
ミーナ「ダブルデート、か……私たちには無縁の響きだよね」フッ
クリスタ「そんなことないよ! ミーナにもきっといい人がそのうち見つかるって!」
ミーナ「ううっ、ありがとうクリスタ……!」グスッ
クリスタ「いいよいいよ」ナデナデ
ミーナ「よしっ……! というわけで、恋愛初心者のクリスタちゃんにはこの私がダブルデートの何たるかを解説してあげる!」
クリスタ「うん、よろしくね!」
8 : ◆H4iwFNXQsw:2013/07/31(水) 19:28:44 ID:rVHB9WWE
ミーナ「ダブルデートのいいところは、自分たち以外の誰か……つまり第三者がいることなの」
クリスタ「近いところに他人の目があるって事だよね。……うーん、二人っきりのデートより集中できなさそうで、あんまりいいとこないって印象だけど」
ミーナ「ううん、そんなことないよ! 誰かに『見られてる』って意識することで、お互い緊張感が持てるからね」
クリスタ「緊張感?」
ミーナ「相手の女の子よりおしゃれしようとか、他の人から見て恥ずかしくないように振る舞おうとか、そういう意識が芽生えるってこと」
クリスタ「……逆に、普段見せない自分を見せるチャンスってこと?」
ミーナ「そうそう、そういうことです! だから、デート回数の多いカップルほどダブルデートはいいかもね」
クリスタ「ふうん……じゃあ、ミカサとエレンにしかメリットないんじゃ……?」
ミーナ「いえいえ、初心者にとってもメリットは多いですよー! 二人きりで何していいかわからない時に、お手本が目の前にいるわけですから」
9 : ◆H4iwFNXQsw:2013/07/31(水) 19:29:26 ID:rVHB9WWE
ミーナ「……ところでサシャ。ライナーとでかけるの何回目だっけ?」
サシャ「ええっと……3回目ですね」ポリポリ
クリスタ「ああっ!? ーーサシャ、寝る前にお菓子食べちゃダメって言ったじゃない! お肌が荒れる原因になるんだからね!! というわけで没収!!」ヒョイッ
サシャ「ああっ!? 私のお菓子ー!!」ガーン
ミーナ「まあそれは置いといて。……ねえねえ、やっぱりデートの帰り際にキスとかするの?」
サシャ「え? や、その……しません、けど」
ミーナ「へー、そうなんだ、意外」
クリスタ「サシャからおねだりはしないの?」
サシャ「おねだりですか? ……そういえばこの前」
ミーナ・クリスタ「この前!?」
サシャ「」ビクッ
10 : ◆H4iwFNXQsw:2013/07/31(水) 19:30:36 ID:rVHB9WWE
クリスタ「初耳だなぁ、それ」ニヤニヤ
ミーナ「ぜひぜひ聞きたいですなぁ」ニヤニヤ
サシャ「……~~!!///」ボンッ!!
クリスタ「サシャ! お願い!!」
ミーナ「聞きたい聞きたい!」
サシャ「ダメですっ!/// もう寝ますおやすみなさい!!///」ガバッ!!
クリスタ「こらー! 抵抗はやめて出てきなさーい! あなたはもう包囲されているー!!」ポフポフ
ミーナ「お布団ドームに閉じこもっても無駄だよー!! 諦めて投降しなさーい!!」ムニュムニュ
サシャ「いーやーでーすー!!」モゾモゾ
11 : ◆H4iwFNXQsw:2013/07/31(水) 19:33:09 ID:rVHB9WWE
サシャ(そっか……この前のって、よくよく考えたらおねだりですよね……///)ドキドキ
サシャ(ていうか、もう最初っからおねだりでしたよね……)
サシャ(キスの味が、知りたかっただけなんですが……こういうきっかけって、珍しいんですかね)
サシャ(キスって、やっぱり好きあってる人同士がやるもの、なんですよね……)
サシャ(……そんなこと言われたって、やっぱり、好きとかよくわかんないですよ)
サシャ(……ライナーはどう思ってるんでしょうか)
サシャ(確か、私のことは嫌じゃないって言っていた気がーー)
ーー 俺には好きな奴がいるんだ!
サシャ「……」ムクリ
12 : ◆H4iwFNXQsw:2013/07/31(水) 19:34:12 ID:rVHB9WWE
クリスタ「あれっ? サシャ、どうしたの?」
ミーナ「さっきはごめんね? うるさかった?」
サシャ「………………………………いえ」
クリスタ「? サシャ、具合でも悪い?」
ミーナ「うん、顔色よくないけど……?」
サシャ「…………なんでも、ないです。おやすみなさい」ポスッ
クリスタ「そう……?」
ミーナ「なら、いいんだけど……」
13 : ◆H4iwFNXQsw:2013/07/31(水) 19:35:02 ID:rVHB9WWE
サシャ(忘れてた……そういえば、好きな人いるって言ってましたよね。一番、最初に)モゾモゾ
サシャ(もしかして、今も、好きなんでしょうか……?)ズキッ
サシャ(もし、今も好きだとしたら、私……その人にも、ライナーにも、悪いことしてますよね……)ズキズキ
サシャ(…………)
サシャ(考えたく、ないな……明日だけでも、楽しく過ごしたい……)
サシャ(…………寝て、忘れましょう。それが、いいですよ)
サシャ(…………)ズキズキ
サシャ(おなか、痛いな……)モゾモゾ
14 : ◆H4iwFNXQsw:2013/07/31(水) 19:35:59 ID:rVHB9WWE
ーー 同刻 消灯時間前 男子寮 エレンたちの部屋
エレン「……ライナー、これなんだよ」
ライナー「街の地図だ」
エレン「……多くないか?」ズシッ...
ライナー「お前用に減らした方だぞ、これでも」
エレン「……ていうかライナーが覚えてるなら俺が地図覚える必要なくないか?」
ライナー「はぐれた時どうする」
エレン「兵舎に戻ればいいだろ」
ライナー「ダメだ。目は極力離さないつもりだが、万が一ということがあるからな」
エレン「過保護だな……ミカサみてえ」
ライナー「何とでも言え。今日は覚えるまで寝かせないからな」
エレン「うへー……」
15 : ◆H4iwFNXQsw:2013/07/31(水) 19:37:23 ID:rVHB9WWE
エレン「ってか、この前のスイカの代金払いに行くんだよな? 知ってる店なんだから迷うことないだろ?」
ライナー「そう思っていた時期が俺にもありました……」フッ
エレン「はぁ?」
ライナー「サシャの食欲は底なしだからな。メシ食った直後でも関係なしに、いい匂いに惹かれて何も考えずうろちょろうろちょろ歩き回るんだ」
エレン「……」
ライナー「少しでも目を離せばあっちへフラフラこっちへフラフラ……知らない人間にホイホイついていった時、俺は自分の認識の甘さを呪ったっ!!」ダンッ!!
エレン「うわぁ……ライナー、苦労してんだな……」
ライナー「……わかってくれるか?」ゼエゼエ
エレン「……理解はしたけど覚えられるかどうかは別だからな?」ペラッ
ライナー「ああ、できる限りでいいから努力してもらえると助かる」
エレン「わかったよ、ったく」ペラペラ
16 : ◆H4iwFNXQsw:2013/07/31(水) 19:38:33 ID:rVHB9WWE
ライナー「ところで、エレンの明日の持ち物はそれだけか?」
エレン「ああ。男の持ちもんはハンカチ一枚と財布一つで充分だろ」
ライナー「そんなんでいいのか?」
エレン「下手に何か持っていっても邪魔だからなー。女とでかけると大抵荷物持たせられるし」
ライナー「……お前も苦労してるな」
エレン「まだあるぞ? いつだったっけ、ミカサが慣れない靴履いてきた時なんか大変でさーー」
ライナー「ほうほう」カキカキ
ベルトルト「……エレンがライナーに手ほどきしてる」
アルミン「エレンはデートの経験値だけはべらぼうに高いからね。まあ相手はいつもミカサなんだけど」
ベルトルト「……って他人事のように言ってるけど、アルミンもそれなりに経験値はあるんじゃない? ミカサとでかけたことあるんだろ?」
アルミン「そりゃあ……皆無じゃないけどね、エレンほどじゃないよ。ミカサが最終的に頼るのはエレンだし」ゴソゴソ
17 : ◆H4iwFNXQsw:2013/07/31(水) 19:39:36 ID:rVHB9WWE
アルミン「……よし、こんなもんかな。準備できたよベルトルト」
ベルトルト「こんなに手間がかかるとは思わなかったな……ごめん、迷惑だった?」
アルミン「ううん、全然。むしろ仲間が増えて嬉しいよ! エレンはあの通りだし、マルコにも一度話したことあるんだけどそれっきりだし、あとはもう大抵すぐ逃げちゃうから」
ベルトルト「アルミン、上手だもんね。語り方とかすごいし」
アルミン「あはは、ありがとう。……じゃあ始めるね。一人百物語」
ベルトルト「いよっ、待ってました」パチパチ
エレン「……とまあ、こんなところかな」
ライナー「勉強になるな。助かった」
エレン「大袈裟だな、これくらい普通だって」
ライナー「……その普通の経験値を積めない訓練兵が何人いることやら」
エレン「?」
18 : ◆H4iwFNXQsw:2013/07/31(水) 19:40:46 ID:rVHB9WWE
エレン「そういやライナー、サシャにお礼は言ったのか?」
ライナー「礼? スイカの礼か?」
エレン「いや、この前風邪引いた時にさ、サシャが夜メシ持ってきてくれたろ。その礼だよ」
ライナー「……」
エレン「げっ……ここの通りは服屋が多いな。帰りは避けて通ろうぜ。……ライナー?」
ライナー「……初耳だ」
エレン「服屋がか?」
ライナー「そっちじゃない」
エレン「サシャがこの前来たことか? ……まあお前寝てたしな、知らなくても仕方ないだろ」パラッ
ライナー「エレンが手引きしたのか?」
エレン「? いや、俺は帰りに送っていっただけだけど」
ライナー「……そうか」
19 : ◆H4iwFNXQsw:2013/07/31(水) 19:42:11 ID:rVHB9WWE
ライナー(エレンじゃない……ってことは、部屋まで手引きした人間は別にいるってことか)
ライナー(同室ならアルミンやベルトルトだが……あいつらが何も言わないのはおかしい)
ライナー(今度ジャンやマルコ辺りに聞いてみるか)
ーー ……そうですね。それくらい前です。それからは一回も会ってないです
ライナー(……意外と信用されてないんだな)
ライナー(いや、元々でかい嘘は吐いてるんだ。信用してくれなんて……俺が言えた台詞じゃないか)
ライナー(本来なら、言えるわけがない言葉だ)
ライナー(……このことは、追求しないようにしよう)
エレン「……なあライナー、寝ていい?」ウトウト
ライナー「ダメだ」
20 : ◆H4iwFNXQsw:2013/07/31(水) 19:44:01 ID:rVHB9WWE
ーー 翌日朝 女子寮 ミカサたちの部屋
ミーナ「むふふふふ……今日もいい出来っ♪」ウットリ
サシャ「……おおっ、スカートなのに動きやすいですね」クルクルクルクル
ミーナ「なんてったって夏だからねっ! 今回はキャミソールとプリーツスカートのセットで元気よく決めてみたよ!」
クリスタ「サンダルはヒール低めのを選んだから、いざって時には走れるからね?」
ミーナ「そして髪にはっ!!」
クリスタ「プレゼントのっ!!」
ミーナ・クリスタ「「ちょうちょの髪ゴム!!」」
ミーナ・クリスタ「「……」」
ミーナ「……蝶かぁ」ウーン
クリスタ「? どうしたの? ミーナ」
ミーナ「いやかわいいにはかわいいんだけどね……なんていうかね……」ブツブツ
21 : ◆H4iwFNXQsw:2013/07/31(水) 19:45:04 ID:rVHB9WWE
アニ「……今日はスカートなんだ、サシャ」
ミカサ「代わりに私はショートパンツ。この通り、蹴りも綺麗に決まる」シュッ
クリスタ「おおー……っ!! ってミカサミカサ、隙間からぱんつ見えてる!!」
ミカサ「……///」ササッ
アニ「上段蹴りはよしといたほうがいいね」
ミカサ「……気をつける」モソモソ
アニ「……ところでユミルは? 今回もフテ寝してるわけ?」キョロキョロ
クリスタ「ううん、違うよ? なんかね、来週の大掃除当番のために色々動き回ってるみたい」
アニ「ふぅん……変なこと考えてなきゃいいけど」
・1『サシャ「キスの味、私に教えてください」』(過去ログ倉庫行き)
2『サシャ「この味は、ウソをついてる味ですね」』(過去ログ倉庫行き)
3『サシャ「二人だけの、秘密の味です」』(過去ログ倉庫行き)
4『サシャ「とくと味あわせてあげましょう!」』(過去ログ倉庫行き)
5『サシャ「同じ味を、知りたいですから」』(過去ログ倉庫行き)
6『サシャ「味気なくなんかないですよ?」』(過去ログ倉庫行き)
7『サシャ「……興味ないです」』(過去ログ倉庫行き)
8『サシャ「味も匂いもたまりません!」』
9『サシャ「ありがとうの味、届きましたか?」』
10『サシャ「味も見ておきましょう」』の続きです
・ほんわかとネタバレあり&いつも通りのご都合主義&展開です
2 :以下、名無しが深夜にお送りします:2013/07/31(水) 19:21:41 ID:smUSMuag
きたああああああああ
3 : ◆H4iwFNXQsw:2013/07/31(水) 19:22:51 ID:rVHB9WWE
ーー 消灯時間前 女子寮 ミカサたちの部屋
ミカサ「……」シュッシュッ
ミカサ「……」ガチャガチャ
ミカサ「……」フワフワ
ミカサ「……」ギャリンギャリン
ミカサ「……」パサパサ
ミカサ「……」ギュルンギュルン
ミカサ「……ふふふ」ニヤッ
アニ「何してんのミカサ」
ミカサ「明日のお休みの日、ダブルデートに行く。ので、その準備」ゴソゴソ
アニ「……ふうん」
4 : ◆H4iwFNXQsw:2013/07/31(水) 19:24:05 ID:rVHB9WWE
ミカサ「ちなみに、エレンとサシャとライナーと私の四人で行く」
アニ「聞いてないよ」
ミカサ「アニが聞きたそうな顔をしていたから、答えただけ」
アニ「……あんた、エレンと出かける時にはそんな入念に準備しないよね」
ミカサ「……」ピタッ
アニ「今度は何企んでるわけ? 世話を焼くのはエレンだけじゃ物足りない?」
ミカサ「……あの二人は、見てて不安。このままだと、先に進む気配がちっともない」
ミカサ「この前、密室に二人をぶち込んでみたけれど特に何もなかった。アニも知っているはず」
アニ「それは知ってるけどさ……改めて言うけど何してんのあんた。暗躍しすぎでしょ」
ミカサ「……照れる///」テレテレ
アニ「褒めてないよ」
5 : ◆H4iwFNXQsw:2013/07/31(水) 19:25:13 ID:rVHB9WWE
ミカサ「もう一押しだけすれば、すぐにでも転がっていきそうなのに」
ミカサ「あと一歩が見てて……とても、もどかしい」
アニ「あんたのエゴだよね、それ」
ミカサ「……」
アニ「……ミカサもユミルも、よくあの二人に……っていうか、サシャにちょっかい出してるけどさ」
アニ「あの子、そんなに弱くないと思うよ。私がぶん投げても、いつも自分で起き上がってくるし」
アニ「必要なら、自分の力でなんとかするんじゃない」
アニ「それでも立ち上がれなくなった時に、手を差しのべてあげるくらいで……本当は、ちょうどいいんじゃないの」
ミカサ「……」
アニ「何?」
ミカサ「今日のアニは、よく喋る」クスッ
アニ「……うるさいよ」プイッ
ミカサ「それに、ちょっと優しい」
アニ「やめてよ。私は……そう、そうやって準備するあんたが目障りだから注意しただけ」
ミカサ「……」
アニ「……何?」
ミカサ「ありがとう。アニのアドバイス、大切にする」
アニ「いいってば、そういうの。……ところでミーナ遅くない?」
ミカサ「照れ隠しぃ」ニヤニヤ
アニ「うっさい」
ミカサ「ミーナならクリスタたちのところに寄ってくると言っていた」ゴソゴソ
7 : ◆H4iwFNXQsw:2013/07/31(水) 19:27:44 ID:rVHB9WWE
ーー 同刻 消灯時間前 女子寮 ユミルたちの部屋
ミーナ「来ましたなぁ」ニマニマ
クリスタ「ですなぁ」ニマニマ
ミーナ「ダブルデート、か……私たちには無縁の響きだよね」フッ
クリスタ「そんなことないよ! ミーナにもきっといい人がそのうち見つかるって!」
ミーナ「ううっ、ありがとうクリスタ……!」グスッ
クリスタ「いいよいいよ」ナデナデ
ミーナ「よしっ……! というわけで、恋愛初心者のクリスタちゃんにはこの私がダブルデートの何たるかを解説してあげる!」
クリスタ「うん、よろしくね!」
8 : ◆H4iwFNXQsw:2013/07/31(水) 19:28:44 ID:rVHB9WWE
ミーナ「ダブルデートのいいところは、自分たち以外の誰か……つまり第三者がいることなの」
クリスタ「近いところに他人の目があるって事だよね。……うーん、二人っきりのデートより集中できなさそうで、あんまりいいとこないって印象だけど」
ミーナ「ううん、そんなことないよ! 誰かに『見られてる』って意識することで、お互い緊張感が持てるからね」
クリスタ「緊張感?」
ミーナ「相手の女の子よりおしゃれしようとか、他の人から見て恥ずかしくないように振る舞おうとか、そういう意識が芽生えるってこと」
クリスタ「……逆に、普段見せない自分を見せるチャンスってこと?」
ミーナ「そうそう、そういうことです! だから、デート回数の多いカップルほどダブルデートはいいかもね」
クリスタ「ふうん……じゃあ、ミカサとエレンにしかメリットないんじゃ……?」
ミーナ「いえいえ、初心者にとってもメリットは多いですよー! 二人きりで何していいかわからない時に、お手本が目の前にいるわけですから」
9 : ◆H4iwFNXQsw:2013/07/31(水) 19:29:26 ID:rVHB9WWE
ミーナ「……ところでサシャ。ライナーとでかけるの何回目だっけ?」
サシャ「ええっと……3回目ですね」ポリポリ
クリスタ「ああっ!? ーーサシャ、寝る前にお菓子食べちゃダメって言ったじゃない! お肌が荒れる原因になるんだからね!! というわけで没収!!」ヒョイッ
サシャ「ああっ!? 私のお菓子ー!!」ガーン
ミーナ「まあそれは置いといて。……ねえねえ、やっぱりデートの帰り際にキスとかするの?」
サシャ「え? や、その……しません、けど」
ミーナ「へー、そうなんだ、意外」
クリスタ「サシャからおねだりはしないの?」
サシャ「おねだりですか? ……そういえばこの前」
ミーナ・クリスタ「この前!?」
サシャ「」ビクッ
10 : ◆H4iwFNXQsw:2013/07/31(水) 19:30:36 ID:rVHB9WWE
クリスタ「初耳だなぁ、それ」ニヤニヤ
ミーナ「ぜひぜひ聞きたいですなぁ」ニヤニヤ
サシャ「……~~!!///」ボンッ!!
クリスタ「サシャ! お願い!!」
ミーナ「聞きたい聞きたい!」
サシャ「ダメですっ!/// もう寝ますおやすみなさい!!///」ガバッ!!
クリスタ「こらー! 抵抗はやめて出てきなさーい! あなたはもう包囲されているー!!」ポフポフ
ミーナ「お布団ドームに閉じこもっても無駄だよー!! 諦めて投降しなさーい!!」ムニュムニュ
サシャ「いーやーでーすー!!」モゾモゾ
11 : ◆H4iwFNXQsw:2013/07/31(水) 19:33:09 ID:rVHB9WWE
サシャ(そっか……この前のって、よくよく考えたらおねだりですよね……///)ドキドキ
サシャ(ていうか、もう最初っからおねだりでしたよね……)
サシャ(キスの味が、知りたかっただけなんですが……こういうきっかけって、珍しいんですかね)
サシャ(キスって、やっぱり好きあってる人同士がやるもの、なんですよね……)
サシャ(……そんなこと言われたって、やっぱり、好きとかよくわかんないですよ)
サシャ(……ライナーはどう思ってるんでしょうか)
サシャ(確か、私のことは嫌じゃないって言っていた気がーー)
ーー 俺には好きな奴がいるんだ!
サシャ「……」ムクリ
12 : ◆H4iwFNXQsw:2013/07/31(水) 19:34:12 ID:rVHB9WWE
クリスタ「あれっ? サシャ、どうしたの?」
ミーナ「さっきはごめんね? うるさかった?」
サシャ「………………………………いえ」
クリスタ「? サシャ、具合でも悪い?」
ミーナ「うん、顔色よくないけど……?」
サシャ「…………なんでも、ないです。おやすみなさい」ポスッ
クリスタ「そう……?」
ミーナ「なら、いいんだけど……」
13 : ◆H4iwFNXQsw:2013/07/31(水) 19:35:02 ID:rVHB9WWE
サシャ(忘れてた……そういえば、好きな人いるって言ってましたよね。一番、最初に)モゾモゾ
サシャ(もしかして、今も、好きなんでしょうか……?)ズキッ
サシャ(もし、今も好きだとしたら、私……その人にも、ライナーにも、悪いことしてますよね……)ズキズキ
サシャ(…………)
サシャ(考えたく、ないな……明日だけでも、楽しく過ごしたい……)
サシャ(…………寝て、忘れましょう。それが、いいですよ)
サシャ(…………)ズキズキ
サシャ(おなか、痛いな……)モゾモゾ
14 : ◆H4iwFNXQsw:2013/07/31(水) 19:35:59 ID:rVHB9WWE
ーー 同刻 消灯時間前 男子寮 エレンたちの部屋
エレン「……ライナー、これなんだよ」
ライナー「街の地図だ」
エレン「……多くないか?」ズシッ...
ライナー「お前用に減らした方だぞ、これでも」
エレン「……ていうかライナーが覚えてるなら俺が地図覚える必要なくないか?」
ライナー「はぐれた時どうする」
エレン「兵舎に戻ればいいだろ」
ライナー「ダメだ。目は極力離さないつもりだが、万が一ということがあるからな」
エレン「過保護だな……ミカサみてえ」
ライナー「何とでも言え。今日は覚えるまで寝かせないからな」
エレン「うへー……」
15 : ◆H4iwFNXQsw:2013/07/31(水) 19:37:23 ID:rVHB9WWE
エレン「ってか、この前のスイカの代金払いに行くんだよな? 知ってる店なんだから迷うことないだろ?」
ライナー「そう思っていた時期が俺にもありました……」フッ
エレン「はぁ?」
ライナー「サシャの食欲は底なしだからな。メシ食った直後でも関係なしに、いい匂いに惹かれて何も考えずうろちょろうろちょろ歩き回るんだ」
エレン「……」
ライナー「少しでも目を離せばあっちへフラフラこっちへフラフラ……知らない人間にホイホイついていった時、俺は自分の認識の甘さを呪ったっ!!」ダンッ!!
エレン「うわぁ……ライナー、苦労してんだな……」
ライナー「……わかってくれるか?」ゼエゼエ
エレン「……理解はしたけど覚えられるかどうかは別だからな?」ペラッ
ライナー「ああ、できる限りでいいから努力してもらえると助かる」
エレン「わかったよ、ったく」ペラペラ
16 : ◆H4iwFNXQsw:2013/07/31(水) 19:38:33 ID:rVHB9WWE
ライナー「ところで、エレンの明日の持ち物はそれだけか?」
エレン「ああ。男の持ちもんはハンカチ一枚と財布一つで充分だろ」
ライナー「そんなんでいいのか?」
エレン「下手に何か持っていっても邪魔だからなー。女とでかけると大抵荷物持たせられるし」
ライナー「……お前も苦労してるな」
エレン「まだあるぞ? いつだったっけ、ミカサが慣れない靴履いてきた時なんか大変でさーー」
ライナー「ほうほう」カキカキ
ベルトルト「……エレンがライナーに手ほどきしてる」
アルミン「エレンはデートの経験値だけはべらぼうに高いからね。まあ相手はいつもミカサなんだけど」
ベルトルト「……って他人事のように言ってるけど、アルミンもそれなりに経験値はあるんじゃない? ミカサとでかけたことあるんだろ?」
アルミン「そりゃあ……皆無じゃないけどね、エレンほどじゃないよ。ミカサが最終的に頼るのはエレンだし」ゴソゴソ
17 : ◆H4iwFNXQsw:2013/07/31(水) 19:39:36 ID:rVHB9WWE
アルミン「……よし、こんなもんかな。準備できたよベルトルト」
ベルトルト「こんなに手間がかかるとは思わなかったな……ごめん、迷惑だった?」
アルミン「ううん、全然。むしろ仲間が増えて嬉しいよ! エレンはあの通りだし、マルコにも一度話したことあるんだけどそれっきりだし、あとはもう大抵すぐ逃げちゃうから」
ベルトルト「アルミン、上手だもんね。語り方とかすごいし」
アルミン「あはは、ありがとう。……じゃあ始めるね。一人百物語」
ベルトルト「いよっ、待ってました」パチパチ
エレン「……とまあ、こんなところかな」
ライナー「勉強になるな。助かった」
エレン「大袈裟だな、これくらい普通だって」
ライナー「……その普通の経験値を積めない訓練兵が何人いることやら」
エレン「?」
18 : ◆H4iwFNXQsw:2013/07/31(水) 19:40:46 ID:rVHB9WWE
エレン「そういやライナー、サシャにお礼は言ったのか?」
ライナー「礼? スイカの礼か?」
エレン「いや、この前風邪引いた時にさ、サシャが夜メシ持ってきてくれたろ。その礼だよ」
ライナー「……」
エレン「げっ……ここの通りは服屋が多いな。帰りは避けて通ろうぜ。……ライナー?」
ライナー「……初耳だ」
エレン「服屋がか?」
ライナー「そっちじゃない」
エレン「サシャがこの前来たことか? ……まあお前寝てたしな、知らなくても仕方ないだろ」パラッ
ライナー「エレンが手引きしたのか?」
エレン「? いや、俺は帰りに送っていっただけだけど」
ライナー「……そうか」
19 : ◆H4iwFNXQsw:2013/07/31(水) 19:42:11 ID:rVHB9WWE
ライナー(エレンじゃない……ってことは、部屋まで手引きした人間は別にいるってことか)
ライナー(同室ならアルミンやベルトルトだが……あいつらが何も言わないのはおかしい)
ライナー(今度ジャンやマルコ辺りに聞いてみるか)
ーー ……そうですね。それくらい前です。それからは一回も会ってないです
ライナー(……意外と信用されてないんだな)
ライナー(いや、元々でかい嘘は吐いてるんだ。信用してくれなんて……俺が言えた台詞じゃないか)
ライナー(本来なら、言えるわけがない言葉だ)
ライナー(……このことは、追求しないようにしよう)
エレン「……なあライナー、寝ていい?」ウトウト
ライナー「ダメだ」
20 : ◆H4iwFNXQsw:2013/07/31(水) 19:44:01 ID:rVHB9WWE
ーー 翌日朝 女子寮 ミカサたちの部屋
ミーナ「むふふふふ……今日もいい出来っ♪」ウットリ
サシャ「……おおっ、スカートなのに動きやすいですね」クルクルクルクル
ミーナ「なんてったって夏だからねっ! 今回はキャミソールとプリーツスカートのセットで元気よく決めてみたよ!」
クリスタ「サンダルはヒール低めのを選んだから、いざって時には走れるからね?」
ミーナ「そして髪にはっ!!」
クリスタ「プレゼントのっ!!」
ミーナ・クリスタ「「ちょうちょの髪ゴム!!」」
ミーナ・クリスタ「「……」」
ミーナ「……蝶かぁ」ウーン
クリスタ「? どうしたの? ミーナ」
ミーナ「いやかわいいにはかわいいんだけどね……なんていうかね……」ブツブツ
アニ「……今日はスカートなんだ、サシャ」
ミカサ「代わりに私はショートパンツ。この通り、蹴りも綺麗に決まる」シュッ
クリスタ「おおー……っ!! ってミカサミカサ、隙間からぱんつ見えてる!!」
ミカサ「……///」ササッ
アニ「上段蹴りはよしといたほうがいいね」
ミカサ「……気をつける」モソモソ
アニ「……ところでユミルは? 今回もフテ寝してるわけ?」キョロキョロ
クリスタ「ううん、違うよ? なんかね、来週の大掃除当番のために色々動き回ってるみたい」
アニ「ふぅん……変なこと考えてなきゃいいけど」
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