サシャ「ありがとうの味、届きましたか?」
Part2
30 : ◆H4iwFNXQsw:2013/07/19(金) 20:56:11 ID:.aI6CQp6
ーー 昼 食堂
サシャ(……やっぱりいない)キョロキョロ
サシャ(昼ご飯、ちゃんと食べたんですかね……)ボンヤリ
ジャン「おい、いつまで座ってんだ。食い終わったんならどけよ」
サシャ「いえ、まだ終わってませんよ?」
ジャン「あぁ? 目の前の空の食器はなんだ?」
サシャ「だってジャンからパァンをもらってません!」チョーダイ!
ジャン「やらねえよ。……もういいや、時間ねえし正面座るぞ」ドカッ
サシャ「強引ですねえ……そうだ、昨日はありがとうございました!」ペコッ
ジャン「昨日?」モグモグ
31 : ◆H4iwFNXQsw:2013/07/19(金) 20:56:51 ID:.aI6CQp6
サシャ「スイカの皮運んでくれたんですよね? 本当はゴミの処理も私たちがやるはずだったんですけど……すみません、全部任せちゃって」シュン
ジャン「お前に礼なんか言われる筋合いねえって。俺はミカサのためにやったんだよ」
サシャ「……ジャンは本当にミカサ一筋ですね」クスッ
ジャン「馬鹿にしてんのか?」イラッ
サシャ「いえいえ、褒めてるんですよ?」ニコニコ
ジャン「調子狂うな……いいか? 俺は自分のことしか考えてないんだよ。他の奴らなんてどうでもいいんだ」
サシャ「じゃあそういうことにしといてあげますよー」モグモグ
ジャン「……おい、そのパンどこから持ってきた?」
サシャ「目の前からです」モグモグ
32 : ◆H4iwFNXQsw:2013/07/19(金) 20:57:35 ID:.aI6CQp6
ジャン「この芋女ぁ……!!」ギロ...ッ
サシャ「まあまあ落ち着いてください、私はタダでもらおうだなんて思ってませんよ?」
ジャン「ああ?」
サシャ「今度またミカサたちと遊ぶことになったら、必ずジャンを誘います。ーーこれでどうです?」
ジャン「……悪くねえ取引だな」
サシャ「でしょう?」モグモグ
ジャン「お互い自分のことしか考えてないから、これで手打ちにしようってか?」
サシャ「そういうことですそういうことです」コクコク
ジャン「……必ず誘えよ? 絶対だからな?」
サシャ「このパァンにかけて誓います、安心してください!」ニコッ
ジャン「まあ全部はやらねえけどな。残り返せ」ヒョイッ
サシャ「ああ……っ! 私のパァン!」ガーン
ジャン「俺のだっての」モグモグ
33 : ◆H4iwFNXQsw:2013/07/19(金) 20:58:15 ID:.aI6CQp6
ーー 夕方 アニとの特訓後 男子寮近くの通路
サシャ「……」ウロチョロウロチョロ
サシャ(上着が乾いたのはいいものの、どうやって渡しましょう……? できるだけ早めの方がいいですよね)ウロチョロウロチョロ
サシャ(ミカサに頼んで、中に侵入する道を教えてもらいましょうか……でもミカサにばっかり頼むってのは……)グヌヌ
マルコ「サシャ、何してるんだい?」
サシャ「? マルコこそ、何やってるんです? そろそろ夕食の時間ですけど、こんなところで散歩ですか?」
マルコ「ううん、これから班長会議なんだよ。今向かうところ」
サシャ「夕食返上なんですか? ……班長って大変なんですねぇ」
マルコ「後からちゃんと食べる時間はもらえるけどね」
34 : ◆H4iwFNXQsw:2013/07/19(金) 20:59:11 ID:.aI6CQp6
マルコ「それで、サシャは何の用事? ここにいたってことは男子寮の誰かに用があるとか?」
サシャ「おお、鋭いですね……さすが頭がいい人は違いますね!」
マルコ「それは関係ないと思うけど……会議までまだ時間あるから、よかったら呼んできてあげようか? 昨日のお礼にさ」
サシャ「本当ですか? ……あ、でも」モジモジ
マルコ「? どうしたの? 言いづらい?」
サシャ「いえ、そうじゃなくて……ライナーに用事があるんですけど、今日って風邪で寝込んでるんですよね?」
マルコ「ライナーか……うーん、そうだね。それなら呼び出しはちょっと無理かもなぁ」ウーン
サシャ「ですよね……」ズーン
マルコ「よかったら、僕が代わりに用件伝えてこようか? 何か渡すものがあるならついでに渡してくるよ?」
サシャ「……いえ、直接話したいので、自分でなんとかします」
マルコ「そっか、じゃあ頑張って。……僕はそろそろ行くね?」
サシャ「はい、お話聞いてくれてありがとうございました! マルコも班長会議頑張ってくださいねー!」フリフリ
35 : ◆H4iwFNXQsw:2013/07/19(金) 20:59:54 ID:.aI6CQp6
サシャ「よーし、私も頑張りましょう!」ギュッ
サシャ「それでは、まずは男子寮にーー」ハッ!
サシャ(し、しまった……!! 中に入る手引きだけでもしてもらえばよかったです……!!)ガーン
サシャ(マルコは……背中すら見えません!! なんでですか足速すぎでしょう!!)ウロチョロウロチョロ
サシャ(やっぱり明日渡すしかないでしょうか……でも……)ウロチョロウロチョロ
ベルトルト「サシャ?」
サシャ「!! ベルトルト……」
ベルトルト「夕食の配膳もう始まってるよ? 行かないの?」
サシャ「……それ、ライナーの夕食ですか?」
ベルトルト「うん、そうだよ。病人食だからみんなより少し早めに作ってもらったんだ」
サシャ「……」
ベルトルト「……?」
36 : ◆H4iwFNXQsw:2013/07/19(金) 21:00:35 ID:.aI6CQp6
サシャ「ベルトルトォッ! お願いします、一緒に部屋に連れてってくださいぃ!」ガバッ!!
ベルトルト「うわっ!! 待って待ってスープが零れる!!」
サシャ「あ、すみません」パッ
ベルトルト「ああ、びっくりした……一緒にってことは、ライナーに用事?」
サシャ「そうですそうです」コクコク
ベルトルト「その手に持ってる物を渡したいとか?」
サシャ「……頭がよくなると人の心が読めるんですか?」
ベルトルト「いや、それは違うと思うなぁ……」
37 : ◆H4iwFNXQsw:2013/07/19(金) 21:01:34 ID:.aI6CQp6
ベルトルト「無理に男子寮に入ろうとしなくても、僕が渡しておくよ? 今は夕食の時間で人は少ないけど、サシャが帰るころには人が増えて抜け出すのも大変だろうし」
サシャ「……いえ、ベルトルトの気遣いはありがたいんですけど、これは自分で直接渡したいんです」
ベルトルト「でも、たぶんライナーはまだ寝てると思うよ? それでも行きたいの?」
サシャ「……はい」
ベルトルト「……わかった。じゃあついてきて」
サシャ「やったー! ありがとうございます、ベルトルト!」バンザーイ!!
ベルトルト「その代わり、僕が案内したのは他の人には秘密だよ? ライナーにもね」
サシャ「? はい、わかりました!」
38 : ◆H4iwFNXQsw:2013/07/19(金) 21:02:20 ID:.aI6CQp6
ーー 夕方 男子寮 エレンたちの部屋
ベルトルト「はい、ここだよ」ガチャッ
サシャ「はぁい、失礼しまーす……おおー」コソコソ
サシャ(……男子寮って、女子寮とちょっと匂い違いますね)クンクン
ベルトルト「あまり必要以上に見ないようにしてね、エレンとアルミンの部屋でもあるから」
サシャ「あっ、すみません……気をつけます」シュン
ベルトルト「ライナーは……やっぱりまだ寝てるね。ーーサシャ、この後何か用事ある?」
サシャ「いえ、特にありませんよ? ご飯を食べてお風呂に入るくらいです」
ベルトルト「なら、ちょっとライナーのこと見ててくれないかな。僕、いろいろやってこなくちゃいけないことがあるから」
サシャ「へっ? それって、ここに二人きりってことになるんじゃ……」
ベルトルト「椅子は勝手に座っていいから。それじゃあね」ガチャッ
サシャ「ちょっ、ベルトルト!?」
サシャ「行っちゃいました……頭がよくなると足も速くなるんですかねー……?」
39 : ◆H4iwFNXQsw:2013/07/19(金) 21:03:10 ID:.aI6CQp6
サシャ(せっかく来たんですし……取り敢えず、顔だけは見ておきましょうかね)トコトコ
サシャ「失礼しまーす……」ヒョコッ
ライナー「……zzz」スースー
サシャ(本当に寝てますね……)
サシャ(でも、寝息は思ったより穏やかですね。顔色も悪くありませんし、これなら明日は大丈夫そうです)ホッ
サシャ(あ、額に乗せてあるタオル、乾いちゃってますね……)
サシャ(よいしょっと……)ギュー ジャバー
サシャ(絞り加減はこんな感じでいいですかね……起きませんようにー……)ソッ...
ライナー「……zzz」スースー
サシャ(よしよし。ーーそれにしても寝相いいですね。全然動きませんよ?)ジーッ
サシャ(……)
サシャ(……///)ドキドキ
サシャ(寝顔、あまり見たら悪いですよね……///)プイッ
40 : ◆H4iwFNXQsw:2013/07/19(金) 21:04:04 ID:.aI6CQp6
サシャ(うーん、待ってるだけって暇ですねー……エレンやアルミンはどこに行ったんでしょう?)キョロキョロ
サシャ(部屋の作りは女子寮とほとんど同じなんですね。前に夜中に来た時は、部屋の中まで見ませんでしたけど)キョロキョロ
サシャ(本が積んであるのはアルミンですかね。一番汚いのはエレンの机でしょうか。……一時期の私よりはキレイですが)グヌヌ
サシャ(ベルトルトは……整理整頓が行き届いてますね。物がなさ過ぎて逆に心配ですけど)
サシャ(それと……ライナーの、机……)チラッ
サシャ「……」
サシャ(……あんまり見なきゃいいんですよね?)
サシャ(……つまり、ちょっとだけならいいですよね?)ジーッ
41 : ◆H4iwFNXQsw:2013/07/19(金) 21:05:11 ID:.aI6CQp6
サシャ(とはいっても、机の上には水の入ったタライと夕食のトレイでいっぱいいっぱいなんですけどねー……)ジーッ
サシャ(机の端に今日の座学の教科書が置いてありますね……なるほど、前日に準備しとくんですね。私も見習いましょう)マジマジ
サシャ(ん? 教科書の上に、何枚かプリントが載ってますね)ペラッ
サシャ(この班長会議って、マルコが言ってたのですかね……それに室長会議? こんなのあったんですか?)
サシャ(これの他に、いろんな当番があるんですよね。こんなに毎日やることいっぱいならそりゃ倒れますよ)ムー...
サシャ「……」チラッ
サシャ「……寝てますよね?」
42 : ◆H4iwFNXQsw:2013/07/19(金) 21:06:22 ID:.aI6CQp6
サシャ(椅子は……いいや、床に座っちゃいましょう)ペタン
サシャ(よし……誰も来ませんよね?)スゥッ
サシャ「……そんなにいっぱい抱え込むから、風邪引いちゃうんですよ? わかってます?」プンスカ
サシャ「……あんまり溜め込んじゃダメですよ? 何かあったら、こんな風になる前にちゃんと私に話してくださいね? って前にも言ったはずなんですけどね」ムー...
サシャ「えーっと……あとは……」
サシャ「……やっぱり、ライナーがいないと物足りないっていうか……私も、その、寂しい、ので……」
サシャ「だから……早く元気になってくださいね?」
サシャ「……えへへ。聞こえてませんよね?」
サシャ「……」
サシャ「……聞こえて、ませんよね?」
43 : ◆H4iwFNXQsw:2013/07/19(金) 21:07:35 ID:.aI6CQp6
サシャ「……」
サシャ「……あの」モジモジ
サシャ「……」
サシャ「……」モジモジ
サシャ「いつも……、その……」
サシャ「……」
サシャ「……」
サシャ「………………………………おおきに」ボソッ
44 : ◆H4iwFNXQsw:2013/07/19(金) 21:08:41 ID:.aI6CQp6
サシャ「……」
サシャ「……~~!!///」カアアアアアアア
サシャ(うわぁっ、緊張したぁ……っ!!/// たった一言だけなのに……っ!!///)ドキドキ
サシャ(はっ、恥ずかしい……!!/// 誰も聞いてないのに恥ずかしい……っ!!///)ドキドキ
サシャ「……」チラッ
サシャ「……きっ、聞こえてませんよね?」ドキドキ
サシャ(顔が、熱い……)ドキドキ
サシャ(もう少しだけ……もう一言だけ……)スゥッ...
45 : ◆H4iwFNXQsw:2013/07/19(金) 21:09:36 ID:.aI6CQp6
エレン「とらわれーたーくつじょくーはーはんげきーのーこうしーだー♪」ガチャッ
サシャ「!!」ビクッ!!
エレン「……何してんだ? サシャ」
サシャ「ゆっ、夕食をっ! 届けに来たんですっ!!」アワアワ
エレン「ふうん。なら仕方ないな」スタスタ...
サシャ(あっ、危なかった……ていうか仕方ないで済ましちゃうんですか……)ドキドキ
エレン「ライナーはまだ寝てるのか?」ヒョイッ
サシャ「はい、そうみたいです。あ、タオルはさっき濡らしておきましたよ」
エレン「おう、ありがとな。……うん、だいぶ顔色もいいな。これなら明日には元気になってるだろ」
46 : ◆H4iwFNXQsw:2013/07/19(金) 21:10:16 ID:.aI6CQp6
サシャ「そうだ、アルミンに聞きましたよ。……病人に頭突きはないでしょう、頭突きは」ジトッ
エレン「うっ……俺だって反省してるよ。でも簡単には休まなそうだしさ、ライナーって」シュン
サシャ「ああ……そういうところありますよね。意思が固いっていうか」
エレン「そうそう。そうなったらきっとアルミンの説得も聞かないだろうし、あの時はああするしかなかったんだよ」
エレン「それに風邪は引きはじめが肝心だって、昔親父も言ってたしさー……」ムスッ
サシャ「……エレンなりにライナーを心配してやったんですよね、わかってますよ」クスッ
エレン「だよな! 俺悪くないよな!」
サシャ「頭突きはダメですけど」
エレン「……褒めて落とすなよ」シュン
サシャ「あはは、すみません。ーーでもライナーだって問題ですよ。熱出るまで頑張るなんて、人のこと馬鹿って言えませんよね!」プンスカ
エレン「そうだそうだ! 体調管理も兵士の仕事のうちだろ!」プンスカ
47 : ◆H4iwFNXQsw:2013/07/19(金) 21:11:02 ID:.aI6CQp6
エレン「ライナーのばかー」
サシャ「ライナーのあほー」
ライナー「……zzz」スースー
エレン「……」
サシャ「……」
エレン「何やってんだろうな俺たち」
サシャ「ですね」
エレン「……」
サシャ「……」
エレン「……静かにするか」シーッ
サシャ「……そうですね」シーッ
48 : ◆H4iwFNXQsw:2013/07/19(金) 21:11:43 ID:.aI6CQp6
エレン「……つまりさ、俺が言いたいのは、ライナーもたまにはゆっくり休めばいいんじゃねえかってことなんだよ」ボソボソ
サシャ「おや、意外ですね。エレンなら『兵士に休む暇なんてない!』って言うと思ったんですけど」ボソボソ
エレン「それはその通りなんだけどさ……だからって、体調崩すまで頑張るってのは違うだろ?」ボソボソ
エレン「適度に手を抜け、っていうのも違うか。なんて言えばいいんだろうなー、もうちょっと周りを頼ってくれてもいいんじゃねえの? っていうか……」ボソボソ
エレン「……あー、わっかんねえ! ーー悪いな、俺こういうこと話すの慣れてないんだよ」ボリボリ
サシャ「いえ、大丈夫ですよ。なんとなくですけどわかりました」
エレン「本当に? すげえなサシャ」
49 : ◆H4iwFNXQsw:2013/07/19(金) 21:12:31 ID:.aI6CQp6
サシャ「なんていうか、頼りになりすぎて逆に不安なんですよね」
エレン「でもおかしいよなーそれって。本当は俺たちが心配する必要なんかないはずなのにさ」
サシャ「まあその謎はそのうち改名するとして……あとはそうですね、色々背負い込みすぎっていう気がします」
エレン「うんうん。色々引き受けてくれるところは尊敬してるけどよ、なーんか見てて危なっかしいよなぁ」
サシャ「……お兄ちゃんとかいたら、こんな感じなんですかね?」
エレン「そうかもなー。俺、兄弟がいないからよくわかんないけど」
サシャ「横から見守る妹の気持ちも考えてほしいですよ、全く」プンスカ
エレン「そうだよな、弟の気持ちも考えろってんだよな」プンスカ
50 : ◆H4iwFNXQsw:2013/07/19(金) 21:13:13 ID:.aI6CQp6
サシャ「そこで、私から提案なんですけどーー今度、頑張るお兄ちゃんのために、息抜きに連れて行くってのいうのはどうですか?」
エレン「……おお、いいなそれ」
サシャ「しかもおいしいチーハン付き」
エレン「いいなそれ……!!」キラキラキラキラ
サシャ「だから、せめてこれ以上お兄ちゃんに心配かけないように、私たちは私たちで頑張りましょう?」ニコッ
エレン「そうだな……そうだよな! よし、頑張ろうぜ!」グッ!
サシャ「……エレン、静かに」シーッ
エレン「……悪い」シーッ
51 : ◆H4iwFNXQsw:2013/07/19(金) 21:13:52 ID:.aI6CQp6
ーー 夜 女子寮近くの廊下
サシャ(無事に抜け出せてよかったです。あとでエレンにお礼しないとですね)テクテク...
サシャ(そういえば……男の人の寝顔って、お父さん以外だとはじめて見ましたね……)
サシャ「……」テクテク...
サシャ(お父さんかぁ……)
サシャ「……」テクテク...
サシャ(今度、手紙でも書いてみましょうかね……)
52 : ◆H4iwFNXQsw:2013/07/19(金) 21:14:34 ID:.aI6CQp6
ーー 消灯時間前 男子寮 エレンたちの部屋
ライナー「……」パチッ ムクリ
アルミン「あ、起きたんだ。ライナー、おはよう……って時間でもないけど」
ライナー「……今何時だ?」
アルミン「消灯時間前だよ。昼に僕がご飯持ってきたんだけど、食べた覚えある?」
ライナー「全然ないな……というか起きた記憶がない」
アルミン「風邪のせいもあるだろうけど、それだけ疲れが溜まってたってことかもね。ーーところで気分はどう? 熱は?」
ライナー「下がった。明日は出られる。……エレンとベルトルトは?」
アルミン「さっきお風呂に行ったよ。僕はこの本読んでから行くつもり」ペラッ
53 : ◆H4iwFNXQsw:2013/07/19(金) 21:15:17 ID:.aI6CQp6
アルミン「それと、今日の講義のノートは僕が取っておいたよ。後で渡すね。班長会議はエレンが行ってくれたから、明日話を聞くといいよ」
ライナー「……悪いな、色々」
アルミン「これくらいお安いご用だよ。……そうだ、夕食は机の上に置いてあるから、食べられるなら食べたほうがいいと思うよ?」ペラッ
ライナー「ああ、そうする。……? この袋はなんだ?」ヒョイッ
アルミン「? 僕は知らないけど……枕元においてあったんならライナー宛じゃない? 開けてみたら?」
ライナー「……そうするか」ガサガサ
54 : ◆H4iwFNXQsw:2013/07/19(金) 21:15:58 ID:.aI6CQp6
ライナー(上着……ということはサシャからか。アルミンが知らないってことは、エレンかベルトルトが持ってきたのか?)
ライナー(他に何か入ってるな……手紙と小さな紙袋?)ガサガサ
ライナー「……」
ライナー「……」ジーッ
ライナー「……」
アルミン「なんだった?」
ライナー「俺宛だった。貸した物が返ってきたみたいだ」
アルミン「へえ……何か貸してたの?」
ライナー「……ちょっとな」
アルミン「そっか、返ってきてよかったね?」ペラッ
ライナー「ああ……」
55 : ◆H4iwFNXQsw:2013/07/19(金) 21:16:57 ID:.aI6CQp6
ライナー(小さい方の紙袋の中身は……飴か)
ライナー(まさか、サシャから食べ物をもらうなんてな……いや、そっちよりも)ペラッ
ライナー(これはサシャの字、だよな……?)ジーッ
『上着 ありがとうございました
いい匂いでした! サシャ』
ライナー「……匂い?」
おわり
56 : ◆H4iwFNXQsw:2013/07/19(金) 21:17:46 ID:.aI6CQp6
終わりです。読んでくださった方&レスくださった方ありがとうございました!兵士がそんな簡単に風邪引くか?とか思ったけどまあ気にするな
風邪イベントに手料理はつきものなんですが、手料理編はじっくりやりたかったので今回はカットしました。こうして書きたいものがどんどこ増えていく……
57 : ◆H4iwFNXQsw:2013/07/19(金) 21:22:27 ID:.aI6CQp6
貼るのに精一杯で途中で返事のレスができないんですが、途中レスは本当にいつも励みになってます!
というかこちらこそいつも読んでくださってありがとうございます……! もう読んでくれてる人みんな好きですありがとうありがとう
このシリーズの終わり方はもう決めてるんですが、途中経過はまだまだ妄想中なので、気長に付き合ってくださると嬉しいです。よろしくお願いします
58 :以下、名無しが深夜にお送りします:2013/07/19(金) 21:25:48 ID:u.epDpuY
乙乙
59 :イチゴ ◆Xe6kzkN9p.:2013/07/19(金) 21:30:14 ID:RtHXOLOs
このシリーズはほんわかするゎー
60 :以下、名無しが深夜にお送りします:2013/07/19(金) 21:37:38 ID:CbOgt4Kw
乙!良かったー!
61 :以下、名無しが深夜にお送りします:2013/07/19(金) 22:31:22 ID:g..z4gBc
乙
62 :以下、名無しが深夜にお送りします:2013/07/20(土) 00:13:24 ID:dQxbT9J6
乙!出来るなら終わらないでいつまでも続いて欲しい…
63 :以下、名無しが深夜にお送りします:2013/07/21(日) 11:50:23 ID:l1baYsjA
面白すぎる。こうなったら、訓練兵団後の戦士と兵士の葛藤もみたい。
結果は自由に改変していいんで
ーー 昼 食堂
サシャ(……やっぱりいない)キョロキョロ
サシャ(昼ご飯、ちゃんと食べたんですかね……)ボンヤリ
ジャン「おい、いつまで座ってんだ。食い終わったんならどけよ」
サシャ「いえ、まだ終わってませんよ?」
ジャン「あぁ? 目の前の空の食器はなんだ?」
サシャ「だってジャンからパァンをもらってません!」チョーダイ!
ジャン「やらねえよ。……もういいや、時間ねえし正面座るぞ」ドカッ
サシャ「強引ですねえ……そうだ、昨日はありがとうございました!」ペコッ
ジャン「昨日?」モグモグ
31 : ◆H4iwFNXQsw:2013/07/19(金) 20:56:51 ID:.aI6CQp6
サシャ「スイカの皮運んでくれたんですよね? 本当はゴミの処理も私たちがやるはずだったんですけど……すみません、全部任せちゃって」シュン
ジャン「お前に礼なんか言われる筋合いねえって。俺はミカサのためにやったんだよ」
サシャ「……ジャンは本当にミカサ一筋ですね」クスッ
ジャン「馬鹿にしてんのか?」イラッ
サシャ「いえいえ、褒めてるんですよ?」ニコニコ
ジャン「調子狂うな……いいか? 俺は自分のことしか考えてないんだよ。他の奴らなんてどうでもいいんだ」
サシャ「じゃあそういうことにしといてあげますよー」モグモグ
ジャン「……おい、そのパンどこから持ってきた?」
サシャ「目の前からです」モグモグ
32 : ◆H4iwFNXQsw:2013/07/19(金) 20:57:35 ID:.aI6CQp6
ジャン「この芋女ぁ……!!」ギロ...ッ
サシャ「まあまあ落ち着いてください、私はタダでもらおうだなんて思ってませんよ?」
ジャン「ああ?」
サシャ「今度またミカサたちと遊ぶことになったら、必ずジャンを誘います。ーーこれでどうです?」
ジャン「……悪くねえ取引だな」
サシャ「でしょう?」モグモグ
ジャン「お互い自分のことしか考えてないから、これで手打ちにしようってか?」
サシャ「そういうことですそういうことです」コクコク
ジャン「……必ず誘えよ? 絶対だからな?」
サシャ「このパァンにかけて誓います、安心してください!」ニコッ
ジャン「まあ全部はやらねえけどな。残り返せ」ヒョイッ
サシャ「ああ……っ! 私のパァン!」ガーン
ジャン「俺のだっての」モグモグ
33 : ◆H4iwFNXQsw:2013/07/19(金) 20:58:15 ID:.aI6CQp6
ーー 夕方 アニとの特訓後 男子寮近くの通路
サシャ「……」ウロチョロウロチョロ
サシャ(上着が乾いたのはいいものの、どうやって渡しましょう……? できるだけ早めの方がいいですよね)ウロチョロウロチョロ
サシャ(ミカサに頼んで、中に侵入する道を教えてもらいましょうか……でもミカサにばっかり頼むってのは……)グヌヌ
マルコ「サシャ、何してるんだい?」
サシャ「? マルコこそ、何やってるんです? そろそろ夕食の時間ですけど、こんなところで散歩ですか?」
マルコ「ううん、これから班長会議なんだよ。今向かうところ」
サシャ「夕食返上なんですか? ……班長って大変なんですねぇ」
マルコ「後からちゃんと食べる時間はもらえるけどね」
34 : ◆H4iwFNXQsw:2013/07/19(金) 20:59:11 ID:.aI6CQp6
マルコ「それで、サシャは何の用事? ここにいたってことは男子寮の誰かに用があるとか?」
サシャ「おお、鋭いですね……さすが頭がいい人は違いますね!」
マルコ「それは関係ないと思うけど……会議までまだ時間あるから、よかったら呼んできてあげようか? 昨日のお礼にさ」
サシャ「本当ですか? ……あ、でも」モジモジ
マルコ「? どうしたの? 言いづらい?」
サシャ「いえ、そうじゃなくて……ライナーに用事があるんですけど、今日って風邪で寝込んでるんですよね?」
マルコ「ライナーか……うーん、そうだね。それなら呼び出しはちょっと無理かもなぁ」ウーン
サシャ「ですよね……」ズーン
マルコ「よかったら、僕が代わりに用件伝えてこようか? 何か渡すものがあるならついでに渡してくるよ?」
サシャ「……いえ、直接話したいので、自分でなんとかします」
マルコ「そっか、じゃあ頑張って。……僕はそろそろ行くね?」
サシャ「はい、お話聞いてくれてありがとうございました! マルコも班長会議頑張ってくださいねー!」フリフリ
サシャ「よーし、私も頑張りましょう!」ギュッ
サシャ「それでは、まずは男子寮にーー」ハッ!
サシャ(し、しまった……!! 中に入る手引きだけでもしてもらえばよかったです……!!)ガーン
サシャ(マルコは……背中すら見えません!! なんでですか足速すぎでしょう!!)ウロチョロウロチョロ
サシャ(やっぱり明日渡すしかないでしょうか……でも……)ウロチョロウロチョロ
ベルトルト「サシャ?」
サシャ「!! ベルトルト……」
ベルトルト「夕食の配膳もう始まってるよ? 行かないの?」
サシャ「……それ、ライナーの夕食ですか?」
ベルトルト「うん、そうだよ。病人食だからみんなより少し早めに作ってもらったんだ」
サシャ「……」
ベルトルト「……?」
36 : ◆H4iwFNXQsw:2013/07/19(金) 21:00:35 ID:.aI6CQp6
サシャ「ベルトルトォッ! お願いします、一緒に部屋に連れてってくださいぃ!」ガバッ!!
ベルトルト「うわっ!! 待って待ってスープが零れる!!」
サシャ「あ、すみません」パッ
ベルトルト「ああ、びっくりした……一緒にってことは、ライナーに用事?」
サシャ「そうですそうです」コクコク
ベルトルト「その手に持ってる物を渡したいとか?」
サシャ「……頭がよくなると人の心が読めるんですか?」
ベルトルト「いや、それは違うと思うなぁ……」
37 : ◆H4iwFNXQsw:2013/07/19(金) 21:01:34 ID:.aI6CQp6
ベルトルト「無理に男子寮に入ろうとしなくても、僕が渡しておくよ? 今は夕食の時間で人は少ないけど、サシャが帰るころには人が増えて抜け出すのも大変だろうし」
サシャ「……いえ、ベルトルトの気遣いはありがたいんですけど、これは自分で直接渡したいんです」
ベルトルト「でも、たぶんライナーはまだ寝てると思うよ? それでも行きたいの?」
サシャ「……はい」
ベルトルト「……わかった。じゃあついてきて」
サシャ「やったー! ありがとうございます、ベルトルト!」バンザーイ!!
ベルトルト「その代わり、僕が案内したのは他の人には秘密だよ? ライナーにもね」
サシャ「? はい、わかりました!」
38 : ◆H4iwFNXQsw:2013/07/19(金) 21:02:20 ID:.aI6CQp6
ーー 夕方 男子寮 エレンたちの部屋
ベルトルト「はい、ここだよ」ガチャッ
サシャ「はぁい、失礼しまーす……おおー」コソコソ
サシャ(……男子寮って、女子寮とちょっと匂い違いますね)クンクン
ベルトルト「あまり必要以上に見ないようにしてね、エレンとアルミンの部屋でもあるから」
サシャ「あっ、すみません……気をつけます」シュン
ベルトルト「ライナーは……やっぱりまだ寝てるね。ーーサシャ、この後何か用事ある?」
サシャ「いえ、特にありませんよ? ご飯を食べてお風呂に入るくらいです」
ベルトルト「なら、ちょっとライナーのこと見ててくれないかな。僕、いろいろやってこなくちゃいけないことがあるから」
サシャ「へっ? それって、ここに二人きりってことになるんじゃ……」
ベルトルト「椅子は勝手に座っていいから。それじゃあね」ガチャッ
サシャ「ちょっ、ベルトルト!?」
サシャ「行っちゃいました……頭がよくなると足も速くなるんですかねー……?」
39 : ◆H4iwFNXQsw:2013/07/19(金) 21:03:10 ID:.aI6CQp6
サシャ(せっかく来たんですし……取り敢えず、顔だけは見ておきましょうかね)トコトコ
サシャ「失礼しまーす……」ヒョコッ
ライナー「……zzz」スースー
サシャ(本当に寝てますね……)
サシャ(でも、寝息は思ったより穏やかですね。顔色も悪くありませんし、これなら明日は大丈夫そうです)ホッ
サシャ(あ、額に乗せてあるタオル、乾いちゃってますね……)
サシャ(よいしょっと……)ギュー ジャバー
サシャ(絞り加減はこんな感じでいいですかね……起きませんようにー……)ソッ...
ライナー「……zzz」スースー
サシャ(よしよし。ーーそれにしても寝相いいですね。全然動きませんよ?)ジーッ
サシャ(……)
サシャ(……///)ドキドキ
サシャ(寝顔、あまり見たら悪いですよね……///)プイッ
40 : ◆H4iwFNXQsw:2013/07/19(金) 21:04:04 ID:.aI6CQp6
サシャ(うーん、待ってるだけって暇ですねー……エレンやアルミンはどこに行ったんでしょう?)キョロキョロ
サシャ(部屋の作りは女子寮とほとんど同じなんですね。前に夜中に来た時は、部屋の中まで見ませんでしたけど)キョロキョロ
サシャ(本が積んであるのはアルミンですかね。一番汚いのはエレンの机でしょうか。……一時期の私よりはキレイですが)グヌヌ
サシャ(ベルトルトは……整理整頓が行き届いてますね。物がなさ過ぎて逆に心配ですけど)
サシャ(それと……ライナーの、机……)チラッ
サシャ「……」
サシャ(……あんまり見なきゃいいんですよね?)
サシャ(……つまり、ちょっとだけならいいですよね?)ジーッ
41 : ◆H4iwFNXQsw:2013/07/19(金) 21:05:11 ID:.aI6CQp6
サシャ(とはいっても、机の上には水の入ったタライと夕食のトレイでいっぱいいっぱいなんですけどねー……)ジーッ
サシャ(机の端に今日の座学の教科書が置いてありますね……なるほど、前日に準備しとくんですね。私も見習いましょう)マジマジ
サシャ(ん? 教科書の上に、何枚かプリントが載ってますね)ペラッ
サシャ(この班長会議って、マルコが言ってたのですかね……それに室長会議? こんなのあったんですか?)
サシャ(これの他に、いろんな当番があるんですよね。こんなに毎日やることいっぱいならそりゃ倒れますよ)ムー...
サシャ「……」チラッ
サシャ「……寝てますよね?」
42 : ◆H4iwFNXQsw:2013/07/19(金) 21:06:22 ID:.aI6CQp6
サシャ(椅子は……いいや、床に座っちゃいましょう)ペタン
サシャ(よし……誰も来ませんよね?)スゥッ
サシャ「……そんなにいっぱい抱え込むから、風邪引いちゃうんですよ? わかってます?」プンスカ
サシャ「……あんまり溜め込んじゃダメですよ? 何かあったら、こんな風になる前にちゃんと私に話してくださいね? って前にも言ったはずなんですけどね」ムー...
サシャ「えーっと……あとは……」
サシャ「……やっぱり、ライナーがいないと物足りないっていうか……私も、その、寂しい、ので……」
サシャ「だから……早く元気になってくださいね?」
サシャ「……えへへ。聞こえてませんよね?」
サシャ「……」
サシャ「……聞こえて、ませんよね?」
43 : ◆H4iwFNXQsw:2013/07/19(金) 21:07:35 ID:.aI6CQp6
サシャ「……」
サシャ「……あの」モジモジ
サシャ「……」
サシャ「……」モジモジ
サシャ「いつも……、その……」
サシャ「……」
サシャ「……」
サシャ「………………………………おおきに」ボソッ
44 : ◆H4iwFNXQsw:2013/07/19(金) 21:08:41 ID:.aI6CQp6
サシャ「……」
サシャ「……~~!!///」カアアアアアアア
サシャ(うわぁっ、緊張したぁ……っ!!/// たった一言だけなのに……っ!!///)ドキドキ
サシャ(はっ、恥ずかしい……!!/// 誰も聞いてないのに恥ずかしい……っ!!///)ドキドキ
サシャ「……」チラッ
サシャ「……きっ、聞こえてませんよね?」ドキドキ
サシャ(顔が、熱い……)ドキドキ
サシャ(もう少しだけ……もう一言だけ……)スゥッ...
45 : ◆H4iwFNXQsw:2013/07/19(金) 21:09:36 ID:.aI6CQp6
エレン「とらわれーたーくつじょくーはーはんげきーのーこうしーだー♪」ガチャッ
サシャ「!!」ビクッ!!
エレン「……何してんだ? サシャ」
サシャ「ゆっ、夕食をっ! 届けに来たんですっ!!」アワアワ
エレン「ふうん。なら仕方ないな」スタスタ...
サシャ(あっ、危なかった……ていうか仕方ないで済ましちゃうんですか……)ドキドキ
エレン「ライナーはまだ寝てるのか?」ヒョイッ
サシャ「はい、そうみたいです。あ、タオルはさっき濡らしておきましたよ」
エレン「おう、ありがとな。……うん、だいぶ顔色もいいな。これなら明日には元気になってるだろ」
46 : ◆H4iwFNXQsw:2013/07/19(金) 21:10:16 ID:.aI6CQp6
サシャ「そうだ、アルミンに聞きましたよ。……病人に頭突きはないでしょう、頭突きは」ジトッ
エレン「うっ……俺だって反省してるよ。でも簡単には休まなそうだしさ、ライナーって」シュン
サシャ「ああ……そういうところありますよね。意思が固いっていうか」
エレン「そうそう。そうなったらきっとアルミンの説得も聞かないだろうし、あの時はああするしかなかったんだよ」
エレン「それに風邪は引きはじめが肝心だって、昔親父も言ってたしさー……」ムスッ
サシャ「……エレンなりにライナーを心配してやったんですよね、わかってますよ」クスッ
エレン「だよな! 俺悪くないよな!」
サシャ「頭突きはダメですけど」
エレン「……褒めて落とすなよ」シュン
サシャ「あはは、すみません。ーーでもライナーだって問題ですよ。熱出るまで頑張るなんて、人のこと馬鹿って言えませんよね!」プンスカ
エレン「そうだそうだ! 体調管理も兵士の仕事のうちだろ!」プンスカ
47 : ◆H4iwFNXQsw:2013/07/19(金) 21:11:02 ID:.aI6CQp6
エレン「ライナーのばかー」
サシャ「ライナーのあほー」
ライナー「……zzz」スースー
エレン「……」
サシャ「……」
エレン「何やってんだろうな俺たち」
サシャ「ですね」
エレン「……」
サシャ「……」
エレン「……静かにするか」シーッ
サシャ「……そうですね」シーッ
48 : ◆H4iwFNXQsw:2013/07/19(金) 21:11:43 ID:.aI6CQp6
エレン「……つまりさ、俺が言いたいのは、ライナーもたまにはゆっくり休めばいいんじゃねえかってことなんだよ」ボソボソ
サシャ「おや、意外ですね。エレンなら『兵士に休む暇なんてない!』って言うと思ったんですけど」ボソボソ
エレン「それはその通りなんだけどさ……だからって、体調崩すまで頑張るってのは違うだろ?」ボソボソ
エレン「適度に手を抜け、っていうのも違うか。なんて言えばいいんだろうなー、もうちょっと周りを頼ってくれてもいいんじゃねえの? っていうか……」ボソボソ
エレン「……あー、わっかんねえ! ーー悪いな、俺こういうこと話すの慣れてないんだよ」ボリボリ
サシャ「いえ、大丈夫ですよ。なんとなくですけどわかりました」
エレン「本当に? すげえなサシャ」
49 : ◆H4iwFNXQsw:2013/07/19(金) 21:12:31 ID:.aI6CQp6
サシャ「なんていうか、頼りになりすぎて逆に不安なんですよね」
エレン「でもおかしいよなーそれって。本当は俺たちが心配する必要なんかないはずなのにさ」
サシャ「まあその謎はそのうち改名するとして……あとはそうですね、色々背負い込みすぎっていう気がします」
エレン「うんうん。色々引き受けてくれるところは尊敬してるけどよ、なーんか見てて危なっかしいよなぁ」
サシャ「……お兄ちゃんとかいたら、こんな感じなんですかね?」
エレン「そうかもなー。俺、兄弟がいないからよくわかんないけど」
サシャ「横から見守る妹の気持ちも考えてほしいですよ、全く」プンスカ
エレン「そうだよな、弟の気持ちも考えろってんだよな」プンスカ
サシャ「そこで、私から提案なんですけどーー今度、頑張るお兄ちゃんのために、息抜きに連れて行くってのいうのはどうですか?」
エレン「……おお、いいなそれ」
サシャ「しかもおいしいチーハン付き」
エレン「いいなそれ……!!」キラキラキラキラ
サシャ「だから、せめてこれ以上お兄ちゃんに心配かけないように、私たちは私たちで頑張りましょう?」ニコッ
エレン「そうだな……そうだよな! よし、頑張ろうぜ!」グッ!
サシャ「……エレン、静かに」シーッ
エレン「……悪い」シーッ
51 : ◆H4iwFNXQsw:2013/07/19(金) 21:13:52 ID:.aI6CQp6
ーー 夜 女子寮近くの廊下
サシャ(無事に抜け出せてよかったです。あとでエレンにお礼しないとですね)テクテク...
サシャ(そういえば……男の人の寝顔って、お父さん以外だとはじめて見ましたね……)
サシャ「……」テクテク...
サシャ(お父さんかぁ……)
サシャ「……」テクテク...
サシャ(今度、手紙でも書いてみましょうかね……)
52 : ◆H4iwFNXQsw:2013/07/19(金) 21:14:34 ID:.aI6CQp6
ーー 消灯時間前 男子寮 エレンたちの部屋
ライナー「……」パチッ ムクリ
アルミン「あ、起きたんだ。ライナー、おはよう……って時間でもないけど」
ライナー「……今何時だ?」
アルミン「消灯時間前だよ。昼に僕がご飯持ってきたんだけど、食べた覚えある?」
ライナー「全然ないな……というか起きた記憶がない」
アルミン「風邪のせいもあるだろうけど、それだけ疲れが溜まってたってことかもね。ーーところで気分はどう? 熱は?」
ライナー「下がった。明日は出られる。……エレンとベルトルトは?」
アルミン「さっきお風呂に行ったよ。僕はこの本読んでから行くつもり」ペラッ
53 : ◆H4iwFNXQsw:2013/07/19(金) 21:15:17 ID:.aI6CQp6
アルミン「それと、今日の講義のノートは僕が取っておいたよ。後で渡すね。班長会議はエレンが行ってくれたから、明日話を聞くといいよ」
ライナー「……悪いな、色々」
アルミン「これくらいお安いご用だよ。……そうだ、夕食は机の上に置いてあるから、食べられるなら食べたほうがいいと思うよ?」ペラッ
ライナー「ああ、そうする。……? この袋はなんだ?」ヒョイッ
アルミン「? 僕は知らないけど……枕元においてあったんならライナー宛じゃない? 開けてみたら?」
ライナー「……そうするか」ガサガサ
54 : ◆H4iwFNXQsw:2013/07/19(金) 21:15:58 ID:.aI6CQp6
ライナー(上着……ということはサシャからか。アルミンが知らないってことは、エレンかベルトルトが持ってきたのか?)
ライナー(他に何か入ってるな……手紙と小さな紙袋?)ガサガサ
ライナー「……」
ライナー「……」ジーッ
ライナー「……」
アルミン「なんだった?」
ライナー「俺宛だった。貸した物が返ってきたみたいだ」
アルミン「へえ……何か貸してたの?」
ライナー「……ちょっとな」
アルミン「そっか、返ってきてよかったね?」ペラッ
ライナー「ああ……」
55 : ◆H4iwFNXQsw:2013/07/19(金) 21:16:57 ID:.aI6CQp6
ライナー(小さい方の紙袋の中身は……飴か)
ライナー(まさか、サシャから食べ物をもらうなんてな……いや、そっちよりも)ペラッ
ライナー(これはサシャの字、だよな……?)ジーッ
『上着 ありがとうございました
いい匂いでした! サシャ』
ライナー「……匂い?」
おわり
56 : ◆H4iwFNXQsw:2013/07/19(金) 21:17:46 ID:.aI6CQp6
終わりです。読んでくださった方&レスくださった方ありがとうございました!兵士がそんな簡単に風邪引くか?とか思ったけどまあ気にするな
風邪イベントに手料理はつきものなんですが、手料理編はじっくりやりたかったので今回はカットしました。こうして書きたいものがどんどこ増えていく……
57 : ◆H4iwFNXQsw:2013/07/19(金) 21:22:27 ID:.aI6CQp6
貼るのに精一杯で途中で返事のレスができないんですが、途中レスは本当にいつも励みになってます!
というかこちらこそいつも読んでくださってありがとうございます……! もう読んでくれてる人みんな好きですありがとうありがとう
このシリーズの終わり方はもう決めてるんですが、途中経過はまだまだ妄想中なので、気長に付き合ってくださると嬉しいです。よろしくお願いします
58 :以下、名無しが深夜にお送りします:2013/07/19(金) 21:25:48 ID:u.epDpuY
乙乙
59 :イチゴ ◆Xe6kzkN9p.:2013/07/19(金) 21:30:14 ID:RtHXOLOs
このシリーズはほんわかするゎー
60 :以下、名無しが深夜にお送りします:2013/07/19(金) 21:37:38 ID:CbOgt4Kw
乙!良かったー!
61 :以下、名無しが深夜にお送りします:2013/07/19(金) 22:31:22 ID:g..z4gBc
乙
62 :以下、名無しが深夜にお送りします:2013/07/20(土) 00:13:24 ID:dQxbT9J6
乙!出来るなら終わらないでいつまでも続いて欲しい…
63 :以下、名無しが深夜にお送りします:2013/07/21(日) 11:50:23 ID:l1baYsjA
面白すぎる。こうなったら、訓練兵団後の戦士と兵士の葛藤もみたい。
結果は自由に改変していいんで
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