しんのすけ「わたししんちゃん。今、あなたの後ろにいるの」フーっ
Part2
71 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2013/03/08(金) 03:00:18.65 ID:njixoIcL0
「去年ね、うちで飼ってたシロが死んだでしょ。ちょうど春休みで。シロが突然寝たきりになったとき、率先してお世話していたのはおにいちゃんなの。
シロは自分の力で立つことも動くことも食べることも出来なくなって、それをらおにいちゃんが一生懸命お世話してたの。
自分の部屋に入れて、からだが冷えないように暖めてあげたり、オムツを交換してただれたおしりに薬塗ったり。注射器ですこしづつ餌やお水与えたり。シロガ、クーンとなくと何を訴えているのか、わかるみたいに色々お世話していたんだ」
72 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2013/03/08(金) 03:01:15.02 ID:+/K26Xa30
そうか、さすがにシロは…そうだよな
73 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2013/03/08(金) 03:04:09.03 ID:qzRbUEAs0
シロ…
思春期に飼い犬が死ぬのは良いことだとは言うが…
74 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2013/03/08(金) 03:06:03.47 ID:njixoIcL0
「春休みがおわる前日の昼に、みんなで看取られる形でシロは息を引き取ったんだけど、私たちが悲しむなか、おにいちゃんは泣きながらも頑張ったね偉かったぞって、シロの小さくなった亡骸を、抱えながらそういってた。
おにいちゃんは本当にシロのことすきだったんだなーって、その時すごく思った。
シロもこんなに愛されてしあわせだったんだろうなーって
私もおにいちゃんのこと大好きよ。色々振り回されて疲れてしまうこともあるけど、おにいちゃんの妹でよかったって思うの」
そういって照れ笑いをしてまた公園の入口を見つめる
みんなで集まって30分以上経過しているのにしんのすけはまだあらわれない
75 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2013/03/08(金) 03:06:54.02 ID:qzRbUEAs0
しんのすけ早よ来いよ
不安になるだろ
76 :くずもち ◆w66sYQ3lW6 :2013/03/08(金) 03:07:54.29 ID:GBPJWg12i
しんのすけ…
77 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2013/03/08(金) 03:09:06.90 ID:ZQbHpNm70
俺疲れてんのかな
シロが死ぬとこ想像したら目から汗が…
78 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2013/03/08(金) 03:11:44.47 ID:njixoIcL0
「しんのすけ、おそいなー」
少し不安になり電話をかけようと携帯を取り出したとき
「おーまーたーせー」
としんのすけが走ってきた。
「おにいちゃん遅い!」
「そうよ、心配したんだからね!」
「ごめんごめん」
ひまわりちゃんとネネちゃんにブーブー言われて困ったようにしんのすけは頭を掻いていた。
「ところで、それ、なに?」
ボーちゃんがしんのすけの持ってる紙袋を指さした。
「これ?………ジャーン!夏の風物詩の花火ぃー。
俺思ったんだよ。花火大会には行ったけどこういう手持ち花火をしていないことに!で、記念に写真もってことで、カメラも持ってきた。ポラロイドだぞ」
79 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2013/03/08(金) 03:13:30.33 ID:Ff/rhFxh0
よかった
82 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2013/03/08(金) 03:17:54.17 ID:njixoIcL0
僕たちはしんのすけの持ってきた花火を楽しんだ。
みんなでたくさん写真を撮る。
花火はあっという間に終わる。
「あのさ、俺、もうひとつやりたいことがあるんだ。俺、本当にこのメンバーが好きなんだ。今年の夏はスゲー楽しかった。
絶対忘れたくないし、忘れないでほしいって思った。
それでどうしたらこの夏の思い出をとっておけるだろうと思ったらこれが浮かんで……。なんていうのかなー タイムカプセルってやつ?
あれだったら今年の夏をそのまま保管できる気がして……
俺たちの過ごした証っていうか……この夏俺たちは一緒にいたんだよって…」
しんのすけのしんみりとした口調。寂しげな表情。
どうして彼はこんなにも悲しそうなのだろう。
85 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2013/03/08(金) 03:19:28.43 ID:qzRbUEAs0
しんのすけ、どうした
88 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2013/03/08(金) 03:23:19.22 ID:njixoIcL0
「タイムカプセルいいと思う!」
「うん、素敵よ」
「おもしろそうっ」
「しんのすけにしてはいい考えだ」
「賛成賛成ー♪」
みんなが口々にタイムカプセルを作ることに賛同した。
しんのすけは安心した表情になった。
「よかった。でさ、タイムカプセルっていうのは手紙が付き物だろう。俺は先に書いてきたからみんなにも書いてほしい。別に誰にあててもいい。自分でも、みんなにあてた手紙でも。
俺は埋める穴を掘ってるからその間に書いてて」
そういいながらしんのすけはみんなに、便箋とペンを配る。
「しんのすけ、タイムカプセルはいつ開けるんだ?」
「うーん、そうだな。……10年後。10年後の今日に開けよう」
90 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2013/03/08(金) 03:26:01.07 ID:njixoIcL0
「よしこれでいい」
手紙を書き終えた僕たちは しんのすけが用意した缶に手紙を入れて、土のなかに埋めた。
みんな名残惜しそうに公園に残っていたが、やかてそれぞれ家路につく。
「それじゃ みんな元気で!」
と笑っててをふったしんのすけに「明日も会えるだろ!」とわらって別れた。
93 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2013/03/08(金) 03:28:28.00 ID:njixoIcL0
9月1日
今日からまた学校だ。夏休みを終えた僕ら受験生は更に勉強が忙しくなる。
僕の目指す大学は一応合格圏内ではあるが油断は禁物だ。
いつもの時間に家をでて、いつものペースで歩いてたはずだった。
だけど、学校が近づいてきてもしんのすけはあらわれない。
94 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2013/03/08(金) 03:31:01.87 ID:Ff/rhFxh0
あぁ
97 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2013/03/08(金) 03:33:07.92 ID:njixoIcL0
どうしたんだろうと後ろを振り返ると、ひまわりちゃんが走ってくるのが見えた。
「おはよー風間さん」
「おはよー。ねえ、しんのすけは?」
そう問うとひまわりちゃんはキョトンとした顔をして僕の顔をみた。
「しんのすけ?友達ですか?私、そんな人知りませんよー」
冗談を言ってるのだろうと思った。それともけんかでもしたのかと。
「ひまわりちゃんのおにいちゃんだろ?」
「なにいってんですか?私におにいちゃんいないの知ってるくせに。私は一人っ子ですよーだ。昨日、帰り遅かったから寝ぼけてるの?」
ひまわりちゃんはなにを言っているのだろうか。
それともひどい喧嘩でもしたんだろうか?
98 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2013/03/08(金) 03:33:47.35 ID:qzRbUEAs0
おい
99 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2013/03/08(金) 03:34:03.38 ID:8ivqwbMg0
きたよ…
103 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2013/03/08(金) 03:36:53.11 ID:njixoIcL0
教室のドアを開け、自分の席へ向かう。
ネネちゃん、ボーちゃんはいたがしんのすけの机はぽっかりと空いていた。
「あっ、風間くんおはよー♪」
「おはよ。」
「おはよー。ねぇしんのすけは?」
「しんのすけ?誰それ、別のクラスの子?」
「えっ?なにいってんの?しんのすけだよ。野原しんのすけ!ひまわりちゃんといい、ネネちゃんといい、しんのすけと喧嘩でもしたの?」
「だから、そんな人知らないわよ!風間くん夏休みボケ?」
104 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2013/03/08(金) 03:40:00.90 ID:njixoIcL0
僕は混乱した。なぜみんなしんのすけのこと知らないというのだろう。
「しんのすけだよ?昨日も一緒に過ごしたじゃないか」
「なにいってんの?昨日は私とボーちゃんとマサオにひまちゃんの五人だけだったでしょ」
「そのとーりっ」
みんななにをいっているのだろう。僕には訳がわからない。
「ネネちゃんの彼氏だよ?僕らの幼馴染みの……」
「私に彼氏なんていないわよっ」
107 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2013/03/08(金) 03:42:32.41 ID:njixoIcL0
埒があかないと思った僕は携帯を取りだし、しんのすけに電話をしようと思った。
だが、電話帳をいくら探してもしんのすけの名前は出てこない。
「なんで……」
僕はしんのすけの自宅に電話をかけることにした。小さいころ何度もかけたその番号は今でも忘れずに覚えている。
109 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2013/03/08(金) 03:46:15.42 ID:njixoIcL0
『はい、野原です』しんのすけのママの声。
「あっ、風間です。しんのすけお願いします」
『えっ?しんのすけ?うちにはそんな子いないわよ?風間くんもしかして間違い電話?』
頭が真っ白になった。何故みんなしんのすけのことを忘れてしまったのだろう。
まるで最初からしんのすけなんて存在しなかったように。
しんのすけの寂しげな表情を思い出した。
忘れられない夏にしたい……そう言っていたしんのすけ。
彼はどこにいってしまったのだろう
114 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2013/03/08(金) 03:50:31.89 ID:njixoIcL0
家に帰ってアルバムをめくってみた。でも写ってるはずのしんのすけの姿はどこにもない。
何故?
どうしてしんのすけのいた証がすべて消えているのだろう
僕はみんなで埋めたタイムカプセルを思い出した。
『今年の夏をそのまま保管できる気がして。俺たちの過ごした証っていうか…この夏一緒にいたんだよって』
寂しそうで悲しそうだったしんのすけ
もしかしたら、あのタイムカプセルだったら、しんのすけのいた証が残っているのでは……そう思った。
だがいま開けてしまうと、僕もしんのすけのことを忘れてしまう気がした。
116 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2013/03/08(金) 03:52:55.91 ID:njixoIcL0
しんのすけが何故あんなにも思い出を作りたかったのか。
忘れないでほしいと言っていたしんのすけ。
ボクまでもがしんのすけのことを忘れたら、しんのすけが、かわいそうな気がした。
日曜日、僕はひまわりちゃんと会う約束を、していた。
いつも元気いっぱいの彼女が今日はなんだか寂しげに見えた。
117 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2013/03/08(金) 03:53:21.71 ID:qzRbUEAs0
風間頑張れ
118 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2013/03/08(金) 03:56:12.04 ID:njixoIcL0
「この間、風間さん私に変なこと言ったでしょ?あれ?しんのすけは?って。君のお兄さんのしんのすけは?って」
うつむき加減にひまわりちゃんはそう言った。
「風間さん変なこと言うなって。私が一人っ子たって知ってるのに。それをね、うちに帰ってママに言ったんだ。
風間さんがこんなこと言うんだよーって。そしたらママ急に真顔になって……」
そこで息をひとつはくと、握っていた僕のてに力を込める
121 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2013/03/08(金) 04:01:28.65 ID:njixoIcL0
「私にはおにいちゃんがいたんだって。とはいっても産まれてはないけど……
生まれる少し前にね、買い物に出掛けてたママがバイクに乗ったひったくりあって、倒れて流産しちゃったんだって。
産まれてたら多分風間さんと同じくらいよ。ママたちは名前まで考えていたんだって。
それが……しんのすけ……。風間さんの話を聞いて、ママ泣きながらそういってた。
ママね、しんのすけがずっといるような気がしてたっていうの。
いがぐり頭で眉毛が太くてお調子者のしんのすけがずっといるような気がしてたって
三人じゃなく四人でずっといたような気がするって。
でも、夏が終わってからそれがなくなった感じがするって……」
122 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2013/03/08(金) 04:03:55.89 ID:EWHxxAn/0
もうすぐだ
123 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2013/03/08(金) 04:04:04.22 ID:fTmCyr3o0
涙が止まらなくてもう絶対寝れねえよおお
124 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2013/03/08(金) 04:04:22.95 ID:njixoIcL0
「私もなんだか夏が終わってからポッカリ穴が開いた感じだった。今年の夏はすごく楽しかったから きっとそれのせいだっておもってたけど。
なんだかすごく大切なものを忘れてる気がするの。
家にいるときもパパやママが揃ってるのに、誰かを探している自分がいる。私だけじゃなく、パパもママも。きっとママのいうように最近までおにいちゃんがいたんだって感じるの」
125 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2013/03/08(金) 04:05:19.91 ID:9ARD3Edy0
タイムリープだ!それしかないぞカザリン!
126 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2013/03/08(金) 04:06:00.04 ID:Rv5E7njEO
お?
127 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2013/03/08(金) 04:06:46.57 ID:oMEdsfa5I
大丈夫、これからだ
130 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2013/03/08(金) 04:08:46.00 ID:njixoIcL0
その夜僕は夢を見た
『よっ』
しんのすけは悪びれもせず手をあげて挨拶した。
成長したしんのすけではなく、幼少のころのしんのすけだ。
いがぐり頭で眉毛が太くて、いつもの赤いシャツに黄色いズボン。パンツはアクション仮面で……
「よっ!じゃないよ!今までどこにいってたんだよ!みんなしんのすけのこと忘れてるぞ?ボク以外のみんなお前のこと知らないって言うんだぞ!」
『うーん、でも風間くんが覚えててくれるならそれでいいぞ。オラ、この世界に産まれる予定ではなかったんだし』
133 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2013/03/08(金) 04:15:05.13 ID:njixoIcL0
「しんのすけ…。でも僕は小さいころからお前と一緒たったじゃないか!小さいころから、大きくなったしんのすけのこと知ってる!」
『オラ、楽しかったぞ。みんなと過ごせて。オラ、母ちゃんのお腹のなかで死んでから、母ちゃんが心配だったんだぞ。母ちゃんずっと泣いてたから。
だから少しの間って約束でこの世界に存在していいことになったんだぞ
みんなのと過ごせて楽しかったぞ。オラが、消えてしまったみんなオラのこと忘れてしまうことはしってたぞ。でも、やっぱり忘れてほしくなかったから風間くんがオラのこと覚えててくれてうれしかったぞ』
「しんのすけ……僕は絶対忘れない。お前のこと」
『ありがとう』
しんのすけは照れた笑顔を浮かべながらきえた
それ以来しんのすけが現れることはなかった
136 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2013/03/08(金) 04:20:29.80 ID:njixoIcL0
10年後
暑い日差しのなかみんなが集まった。
僕、ひまわり、ネネちゃん、ボーちゃん、マサオくん。
そこには当たり前たがしんのすけの姿はない。
僕は長年付き合っていたひまわりと結婚していた。今、ひまわりのお腹のなかには子供がいる。
ボーちゃんは若くして大学教授になり、一度はやめていた石についての研究もしている。
ネネちゃんはいまだ独身である。ネネちゃんもまた、しんのすけが消えてからポッカリ穴が開いたようだと、とっても好きな人がいたような気がするのに思い出せないと言っていた。
マサオくんは大学に何回も落ち、就職することも諦め、コンビニでバイトをしながら親のすねをかじっている
137 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2013/03/08(金) 04:20:34.77 ID:oMEdsfa5I
すごく哀しい…
138 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2013/03/08(金) 04:21:15.45 ID:EWHxxAn/0
マサオww
139 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2013/03/08(金) 04:21:34.23 ID:0lTNqsbK0
マサオいじめんなよ
141 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2013/03/08(金) 04:22:00.05 ID:n0UCWnzT0
おにぎり頭は本当に駄目な子なんだな
142 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2013/03/08(金) 04:22:37.92 ID:qzRbUEAs0
マサオいじり好きだなww
143 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2013/03/08(金) 04:23:20.57 ID:njixoIcL0
「タイムカプセル…いよいよ開けるときがきたわねー」
「でも誰がタイムカプセル埋めようっていいだしたんだっけ?ボク全然おもいだせないやー」
「ぼくも」
「私も。でもずっと何かを忘れてるような気がするのよね。こう、みんなで集まっても一人足りないって気がするの。そう思わない?風間くん」
そうだね、だってしんのすけがいないんだから。
145 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2013/03/08(金) 04:26:04.20 ID:njixoIcL0
土を掘り返しタイムカプセルを取り出した。
10年という年月のせいか缶は少しさびついていたが中身は無事だった。
使った線香花火。アクション仮面の人形。そのうらにはしんのすけと名前が書いてあった。
みんなで撮ったポラロイド写真。そのすべてにしんのすけがうつっていた。
146 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2013/03/08(金) 04:26:35.36 ID:qzRbUEAs0
写ったキタ!
147 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2013/03/08(金) 04:29:53.09 ID:njixoIcL0
「誰だろう。この男の子」
「でもすごくなつかしい感じがする」
「写真のなかの私たちすごく楽しそう。ずっと仲良しだった気がする」
「私たち、すごく大切なものを忘れていた気がする。この子をみてわかった気がする……」
ネネちゃんは写真を見つめながらスーッと涙の粒を落とした。
写真の中でしんのすけはいつも笑っていた。
あの夏の思い出はタイムカプセルのなかで消えずに残っていた
150 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2013/03/08(金) 04:33:59.25 ID:njixoIcL0
手紙を見つけた。しんのすけの手紙。
そこには簡単にこう書いてあった。
『この夏をみんなと過ごせて楽しかった
みんながおれのこと忘れても
おれはみんなのこと 忘れない』
…………………
あれから数ヵ月後、ひまわりは無事男の子を出産した。
僕たちは子供の名前を、『しんのすけ』と、命名した。
しんのすけは今5才。
いがぐり頭で太い眉毛、彼はお調子者で人気者の―――――。
おわり
151 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2013/03/08(金) 04:35:13.28 ID:n0UCWnzT0
えがった乙
155 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2013/03/08(金) 04:36:18.04 ID:+/K26Xa30
よかった!乙だ!
173 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2013/03/08(金) 06:54:55.99 ID:uW5tyRSw0
胸がきゅぅーってなった
映画化はいつなんです?
175 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2013/03/08(金) 07:44:56.26 ID:6NCmV6VC0
鬱展開じゃなくて本当に良かった!乙!
「去年ね、うちで飼ってたシロが死んだでしょ。ちょうど春休みで。シロが突然寝たきりになったとき、率先してお世話していたのはおにいちゃんなの。
シロは自分の力で立つことも動くことも食べることも出来なくなって、それをらおにいちゃんが一生懸命お世話してたの。
自分の部屋に入れて、からだが冷えないように暖めてあげたり、オムツを交換してただれたおしりに薬塗ったり。注射器ですこしづつ餌やお水与えたり。シロガ、クーンとなくと何を訴えているのか、わかるみたいに色々お世話していたんだ」
72 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2013/03/08(金) 03:01:15.02 ID:+/K26Xa30
そうか、さすがにシロは…そうだよな
73 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2013/03/08(金) 03:04:09.03 ID:qzRbUEAs0
シロ…
思春期に飼い犬が死ぬのは良いことだとは言うが…
74 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2013/03/08(金) 03:06:03.47 ID:njixoIcL0
「春休みがおわる前日の昼に、みんなで看取られる形でシロは息を引き取ったんだけど、私たちが悲しむなか、おにいちゃんは泣きながらも頑張ったね偉かったぞって、シロの小さくなった亡骸を、抱えながらそういってた。
おにいちゃんは本当にシロのことすきだったんだなーって、その時すごく思った。
シロもこんなに愛されてしあわせだったんだろうなーって
私もおにいちゃんのこと大好きよ。色々振り回されて疲れてしまうこともあるけど、おにいちゃんの妹でよかったって思うの」
そういって照れ笑いをしてまた公園の入口を見つめる
みんなで集まって30分以上経過しているのにしんのすけはまだあらわれない
75 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2013/03/08(金) 03:06:54.02 ID:qzRbUEAs0
しんのすけ早よ来いよ
不安になるだろ
しんのすけ…
77 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2013/03/08(金) 03:09:06.90 ID:ZQbHpNm70
俺疲れてんのかな
シロが死ぬとこ想像したら目から汗が…
78 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2013/03/08(金) 03:11:44.47 ID:njixoIcL0
「しんのすけ、おそいなー」
少し不安になり電話をかけようと携帯を取り出したとき
「おーまーたーせー」
としんのすけが走ってきた。
「おにいちゃん遅い!」
「そうよ、心配したんだからね!」
「ごめんごめん」
ひまわりちゃんとネネちゃんにブーブー言われて困ったようにしんのすけは頭を掻いていた。
「ところで、それ、なに?」
ボーちゃんがしんのすけの持ってる紙袋を指さした。
「これ?………ジャーン!夏の風物詩の花火ぃー。
俺思ったんだよ。花火大会には行ったけどこういう手持ち花火をしていないことに!で、記念に写真もってことで、カメラも持ってきた。ポラロイドだぞ」
79 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2013/03/08(金) 03:13:30.33 ID:Ff/rhFxh0
よかった
82 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2013/03/08(金) 03:17:54.17 ID:njixoIcL0
僕たちはしんのすけの持ってきた花火を楽しんだ。
みんなでたくさん写真を撮る。
花火はあっという間に終わる。
「あのさ、俺、もうひとつやりたいことがあるんだ。俺、本当にこのメンバーが好きなんだ。今年の夏はスゲー楽しかった。
絶対忘れたくないし、忘れないでほしいって思った。
それでどうしたらこの夏の思い出をとっておけるだろうと思ったらこれが浮かんで……。なんていうのかなー タイムカプセルってやつ?
あれだったら今年の夏をそのまま保管できる気がして……
俺たちの過ごした証っていうか……この夏俺たちは一緒にいたんだよって…」
しんのすけのしんみりとした口調。寂しげな表情。
どうして彼はこんなにも悲しそうなのだろう。
85 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2013/03/08(金) 03:19:28.43 ID:qzRbUEAs0
しんのすけ、どうした
88 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2013/03/08(金) 03:23:19.22 ID:njixoIcL0
「タイムカプセルいいと思う!」
「うん、素敵よ」
「おもしろそうっ」
「しんのすけにしてはいい考えだ」
「賛成賛成ー♪」
みんなが口々にタイムカプセルを作ることに賛同した。
しんのすけは安心した表情になった。
「よかった。でさ、タイムカプセルっていうのは手紙が付き物だろう。俺は先に書いてきたからみんなにも書いてほしい。別に誰にあててもいい。自分でも、みんなにあてた手紙でも。
俺は埋める穴を掘ってるからその間に書いてて」
そういいながらしんのすけはみんなに、便箋とペンを配る。
「しんのすけ、タイムカプセルはいつ開けるんだ?」
「うーん、そうだな。……10年後。10年後の今日に開けよう」
90 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2013/03/08(金) 03:26:01.07 ID:njixoIcL0
「よしこれでいい」
手紙を書き終えた僕たちは しんのすけが用意した缶に手紙を入れて、土のなかに埋めた。
みんな名残惜しそうに公園に残っていたが、やかてそれぞれ家路につく。
「それじゃ みんな元気で!」
と笑っててをふったしんのすけに「明日も会えるだろ!」とわらって別れた。
93 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2013/03/08(金) 03:28:28.00 ID:njixoIcL0
9月1日
今日からまた学校だ。夏休みを終えた僕ら受験生は更に勉強が忙しくなる。
僕の目指す大学は一応合格圏内ではあるが油断は禁物だ。
いつもの時間に家をでて、いつものペースで歩いてたはずだった。
だけど、学校が近づいてきてもしんのすけはあらわれない。
94 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2013/03/08(金) 03:31:01.87 ID:Ff/rhFxh0
あぁ
97 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2013/03/08(金) 03:33:07.92 ID:njixoIcL0
どうしたんだろうと後ろを振り返ると、ひまわりちゃんが走ってくるのが見えた。
「おはよー風間さん」
「おはよー。ねえ、しんのすけは?」
そう問うとひまわりちゃんはキョトンとした顔をして僕の顔をみた。
「しんのすけ?友達ですか?私、そんな人知りませんよー」
冗談を言ってるのだろうと思った。それともけんかでもしたのかと。
「ひまわりちゃんのおにいちゃんだろ?」
「なにいってんですか?私におにいちゃんいないの知ってるくせに。私は一人っ子ですよーだ。昨日、帰り遅かったから寝ぼけてるの?」
ひまわりちゃんはなにを言っているのだろうか。
それともひどい喧嘩でもしたんだろうか?
98 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2013/03/08(金) 03:33:47.35 ID:qzRbUEAs0
おい
99 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2013/03/08(金) 03:34:03.38 ID:8ivqwbMg0
きたよ…
103 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2013/03/08(金) 03:36:53.11 ID:njixoIcL0
教室のドアを開け、自分の席へ向かう。
ネネちゃん、ボーちゃんはいたがしんのすけの机はぽっかりと空いていた。
「あっ、風間くんおはよー♪」
「おはよ。」
「おはよー。ねぇしんのすけは?」
「しんのすけ?誰それ、別のクラスの子?」
「えっ?なにいってんの?しんのすけだよ。野原しんのすけ!ひまわりちゃんといい、ネネちゃんといい、しんのすけと喧嘩でもしたの?」
「だから、そんな人知らないわよ!風間くん夏休みボケ?」
104 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2013/03/08(金) 03:40:00.90 ID:njixoIcL0
僕は混乱した。なぜみんなしんのすけのこと知らないというのだろう。
「しんのすけだよ?昨日も一緒に過ごしたじゃないか」
「なにいってんの?昨日は私とボーちゃんとマサオにひまちゃんの五人だけだったでしょ」
「そのとーりっ」
みんななにをいっているのだろう。僕には訳がわからない。
「ネネちゃんの彼氏だよ?僕らの幼馴染みの……」
「私に彼氏なんていないわよっ」
埒があかないと思った僕は携帯を取りだし、しんのすけに電話をしようと思った。
だが、電話帳をいくら探してもしんのすけの名前は出てこない。
「なんで……」
僕はしんのすけの自宅に電話をかけることにした。小さいころ何度もかけたその番号は今でも忘れずに覚えている。
109 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2013/03/08(金) 03:46:15.42 ID:njixoIcL0
『はい、野原です』しんのすけのママの声。
「あっ、風間です。しんのすけお願いします」
『えっ?しんのすけ?うちにはそんな子いないわよ?風間くんもしかして間違い電話?』
頭が真っ白になった。何故みんなしんのすけのことを忘れてしまったのだろう。
まるで最初からしんのすけなんて存在しなかったように。
しんのすけの寂しげな表情を思い出した。
忘れられない夏にしたい……そう言っていたしんのすけ。
彼はどこにいってしまったのだろう
114 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2013/03/08(金) 03:50:31.89 ID:njixoIcL0
家に帰ってアルバムをめくってみた。でも写ってるはずのしんのすけの姿はどこにもない。
何故?
どうしてしんのすけのいた証がすべて消えているのだろう
僕はみんなで埋めたタイムカプセルを思い出した。
『今年の夏をそのまま保管できる気がして。俺たちの過ごした証っていうか…この夏一緒にいたんだよって』
寂しそうで悲しそうだったしんのすけ
もしかしたら、あのタイムカプセルだったら、しんのすけのいた証が残っているのでは……そう思った。
だがいま開けてしまうと、僕もしんのすけのことを忘れてしまう気がした。
116 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2013/03/08(金) 03:52:55.91 ID:njixoIcL0
しんのすけが何故あんなにも思い出を作りたかったのか。
忘れないでほしいと言っていたしんのすけ。
ボクまでもがしんのすけのことを忘れたら、しんのすけが、かわいそうな気がした。
日曜日、僕はひまわりちゃんと会う約束を、していた。
いつも元気いっぱいの彼女が今日はなんだか寂しげに見えた。
117 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2013/03/08(金) 03:53:21.71 ID:qzRbUEAs0
風間頑張れ
118 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2013/03/08(金) 03:56:12.04 ID:njixoIcL0
「この間、風間さん私に変なこと言ったでしょ?あれ?しんのすけは?って。君のお兄さんのしんのすけは?って」
うつむき加減にひまわりちゃんはそう言った。
「風間さん変なこと言うなって。私が一人っ子たって知ってるのに。それをね、うちに帰ってママに言ったんだ。
風間さんがこんなこと言うんだよーって。そしたらママ急に真顔になって……」
そこで息をひとつはくと、握っていた僕のてに力を込める
121 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2013/03/08(金) 04:01:28.65 ID:njixoIcL0
「私にはおにいちゃんがいたんだって。とはいっても産まれてはないけど……
生まれる少し前にね、買い物に出掛けてたママがバイクに乗ったひったくりあって、倒れて流産しちゃったんだって。
産まれてたら多分風間さんと同じくらいよ。ママたちは名前まで考えていたんだって。
それが……しんのすけ……。風間さんの話を聞いて、ママ泣きながらそういってた。
ママね、しんのすけがずっといるような気がしてたっていうの。
いがぐり頭で眉毛が太くてお調子者のしんのすけがずっといるような気がしてたって
三人じゃなく四人でずっといたような気がするって。
でも、夏が終わってからそれがなくなった感じがするって……」
122 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2013/03/08(金) 04:03:55.89 ID:EWHxxAn/0
もうすぐだ
123 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2013/03/08(金) 04:04:04.22 ID:fTmCyr3o0
涙が止まらなくてもう絶対寝れねえよおお
124 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2013/03/08(金) 04:04:22.95 ID:njixoIcL0
「私もなんだか夏が終わってからポッカリ穴が開いた感じだった。今年の夏はすごく楽しかったから きっとそれのせいだっておもってたけど。
なんだかすごく大切なものを忘れてる気がするの。
家にいるときもパパやママが揃ってるのに、誰かを探している自分がいる。私だけじゃなく、パパもママも。きっとママのいうように最近までおにいちゃんがいたんだって感じるの」
125 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2013/03/08(金) 04:05:19.91 ID:9ARD3Edy0
タイムリープだ!それしかないぞカザリン!
126 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2013/03/08(金) 04:06:00.04 ID:Rv5E7njEO
お?
127 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2013/03/08(金) 04:06:46.57 ID:oMEdsfa5I
大丈夫、これからだ
130 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2013/03/08(金) 04:08:46.00 ID:njixoIcL0
その夜僕は夢を見た
『よっ』
しんのすけは悪びれもせず手をあげて挨拶した。
成長したしんのすけではなく、幼少のころのしんのすけだ。
いがぐり頭で眉毛が太くて、いつもの赤いシャツに黄色いズボン。パンツはアクション仮面で……
「よっ!じゃないよ!今までどこにいってたんだよ!みんなしんのすけのこと忘れてるぞ?ボク以外のみんなお前のこと知らないって言うんだぞ!」
『うーん、でも風間くんが覚えててくれるならそれでいいぞ。オラ、この世界に産まれる予定ではなかったんだし』
133 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2013/03/08(金) 04:15:05.13 ID:njixoIcL0
「しんのすけ…。でも僕は小さいころからお前と一緒たったじゃないか!小さいころから、大きくなったしんのすけのこと知ってる!」
『オラ、楽しかったぞ。みんなと過ごせて。オラ、母ちゃんのお腹のなかで死んでから、母ちゃんが心配だったんだぞ。母ちゃんずっと泣いてたから。
だから少しの間って約束でこの世界に存在していいことになったんだぞ
みんなのと過ごせて楽しかったぞ。オラが、消えてしまったみんなオラのこと忘れてしまうことはしってたぞ。でも、やっぱり忘れてほしくなかったから風間くんがオラのこと覚えててくれてうれしかったぞ』
「しんのすけ……僕は絶対忘れない。お前のこと」
『ありがとう』
しんのすけは照れた笑顔を浮かべながらきえた
それ以来しんのすけが現れることはなかった
136 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2013/03/08(金) 04:20:29.80 ID:njixoIcL0
10年後
暑い日差しのなかみんなが集まった。
僕、ひまわり、ネネちゃん、ボーちゃん、マサオくん。
そこには当たり前たがしんのすけの姿はない。
僕は長年付き合っていたひまわりと結婚していた。今、ひまわりのお腹のなかには子供がいる。
ボーちゃんは若くして大学教授になり、一度はやめていた石についての研究もしている。
ネネちゃんはいまだ独身である。ネネちゃんもまた、しんのすけが消えてからポッカリ穴が開いたようだと、とっても好きな人がいたような気がするのに思い出せないと言っていた。
マサオくんは大学に何回も落ち、就職することも諦め、コンビニでバイトをしながら親のすねをかじっている
137 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2013/03/08(金) 04:20:34.77 ID:oMEdsfa5I
すごく哀しい…
138 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2013/03/08(金) 04:21:15.45 ID:EWHxxAn/0
マサオww
139 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2013/03/08(金) 04:21:34.23 ID:0lTNqsbK0
マサオいじめんなよ
141 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2013/03/08(金) 04:22:00.05 ID:n0UCWnzT0
おにぎり頭は本当に駄目な子なんだな
142 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2013/03/08(金) 04:22:37.92 ID:qzRbUEAs0
マサオいじり好きだなww
143 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2013/03/08(金) 04:23:20.57 ID:njixoIcL0
「タイムカプセル…いよいよ開けるときがきたわねー」
「でも誰がタイムカプセル埋めようっていいだしたんだっけ?ボク全然おもいだせないやー」
「ぼくも」
「私も。でもずっと何かを忘れてるような気がするのよね。こう、みんなで集まっても一人足りないって気がするの。そう思わない?風間くん」
そうだね、だってしんのすけがいないんだから。
145 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2013/03/08(金) 04:26:04.20 ID:njixoIcL0
土を掘り返しタイムカプセルを取り出した。
10年という年月のせいか缶は少しさびついていたが中身は無事だった。
使った線香花火。アクション仮面の人形。そのうらにはしんのすけと名前が書いてあった。
みんなで撮ったポラロイド写真。そのすべてにしんのすけがうつっていた。
146 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2013/03/08(金) 04:26:35.36 ID:qzRbUEAs0
写ったキタ!
147 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2013/03/08(金) 04:29:53.09 ID:njixoIcL0
「誰だろう。この男の子」
「でもすごくなつかしい感じがする」
「写真のなかの私たちすごく楽しそう。ずっと仲良しだった気がする」
「私たち、すごく大切なものを忘れていた気がする。この子をみてわかった気がする……」
ネネちゃんは写真を見つめながらスーッと涙の粒を落とした。
写真の中でしんのすけはいつも笑っていた。
あの夏の思い出はタイムカプセルのなかで消えずに残っていた
150 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2013/03/08(金) 04:33:59.25 ID:njixoIcL0
手紙を見つけた。しんのすけの手紙。
そこには簡単にこう書いてあった。
『この夏をみんなと過ごせて楽しかった
みんながおれのこと忘れても
おれはみんなのこと 忘れない』
…………………
あれから数ヵ月後、ひまわりは無事男の子を出産した。
僕たちは子供の名前を、『しんのすけ』と、命名した。
しんのすけは今5才。
いがぐり頭で太い眉毛、彼はお調子者で人気者の―――――。
おわり
151 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2013/03/08(金) 04:35:13.28 ID:n0UCWnzT0
えがった乙
155 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2013/03/08(金) 04:36:18.04 ID:+/K26Xa30
よかった!乙だ!
173 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2013/03/08(金) 06:54:55.99 ID:uW5tyRSw0
胸がきゅぅーってなった
映画化はいつなんです?
175 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2013/03/08(金) 07:44:56.26 ID:6NCmV6VC0
鬱展開じゃなくて本当に良かった!乙!
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