剣士「俺は妻のところに行く!」女騎士「行くなぁぁぁ!」
Part2
35 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2013/08/28(水) 21:50:23.60 ID:VeBKOBfl0
頭領(このアマ……俺のスタミナ切れを狙ってんのか!?)ギィンッ
頭領(だったら力で強引に──)グッ…
頭領「!?」ズキッ…
頭領(ぐ、ヒジに痛みが……! ちぃっ!)
キィンッ! ギンッ! ガキンッ! ギンッ! キィンッ!
頭領(く、くそっ……疲れてきた……!)キンッ
頭領(こうも長時間、激しい打ち合いをやらされちゃあ……)ギンッ
頭領(どこかで切り上げて逃げねえと──)キンッ
頭領(──ん!?)
頭領(攻撃が止まった!)
頭領(今ならこっちに逃げられる!)ダッ
女騎士「……よし」
36 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2013/08/28(水) 21:55:25.15 ID:VeBKOBfl0
剣士「ん、お前はまさかボスか!?」
頭領(ゲッ、こっちにもいやがったか!)ゼェゼェ…
剣士「うおりゃあっ!」ビュアッ
頭領(あの女に比べりゃ大した攻撃じゃねえが──こんなヘトヘトじゃ、かわせねえ!)
ズバァッ!
頭領「あ、ぐぅ……」ガクッ
剣士「よっしゃあああああっ!」
剣士「オイみんな、俺が山賊団のボスを仕留めたぞ!」バッ
剣士「俺が仕留めたんだ!」
ワァァ……! ウォォ……!
金髪「すげえッス、剣士さん! 有言実行じゃないッスか!」
友人「アイツ、また大手柄立てやがったな!」
黒騎士「…………」
37 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2013/08/28(水) 21:59:28.67 ID:VeBKOBfl0
戦いは、戦士団の快勝に終わった。
黒騎士「皆、よく戦ってくれた」
黒騎士「残念ながら一部を捕え損ねてしまったが──」
黒騎士「山賊団は壊滅したといって差し支えはあるまい」
黒騎士「特に大手柄だったのが、剣士だ」
黒騎士「君が頭領を倒したおかげで、山賊たちは総崩れになったからな」
パチパチパチパチ……!
剣士「いやぁ~……それほどでも……あるけど」
友人「また調子に乗りやがって」
剣士「ところで女騎士さん」
剣士「これで俺は罰を受けなくていいんですよね? ボスをやっつけたんですから」
女騎士「約束だからな……仕方あるまい!」
41 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2013/08/28(水) 22:06:22.08 ID:VeBKOBfl0
< 戦士団詰所 >
黒騎士「本日はこれにて解散!」
女騎士「各自、酒でも飲んでから帰るがいい!」
ワイワイ……
友人「よっしゃ、お言葉に甘えて飲みに行こうぜ。っつってもいつも飲んでるけど」
金髪「そうッスね!」
剣士「そうだな!」
剣士「あ、そうだ! 女騎士さんもぜひご一緒に!」
女騎士「ふざけるな! だれがキサマらなどと飲むか! 私は帰る!」ザッ
剣士「ですよね~ハハ」
友人「……当たり前だよ。あの女が俺らなんかと飲むわけねえだろ」
42 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2013/08/28(水) 22:09:23.43 ID:VeBKOBfl0
< 剣士の家 >
剣士「ウ~イ、酔った……」
剣士「たらいまぁ~……」
妻「お帰りなさい、あなたぁ~」
妻「食事は用意してあるけど……食べられる?」
剣士「そりゃもちろん! この俺が君の料理を残すわけないだろ!」
妻「やだ……もう」ポッ…
43 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2013/08/28(水) 22:10:10.72 ID:ZgN3zJuTO
ふむふむ
44 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2013/08/28(水) 22:10:49.13 ID:+LPBmA+10
おもしろい
45 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2013/08/28(水) 22:14:42.94 ID:VeBKOBfl0
ガツガツ…… ムシャムシャ……
妻「ところで、今日のお仕事はどうだったの?」
剣士「そりゃもう、今日も大手柄を上げてみせたよ!」
剣士「なんたって山賊団のボスを、俺がやっつけたんだ!」
妻「まあ、すごい!」
剣士「すごい死闘だったぜ……互いに一歩も引かぬ攻防が続き……」
剣士「俺が一瞬のスキを突いて!」
剣士「俺の高速剣が、ボスの体を切り裂いたんだ!」
剣士「ま、相手も強かったけど、俺のがさらに強かったってとこかな」
妻「さすがね、あなた」
剣士「君にも見せたかったよ、あの勇姿!」
妻「いえいえ、話を聞いているだけで十分伝わるわよ~」
46 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2013/08/28(水) 22:17:24.67 ID:VeBKOBfl0
< 寝室 >
剣士「さぁ~て、それじゃおやすみ」
妻「おやすみなさい、あなた」
剣士「ぐぅ……ぐぅ……」
妻「…………」
妻「あなた……」
妻「ステキだったわよ、あなた」
妻「さて、私も寝なくちゃ」モゾッ
妻「すぅ……すぅ……」
47 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2013/08/28(水) 22:17:54.51 ID:yJjM/5SS0
なにこの奥さんこわい
48 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2013/08/28(水) 22:18:10.91 ID:gMlRRlTb0
女騎士が妻かと思いきや実は黒騎士さんが妻
つまり奥様はおっさん
49 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2013/08/28(水) 22:21:04.44 ID:ZgN3zJuTO
あなたあああああああああああ
50 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2013/08/28(水) 22:24:21.49 ID:VeBKOBfl0
またある時、戦士団はテロ活動を行う武装集団と対峙していた。
女騎士「いざ尋常に、勝負!」チャキッ
ボス「正義は我らにあり! その我らがキサマら如きに敗れるか!」チャキッ
キンッ! ガキンッ! キィンッ!
女騎士「ちっ……(手強い……)」ザザッ
ボス「長期戦に持ち込み、我の体力を消耗させようというのだろうが──」
ボス「そのような消極的な策は愚の骨頂!」ダッ
ズルッ! ドデッ!
ボス「あだだっ……!」
女騎士「勝利を焦り、ドジを踏んだか……」
女騎士「ちょうどいいところにいた! 剣士、やってしまえっ!」
剣士「よっしゃあっ!」ダッ
51 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2013/08/28(水) 22:27:46.57 ID:ZgN3zJuTO
女騎士さん…
52 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2013/08/28(水) 22:29:27.67 ID:VeBKOBfl0
剣士「ま、俺にかかれば武装集団の一つや二つ、ラクショーよ」
友人「すげぇな、また敵将を倒したのかよ」
金髪「さすがッス! 尊敬ッス! 憧れるッス!」
新米「ボクも剣士さんのような戦士になりたい……!」
剣士「ま、もう少しで手柄は女騎士さんのものだったのに、残念でしたね」ニヤッ
女騎士「ふん、私は目先の手柄などに興味はない」ザッ
友人「…………」
友人「しっかし、お前が大手柄を立てる時は大抵女騎士が近くにいるけど」
友人「お前らって相性いいんじゃないか?」
剣士「……そうかもな」
友人「お、浮気か?」
剣士「そんなわけあるか!」
53 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2013/08/28(水) 22:34:28.99 ID:VeBKOBfl0
< 剣士の家 >
剣士「──とまぁ、こんなところさ」
剣士「俺のド迫力にビビってすっ転んだボスを、ノックアウト」
剣士「危険極まる武装集団も、俺にかかっちゃただの烏合の衆ってとこさ」
剣士「ハッハッハッハッハ……」
妻「手柄を立てて嬉しそうなあなたを見ていると、私も幸せになれるわ~」
剣士「そういってもらえると、嬉しいよ」
妻「でも、絶対無理しちゃダメよ。怪我したり、死んじゃダメよ」
剣士「分かってるって……。君を守るのは俺の役目だからな!」
54 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2013/08/28(水) 22:39:49.42 ID:VeBKOBfl0
またある日のこと──
< 剣士の家 >
友人「すみません……急に押しかけちゃって」
妻「いえいえ、主人がいつも世話になってるんですもの」
友人「剣士の奥さんを一目見たいって、こいつらがせがむもんで……」
金髪「なにいってんスか。行こうっていったのは友人さんッスよ」
金髪「でもホント、キレイッスね! 穏やかな雰囲気がまたいい!」
新米「戦士団のエースとご令嬢のカップルか……出来すぎなぐらいですね」
剣士「妬くな、妬くな」
剣士「お前らも頑張れば、俺の十分の一くらいは幸せになれるさ」
友人「マジ殴りてぇ~」
金髪「じゃあ俺は蹴りたいッスね」
新米「ボクは斬りたいです!」ニコッ
55 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2013/08/28(水) 22:45:55.24 ID:VeBKOBfl0
友人「でも、気をつけた方がいいですよ」
妻「あら? なにをかしら?」
友人「俺らの上官は黒騎士と女騎士っていう二人の騎士なんですけど」
友人「こいつが大手柄を立てる時は、大抵女騎士と組んでるんですよ」
友人「浮気しないよう、よく見張っておかなきゃダメですよ」
妻「まあ……そうなの?」ジロッ
剣士「いや、まあ、そうなんだけどさ」
剣士「だけど、浮気なんて絶対ありえない! 神に誓って!」
金髪「そうだ! 一度奥さんも戦士団の詰所に来たらどうッスか?」
新米「あ、それいいですね!」
友人「一度女騎士に、本人から直接釘刺しといた方がいいかもしれないな!」
妻「!」ギクッ
56 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2013/08/28(水) 22:46:02.33 ID:ZgN3zJuTO
新米は実はすごい強い
58 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2013/08/28(水) 22:49:42.21 ID:VeBKOBfl0
妻「いえ……私は……家のこともあるし……」
友人「なあに、ちょっと行って帰ってくりゃいいんですから!」
金髪「ぜひ、一度来て下さいッス!」
新米「お茶ぐらいは用意しますよ!」
妻「で、でも……」
剣士「お前ら、あまり俺の女房を困らせるなって!」
剣士「あんな武骨で汗臭い場所に、妻を入れたくねえしな!」
友人「こいつぅ~……」
友人「ま、奥さん、今のは冗談です。こいつに限って浮気なんてありえないですよ!」
妻「ええ、もちろん信じてるわ~」
ハッハッハッハッハ……
妻「…………」ホッ…
59 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2013/08/28(水) 22:53:24.49 ID:VeBKOBfl0
その後も剣士の活躍は続いた。
< 盗賊団アジト >
剣士「よっしゃ、盗賊団の首領を討ち取ったぜ!」ジャキッ
剣士「妻よ、俺はまたまた活躍してしまったぞぉ~!」
剣士「世界一愛してるぞぉ~!」
友人「ったく、デカイ声で恥ずかしいヤツ……。でも、ホント絶好調だな」
女騎士「ふん、この程度の手柄で調子に乗りおって……」
< 剣士の家 >
剣士「お、今日の夕食は豪勢だな! なにかいいことがあったのか?」
妻「ナイショよ~」
妻「世界一愛してるあなたのために、腕によりをかけて作ったの」
剣士「嬉しいこといってくれるじゃんか!」ガツガツ…
妻「うふふふ……」
60 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2013/08/28(水) 22:57:55.65 ID:VeBKOBfl0
しかし──
< 酒場 >
新聞記事を睨みつけるゴロツキたち。
『戦士団の剣士、またまたお手柄! 盗賊団首領討ち取ったり!』
残党A「ちっ、胸糞わりぃ記事だ!」バサッ
残党A「戦士団さえいなきゃ、今も山賊団としてブイブイいわせてたってのによ」
残党A「今じゃしがないコソ泥生活……クソがァッ!」グビッ
残党A「こんなクソ田舎の酒場で、安酒かっこむ毎日だ!」
残党A「特にこの剣士……イケ好かねえ! コイツが首領を……!」
残党B「なぁ……だったら復讐しないか?」
残党A「あ?」
61 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2013/08/28(水) 23:01:16.75 ID:ZgN3zJuTO
話が動くな
62 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2013/08/28(水) 23:01:48.15 ID:VeBKOBfl0
残党B「この記事、よく見てみろよ。剣士は新婚で、妻がいるらしい」
残党B「周囲が呆れるほど愛し合ってて、いわゆるオシドリ夫婦ってやつだ」
残党B「この妻を人質にすれば、剣士はいうこと聞かざるをえないだろ?」
残党B「散々屈辱を味わわせてから、最後には夫婦そろってあの世に送ってやるんだ」
残党A「おお、そりゃいいな!」
残党A「いつやるよ?」
残党B「今……っていいたいが、決行は明日にしよう」
残党B「これから、他の残党仲間やチンピラをかき集めて、明日剣士の家に乗り込もう」
残党A「……よぉし」ニヤッ
残党B「ヒヒヒ……借りは百倍にして返してやろう」
63 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2013/08/28(水) 23:06:34.86 ID:VeBKOBfl0
翌朝──
< 剣士の家 >
剣士「じゃ、行ってくる」
妻「行ってらっしゃぁ~い」
妻「気をつけてねぇ~」
剣士「愛してるよぉ~!」
妻「もう、人が見てたらどうするのよ……」
残党A「よし、剣士が出かけたぞ」
残党B「ヒヒヒ……少し待ってから、全員で家に乗り込むぞ」
残党A「おう」
頭領(このアマ……俺のスタミナ切れを狙ってんのか!?)ギィンッ
頭領(だったら力で強引に──)グッ…
頭領「!?」ズキッ…
頭領(ぐ、ヒジに痛みが……! ちぃっ!)
キィンッ! ギンッ! ガキンッ! ギンッ! キィンッ!
頭領(く、くそっ……疲れてきた……!)キンッ
頭領(こうも長時間、激しい打ち合いをやらされちゃあ……)ギンッ
頭領(どこかで切り上げて逃げねえと──)キンッ
頭領(──ん!?)
頭領(攻撃が止まった!)
頭領(今ならこっちに逃げられる!)ダッ
女騎士「……よし」
36 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2013/08/28(水) 21:55:25.15 ID:VeBKOBfl0
剣士「ん、お前はまさかボスか!?」
頭領(ゲッ、こっちにもいやがったか!)ゼェゼェ…
剣士「うおりゃあっ!」ビュアッ
頭領(あの女に比べりゃ大した攻撃じゃねえが──こんなヘトヘトじゃ、かわせねえ!)
ズバァッ!
頭領「あ、ぐぅ……」ガクッ
剣士「よっしゃあああああっ!」
剣士「オイみんな、俺が山賊団のボスを仕留めたぞ!」バッ
剣士「俺が仕留めたんだ!」
ワァァ……! ウォォ……!
金髪「すげえッス、剣士さん! 有言実行じゃないッスか!」
友人「アイツ、また大手柄立てやがったな!」
黒騎士「…………」
37 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2013/08/28(水) 21:59:28.67 ID:VeBKOBfl0
戦いは、戦士団の快勝に終わった。
黒騎士「皆、よく戦ってくれた」
黒騎士「残念ながら一部を捕え損ねてしまったが──」
黒騎士「山賊団は壊滅したといって差し支えはあるまい」
黒騎士「特に大手柄だったのが、剣士だ」
黒騎士「君が頭領を倒したおかげで、山賊たちは総崩れになったからな」
パチパチパチパチ……!
剣士「いやぁ~……それほどでも……あるけど」
友人「また調子に乗りやがって」
剣士「ところで女騎士さん」
剣士「これで俺は罰を受けなくていいんですよね? ボスをやっつけたんですから」
女騎士「約束だからな……仕方あるまい!」
41 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2013/08/28(水) 22:06:22.08 ID:VeBKOBfl0
< 戦士団詰所 >
黒騎士「本日はこれにて解散!」
女騎士「各自、酒でも飲んでから帰るがいい!」
ワイワイ……
友人「よっしゃ、お言葉に甘えて飲みに行こうぜ。っつってもいつも飲んでるけど」
金髪「そうッスね!」
剣士「そうだな!」
剣士「あ、そうだ! 女騎士さんもぜひご一緒に!」
女騎士「ふざけるな! だれがキサマらなどと飲むか! 私は帰る!」ザッ
剣士「ですよね~ハハ」
友人「……当たり前だよ。あの女が俺らなんかと飲むわけねえだろ」
42 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2013/08/28(水) 22:09:23.43 ID:VeBKOBfl0
< 剣士の家 >
剣士「ウ~イ、酔った……」
剣士「たらいまぁ~……」
妻「お帰りなさい、あなたぁ~」
妻「食事は用意してあるけど……食べられる?」
剣士「そりゃもちろん! この俺が君の料理を残すわけないだろ!」
妻「やだ……もう」ポッ…
ふむふむ
44 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2013/08/28(水) 22:10:49.13 ID:+LPBmA+10
おもしろい
45 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2013/08/28(水) 22:14:42.94 ID:VeBKOBfl0
ガツガツ…… ムシャムシャ……
妻「ところで、今日のお仕事はどうだったの?」
剣士「そりゃもう、今日も大手柄を上げてみせたよ!」
剣士「なんたって山賊団のボスを、俺がやっつけたんだ!」
妻「まあ、すごい!」
剣士「すごい死闘だったぜ……互いに一歩も引かぬ攻防が続き……」
剣士「俺が一瞬のスキを突いて!」
剣士「俺の高速剣が、ボスの体を切り裂いたんだ!」
剣士「ま、相手も強かったけど、俺のがさらに強かったってとこかな」
妻「さすがね、あなた」
剣士「君にも見せたかったよ、あの勇姿!」
妻「いえいえ、話を聞いているだけで十分伝わるわよ~」
46 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2013/08/28(水) 22:17:24.67 ID:VeBKOBfl0
< 寝室 >
剣士「さぁ~て、それじゃおやすみ」
妻「おやすみなさい、あなた」
剣士「ぐぅ……ぐぅ……」
妻「…………」
妻「あなた……」
妻「ステキだったわよ、あなた」
妻「さて、私も寝なくちゃ」モゾッ
妻「すぅ……すぅ……」
47 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2013/08/28(水) 22:17:54.51 ID:yJjM/5SS0
なにこの奥さんこわい
48 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2013/08/28(水) 22:18:10.91 ID:gMlRRlTb0
女騎士が妻かと思いきや実は黒騎士さんが妻
つまり奥様はおっさん
49 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2013/08/28(水) 22:21:04.44 ID:ZgN3zJuTO
あなたあああああああああああ
50 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2013/08/28(水) 22:24:21.49 ID:VeBKOBfl0
またある時、戦士団はテロ活動を行う武装集団と対峙していた。
女騎士「いざ尋常に、勝負!」チャキッ
ボス「正義は我らにあり! その我らがキサマら如きに敗れるか!」チャキッ
キンッ! ガキンッ! キィンッ!
女騎士「ちっ……(手強い……)」ザザッ
ボス「長期戦に持ち込み、我の体力を消耗させようというのだろうが──」
ボス「そのような消極的な策は愚の骨頂!」ダッ
ズルッ! ドデッ!
ボス「あだだっ……!」
女騎士「勝利を焦り、ドジを踏んだか……」
女騎士「ちょうどいいところにいた! 剣士、やってしまえっ!」
剣士「よっしゃあっ!」ダッ
51 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2013/08/28(水) 22:27:46.57 ID:ZgN3zJuTO
女騎士さん…
52 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2013/08/28(水) 22:29:27.67 ID:VeBKOBfl0
剣士「ま、俺にかかれば武装集団の一つや二つ、ラクショーよ」
友人「すげぇな、また敵将を倒したのかよ」
金髪「さすがッス! 尊敬ッス! 憧れるッス!」
新米「ボクも剣士さんのような戦士になりたい……!」
剣士「ま、もう少しで手柄は女騎士さんのものだったのに、残念でしたね」ニヤッ
女騎士「ふん、私は目先の手柄などに興味はない」ザッ
友人「…………」
友人「しっかし、お前が大手柄を立てる時は大抵女騎士が近くにいるけど」
友人「お前らって相性いいんじゃないか?」
剣士「……そうかもな」
友人「お、浮気か?」
剣士「そんなわけあるか!」
53 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2013/08/28(水) 22:34:28.99 ID:VeBKOBfl0
< 剣士の家 >
剣士「──とまぁ、こんなところさ」
剣士「俺のド迫力にビビってすっ転んだボスを、ノックアウト」
剣士「危険極まる武装集団も、俺にかかっちゃただの烏合の衆ってとこさ」
剣士「ハッハッハッハッハ……」
妻「手柄を立てて嬉しそうなあなたを見ていると、私も幸せになれるわ~」
剣士「そういってもらえると、嬉しいよ」
妻「でも、絶対無理しちゃダメよ。怪我したり、死んじゃダメよ」
剣士「分かってるって……。君を守るのは俺の役目だからな!」
54 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2013/08/28(水) 22:39:49.42 ID:VeBKOBfl0
またある日のこと──
< 剣士の家 >
友人「すみません……急に押しかけちゃって」
妻「いえいえ、主人がいつも世話になってるんですもの」
友人「剣士の奥さんを一目見たいって、こいつらがせがむもんで……」
金髪「なにいってんスか。行こうっていったのは友人さんッスよ」
金髪「でもホント、キレイッスね! 穏やかな雰囲気がまたいい!」
新米「戦士団のエースとご令嬢のカップルか……出来すぎなぐらいですね」
剣士「妬くな、妬くな」
剣士「お前らも頑張れば、俺の十分の一くらいは幸せになれるさ」
友人「マジ殴りてぇ~」
金髪「じゃあ俺は蹴りたいッスね」
新米「ボクは斬りたいです!」ニコッ
55 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2013/08/28(水) 22:45:55.24 ID:VeBKOBfl0
友人「でも、気をつけた方がいいですよ」
妻「あら? なにをかしら?」
友人「俺らの上官は黒騎士と女騎士っていう二人の騎士なんですけど」
友人「こいつが大手柄を立てる時は、大抵女騎士と組んでるんですよ」
友人「浮気しないよう、よく見張っておかなきゃダメですよ」
妻「まあ……そうなの?」ジロッ
剣士「いや、まあ、そうなんだけどさ」
剣士「だけど、浮気なんて絶対ありえない! 神に誓って!」
金髪「そうだ! 一度奥さんも戦士団の詰所に来たらどうッスか?」
新米「あ、それいいですね!」
友人「一度女騎士に、本人から直接釘刺しといた方がいいかもしれないな!」
妻「!」ギクッ
56 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2013/08/28(水) 22:46:02.33 ID:ZgN3zJuTO
新米は実はすごい強い
58 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2013/08/28(水) 22:49:42.21 ID:VeBKOBfl0
妻「いえ……私は……家のこともあるし……」
友人「なあに、ちょっと行って帰ってくりゃいいんですから!」
金髪「ぜひ、一度来て下さいッス!」
新米「お茶ぐらいは用意しますよ!」
妻「で、でも……」
剣士「お前ら、あまり俺の女房を困らせるなって!」
剣士「あんな武骨で汗臭い場所に、妻を入れたくねえしな!」
友人「こいつぅ~……」
友人「ま、奥さん、今のは冗談です。こいつに限って浮気なんてありえないですよ!」
妻「ええ、もちろん信じてるわ~」
ハッハッハッハッハ……
妻「…………」ホッ…
その後も剣士の活躍は続いた。
< 盗賊団アジト >
剣士「よっしゃ、盗賊団の首領を討ち取ったぜ!」ジャキッ
剣士「妻よ、俺はまたまた活躍してしまったぞぉ~!」
剣士「世界一愛してるぞぉ~!」
友人「ったく、デカイ声で恥ずかしいヤツ……。でも、ホント絶好調だな」
女騎士「ふん、この程度の手柄で調子に乗りおって……」
< 剣士の家 >
剣士「お、今日の夕食は豪勢だな! なにかいいことがあったのか?」
妻「ナイショよ~」
妻「世界一愛してるあなたのために、腕によりをかけて作ったの」
剣士「嬉しいこといってくれるじゃんか!」ガツガツ…
妻「うふふふ……」
60 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2013/08/28(水) 22:57:55.65 ID:VeBKOBfl0
しかし──
< 酒場 >
新聞記事を睨みつけるゴロツキたち。
『戦士団の剣士、またまたお手柄! 盗賊団首領討ち取ったり!』
残党A「ちっ、胸糞わりぃ記事だ!」バサッ
残党A「戦士団さえいなきゃ、今も山賊団としてブイブイいわせてたってのによ」
残党A「今じゃしがないコソ泥生活……クソがァッ!」グビッ
残党A「こんなクソ田舎の酒場で、安酒かっこむ毎日だ!」
残党A「特にこの剣士……イケ好かねえ! コイツが首領を……!」
残党B「なぁ……だったら復讐しないか?」
残党A「あ?」
61 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2013/08/28(水) 23:01:16.75 ID:ZgN3zJuTO
話が動くな
62 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2013/08/28(水) 23:01:48.15 ID:VeBKOBfl0
残党B「この記事、よく見てみろよ。剣士は新婚で、妻がいるらしい」
残党B「周囲が呆れるほど愛し合ってて、いわゆるオシドリ夫婦ってやつだ」
残党B「この妻を人質にすれば、剣士はいうこと聞かざるをえないだろ?」
残党B「散々屈辱を味わわせてから、最後には夫婦そろってあの世に送ってやるんだ」
残党A「おお、そりゃいいな!」
残党A「いつやるよ?」
残党B「今……っていいたいが、決行は明日にしよう」
残党B「これから、他の残党仲間やチンピラをかき集めて、明日剣士の家に乗り込もう」
残党A「……よぉし」ニヤッ
残党B「ヒヒヒ……借りは百倍にして返してやろう」
63 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2013/08/28(水) 23:06:34.86 ID:VeBKOBfl0
翌朝──
< 剣士の家 >
剣士「じゃ、行ってくる」
妻「行ってらっしゃぁ~い」
妻「気をつけてねぇ~」
剣士「愛してるよぉ~!」
妻「もう、人が見てたらどうするのよ……」
残党A「よし、剣士が出かけたぞ」
残党B「ヒヒヒ……少し待ってから、全員で家に乗り込むぞ」
残党A「おう」
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