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女騎士「くっ、殺せ!」 オーク「お前料理できるか?」

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Part1
1: 以下、名無しが深夜にお送りします :2017/10/08(日) 20:10:07 ID:Bx2ajIMo
女騎士「へっ? りょ、料理?」
オーク「ああ。うちの飯炊き番がいなくなっちまってな……まぁ、ろくなメシも作れねぇ奴だったが。人間は器用だからな。お前、俺らの飯炊きをしろ」
女騎士「め、飯炊き……」
オーク「そうすりゃ命だけは助けてやる。どうだ、悪い話じゃないだろう」
女騎士「……」

2: 以下、名無しが深夜にお送りします :2017/10/08(日) 20:11:45 ID:Bx2ajIMo
……
オーク「調理場はここだ」
女騎士(思いのほか綺麗に整理整頓されている……が、あちこちに鳥獣の骨や死骸が……)
オーク「もういい加減、生肉ばかりのメシには飽きた。じゃあ、頼んだぞ」
女騎士「あっ、ちょっ……」
女騎士「……行ってしまった」

3: 以下、名無しが深夜にお送りします :2017/10/08(日) 20:14:15 ID:Bx2ajIMo
女騎士(しかし、敵に炊事版を任せるとは魔族の神経は今一つ分からん。毒でも盛られたらおしまいではないか)
女騎士(あるいはそれだけ私が見くびられているということか……屈辱だな……)
女騎士(いっそ取り入ったフリをして毒殺を……いや、やめておこう。そんなことをしても騎士の恥になるだけだ)
女騎士(今は雌伏の時……いつか必ずこの屈辱を晴らしてみせる!)
女騎士「……とはいえ、いったい何から始めればいいものやら……」

4: 以下、名無しが深夜にお送りします :2017/10/08(日) 20:16:37 ID:Bx2ajIMo
……
オークA「おい聞いたか。こないだ捕えた人間、なんでも新しい飯炊き番にしたらしい」
オークB「飯炊き番? 食材の間違いじゃねえのか?」
オークC「人間なんて美味くねえよー食うとこほとんど無ぇもん」
オークA「まあ、あいつら手先だけは器用だからな。せいぜいコキ使って……おっ? なんかいい匂いがしねえか?」
オークB「……本当だ、調理場からだな」
オークC「行ってみようぜ」

5: 以下、名無しが深夜にお送りします :2017/10/08(日) 20:18:14 ID:Bx2ajIMo
女騎士「こんなものか……」グツグツ
オークA「おい人間!! メシはまだか!!」
女騎士「い、今ちょうどできたところだ……口に合うかは知らんが」ドン
オークB「ほぉ、なかなか美味そうじゃねえか」
オークC「どれどれ……こっ、これは!!!!」
女騎士「……ん?」


6: 以下、名無しが深夜にお送りします :2017/10/08(日) 20:19:53 ID:Bx2ajIMo
オークA「……何てことだ」プルプル
女騎士「えっ」
オークB「こんな美味いもん初めてくった……」ガクガク
女騎士「えっえっ」
オークC「うおおおおお!! 止まらねえぜ!! おい、こいつはまだあるんだろうな!?」ガツガツ
女騎士「あ、ああ……」

7: 以下、名無しが深夜にお送りします :2017/10/08(日) 20:21:46 ID:Bx2ajIMo
……
オークA「げふっ……あー食った食った」
オークB「毎回こんなメシが食えるなら働き甲斐もあらぁな!!」ガハハ
オークC「前の奴はクソ不味いメシしか作れなかったからなぁ……なんだか体の底から力がみなぎってくるぜ!!」ウオオオオオ
女騎士「」ポカーン
オーク3人「また来るからな!!」
女騎士「あ、はい」

8: 以下、名無しが深夜にお送りします :2017/10/08(日) 20:22:26 ID:Bx2ajIMo
その後、女騎士の料理はオークのみならず魔界全体に知れ渡った!!

9: 以下、名無しが深夜にお送りします :2017/10/08(日) 20:25:57 ID:Bx2ajIMo
母ゴブリン「病弱だった息子が、あそこの料理を食べた途端元気になったんです!!」
老ガーゴイル「老いてなおあそこの料理だけは不思議と喉を通る……また食うまで死ねるかと、ガラにもなく長生きをしてみたくなったわい。かっかっか」
リザードマン「人間なんざ、単なる狩りの獲物くらいにしか考えてなかったんだがな……アレを食ったら、そんな考えは吹き飛んだ。アイツの料理が食えなくなるなんて考えたくもねえ」
オーク戦士長「俺たちゃメシに関しちゃ量さえあればそう文句はいわねぇ。だが、あの人間のメシは質も量も最高だ。おかげで隊全体の士気も上がっている。まったく、良い人材を手に入れたもんだ」
ゴーレム「ウオオオオオオオオオオオン!!」

10: 以下、名無しが深夜にお送りします :2017/10/08(日) 20:27:59 ID:Bx2ajIMo
<ワイワイガヤガヤ
女騎士「ど、どうしてこうなった……」
女騎士(しかし、魔族にも食の嗜好があるのだな。これは意外だった)
オークA「よっ! 今日も食いに来たぜ!!」
オークB「やっと入れたぜー。ここんとこ、行列できてっからなー」
オークC「あー腹減った!! おい、大盛りで頼むぜ!!」
女騎士「あ、ああ」

11: 以下、名無しが深夜にお送りします :2017/10/08(日) 20:30:08 ID:Bx2ajIMo
女騎士(正直ここまで喜んでもらえると悪い気はしない……こともない、のだが)
女騎士(私がこうして魔族に活力を与えてしまうと、その分人間の仲間が犠牲になってしまうのでは?)
オーク戦士長「おい人間、いるか?」
オークA「ありゃ? 戦士長じゃないっすか。戦士長もここでメシを?」
オークB[ここのメシ美味いっすからねー」モグモグ
オークC「おかわり! 大盛りで!!」
女騎士「あ、はい」

12: 以下、名無しが深夜にお送りします :2017/10/08(日) 20:32:06 ID:Bx2ajIMo
オーク戦士長「あー……皆よく聞け。本日をもって、魔族と人間との間に和平条約が結ばれた」
女騎士「えっ」
オークA「えっ」
オークB「和平って……人間との戦争が終わるってことかよ……?」
オーク戦士長「ああ、そうだ」
オークC「もぐもぐ」

13: 以下、名無しが深夜にお送りします :2017/10/08(日) 20:34:21 ID:Bx2ajIMo
オーク戦士長「ついては戦中に捕えた捕虜は、その返還義務が条文に明記された」
オークA[え……ってことは戦士長、もしかして!?」
オークB「コイツ(女騎士)もいなくなっちまうのか!?」
オーク戦士長「そういうことになるな」
女騎士「!!」
オークC「むぐむぐ……ごくん、そいつはひでえ! コイツのメシがもう食えなくなっちまうのかよ!!?」

14: 以下、名無しが深夜にお送りします :2017/10/08(日) 20:36:28 ID:Bx2ajIMo
母ゴブリン「そんな! ここの料理がなくなったら、息子が……」
老ガーゴイル「ここの料理だけが生きる楽しみだったのはが……」ションボリ
リザードマン「人間……お前だけは特別だ。お前がいなくなると、俺は……困る」
ゴーレム「ウオオオオオオオオオオオオン……」
女騎士「お、お前たち……」
オーク戦士長「皆の気持ちもよく分かる。何せ俺もここの常連だったからな……ここはひとつ、魔王様に相談してみることにしよう」

16: 以下、名無しが深夜にお送りします :2017/10/08(日) 20:39:20 ID:Bx2ajIMo
【魔王城】
魔王「捕虜を残してほしいと嘆願が?」
側近「はい。この者です」
魔王「ふむ、そうかオークの所の……噂には聞いていたが、人間が魔族に料理を振る舞っているとは俄かには信じられんな。そもそも魔族と人間では味覚はおろか料理に対する価値観も大きく異なっているであろう?」
側近「私もそう思ったのですが、そうやら件の捕虜が作る料理は我々の好みにフィットしているようですね」

17: 以下、名無しが深夜にお送りします :2017/10/08(日) 20:41:32 ID:Bx2ajIMo
魔王「とはいえ条約を結んだ以上、捕虜の返還拒否は無用な諍いの元となる」
側近「そうですね。ですので、返還後に正式に登用してしまえば問題ないのでは?」
魔王「む?」
側近「前例はありませんが、魔王軍として正式にあの人間と雇用契約を結べばよいのです。戦争はもう終わったわけですから」
魔王「ふむ……いずれにせよ、こちらの一存だけで即断できる話ではあるまい」

18: 以下、名無しが深夜にお送りします :2017/10/08(日) 20:42:32 ID:Bx2ajIMo
側近「ええ。交渉の余地もあるでしょうし、いったんは捕虜を変換しましょう」
魔王「うむ」
側近「オークたちには私の方から説明しておきます」
魔王「ああ、頼んだぞ」
側近「お任せください」

19: 以下、名無しが深夜にお送りします :2017/10/08(日) 20:44:50 ID:Bx2ajIMo
……
側近「ということで、魔王軍としても返還後の彼女を再度雇い入れるのに全力を尽くすことを約束する」
オーク戦士長「ということだ。残念だが、いったんコイツの作るメシはお預けだ」
オークA「絶対戻ってこいよ! その時まで腹空かして待ってるからな!!」
オークB「あーあ、また生肉ばっかのメシが続くなあ……何なら俺もコイツに料理を習っとけばよかったかな?」
オークC「ガッハッハ、お前にゃ無理な話だ!!」

20: 以下、名無しが深夜にお送りします :2017/10/08(日) 20:47:19 ID:Bx2ajIMo
子ゴブリン「人間のおねえちゃん……おねえちゃんのつくるごはん、美味しかったよ」
母ゴブリン「おかげでこの子も友達と遊べるまでになりました……ありがとう」
老ガーゴイル「長生きはしてみるもんじゃの……気を付けなされよ」
リザードマン「竜人の鱗だ、持って行け。いざとなれば我が一族がいつでもお前の元へ駆けつける……フン、本当なら無理矢理さらってやってもいいんだがな」
ゴレーム「ウオオオオオオオオオオオオオン……」
女騎士「あ、ありがとう、皆……」

21: 以下、名無しが深夜にお送りします :2017/10/08(日) 20:48:42 ID:Bx2ajIMo
騎士団長「国王軍の使者だ!! 捕虜を迎えにきた!!」
オーク戦士長「迎えが来たようだ。それでは達者でな。人間」
女騎士「……世話になった」
子ゴブリン「またね!おねえちゃん!!」
女騎士「……」ニコ


23: 以下、名無しが深夜にお送りします :2017/10/08(日) 20:51:04 ID:Bx2ajIMo
【国王城】
女騎士「陛下、ただいま帰参いたしました!」
国王「うむ。よく戻ってきてくれた。苦労をかけたな……」
女騎士「そんな。もったいなきお言葉にございます……」
国王「此度の戦では両陣営とも多くの者が犠牲となった。結果、互いに何も得るものはなかったわけだがな……」
女騎士「申し訳ございません。我々が力及ばなかったばかりに」

24: 以下、名無しが深夜にお送りします :2017/10/08(日) 20:52:47 ID:Bx2ajIMo
国王「もともと、双方が望んで争いを続けていたわけではないのだが……和平を早め、新たな犠牲を増やすことなくこうして何人かの捕虜を取り戻せたことは、せめてもの救いかもしれぬ」
女騎士「……」
国王「これからも、国のために忠誠を尽くしてもらいたい」
女騎士「はっ!!」
国王「そなたの働きに期待しておるぞ」

25: 以下、名無しが深夜にお送りします :2017/10/08(日) 20:54:42 ID:Bx2ajIMo
……
後輩騎士「先輩! 生きてたんですね!!」
女騎士「ああ。心配をかけたな」
後輩騎士「よかった……! 私、先輩が死んだらどうしようかと……食事ものどを通らなくてっ……!!」ポロポロ
女騎士「国に忠誠を尽くす以上、任務の中での死は覚悟している。お前もそれを承知で騎士になったのだろう?」
後輩騎士「それは……そうですけど……でも、さびしかった、です……」メソメソ

26: 以下、名無しが深夜にお送りします :2017/10/08(日) 20:55:56 ID:Bx2ajIMo
騎士団長「女騎士よ」
女騎士「はっ!」
騎士団長「これから、お前には査問委員会による取り調べを受けてもらう」
女騎士「承知しました」
後輩騎士「査問って……! べ、別に先輩が何か悪いことをしたわけでは!!」

27: 以下、名無しが深夜にお送りします :2017/10/08(日) 20:58:35 ID:Bx2ajIMo
女騎士「囚われの身だったとはいえ、一時的に敵に加担する行為を行ったわけだからな。その間の説明責任を果たすのは当然のことだ」
騎士団長「そういうことだ。なにも懲罰を前提とした取り調べというわけではない。査問などと堅苦しい言い方だが、要は捕虜になっていた間の様子を聞くことがその目的なのだ」
後輩騎士「そんな……先輩はオーク達に囲まれて……に、肉体的にも、精神的にも辛い思いをしたんじゃ……」
女騎士「ああ、いや……私はオーク達の中で、飯炊きをさせられていただけだ」
後輩騎士「えっ」
騎士団長「えっ」

28: 以下、名無しが深夜にお送りします :2017/10/08(日) 21:00:41 ID:Bx2ajIMo
後輩騎士(だ、団長! 聞きましたか!? いま『飯炊き』って!!)ヒソヒソ
騎士団長(あ、ああ、聞いた。間違いない)ヒソヒソ
後輩騎士(あの先輩が!! ご飯作ってたっていうんですか!?)ヒソヒソ
騎士団長(これは……なんとも恐ろしい。逆にこちら側の過失を問われることにならなければ良いのだが……)ヒソヒソ
女騎士「どうしたのです?」

29: 以下、名無しが深夜にお送りします :2017/10/08(日) 21:03:02 ID:Bx2ajIMo
騎士団長「あ、ああ、なんでもない。それでは、こちらの部屋へ来てもらおうか」
女騎士「わかりました」
後輩騎士「せ、先輩が……料理……」ピクピク
女騎士「む、どうした? 顔色が悪いようだが?」
後輩騎士「ひっ! あっ、な、なんでもないです! と、取り調べが終わるまで営舎で待ってますね……」
女騎士「……?」

30: 以下、名無しが深夜にお送りします :2017/10/08(日) 21:04:20 ID:Bx2ajIMo
【その夜】
女騎士「ふふ……まさか生きて自分の部屋に戻ってこれるとはな」
後輩騎士「先輩、おかえりなさい!!」
女騎士「ただいま!」
後輩騎士「取り調べの方はどうでした?」
女騎士「うん。つつがなく終わったよ」

31: 以下、名無しが深夜にお送りします :2017/10/08(日) 21:06:06 ID:Bx2ajIMo
後輩騎士「それで……本当なんですか?」
女騎士「え? 何が?」
後輩騎士「オーク相手に、食事を作ってたって話です!!」
女騎士「ああ……ごめんね。生き延びるためとはいえ、私のせいで一時的に敵を利する結果になっちゃって……」
後輩騎士「いや……なんていうか、それってむしろ浸透作戦に近いというか、かえってオークの方が大丈夫だったのかなって……」
女騎士「えっ、それどういう意味?」

32: 以下、名無しが深夜にお送りします :2017/10/08(日) 21:07:53 ID:Bx2ajIMo
後輩騎士「先輩、今まで一度も騎士団の炊事演習に参加したことありませんよね?」
女騎士「う、うん。なぜかいつも衛兵当番とかぶっちゃって……」
後輩騎士「実はあれ……団長の判断で外していたんです……」
女騎士「えっ」
後輩騎士「先輩の作る料理があまりにも猟奇的すぎるという理由で」
女騎士「」

33: 以下、名無しが深夜にお送りします :2017/10/08(日) 21:09:23 ID:Bx2ajIMo
後輩騎士「ごめんなさい……黙ってようと思ったんですけど……」
女騎士「えっ……? ちょ……それ本当なの?」
後輩騎士「本当です」
女騎士「わ、私の料理って猟奇的なの?」
後輩騎士「正直ジャイアンシチューが宮廷料理に見えるレベルです」
女騎士「」

34: 以下、名無しが深夜にお送りします :2017/10/08(日) 21:11:03 ID:Bx2ajIMo
後輩騎士「というかあの、調理過程からして料理を作っているというよりは……何かよくないものを召喚しているようにしか……」
女騎士「え、そんな、だって、オークはおいしいって……」
後輩騎士「きっと先輩の感覚は人間より魔族寄りなんですねぇ……」
女騎士「」ガーン
後輩騎士「ご、ごめんなさい」

35: 以下、名無しが深夜にお送りします :2017/10/08(日) 21:13:02 ID:Bx2ajIMo
女騎士「そ、そっか……それで査問委員会でも同じことを何度も聞かれたんだ……」
後輩騎士(あ、やっぱみんなそこ気にしてたんだ)
女騎士「皆やけにオークの心配をしていたので、かえって私の方がこれはワナじゃないかって勘ぐったくらいだったんだけど……」
後輩騎士「お悔やみ申し上げます……」
女騎士「……それは、どっちに?」
後輩騎士「オーk・・・…もちろん先輩にですよ」
女騎士「おい」

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