キモオタ「我輩がおとぎ話の世界に行くですとwww」ティンカーベル「そう」 『作者』編
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605 :◆oBwZbn5S8kKC :2016/08/01(月)00:27:23 ID:DD1
【九冊目、これまでのあらすじ】
・・・
食わず女房「逃げないでくださいよ桃太郎さーん。アタシお腹が空きすぎてもう我慢できませんよぉ…それとも後頭部に大口開けてる女はお嫌いですか?やっぱり気味悪いですか?」グオオォォ
桃太郎「うわああぁぁ!!別に外見的な理由で逃げてんじゃないから!お主が拙者を食べようとするから逃げてるんだってぇぇ!」タッタッタッ
食わず女房「そんなに怖がることないですよぉ、キチンといただきます言って感謝して食べますし…内臓も骨も残さず食べますから。それとも丸呑みはお嫌いですか?それなら油をたてて天ぷらにします、それならいいですか?」ドタドタドタ
桃太郎「調理方法とかどうだっていいんだよぉぉ!ライオン!舌切り殿!どうして相手が鬼女だって教えてくんなかったんだよぉぉ!このままじゃ美味しく頂かれるから助けてええぇぇ!」
舌切り雀「うるせぇ!オメェが【食わず女房】の世界に来るって決めたんだろうが!一人で何とかしろ!…おいライオン、あっし等はもっと離れとくぞ、まだ死にたくねぇ」
ライオン「わ、わかったよぉ!ご、ごめんね桃太郎さん」スタタタ
桃太郎「あからさまに距離取るなよおおお!鬼だからって女の人は斬れないしさぁぁ!な、なにかちょこっとだけで良いからこの人の弱点とか教えてぇぇ!」
舌切り雀「おーい、食わず女房!そこの桃がお前の苦手なもん教えてくれってよ」
食わず女房「苦手なものはありますけど…それが原因で前の旦那さんを食べ損ねちゃったんでナイショです。でも好きな食べ物は人間ですよ、特に若い男性の生肉が一番好きです。ですから桃太郎さん、もう諦めましょうよー」ガアアァァ
桃太郎「諦めないに決まってんだろおおぉぉ!で、でもちょっと希望見えてきたぞ…何かは解らないけど弱点はあるってことでしょ!?考えろ拙者!考えろ拙者!」
舌切り雀「…さぁて、おいライオン。あいつ待ってる間暇だからこれまでのあらすじやるぞ」
ライオン「えっ」
舌切り雀「もう九冊目始まってから随分経つだろ、内容忘れてる奴もいるかも知れねぇからここらであらすじしといた方がいいだろ」
ライオン「う、うん…その通りなんだけど…こういうのってキモオタさんとティンクちゃんの役目じゃあ…」
舌切り雀「いいんだよこんなもん暇な奴がやりゃあ。ウダウダ言ってねぇでさっさとやっちまうぞ!」
606 :◆oBwZbn5S8kKC :2016/08/01(月)00:29:39 ID:DD1
おとぎ話の世界を消滅させている黒幕・アリスに対抗するべく旅を続けていたキモオタ達
そんな彼らの元に飛び込んできたのはシンデレラが行方不明になったという知らせだった
どうやら彼女はアリスにさらわれてしまったのだという情報を得たキモオタ達はシンデレラ奪還を計画する
しかし、奪還が目的とはいえ【不思議の国のアリス】の世界に乗り込む以上、決戦は避けられない…作戦の決行を三日後に控え、キモオタと仲間達はシンデレラを救う力を手にするのために別々のおとぎ話の世界へ向かう
キモオタとティンカーベルは【雪の女王】の世界で女王を相手に戦闘の訓練を受け
裸王、ヘンゼルとグレーテル、司書、ドロシーは【裸の王様】の世界で各々に出来ることをより特化させるために動き
赤ずきん、赤鬼、人魚姫の三人は【ライオンとねずみ】の世界で仲間との連携を重視した特訓を重ね
ラプンツェルは【アラビアンナイト】の世界で戦闘訓練をしながら勉強に打ち込み
桃太郎とライオンは様々な日ノ本のおとぎ話を巡り精神修行を目的とした旅を…それぞれ続けていた。
最終決戦を前に研鑽を重ねるキモオタとおとぎ話の主人公達
だがアリスも自らの望みを果たすため着実に歩みを進めていたのだった…
舌切り雀「って感じかねぇ…他の連中も苦労してんだな。【雪女】の姉ちゃんも【聞き耳頭巾】のじーさんも一筋縄じゃいかねぇ性格してっからなぁ…桃がどう切り抜けるか楽しみだぜ、ハハッ」
ライオン「桃太郎さん…無事にアリスちゃんと戦うことが出来るかなぁ…」
食わず女房「桃太郎さん、お肉に付けて食べるならお醤油がいいですか?お塩がいいですか?あたしは断然お塩派です、素材の味を楽しみたいのでー」
桃太郎「ぼかしちゃいるけど拙者の味付けをどうするかって話だよねそれ!?そんな事本人に聞いちゃうの!?」
食わず女房「だってどうせ食べるなら美味しく食べたいじゃないですかー。桃太郎さんは桃から生まれたんですしきっとほんのり甘いお肉に違いないです…想像したらよだれ出ちゃいますよ〜」グゥー
桃太郎「ちょ、食欲増さなくて良いからぁぁ!とにかく食わず女房殿の弱点を見つけないとこのままじゃマジで食べられる!うわああぁぁ!嫌だああああぁぁぁ!マジで勘弁してよもおおぉぉ!!」
・・・
次レスから本編です
607 :◆oBwZbn5S8kKC :2016/08/01(月)00:31:39 ID:DD1
キモオタ達の作戦決行まであと1日
雪の女王の世界 女王の宮殿前 氷のドーム
キモオタ「うおおぉぉ!悪鬼をも断ち切るこの刃…受けてみるがよいですぞぉぉ!」ビュバッ
雪の女王「ふふっ、随分と思い切った攻撃が出来るようになったな。でもまだまだ…戸惑いが残ってる、踏み込みが甘いよキモオタ」スッ
ティンカーベル「ありゃ、避けられちゃった…でもドンマイドンマイ!今のはいい感じだったよキモオタ!次ガンバロ、次!」
キモオタ「ガッテン承知www引き続き作戦は『ガンガンいこうぜ』ですぞwwwいい感じの援護射撃頼むでござるwww」コポォ
ティンカーベル「よーし!わかったよ!いつでもいけるからね!」フワフワ
雪の女王「決戦を明日に控え随分と燃えているようだな。だが熱くなりすぎて冷静さを失ってはいけない、どれ私が少し頭を冷やしてやろう」ススッ
ティンカーベル「キモオタ!女王が距離をとったよ!多分つららを飛ばしてくるか吹雪ぶわぁーっ!ってしてくるよ!警戒してよね!」
キモオタ「わかっていますぞwww我々、何度それの餌食になった事かwww」コポォ
雪の女王「ふふっ、何度も戦ったものな。私の攻撃パターンはお見通しというわけか。だが予測できていても対応しきれなければ意味はないぞ?」パキパキパキ…
ティンカーベル「あっ、これ、つらら飛ばす方だ!キモオタ!どうする?このまま避けて攻める感じ?それともサイリウムで塔を出して防御する?」
キモオタ「ここは強気で攻撃続行ですぞ!我輩はあのつららを迎撃するでござるからお主は隙を見て女王殿へ攻撃するチャンスを見極めてくだされ!」
ティンカーベル「わかった!まかせて!バッチリ隙をとらえるからね!」
雪の女王「ここで防御に徹しては私のペースに飲まれてしまうからな、悪くない判断だ。だがこの無数の氷柱をどう捌くつもりだい?」ヒュバババ
キモオタ「とび道具にはとび道具で応戦するのが定石wwwここはクールロリの力を借りますぞwww」フリフリ
おはなしサイリウム「コード認識完了『赤ずきん』武器モード『猟銃』への形状変化を実行」
608 :◆oBwZbn5S8kKC :2016/08/01(月)00:34:53 ID:DD1
キモオタ「ドゥフフwww赤ずきん殿の射撃テクをもってすればつららなどただの冷たい的ですぞwww」ズダーンズダーンズダーン
パリンパリンパリーン!
雪の女王「大したものだな、私が生成した氷柱がこうも容易く砕けるとは…流石は魔女が生み出した魔法の猟銃といったところか」
キモオタ「ドゥフフwwwこれで迎撃&障害物の除去に成功ですなwwwそして休む暇を与えずこのまま女王殿にダイレクトアタックですぞ!」ガチャッ
ズダーンズダーン
雪の女王「息をつかせぬ攻撃で相手の攻め手を封じる…初日と比べれば随分成長したな。次の一手に繋がる行動がとれている。だが私の氷結は攻め専用ではないぞ?」
パキパキパキ カキンカキーン
キモオタ「ぬぅ、氷の盾で…!女王殿の能力は今更ながらチート過ぎますぞ!万能過ぎますぞ!?」
雪の女王「ふふっ、君のサイリウムと同じで攻守自在なのさ。強度を上げれば盾にだってなる、その分投擲には向かない氷塊になってしまうがな」
ティンカーベル(あの能力なんでもでき過ぎてずるいよ!でもキモオタに気を取られてる隙に後ろから攻撃すれば勝てるよね!よーし…)ヒュッ
雪の女王「それとティンカーベル、奇襲はバレないようにするものだよ」パキパキパキ
ティンカーベル「わーっ!なんで後ろからだったのに気づいちゃうの!?っていうか羽根が凍り付いて飛んでられないy」ビターン
キモオタ「ティンカーベル殿ー!おもいきり顔面打ったでござるが大丈夫ですかな!?」
雪の女王「キモオタ、君も仲間に気を取られていると…手詰まりになるぞ?」パキパキパキ
キモオタ「ブヒッ!?両足が氷漬けに!?ぐぬぬ…油断したでござる…!」ビターン
雪の女王「途中まではいい調子だったんだがな…私の能力への理解が不足している。まずは氷結能力を封じるか弱体化させる事が優先だ、そうしなければ勝負にならないぞ」
キモオタ「それは解っているつもりでござるが…女王殿の氷結能力はノーモーションかつ射程も広いしで隙がなさ過ぎますぞ!?封じるなど難易度ベリーハードでござるよ…」
雪の女王「確かに氷結能力は強力だが私自身は無敵じゃない、この能力を満足に使えなければただの低体温の女だ。不死の体を持っているわけでもなし、ナイフで胸を突けば死ぬぞ?」
ティンカーベル「能力の無力化とか言うのは簡単だけど実際にやるとなると簡単にはいかないじゃん!」プンス
雪の女王「だがアリスも私と同じだぞ?魔法や魔法具で武装していてもアリス自身はただの女の子だ、それらを無効化あるいは弱体化すれば相手をするのは容易いさ」
キモオタ「確かにそうでござるが…やはり言うは易し行うは難しでござるなぁ…」
609 :◆oBwZbn5S8kKC :2016/08/01(月)00:37:50 ID:DD1
雪の女王「まぁ容易くはないだろうが…君もティンクも確実に成長しているぞ。無茶なごり押しも減ったし正確な判断もできるようになった、そこは誇って良い」
キモオタ「ドゥフフwww誉められましたなティンカーベル殿www悪い気はしないwww」コポォ
ティンカーベル「まぁね!わたしはちょっとブランクあっただけでフック率いる海賊と戦ったりしてたし!まぁ当然ですよ!」フンスッ
雪の女王「ふふっ、そのポジティブさは君達の一番の武器だな。さて…もうそろそろ良い時間だ、今日の戦闘訓練はここまでにして宮殿に戻ろうか」
ティンカーベル「もうそんな時間?でも私はまだまだいけるよ!さっきももうちょっとでいけそうだったし!」
雪の女王「やる気なのは良いことだが君達がすべき事は他にもあるだろう?アリスはまだ手の内をすべて晒していない、どのような魔法具を前にしても問題ないようにしなければな」
キモオタ「そのためにはおとぎ話の世界にどのような魔法具が存在しているのか把握しておかなければなりませんからなwww今日も今日とて書庫でおとぎ話を読みまくりますぞwww」
ギィィッ バタンッ
カイ「なんだ、丁度一段落ついてるみたいだな。キモオタ、ティンカーベル、晩飯できてるから終わったらダイニングに来い」
キモオタ「うっひょーwww飯でござるwww飯でござるwwwこれを楽しみに一日頑張ってるでござるからなwww」コポォ
ティンカーベル「もーっ!意地汚いよ!私達はお世話になってるんだからもっと謙虚にしてなきゃ!でも私もお腹空いたからすんごい食べるよ!超食べるよ!」
雪の女王「ふふっ、彼等は食事のことになると途端に元気になるな。さて、私も夕飯を頂くとしようか」クスクス
カイ「……女王、悪いがお前は応接間へ向かってくれるか。待たせてる連中が居るんだ」
雪の女王「あぁ、それは構わないが…客人かい?」
カイ「いや…白鳥と親指姫だ。詳しくは聞いていないが親指姫の奴珍しく深刻な顔してたぜ、何があったか知らないが…行って話を聞いてやってくれ」
雪の女王「…わかった。キモオタとティンクは君に任せるよ、疲れてるだろうから労ってやってくれ。任せたよ」スタスタ
610 :◆oBwZbn5S8kKC :2016/08/01(月)00:41:16 ID:DD1
雪の女王の宮殿 応接間
雪の女王(普段は賑やかな彼等が深刻そうにしているというのは確かに珍しい。何か余程の問題があったと考えるべきか…とにかく話を聞かなければいけないな)
ガチャッ
雪の女王「二人とも待たせてしまってすまない。別件で手を取られていてね…それよりどうしたんだい?こんな風に改まって…いつもは私の所に直接報告に来るというのに」
親指姫「女王様…!」バッ
雪の女王「親指姫、何かあったのかい?珍しく君の表情に余裕がない、いつもはもっと毅然としているだろう?」
親指姫「…申し訳ございません!この親指姫…女王様の想いを守ることが出来ませんでした…!こんなちっぽけな私を信頼してくださったのに応えることが出来なかった…!どうかこの首を切り落として頂きたい…!」
雪の女王「落ち着くんだ親指姫。そんな事できるわけがないだろう」
親指姫「いいえ、私に生きる資格はないんです。それだけではありません、私は…私は、戦友を守ることが…彼の世界を救ってやることが出来なかった…!」クッ
白鳥「お前は悪くないよ…だからそんなに自分を責めるなよ…。女王様だって困惑してらっしゃるだろ」
親指姫「……すまない。だが私は…とても平静を保っていられそうもない」
白鳥「女王様には僕が説明するから、だから…少し落ち着こう、なっ?」
親指姫「……わかった」
雪の女王「…彼女がこんなに取り乱すなんて余程の事だ、何か大きな問題があったんだな?」
白鳥「はい…女王様もご存じの通り、僕達は様々なおとぎ話の世界を巡ってアリスの件の注意喚起、それと警備を続けていました。それで…任務も一段落したんで一度この宮殿に帰ろうって話になったんですが」
白鳥「親指姫がその前に寄って欲しい世界があると言うんで、とある世界に寄り道したんです。そこは以前に訪れた事がある世界で…そこの主人公と親指姫はその時すっかり意気投合した親友同士だったんです」
白鳥「女王様もよくご存じの【しっかり者のスズの兵隊】のおとぎ話の世界…そしてその主人公、スズの兵隊です」
612 :◆oBwZbn5S8kKC :2016/08/01(月)00:47:00 ID:DD1
雪の女王「あぁ…直接会ったことはないけれど、そのおとぎ話はよく知っているよ」
親指姫「スズの兵隊は…あいつは玩具の兵隊だったが、芯のしっかりした男だった…。兵隊だということに誇りを持った、本物の戦士だった」
白鳥「…彼は背丈も親指姫と近いし、数々に困難に翻弄されるという物語にも共通点がある。だからこいつは…スズの兵隊のことを信頼していたし戦友として認めていたんです」
雪の女王「だがその口振りだと、彼は…いや、【しっかり者のスズの兵隊】のおとぎ話は…」
白鳥「……僕達がその世界にたどり着いた時には、もう街は焼け野原でした。状況を察した僕達はすぐにスズの兵隊が居た家を訪ねましたが、もう……」
雪の女王「……そうか」
親指姫「私達がたどり着いた頃にはそのスズ製の体はおおかた溶け出して私の声も聞こえなかったみたいでした、けど…」
親指姫「あいつの傍らには踊り子の人形が寄り添っていました。あいつは…戦士として、守るべきものを守って…死にました。でも、私がもう一歩早ければ…あいつは死なずに済んだかも知れなかった…!」
白鳥「親指姫…」
雪の女王「親指姫、あまり気に病まない方がいい。残念だがどうにもならないという事は…あるものだよ」
親指姫「しかし…あの世界は、【しっかり者のスズの兵隊】の世界は女王様にとても大切な世界のはずです!それを知っていながら私はあの世界を守ることが出来なかったんです!悔やんでも…悔やみきれません、そしてアリスが…憎い…!」
雪の女王「確かにあの世界が消滅したという事実は衝撃的だ。だが…それは君のせいじゃない。なってしまったものは…どうにもならない、受け入れるしかないよ」
親指姫「女王様がお優しい方だという事はよく知っています…ですがあいつの世界を創ったのは私達の作者と同じハンス・クリスチャン・アンデルセンなんですよ!?アリスへ怒りを感じないのですか!?悔しくないのですか!?」
親指姫「女王様は以前教えてくださったじゃないですか!アンデルセンが…アナスンが記したおとぎ話は一つとして失いたくないと!」
613 :◆oBwZbn5S8kKC :2016/08/01(月)00:52:37 ID:DD1
雪の女王「確かにそう言ったよ。今もその思いは変わりない」
親指姫「それなら一つ提案があります女王様……私はアリスが許せません。今すぐにでも協力者を率いて強襲をかけたいと考えています。スズの兵隊に弔いの為にも」
白鳥「ちょっと待ってって!お前はなにを言い出すんだよ!気が動転してるのはわかるけどそんな事できるはずないじゃないか!」
親指姫「何故だ!?これ以上奴を野放しにすれば他のおとぎ話だって次々消えていく!アナスンのおとぎ話の中には結末を迎えていないものだってあるんだ、それらが餌食になるかも知れないんだぞ!」
白鳥「容易くないからキモオタ君達は必死に努力してるんだろ!僕達が私怨で勝手な事をしてアリスを倒すチャンスを逃しでもしたらどうするんだ!?」
親指姫「だったらどうしろって言うんだ!?このまま私や女王様の大切なものが消えていくのを指を咥えて見ていろって言うのか!?」
白鳥「そうじゃない!慎重になれって言ってるんだ!これは僕達だけの問題じゃないんだぞ!」
親指姫「お前じゃあ話にならない…!女王様はアリス襲撃に賛成してくださいますよね?あいつの命を…アナスンの世界を奪われた無念は晴らすべきです!」
雪の女王「悪いが…君の提案は飲めない。今、アリスの世界を襲撃する事はできない」
親指姫「何故ですか!?アリスはアナスンの生み出したおとぎ話を消した悪人です、殺さない理由がありますか!?それともあなたがアナスンのおとぎ話が大切だというのはその程度のものなんですか!?今すぐにアリスを殺s…痛っ!何をする無礼者!」ガッ
白鳥「無礼者はお前だ!お前はモグラやコガネムシの自分勝手な行動に振り回されて辛い思いをしたんだろ?今度はお前が他の奴らを振り回すのかよ!?巻き込まれるのは嫌だけど自分が巻き込むには構わないって!?」
親指姫「……いや、悪かった頭に血が上りすぎていた。女王様も…申し訳ありません。女王様だって辛いというのに…やり場のない怒りに思わず当たり散らしてしまって…」
雪の女王「いいんだ、気持ちは分かるよ。私だって内心…アリスを全く憎んでいないわけではないしな…だからこそ慎重に行動すべきだよ、親指姫」
614 :◆oBwZbn5S8kKC :2016/08/01(月)00:55:40 ID:DD1
雪の女王「カイから聞いたかも知れないが…今、キモオタ達はアリスの世界へ向かうための特訓の最中だ、明日にはその作戦が実行される。今私たちが動くのは得策じゃあないんだ」
親指姫「はい、それは…先程聞きました。でも、あいつら…大丈夫なのですか?」
雪の女王「確かに未熟な部分はあるが…全く見込みがなければ特訓の相手をしたりしないさ。少なくとも私はキモオタ達ならアリスを止められるかも知れないと…見込みがあると考えている」
親指姫「私には気持ちの悪い男と不愉快な羽虫にしか見えませんが…」
白鳥「まぁその点はお前も不愉快なこびとだけd痛いっ!」ズブッ
親指姫「随分とあの男のことを評価しているのですね、女王様は」
雪の女王「まぁ確かに気持ちは悪いが…それだけの男ではないよ。なにしろヘンゼルが行動を共にするくらいだからな。目に見えない魅力というのはあると思うぞ」フフッ
白鳥「とはいえ目に見える魅力が一番重要ですよね、この美しい僕のようn痛っ!」ブスリ
親指姫「確かにあの男の想いには共感すべき所もありますが…」
雪の女王「君ももう少し他人と打ち解けるようにすればもっと周囲の人間の魅力に気づけると思うが…あぁ、今頃彼らは食事中だ、是非一緒に食卓を囲むと良い。二人とも空腹だろう?」
親指姫「それは…いささか空腹でもありますが…私はあの羽虫があまり好きではないので…お互い嫌な気分になるだけでは」
白鳥「ンナハハ!ほらほら、女王様がそうやって提案してくださったんだから僕達も夕飯をご馳走になろうじゃないか!」グイッ
親指姫「おい、引っ張るのはよせ!私はまだ行くと決めたわけでは…」
白鳥「なーに言ってんだよ!それじゃあ女王様、急にお邪魔してすんませんでした!僕達しばらくここに滞在するんでよろしくお願いします、ンナハハハ!」スワーン
雪の女王「あぁ、ゆっくりしていくと良い。それと…すまないが私は夕飯はいらないとカイに伝えておいてくれるか?」フフッ
白鳥「わっかりましたー!この純白の翼にかけて必ず伝えまs痛い!やめろ!」ブスリ
ペタペタペタ
雪の女王「フフッ、賑やかな方が彼等らしいな。……ふぅ」
615 :◆oBwZbn5S8kKC :2016/08/01(月)00:58:31 ID:DD1
白鳥「ンナハハハ!さっき厨房から香っていたのはまさしくシチューの香り!いやはや、楽しみだ!」スワーン
親指姫「お前は強引すぎるぞ。目の前で別のおとぎ話が消えたっていうのに…薄情な奴め」
白鳥「ずいぶんな言い方だなぁ、僕だって辛いに決まってるだろ。それに女王様…きっと一人になりたいだろうしさ。そういうこと考えて僕は動いてるんだよ、気配りできる白鳥だよ僕は」
親指姫「どうだか…。だがまぁ…先程、私が取り乱した時に正気に戻してくれた事には礼を言おう。悪かった」
白鳥「どういたしまして。まぁ気持ちは分かるけど女王様だってあれ普通にしてたけどきっと相当つらいと思うよ?」
親指姫「まぁそうだろうな…酷いことを口にしてしまったな。反省する」
白鳥「まったくだよ。女王様がアナスンの事特別大事に想ってることは知ってるだろ?それなのにあんな言い方はないよ」
親指姫「うるさいな…反省すると言ったろう。まぁ…何者かがおとぎ話の世界を荒らしていると知って、女王がまず私やお前に協力を仰いだのも同じ作者だからだろうしな…」
白鳥「ハンス・クリスチャン・アンデルセン…彼がどういった人物かは僕はあんまり知らないけど、女王にとっては自分の生みの親って以上に大切なんだね」
親指姫「詳しく聞いたことは無いからな…だが女王様の大切なものを守るのも私達の勤めだ、それが形あるものだろうと形ないものだろうとな」
白鳥「そのつもりだよ。まぁ女王様が声をかけてくれたおかげでこの美しい翼で様々な世界を飛び回れるわけだし」
親指姫「あぁ、私も女王様のおかげで小さくても戦えることを知った。せめてもの礼にすらならないが…恩は返したいところだ」
白鳥「そうだね、その一環としてティンクちゃんとは仲良くしてくれよ?仲違いしたら女王様悲しむだろうし」
親指姫「それはあの羽虫次第だな」
白鳥「もうその呼び名の時点で望み薄なんだよなぁ…まぁなんとかフォローするから挑発だけはやめてよ」
616 :◆oBwZbn5S8kKC :2016/08/01(月)01:03:42 ID:DD1
雪の女王の宮殿 女王の自室
雪の女王「……遂に消えてしまったか、いつかはこの日が来るかも知れないと思っていたが。……思っていたよりもショックが大きいな」
雪の女王「……」
雪の女王「私のワガママでしかないが…アナスンの生み出したおとぎ話は一つとして消滅させたくなかった。今更…そんな事を言ってもどうにもならないが…」
雪の女王(もうあれから…あの幸せな日々からどれくらいの月日が流れただろうか…)
雪の女王(あれは…お千代がこの宮殿で暮らすようになる前、まだヘンゼルもグレーテルも…カイもいない。ずっとずっと昔……)
雪の女王(現実世界の時の流れでは…もう百五十年程前か…)
雪の女王(何もかもが懐かしいな、現実世界で出会ったアナスンの事…ヤーコプ、ヴィルヘルム…もう皆、ずっと昔に亡くなってしまった。おとぎ話だけを後世に残して…)
雪の女王「……ふぅ、駄目だな。私が辛気くさい顔をしていると皆を不安にさせる。ショックな出来事ではあったが…気持ちを入れ替えよう」
雪の女王「そうだな…久々にあの本を読むとしよう。今なら書庫にカイが来ることもないだろうしな…。あの本を開いている間は君との思い出に浸れるからな、アナスン…」
スタスタ
雪の女王(アナスンことハンス・クリスチャン・アンデルセン……私の【雪の女王】を始めとする数々のおとぎ話を生み出した、世界的に有名な童話作家)
雪の女王(彼はおとぎ話を通して様々なことを世界中の子供達に伝えようとしていた。変わり者ではあったけれど貧しい子供達を救うことをいつも考えていて…優しくて暖かくて誠実で、そのくせおとぎ話に関しては考えを譲ることを知らなくて…)
雪の女王(そして…私が生涯で唯一愛した男だ)
617 :◆oBwZbn5S8kKC :2016/08/01(月)01:12:08 ID:DD1
今日はここまで 『作者』編 次回へ続きます
次回以降、ちょいちょい作者出てくるけど
史実に空想妄想がねじ込んであるからご注意を!
この物語はフィクションです
次回
雪の女王が愛した男ハンス・クリスチャン・アンデルセン
彼と過ごした日々を女王が語る
619 :名無しさん@おーぷん :2016/08/01(月)01:42:41 ID:bwT
乙!
9冊目って確かにものすごいな
暇なときにまた最初から読み直すか
620 :名無しさん@おーぷん :2016/08/01(月)17:12:35 ID:Gfv
乙です!
久々にきもティン来た!
そしてついに作者か…
続き待ってます!!
621 :名無しさん@おーぷん :2016/08/01(月)18:36:31 ID:MsL
今7冊目を見返してるけどラプちゃんが言ってるね
シンデレラが悪い子になったらいい子に戻してあげるって
アシェンプテルをシンデレラに戻すのはラプちゃんか
622 :名無しさん@おーぷん :2016/08/03(水)01:44:49 ID:UWf
乙!
さらっとヴィルヘルムの名前出てるから登場に期待しちゃう
>>621
その展開なら俺得
精神干渉されてるとはいえアシェンプテルがラプちゃんの事をもう友達とは思ってないみたいに言ってたのが辛い(´・ω・`)
623 :名無しさん@おーぷん :2016/08/03(水)21:45:15 ID:RfZ
玉龍ちゃんがすごく好きなんだけど、これから出番ないのかな…
確か今はかぐやの代役してるんだよね?
626 :◆oBwZbn5S8kKC :2016/08/08(月)00:36:40 ID:9xL
雪の女王の世界 女王の宮殿 ダイニング
キモオタ「くぅ〜www運動後の飯はどうしてこんなにうまいのかwww我輩、今なら無限に食えそうですぞwww」ガツガツバクバク
ティンカーベル「たくさん特訓したもんね!明日もいっぱい頑張る為にいっぱい食べちゃおう!」モグモグムシャムシャ
カイ「お前等少し落ち着いて食えよ。そんな急いで食わなくても誰も取らないだろ…どれだけ腹減ってたんだよ」
キモオタ「いやいやwwwカイ殿の料理の腕前が良い故に我々も手が止まらないのでござるよwww」コポォ
ティンカーベル「私達、現実世界じゃいっつも出前か外食かコンビニ弁当だからねー…私達のために美味しいご飯作ってくれてありがとね、カイ!」
カイ「礼なんて要らねぇよ。こっちも食料庫の整理が出来て助かってるからな、その干し肉とか結構ギリギリだったんだぜ」
キモオタ「ちょwww我々は残り物処理班ですかなwwwしかしカイ殿と女王殿の二人暮らしならば食料そんなに備蓄する必要も無いのではwww」バクバク
カイ「女王が多めに買い込むんだよ、いつヘンゼル達が帰ってきても良いようにな。常に五人が十分に食える量は備蓄するようにしてる」
ティンカーベル「もしかして三人とも食べ物が無かったせいで前の家族失っちゃってるからかな?きっと女王はせめて今はおなかいっぱい食べさせてあげようって思ってるんだねぇ」ムシャムシャ
キモオタ「実に優しい方ですなwwwでは我々は調理してくださったカイ殿に敬意を表してこの料理を食い尽くしますぞwww」バクバク
ティンカーベル「そうだね!出された料理は全部食べるのがマナーだよね!カイも早く食べなきゃ私達が全部食べちゃうよー?」ムシャムシャ
カイ「俺はもういい。でも女王達の分だけは適当に残しとけよ」
ティンカーベル「あはは、言われなくたって女王の分まで食べたりしないよー!私達こう見えて遠慮してるし!」ムシャムシャ
キモオタ「そうですぞwww他人の飯を奪うほど落ちぶれてはいませんからなwww」コポォ
カイ「嘘つけ。あわよくば食い尽くそうって勢いだっただろうが」
627 :◆oBwZbn5S8kKC :2016/08/08(月)00:37:52 ID:9xL
親指姫「女王様に世話になっている身でよくもまぁガツガツと無遠慮に…まるで家畜だなお前達は」
ティンカーベル「出たな!誰が家畜だおらぁー!キモオタはそうかも知れないけど私は違うし!失礼なこと言うなバーカ!」ムシャムシャ
キモオタ「ちょwwwお主も大概失礼ですぞwww我輩はギリギリ家畜ではないwww」コポォ
白鳥「親指姫!なんで開口一番暴言吐くんだよ!?仲良くしようって話だっただろ!」
親指姫「こいつ等の浅ましい姿を見て気が変わった。それに私は思った事を口にしただけだ、私に非は一切無い」プイッ
ティンカーベル「言ってろバーカ!それより白鳥もこっちで一緒に食べようよ、そんなチビッコの騎士ごっこに付き合う事ないよ!」
親指姫「聞き捨てならないな、私はお前達と違って遊びでやっているわけではない。己を律し、常に騎士道に恥じぬ行動を心掛けているのだ…ごっこ等と言われる謂われはない」
ティンカーベル「へーそっかそっかすごいねふーん。っていうか……騎士道(笑)」プスプス
親指姫「何だその顔は…言いたいことがあるのならハッキリと言え」イラァ
ティンカーベル「べっつにー?……ププッ、騎士道(笑)」
親指姫「羽虫の分際で私を…騎士を愚弄するか!切り捨ててくれる!」チャキッ
ティンカーベル「はぁー?私は別に何も言ってませんー!言いがかりはやめてくださいー!そーやってすぐ暴力に頼るのが騎士道(笑)なんですかぁー?」
親指姫「他人を小馬鹿にすることだけは一人前のようだな…軽口叩いた事を後悔させてやる!剣を抜け羽虫、相手になってやる!」スタッ
628 :◆oBwZbn5S8kKC :2016/08/08(月)00:39:27 ID:9xL
ティンカーベル「ふんっ!そっちがその気ならこっちだって本気だからね!とびきり痛い奴…食らえー!」ギギッ ビュンッ
親指姫「くっ…空中からとび道具で攻撃とは卑怯な!羽虫!降りてきて正々堂々と戦え!」
ティンカーベル「これが私の正々堂々ですぅー!ふははは!制空権はこちらにありー!」ビュンビュンビュン
親指姫「クソっ…!あまり調子に乗るなよ、羽虫など撃ち落としてやる!」ヒュッ
ティンーベル「わっ!こいつ小石投げてきた!とび道具は卑怯だって言ってた癖に自分はいいんですかぁー!おかしいと思いますぅー!」
親指姫「黙れ!目には目をだ!すぐに地を這わせてやるから覚悟しろ羽虫!」ヒュンヒュン
ティンーベル「ふんっ、上等だよ!やってみろやぁー!」ヒュヒュヒュ
白鳥「何やってるんだ親指姫!やめろ!…あぁ、駄目だ。こうなったら僕の言うことなんか聞きやしないんだから!すまないがキモオタ君からも止めるように言っt」
キモオタ「カイ殿、申し訳ないでござるが茶を一杯頂けますかなwww」
カイ「仕方ねぇな…ほらよ。キモオタ、そこの皿こっちに寄越せ。そいつ等の争いに巻き込まれて割られたらかなわねぇから」コトッ
キモオタ「わかりましたぞwww」スッ
白鳥「どうしてそんなに落ち着いているのかな君達は…」
【九冊目、これまでのあらすじ】
・・・
食わず女房「逃げないでくださいよ桃太郎さーん。アタシお腹が空きすぎてもう我慢できませんよぉ…それとも後頭部に大口開けてる女はお嫌いですか?やっぱり気味悪いですか?」グオオォォ
桃太郎「うわああぁぁ!!別に外見的な理由で逃げてんじゃないから!お主が拙者を食べようとするから逃げてるんだってぇぇ!」タッタッタッ
食わず女房「そんなに怖がることないですよぉ、キチンといただきます言って感謝して食べますし…内臓も骨も残さず食べますから。それとも丸呑みはお嫌いですか?それなら油をたてて天ぷらにします、それならいいですか?」ドタドタドタ
桃太郎「調理方法とかどうだっていいんだよぉぉ!ライオン!舌切り殿!どうして相手が鬼女だって教えてくんなかったんだよぉぉ!このままじゃ美味しく頂かれるから助けてええぇぇ!」
舌切り雀「うるせぇ!オメェが【食わず女房】の世界に来るって決めたんだろうが!一人で何とかしろ!…おいライオン、あっし等はもっと離れとくぞ、まだ死にたくねぇ」
ライオン「わ、わかったよぉ!ご、ごめんね桃太郎さん」スタタタ
桃太郎「あからさまに距離取るなよおおお!鬼だからって女の人は斬れないしさぁぁ!な、なにかちょこっとだけで良いからこの人の弱点とか教えてぇぇ!」
舌切り雀「おーい、食わず女房!そこの桃がお前の苦手なもん教えてくれってよ」
食わず女房「苦手なものはありますけど…それが原因で前の旦那さんを食べ損ねちゃったんでナイショです。でも好きな食べ物は人間ですよ、特に若い男性の生肉が一番好きです。ですから桃太郎さん、もう諦めましょうよー」ガアアァァ
桃太郎「諦めないに決まってんだろおおぉぉ!で、でもちょっと希望見えてきたぞ…何かは解らないけど弱点はあるってことでしょ!?考えろ拙者!考えろ拙者!」
舌切り雀「…さぁて、おいライオン。あいつ待ってる間暇だからこれまでのあらすじやるぞ」
ライオン「えっ」
舌切り雀「もう九冊目始まってから随分経つだろ、内容忘れてる奴もいるかも知れねぇからここらであらすじしといた方がいいだろ」
ライオン「う、うん…その通りなんだけど…こういうのってキモオタさんとティンクちゃんの役目じゃあ…」
舌切り雀「いいんだよこんなもん暇な奴がやりゃあ。ウダウダ言ってねぇでさっさとやっちまうぞ!」
606 :◆oBwZbn5S8kKC :2016/08/01(月)00:29:39 ID:DD1
おとぎ話の世界を消滅させている黒幕・アリスに対抗するべく旅を続けていたキモオタ達
そんな彼らの元に飛び込んできたのはシンデレラが行方不明になったという知らせだった
どうやら彼女はアリスにさらわれてしまったのだという情報を得たキモオタ達はシンデレラ奪還を計画する
しかし、奪還が目的とはいえ【不思議の国のアリス】の世界に乗り込む以上、決戦は避けられない…作戦の決行を三日後に控え、キモオタと仲間達はシンデレラを救う力を手にするのために別々のおとぎ話の世界へ向かう
キモオタとティンカーベルは【雪の女王】の世界で女王を相手に戦闘の訓練を受け
裸王、ヘンゼルとグレーテル、司書、ドロシーは【裸の王様】の世界で各々に出来ることをより特化させるために動き
赤ずきん、赤鬼、人魚姫の三人は【ライオンとねずみ】の世界で仲間との連携を重視した特訓を重ね
ラプンツェルは【アラビアンナイト】の世界で戦闘訓練をしながら勉強に打ち込み
桃太郎とライオンは様々な日ノ本のおとぎ話を巡り精神修行を目的とした旅を…それぞれ続けていた。
最終決戦を前に研鑽を重ねるキモオタとおとぎ話の主人公達
だがアリスも自らの望みを果たすため着実に歩みを進めていたのだった…
舌切り雀「って感じかねぇ…他の連中も苦労してんだな。【雪女】の姉ちゃんも【聞き耳頭巾】のじーさんも一筋縄じゃいかねぇ性格してっからなぁ…桃がどう切り抜けるか楽しみだぜ、ハハッ」
ライオン「桃太郎さん…無事にアリスちゃんと戦うことが出来るかなぁ…」
食わず女房「桃太郎さん、お肉に付けて食べるならお醤油がいいですか?お塩がいいですか?あたしは断然お塩派です、素材の味を楽しみたいのでー」
桃太郎「ぼかしちゃいるけど拙者の味付けをどうするかって話だよねそれ!?そんな事本人に聞いちゃうの!?」
食わず女房「だってどうせ食べるなら美味しく食べたいじゃないですかー。桃太郎さんは桃から生まれたんですしきっとほんのり甘いお肉に違いないです…想像したらよだれ出ちゃいますよ〜」グゥー
桃太郎「ちょ、食欲増さなくて良いからぁぁ!とにかく食わず女房殿の弱点を見つけないとこのままじゃマジで食べられる!うわああぁぁ!嫌だああああぁぁぁ!マジで勘弁してよもおおぉぉ!!」
・・・
次レスから本編です
607 :◆oBwZbn5S8kKC :2016/08/01(月)00:31:39 ID:DD1
キモオタ達の作戦決行まであと1日
雪の女王の世界 女王の宮殿前 氷のドーム
キモオタ「うおおぉぉ!悪鬼をも断ち切るこの刃…受けてみるがよいですぞぉぉ!」ビュバッ
雪の女王「ふふっ、随分と思い切った攻撃が出来るようになったな。でもまだまだ…戸惑いが残ってる、踏み込みが甘いよキモオタ」スッ
ティンカーベル「ありゃ、避けられちゃった…でもドンマイドンマイ!今のはいい感じだったよキモオタ!次ガンバロ、次!」
キモオタ「ガッテン承知www引き続き作戦は『ガンガンいこうぜ』ですぞwwwいい感じの援護射撃頼むでござるwww」コポォ
ティンカーベル「よーし!わかったよ!いつでもいけるからね!」フワフワ
雪の女王「決戦を明日に控え随分と燃えているようだな。だが熱くなりすぎて冷静さを失ってはいけない、どれ私が少し頭を冷やしてやろう」ススッ
ティンカーベル「キモオタ!女王が距離をとったよ!多分つららを飛ばしてくるか吹雪ぶわぁーっ!ってしてくるよ!警戒してよね!」
キモオタ「わかっていますぞwww我々、何度それの餌食になった事かwww」コポォ
雪の女王「ふふっ、何度も戦ったものな。私の攻撃パターンはお見通しというわけか。だが予測できていても対応しきれなければ意味はないぞ?」パキパキパキ…
ティンカーベル「あっ、これ、つらら飛ばす方だ!キモオタ!どうする?このまま避けて攻める感じ?それともサイリウムで塔を出して防御する?」
キモオタ「ここは強気で攻撃続行ですぞ!我輩はあのつららを迎撃するでござるからお主は隙を見て女王殿へ攻撃するチャンスを見極めてくだされ!」
ティンカーベル「わかった!まかせて!バッチリ隙をとらえるからね!」
雪の女王「ここで防御に徹しては私のペースに飲まれてしまうからな、悪くない判断だ。だがこの無数の氷柱をどう捌くつもりだい?」ヒュバババ
キモオタ「とび道具にはとび道具で応戦するのが定石wwwここはクールロリの力を借りますぞwww」フリフリ
おはなしサイリウム「コード認識完了『赤ずきん』武器モード『猟銃』への形状変化を実行」
608 :◆oBwZbn5S8kKC :2016/08/01(月)00:34:53 ID:DD1
キモオタ「ドゥフフwww赤ずきん殿の射撃テクをもってすればつららなどただの冷たい的ですぞwww」ズダーンズダーンズダーン
パリンパリンパリーン!
雪の女王「大したものだな、私が生成した氷柱がこうも容易く砕けるとは…流石は魔女が生み出した魔法の猟銃といったところか」
キモオタ「ドゥフフwwwこれで迎撃&障害物の除去に成功ですなwwwそして休む暇を与えずこのまま女王殿にダイレクトアタックですぞ!」ガチャッ
ズダーンズダーン
雪の女王「息をつかせぬ攻撃で相手の攻め手を封じる…初日と比べれば随分成長したな。次の一手に繋がる行動がとれている。だが私の氷結は攻め専用ではないぞ?」
パキパキパキ カキンカキーン
キモオタ「ぬぅ、氷の盾で…!女王殿の能力は今更ながらチート過ぎますぞ!万能過ぎますぞ!?」
雪の女王「ふふっ、君のサイリウムと同じで攻守自在なのさ。強度を上げれば盾にだってなる、その分投擲には向かない氷塊になってしまうがな」
ティンカーベル(あの能力なんでもでき過ぎてずるいよ!でもキモオタに気を取られてる隙に後ろから攻撃すれば勝てるよね!よーし…)ヒュッ
雪の女王「それとティンカーベル、奇襲はバレないようにするものだよ」パキパキパキ
ティンカーベル「わーっ!なんで後ろからだったのに気づいちゃうの!?っていうか羽根が凍り付いて飛んでられないy」ビターン
キモオタ「ティンカーベル殿ー!おもいきり顔面打ったでござるが大丈夫ですかな!?」
雪の女王「キモオタ、君も仲間に気を取られていると…手詰まりになるぞ?」パキパキパキ
キモオタ「ブヒッ!?両足が氷漬けに!?ぐぬぬ…油断したでござる…!」ビターン
雪の女王「途中まではいい調子だったんだがな…私の能力への理解が不足している。まずは氷結能力を封じるか弱体化させる事が優先だ、そうしなければ勝負にならないぞ」
キモオタ「それは解っているつもりでござるが…女王殿の氷結能力はノーモーションかつ射程も広いしで隙がなさ過ぎますぞ!?封じるなど難易度ベリーハードでござるよ…」
雪の女王「確かに氷結能力は強力だが私自身は無敵じゃない、この能力を満足に使えなければただの低体温の女だ。不死の体を持っているわけでもなし、ナイフで胸を突けば死ぬぞ?」
ティンカーベル「能力の無力化とか言うのは簡単だけど実際にやるとなると簡単にはいかないじゃん!」プンス
雪の女王「だがアリスも私と同じだぞ?魔法や魔法具で武装していてもアリス自身はただの女の子だ、それらを無効化あるいは弱体化すれば相手をするのは容易いさ」
キモオタ「確かにそうでござるが…やはり言うは易し行うは難しでござるなぁ…」
609 :◆oBwZbn5S8kKC :2016/08/01(月)00:37:50 ID:DD1
雪の女王「まぁ容易くはないだろうが…君もティンクも確実に成長しているぞ。無茶なごり押しも減ったし正確な判断もできるようになった、そこは誇って良い」
キモオタ「ドゥフフwww誉められましたなティンカーベル殿www悪い気はしないwww」コポォ
ティンカーベル「まぁね!わたしはちょっとブランクあっただけでフック率いる海賊と戦ったりしてたし!まぁ当然ですよ!」フンスッ
雪の女王「ふふっ、そのポジティブさは君達の一番の武器だな。さて…もうそろそろ良い時間だ、今日の戦闘訓練はここまでにして宮殿に戻ろうか」
ティンカーベル「もうそんな時間?でも私はまだまだいけるよ!さっきももうちょっとでいけそうだったし!」
雪の女王「やる気なのは良いことだが君達がすべき事は他にもあるだろう?アリスはまだ手の内をすべて晒していない、どのような魔法具を前にしても問題ないようにしなければな」
キモオタ「そのためにはおとぎ話の世界にどのような魔法具が存在しているのか把握しておかなければなりませんからなwww今日も今日とて書庫でおとぎ話を読みまくりますぞwww」
ギィィッ バタンッ
カイ「なんだ、丁度一段落ついてるみたいだな。キモオタ、ティンカーベル、晩飯できてるから終わったらダイニングに来い」
キモオタ「うっひょーwww飯でござるwww飯でござるwwwこれを楽しみに一日頑張ってるでござるからなwww」コポォ
ティンカーベル「もーっ!意地汚いよ!私達はお世話になってるんだからもっと謙虚にしてなきゃ!でも私もお腹空いたからすんごい食べるよ!超食べるよ!」
雪の女王「ふふっ、彼等は食事のことになると途端に元気になるな。さて、私も夕飯を頂くとしようか」クスクス
カイ「……女王、悪いがお前は応接間へ向かってくれるか。待たせてる連中が居るんだ」
雪の女王「あぁ、それは構わないが…客人かい?」
カイ「いや…白鳥と親指姫だ。詳しくは聞いていないが親指姫の奴珍しく深刻な顔してたぜ、何があったか知らないが…行って話を聞いてやってくれ」
雪の女王「…わかった。キモオタとティンクは君に任せるよ、疲れてるだろうから労ってやってくれ。任せたよ」スタスタ
雪の女王の宮殿 応接間
雪の女王(普段は賑やかな彼等が深刻そうにしているというのは確かに珍しい。何か余程の問題があったと考えるべきか…とにかく話を聞かなければいけないな)
ガチャッ
雪の女王「二人とも待たせてしまってすまない。別件で手を取られていてね…それよりどうしたんだい?こんな風に改まって…いつもは私の所に直接報告に来るというのに」
親指姫「女王様…!」バッ
雪の女王「親指姫、何かあったのかい?珍しく君の表情に余裕がない、いつもはもっと毅然としているだろう?」
親指姫「…申し訳ございません!この親指姫…女王様の想いを守ることが出来ませんでした…!こんなちっぽけな私を信頼してくださったのに応えることが出来なかった…!どうかこの首を切り落として頂きたい…!」
雪の女王「落ち着くんだ親指姫。そんな事できるわけがないだろう」
親指姫「いいえ、私に生きる資格はないんです。それだけではありません、私は…私は、戦友を守ることが…彼の世界を救ってやることが出来なかった…!」クッ
白鳥「お前は悪くないよ…だからそんなに自分を責めるなよ…。女王様だって困惑してらっしゃるだろ」
親指姫「……すまない。だが私は…とても平静を保っていられそうもない」
白鳥「女王様には僕が説明するから、だから…少し落ち着こう、なっ?」
親指姫「……わかった」
雪の女王「…彼女がこんなに取り乱すなんて余程の事だ、何か大きな問題があったんだな?」
白鳥「はい…女王様もご存じの通り、僕達は様々なおとぎ話の世界を巡ってアリスの件の注意喚起、それと警備を続けていました。それで…任務も一段落したんで一度この宮殿に帰ろうって話になったんですが」
白鳥「親指姫がその前に寄って欲しい世界があると言うんで、とある世界に寄り道したんです。そこは以前に訪れた事がある世界で…そこの主人公と親指姫はその時すっかり意気投合した親友同士だったんです」
白鳥「女王様もよくご存じの【しっかり者のスズの兵隊】のおとぎ話の世界…そしてその主人公、スズの兵隊です」
612 :◆oBwZbn5S8kKC :2016/08/01(月)00:47:00 ID:DD1
雪の女王「あぁ…直接会ったことはないけれど、そのおとぎ話はよく知っているよ」
親指姫「スズの兵隊は…あいつは玩具の兵隊だったが、芯のしっかりした男だった…。兵隊だということに誇りを持った、本物の戦士だった」
白鳥「…彼は背丈も親指姫と近いし、数々に困難に翻弄されるという物語にも共通点がある。だからこいつは…スズの兵隊のことを信頼していたし戦友として認めていたんです」
雪の女王「だがその口振りだと、彼は…いや、【しっかり者のスズの兵隊】のおとぎ話は…」
白鳥「……僕達がその世界にたどり着いた時には、もう街は焼け野原でした。状況を察した僕達はすぐにスズの兵隊が居た家を訪ねましたが、もう……」
雪の女王「……そうか」
親指姫「私達がたどり着いた頃にはそのスズ製の体はおおかた溶け出して私の声も聞こえなかったみたいでした、けど…」
親指姫「あいつの傍らには踊り子の人形が寄り添っていました。あいつは…戦士として、守るべきものを守って…死にました。でも、私がもう一歩早ければ…あいつは死なずに済んだかも知れなかった…!」
白鳥「親指姫…」
雪の女王「親指姫、あまり気に病まない方がいい。残念だがどうにもならないという事は…あるものだよ」
親指姫「しかし…あの世界は、【しっかり者のスズの兵隊】の世界は女王様にとても大切な世界のはずです!それを知っていながら私はあの世界を守ることが出来なかったんです!悔やんでも…悔やみきれません、そしてアリスが…憎い…!」
雪の女王「確かにあの世界が消滅したという事実は衝撃的だ。だが…それは君のせいじゃない。なってしまったものは…どうにもならない、受け入れるしかないよ」
親指姫「女王様がお優しい方だという事はよく知っています…ですがあいつの世界を創ったのは私達の作者と同じハンス・クリスチャン・アンデルセンなんですよ!?アリスへ怒りを感じないのですか!?悔しくないのですか!?」
親指姫「女王様は以前教えてくださったじゃないですか!アンデルセンが…アナスンが記したおとぎ話は一つとして失いたくないと!」
613 :◆oBwZbn5S8kKC :2016/08/01(月)00:52:37 ID:DD1
雪の女王「確かにそう言ったよ。今もその思いは変わりない」
親指姫「それなら一つ提案があります女王様……私はアリスが許せません。今すぐにでも協力者を率いて強襲をかけたいと考えています。スズの兵隊に弔いの為にも」
白鳥「ちょっと待ってって!お前はなにを言い出すんだよ!気が動転してるのはわかるけどそんな事できるはずないじゃないか!」
親指姫「何故だ!?これ以上奴を野放しにすれば他のおとぎ話だって次々消えていく!アナスンのおとぎ話の中には結末を迎えていないものだってあるんだ、それらが餌食になるかも知れないんだぞ!」
白鳥「容易くないからキモオタ君達は必死に努力してるんだろ!僕達が私怨で勝手な事をしてアリスを倒すチャンスを逃しでもしたらどうするんだ!?」
親指姫「だったらどうしろって言うんだ!?このまま私や女王様の大切なものが消えていくのを指を咥えて見ていろって言うのか!?」
白鳥「そうじゃない!慎重になれって言ってるんだ!これは僕達だけの問題じゃないんだぞ!」
親指姫「お前じゃあ話にならない…!女王様はアリス襲撃に賛成してくださいますよね?あいつの命を…アナスンの世界を奪われた無念は晴らすべきです!」
雪の女王「悪いが…君の提案は飲めない。今、アリスの世界を襲撃する事はできない」
親指姫「何故ですか!?アリスはアナスンの生み出したおとぎ話を消した悪人です、殺さない理由がありますか!?それともあなたがアナスンのおとぎ話が大切だというのはその程度のものなんですか!?今すぐにアリスを殺s…痛っ!何をする無礼者!」ガッ
白鳥「無礼者はお前だ!お前はモグラやコガネムシの自分勝手な行動に振り回されて辛い思いをしたんだろ?今度はお前が他の奴らを振り回すのかよ!?巻き込まれるのは嫌だけど自分が巻き込むには構わないって!?」
親指姫「……いや、悪かった頭に血が上りすぎていた。女王様も…申し訳ありません。女王様だって辛いというのに…やり場のない怒りに思わず当たり散らしてしまって…」
雪の女王「いいんだ、気持ちは分かるよ。私だって内心…アリスを全く憎んでいないわけではないしな…だからこそ慎重に行動すべきだよ、親指姫」
614 :◆oBwZbn5S8kKC :2016/08/01(月)00:55:40 ID:DD1
雪の女王「カイから聞いたかも知れないが…今、キモオタ達はアリスの世界へ向かうための特訓の最中だ、明日にはその作戦が実行される。今私たちが動くのは得策じゃあないんだ」
親指姫「はい、それは…先程聞きました。でも、あいつら…大丈夫なのですか?」
雪の女王「確かに未熟な部分はあるが…全く見込みがなければ特訓の相手をしたりしないさ。少なくとも私はキモオタ達ならアリスを止められるかも知れないと…見込みがあると考えている」
親指姫「私には気持ちの悪い男と不愉快な羽虫にしか見えませんが…」
白鳥「まぁその点はお前も不愉快なこびとだけd痛いっ!」ズブッ
親指姫「随分とあの男のことを評価しているのですね、女王様は」
雪の女王「まぁ確かに気持ちは悪いが…それだけの男ではないよ。なにしろヘンゼルが行動を共にするくらいだからな。目に見えない魅力というのはあると思うぞ」フフッ
白鳥「とはいえ目に見える魅力が一番重要ですよね、この美しい僕のようn痛っ!」ブスリ
親指姫「確かにあの男の想いには共感すべき所もありますが…」
雪の女王「君ももう少し他人と打ち解けるようにすればもっと周囲の人間の魅力に気づけると思うが…あぁ、今頃彼らは食事中だ、是非一緒に食卓を囲むと良い。二人とも空腹だろう?」
親指姫「それは…いささか空腹でもありますが…私はあの羽虫があまり好きではないので…お互い嫌な気分になるだけでは」
白鳥「ンナハハ!ほらほら、女王様がそうやって提案してくださったんだから僕達も夕飯をご馳走になろうじゃないか!」グイッ
親指姫「おい、引っ張るのはよせ!私はまだ行くと決めたわけでは…」
白鳥「なーに言ってんだよ!それじゃあ女王様、急にお邪魔してすんませんでした!僕達しばらくここに滞在するんでよろしくお願いします、ンナハハハ!」スワーン
雪の女王「あぁ、ゆっくりしていくと良い。それと…すまないが私は夕飯はいらないとカイに伝えておいてくれるか?」フフッ
白鳥「わっかりましたー!この純白の翼にかけて必ず伝えまs痛い!やめろ!」ブスリ
ペタペタペタ
雪の女王「フフッ、賑やかな方が彼等らしいな。……ふぅ」
615 :◆oBwZbn5S8kKC :2016/08/01(月)00:58:31 ID:DD1
白鳥「ンナハハハ!さっき厨房から香っていたのはまさしくシチューの香り!いやはや、楽しみだ!」スワーン
親指姫「お前は強引すぎるぞ。目の前で別のおとぎ話が消えたっていうのに…薄情な奴め」
白鳥「ずいぶんな言い方だなぁ、僕だって辛いに決まってるだろ。それに女王様…きっと一人になりたいだろうしさ。そういうこと考えて僕は動いてるんだよ、気配りできる白鳥だよ僕は」
親指姫「どうだか…。だがまぁ…先程、私が取り乱した時に正気に戻してくれた事には礼を言おう。悪かった」
白鳥「どういたしまして。まぁ気持ちは分かるけど女王様だってあれ普通にしてたけどきっと相当つらいと思うよ?」
親指姫「まぁそうだろうな…酷いことを口にしてしまったな。反省する」
白鳥「まったくだよ。女王様がアナスンの事特別大事に想ってることは知ってるだろ?それなのにあんな言い方はないよ」
親指姫「うるさいな…反省すると言ったろう。まぁ…何者かがおとぎ話の世界を荒らしていると知って、女王がまず私やお前に協力を仰いだのも同じ作者だからだろうしな…」
白鳥「ハンス・クリスチャン・アンデルセン…彼がどういった人物かは僕はあんまり知らないけど、女王にとっては自分の生みの親って以上に大切なんだね」
親指姫「詳しく聞いたことは無いからな…だが女王様の大切なものを守るのも私達の勤めだ、それが形あるものだろうと形ないものだろうとな」
白鳥「そのつもりだよ。まぁ女王様が声をかけてくれたおかげでこの美しい翼で様々な世界を飛び回れるわけだし」
親指姫「あぁ、私も女王様のおかげで小さくても戦えることを知った。せめてもの礼にすらならないが…恩は返したいところだ」
白鳥「そうだね、その一環としてティンクちゃんとは仲良くしてくれよ?仲違いしたら女王様悲しむだろうし」
親指姫「それはあの羽虫次第だな」
白鳥「もうその呼び名の時点で望み薄なんだよなぁ…まぁなんとかフォローするから挑発だけはやめてよ」
616 :◆oBwZbn5S8kKC :2016/08/01(月)01:03:42 ID:DD1
雪の女王の宮殿 女王の自室
雪の女王「……遂に消えてしまったか、いつかはこの日が来るかも知れないと思っていたが。……思っていたよりもショックが大きいな」
雪の女王「……」
雪の女王「私のワガママでしかないが…アナスンの生み出したおとぎ話は一つとして消滅させたくなかった。今更…そんな事を言ってもどうにもならないが…」
雪の女王(もうあれから…あの幸せな日々からどれくらいの月日が流れただろうか…)
雪の女王(あれは…お千代がこの宮殿で暮らすようになる前、まだヘンゼルもグレーテルも…カイもいない。ずっとずっと昔……)
雪の女王(現実世界の時の流れでは…もう百五十年程前か…)
雪の女王(何もかもが懐かしいな、現実世界で出会ったアナスンの事…ヤーコプ、ヴィルヘルム…もう皆、ずっと昔に亡くなってしまった。おとぎ話だけを後世に残して…)
雪の女王「……ふぅ、駄目だな。私が辛気くさい顔をしていると皆を不安にさせる。ショックな出来事ではあったが…気持ちを入れ替えよう」
雪の女王「そうだな…久々にあの本を読むとしよう。今なら書庫にカイが来ることもないだろうしな…。あの本を開いている間は君との思い出に浸れるからな、アナスン…」
スタスタ
雪の女王(アナスンことハンス・クリスチャン・アンデルセン……私の【雪の女王】を始めとする数々のおとぎ話を生み出した、世界的に有名な童話作家)
雪の女王(彼はおとぎ話を通して様々なことを世界中の子供達に伝えようとしていた。変わり者ではあったけれど貧しい子供達を救うことをいつも考えていて…優しくて暖かくて誠実で、そのくせおとぎ話に関しては考えを譲ることを知らなくて…)
雪の女王(そして…私が生涯で唯一愛した男だ)
617 :◆oBwZbn5S8kKC :2016/08/01(月)01:12:08 ID:DD1
今日はここまで 『作者』編 次回へ続きます
次回以降、ちょいちょい作者出てくるけど
史実に空想妄想がねじ込んであるからご注意を!
この物語はフィクションです
次回
雪の女王が愛した男ハンス・クリスチャン・アンデルセン
彼と過ごした日々を女王が語る
619 :名無しさん@おーぷん :2016/08/01(月)01:42:41 ID:bwT
乙!
9冊目って確かにものすごいな
暇なときにまた最初から読み直すか
620 :名無しさん@おーぷん :2016/08/01(月)17:12:35 ID:Gfv
乙です!
久々にきもティン来た!
そしてついに作者か…
続き待ってます!!
621 :名無しさん@おーぷん :2016/08/01(月)18:36:31 ID:MsL
今7冊目を見返してるけどラプちゃんが言ってるね
シンデレラが悪い子になったらいい子に戻してあげるって
アシェンプテルをシンデレラに戻すのはラプちゃんか
622 :名無しさん@おーぷん :2016/08/03(水)01:44:49 ID:UWf
乙!
さらっとヴィルヘルムの名前出てるから登場に期待しちゃう
>>621
その展開なら俺得
精神干渉されてるとはいえアシェンプテルがラプちゃんの事をもう友達とは思ってないみたいに言ってたのが辛い(´・ω・`)
623 :名無しさん@おーぷん :2016/08/03(水)21:45:15 ID:RfZ
玉龍ちゃんがすごく好きなんだけど、これから出番ないのかな…
確か今はかぐやの代役してるんだよね?
626 :◆oBwZbn5S8kKC :2016/08/08(月)00:36:40 ID:9xL
雪の女王の世界 女王の宮殿 ダイニング
キモオタ「くぅ〜www運動後の飯はどうしてこんなにうまいのかwww我輩、今なら無限に食えそうですぞwww」ガツガツバクバク
ティンカーベル「たくさん特訓したもんね!明日もいっぱい頑張る為にいっぱい食べちゃおう!」モグモグムシャムシャ
カイ「お前等少し落ち着いて食えよ。そんな急いで食わなくても誰も取らないだろ…どれだけ腹減ってたんだよ」
キモオタ「いやいやwwwカイ殿の料理の腕前が良い故に我々も手が止まらないのでござるよwww」コポォ
ティンカーベル「私達、現実世界じゃいっつも出前か外食かコンビニ弁当だからねー…私達のために美味しいご飯作ってくれてありがとね、カイ!」
カイ「礼なんて要らねぇよ。こっちも食料庫の整理が出来て助かってるからな、その干し肉とか結構ギリギリだったんだぜ」
キモオタ「ちょwww我々は残り物処理班ですかなwwwしかしカイ殿と女王殿の二人暮らしならば食料そんなに備蓄する必要も無いのではwww」バクバク
カイ「女王が多めに買い込むんだよ、いつヘンゼル達が帰ってきても良いようにな。常に五人が十分に食える量は備蓄するようにしてる」
ティンカーベル「もしかして三人とも食べ物が無かったせいで前の家族失っちゃってるからかな?きっと女王はせめて今はおなかいっぱい食べさせてあげようって思ってるんだねぇ」ムシャムシャ
キモオタ「実に優しい方ですなwwwでは我々は調理してくださったカイ殿に敬意を表してこの料理を食い尽くしますぞwww」バクバク
ティンカーベル「そうだね!出された料理は全部食べるのがマナーだよね!カイも早く食べなきゃ私達が全部食べちゃうよー?」ムシャムシャ
カイ「俺はもういい。でも女王達の分だけは適当に残しとけよ」
ティンカーベル「あはは、言われなくたって女王の分まで食べたりしないよー!私達こう見えて遠慮してるし!」ムシャムシャ
キモオタ「そうですぞwww他人の飯を奪うほど落ちぶれてはいませんからなwww」コポォ
カイ「嘘つけ。あわよくば食い尽くそうって勢いだっただろうが」
627 :◆oBwZbn5S8kKC :2016/08/08(月)00:37:52 ID:9xL
親指姫「女王様に世話になっている身でよくもまぁガツガツと無遠慮に…まるで家畜だなお前達は」
ティンカーベル「出たな!誰が家畜だおらぁー!キモオタはそうかも知れないけど私は違うし!失礼なこと言うなバーカ!」ムシャムシャ
キモオタ「ちょwwwお主も大概失礼ですぞwww我輩はギリギリ家畜ではないwww」コポォ
白鳥「親指姫!なんで開口一番暴言吐くんだよ!?仲良くしようって話だっただろ!」
親指姫「こいつ等の浅ましい姿を見て気が変わった。それに私は思った事を口にしただけだ、私に非は一切無い」プイッ
ティンカーベル「言ってろバーカ!それより白鳥もこっちで一緒に食べようよ、そんなチビッコの騎士ごっこに付き合う事ないよ!」
親指姫「聞き捨てならないな、私はお前達と違って遊びでやっているわけではない。己を律し、常に騎士道に恥じぬ行動を心掛けているのだ…ごっこ等と言われる謂われはない」
ティンカーベル「へーそっかそっかすごいねふーん。っていうか……騎士道(笑)」プスプス
親指姫「何だその顔は…言いたいことがあるのならハッキリと言え」イラァ
ティンカーベル「べっつにー?……ププッ、騎士道(笑)」
親指姫「羽虫の分際で私を…騎士を愚弄するか!切り捨ててくれる!」チャキッ
ティンカーベル「はぁー?私は別に何も言ってませんー!言いがかりはやめてくださいー!そーやってすぐ暴力に頼るのが騎士道(笑)なんですかぁー?」
親指姫「他人を小馬鹿にすることだけは一人前のようだな…軽口叩いた事を後悔させてやる!剣を抜け羽虫、相手になってやる!」スタッ
628 :◆oBwZbn5S8kKC :2016/08/08(月)00:39:27 ID:9xL
ティンカーベル「ふんっ!そっちがその気ならこっちだって本気だからね!とびきり痛い奴…食らえー!」ギギッ ビュンッ
親指姫「くっ…空中からとび道具で攻撃とは卑怯な!羽虫!降りてきて正々堂々と戦え!」
ティンカーベル「これが私の正々堂々ですぅー!ふははは!制空権はこちらにありー!」ビュンビュンビュン
親指姫「クソっ…!あまり調子に乗るなよ、羽虫など撃ち落としてやる!」ヒュッ
ティンーベル「わっ!こいつ小石投げてきた!とび道具は卑怯だって言ってた癖に自分はいいんですかぁー!おかしいと思いますぅー!」
親指姫「黙れ!目には目をだ!すぐに地を這わせてやるから覚悟しろ羽虫!」ヒュンヒュン
ティンーベル「ふんっ、上等だよ!やってみろやぁー!」ヒュヒュヒュ
白鳥「何やってるんだ親指姫!やめろ!…あぁ、駄目だ。こうなったら僕の言うことなんか聞きやしないんだから!すまないがキモオタ君からも止めるように言っt」
キモオタ「カイ殿、申し訳ないでござるが茶を一杯頂けますかなwww」
カイ「仕方ねぇな…ほらよ。キモオタ、そこの皿こっちに寄越せ。そいつ等の争いに巻き込まれて割られたらかなわねぇから」コトッ
キモオタ「わかりましたぞwww」スッ
白鳥「どうしてそんなに落ち着いているのかな君達は…」
キモオタ「我輩がおとぎ話の世界に行くですとwww」ティンカーベル「そう」 『作者』編
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