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キモオタ「我輩がおとぎ話の世界に行くですとwww」ティンカーベル「そう」
Part73


614 :◆oBwZbn5S8kKC :2015/05/06(水)23:00:48 ID:leL
人魚姫「これを見ても状況が理解できないのか?私はこの町を侵略するために対したことをする必要はないのだ」
人魚王「なぜなら、これは出来の悪い兵器だが、町の人間共を眠らせることは出来るからだ。人間共を眠らせればその生殺与奪は私にゆだねられる。お前達にはそれを止めるすべがない……もっともこれを殺す度胸を持っていれば別だが」
人魚王「解るか、鬼。私は貴様さえ捕らえてしまえばいいのだ。だが貴様はこれの歌声を止める事、大勢の兵士を相手にする事、その兵器を守る事を同時にせねばならぬ……無理な話だ。諦めてそれをこちらに寄越せ」
人魚姫『こいつ……っ!なんでこんなのがあたしの父親なんだろ、マジ最悪……!』
人魚王「その最高の能力を持つ兵器が我が手に戻れば、この町はおろか全世界を支配することすら可能…!迷うことなどないだろう、さぁ早くその兵器をこちらへ寄越せ」
赤鬼「悪いが……オイラはお前に渡す兵器なんか持ち合わせていねぇんだ」
人魚王「……ほう?」
赤鬼「オイラの隣にはちょっと騒がしい友達が一人居るだけだ。そしてこいつに手を出そうってなら……」
赤鬼「手加減は無しだ。でもいいのか?慣れてない足じゃあ逃げられねぇかもしれないぞ?」ガハハ
人魚王「…なるほど、鬼というのは感情に流されて状況判断が出来ぬほど知能が低いということか」
人魚王「従順ならば捕らえて兵にすることも考えたが……やめだ。お前等、あの鬼を殺してしまえ。さっさと殺して本来の目的へ移るぞ」スッ
ウオオォォォ!!

615 :◆oBwZbn5S8kKC :2015/05/06(水)23:03:22 ID:leL
ワアアァァァァ
赤鬼「槍を持った兵士を一度に20人相手か…」
赤鬼「さて…オイラ一人で何処までやれるか…!」ググッ
シュッ
人魚兵「国王様のご命令だ!この異種族め……覚悟しろ!」シュオッ
ビュッ
赤鬼「うおっ……やっぱり槍は不利か、間合いの外から攻撃して来やがる…!だが……!」ビュオッ
ゴシャアァ ベキベキッ
人魚兵「何っ…!槍をへし折るだと!?」
赤鬼「こっちは金棒だからな、避けちまった槍をへし折るなんざ容易いんだ。それにそんな単調な突きじゃあ、ただの棒きれを振り回してるのとかわらねぇぞ!」ビュオッ
人魚王「愚か者共、個々で攻撃をするな。多方から一斉に攻勢に移れ!」
ビュオッビュオビュオ
赤鬼「っと……!一人一人は大したことねぇが、やっぱり数で来られると凌ぐので精一杯だな……避けるのは容易いがこう囲まれちまったら反撃もなかなか……!」ビュオッ
ビュオビュオッ ガキーン
人魚王「やはり兵力差があってはいくら怪力自慢と言えど呆気ないものだな。そのまま押せ!反撃の隙を与えるな!」
ウオォォォウオオォォォ!!
???「もう、あなたは少し目を離すとすぐに無茶をするんだから……」ガチャッ
ズダーン ズダーン
赤鬼「やっとか…!遅かったな、待っていたぞ…!」ニッ
赤ずきん「ええ、おまたせ。遅れて到着してしまったから……今回ばかりは文句が言えないわね」フフッ

616 :◆oBwZbn5S8kKC :2015/05/06(水)23:04:43 ID:leL
ズダーン ズダーン
人魚兵「うおっ…!なんだ、援軍か…!」バッ
赤鬼「おいおい…!よそ見してちゃあ危ねぇぞ!それに援軍なんて大層なもんじゃねぇ、ありゃあただの友達だ!」ビュッ
ビュオッ
人魚兵「ぐああぁっ!」ドサッ
人魚王「ほう……あれが魔女の言っていた銃を操る頭巾の娘か」
スタッ
赤ずきん「悪かったわね、赤鬼。随分と待たせてしまったわ」ガチャッ
赤鬼「いいや、助かる!だが話は後だ、そのまま援護頼むぞ…!」ググッ
赤ずきん「任せて頂戴、あなたは間合いに入った敵をなぎ払いなさい。それ以外の奴らは私が牽制しておくから」ガチャッ
ズダーン ズダーン
人魚王「……なんだと?急にあの鬼の動きが向上した……いや、あの娘の攻撃によって鬼の攻撃が効率的に行えるようになっているのか……」
人魚王「なかなか侮れん奴等と言うことか…だが、未だ勝機はこちらにある」ニヤリ

617 :◆oBwZbn5S8kKC :2015/05/06(水)23:11:30 ID:leL
ビュオッ ブオォン! ズダーンズダーン
人魚兵「うぐぅ…遠距離からの攻撃など……卑怯者め……」ドサッ
赤ずきん「あら、卑怯なんて心外ね?大勢で赤鬼を取り囲んでいたあなた達に言われる筋合いはないわよ?」フフッ
ズダーン ズダーン
人魚兵「うぐっ……」ドサッ
人魚王「随分とやられたか…だが兵など捨て駒にすぎん。むしろ、貴様等は不利に陥っていると気がつかないのか?その頭巾の娘にはディーヴァの歌声が有効なんだぞ?」
赤鬼「そうだ、やべぇじゃねぇか……っ!」
赤ずきん「何を言うと思えば……あなた、他人を見くびりすぎじゃないかしら?私が何の対策も取っていないと思っているの?」フフッ
人魚王「ほう……?ディーヴァの歌に対策をしてきたと?面白いジョークだな」
赤ずきん「ジョーク?フフッ、残念だけどこれから始まるのは笑えるような舞台じゃないわよ?」クスクス
人魚姫『舞台……?赤ずきん一体何を……』
赤ずきん「簡単な事よ、聞いたら眠る歌なら聞かなければいい。あるいは……それを聞こえなくすれば、眠ることはないわよね?」

618 :◆oBwZbn5S8kKC :2015/05/06(水)23:20:40 ID:leL
人魚王「構うな、歌え。あんなものはハッタリに過ぎん。お前が歌声をあげればはっきりすることだ」グイッ
髪の短い人魚「……わかりました」スゥッ
赤鬼「おい、大丈夫なのか!?」ビュオッ
人魚姫『歌を聞こえなくするって……どうするつもりなわけ?』
赤ずきん「私は種族間の確執の黒幕に目星をつけていたから……あの王が人魚姫を取り戻しに来ることも、眠りの歌声を使ってくることも予想できたわ」
赤ずきん「だから、彼らに協力を頼んだのよ。少しばかり手間取ってしまったけれどね」
赤鬼「彼等……?一体誰に協力して貰ったんだ?」
赤ずきん「さぁ、少し静かにして彼等の演奏を聴きましょうか。そうでないと彼等がヘソを曲げてしまうから。それじゃあお願いね、あなた達の演奏をこの王達に聞かせてやって頂戴!できるだけの大音量でね」
ガサガサ
???「おぉ!こりゃあ、随分とギャラリーがいるみたいじゃよ!ブルッヒヒン!うむ、喉の調子もいいみたいじゃな」
???「しかし、我々にもようやく演奏のオファーが来るとは!実に喜ばしい!ワンダフル!」
???「でも欲を言えばもう少し大きなステージが良かったニャン」
???「オファーが来るだけでもケッコーな話さ、あの娘に感謝しなけりゃ」
人魚王「陸地の動物共か……?何をするつもりだ?」
赤ずきん「そう身構えなくてもいいわよ、楽しい楽しい動物達の演奏会が始まるだけだから」フフッ

619 :◆oBwZbn5S8kKC :2015/05/06(水)23:25:00 ID:leL
今日はここまでです!
一個一個レス返せてないけどありがたく読んでます!これからも付き合ってくれると嬉しい
一応表記は人魚王人魚兵だけどここにいる人魚は姉ちゃん以外はみんな足あります
人魚姫編 次回に続きます

620 :名無しさん@おーぷん :2015/05/06(水)23:27:31 ID:S8E

奴らがやってきた…!
音楽の「才」にあふれた者たちが…!

621 :名無しさん@おーぷん :2015/05/07(木)00:05:55 ID:gfW
乙!
毎回たのしみにしてます!
頼もしい仲間!
人形王の鼻をへしおってほしい

623 :名無しさん@おーぷん :2015/05/07(木)00:58:45 ID:R7d
おお・・!
そうきたか

625 :名無しさん@おーぷん :2015/05/08(金)00:40:02 ID:SIP
乙!
ツンデレ鬼神に萌えたw
そして、奴等が来たか、そうきたか!!

626 :名無しさん@おーぷん :2015/05/08(金)08:03:12 ID:Svi
なるほど、そう来たか!
ヤバいヤバい、熱くなってきた!!

627 :名無しさん@おーぷん :2015/05/08(金)15:27:56 ID:lFI
お前らそうきたか言い過ぎwww
でもゲス王なんか赤鬼対策してるんだろ?ヤバイ気がする

629 :◆oBwZbn5S8kKC :2015/05/10(日)22:30:15 ID:MpY
人魚王「無力な娘が私にそのような口を利くな。いい加減に耳障りだ…おい、何をしている早くあの娘を黙らせろ」ギロリ
髪の短い人魚「は、はいっ…お父様……では、歌います……」ヨロヨロ
???「おや、人魚の娘さんはもう歌うみたいじゃぞ?みんな準備は万端じゃな?若い者には負けておれんぞ!」
???「もちろんだとも。しかし、あの人魚の娘さん腕に鎖やらなんやら巻いて派手だなぁ…ヘビィメタルって奴だろうか?」
???「ビジュアル系かもしれないニャン!」
???「どっちにしろ僕たちは自分の音楽をやるだケッコー」
髪の短い人魚「……スゥッ」
人魚姫『赤ずきん、来るよ…!』
赤ずきん「平気よ、心配しないで。それより赤鬼、彼等が歌ってるときはマスケット使わない約束だから。悪いけどあまり援護は出来ないわよ?」スッ
赤鬼「おう、分かった…!」ググッ ビュオン
髪の短い人魚「アアー…「ブルルンヒヒーン!ワンワンッニャオニャオコケコケッコー♪」
髪の短い人魚「…アー「バウワウワンワンコケッコケッコニャオニャオブルブルルッ♪」
髪の短い人魚「ア「ニャンニャンブルルンコケコケッコケコッコワオンワオン♪」
髪の短い人魚「なんてこと…私の歌が…かき消さ「コケコックックニャオニャオバウバウワオンブルヒヒーン♪」
赤ずきん「この対処法で…問題ないみたいね」ホッ
人魚王「どういう事だ……何故、何故あの娘は眠らない……!」ギリッ

630 :◆oBwZbn5S8kKC :2015/05/10(日)22:32:34 ID:MpY
赤ずきん「だから言ったでしょう。それにこんなすてきな演奏してもらってるのに眠ったら失礼だものね?」フフッ
鬼神『騒音ヲ利用シ、歌声ニ乗セタ呪術ノ行使ヲ妨害スル…単純ダガ有効ナ手法ダ』
赤鬼「よしっ!あいつの歌声を封じることが出来たなら町への被害は抑えられるぞ!」ググッ
人魚王「おい、妹が向こうにいるからといって手を抜くんじゃあないぞ……?」ギロリ
髪の短い人魚「と、とんでもありません…精一杯歌っています!ただ、あの動物達の鳴き声があまりに大きくて……!」
???「コケケ!声量には自信あるコケ!」
人魚王「なるほどな……ディーヴァの歌声をかき消すために動物の鳴き声か……雑魚なりによく考えたと誉めてやろう。だが、いつまでも遊んでいるんじゃない。わかっているな?」
髪の短い人魚「も、申し訳ありませんお父様……しかしディーヴァの歌声はそれを聞いた人間に作用するので。雑音が入ってしまっては……近づいて歌えばなんとかなるでしょうが……」
人魚王「チッ…このような馬鹿馬鹿しい作戦で…騒がしいだけの鳴き声でディーヴァの歌声を封じるとは……貴様等は何者だ?単なる獣ではあるまい?」
???「そういえばメンバー紹介してなかったじゃあないか、これは失礼した。みんな、メンバー紹介に移るよ」スッ
???「わかったにゃん!それじゃあ早速、イカれたメンバーを紹介するニャン!」

631 :◆oBwZbn5S8kKC :2015/05/10(日)22:34:09 ID:MpY
ロバ「ブレーメンへ導く者!皆のリーダー!ボーカル担当、ROBA!」ヒヒーン
イヌ「昔は羊を追い、今は夢を追う男!ボーカル担当、INU!」ワオンッ
ネコ「グループの紅一点!魅惑のセクシーボイス!ボーカル担当、NEKO!」ニャーン
ニワトリ「夜明けは僕の独壇場!ボーカル担当、ON-DORI!」コケコッコー
ロバ「四匹あわせて……!」
イヌ「……ちょっと待ってくれ。考えてみたら我々にはグループ名がないんだ」
ネコ「そうだったニャン…!これじゃあ締まらないニャン!」アタフタ
ニワトリ「こんな事じゃせっかくのライブなのに次に繋がらない…!ケッコーまずいよこりゃあ」ワタワタ
赤ずきん「……もうあなた達のおとぎ話のタイトルにしたら?」
ロバ「うむ、赤ずきんちゃんの案を採用しよう。では改めて……四匹あわせて……!」
四匹「「「「ブレーメンの音楽隊!!」」」」テテーン

632 :◆oBwZbn5S8kKC :2015/05/10(日)22:35:53 ID:MpY
人魚王「私はこのようなふざけた輩に邪魔されているのか…!おい、兵士共!早々にこの畜生共を蹴散らせ!」ギリッ
ウオォォォ!
イヌ「なんと、演奏者に襲いかかるなんて今日のオーディエンスは随分と熱狂的だね」トコトコトコ
ネコ「ライブでファンが暴徒と化すのもある種のステイタスだニャン!」
ニワトリ「だが今日のライブは赤ずきんちゃん達にとっては戦いでもあるらしい、そのあたりは協力してあげないとね」
赤ずきん「ええ、兵達は私と赤鬼で始末するからあなた達はあの人魚に歌わせないようにして頂戴。それと、人魚姫を守ってくれると嬉しいわね」ガチャッ
ロバ「うんうん、任せたまえ。演奏会はこれからだ、楽しまなきゃあね。ほら、声を失った人魚のお嬢さんは僕の背中にどうぞ、とっておきの特等席だ」スッ
人魚姫『オッケー、ありがと!でも随分とおじいちゃんロバみたいだけど大丈夫?あたしそんなに重くないはずだけど、しんどくない?』ストッ
ロバ「んん?もしかして重くないかと気にしているのかね?年老いてもお嬢さんを乗せて走るくらいは訳ないさ」ハッハッハ
人魚兵「クソォ!こんな年老いた動物共に遅れをとるわけにはいかない…!姫様を返せッ!」シュバッ
ガキィィンッ
赤鬼「そいつは音楽家なんだろ?戦えねぇ奴を狙うなんざ男らしくねぇなぁ…オイラが相手になるぞ!さぁ、反撃といこうじゃねぇか!」ビュオンビュオン
人魚王「調子づきおって……兵共!死ぬ気で応戦しろ!お前もだ、絶えず歌い続けろ……このようなふざけた奴等に苦戦するなど私は望んでいない」ギリッ

633 :◆oBwZbn5S8kKC :2015/05/10(日)22:37:20 ID:MpY
人魚兵「うおぉぉ!動物共を狙え!姫様の歌さえ使えれば…!」
シュガッ
ロバ「おっとと、危ない危ない。みんな、ここらでしっとりしたバラードでも奏でよう、どうも今日の観客は怒りっぽくていけない」トコトコトコ
ニワトリ「そうだね、最近の若いのはどうも落ち着きがないから。もっと落ち着いた曲を聴くべきかもしれないね」コケコケー
人魚兵「そっちの動物は任せた!俺はこっちの奴等をやる……くそ!なんてすばしっこいんだ!」シュババ
ネコ「伊達に長年猫やってないニャン!お望みなら顔面にサイン入れてあげるニャン!」ヒラリ バリバリ
イヌ「演奏だけでなくパフォーマンスを織り交ぜた『魅せる音楽』…!堪能してもらおうじゃあないか」スタタタタ
ワーワー ギャオギャオ ザワザワ
人魚王「初の陸地での戦闘に加えて獣や銃など戦い慣れていない相手、兵共の統率が乱れている…」チッ
ズダーン ズダーン
人魚兵「ぐああぁっ!」ズサー
ビュオンビュオン ドシャアー
人魚兵「クッ……人魚王様、奴等は想像以上の実力です!ここはお逃げください……!」ヨロッ
人魚王「案ずるなたわけが……兵も残りわずか、少々見くびっていたようだ。よもや魔女から得た秘薬を使うほかあるまい」ゴソッ

634 :◆oBwZbn5S8kKC :2015/05/10(日)22:38:39 ID:MpY
赤ずきん「あと数人…兵さえ始末しきればあとは王だけね」スタッ
ズダーン ズダーン
ススッ
人魚兵「すばしっこい獣も駄目、鬼という種族は強すぎる…だったらこの子供を先に始末してやる…!背後からなら銃だろうが関係ねぇ…!」シュッ
ビュオオン ドシャアー
人魚兵「うぐ……」バタッ
赤鬼「すまねぇが子供って言わないでやってくれ、こいつ気にしちまうからな」チラッ
赤ずきん「あら、いいのよ。もう私はそれに関して気にしないことにしたから」フイッ
赤鬼「ん?そうなのか?」
赤ずきん「今回の一件で自分が子供なのは認めざるを得なかったもの……」
赤鬼「お前、もしかしてまだ気にして…」
赤ずきん「そうじゃないわ。私はね…あなたのような腕力も体力も強い身体も持ってない。けれどそれらはドロシーを倒すために絶対に必要だと思ってた。だけどそうじゃないって解ったの」

635 :◆oBwZbn5S8kKC :2015/05/10(日)22:40:15 ID:MpY
赤ずきん「腕力も強い身体も無いけれど、私には狩人さんに貰ったマスケットもおばあちゃんに貰ったずきんもある。それにおばあちゃんに聞かせて貰ったたくさんのおとぎ話…たくさんの世界の存在を私は知っている」
赤ずきん「たくさんあるおとぎ話のどの世界に誰が居て…その人にどんな事ができて、どんな風に苦難を解決してきたかを知ってる。そして、このずきんはその世界を行き来する能力を持っている」
赤ずきん「その能力を使えば、私は様々な世界に住むおとぎ話の世界の住人に力を借りることが出来る。始めから私は一人なんかじゃなかった、ただ強くあろうとして意地を張っていたから誰にも頼らず、そして頼れずにいた…けれどそれももうおしまい」
赤ずきん「ドロシーを倒すために、私が赤鬼のようになる必要なんて無いってわかったもの。私の武器はこのマスケットとずきん、そして様々なおとぎ話の知識……それで私は世界を救える、おばあちゃん達の仇を討てる」グッ
赤鬼「うむ…そうだな、オイラはオイラ。お前はお前で良いんだ」
赤ずきん「えぇ…もう私は持っていない物を数えて嘆いたりしないわ。だから、赤鬼…あなたには…その、これからも私と一緒に旅を続けてほしいの…もう、弱音を吐いたりしないから」
赤鬼「ガッハッハ、当たり前だ!改めて言うような事でもねぇさ。オイラはお前と別々に旅をする事なんざ端っから考えちゃいねぇんだ」ガハハ
赤ずきん「そう、それなら……私の取り越し苦労だったわね」フイッ
ネコ「赤ずきんちゃん、そっぽ向いてるけどなんだか嬉しそうニャン。何か良いことあったニャン?」トコトコトコ
赤ずきん「……何でもないわ」スッ
赤ずきん「ただ、友達がいつも通り優しかった。それだけの事よ」フフッ

636 :◆oBwZbn5S8kKC :2015/05/10(日)22:43:01 ID:MpY
赤鬼「さぁてと、敵も数えるほどだ。早いところ人魚の王を捕まえて…人魚姫の事は諦めさせねぇとな!」ビュオ
人魚姫『1…2…3人!うん、この数ならマジでなんとかなるかもしんない!ううん、絶対いけるっしょ!』
ロバ「観客が減ってしまうのは反対じゃが……あの人魚の娘さん、怪我でもしてるのか存分に歌えていないんじゃよ。歌うのをやめさせて医者に見せた方が良さそうじゃ」トコトコトコ
赤ずきん「それじゃあたたみかけましょう、もたもたしていたら夜が明けてしまうわ。一気に攻めて、人魚王に降参させなければね」ガチャッ
ドロシー「そー簡単にいくかなー?」クスクス
人魚姫『あれ?あの子……なんでこんな所にいんの……?』
赤ずきん「……ロバ、あいつを人魚姫に近づかせないで」ガチャッ
らしい
ロバ「うむ、任せるんじゃ」トコトコトコ
赤鬼「お前は……どこから現れやがった!またオイラ達の邪魔をしようってのか?」グッ
ドロシー「まぁまぁ、そんなのどうでもいいじゃーん!私は何もしないからさ、ただの見学でーす!つーかさ、折角アンタ達が仲違いすると思って夜更かしまでして見てたのに仲直りしちゃうとかつまらな過ぎぃー」ブーブー
赤ずきん「どうせ、昼間からずっと私達を見張っていたんでしょう?随分と良い趣味をしてるじゃない」
ドロシー「誉めてくれてサンキュー!おかげであんたのモノマネレパートリーが増えたよ!『ふぇぇー、ひとりだと寂しいよ赤鬼ぃー!なでなでしてよぉー!ふえぇぇー!』ほらほら、激似!」クスクス
赤ずきん「あら……?私はそんなに情けなかったかしら?気がつかなかったわね」
ドロシー「あら、なんか挑発に乗ってこないね?そんなじゃあドロシーちゃんはつまんないなー!いつもみたいに顔真っ赤にして反論してよぉー」ケラケラ
赤ずきん「悪いわね、もうあんたの挑発なんか無視することに決めたのよ」
ドロシー「あっそ、まぁいいよ。つーかさー、人魚の王様ー!魔女に秘薬貰ったんでしょー?あれ早く使いなよー!このままじゃこいつら勝っちゃうよ?そんなのつまんなすぎぃー」

637 :◆oBwZbn5S8kKC :2015/05/10(日)22:44:44 ID:MpY
人魚王「なんだあの小娘は…?何故私が魔女から秘薬を受け取ったことを知っているのだ……」
赤鬼「秘薬…?あの王、奥の手を隠してやがるのか……」ググッ
ドロシー「奥の手っていうか、赤鬼対策?王様、早くしなよー」クスクス
赤ずきん「赤鬼、何が起こるかわからないわ…用心しましょう」
人魚王「何者だあの娘、王たる私になんと無礼な…!あのような娘に言われずとも私は初めから使うつもりだ。さぁ鬼対策の秘薬…今こそその能力を見せろ…!」ゴクゴクゴク
ドロシー「よしよし、ちゃんと飲んでるねー。海底の魔女に作って貰ったスペシャルな魔法薬♪ごめんね赤ずきん、折角仲直りしたみたいだけどもう赤鬼ともお別れかもねー?」クスクス
赤ずきん「さっき聞いていなかった?あなたのくだらない挑発にはもう…」
ドロシー「挑発?違うって、事実だよん♪さてさて、ちゃんとできてるか観察観察ー」クスクス
赤ずきん「赤鬼の対策……なにか特別な能力が身につく薬かしら……?それとも鬼の攻撃を無力化する薬……?」ガチャッ
赤鬼「何するつもりかわからねぇが…何か起きる前にビビっても仕方ないさ、今はあの王が薬でどんな事になってるのか見極める方が先だ」ググッ
人魚姫『でも、あれ……なんかヤバい感じしない?あいつ…なんか様子おかしいし…』
ドドドドド
人魚王「……ほう…これがあの鬼を滅する為の力か……!」ゴゴゴゴゴ

638 :◆oBwZbn5S8kKC :2015/05/10(日)22:46:33 ID:MpY
人魚王「身体に力がみなぎる…!底から沸き上がってくるこの力を抑えきれん程にな……!フハハハ!」ゴゴゴゴゴ
人魚兵「こ、国王様?一体、なにが起きたのですか……?」ドヨドヨ
人魚王「残る兵は3人か……貴様等は陸地での戦闘に関しては雑魚以下。もはや用済みだが……新たな力を試すくらいはできよう」
シュババ バキッバキッベキッ
人魚兵達「」バタッ
赤鬼「腕を一振りしただけで…首をへし折っただと!?」
人魚王「ほう……なかなかいい具合だ。この怪力ならば、あの鬼と同格……いや、それ以上に渡り合える……!」
赤ずきん「鬼をも超える程の……怪力」
ドロシー「おー、なかなかいい感じに仕上がってるじゃん!さすがは魔法薬作りに定評のある魔女だよねー」ケラケラ
赤ずきん「……これで納得がいったわ、何故あなた達がこのおとぎ話に姿を現したか」キッ
ドロシー「そう睨まないでよー!嬉しくなっちゃうからさ、アンタ達の思い通りにいかなくするのって楽しいもんねぇ」クスクス

639 :◆oBwZbn5S8kKC :2015/05/10(日)22:50:19 ID:MpY
赤ずきん「【シンデレラ】の魔法使いが私達に協力してくれているように、あんた達は海底の魔女に協力して貰っている……いいえ、正確には海底の魔女と取引をしているという所かしら?」
ドロシー「あはは、察しがいいじゃん。私達は不良少女だからさ、善人の魔女は協力してくれないんだよね。だから海底の魔女に頼んだんだよん♪あの魔女、対価さえ支払えばどんな相手でも協力してくれるからねー♪」
赤鬼「あの魔女に……オイラの対策として怪力になる魔法薬を作らせたのか」
ドロシー「正確には全員分の…ってところかな?」クスクス
赤ずきん「全員分ってまさか……」
ドロシー「なんだかさ、雪の女王が嗅ぎまわってるみたいだし…アンタ達と戦うのに毎回魔法具使ってられないしさ!だから作ってもらったってわけ」
ドロシー「キモオタ、シンデレラ、裸王に桃太郎、ラプンツェル…その他にも沢山ね、それぞれの対策になる魔法薬を頼んでるってわけ♪もちろん、赤ずきんがお漏らししちゃうような激ヤバな魔法薬もあるからお楽しみにー♪」ケラケラ
赤ずきん「戦いに備えて新たな魔法具を作る……考えることは同じってわけね……」
ドロシー「ほらほら、お話ししてる場合じゃないよん?今、人魚の王が纏ってるのはただの怪力じゃないんだからさぁ?」
ドロシー「赤鬼と同じ国に伝わる鬼退治のおとぎ話……その怪力で鬼をねじ伏せる主人公と同じ怪力なんだってさ。確かそいつ垢で出来てるんだっけ、さすがのドロシーちゃんもドン引きだぁー!」ケラケラ
ドロシー「そだなー、あえて名前を付けるなら……魔法薬『力太郎』ってところかな?」クスクス

640 :◆oBwZbn5S8kKC :2015/05/10(日)22:53:13 ID:MpY
ドロシー「じゃあ私はちょっと離れたところで観戦しますか!じゃあね、次会うときは赤ずきんちゃん1人旅になっちゃう?クスクス、バイバーイ」スタスタ
赤ずきん「……いいわ、腹は立つけれど放っておきましょう」
赤鬼「それより今は人魚王だ、あの怪力は鬼退治した主人公の能力ってわけか…どういうおとぎ話かわかるか?赤ずきん」
赤ずきん「【力太郎】……あなたの国のおとぎ話である【桃太郎】と同じく、数奇な生まれの主人公が悪鬼をねじ伏せるおとぎ話よ。ただ、桃太郎は刀を手に剣技で鬼に挑んだけれど、力太郎はその無双の怪力で鬼に挑んだの」
赤ずきん「もしもドロシーが言うとおり、人魚王が力太郎と同様の怪力を得たのだとしたら……赤鬼の腕力では叶わないかもしれない」
人魚王「ぶつぶつと相談しているが……掛かってこないのか、鬼よ」
赤鬼「つまり、オイラじゃあ適わないほどの怪力を持ってるって訳か……」
人魚王「来ないのならこちらから仕掛けさせて貰うぞ……!」ゴゴゴゴゴ
タタッ
赤鬼「赤ずきん、援護射撃頼む。ブレーメンの奴等も王に近づけないように頼む」グイッ
赤ずきん「任せなさい。隙間を縫って撃ち込むから、あなたは自由に動いて頂戴、必ず人魚姫と町をあの王から守るわよ」
人魚姫『赤鬼…あたしは二人の言ってることよくわかんないけど、無理しなくていいかんね?…赤鬼がもしヤバい事になっちゃうなら、あたしがあいつに…』
赤鬼「おいおい、そりゃあ駄目だ。お前があの王に屈したらどうなる?町も王子も無事じゃいられねぇんだぞ?」
人魚姫『そうだけどさ…死ぬとかなしだかんね?』
赤鬼「そんなつもりねぇから安心しろ。じゃあ行かせてもらおうか…!オイラだってそうそう簡単にやられるわけにはいかねぇんだ!」