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キモオタ「我輩がおとぎ話の世界に行くですとwww」ティンカーベル「そう」
Part64


269 :◆oBwZbn5S8kKC :2015/03/17(火)23:10:46 ID:NZS
赤鬼「ああ、そうだが……お前さんは何者だ?」ザバザバ
執事魚「あっ、申し遅れました!ワタクシ、人魚の国の執事を勤めております。先程、姫様があなたにお世話になったとお聞きしまして」ペコリ
赤鬼「姫…?あいつ姫なのか!?」
執事魚「? えぇ、はい、6人いらっしゃる姫様のうちの一人でございます。長女らしくしっかりしたお方で、姉妹の中で尤も美しい髪の毛を持っていると言われておりまして」
赤鬼(そうだった、人魚姫には姉がいるんだったな。そしておとぎ話【人魚姫】の主人公は末妹。桃太郎が治癒した人魚は人魚姫の姉だったという事か)
執事魚「本来ならば姫様が出向くはずでしたがまだ傷が完治しておりませんのでワタクシがお礼の品をお持ちしました…どうぞお納めください」スッ
赤鬼「いやいや、礼なんていいんだ。それよりも人魚の歌声で眠らされたあの二人を目覚めさせる薬を頼んだんだ、すまないがそれを先にくれないか?」
執事魚「え、ええ、それはそれとして…先に貴方様にこの薬を飲んでいただきたい。なんと不老不死の薬ですよ!すばらしい秘薬です!」
赤鬼「いや、すまんが不老不死には興味がないんだ」
執事魚「えぇっ!?不老不死ですよ!?」
赤鬼「すまん、お前の主人には気持ちだけ受け取っておくと伝えてくれるか」
執事魚(不老不死が目的で多くの人魚が捕らえられているというのに、こいつは興味ないというのか!?バカな!)

270 :◆oBwZbn5S8kKC :2015/03/17(火)23:12:52 ID:NZS
執事魚「ですが、キチンとお礼を受け取ってもらったか確認するように厳しく言いつけられておりまして…」アセアセ
赤鬼「まいったな…オイラ達は礼が欲しくてあの人魚を世話したわけじゃないんだ。だから不老不死の薬はいらない。それよりも友達があの歌声で眠らされたままなんだ、目覚めさせる薬さえ貰えればそれでいいんだが」
執事魚「う、うぅ、参りましたね…いや、ここはもう飲んだことにしてください。じゃないと報告できませんので!」グイグイ
赤鬼「な、なんだ…お前さん強引だな……っ!」
ザバー
人魚姫「飲んじゃダメだよ、その薬」
赤鬼「なんだ…さっきの人魚より随分と若い人魚だが…お前さんの知り合いか?」
執事魚「に、人魚姫様…!?ど、どうしてここに…!?」ビクビク
人魚姫「気をつけなねお兄さん、そいつウソついてるからさ」
赤鬼「なにっ?嘘だと?」
人魚姫「そっ、この薬が不老不死の薬ってウソだよ。人魚の国にそんなの存在しないしさ、たとえあってとしてもチョーレアな薬じゃん。姉ちゃんの判断であげたり出来ないっしょ?」パシッ
執事魚「あっ、お返しください!人魚姫様!」

271 :◆oBwZbn5S8kKC :2015/03/17(火)23:14:30 ID:NZS
人魚姫「なんだかそのお兄さんにやたらと飲ませたがってたけどさー、なんなのこれ?まっ、だいたい想像つくけどー…試しにあんたが飲んでみてよ、ほら」グイグイ
執事魚「えぇっ!?ワタクシがですか!?お、恩人へのお礼をワタクシが口にするなんてできませんよ!」
人魚姫「できるっしょ?お兄さんもともと要らないって言ってたし、あんたが飲んでも姉ちゃんにはバレないバレないー。それに不老不死だよ、やったじゃーん」ニヤニヤ
執事魚「わかりましたわかりました!本当にやめてください!まだ死にたくないんです!不老不死というのは嘘なんです!」ウワアァァァ
人魚姫「ほらやっぱりそーじゃん。で?どーせこれ毒薬っしょ?」
赤鬼「なっ、毒薬…!?そうか、だから先にオイラに飲ませようとしていたのか…!」
執事魚「うぅ……その通りです」
人魚姫「ねー、お兄さんどーする?こいつあんたに毒薬飲ませようとしたわけだけどさ」
鬼神『鬼ヲ騙ソウトシタ報イハ受ケテモラウ。無論、焼魚ニシテ喰ラウ他アルマイ』
赤鬼「いや…逃がしてやってくれ。そいつもあの人魚に言われてやっただけだろうからな、それにオイラは生きてる。なんの問題もない」

272 :◆oBwZbn5S8kKC :2015/03/17(火)23:15:57 ID:NZS
人魚姫「そっか、ありがとね。だってさ、よかったね優しい人で。でも姉ちゃんにはごまかしておいた方がいーかんね?失敗したってバレたらあんたもまずいっしょ?」
執事魚「うぐ、わかりました…姫様にはうまく誤魔化しておきます…」
人魚姫「じゃーあたしもナイショにしとくね!そのかわりあたしがここに来たこともナイショだかんね?」シーッ
執事魚「わ、わかりました…くれぐれも内密に…!では失礼します」
ジャボーン
赤鬼「…うむ、助かった。危うく殺されてしまうところだった、礼を言おう」ペコッ
人魚姫「んーん…謝るのはこっちっしょ?ゴメン…なんか命狙われちゃって。もう大丈夫だと思うからさ、マジゴメンね?」
赤鬼「いや、お前さんが悪いわけではないだろう…まぁ、衝撃は受けたがな…」
人魚姫「姉ちゃんと知り合い…なわけないか、何があったか詳しく聞かせてちょーだいよ……えっと?」
赤鬼「赤鬼だ、旅の途中で近くの街まで来ている」
人魚姫「おっけー、赤鬼ね。あたしは人魚の国の人魚姫!6人姉妹の末妹だよー、好きなよーに呼んでね赤鬼」
赤鬼「うむ、わかった。実はだな……」カクカクシカジカ

274 :◆oBwZbn5S8kKC :2015/03/17(火)23:17:49 ID:NZS
・・・
・・

人魚姫「あいつ…!信っじらんない!!」バーンッ
赤鬼「お、おい人魚姫落ち着け!」
人魚姫「なんで赤鬼は怒んないの!?大怪我した姉ちゃんを助けて手当してあげたのに友達を眠らされたあげくあんたのこと騙して殺そうとしたんだよ!?あいつ!」イライラ
赤鬼「怒っていないと言えば嘘になるが、しかしここで憤ってもしかたないだろう。それにどうやら人魚は人間との間に因縁があるようだし…詳しく知らないオイラが口を挟むわけにもいかんだろう」
人魚姫「…まぁうん、人間とはちょっとねー…でもあたしはそんなに気にしてないけど、姉ちゃんはディーヴァだから特に人間嫌いなんだよねー」
赤鬼「ディーヴァ?…ああ、ところで事情は話したとおりだ。あそこで眠っている友達を目覚めさせたいんだが、何か方法はないのか?どれくらい眠ったら目覚めるとかないのか?」
人魚姫「あー……その金髪の女の子とイケメンのお兄さんか、姉ちゃんの歌声聞かされちゃったって言ってたっけ。だったらもう二度と目は覚めない、どんなおっきな音でも無理。姉ちゃんなら解けるけどそれは期待できないしー」

276 :◆oBwZbn5S8kKC :2015/03/17(火)23:21:14 ID:NZS
赤鬼「二度と覚めないって…どうしても方法はないのか!?」
人魚姫「うー…方法がないわけじゃないけどさ。あれはちょっとなぁー……」ウーン
赤鬼「どうすりゃいいんだ!?薬が必要なのか?なんでもするぞオイラは、だからこいつらを助けてやってくれ」
人魚姫「…なんでも?」
人魚姫「なんでもっつったよ今!じゃあ助けたらなんでもお願い聞いてくれんの?」ワクワク
赤鬼「う、うむ!出来ることならなんだって聞いてやる」
人魚姫「じゃああの金髪の女の子に…よしっ!」
赤鬼「……?」
人魚姫「じゃあやっちゃいますか!あーっ、うんうん…喉の調子はそこそこって感じ?」アーアー
赤鬼「何をするつもりだ?まさかお前も歌でなんとかできるのか!?」
人魚姫「まぁそゆこと、あたし達人魚の王族は女だけ歌声に特別な能力が宿るの。姉ちゃんが人間を眠らせたようにね…私はちょっと特別だけどね…よし、じゃあいくよ」
人魚姫「今、あたしの歌を聴いた人間はみんな…『眠りから覚める』!いっくよー…ラーラーララーラララー♪」

277 :◆oBwZbn5S8kKC :2015/03/17(火)23:23:48 ID:NZS
人魚姫「ラーラーララーラーラララー♪」
桃太郎「グゥ…………はっ!拙者は……」ガバッ
赤鬼「桃太郎!目が覚めたみたいだな、よかった!」ウオォォ
桃太郎「そうか…拙者はあの人魚の歌を聴いて眠りに落ちてしまったのだったな…そうだ、赤ずきんはどうした?あいつも人魚の歌を聴いていただろう」
赤ずきん「スゥスゥ……スゥスゥ……んっ……んん……」ムニャムニャ
桃太郎「どうやらまだ半分眠っているようだが……無事のようだな、赤ずきん起きるんだ。赤鬼殿が拙者達を助けてくれたのだ、さぁ目覚めよ」ユサユサ
赤鬼「おい、桃太郎…赤ずきんを無理に起こそうとすると」
赤ずきん「……わたしはもう……おきてる……zzz」ヒュッ
桃太郎「……っ!」ペチン
赤鬼「寝ぼけてるから平手打ちされるぞ、気をつけろ」
桃太郎「……次は早めに教えてくれると助かるのだが」ジンジン
人魚姫「あははっ!イケメンが平手打ちくらってるとかチョーうける!」ケラケラ

278 :◆oBwZbn5S8kKC :2015/03/17(火)23:26:47 ID:NZS
人魚姫「ねっ、ねっ!あんたもう目ぇ覚めたっしょ?だったらさ、早く起きて欲しいんだけどー」オーイ
赤ずきん「んっ……ねえ赤鬼、あの人魚…だれ?」グシグシ
赤鬼「ああ、オイラ達が助けた人魚の妹らしい。末妹だって言っていたからな【人魚姫】の主人公だろう。あいつがお前達を助けてくれた」ボソッ
赤ずきん「ああ、そうなのね……運が悪かったのか良かったのかわからないけれど……」グシグシ
赤ずきん「初めまして、私は赤ずきん。あなたが目覚めさせてくれたんですってね、助かったわ」
桃太郎「うむ、かたじけない。拙者は桃太郎。よろしく頼む」スッ
人魚姫「おっけーおっけー!赤ずきんと桃太郎ね、あたしは人魚姫。よろしくね」ニヘラー
赤鬼「オイラからも改めて礼を言おう。友人を助けてくれてありがとうな人魚姫」
人魚姫「いやーいいって、結局は恩知らずな姉ちゃんが眠らせちゃったのが原因だしね。あっ、でも赤鬼!約束は守って貰うから!」
赤鬼「お、おう…お手柔らかにな」
赤ずきん「約束…?赤鬼、あなた何を約束したの?まさか、私たちを救うために無茶な要求を飲んだんじゃ…!」バッ
人魚姫「大丈夫だいじょーぶ!赤鬼が何かする訳じゃないし、っていうか実際にやるのはあんただよ〜赤ずきん」ニヤニヤ

279 :◆oBwZbn5S8kKC :2015/03/17(火)23:27:32 ID:NZS
赤ずきん「……私に何をさせるつもり?」ジリッ
人魚姫「そんな身構えなくたっていいって〜、ちょっと私の夢の手伝いをして欲しいだけだからさ。今日はもう時間も遅いし続きはまた明日にしよっ!あたしももー眠いし」
赤ずきん「待って頂戴、あなたには他にも頼みがあるのよ」
人魚姫「じゃあそれも明日聞くよ、時間はたっぷりあるからさ!じゃあ明日の昼前にはここに来ててよ、そーだ…赤鬼、明日ここに来る前に買ってきて欲しい物があんだよね」
赤鬼「ん?おう、何を買ってくるんだ?」
・・・
桃太郎「何というか、姫にしては随分と奔放な娘だな。拙者の国の姫君と比較するのも違うのかも知れぬが……」
赤ずきん「そうね、でもきっと悪い人魚ではないでしょう。それに助けてもらったわけだから出来る限りの事はしなければね、ところで桃太郎はどうするの?すぐに戻りたいなら送るけれど…」
桃太郎「そうだな…折角の機会だ、犬猿キジ達に珍しい土産の一つでも用意したい。拙者を元の世界へ送り届けるのは明日にしてもらえるか?」
赤ずきん「そう、それなら明日にしましょう。あなたの世界ではお目に掛かれない物がたくさんあるからきっと彼等も喜ぶでしょうね」
桃太郎「そうだな、たまにはきび団子以外の菓子も食わせてやりたいものだ」ハハッ

280 :◆oBwZbn5S8kKC :2015/03/17(火)23:29:28 ID:NZS
翌日
秘密の入り江付近
ギーコギーコ
桃太郎「街で買い物をしていたら昼を過ぎてしまったな……もう赤ずきん達は入り江に着いているだろう、急がねば」ギーコギーコ
桃太郎「しかし、拙者の国とは街の様相から人々の風貌まで何から何まで違っていたな……よい経験となった」
桃太郎「同じものは空の青さと海の広さ…そして店先で売られている菓子がなんとも旨そうに見えてしまうことだ。つい買いすぎてしまったな…街の童達にも分けてやるとしよう」フフッ
桃太郎「さて、入り江が見えてきたぞ……」
桃太郎「……ん?」
桃太郎「……赤鬼殿と人魚姫、と赤ずきん……のはずだが」
桃太郎「何をしているのだあいつら……」

281 :◆oBwZbn5S8kKC :2015/03/17(火)23:32:41 ID:NZS
秘密の入り江
人魚姫「いーねいーね!やっぱり実際に着けてみないとアクセサリーの善し悪しなんかわかんないんだよ、赤ずきんチョーかわいいよー」ヘラヘラ
赤ずきん「……そういうのいいから早くして頂戴」
人魚姫「ふんふん、じゃあねー今度はそっちのピンクのフリフリの洋服と…そうだなぁ、あれなら…これかな、このネックレス合わせてみてよ」スッ
赤ずきん「……また着替えるの?もうどの洋服だって同じじゃないかしら、あなたは自分の作ったアクセサリーが人間にも似合うのかどうか見たいでしょう?」
人魚姫「わかってないなぁ赤ずきんは、違うっしょ?アクセサリーってのはそれだけ身につけるわけじゃないじゃん、人間はさ」ハァー
人魚姫「人魚と違って人間は服を着るっしょ?だからアクセサリーも毎日同じってわけにいかないじゃん、今日の服にはぴったりだけど明日の服にはイマイチってなるじゃん?」
人魚姫「だからさ、いろんな服との組み合わせをチェックしておきたいわけよ、アクセサリーを作るプロを目指すあたしとしてはね?」
赤ずきん「……わかったわ、これに着替えればいいのね?」
人魚姫「そうそう、あっそのまえにちょっと笑顔でクルッと回ってくれるといいなぁ、そしたら赤ずきんが欲しがってるあたしの鱗もバッチリキレイに取れそうなんだけどー」ニヤニヤ
赤ずきん「……随分と足元を見るじゃないの。こんなのはもうこれっきりよ」クルッ
人魚姫「うん、やっぱりあのブレスレットは何にでも合うなぁ……ほら、赤鬼もちゃんと可愛いって言ってあげなきゃ寂しいっしょ?」
赤鬼「いや、もう、オイラに振るのはやめてくれ人魚姫。めちゃくちゃ睨まれてるんだよ」
赤ずきん「言わなくてもあなたならわかってくれるわよね?」キッ
赤鬼「ああ、雪の女王にもキモオタ達にも言わんから安心しろ、それに気にするほど恥ずかしいことか?」
赤ずきん「浮かれてると思われるのが嫌なのよ…」
桃太郎「……何をしているのだお前達は」ザッ
赤鬼「おお!いいところに来た桃太郎!こっちでオイラと茶の支度でもしようじゃねぇか!何とも耐え難い空気だったんだよ」

282 :◆oBwZbn5S8kKC :2015/03/17(火)23:34:12 ID:NZS
桃太郎「赤鬼殿、差し入れの菓子だ。皆でつまんでくれ。それで…何をやっているのだあの二人は」スッ
赤鬼「ああ、すまんな頂こう。あの二人はあれだ、人魚姫が…なんつったかな、アクセサリーだったか?首飾りや腕輪を作る職人になるのが夢らしくてな、自作のそれを試しに赤ずきんにいろいろと着けてもらって具合を見ているらしい」
桃太郎「なるほど、どこの国でもおなごがそういった物に興味を持つのは同じと言うことか…にしても意外だな、赤ずきんはどこか冷めているところがあるからこのような事は嫌がりそうなものだが」
赤鬼「まぁなぁ、乗り気ではないだろうがあいつも律儀だからな。助けてもらった恩があるってのと、必要な『人魚姫の鱗』の事もあるしな……それになによりも」
・・・
人魚姫「じゃあ今度はこの髪飾り頼める?でね、なんというかこう無邪気な感じでくクルッと回ってくれっといい感じなんだけどなー」
赤ずきん「無茶言わないで頂戴…ほら、こう?」クルッ
人魚姫「やっぱり海中と陸だと色の映え方が全然違うなぁ、これは調整の必要あり…って感じ。人間の服って肩や胸元が隠れる服が多いからネックレスはもっとシンプルに……」ブツブツ

283 :◆oBwZbn5S8kKC :2015/03/17(火)23:36:13 ID:NZS
・・・
赤鬼「人魚姫の奴、ヘラヘラしてふざけてそうに見えるけど相当真剣にやってるんだよ。赤ずきんもそれをわかってるから協力してやってるんだろうな」
桃太郎「人魚姫にとってはそれが戦いなのだろう、戦いとは悪に立ち向かい断ち切ることのみにあらず。己の夢を追い、その道程にある障害を自ら乗り越え夢へと近づく…これもまた戦いなり」
赤鬼「違いない、まぁオイラ達はそれに協力するだけだ……っと茶を沸かそうにも薪がないな」
桃太郎「ならば拙者が拾い集めてこよう、奥の藪に入ればすぐであろう。一時、拙者の刀を見ていて貰えるか?このような場所に盗人など現れぬだろうが一応な」ガチャッ
赤鬼「そりゃあ構わんが……いいのか?大切なものだろう?」
桃太郎「だからこそお主になら任せられるのだ、この船縁に立てかけておくから時折見てくれ。ではしばし待っていてくれ…赤鬼」スッ
赤鬼「…おう、任せたぞ桃太郎!」

285 :◆oBwZbn5S8kKC :2015/03/17(火)23:46:40 ID:NZS
人魚姫「じゃあちょーっと疲れただろうし、ひとやすみしよっかー」
赤ずきん「ええ、そうね……赤鬼、水を一杯貰えるかしら」フゥ
赤鬼「なんだ、休憩か?すまんがまだ湯が沸いていないんだ、茶はもう少し待ってくれ…ほら、水だ」スッ
赤ずきん「ありがとう。悪いわねお茶の準備を任せっきりで」
赤鬼「今日はシンデレラに教わった紅茶っていう奴に挑戦するつもりだ、いつも緑茶だと飽きるだろう?人魚姫もこっちに来るといい、海底に住んでるなら茶も菓子も珍しいだろ?」
人魚姫「あーっと、すごく興味あるんだけどね?お茶っていうの海中にはないしさ、でも陸には上がれないんだ。ほら、あたしにはあんたたちみたいな足がないんだよね。人魚だししょーがないけどさー」
赤鬼「ああ、そりゃあ気がつかなかったな。すまん…」
赤ずきん「でも船縁に腰掛けるくらいはできるんじゃない?船の近くで準備すれば一緒にお茶できるでしょう?」
赤鬼「そうだな!船が燃えない程度に近づけば問題ないもんな、よし移動するか」
人魚姫「いいの?サンキューね、赤ずきん、赤鬼!じゃあ船縁に座って待ってますかー……っと」
ゴトッ
人魚姫「これって……桃太郎の持ってた奴だよね、確か刀とかいう……」
人魚姫「いーこと思いついちゃったんだけど…!」ニヤニヤ
ゴソゴソ

286 :◆oBwZbn5S8kKC :2015/03/17(火)23:55:45 ID:NZS
・・・
ガサガサ
桃太郎「薪に使えそうな木を拾い集めてきた、これだけあればいいか?」ドサッ
赤鬼「ああ、十分だ!ありがとな桃太郎。じゃあちょっと待ってろよー」ガチャガチャ
赤ずきん「赤鬼から聞いたわよ、お菓子まで差し入れてくれたのね。どう?お供の彼等にいいお土産は見つかったのかしら?」
桃太郎「うむ、旨そうな焼き菓子があったのでな、それにした。いつもきび団子か柿だからな」
赤ずきん「キチンと多めに買っておいたかしら?彼等のことだからまた喧嘩するわよ?」クスクス
桃太郎「抜かりはない、この間も犬と猿がどっちが何個多くきび団子食べた食べてないで大喧嘩してな…」
赤ずきん「相変わらずなのね、賑やかでいいじゃない」クスクス
桃太郎「まぁそうだがな…しかし、賑やかといえば人魚姫はどうした?えらく静かだが?」
赤ずきん「あら?さっきはそこの船縁にいたけれど?」
人魚姫「おー、帰ってきてたんだ!オツカレー、差し入れくれた桃太郎にお礼代わりにいいものプレゼントしてあげるよ、はい」ヘラヘラ
ガチャッ
桃太郎「……ん?これは……!」

287 :◆oBwZbn5S8kKC :2015/03/18(水)00:08:35 ID:y6H
キラキラキラ
桃太郎「これ……なに?」プルプル
赤ずきん「桃太郎の刀じゃないかしら?随分とキラキラしているけれど」
桃太郎「いや、それはわかるよ!なんでこんなにキラキラしてんの!?」
人魚姫「桃太郎の刀ってなんかデザイン地味じゃん?だからあたしがデコってあげたよー、ちょうど道具も持ってきてたし。かなりキレイっしょー?あたしデコるのもチョー得意なんだよねー」ヘラヘラ
赤ずきん「確かに、細かい貝殻や綺麗な石が規則的に配置されているわね。これは手先が相当器用じゃないとできないわよ?」
桃太郎「そういうのは聞いてないんだよ!なんで!?なんでそんなことしちゃったの!?」
人魚姫「いつも持っているってのは、持ち主のセンスがでるっしょ?だから桃太郎の刀もかわいくデコってセンスを示せるようにしたってわけ、なかなかっしょ?」ヘラヘラ
桃太郎「拙者の刀が……帝よりその名を賜りし『名刀・鬼屠り』が…!」
キラキラキラ
赤ずきん「随分と大仰な名前ね…」
桃太郎「どうすんだよこれえぇぇ!!拙者もう帝にあわせる顔がないわ!帝になんて言うのこれ!?人魚の友人にデコられましたって言えばいいのか!」
人魚姫「自慢しちゃえばいいじゃん?うまくデコれてるっしょ?って言えばいいよ、なんなら桃太郎が自分でデコったって言っても良いけど?」
桃太郎「なんの気遣いだよそれ!なこと言ったら打ち首になるだろ!もおおぉぉぉ!!勘弁してよマジでええぇぇ!!」

288 :名無しさん@おーぷん :2015/03/18(水)00:09:35 ID:nbT
おお 桃兄さんが素に戻ったwww

289 :◆oBwZbn5S8kKC :2015/03/18(水)00:09:58 ID:y6H
今日はここまで!
新ジャンル・デコ刀
人魚姫編 次回に続きます

293 :名無しさん@おーぷん :2015/03/18(水)00:47:37 ID:r7S
ギャルな人魚姫…良いね!

294 :名無しさん@おーぷん :2015/03/18(水)01:10:41 ID:ZtO
>>1さん乙です!

295 :名無しさん@おーぷん :2015/03/18(水)02:19:35 ID:9BA
桃さん素に戻ったw可愛いwww

298 :名無しさん@おーぷん :2015/03/18(水)23:14:05 ID:3jb
同い年の桃太郎、シンデレラ、ラプンツェルの会話が見たいなー(チラチラッ

302 :◆oBwZbn5S8kKC :2015/03/19(木)21:22:13 ID:NIz
>>298
ラプンツェル「ねぇねぇ桃太郎!桃太郎の刀はなんで『鬼屠り』って名前なの?」ニコニコ
桃太郎「うむ、拙者が鬼ヶ島に巣くう大悪鬼を征伐した折、帝よりその名を賜ったのだ。悪鬼を断ち切る刃、という意味を持つ」
ラプンツェル「へぇー、鬼ってそんなに強いの?私の世界にはいないからよくわかんないや」
桃太郎「強き種族だ。見上げるほどの巨体に無双なる怪力…そして岩の如き強固な皮膚を持つ…易々と倒せる相手ではない」
ラプンツェル「岩みたいに硬いんだ…!じゃあそんな鬼を斬れちゃう刀なら岩でも斬れちゃう!?」ワクワク
桃太郎「いや、待てラプンツェル。あくまで例えであってだな、実際に容易く岩が斬れるわけでは……」
ラプンツェル「私、試してみたい!ちょっと借りるね…おぉー、結構重たいね」ガチャッ
桃太郎「よ、よせラプンツェル!素人が振り回したら危ないかr」
ラプンツェル「大丈夫!よーし、じゃあこの岩斬っちゃうよー!ていっ!」ヒュッ
パキーン
桃太郎「うわあああああぁぁぁ!!拙者の『鬼屠り』がああぁぁ!!」ウワァァァ
ラプンツェル「ありゃー…桃太郎、ごめんね?」
桃太郎「いやもうちょっと考えようよ!?こんなの折れるに決まってんじゃん!なんか柿とか切るのにちょうどいい長さになっちゃったじゃんもおおぉぉ!!」ウワアァァ
シンデレラ(……ガラスの靴はラプちゃんに見せないようにしとこうかな)
こうですねわかります

303 :名無しさん@おーぷん :2015/03/19(木)21:26:10 ID:6tH
>>302
名刀「柿屠り」か