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キモオタ「我輩がおとぎ話の世界に行くですとwww」ティンカーベル「そう」
Part63


230 :◆oBwZbn5S8kKC :2015/03/10(火)22:17:12 ID:Gkh
カモメ「どこだ…どっかに信用できそうな人間いないか!?」スイー
カモメ「この町の人間じゃない方がいいか…あっ、あの人間…外套を羽織ってるしきっと旅人だぞ…!」
カモメ「なんかあの金髪の子供と仲良さげに話してるみたいだし、悪い奴じゃ無さそうだな…あの二人に賭けてみるか…」
スィー
カモメ「おーい!そこの二人、ちょっと俺の話を聞いてくれ!」バサバサッ
赤鬼「ん…?なんだ、オイラ達に何か用事か?」
赤ずきん「慌てているようだけど何かあったのかしら?確か…鳥は夜に飛ぶのが苦手だと聞いたけれど」
カモメ「緊急なんだ!怪我をした奴を助けたい!でも俺たちじゃあどうしようもできねぇ、お前達が心優しい旅人だと信じて頼む!そいつを助けてやってくれねぇか!」
赤鬼「お前の仲間が怪我してるのか!?よし!任せろ、何処にいるんだ!?」ガバッ
赤ずきん「落ち着きなさいな、赤鬼。怪我をしているのは鳥なの?魚なの?人間なの?人間なら私たちより医者を呼んだ方がいいと思うのだけど」
カモメ「むむむ……他言無用で頼めるか?この事は誰にも言わないで欲しいんだ」

231 :◆oBwZbn5S8kKC :2015/03/10(火)22:17:45 ID:Gkh
赤鬼「なんだ?何か事情があるのか?言ってみろ、誰にも言いやしねぇ」
カモメ「怪我しているのは…人魚なんだ。お前達人間にはなじみのない種族だと思う、俺の言うことが信用できないかも知れないが…本当なんだ!頼む、助けてやってくれ!」
赤ずきん「人魚が怪我をしているですって…?」
カモメ「ああ!意識はあるみたいだったが自力で泳げそうにねぇんだ、人魚の国の場所はわからねぇし他の人魚に頼めねぇんだ…頼む!」
赤鬼「大丈夫だ、任せろ!それでその人魚はどこにいる!?」
カモメ「ここから少し離れた場所にある入り江で安静にさせてる、そこに行くには船を出して貰わないといけないが…」
赤ずきん「…赤鬼、急いで船を借りましょう。夜釣りだと口実付ければ怪しまれないでしょうから」
カモメ「じゃ、じゃあ助けてくれるのか!?ありがてぇありがてぇ!」
赤鬼「もちろんだ!困ってる奴に人間も鬼もカモメも人魚も関係ねぇ!お前はオイラと港へ来てくれ、船を手配する!赤ずきんは…」
赤ずきん「私は彼に治療して貰うよう頼んでくる。相手が人魚なら人間の医者で対応できるかどうかはっきりしないものね…けれど生まれ持った治癒能力を備えている彼なら…」
赤ずきん「桃太郎なら、なんとかできるはずですもの。彼の世界へ行って…それからすぐに合流するわ。急ぎましょう、人魚が待つ入り江にね」
・・・

232 :◆oBwZbn5S8kKC :2015/03/10(火)22:21:23 ID:Gkh
海上 貸し船
ギーコギーコ
桃太郎「しかし、人魚が実在したとは…拙者も噂を耳にしたことはあるが実際に会うことなど今まで無かった。一体、どのような種族なのだろうな……」
赤ずきん「悪いわね、遅い時間に連れ出してしまって。理由も聞かずに協力してくれて助かるわ」
桃太郎「我等は共に戦った仲間……遠慮することなど無い。むしろ拙者の能力を必要とされているのならば……男として武士として助けなければなるまい」
赤鬼「桃太郎よ、今日は旅の共はいないのか?」
桃太郎「なにやら急ぎの用事との事だったのでな……故に彼等には留守を任せてある。拙者が居なくとも何ら問題はなかろう、なぜなら彼等もまた歴戦の武士なのだからな……」
カモメ「あ、見えたぞ!あの入り江だ!ちょうど月明かりが射してるから見えるだろ!?」
赤ずきん「……遠目だけれど、確かに下半身が魚のようね」
桃太郎「あれが人魚……なんと面妖な」
赤鬼「よしっ、船を着けるぞ。桃太郎!手伝ってくれ!」
桃太郎「うむ、承知仕った…!」ファサッ

233 :◆oBwZbn5S8kKC :2015/03/10(火)22:25:28 ID:Gkh
秘密の入り江
赤鬼「よし、じゃあお前達は先に人魚の方へ行ってくれ。船を固定できたらオイラも行く」
桃太郎「かたじけない。行くぞ、赤ずきんよ」スタッ
赤ずきん「ええ、急ぎましょう」スタッ
赤鬼「さて、人魚の様子を見ている間に船が流されでもしたら大事だからな。しっかりと固定して……」グッグッ
鬼神『……赤鬼、コノ場ニイルトイウ人魚……ドノヨウナ輩カ知ラヌガ用心シテオケ』
赤鬼「ん…?どういう事だ?」
鬼神『我ト同様ノ匂イガスルノデナ…先程カラ凄マジイ憎シミノ感情ヲ感ジルノダ』
赤鬼『憎しみの…感情…』
・・・
亀「わあああぁ!待ってたよ!助けを呼んでくれたんだな!」
カモメ「待たせたな!こいつらは人間だが、この事は他言しないと約束してくれた…安心してくれ。それで人魚は…」
髪の美しい人魚「……」ゼェゼェ
赤ずきん「苦しそう…酷い怪我……ねぇ、桃太郎大丈夫かしら?」
桃太郎「人魚を治癒したことはないが問題はないだろう……しかし、思ったより外傷が酷いな。亀よ、拙者が治療を引き受ける。今どのような状況なのか聞かせてもらおう……」
亀「少し前に難破していく船の瓦礫を受けてしまって、全身を強くぶつけたみたいなんだ…多分頭も強く打ってる。呼吸はしてるみたいだけど、目を覚まさないんだ…!」
桃太郎「承知した。人魚よ、拙者の声が聞こえるか?今から治癒を行う……では」パァー
髪の美しい人魚「……」ゼェゼェ
桃太郎「……」パァァァァー

234 :◆oBwZbn5S8kKC :2015/03/10(火)22:26:31 ID:Gkh
桃太郎「……」パァァァァー
亀「おお、傷が見る見る塞がって…元通りの綺麗な肌に!」
カモメ「凄いな、人間にはこんな能力を持っている奴もいるのか」
赤鬼「すまん待たせたな。それでどうだ?治療はうまくいっているか?」
髪の美しい人魚「……う、うぅっ……私は……」
赤ずきん「どうやら意識はとりもどしたみたい……一安心ね」
桃太郎「よし、このまま治癒を続けていくとしよう…」パァァァー
髪の美しい人魚「……ぅう、ここは……?」
カモメ「気が付いたみたいだな、ここは港町の近くの入り江だ」
髪の美しい人魚「あぁ、あの入り江ですか……私は確か……仕事中に瓦礫の下敷きになって……それで……」ボーッ
亀「人魚さん!よかった、意識が戻ったんですね!すいませんでした、俺を助けようとしてあなたが犠牲に…!」
髪の美しい人魚「あ、あぁ…そうでした、亀さんを助けようとして……そのまま動けなくなったんですね、私。亀さん、怪我はないですか?」
亀「はい、俺は平気です!本当に迷惑かけてしまって…あ、でもこの方達が怪我をしたあなたを治療してくれたんです!」
髪の美しい人魚「まぁ、それはお礼を…………」クルッ
桃太郎「意識がはっきりしたようで何より……治癒を続ける故、もうしばらくそのままにしていてもらおう」パァァァー
髪の美しい人魚「人間…っ!」ババッ

235 :◆oBwZbn5S8kKC :2015/03/10(火)22:27:44 ID:Gkh
桃太郎「どうしたのだ…?それよりまだ治癒は終わっていない、じっとしていることだ。動いてはきちんと治癒できn」
髪の美しい人魚「私に触れるな……この卑しい人間め!」ヒュッ
桃太郎「何を…っ!落ち着け、拙者はお主の傷を治すべくここに来た、敵ではない…!」パシッ
赤鬼「なっ…!?いきなり平手打ちだと…!?」
赤ずきん「受け止めなかったらそのまま叩かれていたわね、けれど突然攻撃してくるなんて……」
桃太郎「拙者とて日ノ本の武士。易々と隙など見せぬ……が、よもや怪我人に叩かれそうになるとは思わなかった」
髪の美しい人魚「何故、人間なんかに…!亀さん、あなたは何故人間なんかに助けを求めたのですか!?」
亀「そ、それは…カモメに彼等が信用できそうだと聞いたので……」
カモメ「……なんかやべぇ空気だな、じゃあ人魚も無事だし俺はこれで失礼する!」ソソクサー
亀「あっ!ずるい…!」
髪の美しい人魚「人間などに助けを乞うくらいなら海の藻屑と散った方が遙かに良かった…!」
髪の美しい人魚「人間の手で生きながらえるなどこのような屈辱、私はディーヴァとして耐えられない…!先程の件といい、あなたは私たち人魚より人間共を信用するんですね?それならば私たちにも考えはあります…!」プルプル
亀「あ、あ、そんなことないです!すいませんでした!うわあぁぁー!」ザバザバー

236 :◆oBwZbn5S8kKC :2015/03/10(火)22:28:34 ID:Gkh
髪の美しい人魚「待ちなさい…!話はまだ終わって……うっ!」ズキッ
桃太郎「ど、どういう事情か知らぬが落ち着いてくれ。まだ完全に傷が癒えた訳じゃn」
髪の美しい人魚「私に触れるなと…何度も言わせるな!」ヒュン
桃太郎「…くっ!一体なんだというのだ…!」バシッ
赤鬼「今度は尾ビレで叩きつけてくるとは…おい、桃太郎!一度離れろ、治療は続けられそうにないぞ!」
赤ずきん「そうね、どうやら彼女は私たち人間に良い感情を持っていないようですもの」
髪の美しい人魚「何を今更…!お前達が私たち人魚に何をしたのか忘れたのか!」
桃太郎「あいにく拙者は余所者故、お主達の確執など知らぬ……だが怪我をしているお主を治癒すると決めたのは拙者だ、完治するまでは治癒を諦めぬ」
赤鬼「お、おい、桃太郎…」
桃太郎「悪の権化をねじ伏せることが戦いならば、善良な民の病や傷を癒すこともまた拙者にとっては戦い。拙者の刀が魔を断つ刃ならば、邪を払い穢れを打ち払う治癒の力もまた拙者の刃なり」
桃太郎「この桃太郎、お主の怪我を完治させることに一切の妥協などせぬ」

237 :◆oBwZbn5S8kKC :2015/03/10(火)22:30:19 ID:Gkh
髪の長い人魚「私は人間などに助けてくれ等と言った覚えはない!むしろ勝手な事をされて酷い屈辱を受けた!大方、恩を売ろうとでもしたのだろうが無駄だ、私は騙されない」ギリッ
桃太郎「拙者は恩を売るつもりなど毛頭ない……」パアアァァァ
赤ずきん「あなた達とこの世界の人間に何があったのか知らないけれど、怪我に耐えてまで意地をはる必要があることなのかしら?」
桃太郎「くっ…!離せ…!いますぐにその得体の知れない能力を私に使うのはやめろ!」
赤鬼「なぁ、人魚よ。誤解しないでくれ、オイラ達は本当にお前さんを助けるためにここに来たんだ!」
髪の美しい人魚「やかましい人間め…!お前達の言葉を信用する人魚なんかいない!」キッ
赤ずきん「どうやら、随分と嫌われているみたいね。……彼女がとりあえず無事になったのならもういいでしょう。私たちは町へ戻りましょう、これ以上は無意味よ」
髪の美しい人魚「帰す訳ない…!人魚の姿を見た以上、生きては帰さない!お父様の為にも私は…!」ググッ
髪の美しい人魚「今宵、人魚の姿を見た人間は一人として居なかった、さぁ卑しい人間と言葉を交わすのもおしまい…!永久に覚めることのない眠りへ落ちていけ…!」スゥッ
桃太郎「何かするつもりだぞ…!赤鬼殿、赤ずきん!用心せよ!」
髪の美しい人魚「アーアアアーアアーアアアー♪」

238 :◆oBwZbn5S8kKC :2015/03/10(火)22:32:14 ID:Gkh
髪の美しい人魚「アーアアアーアアアーアーアアー♪」
赤鬼「歌…か?突然歌なんか歌ってどうしたというんだ…?」
赤ずきん「なんなの…この、歌声…ものすごい眠気が…襲ってくる……まさかあの人魚……zzz」トサッ
赤鬼「赤ずきん!どうした!?」
桃太郎「……赤鬼殿、これはおそらくあの人魚の妖術のようなもの…!」ググッ
赤鬼「妖術…魔法の類か…!」
桃太郎「おそらく……。だが、すまぬ…!拙者もこれ以上は耐えられぬ……無…念……zzz」ドサッ
長い髪の人魚(なんだ…この男、どうして私の歌声で眠らない…!)アーアアアーアアー♪
鬼神『ドウヤラ人魚ノ女ハ相当ナ憎シミヲ人間二向ケテイルヨウダナ…ドウスルンダ赤鬼?得意ノ講釈ヲ述ベ、説得スルノカ?我ニハ無意味二思エルガナ…クックックッ』
赤鬼「おい人魚…!お前が人間に恨みを持つ理由は知らないが、こんな事をしてなんになる!オイラたちを殺せばお前の無念は晴れるのか!?そうじゃねぇだろう!」
髪の美しい人魚「黙れ!貴様のような人間に何がわかる…!」
赤鬼「……こんな諍いに意味がないって事は今まで何度も見てきたから知っている!それにオイラは人間じゃない」ファサッ
髪の美しい人魚「赤い皮膚に…角…!人魚と人間以外にこんな種族が…!?」
赤鬼「鬼だ。この世界には存在していないのかもしれない。お前の妙な魔法の歌が通じないのも、オイラが人間じゃないからだろう」
髪の美しい人魚「……っ!」ギリッ
赤鬼「お前と同じく人間じゃないオイラならお前の話を聞いてやれる、もう種族間での争いはたくさんなんだ…!」

239 :◆oBwZbn5S8kKC :2015/03/10(火)22:33:19 ID:Gkh
髪の美しい人魚(鬼?私の歌声が利かない種族?そんな事は今までになかった…)
髪の美しい人魚(相手は人間の肩を持つ敵だ。けれど、まともに戦って勝てる相手じゃない、この体格差だ)
髪の美しい人魚(私はディーヴァであって兵士じゃない。けれど、こいつはここで殺しておかなければいけない。ディーヴァが太刀打ちできない相手なんか居てはいけない)
髪の美しい人魚(なら、ここは屈辱を噛みしめてでもやり過ごして…確実に…)
髪の美しい人魚「……鬼といいましたね?私も突然の出来事に動転して、少々やりすぎてしまいました」
赤鬼「わかってくれたか人魚よ…!だったらこの二人を元に戻してくれ、種族の違いで差別したりするような奴じゃないんだ」
髪の美しい人魚「ええ、では一度人魚の国へ戻り…あの二人を元に戻す薬をお持ちします」
赤鬼「おお、元に戻るんだな?そいつは助かる!」
髪の美しい人魚「では、少しの間ここで待っていてくれますか?あの二人は今深い眠りについていますからあなたは決してここから離れないように」
赤鬼「おう、二人が戻ったらお前の悩んでることも全部聞く!お前達の抱えている問題をみんなで解決しようじゃねぇか、な!」ニッ
髪の美しい人魚「この憎しみが容易く消えるものか…!」ボソッ
赤鬼「ん…?」
髪の美しい人魚「いえ、ではしばらく待っていてくださいね」ニコッ
ザブーン

240 :◆oBwZbn5S8kKC :2015/03/10(火)22:36:44 ID:Gkh
海底 珊瑚で出来た王宮
執事魚「なるほど…状況は把握いたしました。さぞかし悔しい思いをされたことと……」
髪の美しい人魚「私が人間に命を救われたことは私と貴方だけの秘密です。他言は無用、特にお父様の耳には決して入らないように」
執事魚「心得ております。貴方様を失う事は国に不利益しかもたらしませんので。それでは、この薬をその入り江にいる鬼という種族の男にわたせばいいのですね」
髪の美しい人魚「ええ、私が赴く必要はありませんから。眠っている二人の回復薬だと言ってください、そしてあの男には不老不死の薬といえば騙せるでしょう。ただ、必ずあの男が薬を飲むのを見届けてから立ち去るように」
執事魚「まさか毒薬だとはそやつも思わないでしょうな」ハハハ
髪の美しい人魚「声が大きいですよ。くれぐれも内密に事を進めなければいけないんです」
執事魚「はい、お任せください!では行って参ります!」ザバザバ
ドンッ

241 :◆oBwZbn5S8kKC :2015/03/10(火)22:45:04 ID:Gkh
人魚姫「あいたた…」
執事魚「うぐっ!いたたた…あっ、これは失礼しました姫様!突然飛び出してしまった私の不注意でして!」
人魚姫「ううん、へーきへーき。あたしも寝不足でぼーっとしてたからさー。なんか慌ててるけどどっかいくの?」
執事魚「いえいえ、ちょっとそこの入り江までです!それでは失礼して、ごきげんよう!」
人魚姫「ふーん…あー、それにしてもチョー眠い…マジで寝不足…」ファァア
髪の美しい人魚「人魚姫…またあなたはそんなだらしない姿をして…!」
人魚姫「げっ…姉ちゃん、もう帰ってたんだ……」ウゲー
髪の美しい人魚「なんですかその言葉遣いは…せめて『お姉様、お帰りになられていたのですね』でしょう。ちょっとこっちへ来なさい、人魚姫。お話があります」
人魚姫「いーよ…あたしは姉ちゃんに話なんか無いし」
髪の美しい人魚「いいから来なさい、それともお父様に叱っていただきますか?」
人魚姫「……わかった、姉ちゃんの話聞くよ」ハァー
人魚姫「……チョーだるい」ボソッ

242 :◆oBwZbn5S8kKC :2015/03/10(火)22:51:20 ID:Gkh
髪の美しい人魚「寝不足だと言っていたけれど、あなたは一体何をしていたの?歌のレッスンは進んでいるの?」
人魚姫「…別に姉ちゃんにはカンケー無いじゃん」
髪の美しい人魚「そうはいきません、私は長女として末妹のあなたを導く義務があるんですよ?言いなさい」
人魚姫「……姉ちゃんが仕事で居ないって聞いたから、ちょっと沖までアクセサリーの材料を探しに行ってただけ。綺麗な珊瑚がある穴場みつけちゃったんだよねー」ニヤニヤ
髪の美しい人魚「ヘラヘラするんじゃありません。まったく、あなたはまだアクセサリー制作なんか続けているのですか?あんなものなんの役にも立たないというのに」フゥ
人魚姫「『あんなもの』ってなんなの?いーじゃん、別に姉ちゃんに迷惑かけてないんだし。それにあたしが作った奴、結構評判いいんだかんね?」ムッ
髪の美しい人魚「あなたももうすぐ海上へあがる事が許される年齢でしょう?いつまでもそんなくだらない趣味にうつつを抜かしていてはいけません」
人魚姫「くだらないかどうかはあたしが決める事じゃん!姉ちゃんにそんな事言われる筋合いないんだけどー!」ムカムカ
髪の美しい人魚「あなたはディーヴァになるんだからそんな趣味はもうやめなさい。必要ないんだから」
人魚姫「またでた……それにもうただの趣味じゃないんだけど?あたしはアクセサリー作って生活していくって決めたの!そのための勉強もしたし技術だって磨いた、それが私の夢なんだから!」

243 :◆oBwZbn5S8kKC :2015/03/10(火)23:08:13 ID:Gkh
髪の美しい人魚「いつまでも子供のような夢を語らないで、人魚姫」
人魚姫「子供のようなって…あたしはマジなんだけど?」イライラ
髪の美しい人魚「あなたにはディーヴァの才能があるの。必ず私や他の姉妹なんか比べものにならない圧倒的なディーヴァになる、あなたの歌声が人間に与える影響は私たちのそれとは格が違うのだから」
人魚姫「……その話はやめてよ、聞きたくないんだけど」
髪の美しい人魚「あなたがディーヴァになることはもう決定事項です。反抗することは許しませんよ。お父様もあなたに期待しています。あなたがディーヴァとなる日を待ち望んでいるんですから」
人魚姫「お父様は『娘としてのあたし』に期待してなんかいない。あの人は『兵器としてのあたし』に期待してるだけ!あの人は私の歌声なんか興味ない、興味があるには私に歌声でどれだけの人間が殺せるかだけでしょ!?」
髪の美しい人魚「人魚姫!あなたお父様に失礼なことを…!」
人魚姫「あーもう!うるさい!あたしは絶対にディーヴァになんかならないから!」
人魚姫「姉ちゃんみたいにあの人の言いなりになんか絶対なんないから!人殺しのために歌を歌うなんて、もう二度とやんないから!」スィー
髪の美しい人魚「こら!待ちなさい!人魚姫…!」

244 :◆oBwZbn5S8kKC :2015/03/10(火)23:08:41 ID:Gkh
今日はここまでです
人魚姫編 次回に続きます

245 :名無しさん@おーぷん :2015/03/10(火)23:11:56 ID:UBS
人魚姫、まさかのデコ姫系女子☆彡でしたか…!!!
……姉ちゃんと姫ゎ……ズッ友だょ……!!

247 :名無しさん@おーぷん :2015/03/11(水)02:24:57 ID:BWW
>>1さん乙です!
果たして赤コンビは奔放な姫とズッ友になれるか…ですね。
次回が楽しみです!!

256 :名無しさん@おーぷん :2015/03/12(木)20:40:14 ID:yTe
おい!すごいこと気がついたぞ!
人魚姫ちゃんパンツはいてないんじゃね?

257 :名無しさん@おーぷん :2015/03/12(木)21:10:08 ID:j5C
>>256
そこに気づくとは・・・天才か

264 :◆oBwZbn5S8kKC :2015/03/17(火)22:55:57 ID:NZS
スィー
人魚姫「あーもう!姉ちゃんはあたしの顔見たらディーヴァになれなれってそればっかり!」イライラ
人魚姫「昔はもっと優しかったのに、近頃マジで口うるさいし」イライラ
人魚姫「ディーヴァの仕事だってそーだっての、姉ちゃんがあんな仕事しなくたっていいのに…!」ムカムカ
人魚姫「人魚を守るためってのはわかるけどさー…」
人魚姫「人魚を守るために人間を殺すのってなんか違うじゃん。頭悪いあたしにだっておかしーってわかるのに、なんであんな仕事があんだろ…意味わかんない」
人魚姫「……あー!もう気分変えなきゃやってらんない!」バンッ
人魚姫「あっ、そーいえば姉ちゃんの執事が確か入り江に行くって言ってたっけ。あたしも行ってみよっかなー、あそこキレーな貝殻取れるし気分転換に海上に出てみるのもいいかも」
人魚姫「それにあの執事なんか慌ててたから、姉ちゃんから命令されたナイショのおつかいかもしんないし」
人魚姫「もしかしたら姉ちゃんのヒミツとかがわかって…うまくいけば弱みとか握れるかも!そしたらもう説教されないんじゃん?」ニヤニヤ
人魚姫「うんうん!テンション上がってきた!そうと決まったら急いで追いかけなきゃね!よーっし!全速力で泳いでくしかないっしょ!」
スイスィー

266 :◆oBwZbn5S8kKC :2015/03/17(火)23:00:20 ID:NZS
秘密の入り江
赤鬼「おい、赤ずきん。聞こえるか?」ユサユサ
赤ずきん「……」スヤスヤ
赤鬼「…ダメか。声をかけても揺さぶっても起きないな…おとなしく薬を待つしかないか」
赤ずきん「……」スゥスゥ
桃太郎「……」グゥグゥ
赤鬼「聞いた人間を眠らせる歌……か。桃太郎の治癒能力にしろ雪の女王の評決能力にしろ余所の世界は未知のことだらけだな」
鬼神『フム、実ニ奇妙ナ能力ダ』
赤鬼「鬼神…」
鬼神『眠リトイウ無防備ナ状態へ誘ウトイウノハ、ナカナカニ侮レヌ。見ヨ、赤イ頭巾ノ娘モ…桃ヨリ生マレシ侍モ死ンダヨウニ眠ッテオルデハナイカ』クックック
赤鬼「死んだようにとか縁起でもないこと言わないでくれ、じきにあの人魚が二人にかかった魔法を解く薬を持って来てくれるんだ。二人はすぐに目覚めるさ」

267 :◆oBwZbn5S8kKC :2015/03/17(火)23:01:32 ID:NZS
鬼神『……フンッ、甘イ甘イ。ダカラ貴様ハ青二才ナノダ』
赤鬼「どういうことだ?」
鬼神『アノ人魚ハ薬ナド渡スツモリハナイダロウ。モトヨリ…全員殺ス算段ダッタガ鬼ニ自分ノ歌ガ通用シナイトワカリ、次ノ手ヲ打ツ事二シタノダロウ』
鬼神『ドノヨウナ手ヲ使ウカワカラヌガ、気ヲ抜クナヨ赤鬼。アノ娘ハ貴様ヲ殺ス為二一度海ヘ消エタダケダ、殺ス手筈ヲ整エテ我等ノ前二再ビ現レルダロウ』
赤鬼「待て待て、なんでそう疑ってかかるんだ!人魚が言っていただろう?気が動転していただけなんだあいつは。我に返ってやり過ぎた事に気が付いた、だから薬を手配してくれるんだ」
鬼神『滑稽ダナ赤鬼。アノ娘ハ凄マジイ憎悪ヲ抱エテイタ、歌声ヲ上ゲル娘ノ瞳ハ確カナ殺意ヲ纏ッテイタゾ?』
鬼神『我ハ憎悪カラ生マレシ鬼神。憎悪、悪意、殺意……負ノ感情ヲ察知スルナド容易イ。アノ娘ノ抱エル憎シミハ青二才デアル貴様ノ説得デ緩ムヨウナモノデハナイ』
赤鬼「……」

268 :◆oBwZbn5S8kKC :2015/03/17(火)23:05:04 ID:NZS
赤鬼「認めたくはないが、憎しみから生まれたお前が言うのなら、きっとそれは真実なんだろう……だが!考えを改めることはできるだろ!憎しみ殺し合って種族間でいがみ合うより共存するほうがいいに決まってる!」
鬼神『我ニハ人間ト人魚ノ確執ヤ共存ナドニ興味ハナイ。アノ二人ガ二度ト目覚メヌトシテモ知ッタコトデハナイ。ダガ貴様ノ肉体ハイズレ我ノモノトナル、コノヨウナ場デ易々ト命ヲ落トサレテハ迷惑ダ』
赤鬼「……ただ少しだけ外見や習慣が違うだけで何故こうもわかりあえないんだ…人間も人魚も鬼も争う必要なんか無いだろ!」
鬼神『無理ナ話ダ、種族ガ存在スル数ダケ諍イハ必ズ起キル……』
ザバザバー
鬼神『ヌッ、ドウヤラ何者カガ近ズイテイルヨウダナ……赤鬼、油断セヌヨウニスルノダ。相手ハドノヨウナ手ヲ打ッテクルカワカラヌノダカラナ』
赤鬼「……油断はしない、だが敵視もしないぞオイラは」
鬼神『好キニシロ……ダガ圧倒的破壊力ガ必要ナラバ我ヲ出ス事ダ。尤モ借リウケタ肉体ヲ返スツモリハ無イガナ』クックック
赤鬼「……」
ザバザバー
執事魚「すいません、あなたが鬼さんですか?」バシャバシャ