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キモオタ「我輩がおとぎ話の世界に行くですとwww」ティンカーベル「そう」
Part62


182 :◆oBwZbn5S8kKC :2015/03/03(火)22:04:37 ID:ciQ
旅の若者「どうやら海岸を散歩していた老人が打ち上げられた死体を見つけたらしいんだけどねー、海岸で死体が見つかるってこの町でも珍しいことらしいよ」
赤ずきん「それはそうでしょう。日常的に死体が打ち上げられたらそれはもう異常じゃないの」
旅の若者「まぁそうだけど、この町の場合はちょっと事情が変わってくるんだよ。君達もこの町に来たって事は知っていると思うけれどさ…ほら、年間にあれだけの数の海難事故があるんだから死体が毎日見つかってもおかしくないだろ?この町の場合はさ」
赤鬼「ん?海難事故?そりゃあどう言うことだ?」
旅の若者「…あれ?君達も『最新型の貨物船』を見に来たんじゃないのかい?」
赤ずきん「貨物船……?話が見えないのだけど……」
旅の若者「なんだ、僕の早とちりみたいだね。ごめんごめん」ヘラヘラ
赤鬼「海難事故だの貨物船だの…この町にはなにか事情があるのか?」
旅の若者「早とちりのお詫びに教えてあげるよ。この町はね、古くから漁業や貿易で富を築いてきたんだ。だから大きな港があるし船だって何隻もある。かつては世界でも有数の貿易港だったんだけど…確か10年ほど前かな、この港から出発した漁船が行方不明になったんだ」

183 :◆oBwZbn5S8kKC :2015/03/03(火)22:07:07 ID:ciQ
旅の若者「当時は大騒ぎだったらしいよ。それまでにも海難事故はあったけれど稀だったし、その船が出航してからは天候も良くて海も穏やかで難破したってのが信じられなかったくらいだったらしいよ」
旅の若者「それからはもう立て続けさ。この港から出発した船は漁船だろうと貿易船だろうと関係なくほとんどの船はもう帰ってこなかった。
それだけじゃない、余所からこの港へ到着する予定の船だって事故にあってしまうことがほとんどで、もうこの港を利用しようなんて物好きは稀さ。いつしかこの港町は海に嫌われた町だって噂になってる」
赤ずきん「好天候でも海難事故が頻発する海域……海に嫌われた港町、ねぇ……」
赤鬼「この近くの海流の問題なのか?それとも化け物が船を襲っちまうとか…」
赤ずきん「頻発する海難事故が化け物の仕業だとすれば海底に住む人魚も無関係ではないわ、大丈夫かしらね…人魚姫」

184 :◆oBwZbn5S8kKC :2015/03/03(火)22:07:29 ID:ciQ
旅の若者「人魚…?あはは、お嬢ちゃん喋り方はずいぶんと大人びているのに人魚の伝説は信じているんだね」ヘラヘラ
赤ずきん「伝説…どういう事かしら?」
旅の若者「いやぁ、夢を壊しちゃうけど人魚なんて作り話だよ?伝説なんてそんなもんさ。オーガとかゴブリンとかエルフとか、見たことある?この世には人間以外に種族なんていないのさ、僕はそう言うの夢があって悪くないとは思うけどさ」ヘラヘラ
赤ずきん「…あら、どうかしらね?私たちが見ていないだけで、海の底にはいるかも知れないわよ?」
旅の若者「ははっ、そうかもしれないね。その方が夢があっていいね」
赤鬼「おいおい、話がそれてるぞ?度重なる海難事故でこの港町は海に嫌われていると噂された。それからどうなったんだ?」

185 :◆oBwZbn5S8kKC :2015/03/03(火)22:11:29 ID:ciQ
旅の若者「もうこの港から貨物船は出ていないし、漁業も近海で細々とやってるみたいだよ。まぁ以前みたいにそれだけじゃやっていけないから牧場や農場の方に力を入れて今やこの国はそれで食べていってる感じらしいよ」
赤鬼「そこそこ豊かに見えるが港が閑散としていたのはそう言うわけか…」
赤ずきん「この港町が原因不明の海難事故でかつての栄光を失った事は分かったけれど、さっき言っていた貨物船だったかしら?あれはどういう事なの?」
旅の若者「ああ、ここから遙か遠くの国に造船技術を誇っている国がある、そこの国王が最新型の貨物船の性能を知らしめるためにこの港に向けて船を出したんだ」
赤鬼「なるほどな、海難事故の頻発しているこの海域を乗り越えて無事に港につけば最新型の貨物船がいかに優れているかいい宣伝になるってわけか」

186 :◆oBwZbn5S8kKC :2015/03/03(火)22:13:59 ID:ciQ
旅の若者「その通り、その到着予定が順調にいけばもうそろそろだからね僕は本当にこの呪われた港町に無事たどり着けるか見に来たのさ、旅行がてらね」
赤ずきん「それにしてもそこの国王も酷いものね、この港町は実際の被害で苦しんでいるでしょうに…その事故を利用するなんてね」
旅の若者「まぁ深く考えないことさ。でもこの町の人たちはどうせ無理だろうと思ってるみたいだけど。まぁ楽しみにしていようよ、最新型の貨物船が呪われた海域を突っ切れるか、はたまた海の藻屑と消えるか…」
オーイ!ヤドノヨヤクトレタゾー!
旅の若者「わかった!今いく!…じゃあ仲間が呼んでるから僕はこれで、お互いによい旅を送れるように…ああ、そうだ!港に王国が所有している豪華な客船があるらしいから見物してくるといいよ!」
赤ずきん「ええ、色々と教えてくれて助かったわ」
赤鬼「おう、ありがとな!お前さんも気をつけて」

187 :◆oBwZbn5S8kKC :2015/03/03(火)22:15:19 ID:ciQ
赤鬼「色々と聞けたな、しかし原因不明の海難事故に貨物船に…ちょっとごちゃごちゃしてきたな。えっと……」
赤ずきん「…少し話をまとめてみましょうか」カキカキ
【人魚姫】の世界について
・この国は有数の貿易港だったが現在はその機能を失っている
・その理由は近隣の海域で原因不明の海難事故が相次いでいるから…らしい
・近々、最新型の貨物船が来る予定(性能を示すため)
・この世界には人間以外の種族が居ない、というのが一般的
赤ずきん「こんなところかしらね?しかし、これは参ったわね…どうやって人魚の国を探そうかしら」
赤鬼「そうだな、海難事故の原因が分からない以上あてもなく船を出すのは危険だ」

189 :◆oBwZbn5S8kKC :2015/03/03(火)22:17:22 ID:ciQ
赤ずきん「でもそうなると困るのよね、人魚の国はおそらく海底にある。少なくとも近海の海底だと思うのよね…けれど探すにしても船を出せないんじゃあね……」
赤鬼「お前に聞いたおとぎ話の内容だと、人魚は人間に姿を見せたらまずいんだったよな?だったらそうそう姿も現さないよなぁ」
赤ずきん「ええ、それにこの世界で人魚は架空の存在扱いのようだから町で聞き込みをしても人魚の情報は期待できそうにないわね」
赤鬼「うーむ、となると人魚姫に会えるチャンスは一回だけだな」
赤ずきん「そうね、人魚姫の誕生日…この国の王子が王国の船で沖へ出る夜。その日取りさえわかればなんとかなるでしょうけど…でもそれだと」
赤鬼「難破する船に乗り込むしかないんだよな…」ウーム
赤ずきん「危険だけど仕方がないわね、まずは王子が乗船する日取りをなんとか探りましょう。けれどそれはあくまで最終手段、それと同時進行で人魚の国も探す。これでいきましょうか」

190 :◆oBwZbn5S8kKC :2015/03/03(火)22:26:03 ID:ciQ
赤鬼「うむ、それが妥当だな…じゃあ行動指針もまとまったところで買い出し前に腹ごしらえと行くか!」
赤ずきん「私、あまりお腹空いていないの。チョコレートだけで良いわ。それよりも赤鬼、食事が済んだらまた訓練の相手をお願いしたいのだけど」
赤鬼「こらこら!成長期の娘が飯を食わずに菓子だけで済ませるなんて駄目だぞ!きちんと三食しっかり食べてだな…」
赤ずきん「今はきちんとした食事よりも戦いに備えて訓練を積んでおきたいのよ。私がのんびり食事をしている間にもドロシーは新たな力を手にしているかもしれない、そう思うと食欲なんて湧かないわ」
赤鬼「いーや、駄目だぞ。きちんと飯を食うのも訓練のうちだ!お前がしっかり飯を食わないようならオイラはお前の訓練に付き合わないぞ?」
赤ずきん「ちょっと、それは困るわ。あなたが相手をしてくれないと実戦的な訓練が出来ないんですもの」
赤鬼「だったらしっかり食うことだ。しっかり食って栄養をつけて思い切り訓練する、それでこそ力が付くってもんだぞ?」
赤ずきん「…その通りね、あなたの言うとおりきちんと食事もとることにするわ。ただ訓練の量は増やして欲しいの。そうね、早朝の訓練を一時間ほど延ばしましょう。それならいいでしょう?」
赤鬼「構わんが、その上日中は情報収集するんだろう?起きられるのか?お前、朝苦手だろう」
赤ずきん「子供じゃないのよ?平気よ。せっかく海沿いの町にいるんだもの、砂浜での訓練なら足場の悪い場所での戦闘も想定できるもの」
赤鬼「よし、わかった!お前がやる気だってなら付き合おう!」
赤ずきん「では明日から開始ね。食事もだけど宿も探さなければね…もたもたしたくないわ、急ぎましょう」タッタッタ
・・・

191 :◆oBwZbn5S8kKC :2015/03/03(火)22:31:11 ID:ciQ
数時間後 沖 海中
スィー 
亀「……ふぅ、そろそろ泳ぎ疲れた。ここらで一休みしようかな」ザバザバ
亀「聞いた話だとこのあたりの海域に人魚がいるらしいけれど…」ザバザバ
亀「なんだか随分と遠くまで泳いできてしまった。人魚どころか魚もいない、せっかく人魚を一目見たくて泳いできたのに」ザバザバ
亀「一目で良いから見てみたい。いや、ここまで来たからには握手して貰いたいな。美しい姿に美しい歌声の種族、人魚!俺の故郷は田舎で人魚なんか居ないから、余計に憧れちゃうぜ」ザバザバ
スィー
亀「それにしても、この辺りは本当に魚がいないな。食べ物も住処も豊富にあるというのに…ん?あれは…?ものすごい勢いでこっちに泳いでくる…まさか、まさか!あれは憧れの…!」
スィー
髪の美しい人魚「こんにちは」ニコッ
亀「あ、あ、ああ、こんにちは…!」ドキドキ
亀(に、人魚だ!なんて美しい髪の毛なんだろう、まるで星の光でも纏っているみたいだ!白い肌に吸い込まれそうな瞳…ああ、もう何処を見て良いのかわからない!そんな美しさだよ!あ、ファンですって言わないと!)ジロジロ

193 :◆oBwZbn5S8kKC :2015/03/03(火)22:34:19 ID:ciQ
髪の美しい人魚「あら、そんなふうに見られてしまうと恥ずかしいわね。あなた、人魚を見るのは初めて?」フフッ
亀「あ、はい!俺の故郷はずっと遠くの田舎の方で…人魚さんを実際に見るのは初めてで…あ、でも以前別の人魚だと思いますけどちょっとだけ歌声聞いたことがあって、それから人魚のファンなんです俺!」
髪の美しい人魚「うふふ、ありがとう。あなたは人魚の歌声を気に入ってくれたのね?でもごめんなさいね、私たちはあまり目立つことが得意じゃないから…」
亀「あ、そうらしいですね!実はこの海域に来たのも人魚に会うためなんです!なんでも『ディーヴァ』と呼ばれる特別な人魚がいるらしくて…」
髪の美しい人魚「あっ、それ私たち姉妹のことですね」ニコニコ
亀「えっ?そうなんですか!?」
髪の美しい人魚「ええ、私の父は海底にある人魚の国の王なんですが…その六人の娘、つまり私たち姉妹は少し特別な歌声を持っているんです。この国ではその特別な歌声で仕事をしている人魚をディーヴァって呼んでいるんです。私はその長女なんですよ」ウフフ
亀「じゃあすごい歌手さんって事じゃないですか!そんな人魚に会えて俺はラッキーだなぁ!」
髪の美しい人魚「うふふ、でも私の妹たちもみんな歌が上手いんですよ。特に末妹の人魚姫なんかは私なんかよりずっと歌声が美しいですよ、少し最近反抗期ですけど…あ、こんなこと初対面でお話しするのは失礼でしたね」ウフフ
亀(物腰の柔らかい優しそうな人だな、妹さんの話を嬉しそうにしているし…きっと優しいお姉さんなんだろうな)ホッコリ

195 :◆oBwZbn5S8kKC :2015/03/03(火)22:37:47 ID:ciQ
髪の美しい人魚「ああ、いけない。ついお喋りに夢中になってしまって…」
亀「あ、もしかして俺に声をかけてくださったのって何か用事ですか?」
髪の美しい人魚「そうなの、ここにはもうじき人間の船がやってくる。この海中にいると危ないから逃げるようにと声をかけたんです」フフッ
亀「あ、もしかして危ないからってわざわざ声をかけてくれたんですか?」
髪の美しい人魚「ええ、同じ海に住む仲間ですもの怪我でもしたら大変。今回は大きな船だからちょっと危険なの、私と一緒にきてもらえます?」
亀「はい、そう仰るなら……で、何処に?」
髪の美しい人魚「すぐそこの岩場です、そこからなら人間の船がよく見えるので」
亀「船がよく見えるって、見物するわけでもないでしょうし…なにをするんですか?」
髪の美しい人魚「お仕事をしないといけないんです、つまり歌を歌うんですよ。ただ、それだけ」フフッ
亀「えっ!歌を?俺も聞きたいです!」
髪の美しい人魚「ええ、どうぞ。少し雑音が入るかも知れないけれど…それでもよければ」ニッコリ

197 :◆oBwZbn5S8kKC :2015/03/03(火)22:42:42 ID:ciQ
・・・
沖 最新型の貨物船
船員「いやー、もうじきあの港ですね船長!俺、ワクワクしてきましたよ!きっと褒美もたんまり出ますよ!」ヘラヘラ
船長「これこれ、油断しちゃあいかんぞ!海では常に一寸先は闇じゃぞ!港に到着するまでが航海、決して油断しないことだぞ!」
船員「んもー!心配しすぎですよ船長ー!ここまで来たらもう余裕でしょう」ヘラヘラ
船長「お前のそういう油断が命取りなんじゃ!いいか?船乗りというのはいつでも油断せず緊張感を…ん?あそこの岩場に見えるのは……」
髪の美しい人魚「……」ニコッ
船員「せ、船長!人魚ッスよ!俺初めて見たッスわ!」ワクワク
船長「ふむ、私もだ…人魚など伝説に過ぎぬと思っていたが…」
髪の美しい人魚「アーアアーアーアーアー♪アアーアーアアアー♪」
船員「あ、なんか歌い始めましたよ船長!どうします?捕らえて町へ…船長?」
髪の美しい人魚「アーアアーアーアーアー♪アアーアーアアアー♪」
船長「……zzz」ドサッ
船員「ちょ…!いきなりなんで寝てるんスか!船長が寝てちゃ誰が舵を取……zzz」ドサッ
バターン!
副船長「大変です船長!船のあちこちで船員が突然の睡魔に襲われてしま……zzz」ドサッ
ユラユラユラ グラグラー

198 :◆oBwZbn5S8kKC :2015/03/03(火)22:45:15 ID:ciQ
沖 海上の岩場
髪の美しい人魚「アーアアーアーアーアー♪アアーアーアアアー♪」
亀(すごい、すごく美しい歌声だ!なんというかこう、心にぐっと来る感じで…)
亀「…?あ、あっ!船が突然ふらついて…岩場にぶつかるっ!」
ゴシャアアァァァァ ザバンザバーン
亀「あんな大きな船が…あっという間に転覆した……!船に乗っている人間はなにをしてるんだ!」
髪の美しい人魚「眠っているんですよ」フフッ
亀「えっ?」
髪の美しい人魚「私の歌声は人間を眠りに誘う。あの船の人間共は全員が深い眠りについていますよ、それこそ自分たちが溺れていることさえ気がついていないでしょうね。自分が死んだことすら気がつかない、そんな深い深い眠りの中にいるんです」
髪の美しい人魚「これだけの喧噪の中でもしばらく目が覚めることはありませんよ」

199 :◆oBwZbn5S8kKC :2015/03/03(火)22:46:03 ID:ciQ
亀「じゃああなたがあの船を転覆させたんですか!?あなたは歌手なんですよね?なんのためにそんなこと…!」
髪の美しい人魚「そうですよ?私はディーヴァです、ただその仕事を勤め上げただけですよ。なんのためにって…あの人間共が私たち海に住む者達になにをしたかなんて今更話すことでもないじゃありませんか」
髪の美しい人魚「人間共は我が物顔で海を突き進み、多くの魚や海に住む仲間を捕らえては無惨にも殺してしまうのですよ?それだけじゃありません、奴らは海がまるで自分たちの所有物であるかのように汚し放題荒らし放題なんですよ?」
亀「そ、その気持ちは分かりますけどなにも殺さなくても…」
髪の美しい人魚「亀さんは甘いです。先に私たちの仲間に危害を加えたのはあの忌々しい人間共なんですから。目には目を、殺された仲間の弔いには奴らの命が必要です」
亀「で、でもこんなのって……」
髪の美しい人魚「必要なことなんですよ?こうやって見せしめに殺してやらないと卑しい人間共は何処までもつけあがります。そのためなら私はディーヴァとして何度だって歌いますよ、そうやって人間共に教えてやらなければいけないんです」
髪の美しい人魚「この海の支配者が誰なのかを」

200 :名無しさん@おーぷん :2015/03/03(火)22:53:31 ID:icZ
ディーバこえぇ

201 :◆oBwZbn5S8kKC :2015/03/03(火)22:54:31 ID:ciQ
亀「……あなたは…ディーヴァとはいったいなんなんだ…」
髪の美しい人魚「私は人魚です。そしてディーヴァとは海の平和を守るために人間を退治する人魚…歌声で人間共を駆逐する歌姫です」ニコッ
亀「……嘘だ、俺が憧れてきた人魚が人間を殺すような奴だったなんて…」
髪の美しい人魚「その言い方では私が悪者みたいじゃないですか、これは海の平和のためには必要なことなんですよ?」ニッコリ
亀「……俺、帰ります」
亀(憧れていた人魚があんな事をする種族だったなんて、正直ショックを隠せない…そりゃあ俺の仲間も人間に捕らえられたり海を汚されたりして腹は立つけれどなにもあそこまでしなくても…)
ザブンッ
髪の美しい人魚「危ないですよ、まだあの貨物船は沈みきってません!不用意に海に潜ると…!」ザブンッ
グラグラ ゴシャアアァァ
亀「……っ!壊れた船の残骸が…!まずい、よけきれない!」バッ
髪の美しい人魚「危ない…!」スイー グイッ
ガラガラガラーグシャアアァァァ
髪の美しい人魚「……っ!」ゴシャアアァ
亀「はぁはぁ…なんてことだ…!俺を庇って人魚が怪我を…!大丈夫か!おい、返事してくれ!」
髪の美しい人魚「……う、うぅ…海の仲間を守るのがディーヴァの……」グッタリ
亀「くそっ!俺にはどうにも出来ない…ここじゃあ危ない、どこか安全なところに…!」

202 :名無しさん@おーぷん :2015/03/03(火)22:55:23 ID:zsx
人魚側はどうやら人間にたいして友好的じゃないのね(´・ω・`)

203 :◆oBwZbn5S8kKC :2015/03/03(火)23:00:33 ID:ciQ
日の落ちた海上
・・・
カモメ「やべぇ、暗くなっちまったぜ…早く巣に帰って…ん?」
亀「ぜぇぜぇ、早くこの人魚をどこか安全なところへ…!」ザバザバ
髪の美しい人魚「……」ゼェゼェ
ヒュー
カモメ「おい、お前どうかしたのか?怪我した人魚なんか背中に乗せて!何か手伝ってやろうか?」
亀「おお、助かる!俺は余所者だからこのあたりの事を知らないんだ!この怪我をした人魚を助けてやりたいが人魚の国の場所もわからない!」
カモメ「うーん、俺もちょっとわからねぇな…とりあえずここをまっすぐいったところに港がある!そこをぐいーっと右側に泳いでいくと小さな入り江があるんだ、そこには人間は来ないからそこへ行くと良い」
亀「わかった!お前は誰か助けを呼んでくれないか!?」
カモメ「助けか…人魚は人間に姿を見られるのを嫌うからな…人間を呼ぶわけにも…しかし、うーむ」
カモメ「いや、緊急事態だ。急いで町の方へ飛んでいこう、いや海岸の方がいいか」
カモメ「おい、助けは俺が呼んでくる!お前はその人魚を入り江運んで安静にしてやれ、だれかに助けてもらわねぇとその人魚やべぇぞ…!」
亀「わかった!頼んだぞ!」

204 :◆oBwZbn5S8kKC :2015/03/03(火)23:05:46 ID:ciQ
今日はここまでです
書き始めて気がついたけどこの姉妹全員人魚で姫だから人魚姫なんだよな、紛らわしい
このssでは【人魚姫】の主人公のみ人魚姫と呼びます
髪の美しい人魚は長女、人魚姫の一番上のお姉ちゃんです
人魚姫編 次回に続きます

205 :名無しさん@おーぷん :2015/03/03(火)23:09:31 ID:icZ
乙!
これはどうなるんだろう

206 :名無しさん@おーぷん :2015/03/03(火)23:50:25 ID:zsx
乙!とりあえず人魚は人間嫌いぽいな(´・ω・`)

226 :◆oBwZbn5S8kKC :2015/03/10(火)22:01:28 ID:Gkh
同じ頃 港町 宿屋
ガチャッ
宿屋のおっさん「はいー、いらっしゃ……」ビクッ
赤鬼「あー、すまない主人。昼に部屋を予約したアカオニだが…」
宿屋のおっさん「あっ…はいはい、そうでした!おかえりなさいませ!二人様でご予約のアカオニ様ですね。お部屋の支度、整っていますよ!二階の突き当たりのお部屋です。お食事はどうします?」
赤鬼「いや、軽く済ませてきた。すまないが明日の朝食も無しで頼む、野暮用があるんでな」
宿屋のおっさん「はーい、なんでしたら朝市で朝食というのも良いですよ!港町ですけど魚は食べられませんがね」ンナハハハ
赤ずきん「……赤鬼、私は少し夜風にあたってくるから。あなたは先に休んでいて頂戴」
宿屋のおっさん「あっ、22時には玄関閉めちゃうから遅くならないようにね。一応裏口は開けてあるから遅くなったらそっちから入ってね」
赤ずきん「ええ」スタスタ
赤鬼「おい、オイラも付き合うぞ。こんな時間に一人で出歩くのは感心しねぇぞ?」
赤ずきん「いいえ、一人がいいの。心配しないで、子供じゃあないんだから」スタスタ
赤鬼「……」

227 :◆oBwZbn5S8kKC :2015/03/10(火)22:04:21 ID:Gkh
港町 路地
赤ずきん「……」スタスタ
赤鬼(……)コソコソ
赤ずきん「……」キョロキョロ
赤鬼(つい後をつけてしまった。もしも見つかったら睨まれるだろうが…雪の女王とも約束したしなあいつが無茶しないように見てやらねぇと)コソコソ
赤ずきん「……」スタスタ
赤鬼(まったく、心配するなとは言うが赤ずきんの事だ…夜風にあたるなんてのは口実だろう。大方、俺に隠れて訓練でもするつもりに違いないぞ)コソコソ
赤鬼(焦るなと【シンデレラ】の魔法使いも言っていただろうに。アリスに敗北したのがよほど悔しかったか…だが明日も早朝から特訓するってのに、何事もやりすぎは逆効果だと言ってやらんとな)コソコソ
赤ずきん「……」スタスタ
赤鬼(ん?海岸か丘でも行くと思ったが、町からでる様子はないな…)コソコソ
赤鬼(何処に行くつもりなんだ…?もしや本当にただの散歩か?)

228 :◆oBwZbn5S8kKC :2015/03/10(火)22:10:20 ID:Gkh
港町 海辺の見える高台
赤ずきん「……」チラッ
赤鬼(高台か、こんなところになんの用事なんだあいつは)コソコソ
赤ずきん「……もう茶番はやめましょう。出てきなさいな、赤鬼」フゥ
赤鬼「ぬっ!?気が付いていたのか…!」
赤ずきん「なんでバレないと思ったのよあなた。まったく…こそこそ後をつけてくるなんていつからそんな趣味を持ったのかしら?」
赤鬼「…すまん。オイラはてっきりお前が秘密の訓練でもしようとしているのだとばっかり思っていてな。だとしたら止めなきゃならんと思って付いてきたんだ。いやいや、すまんことをしたな」ハハハ
赤ずきん「……」フイッ
赤鬼「ん?どうして目を逸らすんだ、赤ずきん」
赤ずきん「……」
赤鬼「もしかして、やっぱりお前は訓練するつもりだったんじゃないか!?」
赤ずきん「……結果的にはできなかったのだから大目に見て頂戴。勝手な行動をとったのは謝る、ごめんなさいね」
赤鬼「おいおい、焦るなと魔法使いも言っていただろう、焦ってやりすぎて怪我でもしたら元も子もないぞ」
赤ずきん「そうね…だけどドロシーのことを抜きにしても雪の女王との約束もあるもの。私は一刻も早く強くなって……」
赤ずきん「……いいえ、この話はやめましょうか。話せば話すほど私自身が焦りを感じてしまいそうだから」ギュッ

229 :◆oBwZbn5S8kKC :2015/03/10(火)22:13:02 ID:Gkh
赤鬼(アリスに敗北したことや仇がドロシーだと知ったこと、雪の女王との出会いで強くなりたいという気持ちが一気に膨れ上がったって所か。
しかし強さなんざ一朝一夕で手に入るもんじゃない…必要なのは日々の積み重ね、それはこいつもわかっているんだろうが…)
赤鬼「そうだ、赤ずきんに良いものをやろう。昼に市場あたりを聞き込みしてたときに見つけてな、お前にと思って買っておいた」スッ
赤ずきん「コルク栓の瓶詰め…中身はキャンディかしら?」
赤鬼「オイラの世界の飴といえば水飴だったが、お前達の世界では飴玉なんだろう?ハーブとかいう薬草を使っていて気持ちが落ち着くと店の娘が教えてくれたんだ」
赤鬼「まぁ、なんだ。あれこれごちゃごちゃ考えてると動けなくなっちまうからな、そんなときはいっそのこと全部置いといて落ち着いてみるのも手だぞ」ニッ
赤ずきん「そう、心がけてみるのも悪くないわね。…なんだか心配かけてしまったみたいね。ありがとう、赤鬼」
赤鬼「いいってことよ!さぁ今日はもう休もう、明日からまた気合い入れて人魚姫を探さないとな!」ガッハッハ
バサバサー
カモメ「くそっ、夜飛ぶのは苦手だぜ…なんて言ってらんねぇ!早く助けを呼んでやらねぇとあの人魚がやべぇ!」スイー