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キモオタ「我輩がおとぎ話の世界に行くですとwww」ティンカーベル「そう」
Part155


752 :◆oBwZbn5S8kKC :2016/09/06(火)00:17:06 ID:CTj
アンデルセン「君がこの街の隅で身を削りながら生きている子供達を見て知ったように、私は世界中の人に知って欲しいんだ」
アンデルセン「【マッチ売りの少女】を通して、自分の隣にもマッチ売りが居ることを。すぐ近くにも助けを必要としている人達が居ることを」
アンデルセン「そして自分の生活に余裕があるのなら手を差し伸べて欲しい。自分の生活だけで精一杯だというのなら無理する必要なんかは無い、だがせめて…その現状を知っていて欲しい」
アンデルセン「大切なのは隣にいるマッチ売りに目を向けることだ。世界中の人達がそれを出来るようになれば…それは大きな力となり必ずこの世界はもっと優しく幸せになれる」
雪の女王「…お前が見据えていたのは、世界中の子供達の幸福だったというわけか」
アンデルセン「そんな大仰なものではないよ。ただ私も幼い頃は貧しい家庭で育った。だから隣にいるマッチ売りに気付くことは容易だっただけさ」
アンデルセン「デンマークの田舎に住む貧民の私が、何の因果かこうして童話作家として活動し十分すぎる地位と名声を手に入れた。だから私は自分に出来る形でマッチ売りに手を差し伸べているだけだよ」
雪の女王「確かに…童話作家としてのお前が持つ影響力は絶大だ。お前のおとぎ話はこのデンマークをあっという間に越えて世界に広まるんだろう」
雪の女王「なにしろ世間の評価じゃあお前は有名童話作家。そいつが書いた作品なんだ、ひとたび世に出れば【マッチ売りの少女】とそれに込められた思いが世界中を飛び交うのにそう時間は掛からないだろう」
雪の女王「そうすれば世界中の人々は、隣にいるマッチ売りに気付けるかもしれない。お前がそう願ったように」
アンデルセン「そうだな、きっと気付いてくれる。そうすれば未来は必ず良いものになるだろう…おとぎ話にはそれだけの力がある。改めて私は童話作家であることを誇りに思うよ」フフッ
アンデルセン「一つの想いを、一つの言葉を世界中に伝えるのは容易じゃない。どんなに立派な王でも大統領でも、すさまじい影響力を持つ学者の先生でもそれは難しい」
アンデルセン「だが童話作家にはいとも容易くそれが出来る。作者によって紡がれたおとぎ話は人から人へ親から子へ語り継がれていく。百年後も千年後も、例え私の本が全て朽ちて、この名が人々の記憶から消え去っても…」
アンデルセン「おとぎ話が人々の心に残ることが出来たなら、おとぎ話は消えやしない。それに込められた想いも時を越えて生き続ける、あらゆる時代のあらゆる国々で」
雪の女王「もしそうなれば…それはとても素晴らしいことだな」
アンデルセン「あぁ。長い時間の果てにいつか必ず、必ず訪れるはずだ」
アンデルセン「世界中の不幸な子供達が救われる日が。マッチ売りがマッチの炎の奥に見た幻なんかではない…本当の幸福を手にするときが」

753 :◆oBwZbn5S8kKC :2016/09/06(火)00:19:36 ID:CTj
雪の女王「……」
アンデルセン「これが童話作家アンデルセンが【マッチ売りの少女】に込めた想いと、このおとぎ話を生み出した理由だ」
雪の女王「あぁ…よく解ったよ。どうやらお前は私が思っていたよりも悪い奴ではないらしい、変わった奴だという評価は覆らないがな」
アンデルセン「そりゃあどうも。だが変わり者はお互い様だ、わざわざ作者にクレームを入れに来るおとぎ話の住人なんかそうそう居ない」フフッ
雪の女王「まぁ…否定は出来ないな。だが私を生み出したのはお前だ、似る部分もあるだろう」フイッ
アンデルセン「ハハッ、それもそうだな。それはさておき…私は話すべき事を全て打ち明けた。おとぎ話に込めた思いも何もかも全てな」
雪の女王「…あぁ、お前の想いも信念も私は確かに受け取った。今まで見落としていたものにも気付かせてくれて感謝さえしている」
アンデルセン「それならば…君の考えを聞かせて貰おう」スッ
アンデルセン「女王、君はマッチ売りの結末に納得が出来たかい?この【マッチ売りの少女】を出版することに…賛成してくれるかい?」
雪の女王「納得は出来たよ。マッチ売りの悲惨な結末は…世界中の不幸な子供を救う光となる。幸せな未来を紡ぐための希望になる」
アンデルセン「女王、君なら解ってくれると信じていた。それならば……」
雪の女王「だが【マッチ売りの少女】を出版することに賛成するかと聞かれれば……正直、答えが出ない」

754 :◆oBwZbn5S8kKC :2016/09/06(火)00:22:26 ID:CTj
アンデルセン「…そうか」
雪の女王「お前が【マッチ売りの少女】を執筆した理由、お前の信念はとても立派で非常に尊いと私は思う」
雪の女王「不幸な子供達を救おう、未来を変えようと言う心意気に私は共感がもてる、私に出来る事があるのなら協力するつもりだ」
雪の女王「【マッチ売りの少女】の物語を世界中の人に読んで欲しいという気持ちは……ある。だが私もやはりおとぎ話の住人だ」
アンデルセン「気がかりなこともある…そうだな?」
雪の女王「なんだ…私の考えなんてお見通しなんだな」
アンデルセン「私は言わば君の父親だからな。もっとも君は不本意に思うだろうが」
雪の女王「…今ではそうでもないさ。だがお前が言うとおり気がかりなこともある」
雪の女王「それは【マッチ売りの少女】の主人公の事だ。いくらお前の信念が立派で、この物語に価値があろうと、未来を照らす光になる可能性があろうと…」
雪の女王「マッチ売りは不幸になるために生み出される。言い方は悪いがそれは揺るぎない事実だ」
アンデルセン「……」
雪の女王「部外者の私がいくら納得したところで…お前が彼女にどれだけ希望を託したところで…彼女は苦しい生活を送りやがて死んでいく」
雪の女王「幸福な幻に…偽りの幸せに包まれて、ひとりで死んでいく…。それは私達が勝手に運命づけていいことなんだろうか…?」

755 :◆oBwZbn5S8kKC :2016/09/06(火)00:24:42 ID:CTj
雪の女王「今となっては…もう私はお前を責めるつもりはない。だが…」
アンデルセン「マッチ売りには自分の行く末に意味があるなんて知らない。ただ貧しい生活、虐待、空腹、無関心…様々な理不尽に揉まれて死んでいく」
アンデルセン「現世の苦痛から逃れられるといっても…幼い少女にとって命を失うことは恐怖以外のなにものでもないだろう。だからこそ私は幻を彼女に見せたのだが……いや」
アンデルセン「どんな言葉を並べ立てた所で結局、君たちおとぎ話の住人にとってはこう写るのだろうな」
アンデルセン「マッチ売りは作者アンデルセンに利用されて殺された、とね」
雪の女王「…そこまでは思わないさ。だが…【マッチ売りの少女】を出版して世間にそのおとぎ話が認知されればやがて彼女の世界が生み出される」
雪の女王「その世界ではそのおとぎ話の内容の通りの運命が待ち受けている。マッチ売りは…どう足掻いても死んでしまう」
雪の女王「今ではお前の想いは正しいと思っている、このおとぎ話は世間に公表すべきだと。だが私の選択が一人の少女の命を奪うことになると考えると…決断できない」
アンデルセン「【マッチ売りの少女】の出版に賛成することは君自身がマッチ売りの命を奪うことになると…そう考えているのか?」
雪の女王「そうだ。ここで私が出版に反対すればマッチ売りは死なない。その代わり世界中の子供達が救われることもない」
雪の女王「どちらかを選べと言うのは…酷な話だ。私には答えを出せそうにない」
アンデルセン「……そうか、ならばこうしよう。君との約束は反故にする」
雪の女王「反故だと?どういうことだ?」

756 :◆oBwZbn5S8kKC :2016/09/06(火)00:26:09 ID:CTj
アンデルセン「私は君に【マッチ売りの少女】を執筆した理由を話して君が納得すれば出版、納得しなければ出版はしないと約束したな」
雪の女王「あぁ、そうだ」
アンデルセン「しかし君がそれほどにまで悩むのならばこの約束は無かったことにする」
アンデルセン「これでは出版してもしなくても君の心にはずっと雲がかかる。いずれその選択を後悔するかも知れない」
アンデルセン「それならば私が独断で出版をすることを決める。それならば君が気に病むことはないだろう、全ては私の責任となるのだから」
雪の女王「しかし、それでは…」
アンデルセン「何も問題はないさ。私は信じているからね、マッチ売りの事を。彼女は…もしも自分がおとぎ話の住人で自分の結末を知ってしまったとしても、それを受け入れる強さと優しさを持っている」
雪の女王「何故そこまで言い切れる?会ったこともない少女だぞ?」
アンデルセン「彼女には…マッチ売りにはモデルがいると昨日話したな」
雪の女王「あぁ、確かお前が世話になった相手だと…」
アンデルセン「マッチ売りのモデルは私の母親なんだ。もう随分と昔に亡くなってしまったがな」

757 :◆oBwZbn5S8kKC :2016/09/06(火)00:28:36 ID:CTj
雪の女王「お前の…母親。お前は幼い頃は貧しかったといっていたが、その母親もそうだったのか…?」
アンデルセン「私の母は幼少時代とても貧しい家庭に育った。それこそマッチ売りのように父親に暴力を振るわれたという話も耳にしたな」
アンデルセン「それでも母はめげずに生き、やがて私の父と結婚するが…父も母を残して先に逝ってしまった」
雪の女王「妻とお前達子供を残して…か。貧しい生活の上にそれは辛かっただろう」
アンデルセン「それからと言うもの母は女手ひとつで私と兄弟を育ててくれたよ。自分のことは全て我慢して私達のために苦労を買って出てくれた」
アンデルセン「自分の幸福よりも他人の幸せを願うような人だった。周囲が笑っていれば自分が辛かろうと平気な顔をしているような人で…」
アンデルセン「やがて私は夢を叶えるために母を実家に残して都会へ出て行った。母が亡くなったという知らせを聞いたのも葬儀のずっと後で、死に目にも会えなかったよ。とんだ親不孝者だ」
雪の女王「……」
アンデルセン「散々苦労をかけていながら何一つ親孝行出来なかった。童話作家として成功した頃には既に母は亡く…私は墓前に花と自分の童話集を手向ける事しか出来なかった」
アンデルセン「だから母をマッチ売りのモデルにしたのは親孝行のつもりなんだ。【マッチ売りの少女】が…自分自身がモデルとなったおとぎ話が不幸な子供達を幸せにすることが出来たのなら……母はきっと喜ぶ、そういう人だ」
アンデルセン「フフッ、こんな話…いい歳をした男が何を言っているのかと思われるかも知れないな」
雪の女王「いいや、そんな事思ったりしないさ」
アンデルセン「だから彼女は…マッチ売りはきっと解ってくれる、私はそう信じているんだ」

758 :◆oBwZbn5S8kKC :2016/09/06(火)00:33:13 ID:CTj
雪の女王「…随分と都合のいい考え方だ」
アンデルセン「フフッ、そうかも知れないな。君の言うとおりだ」フフッ
雪の女王「だが…お前は【マッチ売りの少女】の作者だ。お前がマッチ売りの人物像に幼い頃の母親の姿を投影したのなら…マッチ売りの性格もまた母親と同じようになるのかも知れない」
アンデルセン「そうなってくれなくては困るな。マッチ売りが…母が失意の中死んでいくのは嫌だ」フフッ
雪の女王「……いいだろう。ここでお前にだけ責任を押しつけては女王の名が廃る」
雪の女王「【マッチ売りの少女】の出版に賛成する。これでもしマッチ売りが自分の運命を恨んだとしてもそれはお前だけじゃなくお前と私の責任だ」
アンデルセン「ほう、いいのか?後で後悔しないな?」
雪の女王「しないさ。と言うより…お前の母は自分の運命を恨んだりしないんだろう?」
アンデルセン「しないな、貧しい生活に文句一つ言わない人だった」
雪の女王「それなら問題ない。私はお前を信じることにした、お前が問題ないというのなら問題ないのだろう」
アンデルセン「私を評価してくれることはありがたいが…なんだか恐ろしいな、昨日はあれほど私を殺そうとしていたのに。手のひら返しが早くないか?」クスクス
雪の女王「そうだな。なんなら今すぐにまた手のひらを返してお前の腕をねじ切っても構わないんだぞ?」
アンデルセン「あぁ済まない。言い過ぎた、腕は勘弁してくれ…執筆が出来なくなる」

759 :◆oBwZbn5S8kKC :2016/09/06(火)00:37:56 ID:CTj
雪の女王「ただし、一つ条件がある。それを飲まないなら出版に賛成しない」
アンデルセン「ほう…何を言われるのか解らないが少々恐ろしいな」クスクス
雪の女王「マッチ売りに関しては確かに納得した。だがお前が執筆した他のおとぎ話は別だ、お前がこれから生み出していくおとぎ話に関してもだ」
雪の女王「お前のことだ、どのおとぎ話にも何らかの思いが込められていてそれぞれの主人公のいく末には何かしらの理由が存在する…そうだろう?」
アンデルセン「当然だ。富や名声を得る事が目的の中身が空っぽのおとぎ話は書かない主義なんでね」
雪の女王「だろうな。ならばお前のどの作品にどんな思いを込めているのか…一つ一つ説明してもらおう。それが条件だ」
アンデルセン「……なるほど」ニヤニヤ
雪の女王「…なんだその顔は」
アンデルセン「その条件を飲もう。ただし助手として私につき従う事がこちらから提示する条件だ、飲めるかい?」
雪の女王「勘違いをするなよ?私は別に個人的な興味があるからお前の話を聞くわけじゃあないんだ。助手になるつもりはない、あくまでだな…」
アンデルセン「まぁそういう事にしておいてやろう。この世界に滞在したいのなら部屋を用意してあげよう、これからよろしく頼むよ。助手クン?」クスクス
雪の女王「……お前は本当に一言多いな」キッ
アンデルセン「睨まないでくれたまえ助手クン。それとも何か不服かな?」
雪の女王「……いいえ、何でもありませんよ先生。ただしあまり師匠面するようなら氷の刃がその胸を貫きますからご注意を」
アンデルセン「ハハッ、それは恐ろしい。とんでもない助手をとってしまったな」クスクス
・・・

760 :◆oBwZbn5S8kKC :2016/09/06(火)00:41:35 ID:CTj
現在
雪の女王の世界 女王の宮殿 書庫
雪の女王「……と、こんな所だ」
ティンカーベル「なるほど…マッチ売りちゃんの話がハッピーエンドっての納得いかなかったけど、アンデルセンが言いたいこと解った気がする」
ティンカーベル「確かにさ、私もピーターパンがやられちゃったのに私一人だけ逃がして貰ったときは辛くて…ちょっと死んじゃいたいって思ったもん、内緒だけどさ」
雪の女王「死ねば苦しみから解放されると言う考えは…良いとは思わないがそれにすがらざるを得ない場合というのは残念ながらあるものだ」
ティンカーベル「まっ、でもさ!アンデルセンがマッチ売りちゃんに不幸な運命を押し付けた理由、解って良かったよ!」
ティンカーベル「少なくとも私は納得できたよ!さっきはアンデルセンバカにして悪いことしちゃったカモ!言い過ぎた!」
雪の女王「いいのさ、あいつは悪く言われても仕方のない奴だ」クスクス
ティンカーベル「女王も大概言いすぎだけどね…」
雪の女王「それでキモオタはどうだい?君はマッチ売りと実際に出会い、交流があったんだろう?私の話を聞いてどう思ったんだ?」
キモオタ「いやはや…我輩、不覚にも男泣きでござるよ…!」ブワァ
ティンカーベル「もー!いいよ泣かなくても!キモイからー!」フワフワ
キモオタ「えええwwwマッチ売り殿のこと思い出して泣いてるんでござるからもうちょっと優しくしてくれてもいいでござろうにwww」

761 :◆oBwZbn5S8kKC :2016/09/06(火)00:50:59 ID:CTj
キモオタ「女王殿、まずは話していただいてありがとうでござる」ペコリ
雪に女王「どういたしまして。で、君の中で何か変わったかい?」
キモオタ「そうですな…まずはマッチ売り殿のあの結末がキチンと意味や願いがあるもので良かったと安心しているでござる」
キモオタ「昨今のお涙頂戴展開のアニメのように人気取りのためにあんな結末にされていたとしたらマッチ殿も浮かばれませんからなwww」
雪の女王「その点は安心してくれ。アナスンは自分の利益のためにおとぎ話を書いたりはしなかった」
キモオタ「そのようでござるな…それに、アンデルセン殿の考えはドンピシャだったでござるよ」
雪の女王「ドンピシャ?」
キモオタ「マッチ売り殿は自分の死が未来の子供達の為になるのならと自分の運命を受け入れたのでござる。まさにアンデルセン殿が信じたように…彼女は強く優しい少女でござった」
ティンカーベル「うんうん、私達やドロシー達が干渉しちゃったからおとぎ話の事とか知る事になっちゃったけど…結果的には良かったのかな?」
キモオタ「それは何ともいえないでござるな…。とはいえマッチ売り殿は作者や周囲の者、自分の境遇を恨むようなことは無かったでござる」
キモオタ「偶然か必然か、アンデルセン殿の想いもマッチ売り殿の想いも本質は同じ。子供達の幸せを願ってのことでござる」
キモオタ「マッチ売り殿が幸福だったかどうか…我輩は断言できないでござる。しかしそれでも、彼女やアンデルセン殿の想いは確実に【マッチ売りの少女】の中に息づいているわけでござる」
キモオタ「【マッチ売りの少女】が消滅しなければアンデルセン殿が願ったように不幸な子供達は減っていくでござろう、そしてやがて世界中の子供達が幸せになれたとき」
キモオタ「本当の意味で、マッチ売り殿は幸せになれるのでござろうな。そして我輩はそれを願うばかりでござるよ」

762 :◆oBwZbn5S8kKC :2016/09/06(火)00:57:00 ID:CTj
今日はここまで 『作者』編 次回へ続きます
マッチ売りちゃんの幸せを切に願う俺とキモオタ
シリアス場面長かったけど次回はちょっとシリアスはお休み!
次回
   ロ リ コ ン 登 場 !   
お楽しみに!

763 :名無しさん@おーぷん :2016/09/06(火)01:26:21 ID:IJl
乙!
マッチ売りちゃん…

764 :名無しさん@おーぷん :2016/09/06(火)08:44:11 ID:Mo3
乙です!
続き待ってます!!

765 :名無しさん@おーぷん :2016/09/06(火)10:19:52 ID:RkD
乙!
ロリコン・・・・?誰だ?

766 :名無しさん@おーぷん :2016/09/07(水)00:40:26 ID:Hti
シリアスも嫌いじゃないけどギャグパート好きな俺としては次回楽しみ
ロリコンってなんだよwww唐突過ぎんだろwww

771 :◆oBwZbn5S8kKC :2016/09/12(月)00:37:02 ID:eFq
◆1
雪の女王「以前ヘンゼルを連れてきた時にも感じた事だが…君は顔に似合わず優しい心を持っている男だな」フフッ
キモオタ「ドゥフフwwwよく言われるでござるwww」コポォ
雪の女王「マッチ売りは君に出会えて幸せだったと思うぞ。彼女は命を失ったが…その魂が安らかに眠ることを祈り続けてくれる者に出会えたんだ」
雪の女王「少なくとも…君たちの存在は彼女の心を救うことが出来た。私はそう思うよ」
キモオタ「それなら嬉しいのでござるが……しかし我輩は心身共にキモいでござるからなぁwwwマッチ売り殿の支えになれたのかどうか怪しいところでござるwww」コポォ
ティンカーベル「まったくその通りだよね!っていうか今だから言うけどマッチ売りちゃんなんでキモオタに懐いてたんだろう…こんなにキモいのに…」ムムム
キモオタ「ちょwwwずっとそんな事思っていたのでござるかwwwせっかくのシリアスが台無しwww」コポォ
ティンカーベル「あはは!でもさ、大丈夫だよ!マッチ売りちゃんも世界中の子供達もいつか絶対幸せになれるよ!」
ティンカーベル「司書さんが読み聞かせしてた時さ、子供達はマッチ売りちゃんの為に泣いてくれたよ。だからアンデルセンやマッチ売りちゃんが願う未来は絶対に来るよ!」
キモオタ「ですなwwwそうだと超絶喜ばしいでござるwwwそうでござろう女王殿www」
雪の女王「あぁそうだな。私もアナスンの友人として、その未来が訪れることを願っているよ」
キモオタ「ドゥフフwww我輩、女王殿には改めて礼を言わせていただきたいでござるwwwマッチ売り殿が生み出された理由…聞けて良かったでござるよwww」
キモオタ「アンデルセン殿の想いを遂げるためにもマッチ売り殿との約束を果たすためにも…我々がアリス殿を必ずや止めて見せますぞ!」フンッ
ティンカーベル「おぉー!更にやる気が沸いてきたって感じ?」
キモオタ「このキモオタ全力で挑みますぞwww明日は遂に決戦でござるし気持ちを引き締めていきますぞwwwティンカーベル殿www」コポォ
ティンカーベル「そうだね!頑張ろうね!まぁでもキモオタは気持ちだけじゃなくてその出っ張ったお腹も引き締めた方がいいと思うけどね!」クスクス
キモオタ「ちょwww別にそれ今言わなくてもいいのではwww隙あらば我輩をディスるのやめていただきたいwww」ポヨン

772 :◆oBwZbn5S8kKC :2016/09/12(月)00:38:46 ID:eFq
雪の女王「フフッ、作戦の決行は明日だというのに二人とも冗談を飛ばす余裕があるんだな。頼もしいことだ」クスクス
キモオタ「いやぁwwwそういう訳ではないのでござるけどwwwふざけてるのは我々にとって平常営業でござるからwww」コポォ
ティンカーベル「まぁ私の場合は緊張をほぐす意味であえてキモオタをからかってるみたいなところあるけどね!」フンス
キモオタ「ちょwwwものは言い様でござるなwwwじゃあ仕方ないですなってならないでござるぞwww」コポォ
雪の女王「フフッ、まぁ気負い過ぎるよりはずっといいさ。だが二人とも冗談が好きなようだ、ふざけすぎて作戦に影響を出さないようにな」クスクス
ティンカーベル「あーっ!女王ったら私たちがいつも冗談ばっかしふざけてばっかしだとか思ってるでしょ?心外だよねキモオタ!」プンスコ
キモオタ「まぁ割と否定は出来ないでござるけどwwwとはいえアリス殿を止めることに関しては大真面目ですぞwww」
ティンカーベル「そうだよね!今回の女王の話でちょっと気になることもあったし!」
キモオタ「そうですな。現実世界の住人であるアンデルセン殿が…女王殿に出会う前からおとぎ話の世界の存在を知っていたという点でござるな?」
ティンカーベル「そうそう、いきなり女王が来ても驚かなかったんだもんね」
雪の女王「そうだな。アナスンは私と出会う以前からおとぎ話の世界の存在を知っていた。ある童話作家から聞いたと言っていたが…」
ティンカーベル「うーん…誰から聞いたのかな?ていうかその童話作家はどうしてこの事を知ってたんだろうね?」
キモオタ「不可解でござるよね。現実世界の人間におとぎ話の世界を認知する手段はありませんからな…」

773 :◆oBwZbn5S8kKC :2016/09/12(月)00:41:08 ID:eFq
雪の女王「確かに妙ではあるが…このアナスンがおとぎ話の世界について知っていたことはアリスの件とは無関係なのではないか?」
雪の女王「【不思議の国のアリス】が出版されたのは私達が出会ってからずっと後だ、この時代にアリスは存在すらしていないさ」
キモオタ「となるとアリス殿の仕業という可能性は無いでござるか…となると何処の誰がどうやってその事を知ったのか…」
雪の女王「随分と気にしているな、何か理由でもあるのか?」
キモオタ「実はアンデルセン殿の他にもおとぎ話の世界の存在を認知している作者を我々は知っているのでござるよ」
ティンカーベル「【かぐや姫】の世界で知ったんだけどさ、女王はウィーダっていう作者知ってる?」
雪の女王「あぁ、確か【フランダースの犬】の作者だったな」
キモオタ「かぐや殿に聞いた話だとどうやらウィーダ殿はおとぎ話の世界の存在を知っていて、更に【フランダースの犬】の世界へ渡る手段ももっていたとか…」
ティンカーベル「この事がアリスと何か関係があるのかどうかはわかんないけど…でも気になるよね」
キモオタ「アリス殿は現実世界を憎んでいるようでござる。ならば…現実世界とおとぎ話の世界、両方の存在を認知している者が何らかの鍵を握っている可能性も…あるでござるな」
ティンカーベル「アリスはヘンゼルみたいに自分の作者に腹を立ててた感じじゃないし、何か別のところに現実世界を嫌う理由があるんだろうしね」
雪の女王「本来知るはずのない世界の存在を知っている作者達…彼等の存在がアリスが凶行に及んだ理由と関係していると、そう考えているわけだな?」

774 :◆oBwZbn5S8kKC :2016/09/12(月)00:42:42 ID:eFq
キモオタ「ぶっちゃけそこまで考えが固まっているわけではないでござるが…」
ティンカーベル「どんな理由があったとしてもアリスのやってる事は許しちゃいけないことだよ。でも何でこんなことしたのかは気になるし…」
雪の女王「知っていればアリスを止めるためのカードともなり得る、か」
キモオタ「そうですな。雪の女王殿、アンデルセン殿はその事について何か言っていなかったでござるか?」
雪の女王「特には記憶にないな。存在を知ってはいたがアナスンがおとぎ話の世界へ行くことは一度も無かったしその経験が無いとも聞いている」
ティンカーベル「あくまで知ってるだけって事かな、世界移動する手段も無かっただろうし…あっ!でも女王なら世界移動できるじゃん!」
雪の女王「確かにそうだがアナスンを現実世界から連れ出した事はないよ。必要性もなかったし彼が望んだことも無かったからな」
キモオタ「そうでござるか…おとぎ話の世界について知っていた作者は今の所アンデルセン殿、ウィーダ殿と…あとはとある童話作家殿でござるか」
ティンカーベル「うーん…女王は他に心当たりない?」
雪の女王「そうだな…アナスンはあまり他人との関わりをもたないタイプだった。話すとしても余程近しい人物だろうが…」
雪の女王「…実際のところはどうか解らない。だが可能性がある人物はいるな」

775 :◆oBwZbn5S8kKC :2016/09/12(月)00:44:42 ID:eFq
キモオタ「おとぎ話の世界の存在を知っていた可能性がある人物…それは一体誰ですかな?」
雪の女王「数人存在するアナスンと特に親しい人物だ。一人は当時のオペラ歌手ジェニー・リンド…彼女は作家ではないがアナスンとは親しかった」
ティンカーベル「童話作家じゃないけどアンデルセンと仲良かったなら知ってた可能性はあるって事だね」
雪の女王「あとは君達も知っている名だろうが…グリム童話の作者兄弟だ」
キモオタ「確かヘンゼル殿グレーテル殿の世界を生み出した作者でござるな?」
雪の女王「あぁ、君の仲間の【ラプンツェル】の作者でもある。兄の名はヤーコプ、弟をヴィルヘルムと言った」
ティンカーベル「すんごく有名だよね、グリム童話!やっぱ童話作家同士は惹かれあうのかな?スタンド使いとおんなじで」
キモオタ「ぶっふぉwwwお主このタイミングでwww」コポォ
雪の女王「話を進めるぞ?アナスンにとってグリム兄弟は童話作家の先輩であり良い理解者でもあった。アナスンが誰かにおとぎ話の世界のことを話すとすればこの三人だと思うが……いや、もう一人居たな。この事を話しているかも知れない相手が」
キモオタ「ほう…それは一体どなたですかな?」
雪の女王「当時、私達が出会ったとある青年だ。相当変わった奴だったが…才能にあふれた奴で、ユーモアもある奴だったな。私は相当手を焼かされたがおもしろい青年だった」
ティンカーベル「へーっ…女王が言うならきっと相当だよね、その人の話もちょっと聞きたいかも!」
キモオタ「ティンカーベル殿は頻繁に話を脱線させますなwwwしかし我輩も興味はありますぞwww」
雪の女王「そうか?それならば彼との出会いについて話そう。あれは…私がアナスンの助手となってしばらく経ったある日のことだった」

776 :◆oBwZbn5S8kKC :2016/09/12(月)00:46:26 ID:eFq
過去
現実世界 デンマーク アンデルセンの自宅
アンデルセン「参ったな…あまり時間がないのだが、またもや蝶ネクタイが見つからない」ガサゴソ
男の声『愚か者。前もって支度しておかないから時間に追われるのだ』
アンデルセン「このあいだ発売された有名作家の小説、それを早く読めと急かすあなたにも責任はあるんですよ?」ゴソゴソ
男の声『私一人では本を開けないのだから仕方あるまい、私に責任を押しつけるな。お前が探すよりあの女に聞けば早いだろう、そうするべきだ』
アンデルセン「確かにそうですけど頼らずに済むならその方がいいんですよ。あとで何を言われるか解りませんからね」クスクス
男の声『おとぎ話の住人など利用するために存在しているのだ、何を遠慮している?』
アンデルセン「またそんな事を…それに遠慮じゃありません。彼女に頼りすぎると小言が飛んでくるのでね」ハハハ
雪の女王「おいアンデルセン、また独り言か?そんなことしている暇があるなら急げ、今日は出版社に顔を出すんだろ?私はもう支度できているんだぞ」ガチャッ
アンデルセン「あぁ、すまない。もう少し時間をくれないか?」
雪の女王「…蝶ネクタイならクローゼットの開き右側だ。早くしろ」
アンデルセン「おぉ、こんな所にあったか。君はやはり優秀な助手だな、助かったよ」フフッ
雪の女王「私が優秀なんじゃない、お前が無精すぎるんだ。大体だな、お前には有名作家だという自覚があるのか?衣類の管理くらい出来て当然だろう、そんな事で私の手を煩わせるのは──」クドクド
男の声『おい、この喧しい女を黙らせろ』チッ
アンデルセン「いいんですか?私が氷塊になればもう小説読めませんよ?」クスクス