2chまとめサイトモバイル
キモオタ「我輩がおとぎ話の世界に行くですとwww」ティンカーベル「そう」
Part151


629 :◆oBwZbn5S8kKC :2016/08/08(月)00:41:21 ID:9xL
キモオタ「女子の争いに首を突っ込むとろくな事がないですからなwww我々メンズは傍観するに限りますぞwww」コポォ
カイ「同感だな、下手に関わると怪我するだけだ。ほらよ白鳥、お前の飯だ」コトッ
白鳥「おぉ、ありがとう!まぁ僕が止めに入ってどうにかなりそうもないし…よし!もう放っておいて食事にするかな!ナハハ!」スワーン
キモオタ「それが賢明ですなwww我々はボーイズトークに花を咲かせるとしますぞwww」コポォ
カイ「ガキと鳥類と気持ち悪いオタクで話が弾むかよ…俺は洗いもんしてくるからお前等でやってろ」スッ
白鳥「おっと待ってくれるかなカイ君!女王様からの伝言なんだが…今日は夕食いらないそうだ」
カイ「はぁ?特に体調が悪いようには見えなかったが…理由は聞いてないのか?」
キモオタ「あれだけハードな運動をしておきながら飯抜きなど我輩なら有り得ないwww」コポォ
白鳥「カイ君ならピンと来るんじゃないかな…実は【しっかり者のスズの兵隊】のおとぎ話が消滅してしまってね、さっき女王様にそのことを報告してきたんだ」
カイ「あぁ…なるほどな。そりゃあ飯を食う気になんかならねぇか、あいつの場合」
キモオタ「ほう…?それは女王殿にとって特に大切なおとぎ話なのですかな?」
カイ「あぁ。正確にはあいつが特に大切にしている話のうちの一つ…だな。なぁ白鳥、あいつの様子はどうだった?」
白鳥「普段通りに振る舞っては居たけど…内心、相当ショックだったと思うよ」
カイ「そりゃあそうか…俺たちに気落ちした姿なんか見せるわけねぇよな」

631 :◆oBwZbn5S8kKC :2016/08/08(月)00:44:26 ID:9xL
キモオタ「なにやら…深刻そうですな?」
白鳥「まぁね…。おとぎ話の世界を守ろうとしてる女王様や僕達にとって物語に優劣なんかはないけど…あのおとぎ話はアンデルセンが書いたものだから、女王様は特にショックが大きいのさ」
キモオタ「アンデルセン殿…でござるか」
カイ「ハンス・クリスチャン・アンデルセン…【雪の女王】の作者だな」
キモオタ「知ってますぞ。そういえば以前ヘンゼル殿の話にも出てきましたな…確か女王殿が現実世界に直接会いに行ったとかなんとか…」
白鳥「そのことは僕もあまり詳しくは知らないんだけどね…でも女王様にとっては大切な人なんだろうね」
キモオタ「ふむ…。我輩は現実世界の人間故よく解らないのでござるが…おとぎ話の住人にとって作者というのは特別なものなのでござるか?」
カイ「ほとんどの場合は作者に特別な感情なんかねぇよ。ヘンゼルみたいに作者を憎んでる奴も少数派だ、女王はアンデルセンと直接交流があったから特別に感じてるだけだろ」
キモオタ「なるほど。確かに我輩の友人からも作者の話を聞いたことなどほとんどありませんからな」
白鳥「でもきっと…相当な信頼を寄せていたんだと思うよ?おとぎ話を救うって話になったとき、僕達に声をかけたのだってそれが理由だろうしね」
キモオタ「ということは白鳥殿と親指姫殿のおとぎ話も?」
カイ「【みにくいアヒルの子】も【親指姫】もアンデルセンの書いたおとぎ話だ。女王は作者を信じていたからこそ、協力者にこいつ等を選んだんだろうな」

632 :◆oBwZbn5S8kKC :2016/08/08(月)00:46:47 ID:9xL
白鳥「アンデルセンのおとぎ話の中であの頃既に結末を迎えていて、自由に動ける主人公は僕とあいつくらいだったんだろうね」
キモオタ「その頃はまだアリス殿が黒幕だと判明していませんでしたからな、誰が敵かわからない状態でも信用出来たということは女王殿のアンデルセン殿への信頼は相当のようですな」
カイ「そうだな、まだ情報が不足していた頃だ。事情を知らない連中に事態を伝える必要もあった、それを踏まえての人選だろ」
白鳥「僕なら世界移動も陸海空も自在だからね!それに親指姫はチビだから潜入に向いてる、警備の厳しいお城なんかも楽々さ」
キモオタ「確かにwwwうちのティンカーベル殿もその辺での活躍多いでござるしwww」コポォ
白鳥「もちろん美形だからっていうのも採用理由なんだろうけどね?親指姫もまぁ姫っていうだけあるし僕の美しさは言わずもがな!ンナハハハ!」
キモオタ「出たwww白鳥殿のナルシスト節www」コポォ
カイ「まぁあれだな、女王が気落ちしてるってなら…なんとかしたいところだな」
キモオタ「ほうwww憎まれ口叩きながらも女王殿が心配なのですなカイ殿www」コポォ
カイ「茶化すな。あいつの強大な魔力はアリスを止めるのに必ず役立つ、精神的に弱ってる状態のままだといざって時困るだろうが」
白鳥「そうだね、女王様の過去に何があったか知らないけど…女王様のショックを何とか和らげたいとは思うよね」
キモオタ「我々も女王殿にはすっかり世話になっておりますからなぁ…」

633 :◆oBwZbn5S8kKC :2016/08/08(月)00:49:17 ID:9xL
カイ「だが…それなら逆にそっとしておいた方が良いような気もするな。俺や白鳥が行っても…あいつは弱い部分を見せようとしないだろ」
白鳥「確かに…でも今の僕があるのは女王様が声をかけてくれたからなんだ。少しでも女王様の力になりたいよ」
キモオタ「作者が同じといえ白鳥殿は随分女王殿を気にかけてますなwww」
白鳥「そりゃあ女王様には感謝してるからね。僕はずっと誰かの役に立ちたいって思ってたんだよ。生まれた頃から誰にも愛されずに蔑まれて馬鹿にされて生きてきたから…誰かに必要とされたかった、それが夢だったんだ」
白鳥「でも自分が白鳥だって気が付いてもその夢は叶えられなかった。だから今、女王様の元で世界を飛び回って間接的でもたくさんの人を救えているって事を僕は誇りに思ってるのさ!」
キモオタ「なるほど…ただのナルシストではなかったのですな白鳥殿www」
白鳥「そうとも!真のイケメンは心もイケメンってね!それは親指姫も同じ気持ちだと思うよ、あいつも昔は周囲に振り回されっぱなしだったからね」
キモオタ「親指姫殿のおとぎ話は知っていますぞwww小さいから誘拐されたり誘拐されたり誘拐されたりしてましたなwwwしかし確かハッピーエンドだったはずwww」コポォ
カイ「確か花の王子と結婚して幸せな暮らしを…って結末だったな。ヘンゼルの言葉を借りるようだが親指姫はどこか納得してなかったんだろ、自分の結末に」
白鳥「そうだろうね、だからあいつは王子に黙って城を抜け出した。周囲が定めた運命じゃなく今度こそ自分の意志で、自分の運命を決めるためにね。だからその機会をくれた女王様には感謝してるはずだ」
キモオタ「あの暴力的な性格はそれまで押さえつけられていた反動なのでござろうかwww」
白鳥「解らないけどまぁ僕はいい迷惑だよ…出会った頃はあいつの暴力でハゲると思ったよ…まぁハゲても美しいのが真のイケメンだけどね?」

634 :◆oBwZbn5S8kKC :2016/08/08(月)00:52:03 ID:9xL
白鳥「で、ここの書庫で読んだ【一寸法師】にえらく感動してね。それからはもうあの女騎士スタイルさ」
キモオタ「親指姫殿www意外と影響されやすいwww」
白鳥「自分と同じ小さな体なのに自分で運命を切り開いた一寸法師はあいつにとって理想の生き方だったんだろうねー…まぁ今のあいつはイキイキしてるから結果的には良かったのかな、僕を針で刺さなければね。大体あいつは…」
カイ「おい、話がそれちまってるぞ。今は女王をどうするかだろ?」
白鳥「そうだったね!ンナハハハ!僕としたことが!」スワーン
キモオタ「それならば我輩とティンカーベル殿が女王の所にいってくるでござるよwww我々のようなおとぼけキャラと話せば悩みなどバカバカしくなるでござるよwww」
白鳥「それ自分で言っちゃうのか…」
カイ「まぁ多少気休めにはなるかもな…バカな奴と話すのは疲れるが不思議と場が和むことはあるしな、バカ特有の空気っていうか…そういうのは確かにある」
キモオタ「ぶっちゃけそういうことでござるよwww我々そういうの得意でござるしwwwティンカーベル殿!バトルはそのあたりにして一緒に行きますぞwww」
ティンカーベル「…もうちょっとでチビッコを倒せそうだから後にして」ゼェゼェ
親指姫「ふん…ならば一生無理だな…諦めろ」ゼェゼェ
キモオタ「ちょwww息切れしてるでござるwww思ったよりガチで戦ってたwww」コポォ

635 :◆oBwZbn5S8kKC :2016/08/08(月)00:53:53 ID:9xL
雪の女王の宮殿 書庫
ティンカーベル「なるほどね。女王様は自分のおとぎ話の作者と交流があって、そんでその作者が書いたおとぎ話が消えちゃってショックを受けてるっぽいって事ね?それで私達二人でそのショックを和らげようって話かー」
キモオタ「その通りwww説明的セリフありがとうでござるwww」コポォ
ティンカーベル「でもさー、ホントにそれだけ?」
キモオタ「ちょwwwなんですかなwwwその意味深な問いかけはwww」コポォ
ティンカーベル「知ってるんでしょ?アンデルセンが書いたおとぎ話は【雪の女王】や【みにくいアヒルの子】や【親指姫】だけじゃないってさ」
キモオタ「ドゥフフwwwお見通しですなwww」コポォ
ティンカーベル「わかるよ、これだけ一緒にいるんだし。調べてたんでしょ?マッチ売りちゃんのおとぎ話書いた作者のこと…ググッたんでしょ?」
ティンカーベル「【マッチ売りの少女】を書いたのがアンデルセンだって、知ってるんでしょ?」
キモオタ「まぁ、そうですなwww」コポォ
ティンカーベル「作者と交流があったなら女王に話聞けば…アンデルセンが何を思ってあの救いのないお話を書いたのか解るかも知れないもんね」
キモオタ「そうかも知れませんなwwwしかし女王殿が落ち込んでいるかも知れないから励ます…と言うのが一番の目的なのであってwww我輩の個人的な質問はあくまでついでというかwww」
スッ
雪の女王「フフッ、気持ちは嬉しいが私は落ち込んでなどいないぞ?」フフッ
キモオタ「ちょwww女王殿www我々の話聞いていたでござるかwww」コポォ

636 :◆oBwZbn5S8kKC :2016/08/08(月)00:55:57 ID:9xL
雪の女王「そんなに大きな声でコポコポ言っていれば嫌でも耳に入るさ」クスクス
ティンカーベル「やっぱキモオタのせいだ!コポコポうるさいからだよ!反省して!」
キモオタ「ちょwwwなんでそこまでwwwしかし図書館的な場所では静かにするのはルールwww申し訳ないwww」コポォ
雪の女王「私達しか居ないんだ、気にすることはないさ。ただカイが居るときは静かにしていないと後が怖いぞ?」フフッ
ティンカーベル「ねぇ、女王…作者のアンデルセンと交流があったって話、本当?」
雪の女王「あぁ、本当だとも。もう随分と昔の話だけれどね」
キモオタ「そのアンデルセン殿のおとぎ話が消えたからショックを受けていると聞いてきたのでござるが…」
雪の女王「…まぁショックだよ。彼がどういう考えを持っておとぎ話を書いていたかを知っているからな。だけど消えてしまったおとぎ話はアナスンのものだけじゃない」
雪の女王「ペローやグリム兄弟、それ以外にも様々な作者が書き記したおとぎ話が消えている。誰が作者だろうとおとぎ話が消えるのは辛いさ…おとぎ話に込められたら想いまで消えてしまうからな」
キモオタ「聞かれてしまっていたようなので正直に話すでござるが…女王殿、実は……」
雪の女王「【マッチ売りの少女】が何故生み出されたか、あの悲劇的な結末に意味があるのか…それを知りたいんだろう?」
キモオタ「…マッチ売り殿は自分の運命を受け入れたでござる。だから我輩も彼女の意志を遂げるためにも交わした約束を守るためにも旅を続けているのでござる。そこに一切の迷いはないでござるよ」
キモオタ「しかし女王殿がアンデルセン殿と交流があったと言うのなら…話を聞きたいと言うのは本音でござる」
雪の女王「…君達になら話しても構わないだろう、【マッチ売りの少女】の話とアナスンと私の過去を。特別な本棚があるんだ、そこへ案内しよう」
・・・

637 :◆oBwZbn5S8kKC :2016/08/08(月)01:05:00 ID:9xL
ここではない時 ここではない場所
・・・
「何故だ…何故…。何故、私が殺されなければならない…」
「私は願っただけだ…すべての人類が幸福に生きる世界を…」
「大人も子供も老人も、大人も子供も、貴族も奴隷も…その境無く幸福を掴める未来を…」
「私は紡いだだけだ…誰をも幸せにすることができる物語を…おとぎ話を…」
「私が紡いだ物語を…皆は喜んで聞いていたではないか…」
「私が紡いだ物語を…皆は涙して聞いていたではないか…」
「それこそが未来への希望ではないのか…苦しい現実を塗り替える希望ではなかったのか…」
「あぁ…嘆かわしい…。私は思い違いをしていた…おとぎ話が私を救ったからといって…全ての人類を救うなどできるはずがなかったのだ…」
「所詮はただの戯れ言……言葉の組み合わせに過ぎない」
「それを天才だのなんだともてはやされて…私は有頂天になっていたのだ…」
「愚かな自分に腹が立つ…神にでもなったつもりだったのか…?」
「結局私は少々運が良かっただけの奴隷…。私のおとぎ話など…奴隷の言葉遊びに過ぎない」
「そんなものが世界を…未来を変える力を持っているわけが無いではないか…」
「あぁ……今、死を目の前にして…ようやく過ちに気がついた…」
「こんなものは…何の意味もない、ただの言葉の羅列……」
「我々作者に…おとぎ話に…何かを変える力などありはしないのだ…」
・・・

638 :◆oBwZbn5S8kKC :2016/08/08(月)01:18:16 ID:9xL
今日はここまで 『作者』編 次回へ続きます
白鳥と親指姫が女王を慕ってる理由前回ぶち込むの忘れて若干予告とずれてしまったすまぬ…
ようやく回想に入れそうです
次回以降
やっとこさアンデルセン出てきます!
作者が【マッチ売りの少女】の悲惨な結末にこめた想いとは

639 :名無しさん@おーぷん :2016/08/08(月)01:23:26 ID:QGS
悲しい話だなぁ

640 :名無しさん@おーぷん :2016/08/08(月)03:44:58 ID:eak
乙!
またまた気になる終わりかただな

645 :名無しさん@おーぷん :2016/08/08(月)22:39:05 ID:lLR
乙!
ティンクの煽りが可愛くてウザいwww

654 :◆oBwZbn5S8kKC :2016/08/15(月)00:54:37 ID:kNn
現在
雪の女王の世界 女王の宮殿 書庫
・・・
ポツン
ティンカーベル「あっ、見て見てキモオタ!あの本棚だけ他と違うよ!ガラス扉も付いててなんか特別っぽい感じがする!」ピューッ
キモオタ「確かに特別感ありますなwww図書館などでこの手の本棚に収められているのは大抵が貸し出し禁止のレア本でござるしwwwおそらくこの棚に並んでいる本も相当貴重な一品に違いないwww」
雪の女王「大切な物には違いないが、本自体はごく普通の本屋に並んでいた物だ。購入したのは随分と昔だがな」
ティンカーベル「そーなの?それにしては買ったばっかりの新品みたいにピッカピカだよ?」
雪の女王「この本棚には魔法がかかっていてな。ここに並べられた本はあらゆる事象の干渉を受けない。時間の流れから切り離されているせいで経年劣化することもないのさ」
キモオタ「ちょwwwしれっと言ったでござるがそれかなり高度な魔法なのではwww」コポォ
雪の女王「まぁ、かなりレベルの高い魔術だな。この本棚を創るためにおよそ半月の時間を要したし魔力も相当消費した」
ティンカーベル「女王がそこまでして残したいって思った本がこの棚には並んでるんだよね…それってやっぱアンデルセンが書いたおとぎ話?」
雪の女王「あぁ、この棚にはアナスンが執筆したおとぎ話が一遍も洩らさずに収められている。私は現実世界で彼と交友を深めるうちに彼のおとぎ話を特別なものと思うようになったんだ、彼の作品は私にとって宝物なのさ」フフッ
ティンカーベル「そうだったんだ…じゃあ私達悪いことしちゃったね…ごめんね、女王」
雪の女王「どうした突然?君に謝られるようなことなどされたか?」
ティンカーベル「だってさ、女王は知ってると思うけど私達【マッチ売りの少女】の世界に結構干渉しちゃってるんだよね…他にも【裸の王様】とかも……ね、キモオタ?」
キモオタ「ですな…そして我々が干渉したことで物語に変化が現れているでござる。アンデルセン殿のおとぎ話を大切に思う女王殿にとってそれは…嫌な事でござろう。すまなかったでござる」
雪の女王「悪意は無かったんだ、責めはしない。君達が行動しなければ【マッチ売りの少女】や【裸の王様】の世界そのものが消えていたかも知れないんだ、むしろ感謝してるよ」
雪の女王「それに君達やアリスが干渉しなくてもおとぎ話の内容が変化するということは自然に起こるものだ。数百年、元々の内容のまま物語が伝わることはなかなか難しい」
雪の女王「だから私はこの本棚を創り、彼の紡いだ物語を詰め込んだ。百年経とうと千年経とうと人々に忘れられようと物語が変化しようとせめて私だけは彼の本当の願いを忘れないようにな」

655 :◆oBwZbn5S8kKC :2016/08/15(月)00:57:24 ID:kNn
雪の女王「だからこの棚には消滅したはずの【しっかり者のスズの兵隊】が残っているだろう?」スッ
ティンカーベル「あっ、本当だ!おとぎ話の世界が消滅したら現実世界から絵本もなにもかも消えちゃうのに、この棚の本は消えないんだね!」
キモオタ「流石はハイレベルな魔法なだけありますなwww」コポォ
雪の女王「君達が干渉したという【マッチ売りの少女】も同様だ。この棚の本には君達が登場しない、この通りな」パラパラ スッ
ティンカーベル「本当だね、私達が登場しちゃう現実世界の絵本とは違って元々のまんまだ!」
雪の女王「これでこの棚の本は一切の変更がされていない状態…アナスンが書き記したそのままのおとぎ話が並んでいると解ってくれたはずだ」
キモオタ「バッチリ理解しましたぞwww」
雪の女王「そうか、それならアナスンについて話すとしようか。まずは…丁度いい、キモオタはこの【しっかり者のスズの兵隊】をティンクは…この【ヒナギク】を読んでみるといい」
雪の女王「もちろん、一切改変のない元々の物語だ」
キモオタ「了解でござるwwwちなみに女王殿wwwこれあとで感想とか聞かれるでござるか?我輩この手のレビュー苦手なのでござるがwww」コポォ
雪の女王「聞くつもりだ、しかし別に君たちを試そうというわけじゃないんだ。どちらのおとぎ話も童話作家としての彼の特色が色濃くでているおとぎ話だからな、是非読んで欲しい。それだけさ」
キモオタ「そう言うことならばwwwおっwwwどうやら兵隊が主人公でのようでござるなwwwこれはバトルアクションものが期待できますぞwww」ワクワクコポォ
ティンカーベル「ヒナギクってお花の名前だよね?それじゃこっちはファンシーなカワイイ系おとぎ話かなー?読むの楽しみ!」ワクワク

656 :◆oBwZbn5S8kKC :2016/08/15(月)00:59:17 ID:kNn
数分後
キモティン「……」ズーン
雪の女王「読み終わったか?やはり二人とも凄まじく暗い表情をしているな」
キモオタ「スズの兵隊殿、理不尽アンド理不尽な目にあった挙げ句、溶かされて死んだでござるけど…」ズーン
ティンカーベル「こっちもだよ…人間に振り回されてヒバリは苦しんで死んじゃうしヒナギクは枯れちゃうし…ちょっと後味悪すぎるよ何これ…」ズーン
雪の女王「ふふっ、とびきり暗い内容だっただろう?気分が悪くなる程にな」
キモオタ「ちょっwww解っててこのチョイスwww以外とおにちくですな女王殿www」
雪の女王「それで…君達の率直な感想を聞こうか、それを読んでどう思った?」
ティンカーベル「私は…人の身勝手な振る舞いがどれだけ酷い事かっていうのがよくわかったし、子供達がこれを読んだら思いやりの気持ちを持てるかもって思ったよ。でも……」
雪の女王「でも?」
ティンカーベル「正直、すごく胸くそ展開だったよ!最後だけ報われてもいいじゃん!よくあるじゃんそういう展開!ダメなの!?」イライラ
キモオタ「ティンカーベル殿おさえておさえてwww我輩が読んだ方もまぁ理不尽エンドでござったけどもwww」
ティンカーベル「もーっ!アンデルセンなんなの!?【マッチ売りの少女】もそうだし【人魚姫】も暗い結末だし…この作者バッドエンド大好きおじさんじゃん!」

657 :◆oBwZbn5S8kKC :2016/08/15(月)01:01:44 ID:kNn
ティンカーベル「女王には悪いけど私はぶっちゃけこの作者嫌いになったよ!」プンスカ
キモオタ「お主はwww女王殿の前でよくそんな事言えますなwww空気を読むでござるよwww」
ティンカーベル「知ったこっちゃないよ!作者は読み手に何かを伝えたいからおとぎ話を書くって事、私は理解してるつもりだよ?マッチ売りちゃんの結末は悲しいけど意味のあるものだと思ってるし、きっとたくさんの人の心に響いて優しい気持ちにさせてるなって信じてる」
ティンカーベル「でもいくらなんでも多すぎなんだよ!しかもこれほんの一部でしょ?どうせ他にもバッドエンドあるんだろうし…理不尽エンドのおとぎ話のほとんどをこいつが書いてんじゃないかって勢いじゃん!」プンプン
ティンカーベル「私はマッチ売りちゃんの死に意味があるって信じてたけど……バッドエンドが多すぎてなんかこいつのこと信用できなくなってきた!こいつ自分の趣味でこんな結末にしてんじゃないの?」イライラ
キモオタ「こwwwいwwwつwww遂にこいつ呼ばわりwww女王殿、ティンカーベル殿はちょっと興奮してるだけなので無礼は大目に見てあげて欲しいですぞwww」
雪の女王「気にしていないさ、私も初めはティンクと同じ意見だった。私達にとっておとぎ話の世界こそ現実だからな、死の運命を背負った者を生み出すことが残酷だと考えるのは当然だ」
ティンカーベル「だよね!バッドエンドはまぁ仕方ないにしても死なせる必要ないよね!そうすればマッチ売りちゃんだってもうちょっと救われたと思うもん!」
雪の女王「それはどうだろうな…死ななければ本当に幸せなのか?」
ティンカーベル「えっ?」
雪の女王「マッチ売りに会った君達なら解るだろう、君達の干渉が無く、仮に彼女があの世界で生きながらえたとして…本当に幸福になれたと思うか?」
ティンカーベル「そ、それは…なれたかもしれないじゃん!もしかしたらあの神父さんがうまいこと…」
キモオタ「無いでござるな、シンデレラ殿と裸王殿の活躍が無ければ孤児院は作られなかったでござる。神父殿にはどうにもできなかったでござろう」
キモオタ「あの世界に一切の干渉が無く、あの雪の夜に運良くマッチ売り殿が生き延びたとして……あの父親の元では先は見えているでござるよ」
ティンカーベル「それはそうかも知れないけど…」
キモオタ「我輩も…アンデルセン殿は理不尽エンドを書きすぎだと思うでござる。しかし、ただバッドエンドを書きたいだけならもっと惨たらしく殺す展開を選ぶのではないですかな?」
キモオタ「『お婆ちゃんの幻を見て幸せな気持ちで天に召された』などと書いているあたり…マッチ売り殿のを苦しめるつもりなどなかったのでござろう」

658 :◆oBwZbn5S8kKC :2016/08/15(月)01:03:23 ID:kNn
ティンカーベル「確かにキモオタの言うとおりかも…少なくとも悪意があったわけじゃないのか…」
雪の女王「キモオタ、君はなかなか良いところに目を付けるな」フフッ
キモオタ「いやはやwwwただのキモいオタクの妄想でござるけどwww」
ティンカーベル「でもさ、作者の趣味じゃないとしたらなんでこんなにたくさんバッドエンドのおとぎ話書いてるのかな?」
キモオタ「うむ…白鳥殿や親指姫殿も結末こそハッピーエンド寄りでござるけど、辛い日々を送っていたようでござるしな…」
雪の女王「君達はさっきからバッドエンドバッドエンドと言っているが…アナスンはこう言っていたぞ」フフッ
雪の女王「『【マッチ売りの少女】はハッピーエンドだ』と」
ティンカーベル「はっ!?えっ!?何!?どゆこと!?」
キモオタ「ブヒィ!?どういう意味ですかな!?」
雪の女王「まぁ、そういう反応になるか。まぁ君達もこの話が終わることには…アナスンという人物が少しは理解できるかも知れないな」
ティンカーベル「えーっ、正直、自信ないけど…絶対私は理解できないタイプの奴だと思う、だってあれ…少なくともハッピーエンドじゃないでしょ?」
キモオタ「まぁまぁwwwとにかく聞かせて貰うでござる、アンデルセン殿の事を理解できればマッチ売り殿の運命の事も…もっと深く知れるでござろうwww」
雪の女王「そうだな、少し前置きが長くなってしまったが…彼について語るとしようか」
雪の女王「これは、ずっとずっと昔…この世界が生まれて間もない頃、現実世界で【雪の女王】が発表されてしばらく経った頃の話だ」
・・・

659 :◆oBwZbn5S8kKC :2016/08/15(月)01:06:19 ID:kNn
ずっと昔…現実世界でおよそ170年前
雪の女王の世界 冬 とある村外れ
ビュオオォォォ 
きこりのおっさん「おぉい、そこのソリぃ止まれ、止まれぇ!ここは通れねぇぞぉ!」
男「待ってくれ、通れないってどういう事だ!?俺は急いでるんだ!早く隣村までいかねぇといけないんだぞ!」ズサー
きこりのおっさん「そうは言ってもなぁ、昨日の晩の大雪で橋が壊れちまって通れねぇんだ。まだ修理には時間かかるぞぉ?」
男「何とかならないのか!?嫁さんが急に産気づいちまって…今すぐにでも隣村の産婆に頼まねぇといけねぇんだ!」
きこりのおっさん「そりゃ大変だぁ!でも橋はまだ直らねぇ…お前さんそこの村のもんだろ、そこにも産婆はいただろぉ?」
男「間が悪いなんて言っちゃいけねぇが…隣の家の奥さんも少し前に産気づいちまって、そっちについちまってる…うちのはまだ少し余裕がありそうだからすぐに隣村から産婆を呼んでくれって言われてよぉ…」
きこりのおっさん「ぬぅ…力になりてぇが、大回りして下流の橋を通った方が早いかもしれねぇな…」
男「何時間余分にかかると思ってんだお前!手遅れになっちまったら俺はどうすりゃいいんだこのヒゲモジャが!」グイグイ
きこりのおっさん「お、俺に当たるんじゃあねぇって、そうは言っても…うぉっ、何だぁ!?」
ビュオオオオォォォ
男「なんだ!?突然吹雪が…!くっ、前が見えねぇ!なんだってこんな日に!」
ビュオオオォォ

660 :◆oBwZbn5S8kKC :2016/08/15(月)01:08:28 ID:kNn
ビュオオオォォォ…スッ
きこりのおっさん「ぬぅ…おさまったか。何だったんだ今の吹雪は…突然吹雪いてあっと言う間におさまっちまったぁ…」
男「お、おい!?こりゃあどういう事だぁ!?」
きこりのおっさん「ん…?な、なんじゃぁこりゃあぁ!?」
キラキラキラ…
男「さっきまで何もなかった場所に氷で出来た橋が…!」
きこりのおっさん「よぉし、ちょっと待ってろぉ!……大丈夫だぁ、強度も十分だ!通れそうだぞぉ!」グッグッ グイグイ
男「ほ、本当か!?助かった…これで隣村まで行ける!」ホッ
きこりのおっさん「不思議な事もあるもんだぁ…きっと妖精がお前さんを助けてくれたんだなぁ、それより急げぇ!嫁さんがまってるぞぉ」
男「お、おう!それじゃあ俺は行くわ!」ススーッ
きこりのおっさん「うーむ、こんな事もあるんだなぁ…。しかしこんな立派な橋があるってぇなら急いで橋を直すことねぇかなぁ…」
セクシー美女「…その橋、あまり長くはもたないぞ」
きこりのおっさん「!? 姉ちゃん一体どこから現れたんだぁ!?」
セクシー美女「ゲルダの父親…さっきの男が戻ってくるまでは大丈夫だが、その後は次第に溶けていく。早急に橋の修理をした方がいい」スッ
ビュオオオォォォ
きこりのおっさん「消えた…!な、なんだったんだ今の姉ちゃんは…まさか、雪の妖精か…?」

661 :◆oBwZbn5S8kKC :2016/08/15(月)01:11:16 ID:kNn
雪の女王の世界 女王の宮殿
雪の女王「……さっきのは余計な手助けだったかもしれないな」ファサッ
雪の女王「生み出されて間もないこの世界が消える道理はない、おそらく遠回りをしてもあの男の奥さんも赤ん坊も何一つ問題なかっただろうに」
雪の女王「……まぁいいか、カイは無事に生まれたようだし。あの様子ならば今頃、ゲルダも元気な産声を上げていることだろう」
雪の女王「……」
雪の女王(しかし…未だに私は納得していない)
雪の女王(この世界は現実世界に住むアンデルセンという男が生み出したおとぎ話の世界…作者が書き記した通りの筋書きで人々の運命が定められた【雪の女王】の世界)
雪の女王(私がこの世界で一番の魔力と自在な氷結能力を持つ雪の女王であることも、このだだっ広い宮殿に一人で暮らしていることもアンデルセンが定めた運命)
雪の女王(今日、あの村で産声を上げた二人の赤ん坊…ゲルダとカイと名付けられる二人の子供にも重要な役割が与えられている)
雪の女王(まだ先の話だが…親友同士になった二人、カイは悪魔の鏡が原因でゲルダと決別する。その彼を私がこの宮殿へとさらってくる…それが私に与えられた役割であり運命だ)
雪の女王(私の役割はいわゆる主人公の敵役、悪役。それに関しては何も思わない、私には両親も家族も友人も存在しないから誰かを巻き込むこともない。悪役だろうとなんだろうと引き受けてやろう)
雪の女王(それよりも納得がいかないのは主人公ゲルダの運命の方だ。ある日突然親友カイと離ればなれになり、彼を取り戻すために彼女は一人でこの宮殿を目指して旅をする)
雪の女王(旅の協力者はいる、最終的にカイを取り返すこともできて幸せな結末が待っている。しかし…決して楽な旅ではない、何一つ罪を犯していない少女が何故過酷な旅を強要されなければいけないのか)
雪の女王「少女に…子供に何故そんな過酷な運命を押しつけるのか?私には理解できない」
雪の女王(アンデルセンという男は…私の理解の外にいる。子供は守るべき存在、愛でるべき存在。無用な試練を与える必要があるだろうか…?)