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キモオタ「我輩がおとぎ話の世界に行くですとwww」ティンカーベル「そう」
Part149


576 :◆oBwZbn5S8kKC :2016/07/25(月)00:38:40 ID:WJF
金太郎の世界 足柄山
ライオン「あ、あの…雀さん、僕達ってもう世界移動してるんだよね?ここってもう【舌切り雀】の世界じゃあないんだよね?」オドオド
舌切り雀「おうよ、ここは既に別のおとぎ話【金太郎】の世界だぜ。それがどうかしたってぇのか?」パタパタ
ライオン「ううん、ただ周りの景色が雀さんの世界とすっごく似てるから不思議だなぁって…遠くに見える建物の造りとかそっくりだもんねぇ」
舌切り雀「そりゃあそうだ、あっしの故郷とここは別の世界に違いねぇ、だが同じ『日ノ本』ってぇ国を舞台にしてんだからよ」
ライオン「うぅーん…それなんだけど実は僕よくわかってないんだ。別の世界だけど同じ国…?この世界には雀のお宿は無くて…?桃太郎さんの家族も住んでなくて…?でもここは日ノ本で…うぅん?」
舌切り雀「あくまで舞台が同じってだけでそれぞれの世界は別モンだって事だ。あんまり難しく考えるこたぁねぇよ」
ライオン「そっかぁ、でもこういうとき頭が良かったらなぁーって思うよぉー、僕あんまり物知りじゃないから…もっと賢かったらあれこれ考えなくてもいいのになぁ」
舌切り雀「ハハッ!面白ぇ事言うなぁお前!【オズの魔法使い】で知識を求めてんのはお前じゃなくてかかしだろ?」ハハハ
ライオン「あははっ、そうだねぇー、僕が欲しいのは勇気なのに知識も欲しいなんて欲張りだねぇ〜」アハハ
舌切り雀「おうよ、強欲なのはよくねぇぞ。あのババァみてぇに魑魅魍魎に襲われちまうかもしれねぇからなぁ〜?」ケラケラ
ライオン「あわわ…僕は欲張らないようにしなきゃ!とりあえずは勇気だけ、勇気を手に入れることだけ考えようっと」ウンウン
舌切り雀「おう、それが良いぜぇ!…って言うかよぉ」チラッ
桃太郎「うわぁ…マジで来ちゃったよ…別のおとぎ話の『日ノ本』…ここの主人公に拙者を認めて貰う…?いやいや、無理だってマジで…」ブツブツ
舌切り雀「テメェはいつまでグダグダ言ってやがんだ!いい加減覚悟決めろやァァ!クチバシでガッてすんぞコラァァ!」ガッガッガッ
桃太郎「ひいぃっ!痛っ!痛っ!既にガッてやってるだろお前!もうなんなのこの暴力雀マジで嫌だもぉぉぉぉ!!」ヒイイィィィ

577 :◆oBwZbn5S8kKC :2016/07/25(月)00:39:51 ID:WJF
桃太郎「怖えぇぇ…こいつマジで容赦ねぇ…怖えぇぇ…」コォォォッ
ライオン「その治癒能力本当に便利だねぇ。それにしても雀さんは桃太郎さんに対して特に厳しいよねぇ…も、もうちょっと優しくしてあげられないかなぁ…なんて思ってみたりするんだけど」チラッ
舌切り雀「こっちだってあんまりギャーギャー言いたくねぇんだぜ?でもなぁ…あっしが元々キツい性分だってのもあるけどよ、こいつの腐った桃みてぇな性格見てると我慢ならねぇんだよ。で、つい怒鳴っちまう」
桃太郎「腐った桃!?それ言い過ぎじゃない!?もうちょっと配慮した言い方g」ガーン
舌切り雀「雀ごときに怒鳴られてヒーヒー言ってるような男なんざ腐った桃以下だろうがァァ!」ガッ
桃太郎「痛いっ!雀ごときって言うけどお前気性も荒いし声もデカいから迫力すごいからね!?か弱さなんか微塵も無いからね!?」
舌切り雀「だからってビビっていい理由にはならねぇだろうが!オメェは仮にも日ノ本一を掲げてんだぞ?だったら誰に何を言われようが揺るがねぇ意識だの強いの気概があって当然じゃあねぇのか!」
桃太郎「うっ…一理ある…。確かにビビりなのは拙者の弱点だし…」
舌切り雀「国一番の英雄だろうがなんだろうが結局は人間だからよぉ、一つ二つ弱い部分があろうが隙があろうがそりゃ仕方ねぇよ。どんな偉業を成し遂げたところでそいつは神仏じゃねぇんだから」
舌切り雀「だがなぁ、オメェの場合はあまりに情けねぇ部分が多い!この際だから正直に言うがよぉ…お前の戦いぶりを初めて見た時はスゲェと思ったぜ。剣術に関しては日ノ本一ってのにあながち嘘じゃねぇと思ってるしな」
ライオン「わっ、やったね桃太郎さん!雀さん、誉めてくれてる!認めてくれてるよ!」ワチャワチャ
舌切り雀「ただし!こいつの場合は他がクソ過ぎて剣術の凄さが霞んでんだよ!戦いの後にやれビビっただの泣きそうだのと愚痴るわ…いい大人が蜂に怯えるわ…柴刈りで生計立てたいだの言って現実逃避するわ…些細なことでギャーギャー騒ぐわ…」
舌切り雀「挙げ句に雀なんぞに怒鳴られてすぐに謝るわで…どれだけ自分に自信がねぇんだオメェはよぉ!?」
桃太郎「ぐぬぬ…正直、否定できない…」
舌切り雀「だからそこで否定しろォォ!鬼退治を果たした英雄が何を雀ごときに言いたい放題言われてるんだ!そこをまずおかしいと思えェェ!」
桃太郎「た、確かに…」

578 :◆oBwZbn5S8kKC :2016/07/25(月)00:41:29 ID:WJF
舌切り雀「あっしはオメェを日ノ本一とは認めないって言ったがな、ありゃあお前の立ち居振る舞いや精神面に不安が…すっげぇ不安が残ってるからだ!」
桃太郎「ええぇ…言い直してまで強調しなくても…。でも確かに言うとおりだよなぁ…拙者、素だとありえないくらい情けないし…」
ライオン「で、でもでも!桃太郎さん普段はキリッとしてるから大丈夫だよ!」
舌切り雀「大丈夫な訳ねぇだろうが!ヘタレな本性隠して取り繕ったところでなぁ…いずれボロがでるもんなんだよ!根本的な解決にはならねぇだろ!」
ライオン「ひえっ、そんな怒鳴らないでよぉ…」
桃太郎「いや…言い方はキツいけど舌切り殿の言うとおりだ。拙者は自分の武術に満足してるわけじゃないけど、精神面の弱さは本当にどうにかしないといけないなって思ってる」
舌切り雀「なんだよ、自覚はあるってぇ事か」
桃太郎「うん。もう本性バレたし開き直って話すけど…拙者は昔から自分に自信が無くて臆病でさ…鬼ヶ島の大悪鬼と対峙した時も自信が持てなくて、失敗するのが怖くて刀を振るえなかった」
桃太郎「でもさ、その時キモオタっていう友達のおかげで…拙者は勇気の出し方を知ったんだ。自分一人じゃ駄目だけど…拙者を頼って応援してくれる人達の為なら拙者は勇気を出せる。英雄でいられる」
舌切り雀「なるほどなぁ、だから周囲の目を気にしてキリッとしてるときだけは全力が出せるってぇのか」
桃太郎「うん、そういうこと。でも…近頃こんな風に考えてた。逆に言えば一人の時とか気心知れた家族友人と居るときはキリッとする必要がないから、もしそんな時襲撃されたら…実力を出せないんじゃないかって」
ライオン「桃太郎さん、そんな風に思ってたんだ…。でも確かにアリスちゃん汚い手も平気で使うからねぇ…」
桃太郎「だからさ、どんなときでも実力が出せるように…いつでも家族な友を守れるように、精神的な弱さの克服をしなきゃいけないってずっと考えていたんだけど…」
桃太郎「やっぱり拙者、筋金入りのヘタレなのかな。自分なりにいろいろしてみたけどうまくいかなくて」ハハハ…

579 :◆oBwZbn5S8kKC :2016/07/25(月)00:43:01 ID:WJF
桃太郎「頭では解っててもどうしても逃げ腰になっちゃうって言うか…一度染み付いた性格はそうそう簡単には変えられないって言うか…情けない話なんだけどさ」
ライオン「そ、そんなことない!家族や友達のために勇気を出して頑張ろうってしてるのが情けない訳ないよ!ねっ、そうでしょ雀さん?」
舌切り雀「いいや。心構えは立派だがよぉ、結局自分を変えられてねぇんだろ?だったらなんの意味もねぇよ」
桃太郎「まぁそう言うかなって思ってたけど…やっぱ舌切り殿は手厳しい…」
舌切り雀「だが丁度良いじゃあねぇか!あっしはオメェのヘタレな所が気にいらねぇ。オメェは精神的に強くなりてぇ、目的とするところは同じなんだからよぉ」
桃太郎「確かに…精神的に強くなれれば拙者も日ノ本一に相応しくなれる。そうすれば舌切り殿も納得というわけか…」
舌切り雀「おうよ!だがオメェが言うように性格なんざそうそう変えられねぇってのも一理ある」
ライオン「じゃ、じゃあ一体どうやって桃太郎さんはもっと強くなるの…?」
舌切り雀「そうだな…よっし。おい桃、あっしはこれからこの【金太郎】の世界を含めていろんな日ノ本のおとぎ話にオメェ達を連れ回すって、さっき言ったよな?」
桃太郎「うん。拙者が日ノ本一だって認めて貰うために……あっ!もしかしてそれ中止にするっ!?」パァッ
舌切り雀「何を嬉しそうにしてんだオメェ!そうじゃあねぇ!当然、日ノ本のおとぎ話巡りは続行する!」
桃太郎「ですよね…そんな甘くないですよね…」
舌切り雀「当たり前だろうが!で、だな…これからお前は色々な奴に出会って日ノ本一だって事を認めて貰わなきゃなんねぇ訳だが…」
舌切り雀「その間、お前は一切格好付けるの禁止だ。どんな相手でも素の状態で接しろ」

580 :◆oBwZbn5S8kKC :2016/07/25(月)00:44:21 ID:WJF
金太郎の世界 足柄山の山奥
熊「グルルゥ…グオオオォォォッ!」ダダダッ
金時「おっ、真正面からの突進か!お前は相変わらずみてぇだな!そういう分かり易い力のぶつかり合い、俺は好きだぞ!」ガシッ
熊「…っ!ガアァァ!」バシッ
金時「ハッハッハァ!そう易々と投げ飛ばされちゃあくんねぇか!だが、そうこなけりゃわざわざ都から修行に来た意味がねぇってもんだ!」ググッ
熊「……グルルゥ、グオォッ!」ガシッ
金時「うおっ、危ねぇ危ねぇ!もうあれから二十年近いってのに全然衰えてねぇな!だが俺も都で遊んでた訳じゃあねぇんだぞ!」ググッ
熊「……っ!」ズオォォッ
金時「ずええぇぇいっ!」ブオンッ
熊「クマァァァッ!!」ドサーッ
金時「ハッハッハァ!まずは白星一つ!相撲なんて久し振りだったが、意外と身体が覚えるもんだな!」
・・・
ライオン「ひ、ひえぇぇ…あの人熊と素手で戦って投げ飛ばしちゃったよぉ!?ものすごく強いみたい…」
桃太郎「ねぇ舌切り殿、やっぱ格好つけちゃだめ?熊倒しちゃう大男相手に拙者は素でいかなきゃいけないんでしょ?えぇぇ…ちょ、えぇぇ……」
舌切り雀「何を怖じ気づいてんだオメェ!素の状態のオメェを認めて貰うって所に意味があんだろが!そうすりゃ今より自信も勇気もつくだろ!オラ早く行くぞ!」

581 :◆oBwZbn5S8kKC :2016/07/25(月)00:46:17 ID:WJF
舌切り雀「おい、金太郎ー!見てたぜぇ、相変わらずの怪力だなオメェは!」パタパタ
金時「んっ?その声…舌切りの!おぉ、久しいな!元気そうで何より!」ハッハッハ
舌切り雀「おうよ!へへっ、こうしてガキの頃みたいに熊と相撲とってると、とても都で活躍するお侍には見えねぇな金太郎!」ヘヘッ
金時「山に居ようが都に居ようが俺は俺、何も変わりはしないぞ!まっ、名は『坂田金時』に変わりはしたが『金太郎』の方が呼びやすいだろうからそうしてくれ!」ハッハッハ
舌切り雀「おう。ところでよぉ、今日はオメェにちょいと頼みがあんだよ。修行中悪いが…つき合っちゃくれねぇか?」
金時「おうっ!俺もお前もおとぎ話の主人公同士!何でも言ってくれ!」
舌切り雀「二つ返事で助かるぜ!おい、桃ライオン、オメェ等挨拶しろ。この世界の主人公…今は坂田金時って名らしいが、要するに金太郎だ。名前くらいは知ってるだろ?」
ライオン「あっ、はじめまして!ぼ、僕は【オズの魔法使い】のライオンです。あの、臆病で有名な…えへへ、よろしくお願いします」
金時「おぉ!あの西洋のおとぎ話の!よろしく頼む!」ニカッ
ライオン「う、うん。なんだかすんごくさわやかな人だなぁ…」
桃太郎「金時殿、お初にお目にかかかる。拙者h」キリッ
舌切り雀「おい」ギロリ
桃太郎「……えっと、桃太郎です。よろしく」ペコッ

582 :◆oBwZbn5S8kKC :2016/07/25(月)00:48:58 ID:WJF
金時「おおっ!桃太郎というと現実世界の日ノ本で知らぬ者はいないという、あの鬼ヶ島の悪鬼を征伐したことで有名な日ノ本一の大英雄!」
桃太郎「いやいやいや!ちょっと持ち上げ過ぎだから!そんな大したもんじゃないから拙者!」
舌切り雀「堂々としてろ!オメェが悪鬼を倒したのは事実だろうが」
金時「ハハッご謙遜を!私はご紹介に預かった金太郎こと坂田金時と申す。まさかあの有名な桃太郎殿にお会いできるとは、感激です」ニッ
桃太郎「あっ、いや、そんな堅い感じじゃなくていいんで!もっと普通に頼みます、拙者ホントに大層な人間じゃないんで!」
金時「…? そう言うことならお言葉に甘えて楽にさせて貰おう!しかし桃太郎殿と会ってみたかったというのは本当なんだ、何しろ日ノ本一と名高い武人!同じ武人としては興味を持たずにはいられなくてな!ハッハッハァ!」バシバシバシ
桃太郎「ハハハ…って痛っ!肩!叩きすぎだから!」
舌切り雀「二人とも鬼退治の英雄だってのにこの差はなんなのかねぇ…」
ライオン「ねぇ雀さん、僕が聞いた話だと【金太郎】って男の子が主人公だったんだけど…あの金太郎さんは大人だよね?桃太郎さんよりもちょっと年上くらいだもん。それに…金太郎さんが鬼退治したって初耳だよぉ?」
舌切り雀「そりゃお前の知識不足だな、さてはあんまり【金太郎】の内容しらねぇな?」
ライオン「う、うん…金太郎さんの名前は知ってるけど内容まではちょっと…わかんない、ごめんね?」

583 :◆oBwZbn5S8kKC :2016/07/25(月)00:51:07 ID:WJF
金時「ハッハッハァ!確かに現実世界でも俺の名は知っててもどんな内容かは知らないって奴が多いらしいからな!」
ライオン「ひえっ、聞かれちゃってた!?ごめんなさいごめんなさい!」
金時「気にしなくていいぞ、前に来た白鳥と親指姫にも『名前はメジャーなのに内容はマイナー』とか言われたしな。童の俺がお袋に貰った鉞(まさかり)を担いで熊に相手に相撲…ってのがよく知られてる話だよな!」ハハハ
ライオン「ぼ、僕が知ってるのもそこだけで…でも続きがあるんだよねぇ?」
舌切り雀「おう。金太郎はガキの頃から熊倒すくらい怪力だったからな、その力を見込んだ源のナントカって武士に雇われて都で侍になるんだよ」
金時「そうだな。それでいずれ都には酒呑童子っていう狂暴な鬼とその手下が現れるんだ、そいつを退治するのが俺の役割であり、この【金太郎】の結末なってことだ。まだまだ先の話だけどな」
桃太郎「すげぇ…じゃあ金太郎殿は鬼退治の英雄ってことか。うわーすげぇ人と知り合っちゃったなぁ拙者」
舌切り雀「オメェも鬼退治成功してんだろうが!他人事かテメェ!」
桃太郎「いやいや!そうは言うけど金太郎殿はひとりで鬼の軍勢を倒したんでしょ?拙者はお供も仲間も居たから、金太郎殿の方がすごいって!」
金時「いや、俺も一人じゃなく仲間の武士と共に戦う予定だ。それに鬼退治と言えば聞こえは良いが…毒入りの酒を使った騙し討ちなんでな、桃太郎殿の足下にも及ばんよ!ハッハッハァ!」
ライオン「そうなんだ…それでも十分すごいけど、桃太郎さんは真っ向から勝負して勝ってるから、どちらかって言うと桃太郎さんの方が鬼退治としてはすごいのかなぁ…」
舌切り雀「【金太郎】の内容がいまいち認知度低いのも、桃太郎の鬼退治の劣化版っぽからかもなぁ。オメェの鬼退治がすごすぎるからなぁ」ニヤニヤ
桃太郎「や、やめろそういうのは!なんか拙者のせいっぽい感じになっちゃうだろ!」

584 :◆oBwZbn5S8kKC :2016/07/25(月)00:55:43 ID:WJF
金時「しかし桃太郎殿は思ったよりずっと親しみやすいな!もっとこう…力こそ正義!みたいなガチガチの武士かと思っていたぞ!」
桃太郎「いやむしろそういう人が一番苦手で…平和で優しい世界なのが一番だって思ってるしね、拙者」
金時「それは確かにそうだな!ところで桃太郎殿は何故この世界へ来たんだ?」
桃太郎「えーっと、実は拙者達近々アリスを倒しに……あっ、知ってるのかな?アリスのこと」
金時「うむ、数々のおとぎ話に危害を加えていると聞いた。本来ならば俺もアリスの企みを止める戦いに賛成したいが…この【金太郎】はまだ結末を迎えていない。出来ることはすると雪の女王と約束はしたけどなぁ…易々とこの世界を離れるわけにはいかない」
舌切り雀「まぁ基本的には自分の世界を守るのが優先だよな。戦いたくても何かと事情があって戦えないって奴は結構多いからよぉ」
桃太郎「その点、拙者のおとぎ話は結末を迎えてるから自由に動けるもんなぁ……えっと、それでまぁアリスと戦うことになったんだけど」
桃太郎「それにむけてちょっと精神修行をしたいなと思って、色々な日ノ本のおとぎ話を巡って拙者が日ノ本一だということを認めて貰おうかなって感じで…」
金時「ハッハッハァ!面白いことを言うなぁ桃太郎殿!俺が認めるまでもなく、お前さんは日ノ本一に決まっているだろう?何を今更!」
桃太郎「そ、そう?そう言って貰えるのは嬉しいなぁ。ねぇ舌切り殿、とりあえず金太郎殿は拙者が日ノ本一って認めてくれてるわけで…ひとまずこの世界での目標達成って事でいい、よね?」
舌切り殿「なぁ金太郎よぉ、お前は戦いもせずに評判だけでコイツの力を認めるのか?そりゃあ武士としてちょっとばかりどうかと思うぜぇ?」
桃太郎「ちょ、そういう余計なこと言わなくてもいいから…!」アセアセ

585 :◆oBwZbn5S8kKC :2016/07/25(月)00:58:33 ID:WJF
金時「確かに…手合わせもせずに相手に力を見極めた気でいるなんて俺もまだまだだ!よぉし、桃太郎殿!俺と手合わせを願いたい!」
桃太郎「いやいやいや!金太郎殿は拙者を認めてくれてるんでしょ!?無意味な戦いはやめとこうって!お互いに戦いを控えた身なんだし命大事に!」
金時「むぅ…桃太郎殿が嫌だと言うなら無理強いするのも…」
舌切り雀「違うぞ金太郎。もう戦いは始まってんだ、桃太郎はこうしてお前が自分と戦うに相応しいか計ってやがるんだぜ?少し断る素振りを見せた程度であきらめる奴なんか戦うに値しないとか思ってんだぞコイツは」
桃太郎「ちょ…そんな訳ないだろ!?あっ、お前ワザとか!ワザと金太郎殿を焚き付けつるためn」
金時「そういう事だったか…やはり俺とは一回りも二回りも格上!鬼退治の先輩として胸を貸して貰うとしよう!」ドスドスッ
ライオン「あれ?金太郎さん、どこ行くの…?」
金時「なに、本気の手合わせならば素手という訳にもいかない。桃太郎殿が刀を使うのなら俺も愛用の武器で挑もうと思ってな!」
ググォッ
ライオン「う、うわぁ…!おっきい斧…あっ、鉞!それがお母さんに貰った奴?」
金時「いや、これは都の鍛冶屋に依頼した特注品でな。俺は刀よりもこっちの方が性に合っているからな!」
桃太郎「デカすぎじゃない!?その刃渡りなんなの!?それに柄も長いから刀じゃ間合い的に不利だって!今ならまだ間に合うからやめとこうって!」
金時「ハッハッハァ!桃太郎殿、お前さん程じゃないが俺だって腕には自信がある。それに強者と戦いたいと言うのは武士の常、いざ…参る!」
桃太郎「もおおぉぉ!なんで強い奴は決まって戦いたがりなの!?っていうか参るなよもぉぉ!!」

586 :◆oBwZbn5S8kKC :2016/07/25(月)01:00:34 ID:WJF
桃太郎「でもここで逃げちゃ来た意味ないし…こうなった以上頑張るけども!金太郎殿!この手合わせで拙者が勝ったら日ノ本一だって事、マジで認めて貰うからね!?」シャキン
金時「勿論!だがこっちも本気でいかせて貰うぞ!酒呑童子征伐の前に鬼退治の英雄を倒す事が出来れば、俺も自信もって鬼退治に臨めるというもの!」
桃太郎「自信が欲しいのはこっちだっての!……って、うぉっ!こえええぇぇ!!」ヒュッ
金時「先手は取らせて貰ったぞ!どうやら流石のお前さんも鉞相手には戦いの経験が足りないみたいだな!」ビュオンッ
舌切り雀「あー、桃の奴…金太郎に先手許しちゃってんじゃねぇか」
ライオン「金太郎さん強いしあの斧おっきいもんねぇ…。でもあんなに大きい武器だと重たいだろうし、そうなると動きも遅くなって隙が出来ちゃうんじゃない?」
舌切り雀「まぁ見てろ、多分桃も同じ事考えてるんだろうが…そんなたやすい相手じゃねぇぞ金太郎は」
金時「ぜぇいっ!」ブオンッ
桃太郎(よっし、うまく避けれた!鉞みたいなデカい武器は強力だけど隙もデカい!しかも金太郎殿は巨漢だから鉞を降り終えたあとにでかい隙が出来……あれっ?)
金時「さぁて!もう一丁おぉ!」ビュオンッ
桃太郎「ちょ、なんで隙が…!っていうか金太郎殿、この巨漢でその素早さって……うおぉっ!隙ないじゃん!」ヒュッ
金時「ハッハッハァ!刀の方が小回りが効くだろうけどな、俺の怪力なら鉞でも木切れみたいに振り回せる!合間を縫って反撃なんかさせないぞ桃太郎殿!」

587 :◆oBwZbn5S8kKC :2016/07/25(月)01:03:04 ID:WJF
ビュビュオン ビュビュオン ビュビュオン
桃太郎「マジかよ…あんなデカい鉞、掠っただけでもヤバそうだ…。避けてばっかりじゃダメだ、どうにかして動きを止めないと反撃できねぇ…」
金時「どうした桃太郎殿!この俺に手加減など無用!さぁいつでも攻撃してきてくれて構わないぞ!ハッハッハァ!」ビュオンッ
桃太郎「……っ!」
ライオン「あわわ…これまずい感じがするよぉ…ちょっとでも動きを止めないと…あっ!桃太郎さん!避けるんじゃなくて防御したらどうかな!?鉞を刀で受け止めて、そっから反撃するんだよぉ!」
舌切り雀「おい、素人が見よう見まねで余計な事を…」
桃太郎「それじゃ駄目なんだってライオン!こんな刃受け止めたら刀ごと真っ二つになるから!」ヒョイッ
舌切り雀「おっ、惑わされてうっかり防ぐと思ったがよぉ、あいつやっぱり戦闘に関してはそこそこ冷静っぽいな。あんな細い刀で鉞の刃をうけとめられるわけねぇ、相手が金太郎なら尚更な」
ライオン「ぼ、僕余計なこと言っちゃったね…でも、それじゃどうやって勝てばいいのかな!?桃太郎さん大丈夫かな?」
舌切り雀「心配いらねぇよ。あいつは豆腐みてぇな精神力だしすぐにビビる情けねぇ腐れ桃だが……」
桃太郎「防御は出来ない、刃を刀で受け止めるのもダメ、刀は金太郎殿に届かない…だったら狙うのは一カ所!」ヒュッ
ズパッ ガリッ
金時「…っ!俺を狙うでも刃を防ぐでもなく、鉞の柄を刀で受け流した…?」
桃太郎「柄の部分ならそんな力加わらないから受け流しつつ切れ込み入れていけば…そのうち使い物にならなくなる」ジャキッ
桃太郎「そんなにデカい刃なんだから柄にかかる負担だって相当なもんだ、拙者が勝つには…この一点を狙うのみいぃぃ!!」ヒュッ
舌切り雀「……武術に関してあいつは間違いなく日ノ本一だからな」

588 :◆oBwZbn5S8kKC :2016/07/25(月)01:05:28 ID:WJF
・・・
桃太郎「これで……終わりだああぁぁ!!」シャキンッ
金時「くっ…これ以上柄で攻撃を受けるわけにはいかない、しかし攻撃の手を休めれば合間を縫って攻撃されるだけだ…!やむを得ないか!」ガガッ
ビッ ズドオォォッ
ライオン「鉞の柄が!折れた!」
舌切り雀「柄があのデカい刃を支えきれなくなっちまったか。勝負あり、ってところだなぁ」
金時「桃太郎殿、参った。俺の負けだ…まさか全ての攻撃を交わしつつ鉞を壊されるなんて考えてみなかった、今までそんな相手は居なかったからな、完敗だ。やっぱり日ノ本一の英雄は……」
桃太郎「……すっ」
金時「す…?」
桃太郎「すいませんでしたあああぁぁ!!手合わせなのに大切な武器壊してすいませんでしたあああぁぁ!!拙者もう必死で…あの、弁償するんでホントすいません!」ペコペコ
金時「…ハッハッハァ!相手の心配までできるとは流石日ノ本一!弁償なんてしなくていい、おかげで貴重な体験が出来た!」
桃太郎「そ、そう…?いいならお言葉に甘えようかな…」
舌切り雀「おい金太郎、こいつ金持ってるから新しい奴買って貰えよ、鉞」
桃太郎「いやいや!別に金持ってないから!悪鬼から取り戻した宝物は返して回ってるからね!?まぁお礼とかで色々貰った分はあるけど…あれ実家だし」
舌切り雀「まぁ何はともあれ、実際に戦ってみてどうだったんだ?金太郎、こいつは文句なしの日ノ本一か?」
金時「あぁ、武術も機転も利く。戦って改めて実感したが…やはり日ノ本一は桃太郎殿にのみ許された称号だ、俺に文句を付ける理由はないぞ!ハッハッハァ!」

589 :◆oBwZbn5S8kKC :2016/07/25(月)01:10:41 ID:WJF
金太郎の世界 足柄山
・・・
桃太郎「はぁ…マジで疲れた、どっと疲れた…」
ライオン「お疲れ様ー、でも金太郎さん認めてくれてよかったじゃない!鮭とかお土産に貰ったし」
桃太郎「素手で捕まえてたよな金太郎殿、人間技じゃないよあれ…」
舌切り雀「でもまぁ、よくやったじゃねぇか桃。その調子で次行くぞ」
桃太郎「マジでやっぱり次行くの…?金太郎殿相当強かったし、もういいんじゃ…」
舌切り雀「何甘えてんだ!金太郎は腕っ節は強かったが特別頭がいいわけでも妖術使えるわけでもねぇんだ!そういう奴らの所にもいかなきゃあな」
舌切り雀「候補としちゃあそうだな…冷気を操る雪女、動植物の声を聞き取れるじーさん、あと強そうな奴を誰か…あぁ、飯食わない嫁さんがいたな。この中なら誰がいい?」
桃太郎「なんなのその選択肢…でも金太郎殿メッチャ強かったし、次は簡単に認めて貰えそうなところが良いから…飯食わない嫁さんで、いい?」
舌切り雀「おう、わかった。【食わず女房】の世界な。じゃあパパッと行くぞ」
桃太郎「あれっ?楽な場所選んだらすげー怒鳴られるかなって思ったけど大丈夫だった…なんだ!舌切り殿もなんだかんだで拙者のこと気遣ってくれてるんだな、ありがたいなぁ」
ライオン「あ、あのさ…多分だけど【食わず女房】って…多分、楽じゃないんじゃ…っていうかその人確か……」
舌切り雀「おい、よけいなこと言わなくていいぞ。楽しようとした罰だ」ヒソヒソ
桃太郎「よっし、この調子で次も頑張るか!バンバン認めて貰って自信つけて、アリスを倒してみせるぞ!」ハハハ

590 :◆oBwZbn5S8kKC :2016/07/25(月)01:20:29 ID:WJF
今日はここまで 『作者』編 次回へ続きます
桃太郎はきっと飯食べない嫁さんっていうのを少食の女性って意味だと思ったんでしょうね
でもその嫁さん、一筋縄じゃいかないんです。頑張れ桃太郎
おとぎ話【食わず女房】
http://ja.m.wikipedia.org/wiki/%E9%A3%9F%E3%82%8F%E3%81%9A%E5%A5%B3%E6%88%BF
次回、遂に『作者』そして物語の核心に触れます。
雪の女王がかつて訪れた現実世界のとある街、そこで出会った人物とは?
複数の作者の想いが交錯する『作者』編、次回をお楽しみに!

592 :名無しさん@おーぷん :2016/07/25(月)01:46:54 ID:XYW
乙!
金太郎がオズの魔法使い知ってるとかなんか凄いw
名前はメジャーなのに内容はマイナー…うん確かに…桃太郎とかに比べるとねぇ…
って言うか舌切り殿はおとぎ話間の移動できるんかい…有能

593 :名無しさん@おーぷん :2016/07/25(月)02:06:58 ID:961
乙です!
食わず女房といえばこどもの日だねえ小さい頃読んだのが懐かしい

594 :名無しさん@おーぷん :2016/07/25(月)02:18:34 ID:5Js
乙!
金太郎は知ってたけど、金太郎のおはなしを初めて知ったわ

595 :名無しさん@おーぷん :2016/07/25(月)08:02:25 ID:fTq
乙です!
確かに金太郎の話初めて知った…
次の話、桃ファイト(笑)
続き待ってます!!