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キモオタ「我輩がおとぎ話の世界に行くですとwww」ティンカーベル「そう」
Part145


439 :◆oBwZbn5S8kKC :2016/06/20(月)00:41:16 ID:bJm
キモオタ本体「分身して攪乱というのは以前、対悟空殿戦でグレーテル殿が使った策略でござるwww幻覚といえど圧倒的な数の暴力は精神に圧迫感を与えると同時に本体がどれだか分からないという一度で二度おいしい策略www」
キモオタ本体「惜しくもグレーテル殿の時は相手の悟空殿がリアルな分身を出せてしまったため無効化されてしまいましたがな…しかし女王殿に分身能力はないですぞ!これでかつる!しかも失策の再利用でエコロジーwww」
キモオタ本体「一人でさえキモい我輩が千人居るとなればキモさは千倍!密集することでおよそ三千倍のキモさ!このえげつない精神攻撃に耐えられますかな!?…ところでティンカーベル殿はどうしてだまっているのですかな?www」
ティンカーベル「ごめん…思ったより気持ち悪くて吐きそう」ウゥー
キモオタ本体「なん…ですと…!まさか味方のティンカーベル殿に被害が及ぶとは大誤算ですぞ!し、しかしこの様子ならば雪の女王殿も相当な精神ダメージを受けているはず…!」チラッ
雪の女王「……」ビュンッビュオンビュオン
キモオタ46「ぶひいぃぃっ!」ボウンッ
キモオタ673「ちょwww美女の足蹴で消えるとかwww」ボウンッ
キモオタ912「むしろご褒美(キリッ」ボウンッ
キモオタ本体「ぶひいぃぃっ!無言で分身を殴るアンド蹴るしてらっしゃる!」
雪の女王「確かにキモいが幻覚ならこうすれば消滅すると相場が決まっている、千人は面倒だがな」ドゴッ
キモオタ本体「や、やめるですぞぉ!これ結構精神にクルものありますぞぉぉ!」

440 :◆oBwZbn5S8kKC :2016/06/20(月)00:43:14 ID:bJm
雪の女王「ほぅ…ならばこういうのはどうだ?」ドゴォ
キモオタ235「ちょぶっwww顔面は無いですぞwww」ボウンッ
キモオタ本体「あああっ!我輩(分身)の顔面がさらに見るに耐えない姿にぃ!」
雪の女王「しかし一体ずつ消すのも面倒だな。凍りつけ、見るに耐えない分身共」フッ
パキパキパキパキパキィ
キモオタ本体「ぶひぃっ!?床の上に立っていた分身が動きを止められましたぞ!?ま、まさか女王殿…!」
女王殿「幻覚とはいえ醜い姿に生まれ無念だろう、最期くらいは美しく砕け散るが良い」ビュオッ パリーン
キモオタ本体「ぬああぁ!凍った我輩(分身)が砕けていくでござるぅー!」
雪の女王「……」ドゴォ パリーン ドゴォ パリーン
キモオタ本体「こ、股間とか顔面を重点的に蹴るのは止めてあげてほしいでござるぅ!」ウワアアア
ティンカーベル「うげー…げほげほっ」ゲロー
雪の女王「まったく…後先考えないからこうなるんだ、自分達が出した幻覚でダメージを受けるとは情けない、もう続行は不可能だな」フゥ
雪の女王「キモオタ、ティンカーベル。十五分休憩だ、その間に精神を落ち着けて…時間が来たら二戦目だ。次はしっかりとな」
キモオタ「うぅ…分かりましたぞ…」
ティンカーベル「わかった…それより冷たいお水ください…」
・・・

441 :◆oBwZbn5S8kKC :2016/06/20(月)00:45:11 ID:bJm
その夜
雪の女王の宮殿 客間
ティンカーベル「……あー、死んじゃうと思った、女王スパルタすぎるよぉ」パサッ
キモオタ「ティンカーベル殿が速攻でベッドに墜落とは珍しいですな…そして我輩もダメでござるー」ドサァ
ティンカーベル「今日は疲れた…心身ともにね…」
キモオタ「食事もまだだというのにもう眠りたい勢いですなぁ…」
ティンカーベル「お腹すんごく空いてるのに食べる気にならない…」
キモオタ「ガッツリ泳いだり全力で走りまくったりすると逆に食べられなくなったりするらしいですぞ…まぁどうでもいい情報ですな」
ティンカーベル「みんなも頑張ってるんだし、もっとキリッとしなきゃなんだろうけどとにかく疲れた…」
キモオタ「赤ずきん殿赤鬼殿は別のおとぎ話へ、桃太郎殿も新たな地で修行、ヘンゼル殿ドロシー殿は裸王殿のとこ、ラプンツェル殿はシェヘラザード殿の所…おそらくそれぞれ頑張ってるのでござろう、我々だけ弱音を吐くわけにもいきますまい」
ティンカーベル「まぁね…それに大変だっただけあっていろいろ分かったこともあるし、女王との戦いも最期の方ではうまい具合に連携取れたと思うよ私達」
キモオタ「それでも一度も女王殿を倒せず降参もさせられずでしたがな…」
ティンカーベル「まぁそれは…うん、勝つことが目的じゃないからね。あした頑張ろ、うん、明日また頑張ろう」
キモオタ「そうですな…食事をいただいて早めに休むとするでござる。こんな情けない姿を女王殿に見せるわけにもいきませんからな、切り替えていかねばwww」
・・・

442 :◆oBwZbn5S8kKC :2016/06/20(月)00:49:12 ID:bJm
同じ頃
アラビアンナイトの世界 王宮
ラプンツェル「ねーねー、シェヘラザード!お願いだってば〜!私も皆みたいにしゅぎょーがしたいんだよぉー!」
シェヘラザード「ダメです。ラプンツェルさんは勉学の為にこの場に居るのでしょう?戦いを教えるために招いたのではありません」
ラプンツェル「そんな事言わないでさー、今日だって一日中大変なお勉強頑張ったんだからご褒美として!ねっ?」
シェヘラザード「だからダメです。数字の勉強や物理の勉強だってあなたに必要なものですよ。あなたの髪の毛は自在に操れますがあくまでそれはあなたの意志で動く、あなた自身が賢くなれば今よりも効率的に髪の毛を操れるのですよ。だから…」
ラプンツェル「えーっ!?絶対に実戦っぽくしたほうがいいってば!こう、悪いとーぞくとかをぐるぐるっと一網打尽にするとか!」ワクワク
シェヘラザード「絶対にダメです、私はあなたのお母様と約束しているのです。危険な目に遭わせない、無茶をさせないと、ですからあなたは三日間勉強付けです」
ラプンツェル「えーっ!?実戦の方がいい!体動かしてる方が楽しいもん!だから実戦実戦!とーぞくとか退治しーたーいー!」ジタバタ
シェヘラザード「駄々っ子ですかあなたは…何をしてもダメです。賢くなれば効率的な支援や援護を見極められます、あなたの特性はサポートで真価を発揮すると私は考えてます。戦陣切って戦うのはもっと適した方に…」
ラプンツェル「やだー!私もたたかいたいんだよ!仲間外れっぽいじゃんー!」
シェヘラザード「そんな事はありません。ですから明日も私と勉強です」
ラプンツェル「ぐぬぬ…シェヘラザードの馬鹿!けちんぼ!」
シェヘラザード「また子供のように…でも好きに言いなさい、私はそんな挑発には乗りません」
ラプンツェル「シェヘラザードのいじっぱり!おたんこなす!」
シェヘラザード「はいはい、そうですね。明日も早いのですから今日はもう休んd」
ラプンツェル「シェヘラザードのちび!ぺたんこおっぱい!」
シェヘラザード「……ラプンツェルさん、こっちに来てください」
ラプンツェル「あっ、やっとお願い聞いてくれる気になった!?えへへっ、やったぁー…痛いっ!」ベチッ
シェヘラザード「他人の外見を蔑むなど最も卑劣な好意ですよ。明日、同じ時間から勉強の続きですからね」フイッ
ラプンツェル「むーっ…シェヘラザードのわからずや!もー私勝手にするからいいもんっ!」プンプン

443 :◆oBwZbn5S8kKC :2016/06/20(月)00:52:50 ID:bJm
今日はここまで 『作者』編 次回へ続きます
読んでくれてる人本当にありがとう!遅い時間なのにつきあってくれて感謝
外見的特徴を蔑むのは卑劣な好意!口にしてはいけません!byシェヘラザード
次回、ラプンツェルのやらかしタイム?
お楽しみに!

444 :名無しさん@おーぷん :2016/06/20(月)00:53:50 ID:AaJ
おつです!
卑劣な"行為" だよね、、?

446 :◆oBwZbn5S8kKC :2016/06/20(月)01:00:07 ID:bJm
>>444
行為ですね!
ラプンツェルの前に俺がやらかしててワロタwww
ワロタ…

447 :名無しさん@おーぷん :2016/06/20(月)01:38:52 ID:TMD
乙!
ぺたんこおっぱい…か…。………ふむ

448 :名無しさん@おーぷん :2016/06/20(月)02:15:22 ID:rse
乙です!
ラプンツェル南無(笑)
続き待ってます!!

449 :名無しさん@おーぷん :2016/06/20(月)06:43:17 ID:Vi0
カイくんかわいい
ラプンツェル……がんばれ

450 :名無しさん@おーぷん :2016/06/20(月)14:49:11 ID:Icb
千人のキモオタwどんな悪夢w
ってキモオタ自分でキモいって自覚あり過ぎだろw
しかしたとえどんなにキモかろうが私は君を愛してるぞ!(キリッ

465 :◆oBwZbn5S8kKC :2016/06/27(月)00:31:07 ID:fWS
翌朝…キモオタ達の作戦決行まであと2日
アラビアンナイトの世界 王宮 
給仕「失礼いたします。国王様、食後のお茶はいかがなさいますか?」スッ
国王「貰おう。今日は特に濃いめの茶を頼む、眠気が覚めるようなものをな」
給仕「かしこまりました。すぐにお持ちいたします」ペコリ スタスタ
国王「さて、茶を済ませたら大臣と会談の打ち合わせだ。数年ぶりに設けられた隣国の王との会談…私自身の行動が招いた結果とはいえ、ほぼ断絶状態にある国交を回復させるまたとない好機だ」
国王「隣国との関係を以前のように良好なものにできれば物資の流通も人の行き来も盛んになる、そうすれば市場は賑わい景気向上に繋がる。経済が活性化すれば国民の生活も潤うだろう」
シェヘラザード「……」カチャカチャ
国王「疲弊したこの国を蘇らせるにはまずそこからだ。他国からの信用は地に落ち、国に若い女は一人としていない、高齢化と労働力の偏り、我が国が…私が抱える問題はあまりに多い」
シェヘラザード「……」カチャカチャ
国王「だが余所へ行くこともなくこの地に残った国民や、会談に応じた隣国の王、そしてお前のようにこの国がかつての輝きを取り戻せると信じて居るものも居る」
国王「疲弊したこの国を立て直したいと言ったお前をあの日の私は夢物語だと一蹴したが…威厳も尊厳も地に落ちた私をそれでも王と認める者が居るのならば、私はその夢物語を現実にせねばなるまい。近頃、そう思えるようになったのだ」
シェヘラザード「……」カチャカチャ
国王「それにこの国が滅びてしまえば、お前の話す愉快で心躍る物語の数々を聞くことも出来なくなる。それは非常に……」
シェヘラザード「……」カチャカチャ
国王「…シェヘラザード、お前は魚を刻んでいるのか朝食を摂っているのか、どちらだ?皿の上が悲惨な事になっているが」
シェヘラザード「あっ…申し訳ありません。悩みごとと言いますか、少し考え事をしていましたので…とはいえ食物を粗末にするような無作法な真似、王妃としてあるまじき行い。どのような処罰でも受け入れる覚悟はできております」
国王「いや、構わん。その様子では私の話も聞いていなかったのではないか?」
シェヘラザード「……恥ずかしながら。陛下のお言葉を聞き漏らすなど妻としてあってはならぬこと、どのような処罰でもなさってください」
国王「もう良い、大したことは語っていない。忘れろ」
国王「だが普段はしっかりしているお前がこんな醜態を晒すなど余程の事だ。話してみろ、お前は何をそんなに悩んでいるのだ?」

466 :◆oBwZbn5S8kKC :2016/06/27(月)00:33:48 ID:fWS
シェヘラザード「いえ、陛下にお聞かせするような事ではございません。ごく個人的な他愛もないことですので」
国王「私にはそうは見えぬが?思えば昨夜も少々様子がおかしかったように思える」
シェヘラザード「いえ…私は平気です。それに本日は大切な会談の日、このようなことで陛下のお時間を浪費するわけにはいきません」
国王「問題ない。王妃とはいえお前はまだまだ小娘だ、悩み事などたかが知れている。それとも何か?この私に小娘の悩みを聞いてやるだけの余裕すら無いとでも思っているのか?」
シェヘラザード「いえ…滅相もありません。陛下がそう仰るのでしたら、少しだけ…聞いていただいてもよろしいですか?」
国王「構わん。私は夫婦の間に隠し事をするなど許さん、お前が悩んでいることは全て打ち明けよ」
シェヘラザード「でしたら…。実は昨日…その、ラプンツェルさんと口論になりまして…。いえ、口論というほど激しいものでは無いのかもしれませんが…」
国王「普段、お前はあの娘と随分と親しくしているではないか。何かお互いの主張が食い違うことでもあったのか?」
シェヘラザード「お察しの通りです…。どこから話したものか…以前陛下もお会いした事があるキモオタさん、覚えておられますか?」
国王「覚えている。あの強烈な容姿と言動…そうそう忘れられるものではない。妖精と旅をしている男だろう?あのどこか気持ちの悪い…」
シェヘラザード「えぇ、そうです。そのキモオタさんは旅をしながら様々な方を助けていて…近々、様々な場所で悪さをしている者との決戦を迎えているのです」
国王「ほう…あの男の旅先での話は実に興味深いものだったが、物見遊山の旅という訳ではないのだな。それで、それがお前とラプンツェルにどう関わってくる?」

467 :◆oBwZbn5S8kKC :2016/06/27(月)00:37:13 ID:fWS
シェヘラザード「ラプンツェルさんも私もキモオタさんの事情は知っていましたから、決戦が迫っていると聞いて私達も協力する事に決めたのです」
国王「…話の腰を折るぞ。あの娘はともかく、お前は王妃だ。協力するなとは言わないが、その内容によっては私はそれを止めさせねばならないぞ」
シェヘラザード「ご安心を。私はこの世界から…いえこの国から出て行くことはできません。ですから戦いの場に赴くような事はありません、今までと同じように私は陛下のお側にいます」
シェヘラザード(この世界【アラビアンナイト】はまだ結末を迎えていない。私は物語の筋書き上、毎夜毎夜、陛下にお話を聞かせるという役目がある…それを放棄すればこの世界は消えてしまう)
シェヘラザード(私は皆さんのように、直接キモオタさんの協力をすることが出来ない…残念ですが、この世界が消えてしまえば元も子もありません)
シェヘラザード「しかしラプンツェルさんは違います。彼女はもう居ても立っても居られないようで…キモオタさん達とともに戦い、力になりたいんだと強く思っていました」
国王「あの娘はそうだろうな。良くも悪くもじっとして居なさそうだ」
シェヘラザード「そうなんです…それが今回言い争いになった原因といいますか…。私はラプンツェルさんにはもっと学問に力を入れて欲しいのです、友のために戦うという意志は立派だと思いますが彼女はその…なんと言いますか…」
国王「知恵が足らないようだからな、あの娘は。それを懸念しているのだろう?」
シェヘラザード「…端的に言えばそうです。十年以上世間から隔絶されていたラプンツェルさんは最低限の知識しか身に付けていません。それに精神面が幼すぎます、思慮浅い部分も目立ちます」
シェヘラザード「あの長い髪の毛を操る魔法…体術を駆使すれば強敵を相手取る事もきっと出来ます。ですがラプンツェルさんの場合、精神や思考がその力に対して不足しています」
シェヘラザード「あの長い髪の毛…投げ縄や鎖のような武器は使い手の思考に左右されます。強力な力はうまく使えば敵を苦しめますが判断を誤れば見方を窮地に追い込むことにも…」
シェヘラザード「だから私はラプンツェルさんにもっと知識を与えなければならないんです。彼女のお母様であるゴーテルさんと約束しましたから」
シェヘラザード「そしてそれは戦う力を持たない私が唯一出来る協力なのです」

468 :◆oBwZbn5S8kKC :2016/06/27(月)00:40:37 ID:fWS
シェヘラザード「ですから私は実戦よりも知識面の強化を優先しました。ですがラプンツェルさんはもっと実戦的な訓練がしたいと考えていたのです」
国王「成る程な。そこで意見が分かれてしまったのか」
シェヘラザード「私はゴーテルさんから彼女をお預かりしている身。危険な目に遭わせるわけにはいきません。それなのに彼女は実戦的な訓練がしたいしたいと意見を曲げなくて…」
シェヘラザード「私は自分の考えに自信がありました、知識を固めることこそ必要であると。ですから聞く耳持たないつもりだったのですが…その、少し私の劣等感を刺激する悪口を言われたもので…手をあげてしまいました」
国王「お前が手をあげるとは…どのような言葉がお前の尊厳を傷付けたのかは知らないが、余程の暴言だったのだろうな」
シェヘラザード「おでこを叩いた程度ではあったのですが…暴力は暴力。意見が食い違い、少し悪口を言われたからと友人に暴力を振るうなど…王妃以前に人間として恥ずべき行い」
シェヘラザード「酷く後悔しました。この事はラプンツェルさんに謝るつもりです、ですが…彼女に会えばまた言い合いになる可能性もあります」
国王「ラプンツェルは考えを曲げない、お前も同様。ならば何度意見を交わそうとも平行線だな」
シェヘラザード「…陛下、私の考えは間違っているのでしょうか?ラプンツェルさんの言うように実戦的な特訓をするのが彼女のためなんでしょうか?」
国王「シェヘラザード、お前はどう思っているのだ?」
シェヘラザード「正直な気持ちを言うのなら、わからないというのが本音です。昨日までは自信を持っていた考えも、今は揺らいでしまっているのです…知識だ学問だと言っておきながら私がとった行動は異なる意見に対する暴力でしたから」
シェヘラザード「そして考えれば考えるほど、自分の意見を押し通して友人を失うのも、彼女の意見に合わせて友人が傷つくのも…今の私は両方共恐ろしいのです」

469 :◆oBwZbn5S8kKC :2016/06/27(月)00:44:55 ID:fWS
国王「事情はだいたい理解した。そう難しい問題ではないだろう」
シェヘラザード「私にはそうは思えません…。よろしければ陛下のお考えをお聞かせください」
国王「私ならばラプンツェルに実戦的な特訓をさせる。それを中心としつつ知識を得る時間も必ず取らせる」
シェヘラザード「両方する、ということですよね…でもそれではどちらも中途半端な仕上がりになってしまうと思うのですが…」
国王「悪く言えばそうだな。だが完璧を求める必要があるのか?ラプンツェルは戦士ではない、両方ともそこそこ出来ると考えれば寧ろ上々だと思わないか?」
シェヘラザード「それも一理あると言えばそうですが…」
国王「お前は完璧主義すぎる、高水準を求めすぎだ。ラプンツェルが身につけなければいけないのは効率的な戦い方でも無ければ強敵を倒す力でもない」
国王「死なないことだ、それは座学では実感しにくい。あの娘が戦うことは死と隣り合わせだと理解するには戦うしかない、しかし決死の覚悟で戦えとはいわない。適度に戦いの役に立てばそれでいい、先ほども言ったがラプンツェルは戦士ではない、多くを求める必要などない」
国王「知略を百、戦術はゼロ。知略をゼロ、戦術を百にするより知略五十、戦術五十にしたほうが臨機応変な立ち回りが出来るだろう、と私は考える。それに……」
シェヘラザード「…?」
国王「ラプンツェルにやりたくもない学問をじっとして受けられると思うか?あの破天荒で我が道を行くワガママ娘が、だ」
シェヘラザード「ふふっ……いえ、恐らく途中で投げ出してしまうと思います」

470 :◆oBwZbn5S8kKC :2016/06/27(月)00:48:25 ID:fWS
国王「なんだかんだ言ったところで全てはラプンツェル次第。頭を押さえつけて無理に勉強をさせても続かん。それなら『おまえの意見を飲んでやるから勉強もしろ』と諭す方がずっと懸命だ」
シェヘラザード「確かにそうですね…その方向に方針を変えてみます」
国王「あくまで私の考えだ、もっと良いやり方はあるかもしれないが…結局の所、この手の問題に正解など存在しない。あとはよく本人と話して決めるんだな」
シェヘラザード「わかりました。ありがとうございます、私一人では答えが出せずにいたので助かりました」
国王「小娘の悩み相談に乗る位は悪逆非道な国王と評判の私にでも容易いわ」
シェヘラザード「ふふっ、またその様なことを。近頃、国王様は変わったと皆さん口を揃えておっしゃっていますよ?」
国王「だとしたらそれはお前のおかげだ。お前という伴侶がいるから私は変わりつつあるのだろう。だから、あれだ…遠慮する必要は無いから悩みも思っていることも全て私に打ち明けよ、決して隠し事をしてくれるな」
国王「私はもう妻を疑いたくはない。妻を…お前を信じ続けていたいのだ」
シェヘラザード「ご安心ください。私は陛下を裏切るようなことは決していたしません、それだけは世界が滅ぼうと…有り得ないことです」
国王「…女の言うことは信じないと心に決めていた。だがお前の言葉は信じさせてもらうぞ」
シェヘラザード「はい、私も陛下がこの国を蘇らせることが出来ると信じております」
国王「うむ、任せよ。私が招いた事だ、始末は必ず付ける。だが今は…シェヘラザードよ、もう少し近くへ寄ってはくれぬか?」
シェヘラザード「はい、仰せのままに」スッ
・・・
給仕(やべぇ、お茶持ってきたけどめっちゃ入りづらい…)

471 :◆oBwZbn5S8kKC :2016/06/27(月)00:50:43 ID:fWS
給仕「どーしよコレ…。国王様が過去のトラウマを乗り越えられるなら俺自身も嬉しいんだけど、お茶持って行かなかったらそれはそれで怒られそうだし…」
給仕「この雰囲気の中突入できる奴なんていないだろ。いたとしたらなんかこう…空気読めない感じの、脳味噌はいってない感じの奴だろ…」
スタスタスタ
かかし「すまン、ちょっと聞きたいんだガ…国王とシェヘラザードが朝飯食べてる部屋ってここカ?」
給仕「あ、あぁそうだけど…。今ちょっといい雰囲気だから入るの止めといた方g」
かかし「そうカ!この部屋であってたカ!国王ー!シェヘラザードー!帰ってきたから挨拶しに来たゾ!」ズカズカ
シェヘラザード「か、かかしさん!?戻ってたんですねっ、お疲れさまでした」アワアワ
かかし「いや別に疲れてねぇけド…何を慌ててるんダ?」
国王「かかし。確かに私はお前に城の出入りを許可したが…部屋に入る前の声かけくらい常識だ。お前に脳がないのは知っているがその辺りは配慮しろ」
かかし「あー…なるほド、そりゃあすまんナ。そうだよナ、二人は夫婦なんだからいろいろあるよナ!俺の配慮が足らなかっタ!俺は出て行くから続きをやってくレ」
シェヘラザード「無茶言わないでください!もう気にしなくて良いですから。むしろ今出て行かないでください、気まずいですから」
国王「お前は動揺しすぎだ。まぁ良い、久々に友と会ってきたのだろう?土産話を聞かせてもらおうか」
かかし「フーム?まぁそう言うならそうするがヨ。人間の大人の心理はいまいちわからねぇナ…」
給仕「あいつのメンタルすげぇ…」

472 :◆oBwZbn5S8kKC :2016/06/27(月)00:53:35 ID:fWS
・・・
かかし「……っつーわけでナ、ドロシーとライオンの奴はキモオタ達と一緒に戦う事になっタ。俺とブリキはそれぞれ大人しくお留守番だナ!」
国王「成る程な。お前の共の話は以前聞いた。魔法の靴を履いた少女と臆病なライオン、ブリキの身体を持ったきこり…そしてかかしでありながら命が宿ったかかし…」
国王「お前達が出会って悪しき魔女を殺した話は実に心が躍った。そして今回、離れ離れになった仲間との奇跡の再会…そして少女ドロシーの決意!いやはや、やはり旅というものに憧れるな、私は」
かかし「国王はかわってるよナ、なんつーか冒険や旅の話好きすぎるっていうかヨ。俺みたいなかかしもすぐに受け入れてくれたしナ」
国王「私は昔から書物を読みや物語を聞くのが好きでな。シェヘラザードが話すおとぎ話も好きだがお前達のような旅人の実体験はそれとは違う心の高鳴りを感じるのだ」
シェヘラザード「陛下、どんなに疲れていても私のおとぎ話は必ず聞いてからお休みになられますものね」ウフフ
国王「お前の話は多忙な毎日を過ごす中で唯一の楽しみだ。しかし今回かかしは、以前キモオタの話にも出てきたあの半裸の国王の国に行ったと言うではないか!しかも以前聞いた話よりも国が栄えているように感じる」
国王「どういうことだ…国作りにはマニュアルも定石も存在しない、何が国家繁栄に繋がるかなど誰にも分からない。とはいえ半裸でありながら国をそこまで栄えさせるとは…」
かかし「興味あるなら裸王の国のこともっと話してやろうカ?後学のために色々と聞いてきたからナ、土産に貰った裸王マカロンもあるゾ」
国王「興味深い。興味深いが…もうあまり時間がない。だが続きが気になってしまうのは避けたい、また時間があるときに頼む」
かかし「そーかそーカ、じゃあまただナ。でもどうすっかナー、今日はシェヘラザードの勉強会無いんだロ?勉強会あるんだったらそっち行くけどナ、ちょっと街にでも行くカー」
シェヘラザード「大丈夫ですよかかしさん、今日もいつも通りの時間に勉強会やりますから。ラプンツェルさんにもお話ししてありますしね」
かかし「ン?どーゆうことダ?勉強会、今日はやらないってラプンツェルから聞いたゾ?」

473 :◆oBwZbn5S8kKC :2016/06/27(月)00:56:28 ID:fWS
シェヘラザード「どういうことですか?私は確かに昨日ラプンツェルさんに…。まさか私が話を聞いてあげなかったから拗ねてしまったとか…」
かかし「なんかあったのカ?確かにちょっといつもと違う感じではあったがナー」
シェヘラザード「実はかくかくしかじかで…。いつもと違うとは、どの辺りがでしょうか?」
かかし「いやナ、実は俺早朝にはもうこの世界に帰ってきてたんダ。でもあんまり早くに城に行っても悪いなってなってサ、仕方ないからその辺の鳥と話でもしようとシェヘラザードの実家の辺り通ったんだガ」
かかし「なんかラプンツェルがコソコソ抜け出しててたんだヨ。あのねぼすけが早朝にだゾ?」
シェヘラザード「確かにそれはおかしいですね。それで、どうしたんです?」
かかし「どーしたんだこんな朝早くにーってこえかけたんダ。したらこう言ってたぞ『今日はお勉強会ないから!だからお城に行かなくても良いしシェヘラザードに会わなくても大丈夫だよ!私のことも言わなくてもいいからね!』ってナ」
シェヘラザード「……わかりやすすぎますね」
国王「詰めが甘い娘だな。どこに出かけたか知らないが目的はハッキリしているな」
シェヘラザード「昨日私が反対したからもう勝手に自分で特訓することにしたんですね…すぐに追いかけて話をしないと…」
シェヘラザード「しかしラプンツェルさんは世界移動の手段も持っていませんし…遠くに行っているとは思えませんが…一体どこへ…」
かかし「この辺りにそんな事できる場所ないだろウ?」
チカチカッ
国王「シェヘラザード、今お前の指輪が光ったように見えたが?」
シェヘラザード(別のおとぎ話との通信用の指輪が…。ラプンツェルさんが居なくなったこのタイミングで連絡、嫌な予感しかしませんね…)
シェヘラザード「私は少し席を外します、かかしさん、申し訳ありませんがやはり今日は勉強会は中止させてください。陛下は会談の方、そろそろお急ぎくださいね。成功を祈っております」ペコリ
タッタッタッタッ

474 :◆oBwZbn5S8kKC :2016/06/27(月)00:58:48 ID:fWS
王宮 シェヘラザードの自室
チカチカッ
シェヘラザード「お待たせしてすいません、シェヘラザードです」スッ
???「ようやく通じたな。シェヘラザード!どうなっているんだこの状況は!」
シェヘラザード「まずは落ち着いてください。その声は【アリババと40人の盗賊】の世界のモルジアナですね?」
モルジアナ「あぁ、そうだよ!でもね、こっちは世界が消えちまうかもしれないってんだよ!落ち着いてなんか居られるかい!?」
シェヘラザード「世界が!?まさかアリスがそちらの世界へ…!」
モルジアナ「それならもっとわかりやすかったんだけどね。実はねこっちの世界で悪さをしている盗賊が何者かに退治されたんだよ」
シェヘラザード「あなたが退治するはずのあの盗賊団をですか!?だとしたらもう既に…!」
モルジアナ「あぁ、いや…あいつらとは別の盗賊団だ。こっちにはいくつもの盗賊団がしのぎを削ってるからな。今んとこ例の盗賊団は無事だ」
シェヘラザード「そうですか、それは一安心ですね…」
モルジアナ「だがな、そいつが例の盗賊団まで退治しちまったらアタシの出番が無くなっちまう!そうすりゃあ筋書きが変わってアタシもアリババもこの世界ごと消えちまうだろうが!」
シェヘラザード「それは避けねばなりません。何か手がかりはないのですか?盗賊団を捕まえたものがどこの誰で、どういった目的なのか」
モルジアナ「実はな、目星がついてるからお前に連絡したんだ。アタシの奴隷仲間がな、見たって言うんだよ。元々この世界には存在しない怪鳥をな」
モルジアナ「…それってよぉ、どうかんがえてもロック鳥だろ!あの軽率なクソゴミナンパ野郎が乗り回してる怪鳥のよぉ!」