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キモオタ「我輩がおとぎ話の世界に行くですとwww」ティンカーベル「そう」
Part141


273 :◆oBwZbn5S8kKC :2016/05/01(日)00:44:24 ID:2zx
ライオンの王「君が欲しているものは理解した。だが筋力や射撃の技術ではなく、敢えて連携を重要視する理由はなんなのだ?」
赤ずきん「知っての通り私の武器はマスケット。狩りに使うのならいざ知れず…戦いの場では銃口の先にいるのは敵だけではないのよ」
ライオンの王「ふむ、確かに…仲間と共闘するのならば銃を扱う君は必然的に後方支援の役割を担う。仲間と連携が取れねば援護射撃をしても十分な成果は得られぬだろう」
赤ずきん「成果を得られないならまだしも敵を狙った銃弾が仲間の背を貫くようなら…戦場に赴かない方がずっとマシよ、でもそういうわけにはいかない」
赤ずきん「私の仲間には力自慢の王様や日ノ本の侍のように接近戦を得意とする者が多いの、赤鬼もそう。だから遠距離から支援できる私がうまく立ち回れれば彼らはずっと優位に戦える」
赤ずきん「共闘の場だと私は自ら勝利を掴むよりも仲間の勝利を後押しする方が向いている。その役目を満足にこなすには筋力や技術よりも仲間との連携の方が必要だもの」
ライオンの王「うむ、いいだろう。君が自らの持ち味を理解し、それが最善だと考えるのならば我は君に力を貸s」
ネズミお嬢「ちぇぇーっい!!」バシッ
人魚姫の声『はぁっ!?お嬢がライオンの顔叩いた!?えっなに?どゆこと!?』
ライオンの王「ぬぅ、お嬢…いきなり何をするのだ」
ネズミお嬢「申し訳ないですけどちょっとだけ相談タイムを頂きますわよ!」
赤ずきん「えぇ、構わないわ。あなた達にも都合があるでしょうし」
ライオンの王「しかしお嬢、何も相談などする必要など…」
ネズミお嬢「何を気楽なことを!いいからちょっとあっちでお話ししますわよ!」
トテテテ

274 :◆oBwZbn5S8kKC :2016/05/01(日)00:47:57 ID:2zx
・・・
ネズミお嬢「まったく!おじ様はこの森の王様ですのよ!?あんなふうに安請け合いされては困りますわ!」プンスカ
ライオンの王「何を言う、協力を求める者に手を貸すのに立場など関係あるまい。それに我には『所詮は少女の言うことだ』などと一蹴するなどできぬ、あの覚悟が宿った瞳を見ればな」
ネズミお嬢「御託はどーでもいいのですわ!私にだってあの子が本気だってことぐらいわかりましてよ!問題は何を優先するかですわ!」
ネズミお嬢「あの子達に協力するとなれば私達はそっちに手を取られますわ…そうなればこの森の防衛や家畜狩りが疎かになるのではなくて!?」
ライオンの王「その心配はあるまい。家畜狩りはコヨーテ達に任せて問題ないだろう、森の防衛もリスやウサギに見張りを強化して貰えば十分だ。それとも皆が信用できないと?」
ネズミお嬢「ぐぬぬ、おじ様はあくまであの子達に協力するつもりですのね!?」
ライオンの王「人間に心を許すつもりはないが、彼女等は我々と同様におとぎ話の主人公だ。協力する理由はそれで十分だろう、お嬢は…そうは思えないのか?」
ネズミお嬢「私の個人的な想いとしては…まぁ赤ずきんの気持ちはわかりますわ。私が非力なねずみであるように彼女も非力な女の子、それを覆すために努力をしている点は共通してますし…」
ネズミお嬢「本音を言えば協力はしたいですわ。けれど私が優先すべきはこの森の皆の幸せと安全な生活、彼女には悪いですけど皆を天秤に掛ければどちらが重いかなんて一目瞭然ですもの」
ライオンの王「それは我とて同じ。だが…思い出さんかお嬢?我とお前が協力して森を守ろうと決めた当初、それはもうひどい戦いぶりだったな。連携も何もあったものではなかった」フフッ
ネズミお嬢「あー…あの頃はお互い何度も死にかけましたわね。全ッ然息があわずに無駄に怪我とかしましたし、ぶっちゃけ『なんで私の考えわからねぇんですのこのおっさん!』とか思ってましたわ!まぁ多分お互い様ですけど」
ライオンの王「まぁ…否定はせぬ。だが今は違う、外の世界にまで評判が届くほど我等の息はあっているらしい」
ライオンの王「ならば手を貸そうではないか。彼等が歩む道は我々が歩んできた道だ、今の我等ならその手を引くことが出来るのだからな」
ライオンの王「我はこれまで多くの者に助けられ生きてきた。故に我が助ける立場に立ったとき、必ずや手を尽くすと決めているのだ。これはお前に助けられた経験で学んだことなのだ、お嬢よ」
ネズミお嬢「むぅ、まぁ…いいですわ!森の皆は守る、あの子達の協力もする…ちょっと大変そうですけどやってやりますわ!この私とおじ様のコンビに不可能などありませんもの!」

275 :◆oBwZbn5S8kKC :2016/05/01(日)00:50:10 ID:2zx
・・・
ネズミお嬢「というわけで!協力して差し上げるということで意見がまとまりましたわ!」
赤ずきん「そう、断られたらどうしようかと思っていたわ。ありがとう、ライオンにお嬢」ニコッ
ネズミお嬢「今回は特別ですわ!本当は人間に手を貸したりなんかしないんですけど…おとぎ話の主人公のよしみですわ!感謝せよ!」
人魚姫の声『あはは、ドヤ顔じゃんお嬢ー。でもやったじゃん赤ずきん、これでシンデレラ救出に一歩近づいたくね?』ヘラヘラ
ライオンの王「ただし、誰とでも連携が取れるように…というのは難しい、時間が足りなすぎる。そもそも我等はそこまで器用ではない」
ライオンの王「故に赤ずきんと赤鬼、加えて人魚姫の連携を強化する事を重視する。それで構わないな?」
ネズミお嬢「つってもそこ完璧にしとけば赤鬼達以外の相手でもある程度の意志疎通は出来ると思うのですわ!」
赤ずきん「えぇ、異論はないわ。無理を言っているのはこっちだもの、それで十分よ」
赤鬼「となるとオイラも他人事じゃねぇなぁ。まぁハナからそのつもりではあったけどな」
ライオンの王「うむ、だが君にとって無駄なことではあるまい。人間との共存を望むのならば一人の人間とより深く付き合うというのは案外大切なことだと思うぞ」
赤鬼「あぁ、そいつぁ違いねぇ。よぉし、ひとつ気合い入れねぇとな!」
赤ずきん「えぇ、私は…私達は必ず新たな力を手にして戦いに臨む。時間は限られているけど、必ず結果を出してみせるわ」
人魚姫の声『ちょっと気負いすぎ気負いすぎー!まぁあたしに出来ることなんか知れてるけど、なんでもやってあげっからさ!あんま気負わずにいこーよ』ヘラヘラ
ネズミお嬢「そうと決まれば私のことは教官と呼んでいただきますわ!超絶スパルタでビシバシ鍛えてやるから覚悟しておけ!ですわ!」

276 :◆oBwZbn5S8kKC :2016/05/01(日)00:52:28 ID:2zx
場面は変わり…
裸の王様の世界 裸王の城 客間
司書「うふふっ、ドロシーちゃんはとても髪の毛が綺麗だね。クシに絡まないし、お手入れが行き届いてるのかな」サラサラ スッスッ
ドロシー「そ、そんなことないです!本当に何もかも自己流ですし最近はちゃんとお手入れも出来てなかったしあの、その…!」アワアワ
グレーテル「……」ムシャムシャ ジーッ
司書「はいっ、出来上がり。こんな感じでどうかなドロシーちゃん?可愛く結えてると私は思うけど…どう?」スッ
ドロシー「じゅ、十分すぎるくらいです!カンザスを離れてから自分で結ってたけどうまくいかなくて…こんなに可愛く結って貰えて嬉しいですっ!」アワアワ
司書「うふふっ、それは良かった。久しぶりにお友達に会うんだからおしゃれしなきゃね、女の子だもの」フフッ
ドロシー「あわわ…あの、ごめんなさい、ヘンゼル君のお姉さんとは初対面なのに髪まで結って貰って…本当すいません」ペコペコ
グレーテル「……」モグモグ ジーッ
司書「もう、ドロシーちゃんは謝るようなことしてないんだから。申し訳なさそうにしてるより笑顔の方が優しいけど強い心を持った【オズの魔法使い】のドロシーちゃんらしいよ?」ウフフ
ドロシー「そ、そんな事無いです…!私なんかより、あの、お姉さんの方がずっと綺麗で…優しくて綺麗なお姉さんって憧れちゃいます!だから、あの、ヘンゼル君が羨ましいですっ!」
司書「なんだか照れるなぁ、でも私はヘンゼルのお姉ちゃんじゃ無いの。むしろ妹かな」クスクス
ドロシー「えっ、そ、そうなんですか…?でも、妹ってグレーテルちゃんだけじゃ…?」
グレーテル「……」パクパク ジーッ
司書「うふふっ、ちょっと複雑な事情があるというか…それよりグレーテルもこっちにおいで。髪の毛、可愛く結ってあげるから」
グレーテル「……私、いい。お千代ちゃんはその人の髪の毛弄ってればいいよ……」プイッ

277 :◆oBwZbn5S8kKC :2016/05/01(日)00:56:16 ID:2zx
司書「もう、グレーテルったらどうして拗ねてるのー?」ウフフ
グレーテル「…拗ねてなんか無いよ…裸王様に貰ったお菓子食べるのが忙しいだけだよ…私のことなんかほっとけばいいんだよ…」サクサク
司書「もう、そんな事言って…もうすぐヘンゼルも帰ってくると思うよ?ご機嫌ななめのグレーテル見たらきっと心配すると思うけどなぁ?」
グレーテル「別に…少しは心配すればいいんだよ…。お兄ちゃんはもうちょっと私のことを気にするべきだよ…だからこれはやけ食いなんだよ…」プイッ モシャモシャ
司書(もぅ、兄妹の事になると強情になっちゃうのはヘンゼルと同じだなぁ…)
ドロシー「あ、あの…グレーテルちゃんなんだか機嫌悪いですね…わ、私のせいでしょうか…?」オドオド
司書「うーん…ドロシーちゃんが気にすること無いと思うなぁ、ちょっぴりやきもち焼いてるかもしれないけど」フフッ
ドロシー「わ、私がお姉さんに髪の毛を結って貰ったからですか?」
司書「それもあるかもだけど…ヘンゼルが自分に内緒で危ないことしようとしてることが原因の一つかもね…」
ドロシー「あっ…もしかしてヘンゼル君、アリスちゃんと戦うことをグレーテルちゃんに言ってなかったんですかね?」
司書「うん、私もグレーテルも…ヘンゼルがアリスちゃんと戦うってことは裸王様から聞いただけで、本人とは全然話せてないんだよ」
司書「何日か家を空けたと思ったら急に戻ってきて…それで半ば強引にこの世界へ一緒に来たけど、詳しいことは後で話すから待っていてって言ってまたすぐどこかへ行っちゃったし…」
ドロシー「あっ…それじゃお姉さんもグレーテルちゃんも心配ですよね、ヘンゼル君の事…」
司書「心配は心配だけど、ヘンゼルが自分で決めたことなら私はそれで良いと思ってる。自分を守るだけの魔力はあるし、どんな危険な戦いだとしても私達を残して死んじゃうような無茶は…しないと思うんだ」
ドロシー「そうなんですか…?」
司書「うん、ヘンゼルも知ってるから。死んでしまえば残された家族がどれだけ辛い思いをするかって事をね」

278 :◆oBwZbn5S8kKC :2016/05/01(日)00:59:30 ID:2zx
司書「だから私は怒ったり不安になったりしないけど、グレーテルは特にお兄ちゃん子だからなぁ…」
司書「怒ってるっていうよりも、他の事ならともかくアリスちゃんと戦うなんてすごく重大なことなのにヘンゼルが自分に話してさえくれないっていうのが悲しいのかも。それと同時にお兄ちゃんの力になれない自分が許せないのかもね」
ドロシー「とってもお兄ちゃん想いなんですね…私よりも年下なのに立派だなぁ…」モゴモゴ
司書「うふふっ、でもいつもはここまでふてくされたりしないから…もしかしたらあんな風に拗ねてるのは他の原因かもしれないなぁ?」ウフフ
ドロシー「他の原因…ですか?」
司書「うん、大好きなお兄ちゃんが可愛いガールフレンドを連れてきたからやきもち妬いてるんだよ、きっとね」クスクス
ドロシー「えぇっ!?ち、違いますよ!私はヘンゼル君と知り合ったばかりで友達って呼べるほどでもないですし、あと可愛くもないですし!お姉さんが思ってるような感じじゃ…無いです!」アワアワ
司書「そうなの?ヘンゼルが女の子の友達連れてくるなんて今まで無かったから、私てっきりそういうことだと思っちゃったなぁ」ウフフ
ドロシー「あわわ…からかわないでくださいよぉ…!」
スタスタ
グレーテル「聞こえちゃったよ…お千代ちゃん…女王様みたいな事言ってるけど…そんな事あり得ないよ…」ゴゴゴゴ
司書「もぅ、グレーテルったら…ちょっとした冗談だよ。だからそんなに怖い顔しないで、ねっ?」
グレーテル「冗談にはね…言っていい冗談と駄目な冗談があるんだよ…」
グレーテル「その人がお兄ちゃんのガールフレンドだなんて…有り得ないよ。だからそれは…言っちゃ駄目な方の冗談だよ…」

279 :◆oBwZbn5S8kKC :2016/05/01(日)01:01:25 ID:2zx
グレーテル「【オズの魔法使い】のドロシー…ちゃんだったっけ……?」
ドロシー「は、はいっ!そうです…!」ビクッ
グレーテル「今のお姉ちゃんの冗談……まさか本当だったり…しないよね…?」
ドロシー「し、しないよ!あ、あのね、グレーテルちゃん。私、ヘンゼル君とはそういうのじゃなくて…ただの仲間!仲間だよ!」
グレーテル「…知ってる。だってお兄ちゃんにガールフレンドなんか必要ないもん…」
グレーテル「…そんなのいらないんだよ…だってお兄ちゃんには私がいるもん。だからお兄ちゃんは私の側にいてくれればいいんだよ…友達なんか必要ないんだよ…」
ドロシー「あ、あの…えっと…」
グレーテル「絶対に…あり得ないことだけど……もしも私の大切なお兄ちゃんを奪うっていうなら…私は絶対にその人を許さないよ…?ドロシー…ちゃんもそうだよ?」
グレーテル「だから約束、してね?お兄ちゃんに手を出さないって…」
ドロシー「…う、うん。大丈夫…」
グレーテル「それならいいんだよ…でも、もし約束破ってお兄ちゃんのこと私から奪っちゃったりしたら……その時は」
グレーテル「かまど……だからね?」

280 :◆oBwZbn5S8kKC :2016/05/01(日)01:02:45 ID:2zx
グレーテル「…言いたいことは…それだけだよ…」フイッ
スタスタ チョコン
グレーテル「……」モグモグ
司書「もう…ごめんねドロシーちゃん、ビックリしたよね。後でちゃんと話しておくから、グレーテルのこと嫌いにならないであげてね?」
ドロシー「だ、大丈夫です…ちょっとびっくりしましたけど…それだけお兄ちゃんに事好きって事ですから。あっ、でも…グレーテルちゃんが言ってた『かまど』ってどういう意味なんですか…?」
司書「……」スッ
ドロシー「えっ、えっ!?なんで目をそらすんですか!?そんなに恐ろしい意味があるんですか…?」
司書「……あのね、グレーテルがああいうときに使う『かまど』っていうのは…その、なんというか…言いにくいんだけど……『お前をかまどに押し込んで殺s」
コンコンッ
筋肉質兵士「失礼いたします!こちらにドロシー様はいらっしゃいますか?」マッチョ
ドロシー「あっ、はい!わ、私です!」
筋肉質兵士「ご友人が別室でお待ちです。準備が整い次第そちらへ向かって欲しいとの事!準備が整いましたら声をおかけください、私が部屋までご案内いたします!」マッチョ
ドロシー「あっ…そ、それならもうお願いします!準備できてますから!」アワアワ
筋肉質兵士「そうですか!ではこちらへどうぞ!」マッスル
ドロシー「あ、あのお姉さん!お話の途中なのにすいません!皆のこと気になっちゃって…すいません!それじゃあ…私、行ってきます!」ドタドタドタ
司書「うん、気にしないで。それじゃあまたね、ドロシーちゃん」ウフフ

281 :◆oBwZbn5S8kKC :2016/05/01(日)01:07:12 ID:2zx
司書「…でもあんなに慌てて大丈夫かなドロシーちゃん、途中で転んだりしなきゃいいけど…。それより…」
スタスタ
司書「もう…グレーテル?あんな態度とっちゃ駄目でしょう?」
グレーテル「…知らない」プイッ
司書「こーらっ!いつまでも拗ねてないのっ!ほら、思ってること全部聞いてあげるよ。言ってみて?」ペチッ
グレーテル「…私はお兄ちゃんに側にいて欲しいだけなのにいっつも無茶してる…今回だって私に何も言ってくれないし…」
グレーテル「私は魔力もないし魔法使うと頭の中ふわふわしちゃうし…戦いに向いてないのはわかってるけど…話くらい聞けるのに、お兄ちゃんは私を頼ってくれない…それが悔しいよ」
グレーテル「お兄ちゃんが私のこと大切にしてくれてるの知ってる。でもそれは私だって同じなのに…私にはいっつも何もさせてくれない。私も一緒に戦う覚悟、出来てるのに…」
司書「うーん…私はどっちの気持ちも分かるからどっちかの味方はできないなぁ…」
司書「でもグレーテルがそう思ってるならヘンゼルに一度ちゃんと話そう?ヘンゼルが居ないところでいくら話しても伝わらないから」
グレーテル「そうする…いつもなんだかんだで私が思ってること、お兄ちゃんに伝えられてないから…」
司書「うん、ヘンゼルもきっとちゃんと話せば聞いてくれるよ。あとそれともう一つ……」
グレーテル「何かな…?」
司書「ヘンゼルのこと大好きなのはわかるけど、ドロシーちゃんちょっと怯えてたよ?もうあんな風に言っちゃ駄目っ!それにかまどっていうのも禁止!わかった?」
グレーテル「かまどはかまどだよ…私の大切なお兄ちゃんを奪う奴は誰であろうとかまどだよ…そこは譲れない…」
司書「もう…じゃあせめて口には出さないようにしよう?他の人は意味分からないと思うけど、私やヘンゼルからしたらただの殺意だってわかるんだからね?」
グレーテル「……一応、気をつける」フイッ

282 :◆oBwZbn5S8kKC :2016/05/01(日)01:12:19 ID:2zx
裸王の城 応接間前の廊下
筋肉質兵士「ドロシー様、到着いたしました。ここでご友人がお待ちです」マッスル
ドロシー「あっ、ありがとうございました。案内していただいて」ペコペコ
筋肉質兵士「いいえ、任務ですから!では私はこれで!」マッスル
ドロシー「……スゥーハァー。うぅ、この扉の向こうに皆がいるのかな…どんな顔して会えばいいのかな?私のせいで皆離ればなれになっちゃったんだし…」
ドロシー「あぁ…どうしよう、何を話したらいいんだろう…まず謝って…かぐやさん達によくして貰ったから辛くなかったよって話して、不安がらせないようにしなきゃ、きっと心配してくれるから…」
ドロシー「それからえーっとえーっと…」オロオロ
ガチャッ
裸王「マーッスルッ!このようなところで何を悩んでいるのかね?ドロシーよ!」マッスル
ドロシー「あっ、裸王様…!あぁ、すいません!私ったらみんなを待たせてしまって…!」アタフタ
裸王「なぁに!気にすることはないぞ!声が聞こえたのでな、入りづらく思っているのではないかと心配して出向いただけだ!」ハッハッハ
ドロシー「うぅ…すいません、なんだかいざとなると勇気が出なくて…」
裸王「むぅ?おかしな事を言うのだなドロシーは?」マッスル
ドロシー「そ、そうですか?わ、わたし勇気無いから…」オドオド
裸王「そもそも友と会うのに勇気など必要あるまい!」
裸王「友に会うのに必要なのは笑顔だけだ!不安なら練習するかね?さぁ私に続いてドロシーもやって見たまえ!せーのっ、マッスルスマーイルッ!」ニカッ
ドロシー「は、はいっ!ま、まっするすまいるーっ…」ニコッ
裸王「うむ!良い笑顔だ!皆、君に会えるのを心待ちにしているぞ!さぁ行こうではないか!」
ガチャッ

283 :◆oBwZbn5S8kKC :2016/05/01(日)01:17:39 ID:3JN
今日はここまで 『作者』編 次回へ続きます
ヘンゼルのシスコンぶりがヤバくて霞んでるだけでグレーテルのブラコンぶりも相当ヤバい
次回、ドロシー組ようやく再会
アリスと戦うというドロシーの選択。それに対して仲間達はどう動く?次回、お楽しみに

284 :名無しさん@おーぷん :2016/05/01(日)01:20:31 ID:Nsl
乙ー!
>ま、まっするすまいるーっ…
くっ…ドロシーに萌え!裸王にも萌え
グレーテルのじと目が目に浮かぶw成程…ドロシーの恋は前途多難だなマジで…

285 :名無しさん@おーぷん :2016/05/01(日)06:07:21 ID:6Xa
マッスルスマイルドロシーかわいい

286 :名無しさん@おーぷん :2016/05/01(日)10:19:33 ID:KIp
乙乙。ドロシー素直で可愛いなあ

314 :◆oBwZbn5S8kKC :2016/05/09(月)00:43:31 ID:au0
裸の王様の世界 裸王の城 応接間
ライオン「うわあぁぁぁ!ドロシーちゃああぁぁん!」ガバッ
ドロシー「ひゃあっ!」ドテッ
ライオン「あぁ!ご、ごめん…!あんまり嬉しくてついつい飛び出しちゃった…そりゃ僕みたいに図体だけ無駄に大きな奴が突然出てきたらビックリするよね、ごめんね驚かせちゃって…大丈夫?」アセアセ
ドロシー「ううん。ちょっと驚いただけだから平気、それより元気そうで良かった…会いたかったよライオンっ!」ギューッ
ライオン「うん、うん…!僕もだよ、ドロシーちゃんにまた出会えて本当に良かったよぉ〜。もう皆には二度と会えないかと思ってたもん」スリスリ
ドロシー「私もだよ…でもこうしてまたライオン達に会えたのはヘンゼル君のおかげだよ。後でたくさんお礼をしなきゃだね」グスングスン
ライオン「そうだよ、そうだよねぇ。ヘンゼル君が手を貸してくれなかったら僕、ここに来る方法無かったもん。感謝してもしきれないくらいだよぉ〜、後で一緒に行こうね?」
かかし「おウ、ヘンゼルに礼をするってんなら俺もつきあうゾ。俺もあいつには世話になっちまったからナ」スタスタ
ドロシー「かかしっ!かかしも無事みたいで良かった…!」ウルッ
かかし「あァ、どうにかピンピンしてるゼ。お前こそ大きな怪我も無いみてぇだナ、まずは一安心ってところダ」
ドロシー「うぅ…良かった、良かったよぉ。実はかかしだけはもしかしたら無事でいられないかもって思ってて…」ボロボロ
かかし「泣くナ泣くナ!まぁブリキやライオンと違って俺は脆いからなァ、容易く壊せるし簡単に燃えちまウ。痛みも感じず疲れもしない身体だガ、実際は生身のドロシーよりもずっとずっと脆いからナ。なんたって俺はワラで出来たかかしダ」ハハハ
ドロシー「もぅ笑い事じゃないよ〜…」グスングスン
かかし「まぁいいじゃねぇカ、結局こうして無事でいられたんダ。確かに災難だったけが俺やライオンは飛ばされた先に恵まれてタ、さほど苦労も無かったしナ」
ライオン「そうだねぇ、でも…僕達は無事だったけど…ブリキはちょっと無事とは言えないよねボロボロだし…僕、仲間なのに何もしてあげられなかったよ…」ショボーン
かかし「仕方ねぇヨ、気の毒には思うが…ありゃあほとんど自業自得ダ。だがドロシー、早くあいつに元気な顔見せてやりナ。お前のことを一番心配してたのはあいつだろうしナ」
ライオン「うんうん、こっちに来ないのは今回のことが自分のせいだって思ってるからじゃないかなぁ?そんな事気にしなくて良いのに…ドロシーちゃん言ってあげてよ、気にしなくていいよって」
ドロシー「う、うん!私、行ってくる!」タッタッタッ

315 :◆oBwZbn5S8kKC :2016/05/09(月)00:45:17 ID:au0
ドロシー「ブリキっ!」タッタッタッ
ブリキ「ドロシー…悪かった、苦労をかけてしまった」ギシッ
ドロシー「い、いいよそんなの!ブリキも大変だったみたいだし…」
ドロシー「あうぅ…ヘンゼル君から聞いてはいたけどひどい怪我…!こんなになるまで無理しちゃ駄目だよ!もう誰もブリキのこと直せないんだよ?魔法の靴は奪われちゃったし…」
ブリキ「…問題ない、自分の意志でやったことだ。それにこれは怪我じゃない、破損…そう呼ぶのが適切だ。俺の身体は生身じゃないから怪我なんて言い方は適切じゃあない」ギシッ
ドロシー「またそんな事言って…いくら痛くなくて血も出ないって言ってもこんなにボロボロだったらそれはもう怪我だよ!」
ドロシー「聞いたよ?ブリキはなんとかして別世界へ渡ろうとしてたんだよね。その手段を見つけるために街で大暴れして…それでそんな怪我をしちゃったんだよね?私達を助けるために…」
ブリキ「…その通りだが、この破損は自業自得だ。今思えば…裸の王にも迷惑をかけてしまった、だがお前たちが心を痛める心配など一切ありはしない、全ては俺の責任だ」ギギッ
ドロシー「そ、それは裸王様達にちゃんと償いしなきゃだけど…でも私達を助けるためにやってくれたって事は本当でしょ?そんな言い方は寂しいよ…」
ブリキ「…これは俺の身勝手な行動の結果だ。アリスに利用されることを選んだのも俺ならば、薬に侵されたお前を放置していたのも俺だ。お前を救おうとした結果、ひどく傷つけてしまったのも俺だ」
ドロシー「で、でも…」
ブリキ「その結果、かかしやライオンを裏切り…お前に容易く拭えないほどの大きな汚名を着せた。挙げ句、アリスに見限られて皆が別々の世界へ飛ばされた。仲間を傷付け離散させた責任は全て俺にある」
ドロシー「そんなことないよ!私だって何にも気づかずに悪い夢だと思ってたし…ブリキ一人のせいなんかじゃないよ!」
ブリキ「…お前の言葉はいつだって優しい。長く厳しい旅の途中、それに救われたことも奮い立った事も数えきれない程だ。だが…」
ブリキ「今回ばかりはお前の優しさに甘えることは許されない。今の俺はお前に優しくして貰う資格などありはしない」

316 :◆oBwZbn5S8kKC :2016/05/09(月)00:46:26 ID:au0
ドロシー「そんなことないよ!仲間でしょ!ブリキはちょっと方法を間違えてただけだよ、かかしもライオンもそれに私だって気にしてないよ!運が悪かっただけ、そうでしょ?」
ブリキ「運は確かに悪かった。だが俺がもっとうまくやっていれば…こんな事にはならなかった。俺が選択を間違えなければ…お前を苦しめずに済んだはずだ」
ドロシー「誰が悪いとか悪くないとかじゃないよ…ブリキの悪いところはいっつもそうやって自分独りで抱えるところだよ!昔っからそうだもん…そりゃあ私はあんまり頼りになんないけど…」
ブリキ「そうじゃない。問題を解決するにあたって苦痛な出来事があったとしても心の無い俺なら無傷で済む、それだけの話だ」
スタスタ
かかし「なんか穏やかじゃねぇナと思って来てみりゃあ案の定かヨ…」
ライオン「心配した通りだよぉ…皆がこうして揃ったんだから素直に喜んじゃ駄目なのかなぁ?僕は喜んでいいと思うんだけど…」
ドロシー「かかし、ライオン…!二人も何か言ってあげてよ、ブリキは全部自分が悪いって言ってて…でもそんなことないよね?」
ライオン「もちろんだよぉ、誰が悪いとか話したって仕方n」
かかし「何言ってんだドロシー、今回の件は全部ブリキのやり方が悪かっタ。それは間違いねぇだロ」
ドロシー「ちょ、ちょっとかかし…私が言って欲しかったのはそういう事じゃなくて…もっとフォローして欲しくてあの…」アワアワ
かかし「なんだフォローっテ、傷の舐め合いに意味なんかねぇヨ。俺達にも非はあったけどヨ、基本こいつが独りで解決しようとして失敗したせいでこんな事になっちまっタ。それは揺るぎない事実だろうガ

ドロシー「で、でも…私達ずっと一緒に旅してきた仲間なんだよ?ブリキだけを責めるなんて冷たいよ…そんなの友達のすることじゃないよ…」
かかし「俺はそうは思わないゾ?仲間だからこそ悪い事は悪いって言うべきだろうガ、ブリキが言うようにもっとうまク…そうだナ、俺やライオンに相談してくれりゃあもっとマシな結果になったかも知れねぇだロ?」
ブリキ「…お前の言うとおりだ。相談すべきだったな」ギシッ
かかし「なぁブリキ、俺達はこれからも旅を続ける仲間なんだからよォ。また独りで突っ走ってそのたびにこっちが割を食うのはごめんだゼ?」

317 :◆oBwZbn5S8kKC :2016/05/09(月)00:48:02 ID:au0
ライオン「うんうん、僕達はこれからも一緒だもんねぇ。僕臆病すぎてアレだけど、相談くらいには乗れない気がしないでもないから次はちゃんと話してくれても大丈夫だよ、多分…」
ブリキ「…解った、今後はそうしよう」
かかし「まぁ俺ももう昔みてぇな無能じゃねぇからナ、頭数にはなれるゼ」
ドロシー「でも私びっくりしちゃった、かかしがあんまり冷たい言い方するからブリキのこと許さないのかと思っちゃったよ…」オドオド
かかし「まぁ色々と言いたいことはあるがナ。そもそも俺達は普通じゃない集まりなんだからイザコザがあって当たり前くらいに考えてた方がいいんだヨ」
ライオン「そうだねぇ、ブリキの身体の木こり、喋って動けるかかし、魔法の靴の女の子…今はその靴ないけど。あとライオンの癖に勇気がなくて臆病で役に立たない僕、確かに珍しい組み合わせだよねぇ」
ドロシー「そ、そんなに卑下しなくてもいいのに…」
ブリキ「そうか…しかし、構わないのか?俺はあれだけのことをしでかした、それでもお前たちは俺を仲間だと言ってくれるのか…?」
かかし「だからそう言ってるじゃねぇカ、前となんも変わりぁしねぇヨ。その代わり俺がなんかしでかした時は大目に見てくれヨ?」ハハハ
ライオン「あ、僕も…!一番僕がやらかしそうだから…その時は目をつぶって欲しいなぁ…」チラッ
ブリキ「あぁ、解った。だが…ドロシー、お前はどうだ?なにしろお前が一番の被害者だ…今でも俺を仲間だと呼んでくれるか?」
ドロシー「もうっ、そんな当たり前のこと聞かれても困っちゃうよ。何があってもみんなは私の大切な仲間だよ、そんなの当然だよっ」ニコッ
ブリキ「そうか…ヘンゼルに頼んでお前たちと再会できることになったものの、俺には合わせる顔がなかったからな…もう仲間だと思われなくても仕方ないと覚悟していたが」
ブリキ「お前たちの気持ちを聞いて……正直、安心した。俺に非があるとわかっていても、縁を切られたらどうしようかと、内心恐れていた」
ブリキ「俺には心が無いはずなのに…仲間を失うことを恐れるなんておかしい話だがな」