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キモオタ「我輩がおとぎ話の世界に行くですとwww」ティンカーベル「そう」
Part140


231 :◆oBwZbn5S8kKC :2016/04/24(日)00:52:08 ID:ruY
ライオンの王「……ふっ」
ネズミ「?」
ライオンの王「フハハハッ!何を言うかと思えば恩返しだと?貴様のような小さなネズミの娘が!百獣の王である我に恩を返す?
ハッハッハッ!愉快なことを抜かす小娘よ!」
ネズミ「はい!それはもうバッチリ恩を返させてもr…うぐぅっ!」
ガッ
ライオンの王「この期に及んで我に舐めてかかる気概は認めてやろうだが…命惜しさに適当なことを抜かすなよ小娘?貴様に何ができる?我の爪の先ほどの身体しか持たぬちっぽけな貴様に」ギロリ
ネズミ「それは…今から考えます!」キリッ
ライオンの王「……愚か者が、冥界にて己の愚行を悔いていろ」グアァァ
ネズミ「うわー!すいませんでした本当すいませんでした!もう何でもするんで助けてください!まだ死にたくないんです!ご勘弁をご勘弁をー!うわー!誰かー!この哀れなネズミをお助けくださいー!ぎゃー!ぎゃー!おかーさーん!」ウワァァ
ライオンの王「……チッ、やかましい小娘が」ポイッ
ネズミ「べぶっ!ちょ、顔面打ちましたよ!?あっ、でも見逃してくれるって事ですよね?うわー、嬉しいです!ありがとうございます!」
ライオンの王「貴様の声は耳につく。ギャーギャーと怯えて喚く貴様の顔を見ているうちに食欲が失せた、それだけだ」フイッ
ネズミ「微妙に失礼な気がしますけど…でも助かりました!よっ!さすが王様!」
ライオンの王「次は無いと思え。王たる我に無礼を働いたことを悔い、その姿を二度と我の前に晒すな」ノシノシ

232 :◆oBwZbn5S8kKC :2016/04/24(日)00:53:31 ID:ruY
それから数日後 同じく森の中
ギャーギャー
ライオンの王「フハハハッ!群れで挑めば適うとでも思ったか雑魚共ォ!」ズバーッ!
オオカミ1「グオオォォッ!なんて強さだ…手も足もでねぇ!」ズサーッ
オオカミ2「数の優位はこっちにあるってのに…!仕方ねぇ!撤退だテメェら!」ダダッ
ライオンの王「王者に刃向かっておきながら都合が悪くなれば引くなど…許されるはずなかろう」ヒュッ
オオカミ1「ま、回り込んだ!?あの距離を、この一瞬でだとぉ!?」ジリッ
オオカミ2「チィッ!散れ散れぇ!一カ所に固まってたら殺されちまうぞ!一匹でも多く縄張りまで戻れぇ!」ワオーン
ライオンの王「無駄だ、楯突く愚か者共を蹂躙できねば王など務まらん…さぁ覚悟を決めろ弱き者共よ」ガォォォ
ザシュッ
・・・
ライオンの王「…この辺りの狼は骨のある連中だと聞いていたが他愛もない。王たる我にかかれば稚児も同然よ」
ライオンの王「さてこの骸の山をどうするか、ひと暴れして空腹ではあるが…狼の肉は臭みが強く我好みでは無い。わざわざ我が口にせずともじきに朽ち果てるだろう」ノシノシ
ライオンの王「だがこの空腹感はいかんともしがたい。先の狼共との騒ぎで草を食う連中は遠くへ逃げただろう…が、狩りに出かけるのも面倒だ。近場に手頃な食料が転がっていないものか…ん?」ノシノシ
鹿の死体「」
ライオンの王「鹿の亡骸…か、脚を折って動けなくなったとみえる。丁度良い、どうやら先ほど死んだばかりでまだ新鮮だ、こいつを食らうとしよう」ノシノシ
ビュンッ
ライオンの王「ぬおぉっ!?何事か!?」バサーッ!

233 :◆oBwZbn5S8kKC :2016/04/24(日)00:55:39 ID:ruY
ライオンの王「クッ…!我としたことが人間の仕掛けた罠にかかるなど…屈辱だ。空腹で思考が鈍ったか…」ブラーン
ライオンの王「だが案ずる必要など無い、我は王なのだ。この様な網など我が牙と爪をもってすれば……」ジタバタ
ライオンの王「なんたることだ…!網が体に食い込み身動きがとれん!爪も牙も届かぬ…!これでは罠から抜けられんではないか…!」ギリッ
ザッ
ライオンの王(何者かの足音…狩人か!?)
子狐「…あっ、うめき声が聞こえると思ったらライオンさんが人間の罠に!大丈夫ですか…?」トテトテ
ライオンの王「ぬぅ、無様なことこの上ないが…難儀している。貴様、この網を破ってはくれんか?我の爪は届きそうもないのだ」
子狐「うん、困ってるみたいだし助けてあg」
親狐「待ちなさい!目を離した隙にこんな所まで来て…余計なことをしては駄目よ!」タッタッタッ
子狐「えっ?どうして?ライオンさん困ってるしこのままじゃ狩人に…」
親狐「相手はライオンなのよ?きっと縄を解いた瞬間に私達に襲いかかってくるに違いないわよ、助けを求めていると見せかけてね」
ライオンの王「貴様…!我を愚弄するか!このライオン、そのような恥知らずな真似をする程落ちぶれておらぬわ!」グオォ!
親狐「ひ、ひぃぃ!ほらごらんなさい!早く逃げるわよ!」スタスタスタ
ライオンの王「ぐっ…しまった、助けを求めるはずが…!」

234 :◆oBwZbn5S8kKC :2016/04/24(日)00:56:57 ID:ruY
数時間後
ライオンの王「……」ブラーン
ライオンの王(あれから誰も通らぬ…おそらくあの狐の親子が周囲に伝え回ったのだろう。奴等にとって我は天敵…仕方あるまい)
ザッザッ
コヨーテ後輩「ひょーっwww先輩ー!ライオンの奴マジで罠にかかってるッスわwww」マジウケル
コヨーテ先輩「狐が言って回ってたのはマジだって事かよwwwマジパネェwww」
ライオンの王「貴様らコヨーテの…我を笑い物にするために来たのか?暇な連中め」ギリッ
コヨーテ後輩「まぁそんな所ッスわwwwなんか狼の連中も死んでたし、これでようやく俺らの天下ッスね先輩www」
コヨーテ先輩「おうよwww長かったわー、王様ヅラしやがるライオンとクソ厄介な狼共が消えるまで長かったわーwww」
コヨーテ後輩「これからは先輩がこの森の支配者ッスよwwwキングッスよキングwww」
コヨーテ先輩「おいおいマジで?www俺マジで支配しちゃうよ?www」
アハハハハ スタスタ
ライオンの王「チンピラ共が…」チッ
ライオンの王(…だが当然か、我は今まで狐を食いコヨーテを虐げて生きてきた。当然恨みも買っている、我を救おうなどという酔狂な者などこの森には居はしない…皆、我が死す事で何らかの利があるのだからな)
ライオンの王「無様なものよ…王だ王だと言っておきながら危機を脱することもできず、この森には誰一人我の身を案ずるものなどいやしない…」
ライオンの王「この森の王だと思っていたのは我だけと言うわけか…」

235 :◆oBwZbn5S8kKC :2016/04/24(日)01:01:05 ID:ruY
さらに数時間後
ホーホー…ホーホー…
ライオンの王(もう夜も更けた…だが以前状況は変わらぬまま…)
ライオンの王(おそらく夜が明け、陽が高くなれば狩人は罠の確認をするためにこの場に戻ってくる。その時が我の命尽きるときというわけか…)
ライオンの王(百獣の王が聞いて呆れる、あれだけ威張り散らして他の種族を見下し…その最期がこのような網の中なのだからな)
ライオンの王(我は…王などではなかった。ただの…狩人に捕らえられた無様な獣よ)
ライオンの王「だが…せめて散り際だけは威風堂々とあろう。無様に足掻いたりせず、不運に嘆いたりせず運命に身を任せ…素直に死を迎えよう」
ライオンの王「それだけが…今の我に出来る、王らしき振る舞いよ」
スタタタ
ネズミお嬢「諦めるのはまだ早いですわよ!ライオンのおじ様!」スタッ
ライオンの王「お前は…あの時、気まぐれで逃がしてやったネズミの娘か…?」
ネズミお嬢「そうですとも!遅くなって申し訳なかったですわ!少々町まで出かけてましたの。でも私が来たからにはもう大丈夫でしてよ!こんな網なんかカリカリかじってやりますわ!」
カリカリカリカリカリ ブチッ
ライオンの王「お前は…我を助けようというのか!?他の者共は我に見向きもしなかったというのに、何故だ…!」
ネズミお嬢「あら?もしかしておじ様お忘れですの?つい先日のことですのに」カリカリカリカリカリ ブチッ
ネズミお嬢「私、約束しましたわよ?必ずや恩返しをすると、今がまさにそのときなのですわ!」

236 :◆oBwZbn5S8kKC :2016/04/24(日)01:04:27 ID:ruY
カリカリカリカリカリ カリカリカリカリカリ
ネズミお嬢「あーっ、アゴが疲れてきましたわ!でもこれで最後ですわよ!」カリカリカリカリカリ ブチッ
ドサッ
ライオンの王「…夢では無かろうか。もう絶望しかなかった、死を覚悟していたというのに…またこうして生きて大地の上に立つことができるとは…思わなかった!」スタッ
ネズミお嬢「それは良かったですわ!私もひとまず恩を返すことができて嬉しいのですわ!」フフン
ライオンの王「ネズミの娘よ…我はお前などとるに足らぬちっぽけな存在だと思っていた。お前を見逃し恩返しの約束をしたことすらも忘れていた、そんな事は不可能だと思っていたのでな…」
ライオンの王「だが…お前は我を救ってくれた。どうか礼を言わせてくれ、そして許してはくれんか…あの日お前を虐げたことを」ペコリ
ネズミお嬢「もう気にしてないのですわ!それより王様であるおじ様がペコペコしてちゃいけませんわよ!もっと威厳をこうガッと示して欲しいものですわ!」ガッ
ライオンの王「王…か、今となってはなんの意味もない言葉よ。我は王などではなかった、このような状況に陥ってようやくそのことに気づけたのだ」
ネズミお嬢「そうですの?」
ライオンの王「あぁ、我は自分がもっとも優れていると思っていたが…罠に捕らわれ何もできなかった。周囲の助けを得ることもできずに、王と呼ぶにはあまりにも無力だ」
ネズミお嬢「うーん、困りましたわね…私、そもそも恩返しをするためにおじ様の側近になろうと思っていたのですわ!そのためにわざわざ町の金持ちの家に行ってお嬢様言葉を学んできたのですわ!」
ネズミお嬢「なにしろ私、形からはいるタイプなのですわ」ドヤァ
ライオンの王「側近…か。気持ちはありがたいが我はもう恩を返して貰っている、それに何度もいうがもはや我は王では…」
ネズミお嬢「じゃあこうするのですわ!おじ様が王でないというのならば…いっそのこと本当に王様になっちゃいましょう!」
ライオンの王「王に…なるだと?この無様な我が、本当の意味での王に…?」

237 :◆oBwZbn5S8kKC :2016/04/24(日)01:09:45 ID:ruY
ネズミお嬢「無様かどうかは知らないですけど、まぁそう言うことですわ!」
ネズミお嬢「私は全力でおじ様のサポートをしますわ!ですのでおじ様は全力で王になってくださいまし!全力で頑張れば何でもできる!ですわ!」
ライオンの王「……そうだな、今までの我は思い違いをしていた。だがそれに気づけた今、真の王者になることは可能か」
ネズミお嬢「そうですわ!おじ様がなりたい王様とはどんな姿なのかわかりませんけど、思い描く王様におじ様なら必ずなれますわ!」
ネズミお嬢「なにしろ私という側近がついているのですもの!」フフン
ライオンの王「一度は死を覚悟した身、死ぬ気で挑戦してみるのも一つの手か…だが、お前が我の側近になるというのは断らせて貰おう」
ネズミお嬢「ガーン!ここまで盛り上がっておきながら断るんですの!?」
ライオンの王「あぁ、側近は必要ない。ただ…お前さえよければ我が友として、王となる道を共に歩んではくれぬか?」
ネズミお嬢「もっちろん良いですとも!共にこの森の王様、目指しちゃいましょう!それでは誓いのハイターッチ!ですわ!」ハイターッチ
ライオンの王「うむ、よろしく頼むぞ小娘……いいや、お嬢よ」ハイターッチ

238 :◆oBwZbn5S8kKC :2016/04/24(日)01:13:13 ID:ruY
キリの良いところで今日はここまで、続きは明日か明後日には更新できそうですわ!(お嬢感)
『作者』編 次回に続きます

239 :名無しさん@おーぷん :2016/04/24(日)01:16:54 ID:jH2
ハイターッチ乙!
ノシノシ
…を見る度、ライオンの王がめっちゃ手を振ってる姿が浮かんでしまうのですがwww

243 :名無しさん@おーぷん :2016/04/24(日)17:03:15 ID:VoA
乙です!
いやぁ、ねずみのキャラ(笑)
続き待ってます!!

244 :名無しさん@おーぷん :2016/04/24(日)23:24:39 ID:ikM
コヨーテ先輩マジかっけえっす

251 :◆oBwZbn5S8kKC :2016/04/27(水)00:33:18 ID:WT7
・・・
ライオンの王「それからというもの、我は他の者を見下すのはやめた。体の大小や力の強弱は些細なこと、それに優劣を付けることなど愚かしいことだと悟った」
ライオンの王「とはいえ周囲から疎まれている我が本当の意味でこの森の王になるには長い時間と多くの苦労が必要だった…それでも森の皆の協力とお嬢の助力のおかげで我は名実ともに森の王になることができたのだ」
ネズミお嬢「そうですの!今となってはおじ様はこの森では誰もが認める王様でしてよ!」
ライオンの王「うむ、これが我々が経験してきた事柄。そしておとぎ話【ライオンとねずみ】の大まかな筋書きだ」
人魚の声『なるほどねぇ〜、小さなねずみでも大きなライオンを助ける力があるって事かぁ、いいおとぎ話じゃーん!』
ライオンの王「我にとっては気まぐれで与えたちっぽけな恩だったが…それは巡り巡って自分自身の命を救う結果になったのだ。それが我々のおとぎ話の教訓といったところか」
赤鬼「情けは人の為ならず…か。絶体絶命の危機から脱して更に信頼できる仲間に出会えて森を統治して…どこでどうなるかわかんねぇな」
赤ずきん「そうね。それにやっぱり本人に聞くと細かい心情や事情が知れて良いわね、私がおばあちゃんから聞いたおとぎ話では王様云々のくだりはなかったもの」
人魚姫の声『そーなんだ?おとぎ話の筋書きは私達の運命そのものだと思ってたけど、細かいところまで物語になってるわけじゃないのかねー?』
赤ずきん「推測だけど…おとぎ話の『物語』は私達登場人物の『運命の一部分』でしかないのでしょう。私の物語は『お使いの途中に狼に騙された一日』だけど、私の人生はその一日だけじゃないもの」
赤ずきん「おとぎ話の【赤ずきん】では触れられていないけれどそれまでだって私は村で生活していたわけだし、狼を退治した後だって私は村で暮らしていったでしょうしね。
おとぎ話として語られている部分が全てではないのよ」
ライオンの王「うむ、おとぎ話の世界という存在は我々もよく知らぬ。何故、現実世界で記された物語でしかない我々の世界が異世界という形で存在するのか?など…わからぬ事は多い」
赤ずきん「確かにそうね、現実世界でおとぎ話が忘れ去られればその世界は消える。逆になんらかの干渉でおとぎ話の世界が消えれば現実世界からその物語は消える…それも考えてみればおかしな話よ
二つの世界は互いにその影響を受けている、それなのにほとんどの人間は異世界の存在を知らない」
ライオンの王「おとぎ話の世界はどこから来て、なんのために存在し…そしてどこへ向かおうとしているのか?
我を含め、その事になんらかの答えを導き出している者は多くいるだろうが…その答えが正解かどうかは誰にも解らぬ、そもそも正解などというものがあるかどうかすらな…」
人魚姫の声『なるほど。あたしの頭じゃ理解しきれないってことはわかった』キリッ
ネズミお嬢「小難しい話はめんどくさくなるからやめて欲しいのですわ!」
ライオンの王「うむ…少々話がそれてしまったな。考え出せばキリがない話題だ、ここまでにしておこうか」
赤鬼「まぁあれだ、オイラも難しいことはよくわからねぇが…おとぎ話の世界と現実世界の関係って奴はまだまだわからねぇことがあるって事でいいじゃねぇか。それよりも…オイラは感動したぞ!ライオンにお嬢!」

252 :◆oBwZbn5S8kKC :2016/04/27(水)00:37:33 ID:WT7
赤鬼「ライオンはこの森の誰もが認める王だってお嬢言ってたよな?」
ネズミお嬢「言いましたわ!以前は恐れられていたおじ様も今ではすっかり皆に愛される王様でしてよ!」
赤鬼「そこだ、お嬢が言う森に住む連中ってのは…肉を食う動物も草を食う動物もひっくるめてって事でいいんだよな?」
ライオンの王「うむ、この森では草食の者も肉食の者も協力して暮らしているのだ。この森の肉食獣…我もオオカミもコヨーテもこの森の草食獣を食うことは無くなった」
赤鬼「聞いたか赤ずきん!人魚姫!これってすごいことだぞ!?」バッ
赤鬼「本来野生じゃあ肉食獣は草食獣を食って生き延びる、食う側と食われる側の関係だ。だがこの森の奴等は違う!本来相容れることのない種族が協力して平和に暮らしてるんだ、すごいことだと思わねぇか?」
人魚姫の声『思う思う!つまりあれじゃん!あたしや赤鬼が目指してる異種族のキョーゾンって奴をさ、ライオンは既に実現させてるって事じゃね!?』
ライオンの王「君達も異なる種族の共存を目指しているのか?」
赤鬼「あぁそうだ!オイラは鬼と人間の、人魚姫は人魚と人間の共存を目指してるんだ。それは一筋縄じゃいかねぇって思ってたが…あんた達が草食獣と肉食獣の共存を果たしたってなら、オイラ達の夢にも希望がもてるってもんだ!」
人魚姫の声『そゆことそゆこと!ねぇ赤鬼、ライオンに詳しく話し聞けばさ、私達の夢をぱぱっと叶えちゃうヒントが見つかるんじゃね?』ヘラヘラ
赤鬼「おっ、そうだな!何しろライオンは異種族共存を成功させた言わばオイラ達にとっちゃ先人なわけだからな!色々と聞かせて貰うぞ!」ガハハ
ヘラヘラ ガハハ
ネズミお嬢「どうしますの?おじ様…なんだか盛り上がってますわよ?」
ライオンの王「うむ、妙な期待を持たせてしまっているな…悪いことをした」
赤ずきん「……」

253 :◆oBwZbn5S8kKC :2016/04/27(水)00:40:20 ID:WT7
赤ずきん「赤鬼、水を差すようで悪いけど…喜ぶのは早いんじゃない?」
赤鬼「ん?どういうことだ?二人が嘘をついてるとは思えねぇし、事実だと俺は思うぞ!」
赤ずきん「だったらこの森の肉食獣は何を食べてるの?肉を食べないなら一体何を?」
赤鬼「そりゃあ肉を食わなくなったなら魚とか…木の実とかを食うようになったんじゃねぇのか?どうなんだ?」
ライオンの王「いや、魚はともかく我等は木の実を食って生きていくことはできん。赤鬼よ…少々誤解を与えてしまったようだが我々は今も変わらず肉は食うぞ」
赤鬼「いやいや、なんだそりゃ。草食獣は食わねぇってさっき言っただろ?」
ネズミお嬢「えぇ、食べませんわよ?『この森に住む草食獣』は…ですけど」
赤鬼「いやいや待て待て…その言い回しだと森の外の連中は食うって事にならねぇか?」
ネズミお嬢「えぇそうですわよ?丘向こうを餌場にしてるヤギの群れとか…あとは近くの村の家畜とかを襲って食料にしてますの。そういう狩り系はコヨーテ組の仕事ですわね、ちゃらいコヨーテが二匹いるんですの!」
ライオンの王「彼等は少々軽薄でゲンキンだが狩りの腕は信頼できる。あとは森を荒らす狩人を捕らえたときはそれも食らう。君達の目に我等は家畜や人を襲う害獣に映るかもしれんが…しかし我は王、皆を飢えさせるわけにはいかないのでな」
赤鬼「そ、そうか…そりゃそうだよな、食わなきゃ死んじまうんだからな…」
人魚姫の声『なーんだぬか喜びかー…やっぱりそう簡単じゃないんだなぁ…うん、少し先走っちゃったっぽいね、反省しよ』
ライオンの王「我は肉食獣と草食獣の共存に成功してはいるが…それはあくまでこの森の中だけでの話だ。すまないな赤鬼、君の期待を裏切ったようだ」
赤鬼「いや、オイラが勝手に舞い上がって勘違いしただけだ。こっちこそすまん」
ライオンの王「だが君の気持ちは分かる。我もお嬢に助けられてからというもの異なる種族が手を取り合うことの大切さに気が付いた。だがそれを実行するとなるとあまりに多くの壁が立ちふさがる。習慣の違いや食べるものの違い…等な」
赤鬼「そうだよな。赤ずきんと旅してるだけでも習慣の違いの多さに気がつくのに…多くの種族をまとめるとなるとそうなるよな…やっぱり容易い事じゃねぇんだなオイラ達の望みは」

254 :◆oBwZbn5S8kKC :2016/04/27(水)00:41:47 ID:WT7
赤ずきん「そうよね、習慣の違い多いわよね。私はあなたが未だに平気で生肉を口にしてそれでいて体調を崩さないのが不思議でならないわ」
赤鬼「まだそれを言うか…いい加減慣れてくれねぇか?それを言うならお前だって頑なに着物を自分で洗おうとするじゃねぇか、まとめて洗っちまえば楽だってのに」
赤ずきん「それは種族云々よりデリカシーの問題よ」フイッ
ネズミお嬢「あんたらは年頃の娘と父親か!ですわ!」
ライオンの王「ふむ…赤鬼よ、我は君に少々興味が沸いた。我と同じく異種族が手を取り合うことを目指している君の事がだ。よければ話を聞かせて貰えないか?」
赤鬼「大した話は出来ねぇんだが…それでも良いならお安いご用だ。だがその後にあんたの話もきかせて欲しい。森の中だけとは言うが…それでも十分すごいことだと思うぞ」
ライオンの王「勿論、我の経験が君の夢を叶える糧となるのなら喜んで話そう」ノシノシ
赤ずきん「……ねぇお嬢、少し聞くけどこの森には近頃狩人は訪れるの?」
ネズミお嬢「めっきり減りましたわねー、私達が狩人を根絶やしにしたからかも知れませんわ!」
赤ずきん「ねぇ、あなた達が狩人を取り逃がした事って…あるのかしら?」
ネズミお嬢「そうですわねぇ…初めの頃はおじ様との連携がうまくいかず取り逃がしたりもしましたけど、息をピッタリあわせられるようになってからはそんな事も無くなりましたわね!」
ネズミお嬢「あんまり私達が狩人を殺すものだからこの森の動物達は危険だ!なんて言われてたくさんの人間が私達を殺しに来たこともありましたわねー…」
ネズミお嬢「まっ、森の皆で協力してそいつらも返り討ちにしてやりましたわ!」
赤ずきん「そう…強いのね、あなた達は」
・・・

255 :◆oBwZbn5S8kKC :2016/04/27(水)00:45:27 ID:WT7
ライオンとねずみの世界 森の奥地 ライオン達の住処
ネズミお嬢「さーて到着ですわ!ようこそ私たちの住処へ!その辺のテキトーな所に腰掛けたらいいですわー」チョコン
人魚姫の声『へぇーっ、かなり奥まで進んだと思ったけど森の中には日が射す場所もあるんだねー。なかなかいい感じの場所じゃーん?』フワッ
赤鬼「そうだな、それにここなら狩人にだって簡単には見つけられないだろう。辺りには食べ物も豊富そうだし絶好の住処というわけだ」ドスッ
赤ずきん「まさに森の中の一等地ね。でもライオンは百獣の王…王様だもの、そう考えればこの素敵な住処も当然かしら?」ストッ
ライオンの王「我は住処などどこでも良いのだが…お嬢が妙なこだわりをもっていてな、ここにしろとうるさいのだ」
ネズミお嬢「おじ様はこの森を統べる王様ですのよ!それなりに立派な場所を住処にしていただかないと皆に示しがつきませんわ!」ペチペチ
ライオンの王「世間体を気にするなど人間のようだなお嬢は…王の価値はそのようなもので決まりはせぬと、我は思うが」
ネズミお嬢「だとしても!イメージってもんがありますわ!決まった寝床も持たずにあっちにふらふらこっちにふらふらしていては王の威厳もクソもありませんわよ!」
ライオンの王「それ程に拘る必要がある事とは思えんがな…まぁなんにせよ客人の前でする話ではあるまい。今は彼らの話を聞くことが先決だと我は思うが」
ネズミお嬢「うまく話をすり替えられた気がしますわね…でもまぁいいですわ!彼らの話を聞くためにここに案内したのですし!つっても道中でたらふく話した感ありますけど!」
人魚姫の声『あはは、お嬢はライオン相手に容赦なくものを言うんだねー。なんだかどんな相手にでもズケズケ言いたいこと言っちゃう感じが赤ずきんに似てるっぽくね?赤鬼もそう思うっしょ?』ヘラヘラ
赤鬼「いや、それはまさにお前だと思うが…。というか言いにくいことを平気で振ってくるんじゃねぇよ、後で大変なんだぞ」
赤ずきん「あら否定してくれないのね…それって赤鬼は私がズケズケものをいう空気読めない娘だと思ってるって事よね?」スッ
赤ずきん「そ、そんなことないぞ?ほらおかしな事言ってないでもう本題に入るぞ!ここに来るまでにいろいろ話したが、肝心なことは話せてねぇんだ。アリスのことや…シンデレラの事とかな」

256 :◆oBwZbn5S8kKC :2016/04/27(水)00:48:32 ID:WT7
・・・
ネズミお嬢「なるほど!だいたい理解しましたわ!【不思議の国のアリス】というおとぎ話の主人公が他の世界に危害を加えていて、あなた方とそのお仲間はそれに立ち向かっているというわけですわね!」
ライオンの王「そして今、友を救うために敵の本拠地に赴こうとしている…という事だな。ならば我々に元に訪れたのは何らかの協力を願っての事か?」
赤鬼「おぉ、察しがいいんだな。ライオンの言うとおりだ」
ライオンの王「やはりそうか、それで…君達は我々にどのような協力を求める?先に言っておくが…この世界を離れてアリスとの戦いに参じてくれという頼みには応じられんぞ」
ネズミお嬢「おじ様の言うとおりですわね。その戦いが世界の命運をかけたものだとしても私達はこの森を離れるわけにはいきませんもの!」
ライオンの王「我はこの森の王。森に住む皆の平和を守る事こそが我々の願いであり責務なのだ、我もお嬢もここを離れることはできん…それでも問題のないというのなら、話を聞こう」
赤ずきん「えぇ、問題ないわ。私達は援軍を頼みに来たわけではないの。あなた達二人はどうしてそんなに息があっているのか、私はその秘密を教えて欲しい」
ライオンの王「…むぅ?どういうことだ?」
赤ずきん「以前、ブレーメンの音楽隊に聞いたの、あなた達二人はとても息の合っているコンビだと。そしてそれが真実だという事はさっきあなた達と戦って思い知ったわ」
赤ずきん「認めるには悔しいけれど…私達は何もできないまま捕らえられたものね。地の利も当然あったと思う、けれどそれ以上にあなた達の息のあった連携と作戦が勝敗を分けたのよ」
赤ずきん「今思えば…最初にライオンが私に飛びついたとき既にねずみのお嬢は私の鞄かポケットにでも潜んで機会を伺っていたんでしょう?私が攻勢に出たときにすぐに無効化できるように」
ネズミお嬢「お察しの通りですわ!おじ様は力強いですし戦いの流れを動かす力もあるのですけど…体が大きな分、猟銃や弓矢…遠距離武器相手だとちょっぴり弱いですの。だから私がくすぐって妨害しましたのよ!」
ライオンの王「うむ、遠距離武器をお嬢が封じ…その隙に我は力押しで戦いの流れをこちらに傾ける。だが赤ずきんよ、お主が思うほどこれは特別なことではないぞ?適材適所、各々の能力にあった役割を分担してこなしているだけだ」

257 :◆oBwZbn5S8kKC :2016/04/27(水)00:49:49 ID:WT7
ライオンの王「体が大きく力の強い我が敵の注意を引き、力押しで優位を掴む。体が小さなお嬢は我が苦手とする遠距離攻撃を行う相手を妨害する、目立たぬ彼女ならば隠密行動もお手の物だ」
ライオンの王「森の皆も同様だ。コヨーテやオオカミは借りをするが草を食う者だって働いている。魚を穫れるものは魚を、住処を作るものが得意なものは住処を、進んで狩人の気を引く囮をかってでる猛者もいる」
ネズミお嬢「みんなが各々やれることをやって協力してるのですわ!」
人魚姫の声『なるほどねー、でもそれはそれにしてもさっきの戦いはすごかったと私も思うけどなー』
赤鬼「ああ、戦い慣れしてたな。罠への誘導なんか自然だったから気がつかなかった」
ネズミお嬢「いままで大勢の狩人と戦ってきて学んだノウハウですわね、けれどおじ様が言うように私達はとりたてて特別なことをしているわけでもないですわよ?」
赤ずきん「言葉にするのは簡単だけど、それを実際に戦いに取り入れて結果を出しているというのはやっぱりすごいとおもうわ」
赤ずきん「特別なことはしてない…なんて言うけれど、なんの努力もしていないというわけではないのでしょう?」
ライオンの王「うむ、まぁ…それはそうではあるが」
ネズミお嬢「この森を守るために戦い方をいろいろ研究したり特訓したりもしてますものね!いかに連携をうまくとって勝利を掴むか、なにしろ相手は動物殺しのプロですものね!」
赤ずきん「そのプロ…狩人達をあなた達は追い返し続けた。それで、お嬢が言うには今はもうそんなに狩人は姿を見せないのよね?」
ネズミお嬢「えぇ、そうですわね」
ライオンの王「我等を捕らえることはもはやあきらめたのであろうな」
赤ずきん「平然と言ってるけど…それって相当よ?だってそれは、あなたたちが村や町の人間達に恐れられているってことでしょう?」

258 :◆oBwZbn5S8kKC :2016/04/27(水)00:55:19 ID:WT7
人魚姫の声『そーいうもんなの?陸の上のことはよくわからないけど』
赤ずきん「森へ踏み行った狩人が帰ってこなければ当然騒ぎになるわ、そしてそれが何度も何度も続けば…その森に恐ろしい獣がいるってなって、討伐する流れなるのよ。普通はね」
赤鬼「まぁ…そうだな。オイラが生まれた鬼の村でも近くの山に相当凶暴な熊が出たって時は大勢で熊狩りをしたもんだ、ほっとけば被害が大きくなる一方だからな」
ライオンの王「あぁ、確かに以前大勢の人間が押し寄せてきたことがあったな?お嬢」
ネズミお嬢「ですわね、そのことは赤ずきんに話しましたわよ!」
赤ずきん「そしてそれさえもあなた達は追い払った…為すすべがなくなった人間達はもう諦めてこの森に近づかない事にしたのね」
赤鬼「そりゃあ罠も銃もかわして逆に狩人を捕らえるような連中、相手にするってのもなぁ…逆に被害がでかくなっちゃしかたねぇし、さわらぬ神に祟りなし。適わないなら寄らないようにしたほうがいい」
ネズミお嬢「まぁこの結果は当然ですわ!私とおじ様は最強のパートナーですもの!狩人なんかドス!ドシャッ!ザクッ!もぐもぐ!ですわ!」
ライオンの王「我等が力を合わせて戦った結果、狩人達をあきらめさせることが出来たのならば、そこは誇らしく思っても良いのだろうな」
赤ずきん「こういう言い方は良くないかも知れないけど…やっぱり野生の動物たちよりも銃を持った人間の方が基本的には優位よ」
赤ずきん「でもそれをものともせず戦い、あなたたちが勝利を収めることが出来たのは…やはり戦術と息のあった連携」
ライオンの王「なるほど、我には君が何を求めているのかわかったぞ赤ずきんよ」
ネズミお嬢「私もですわ!」
赤ずきん「それなら話が早いわ。あなた達の見事な戦略、そして息のあった連携プレー…特にその立ち回り、それを私に教えて欲しい」
赤ずきん「あなた達二人の阿吽の呼吸の秘密を…いいえ、あなた達がそこまでの連携をとるためにどのような努力をしたのか教えて欲しいの」
赤ずきん「アリス達を打ち倒し、シンデレラを救うために…私に必要なのはそういった力よ」

259 :◆oBwZbn5S8kKC :2016/04/27(水)01:00:17 ID:WT7
今日はここまで 『作者』編 次回へ続きます
短いスパンでこまめに更新できたら…いいなぁ(願望)
次回、赤ずきん達の場面は終わり舞台は裸王の城へ
仲間に久し振りに出会うドロシーの髪をとかすのは…お姉ちゃんっぽい妹のあの娘です。次回、お楽しみに

260 :名無しさん@おーぷん :2016/04/27(水)01:02:57 ID:Xqq
お疲れ様どす

265 :名無しさん@おーぷん :2016/04/27(水)14:14:52 ID:aDE
1さん乙です!
こんなに早く更新してくれてたなんて嬉しいです!
ネズミお嬢が可愛いなぁと思いつつ、そろそろ裸王様ロスに陥りそうだった!ムキッ
次回の更新も楽しみにしてますー!