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キモオタ「我輩がおとぎ話の世界に行くですとwww」ティンカーベル「そう」
Part133


892 :◆oBwZbn5S8kKC :2016/02/29(月)00:30:19 ID:cmT
キモオタ「それはさておきwww新たな環境で張り切っているヘンゼル殿に我輩からひとつ頼みがあるのでござるがwww聞いていただけますかなwww」コポォ
ヘンゼル「別に張り切ってるわけじゃないけど、頼みって何?でも、それをきくかどうかは内容によるよ」
キモオタ「じゃあ話だけでもいいでござるからwww実はドロシー殿の事でござるよwww」
ヘンゼル「あぁ…あの子がどうかしたの?」
キモオタ「二人はどうやら既に知っていたようでござるが、先ほど本人が言っていた通りドロシー殿はアリス殿に利用され、悪事を働かされていたのでござるよ」
裸王「うむ、既に話は聞いていたぞ。見たところ元々は気が小さくか弱い少女のようだ…精神に干渉する魔法具とは恐ろしいものだな、元の性格など関係無く悪の心を植え付けるとは」
キモオタ「そうでござるな…しかし魔法具で植え付けられた悪意とはいえドロシー殿が犯してきた罪の数々…殺してきた者達…本人はとても悩んでいるようなのでござる」
ヘンゼル「人を殺す事自体が悪だったり罪な訳じゃないでしょ、どういう意思のもとに殺したかが問題なんだよ」
ヘンゼル「グレーテルだって僕達を利用した魔女を殺したけど、それは自分や僕を護る為の行為だ。それが罪や悪と言われてたまるか、ドロシーもそれと同じだよ」
キモオタ「ヘンゼル殿ならそう言ってくれると思いましたぞwwwもちろん我輩も同じ考えでござるし、ティンカーベル殿赤ずきん殿含む他の者達も、きっと彼女を突っぱねなどしないでござろうwww」
キモオタ「とはいえ…ドロシー殿自身が自分を許せずに過去に負い目を感じている以上、我々に遠慮なく自然に接するという事は…容易ではないでござろう」
ヘンゼル「…なるほどね、ティンカーベル達と違って僕はドロシーに被害を受けたわけじゃない。あの馬鹿馬鹿しいおとぎ話も自分で消したんだしね」
ヘンゼル「そういう意味である意味中立な位置にいる僕にならドロシーも接しやすいんじゃないか?…そう言いたいんでしょ、キモオタお兄さんは」
キモオタ「その通りですぞwww年齢も近いでござるし、ドロシー殿もなにかと話しかけやすいのではwwwと思いましてなwww」

893 :◆oBwZbn5S8kKC :2016/02/29(月)00:32:02 ID:cmT
キモオタ「それにヘンゼル殿は女子に囲まれた生活を送るモテモテボーイでござるからwww女子との接し方は心得ているでござろうwww」コポォ
ヘンゼル「いや、それグレーテルやお千代とか女王の事言ってるんでしょ?家族と接するのとはまた違うと思うけど」
キモオタ「ドゥフフwwwまぁこれは頼みというより願いですなwww我輩が勝手に言ってるだけでござるし、できれば気に掛けてあげてくれれば我輩も嬉しいというわけでござるwww」
ヘンゼル「相変わらずのお節介焼きだよね、キモオタお兄さんは。まぁ、僕も彼女には興味があったし…構わないけどね」
キモオタ「ほうwwwそれはそれはwwwドロシー殿にwww興味がwwwどのような興味でござろうなぁwwwドロシー殿小動物系で可愛いですからなぁwww」ドゥフフ
裸王「いやいや、違うぞキモオタよ。ヘンゼルはドロシーの姿勢の良さが気になるのだろう?あのピンとした背筋…今は未熟でも鍛えれば立派な背筋を手に入れる事もできようっ!」ムキムキ
ヘンゼル「……これだから大人は」ハァ…
キモオタ「ちょwww悪かったでござるからこんなことでまた大人に絶望するのはやめていただきたいwww」コポォ
裸王「なんと、違ったかっ!?」マッスルショック
ヘンゼル「…まぁ、いいよ。でもそういう事ならドロシーにあの事を伝えるのは僕の方が適任かもしれないね。裸王さん」
裸王「そうだな…じきに魔法使い殿の話も始まるだろう、シンデレラの事も気になるがそれはそれで重要な事。そちらはお主に頼んでも構わないか、ヘンゼルよ」
ヘンゼル「うん、任せてよ。この事はきっと裸王さんよりも僕の方が彼女もショック少なく聞けるだろうし…」
キモオタ「…ほう?なにやらシリアスムードでござるな、我輩にもお聞かせ願いたいwww」
裸王「まだキモオタにも伝えていなかったな。実は…」

894 :◆oBwZbn5S8kKC :2016/02/29(月)00:33:25 ID:cmT
ティンカーベル「おーい!キモオター!ヘンゼルー!裸王ー!立ち話もなんだから屋敷に行こうよ!きっとお茶出してくれるよ!」パタパタ
ドロシー「……うぅ、顔を隠したい。それか表情に出ちゃう自分の性格を何とかしたい……」ドヨーン
キモオタ「ちょwwwティンカーベル殿wwwドロシー殿に何をしたのでござるかwww影を背負っているのでござるがwww」
ティンカーベル「おっと!それは言えないねっ!ガールズトークの内容を聞くなんて許されざる行為だからねっ!」フンス
キモオタ「ほうwwwそれはさておきwwwなにやら裸王殿達がドロs」
ゲシッ
キモオタ「おぶっwwwちょwwwなんで蹴り入れるでござるかヘンゼル殿www」コポォ
ヘンゼル「ドロシー」
ドロシー「は、はいっ!なんでしょうか…」ビクッ
ヘンゼル「君と二人で話がしたい、少し時間を貰える?」
ティンカーベル「!?」ガタッ
キモオタ「ちょwwwなんでお主のリアクションの方がでかいのでござるかwww」コポォ
ドロシー「え、えっ…は、はい、それは良いですけど…。それならティンクちゃんやキモオタさんも一緒に居て貰った方が…」
ティンカーベル「うんうん!私も一緒に居るよ!その方がおもしr」
裸王「ハッハッハ!ティンカーベルよ、お主とキモオタはこっちだっ!」マッスルホールド
ティンカーベル「ちょ、ちょっと放してよ裸王!なんで掴むのさ!」ジタバタ
裸王「ハッハッハ!特訓に精を出したせいか我が筋肉は糖分を欲している!一人で茶をすするのもなんだ、お前達にも付き合って貰うぞっ!裸王ティータイムッ!」マッスル

895 :◆oBwZbn5S8kKC :2016/02/29(月)00:35:21 ID:cmT
魔法使いの屋敷 廊下
ドスドスドス
ティンカーベル「うわぁー!放してー!絶対あっちに居る方が面白いのにー!」ジタバタ
キモオタ「ティンカーベル殿wwwもう諦めて何のお菓子が出されるのか期待した方が有意義ですぞwww」コポォ
ティンカーベル「諦めが早いよ!私は甘いお菓子よりも甘い雰囲気の方が気になるんだよ!うまいこと言ったんだから離してー!」ジタバタ
キモオタ「いやwww別にうまくないでござるからwww」コポォ
裸王「うむっ、それにヘンゼルはお主が期待しているような浮ついた話をするつもりではないぞ?」
ティンカーベル「えっ、そうなの?若い男女が二人きりで話するって言ったらそういう…」
キモオタ「初対面でそんな事あるわけないでござろうwwwお主は少女漫画の読み過ぎですぞwww」
裸王「真面目な話なのでな。少なくともお主がきいて愉快な気持ちになるものではないぞ」
ティンカーベル「なんだ…じゃあいいや、お菓子何かなー」パタパタ
キモオタ「ちょwww盛大なwww手のひら返しwww」コポォ
ティンカーベル「でもさ、じゃあヘンゼルはドロシーに何の用事があったのかな?裸王は知ってるんだよね?」
裸王「うむ、それについてはお前達にも話しておかなければなるまい」
裸王「我々も無関係というわけではないのだ、他の者も交えて話しておくとするか」

896 :◆oBwZbn5S8kKC :2016/02/29(月)00:38:27 ID:cmT
魔法使いの屋敷 庭(森)
ドロシー(あ、あわわわ…。ヘンゼル君が私に用事って…一体何の事なんだろう…)ビクビク
ヘンゼル「ごめんね、突然話がしたいなんて言われて驚いたよね」
ドロシー「い、いえ、大丈夫ですっ!気にしないでくださいっ!」ドキドキ
ヘンゼル「そう…?そうは見えないけど、まぁそれならいいけど…」
ドロシー(な、なんだろう…もしかしてキモオタさんとティンクちゃんと一緒に居ても私が浮いちゃってるから気を掛けてくれたのかもしれない…他に話し掛けてくれる理由がないし…)
ドロシー(それか実は恨まれてるかどっちかだと思うけど…恨んでるなら私を助けたりしないだろうし…。じゃあやっぱり気を使ってくれてるんだ、わ、私もそれに応えなきゃ…!)
ヘンゼル「そうだな、まずはあの事を…」
ドロシー「あ、あのっ!さっきは助けてくれてありがとうございました…あのっ、助かりました!」ペコペコ
ヘンゼル「あっ、うん。あれは僕達が悪かったんだから君は気にしなくていいよ、それよりも…」
ドロシー「あ、あの!あの大きな犬にお願いする魔法具…!凄いですね!あんな大きな犬を自由に出来るなんて私、びっくりしましたっ!」
ヘンゼル「あぁ、火打ち箱って言うんだ。あれは家族から譲って貰った大切な魔法具なんだ。それで…」
ドロシー「わ、私も魔法具を持っていた事あるんですっ!今はアリスちゃんに取られてしまったけど…あの、でも、」
ドロシー(ヘンゼル君は私に気を使ってくれてる…だ、だから会話を途切れさせないようにしないと…なにか面白い事言わなきゃ…!)
ヘンゼル「……」
ドロシー(私はただでさえ悪い事ばかりしてきたのに…周りの気づかいにはちゃんと答えなきゃ、キモオタさんやティンクちゃんやヘンゼル君…みんなに嫌われちゃう…)アワアワ

897 :◆oBwZbn5S8kKC :2016/02/29(月)00:42:45 ID:cmT
ドロシー「あ、あと…何話そうかな…あのっ、えっと…すいません、今何か面白い事を言いますから待ってください…!」アワアワ
ヘンゼル「……あのさ、ドロシー」
ドロシー「は、はいっ!すいませんっ!」ビクッ
ヘンゼル「……。ごめん、ちょっとさがって。危ないから」
ドロシー「は、はいっ。あの、危ないって何をするつもりで…」
スッ
ヘンゼル「…出でよ銀貨の魔獣、『火打ち箱』の所有者ヘンゼルが命じる。しばらくそこに寝そべってくれるかな、それとドロシーに危害を加えないようにね」ガチン!ガチン!
ビュオッ
銀貨の魔獣「ガルルゥ…」スリスリ
ヘンゼル「よし良い子だ。さっきは手を貸してくれてありがとう、君の腕を少し借りるよ。ドロシー、立ち話もなんだから彼の腕に腰かけるといいよ、下手なソファよりもふかふかだから」
ドロシー「あの、でも…助けて貰ったのにそんな事しちゃ…悪いです」
ヘンゼル「…って言ってるけど、君は気にするかい?もしも身体を触られるれるのが嫌なら、火打ち箱に戻っても構わないよ」
銀貨の魔獣「ガルゥ…」フルフル
ヘンゼル「気にしないってさ。彼は僕が使役出来る三匹の魔獣の中でも一番人懐っこいんだ、それに毛並みだって一番いい。撫でてくれた君の事を気にいってるのかもしれないよ」
ドロシー「そ、そういうことなら…失礼します」

898 :◆oBwZbn5S8kKC :2016/02/29(月)00:43:19 ID:cmT
フカッフカ
ドロシー「あっ、ホントにふっかふかですね…」
ヘンゼル「でしょ?こんな風に懐いてくれるのはこの子だけなんだ、他の魔獣…銅貨の魔獣はじっとしていられないし、金貨の魔獣は触られるのを嫌うから」
ドロシー「えっと、火打ち箱は魔獣…を呼び出す魔法具なんですよね?魔法で作られたのに性格とかあるんですね…」
ヘンゼル「そりゃあね、だからこそ扱いが難しい子も居るんだけどね…所有者の僕が火打ち箱を打ちつければ忠実に命令は聞いてくれるけど」
ドロシー「私の魔法具は靴だったから意思とか無かったですけど…。性格が違う仲間が三人も居たらやっぱり楽しいですね」
ヘンゼル「でも扱いは大変なんだよ。銅貨の魔獣は悪い子じゃないけど暴れるのが好きで大人しくしていられない、素直ではあるんだけどね」
ヘンゼル「銀貨の魔獣は素早い、一番僕に心を許してくれているし見ての通り大人しい。それに命令の意図も比較的キチンと汲んでくれる」
ドロシー「へぇ…君はおりこうさんなんだね」ナデナデ
銀貨の魔獣「ガルルッ」ワフワフ
ドロシー「うふふっ、君が魔獣だなんて信じられないよ、こんなに素直で可愛いのに…」ナデナデ
ヘンゼル「まぁ、二匹は素直なんだけどね…問題は最期の一匹、最も強い力を持つ金貨の魔獣だよ」

899 :◆oBwZbn5S8kKC :2016/02/29(月)00:44:38 ID:cmT
ドロシー「もしかして、言う事聞いてくれないとか…ですか?」
ヘンゼル「いいや、聞いてくれるからこそ性質が悪いんだけど…まぁ、三匹も居れば一匹くらい気むずかしい奴もいるって事だよ」
ドロシー「なんとなく、わかる気…します。私にも三人の仲間がいて、一緒に長い旅をしてたから…」
ヘンゼル「脳の無いかかし、心の無いブリキのきこり、勇気の無いライオン…だったよね。【オズの魔法使い】は昔、家族と一緒に読んだよ」
ドロシー「そ、そうなんですか…?な、なんだか恥ずかしいです…。みんなが頑張ってくれたおかげで悪い魔女を倒せただけで…わ、私は大した事してないし…それに……」
ドロシー「そのおとぎ話はもう、存在しません。私が消しちゃったから…」シュン
ヘンゼル「…うん、知ってる。そうらしいね」
ドロシー「あっ…あの、そんな事するのダメですよね。おとぎ話の主人公が自分のおとぎ話を消しちゃうなんて、そんな事…やっちゃいけないことですよね…」
ヘンゼル「……。へぇ、ドロシーはそう思うんだ?」
ドロシー「そ、そうです。おとぎ話は現実世界の人が折角作ってくれたものなのに、自分の都合で消しちゃうなんて……そんな事をする人は、悪い人です……神をも恐れぬ悪人です……」
ヘンゼル「ふふっ、そうだね。自分の生まれた世界を自分の都合で消すような主人公はとんでもない悪人だ、絶対に許しちゃいけないね」クスクス
ドロシー「うぅ…。でも、そう言われても仕方ないです……私は自分の都合でおとぎ話を消した悪人です……言い訳するつもりも……」
ヘンゼル「じゃあ僕達は悪人仲間って事になるね?」クスクス
ドロシー「えっ…?」
ヘンゼル「僕も自分のおとぎ話の世界を消した主人公だから。あの【ヘンゼルとグレーテル】とかいうおとぎ話を消したのは他でも無い、僕なんだよ」フフッ

900 :◆oBwZbn5S8kKC :2016/02/29(月)00:47:29 ID:cmT
ドロシー「えっ…えぇっ!?そうなんですか!?わ、私知らなくてなんかすごく酷い事言っちゃいました…すいませんすいません!」ペコペコ
ヘンゼル「いいんだよ、僕は悪人だ。自分の都合でおとぎ話を消した大悪党、それでいいよ」クスクス
ドロシー「だっ、駄目です!ヘンゼル君は悪人なんかじゃありません、私の事助けてくれて…だから悪い人なんかじゃないですよ!」アワアワ
ヘンゼル「いやいや、大悪党だよ?【ヘンゼルとグレーテル】だけじゃなく【キジも鳴かずば】も消したからね」クスクス
ドロシー「ふ、二つも…」
ヘンゼル「ひとつでも悪人なのにおとぎ話二つとか極悪人だよ?もう僕は救いようがない悪党だね」
ドロシー「か、関係無いですよ消しちゃった数とか…だってヘンゼル君にはおとぎ話を消した理由があるんですよね!だから…その、悪くないです!」
ヘンゼル「じゃあ君も悪くない。君にだってアリスに利用されてたっていう理由があるでしょ?」フフッ
ドロシー「で、でも……私は数え切れないほどのおとぎ話を……!」
ヘンゼル「数は関係ないって言ったのは君だよ?」クスクス
ドロシー「そ、それは…」
ヘンゼル「僕のやった事と君のやった事は同じ事だよ、理由があったからおとぎ話を消滅させたし無関係の人間も殺した。…君は僕の事を責めるかい?」
ドロシー「そ、そんなこと…しません。ヘンゼル君は優しい人だって…わかってます。だから…」
ヘンゼル「だったら僕もだ。僕は君の事を責めない」

901 :◆oBwZbn5S8kKC :2016/02/29(月)00:50:24 ID:cmT
ドロシー「でも…」
ヘンゼル「僕はね、初めて【オズの魔法使い】を読んだ時にこう思ったんだ『あぁ、この世界にも悪い大人に騙された僕みたいな子がいるんだ』ってね」
ヘンゼル「確かオズって名乗ってたんだよね、君と仲間達を利用して魔女退治なんて危険な役目を押し付けた挙句、約束を護らなかった詐欺師」
ドロシー「…はい、大魔法使いだって言ってたけどそれは嘘で…。私達は願いを叶えてあげるなんて甘い言葉に騙されて、危険な魔女退治をすることになって…」
ヘンゼル「僕とグレーテルは悪い魔女に利用されて兄妹共々殺されかけたんだ。悪い大人の食い物にされたって点は同じだよ」
ドロシー「……そうかもしれません」
ヘンゼル「こんな風に言うと自惚れに聞こえるかもしれないけど…。大人に利用されて、騙されて…妹や仲間を利用された君の気持ちを僕は理解できる」
ヘンゼル「僕は君におとぎ話を消されたわけでもなければグレーテル達を傷付けられたわけでもない。君は自分が悪い、自分は悪人だって気にしてるみたいだけど…」
ドロシー「……」
ヘンゼル「僕にとっては自分と同じ苦痛を経験した女の子だ。君に恨みの感情も無ければ、蔑むような事も無いよ」
ドロシー「……ヘンゼル君は、本当に優しいです。私みたいな女の子を気遣ってくれて…私なんか、罵倒されてもおかしくないことしたのに…」
ヘンゼル「僕だって誰にだって優しいわけじゃないよ。君がどれだけ優しい女の子か、ある人物に一晩中聞かされたからね」クスクス
ドロシー「それって、もしかして私の仲間の……」

902 :◆oBwZbn5S8kKC :2016/02/29(月)00:52:53 ID:cmT
ヘンゼル「うん、君の仲間の一人…ブリキのきこりに僕は出会った」
ドロシー「ぶ、ブリキは無事でしたか!?私の仲間の中でもブリキは一番私の事気に掛けてくれて、その…無茶とかするから…」
ヘンゼル「……」
ドロシー「へ、ヘンゼル君…?こ、答えてください!お願いします…!」
ヘンゼル「無事は無事…だけど、彼は今……裸王さんの城の地下牢に閉じ込められてる。両腕両足を拘束された状態でね」
ドロシー「酷い…!なんでブリキにそんな事を…!裸王様は優しい王様じゃないんですか…!」
ヘンゼル「誤解しないであげてドロシー。裸王さんも…そうするしかない事にとても頭を悩ませてたから」
ドロシー「ま、まさかブリキが…なにかしちゃったとか…!」
ヘンゼル「君の事をとても心配していた。だから君を探しに行く為になりふり構っていられなかったんだろう」
ヘンゼル「ブリキは疲れも知らないし痛覚も無いんだよね、本人から聞いたけど…だから彼は君を探しに行く手段を手に入れる為に自分の身を犠牲にしてまで」
ドロシー「……凄く、簡単に想像できます。ブリキ、そういう所あったので」
ヘンゼル「これ以上自分自身を蔑ろにして目的を果たそうとするブリキを見ていられなかったんだろう。裸王さんはなんとか彼を拘束して、地下牢に閉じ込めた」
ドロシー「……」
ヘンゼル「僕には、彼の気持ちがよくわかる。助けたい大切な人が今も苦しんでいるのに、自分には何もできないっていう歯がゆさ…」
ヘンゼル「だから僕は彼を救ってあげたい。君に…裸王さんの城まで来て欲しい」

903 :◆oBwZbn5S8kKC :2016/02/29(月)00:55:26 ID:cmT
今日はここまでです
もうじき最終回ですー
かぐや姫とオズの魔法使い編 次回に続きます

904 :名無しさん@おーぷん :2016/02/29(月)01:32:58 ID:IkA
乙です!
もうヘンゼルとドロシー見ててすごくニヤニヤしちゃうわ!

906 :名無しさん@おーぷん :2016/02/29(月)15:50:47 ID:V9c
おつ!
ヘンゼルの成長が著しくて嬉しい!
続き気になる〜♪

907 :名無しさん@おーぷん :2016/02/29(月)17:45:26 ID:9Xk
乙!毎回続きが楽しみ過ぎて日曜が待ち遠しい
ヘンゼルとドロシーにニヤニヤしまくってるけど、シンデレラとかぐや姫が気になって仕方ない

908 :名無しさん@おーぷん :2016/02/29(月)22:18:02 ID:QDf
乙でぎょざいます!
てかもうじき最終回ですかー何か嬉しい反面淋しくもありますね…
これからの展開に期待です!!!

927 :◆oBwZbn5S8kKC :2016/03/07(月)00:17:51 ID:rPm
回想…
裸の王様の世界 裸王の城 地下牢
コツッコツッコツッ
裸王「むぅ、ここはやはりうす暗いな。我が筋肉の輝きで照らし出すとするか!…と言いたいところだが素直にランタンを使うとしよう、これはヘンゼルの分だ」マッスル
ヘンゼル「うん、ありがとう。…で、僕に会って欲しい人っていうのは何処に居るの?」
裸王「うむ、突き当たりの一際大きな檻だ。地下牢とはいえここに入っているのは彼一人、彼も危険な犯罪者というわけではない…安心してくれたまえ」
ヘンゼル「そうは言っても檻に入れてるって事は何かしたんでしょ?」
裸王「うむ…彼は我が国の城下で大暴れをした。幸い死者は居なかったが、何人か怪我を負ってな…」
ヘンゼル「という事は余所の国からの旅人?わざわざ僕に会わせるって事は余所の国というより…余所の世界って言う方が正しいのかな?」
裸王「うむその通りだ、彼は別の世界からやってきたおとぎ話の住人なのだ」
ヘンゼル「別世界から来たおとぎ話の住人に暴れられて迷惑している。だから僕に何とかしてほしい…そういう事?」
裸王「うむ…そうには違いないのだが彼を檻に入れている理由は街で暴れたという理由だけではないのだ」
ヘンゼル「…? それってどういう事…?」
裸王「説明するよりも彼の姿を見てもらう方が早いだろう。さぁこの檻だ……ブリキよ、ブリキのきこりよ。起きているか?」
ガシャッ
ブリキ「……俺は心を持たず生身の肉体を持たぬブリキのきこり。睡眠を取る事も必要としない、それは以前伝えたはずだが」ギロリ

928 :◆oBwZbn5S8kKC :2016/03/07(月)00:19:42 ID:rPm
裸王「ぬぅ、すまん。今日はお主に用があってな…少し時間を貰えるか?」
ブリキ「拘束しておきながら『時間を貰えるか?』など…滑稽な物言いだ。俺には時間がないというのに貴様がそれを奪っているのは今に始まった事ではないだろう!」ギシッ
裸王「そう言うでない、私とてこの様な形でしか事態を収束出来ぬ事に筋肉を悩ませている…。かと言ってお主を野放しにする事も出来んのだ」
ブリキ「……フンッ」ギシッ
裸王「…ヘンゼル、彼はブリキのきこりという男だ。博識なお主の事、名前程度は聞いた事があるのではないか?」
ヘンゼル「ブリキのきこりってことは彼は【オズの魔法使い】の登場人物って事だよね。確かそのおとぎ話の主人公ドロシーは……」
小夜啼鳥「アリスと共に行動しているという話ですね。しかし妙です…」ヒョコ
ヘンゼル「…君さ、結構神出鬼没だよね。僕のバックに隠れてたの?」
小夜啼鳥「えぇ、暗闇を飛ぶのはあまり得意ではないので。それより見てくださいヘンゼル君、彼の姿…酷い有様です」
ボロボロ
ヘンゼル「…ブリキで出来た身体はあちこちへこんだりひしゃげたりしてる。生身の人間に例えるなら相当な大怪我だ、それを更に鎖で縛りあげられてる」
小夜啼鳥「これでは身動きを取る事も出来ないでしょう…お優しい裸王様がここまで厳重に拘束するという事は何か理由がおありなのでしょう」
裸王「うむ、過剰な拘束に見えるかも知れんが…これは彼の身を護る為の措置でもある」
ヘンゼル「ブリキの身を護る為の…?」
裸王「うむ、実は私が彼と出会ったときひとつの約束をしたのだ。私との戦いに勝利すれば彼の願いであるドロシーという娘の捜索に協力するとな」

929 :◆oBwZbn5S8kKC :2016/03/07(月)00:21:23 ID:rPm
裸王「結果を言えば私の勝利だった。だが…ブリキ製の身体がひしゃげようと、腕が潰れようとも足が軋もうとも彼は止まろうとしなかった」
小夜啼鳥「それは壮絶な…しかし生身の肉体でないとはいえ、あれほどのダメージを負えば痛みで動けないのではないですか?」
裸王「名の通りブリキの身体を持つ彼は睡眠を必要としないだけではない、食事もしなければ疲れもしない。そして痛みを感じる事も無いようだ」
ヘンゼル「それは羨ましいもんだね、痛みを感じなければどれだけダメージを受けようが何も感じないって事だしさ」
裸王「私はそうは思わんな…痛みを感じぬとはいえダメージは確実に蓄積されるのだ。事実、彼の身体も徐々に言う事を聞かなくなっていたのだ…そこを取り押さえた」
裸王「しかし彼はどんなにズタボロになろうとも自分を庇おうとも引こうともしなかった。その目が光を失う事は無かったのだ」
ヘンゼル「体が壊れてしまっても構わない程…彼はドロシーに会いたかったってことなんだね」
裸王「そうだろう、何とか捕えて檻に入れたものの彼は朽ちかけた身体を打ちつけて檻を破壊しようとした。私はもう見ていられず…不本意ながら彼を拘束した」
小夜啼鳥「痛みを感じない事を逆手にとって、自分をも犠牲にした彼の振る舞いを止める為…ですか」
裸王「うむ、アリスとドロシーの件は私も聞いていたが…しかし目の前にこれほどにまで必死な男がいるというのに捨て置く事も出来なかった」
裸王「おとぎ話の事情を伏せた上でこの世界の魔法使いに世界移動の件を聞いては見たが、そんな魔法は存在しないと言われてしまった」
ヘンゼル「このおとぎ話には魔法使いなんか居ないと思ってたけど…あぁでも『愚か者には見えない服』なんて存在がすんなり受け入れられるくらいなんだから魔法自体はこの世界にも存在するのかな?」
小夜啼鳥「えぇ、するでしょう。物語において重要な役割を持つ雪の女王様や【シンデレラ】の魔法使い様と比べれば魔力は随分と見劣りするでしょうが…」
裸王「うむ、そうなのだ。ブリキの身体を直す事も考えたが…どんな優秀な鍛冶屋に相談しても皆首を横に振った。予想はしていたのだがな」
ヘンゼル「僕の周囲は何かと魔法に縁があるから麻痺してたけど…本来は魔法魔力に縁がない事の方が普通だもんね。世界移動だって同じだね」
裸王「そうなのだ、だがドロシーに会いたいという彼の願いならば世界移動が可能なティンクや赤ずきん達に頼めばなんとかなっただろう。しかし、彼らも各々の目標の為に研鑽しているのだ…邪魔をする事は出来ぬ」
裸王「それにブリキが別世界の住人だとしても、この世界での出来事である以上この件を解決する責任は王である私にある。ならば他者に頼る前に出来る限りの事をすべきだからな」

930 :◆oBwZbn5S8kKC :2016/03/07(月)00:22:37 ID:rPm
裸王「とはいえ…方々に手を尽くしてはみたが、彼の願いを叶える事はおろか傷付いた身体を直す方法も見つからず、もうキモオタ達に相談せざるを得ないと思っていた所だったのだ」
小夜啼鳥「困り果てていた所に丁度ヘンゼル君が訪ねてきたというわけですね。世界移動ができる私という存在を連れて」
ヘンゼル「確かに小夜啼鳥になら彼を別世界に連れていくことは可能だね」
裸王「うむ、出会ったばかりの君にこの様な事を頼むなど不躾である事は承知の上だ。だが…私にはがむしゃらに友を想うこの男を放っておく事は出来ぬ、どうか協力してはくれぬか?」
ヘンゼル「僕を快く迎え入れてくれた裸王さんには僕も恩がある。だけど……」
裸王「むぅ…やはり難しいか、ヘンゼルにとっても小夜啼鳥は重要な存在。お主を頼れぬのならばやはりキモオタに頼むしかあるまい…」
ヘンゼル「ううん、そういう意味じゃなくてさ。もちろん協力はするよ?協力はするけど……ねぇ小夜啼鳥?」
小夜啼鳥「はい、私達が彼を別世界に連れ出したところでドロシーさんの居場所が分からない以上…彼はまた同じように自分自身を犠牲にして彼女の居場所を探し出すでしょうね」
ヘンゼル「それじゃ…意味がないよね。それにまた関係無い別世界の人を巻き込んでしまうかも知れないし」
裸王「うむ…確かにそうだ。別の場所で暴れてしまうだけかもしれん。ぬぅ、しかしそれならばどうすれば……」
ヘンゼル「僕が……彼と少し話してもいいかな?」
裸王「むっ?それは構わんが…」
小夜啼鳥「ヘンゼル君?何をするつもりなのですか?」
ヘンゼル「…うん、少し思う所があってね。大丈夫だよ、無茶するつもり無いからさ」

931 :◆oBwZbn5S8kKC :2016/03/07(月)00:23:43 ID:rPm
スッ
ヘンゼル「ねぇブリキ。僕と少し話をして欲しいんだ、君の力になれるかもしれない」
ブリキ「……貴様は何者だ?俺の力になれるかもしれんだと?何を解ったような事を…子供の癖に思いあがるな」ギロリ
ヘンゼル「子供の癖に…?はぁ、随分な言い方だね。そういう物言いに僕はとても腹が立つ。大体そういう言い方をする大人に限って…」カチン
小夜啼鳥「ヘンゼル君、そんな話をする為にあなたは彼の前に?そうではないのでは」
ヘンゼル「…ごめん。そう言わずに話を聞いてもらうよブリキ、君は別世界に行く方法を探してるんだよね?ドロシーを探し出す為に」
ブリキ「見ず知らずの貴様に話す理由など無い……が、お前は『ヘンゼル』と呼ばれていたな。小僧、もしや…おとぎ話【ヘンゼルとグレーテル】の主人公の一人か?」
ヘンゼル「おとぎ話の主人公って言い方は好きじゃないけど…まぁ、その通りだよ。僕はヘンゼル、別世界の住人だ」
ブリキ「ならばこの世界に来た方法があるはずだ。お前はどのように世界を移動している?魔法か魔法具か、あるいは持って生まれた能力の類か…?」
小夜啼鳥「あっ、それ私です。【小夜啼鳥】というおとぎ話をご存知ですか?その世界からやってきた、小夜啼鳥と申します」ピチチチチ
ブリキ「世界移動の能力はお前に備わっているのか…。ならばその力を俺に貸してくれ、俺は今すぐにでもこの世界を出ていかなければならんのだ」ギシッ
小夜啼鳥「それはできませんね。今のあなたを別世界へ連れだせばどんな事になるかは想像に容易い。危険です、あなたもあなたの周囲も」
ブリキ「力になれると言ったのはそういう意味ではないのか?ならば貴様等は何故俺の目の前に現れた?世界移動の方法をちらつかせて俺をおちょくろうとでも言うのか?」ギロリ
ヘンゼル「そんなことしないよ、ただ……手助けはしたいと思ってる」