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キモオタ「我輩がおとぎ話の世界に行くですとwww」ティンカーベル「そう」
Part116


313 :◆oBwZbn5S8kKC :2015/11/30(月)00:22:15 ID:kP3
孫悟空「そうかよ、まぁ平気ならいいんだがよ…」
かぐや「それに、今は感傷に浸っている場合じゃないわ…そろそろ玉龍が彼女を連れてくる時刻よ」
孫悟空「もうそんな時間か…気は進まねぇが、避けて通れるもんでもねぇしな…」
バターン!! ドタドタドタッ
玉龍「センパーイ!かぐやー?約束通り来たッスよー!どこに居るんスかー?」ドタドタドタ
キモオタ「ややっwwwこの賑やかな声は間違いなく玉龍殿ですなwww」コポォ
ティンカーベル「相変わらず元気いっぱいみたいだね!っていうかよくこのお屋敷走ってこれるよね…私だったらなんか怖くてできない、怒られそうだし」
スターン
玉龍「おっ!ティンカーベルと現実世界の猪八戒じゃないッスか!久方ぶりッス!玉龍ちゃんッスよー!」テテーン
キモオタ「ちょwww猪八戒殿ネタはもういいでござろうwww我輩はキモオタでござるからwww」コポォ
孫悟空「玉龍!テメェもう少し落ち着きやがれ、ドタドタ走って来やがって…ジジィに見つかったら後で嫌味言われるのは俺なんだぞ、ったく」
玉龍「フッフッフ、その点は安心して欲しいッス!思いっきり見つかってすんごい嫌な顔されたッスからね!もう嫌味確定ッスから大丈夫ッス!」フンスッ
孫悟空「大丈夫じゃねぇよ。こいつ、開き直りやがって…」
かぐや「お疲れ様玉龍、さっそくだけれど彼女は?」
玉龍「もちろん連れて来てるッスけど……まだ決心がつかないみたいっすねぇ、無理も無いッスけど」

314 :◆oBwZbn5S8kKC :2015/11/30(月)00:24:50 ID:kP3
キモオタ「ほうwww玉龍殿はどなたか連れて来てくれたのでござるかなwwwかぐや殿のご友人ですかなwww」
ティンカーベル「悟空やかぐやの友達かー、どんな人かな?悟空みたいに別のおとぎ話の人ー?」
かぐや「そうなるわね。私の付き人というか、妹分の娘よ。二人にも彼女を紹介しておこうと思ってね……入っておいで」
???「……あの、かぐやさん。私、やっぱり……」ヒソヒソ
かぐや「…駄目よ、あなたはこれを避けて通る事は出来ないの。辛いかもしれないけれど、それはあなただけじゃないのよ」ヒソヒソ
キモオタ「なにやら恥ずかしがり屋の娘さんの様ですなwww」
ティンカーベル「そーだね、でもかぐやとはなんかヒソヒソ話してるしかぐやには懐いてるっぽいね」
玉龍「もー、まどろっこしいッスね!玉龍ちゃんが手助けしてやるッスよー」グイグイ
孫悟空「おい玉龍!テメェ無理強いするんじゃ…」
玉龍「こう言うのは時間かければかけるほど出にくくなるんスよ!よいしょー!」グイ
ドンッ
ドロシー「きゃっ…!あ、あの…えっと……私……」オドオド
キモオタ「ファッ!?な、何故お主が出てくるでござるか…!?」バッ
ティンカーベル「……ドロシー!!」ギロッ

315 :◆oBwZbn5S8kKC :2015/11/30(月)00:26:26 ID:kP3
ティンカーベル「三人ともドロシーから離れて!そいつは私のおとぎ話【ピーターパン】を消しちゃった、私達の敵なんだから!」
孫悟空「ああ、知ってるぜ…そいつがティンカーベルにとって殺しちまいたいほど憎んでる相手だってことはな…」
キモオタ「ご、悟空殿!?知っていながらなぜ…!?」
ティンカーベル「そんなことどうだっていいよキモオタ!あいつどうにかしないと、また大変な事になるよ!」ガチャッ
ドロシー「あ、あのっ…ティンクちゃn」
ティンカーベル「やめてよ!ティンクって良いんでいいのは私の友達だけなの!」キッ
ドロシー「あっ、その…ごめんなさい…」シュン
キモオタ「ちょ、ティンカーベル殿…なにやらドロシー殿、様子がいつもと違うでござるよ?」
ティンカーベル「そういう作戦なんでしょ!?か弱いフリしてかぐやや悟空に近づいて…この世界を消しちゃうつもりなんだよあいつ!」プンスカ
キモオタ「そうかも知れんでござるが…あの怯えよう、演技には見えんでござるぞ…?」
ドロシー「……」ビクビク
かぐや「ティンクちゃん…あなたの怒りはもっともだけど、その辺にしてあげて欲しいわ」
ティンカーベル「なんで!?ドロシーはアリスと一緒にいろんなおとぎ話の世界を消してる悪い奴なんだよ!?なんで庇うの!?」
かぐや「……ドロシー、自分で言える?」ヒソヒソ
ドロシー「……ご、ごめんなさい……かぐやさん……あの、私……」
かぐや「仕方ないわね…私が話すわ。キモオタ君、ティンクちゃん、少し私の話を聞いてくれる?」

316 :◆oBwZbn5S8kKC :2015/11/30(月)00:28:17 ID:kP3
・・・
かぐや「……以上よ。全てドロシーから聞いた事だけれど、私は真実だと思っているわ」
キモオタ「…し、しかしにわかには信じられませんな」
ティンカーベル「……」
キモオタ「ドロシー殿はアリス殿の魔法具によって凶悪な性格に変貌させられていて、今まで我々が対峙したドロシー殿は全てその時の凶悪状態のドロシー殿……」
ティンカーベル「……」
キモオタ「おとぎ話を消して周っていたのは間違いなく目の前にいるドロシー殿でござるけど、それを行っていたのは凶悪状態のドロシー殿で……」
ティンカーベル「……」
キモオタ「ドロシー殿の本来の性格は、大人しくて臆病で……アリス殿と共に悪事を働いた記憶はあるものの、それは全て魔法具による性格変化のせい……」
ティンカーベル「……」
キモオタ「ドロシー殿に悪意やなんらかの意図があるわけでは無く……むしろ、アリス殿に操られていたドロシー殿は……被害者という事になr」
ティンカーベル「違うよ、キモオタ。あいつは悪い奴だよ、被害者なんかじゃない」
キモオタ「しかし、かぐや殿が出会ったころから魔法の靴は履いていなかったようでござるぞ?例え作戦だとして、あの者の戦力の要である魔法の靴を履いていないのは不自然でござる」
ティンカーベル「…無くても余裕だと思ってたんでしょ、他に魔法具持ってたとかさ」
キモオタ「……アリス殿が悟空殿の戦力を軽んじるとは思えないでござる。それにかぐや殿は言っていたでござるよ、他に魔法具など持っていなかったと」

317 :◆oBwZbn5S8kKC :2015/11/30(月)00:30:18 ID:kP3
ティンカーベル「……」
キモオタ「確かに信じられないでござるが、ドロシー殿がアリス殿に操られていたという話は真実なのではござらんか…?」
ティンカーベル「キモオタは誰の味方なの…?」
キモオタ「我輩はティンカーベル殿の味方でござるよ。しかし…以前ゴーテル殿がアリス殿の魔法具で凶悪な性格になった事、覚えているでござろう?それを考えるとアリス殿はその類の魔法具を持っていると考えても不思議では…」
ティンカーベル「……知らない」
キモオタ「ティンカーベル殿…あのコショウ粒を見つけたのは他でも無いお主でござろう。気持ちはわかるでござるがこれは恐らk」
ティンカーベル「知らないっつってんでしょ!そいつは私の敵で!私のおとぎ話を消した悪い奴なんだよ!被害者なんかじゃない!」
キモオタ「ティンカーベル殿…しかし、もしもドロシー殿がアリス殿に操られているだけだとしたらドロシー殿の罪は…」
ティンカーベル「無くなるっていうの!?そんなわけないじゃん!ドロシーの罪が無くなるわけないでしょ!」
ドロシー「……」ビクッ
キモオタ「そうでござるがしかし…」
ティンカーベル「じゃあ本当にドロシーが操られただけだったとしてさ!【ピーターパン】はどうなんの!?操られただけのドロシーに罪は無いから【ピーターパン】も元に戻るよってなんの!?なるわけないじゃん!もう消えちゃったんだよ!私の大好きなものは全部!」ポロポロ
ティンカーベル「操られてた?知らないよそんなこと、私には関係ないじゃん!可哀そうだなんて絶対に思わない!」ポロポロ
ティンカーベル「ピーターパンは殺されたんだよ!ウェンディも、ネバーランドの友達もみんな!それは絶対に無かった事になんかならないんだよ!」

318 :◆oBwZbn5S8kKC :2015/11/30(月)00:33:02 ID:kP3
孫悟空「なぁ、ティンカーベル。オメェが腹を立てる気持ちはよくわかるぜ、俺も自分のおとぎ話や仲間を奪われた口だ」
ティンカーベル「……」
孫悟空「確かに操られていたとしてもドロシーの罪は簡単に許されるもんじゃねぇが…。だがこいつに罪を償う意思があるって事は…認めてやってくれねぇか?」
玉龍「玉龍ちゃんからもお願いしたいッス。罪を憎んで人を憎まずッス…ウチもそうッスけど、誰にでも過ちはあるッス」
ティンカーベル「なんなのみんなして…!これじゃ私が悪いみたいじゃん…!なんなの…なんなのもう!」
かぐや「ティンクちゃん、私達はあなたを無理に納得させるつもりはないのよ、でもね…私達はそれぞれ過ちを犯してきているかr」
ティンカーベル「もう聞きたくない!そんなに私を悪者にしたいならすればいいじゃん!もう嫌!私帰る!」ピューッ
キモオタ「ちょ、ティンカーベル殿!待っていただきたい!!……ご、悟空殿かぐや殿!申し訳ないでござるが我輩、ティンカーベル殿を追う故、これで失礼するでござる!」
ドスドスドス
玉龍「…やっぱりそうなるッスよね。当然ッスよ、ウチもアリスの事簡単に許せるかって言ったら無理ッスからね…」
ドロシー「あ、あの…かぐやさん、悟空さん、玉龍ちゃん……あの、私……」
孫悟空「仕方ねぇよ、こうなるのは予想できたことだ。お前が自分の罪を償いたいって言いだしたんだ、だったらこれは受け入れなきゃならねぇよ」
かぐや「そうね、ドロシーは被害者だけど…ティンクちゃんにとっては加害者だもの。被害者にとっては加害者の都合なんか知ったことじゃないものね…奪われたものが戻るわけではないから」
孫悟空「あいつもお前が操られてただけだってのは理解してるんだろうぜ。だがそれを認めちまう訳にはいかねぇんだろうな…」
ドロシー「……ごめんなさい、私のせいで皆さんにも辛い思いをさせて……」
かぐや「それは気にしないで。難しい問題だけど…欠けた月が永久にそのままという事はないもの。どれだけ時間がかかっても諦めなければね解決へ向かう事は出来るわよ」

319 :◆oBwZbn5S8kKC :2015/11/30(月)00:35:16 ID:kP3
かぐや姫の世界 屋敷の外
キモオタ「待ってくだされティンカーベル殿ぉー!」ゼェゼェ
ティンカーベル「……」スッ
キモオタ「ティンカーベル殿…何と言えばいいか…その…」
ティンカーベル「あのね……ピーターパンはねネバーランドの子供たちのリーダーだったの」
ティンカーベル「勇敢だけどやんちゃっていうか余計な事する事も多かったし、結構薄情なところとか普通にあるんだけど…でも私の大好きな仲間だったんだ」
キモオタ「……そうでござるか」
ティンカーベル「ウェンディって女の子が居てね。その子は可愛くて悪い子じゃないんだけど…ピーターパンに妙に懐いてね、なんていうか…」
キモオタ「嫉妬しちゃったでござるかwww」
ティンカーベル「そこまでじゃないよ、でもまぁ…イラっとはしたかな。ピーターパンの一番の友達は私だもん」
キモオタ「確か以前話していましたな、ピーターパン殿には宿敵が居るとか…」
ティンカーベル「うん、フックっていう奴なんだけど…私達の敵でピーターパンを付け狙うやな奴なの。でも妙にイケメンなんだよね」
キモオタ「ほうwwwイケメンアンチの我輩としては仲良くなれそうにないですなwww」
ティンカーベル「でもなんていうのかな、迫力はあったよ。恐怖を感じさせるっていうか普通に強いし……」

321 :◆oBwZbn5S8kKC :2015/11/30(月)00:38:43 ID:kP3
ティンカーベル「ピーターパンはさ、空飛べるから…フックと戦うときなんかすごいんだよ、ぴゅーって行ってガーッって感じ」
キモオタ「全く分からんでござるwww」
ティンカーベル「えっとね、ワイヤーアクションをワイヤーなしでやってるのをすぐ隣で見てる感じ」
キモオタ「解るようなわからんような例えですなwww」
ティンカーベル「ネバーランドにいる時は、自分の世界がおとぎ話だって知らなくて…ピーターパンが私だけ逃がしてくれる時に聞いて……」
ティンカーベル「私達の世界の異変はね、フックがなんかもうあり得ないくらい強くなってるって内容だったの…魔法具でも掴まされたんだろうね…」
ティンカーベル「だからね、私が小瓶に詰められてあの世界を離れる時…遠くに見えたよ、ピーターパンがフックに鍵爪で殺されちゃう所」
キモオタ「……」
ティンカーベル「……わかってるんだよ。ドロシーが操られただけだってこと、あれはきっと嘘じゃないんだ。ゴーテルみたいに魔法具で精神を操作されてただけなんだよね」
ティンカーベル「……でも、【ピーターパン】が消されてみんな悔しいのに、私が認めちゃったら誰がピーターパンやウェンディや…フックの代わりに怒るの?」
ティンカーベル「だから…わかってるけど、認めたくないの……ハッキリした証拠があったらもう納得できると思うけど……」
キモオタ「……ならば、こう言うのはどうでござるか?我輩に考えがあるでござる」
ティンカーベル「なに?考えって……」

322 :◆oBwZbn5S8kKC :2015/11/30(月)00:41:30 ID:kP3
キモオタ「以前読んだおとぎ話に質問に答える魔法具があったでござるよ。といかければどんな事も正直に答える鏡…!」
ティンカーベル「それって…【白雪姫】の魔法の鏡?悪い魔女が持ってるって言う……」
キモオタ「そうでござるwwwなんとかして、その鏡を貸して貰えんでござるかな?魔法の鏡は真実しか告げないでござる、ドロシー殿が操られているか否か審議がはっきりすれば…ティンカーベル殿も心の整理が付くのでは……」
ティンカーベル「うーん…わかんないけど……でも、本当かどうかはっきりさせておく必要はあるかも…」
キモオタ「問題はその魔女が協力してくれるかどうかでござるが……」
ティンカーベル「あっ……『猛毒の魔女』」
キモオタ「ん?どうしたでござるか……?」
ティンカーベル「赤ずきんが『猛毒の魔女』って人の所にね、ラプンツェルに掛けられた魔法を打ち消す薬を取りに言ってるって話したじゃん」
キモオタ「そう言えばそうでしたなwww」
ティンカーベル「魔法使いとその事を話してる時…確か鏡がどうとかって言ってた気がする。それに、白雪姫って魔女に毒りんご食べさせられるじゃん?ほら、猛毒の魔女ってこのことかも、違うかもだけど」
キモオタ「おおwww違ったらその時はその時wwwとりあえず赤ずきん殿に連絡して確認してみますかなwww彼女がその鏡を持つ魔女に協力を仰いでいるのならば話が早いですからなwww」

323 :◆oBwZbn5S8kKC :2015/11/30(月)00:43:12 ID:kP3
今日はここまでです
ここまでに出たおとぎ話紹介
【舌切り雀】
雀を助けた優しいお爺さんと、その雀の舌を切って追い出す意地悪なお婆さんのおとぎ話。
日本の昔話。お爺さんは追い出された雀が心配になり後を追うと、雀の宿を見つけそこでもてなしを受ける
お土産に大小のつづらを選ぶよう言われたので小さなつづらを選び貰って帰路に着くと、中から金銀珊瑚などの宝物が溢れだす
強欲なお婆さんが自分も恩恵にあずかろうと、お爺さんと同じように雀の宿へ向かい大きな方のつづらを選ぶが…
かぐや姫とオズの魔法使い編 次回に続きます

324 :名無しさん@おーぷん :2015/11/30(月)00:44:33 ID:Rwa
乙でした!ティンクは純粋なんやね…危ういほどに…

327 :名無しさん@おーぷん :2015/11/30(月)00:46:16 ID:Idn
乙です!赤ずきんちゃんもドロシーを憎んでるからなあ……
続きが気になる

328 :名無しさん@おーぷん :2015/11/30(月)01:44:59 ID:3Vk
乙です!
ドロシーとティンクがすっごい気になる!!
あと、久々に赤ずきん登場かな?
楽しみです!
続き待ってます!

346 :◆oBwZbn5S8kKC :2015/12/07(月)00:09:47 ID:sqG
白雪姫の世界 お城 城内の隠し部屋
赤鬼「…それでだな、鬼は風邪や喉の具合が優れない時はこの薬草を飲むんだ、解熱と喉の病に効く。どこの家でも乾燥させたものを備蓄している」
猛毒の魔女「ふむふむ、鬼にとっては常備薬というわけか。この薬は人間に効果があるのか?」
赤鬼「うーむ…それが難しいところでな、人間が飲むと解熱の効果しか得られねぇんだ。喉の具合には効果がねぇのさ、これは最近知ったんだがな」
猛毒の魔女「なるほど、種族によって得られる効能が違うか…。お前から教わる薬学は私の知らないものばかりだ、実に勉強になる。感謝するよ」メモメモ
赤鬼「そう言ってもらえりゃあ教える甲斐があるってもんだが…だが『薬学』なんて大げさだ。オイラは薬の専門ってわけじゃねぇんだ、薬の知識なんかたかが知れてるぞ?」
猛毒の魔女「何を言っているか。お前にはもういくつか鬼の薬について教わったが、それだけ知っていれば素人としては上出来だ」
赤鬼「そうはいうがなぁ、故郷の集落で年寄りから教わったもんばっかりで専門的なもんじゃねぇんだ」
赤鬼「元々集落の身内だけで使う為に教わったもんだったから、魔女のあんたに教えるような立派なもんでもねぇんだが…」
猛毒の魔女「異国の、それも異種族の薬学というだけで私には学ぶ価値がある。知識の大小は関係ない、未知の薬に出会えるだけで十分だ」
猛毒の魔女「まぁ、お前が私に薬に関する知識を教えないというのなら好きにするがいい。その代わり、お前との約束も無かった事にしてしまうぞ?」
赤鬼「待て待て、別に教えるのが嫌ってんじゃねぇよ。あんたには魔法を打ち消す薬を譲って貰わないと困るんだ、ラプンツェルって娘がその薬を待ってる。約束は守ってくれ」
猛毒の魔女「もちろん、お前が知識の出し惜しみをしないのならば約束通り魔法を打ち消す薬を譲ろう」
赤鬼「ああ、頼む。…しかし、あんたは猛毒の魔女なんて呼ばれているのに薬の知識を得たいだなんて、変わっている魔女だなぁ…」
猛毒の魔女「何もおかしい事などあるまい。優れた薬も使い方を誤れば毒となり、毒であっても治療に役立てる事もできる。毒と薬は表裏一体…そこに線引きなど無いのさ」

347 :◆oBwZbn5S8kKC :2015/12/07(月)00:11:17 ID:sqG
猛毒の魔女「さて、無駄話が過ぎた。さぁ、お前が持つ鬼の薬の知識…余すことなく教えて貰おうか」
赤鬼「それは構わないがなぁ、あんたは少し休憩したらどうだ?飯も食わずに調べ事ばかりして、身体を壊すぞ?」
猛毒の魔女「食事を摂る時間など勿体無い。『猛毒』の二つ名を冠する以上、私は誰よりも毒に詳しく薬に精通していなければならないからな…誰よりもだ」
赤鬼「知識があるだのないだの、他人と張りあうような事じゃないだろうに…」
猛毒の魔女「いいや、私にとっては最も重要なのだ。さぁ、答えよ魔法の鏡!この世で最も『猛毒』の二つ名にふさわしいのは誰だ?我に教えよ!」
魔法の鏡「それはもちろんご主人様ですよ。リンゴの状態を変化させず強力な毒物を混入させるなど誰にもできませんから、『猛毒』の魔女って呼び名はドンピシャだと思いますよ」
猛毒の魔女「そうか…だが、薬学に関してはどうだ?私は薬の知識においても世界で一番優れているのか?」
魔法の鏡「あー…毒だけじゃなくて薬全体っていうカテゴリでみると四番目くらいですかねー。でも先週は九番目でしたから五位もランクアップしてるじゃないですか、やりましたね!」
猛毒の魔女「それでも四番目か…暗殺しようにも三つも毒りんごを用意するのはさすがに大変だ、あれは案外魔力を消費するからな」
魔法の鏡「でもそんなご主人様に朗報ですよ!赤鬼さんに鬼の薬の知識を全て教われば…なんと!二位になれます!」テッテレー
猛毒の魔女「なんと…!赤鬼よ、聞いたな?急いでお前の知識を全て我に授けよ!二位にさえなれれば一位の輩に毒りんごを送るだけで全て解決する…!」ガタッ
赤鬼「待て待て!毒りんごで解決しようとするんじゃない、オイラに教えられる事はきっちり教えるから滅多な真似するんじゃない」
ガチャッ
赤ずきん「……ただいま。今、毒りんごがどうとか聞こえたけど…あなたたち何の話してるのよ」ハァ…

348 :◆oBwZbn5S8kKC :2015/12/07(月)00:12:49 ID:sqG
赤鬼「おう、おかえり。いや、この魔女が競ってる相手を毒リンゴで殺そうとしてたからなぁ、流石に止めなきゃなんねぇと思ってな」
猛毒の魔女「結果を得る為に己を磨くのは当然、それでも越えられる奴が居ればならば殺してしまうのが手っ取り早い…フッフッフ、そうだろう?」
赤鬼「あんたなぁ…白雪姫にも同じ事して酷い目に会うんだろ?対抗心も程々にしかねぇと身がもたねぇぞ。なぁ、そうだろ赤ずきん?」
赤ずきん「……まぁ、そうね」フゥ…
赤鬼「どうした、ため息なんかついて…確かお前は剣術の修行に出た桃太郎の様子を見る為に【蛙の王子】の世界に出かけていたんだよな?」
赤ずきん「えぇ、慣れない異国だからなにか困りごとがあるかもしれないと思ってね。ハインリヒさんは一度火が付くと止められないし、様子を見に行ってたのよ」
赤ずきん「体裁を保つのが得意な半面、気心知れた相手でなければ些細な相談事も出来ないでしょうしね、桃太郎は」
赤鬼「まっ、確かにそうだ。それでお前がため息ついてるってことは、何か問題があったのか?まさかとは思うが向こうの世界の連中に歓迎されてねぇとかか…?」
赤ずきん「むしろ逆ね。なんでも隣国からの敵襲をほぼ一人で追い返したらしくて、すっかり国の英雄だったわよ」
赤鬼「どこの国でも英雄扱いたぁ、あいつも心の休まる間がねぇな。しかし、歓迎されてるんなら何が問題なんだ?」
人魚姫の声「それがさ、ちょーっと見ない間に新しい仲間ができたっぽいよ?『日ノ本の猛獣使い』なーんてって呼んでる人も居たかんねー」
赤鬼「お前、声がしないと思ったらやっぱり赤ずきんと一緒に行ってたのか…しかし猛獣使いってどういうことだ?犬も猿もキジも猛獣というには違わねぇか?」
人魚姫の声「違うってば、昔からいるおともじゃなくてさ。えーっと、桃太郎が乗ってた猛獣の名前…ねぇ赤ずきん、あの陸の獣なんていうんだっけ?」
赤ずきん「ライオンよ」
赤鬼「ライオンってお前…いやいや、ライオンだっつってもドロシーと一緒にいたあの臆病なライオンじゃあねぇんだろ?いくらなんでも、まさかなぁ?」
赤ずきん「そのまさかだから頭を抱えているのよ…」ハァ…

349 :◆oBwZbn5S8kKC :2015/12/07(月)00:14:16 ID:sqG
赤鬼「待て待て!そりゃあまずいだろ、そのライオンがドロシーの仲間だってこと桃太郎は知ってるんだろ?」
赤ずきん「えぇ、もちろん。わかった上でライオンと行動を共にしているようよ、随分と仲良さそうに見えたわ」
人魚姫の声「兵士達も話してたしさ、戦場でも息がぴったりだったってさ。それに素出してたかんね。桃太郎」
赤鬼「素を出してたとなると、桃太郎はライオンの事をそれ相応に信用してるって事か…。言っちゃ悪いが罠じゃねぇのか?ドロシーもアリスもえげつないからな…」
赤ずきん「私も同じ考えよ。だから追い払おうとしてマスケットを向けたけど…桃太郎に咎められてしまったわ」フゥ…
人魚姫の声「『我が友に武器を向けるというのならば、拙者とて刃を抜く事に躊躇せぬ。それが例え、赤ずきん…お前であってもだ』」キリッ
人魚姫の声「とか言ってたからねー、ヘタレだったりキリッとしたり忙しいよね、桃太郎はさー」ヘラヘラ
赤鬼「とはいえいくつもの修羅場を越えてきた男だ、あいつも考え無しにライオンと行動を共にしているわけじゃないんだろうが…」
人魚姫の声「でも赤ずきんが睨みつけたら『い、いや…確かに悪い事してたかも知れないけども、根は悪い人じゃないって言うか…いや人じゃないけど…』って言ってたけどね、チョービビってたんですけど」ヘラヘラ
赤ずきん「やめて頂戴、それじゃ私が恐い女に聞こえるじゃないの。大体、あなたは何でもペラペラ言うから…私が恥ずかしい思いをするはめになるのよ」
人魚姫の声「まーだ赤ずきんの秘密ばらした事根に持ってんのー?いーじゃん、別に恥ずかしい事じゃないんだしさー」ヘラヘラ
赤ずきん「…とにかく赤鬼、そういう事なの。結局桃太郎はライオンと行動を共にするって聞かないし、まぁ気になる事もあったから戻ってきたけど…」
赤鬼「とりあえず、キモオタに伝えた方がよさそうだな。確かおはなしウォッチに通信するには強く念じりゃいいんだったか…」
赤ずきん「そうね……でもどうやら、こちらから連絡する必要はなさそうよ」
ピクッ
キモオタの声「赤ずきん殿ーwww赤鬼殿www今、いいでござるかwww」

350 :◆oBwZbn5S8kKC :2015/12/07(月)00:15:54 ID:sqG
赤ずきん「…なんだか凄まじくぴったりなタイミングで連絡が来たわね」
赤鬼「オイラ達の会話、どっかで聞いてたんじゃねぇのか…?」
キモオタの声「ちょwww人を盗聴マンのように呼ぶのはやめていただきたいwww偶然偶然wwwもしやお主らも我輩になにやら用事があったのでござるかなwww」コポォ
猛毒の魔女「通信会話の魔法か。しかし二人とも随分と空に語りかけることが多いな。二人だけに声の聞こえる空気の精霊と赤鬼だけに聞こえる鬼神とやらの声、それにこの通信会話……」
魔法の鏡「事情を知らない人から見たら独り言が多すぎてヤバい奴等にしか見えませんけどね、二人とも外見からして目立ちますし」
赤ずきん「私達の事はいいから、まずはあなたの要件を聞くわ。何か私達に協力してほしい事があるんでしょう?」
キモオタの声「流石は赤ずきん殿話が早いwww確認でござるけど、今二人が居る世界は【白雪姫】の世界でござるよね?」
赤鬼「ああ、そうだ。【シンデレラ】の魔法使いに頼まれてな、魔法薬に精通してる猛毒の魔女…この世界の魔女に『魔法を打ち消す薬』を作って貰うように」
赤ずきん「私は会った事がないけれど、【ラプンツェル】の主人公が弱体の魔法を掛けられて困ってるって聞いたから。同じおとぎ話の主人公同士、助けない理由は無いものね」
キモオタの声「なるほどwwwそれは御苦労でござるな、ラプンツェル殿もきっと感謝してるでござるよwww」
赤ずきん「それで、用件は何?私達の居場所を確認する為だけに連絡をしたわけじゃないでしょう?」
キモオタに声「ああ、えっとでござるな…。ティンカーベル殿、予想通り二人とも【白雪姫】の世界にいたでござるけど、どうするでござるか…?」ヒソヒソ
ティンカーベルの声「うーん…事情を話さずに魔法の鏡だけ借りれないかな?私は人の事言えないけど、赤ずきんにドロシーの事言うのやめといた方が…」ヒソヒソ
赤ずきん「あら、なんの内緒話かしら?それに今、ドロシー…って聞こえたわよ、ティンク?」キッ
ティンカーベルの声「み、耳良いよね赤ずきん…」アワアワ