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キモオタ「我輩がおとぎ話の世界に行くですとwww」ティンカーベル「そう」
Part114


238 :◆oBwZbn5S8kKC :2015/11/18(水)00:20:55 ID:bpS
シンデレラの世界 城 訓練場
国王(シンデレラの旦那)「見張りの任務御苦労さま。様子はどうだい?」スタスタ
兵士「ハッ!問題ありません!国王様の命令通り、誰一人訓練場には入れておりません!」ビシッ
国王「そうか、ありがとう。君のおかげで妻も気がねなく特訓に打ちこめるというものだ」
兵士「いえ、私の見張りなど国を…いえ、世界を護ろうという王妃様の強い意志に比べれば瑣末なものです。本当に立派なお方ですよ、王妃様は」
国王「そう言ってくれるのは嬉しいが、あまり王妃を焚きつけないように頼むよ。私としては危険な戦いに身を投じる事は避けて欲しい、それにそろそろ後継ぎの事を考えても良い時期だ」
兵士「確かに一国の王妃が戦いに身を投じるなど、前代未聞ですからね…あっ、失礼いたしました!私は決して王妃様の意思を否定しているわけでは無くてですね…!」アセアセ
国王「いいや構わないよ、事実だ。しかし私は彼女の意思を尊重したい、だからこそこうしてベテランの君を付けてまで内密に特訓を行う場を提供しているのだ」
国王「ところで、王妃は…シンデレラは何処に居るんだい?姿が見えないのだけど…」
兵士「丁度、あちらで大鬼殿と手合わせをなさっている最中です。ですが、よく目をこらさないとご覧になる事は難しいかと…」
ヒュンヒュヒュンヒュン ヒュンヒュヒュンヒュン
大鬼「……」
ヒュンヒュヒュンヒュン ヒュンヒュヒュンヒュン
国王「もしかして、大鬼殿の周りをヒュンヒュン移動してるのって…」
兵士「はい、王妃様ですね」
国王「マジなの…?」
兵士「はい、マジです」
国王(……妻が思ったより人間離れしてる)

239 :◆oBwZbn5S8kKC :2015/11/18(水)00:22:28 ID:bpS
大鬼「ガラスの靴…。視認出来ぬ程の軽快な足さばきを可能にするとは恐るべき魔法具。だが!」
ヒュンヒュヒュンヒュン ヒュンヒュッ
大鬼「捉えた…!」ブォンッ
ヒュッ ゴシャアッ
大鬼「避けられたか。ガラスの靴にかかれば攻撃を避けることなど舞踏を踏むが如く容易いか」
ヒュッ
シンデレラ「いえ、余裕なんか全然ありませんでしたよ。あと一歩気が付くのが遅ければ危ないところでした…!」スッ
大鬼「いや、俺の一撃を避けられるのなら大抵の攻撃をかわす事は容易だろう。そろそろ時間だ、今日はここまでとしよう」
シンデレラ「はい!お相手ありがとうございました大鬼さん。病み上がりだというのに協力していただいて、感謝してます」
大鬼「なに、もう随分調子は良い。それに王妃には借りがある。【桃太郎】の世界で重傷を負った俺の治療をしてくれたからな、鍛錬の相手ならばいくらでも付き合おう」
シンデレラ「ありがとうございます。もっとガラスの靴を使いこなして、みなさんのお役に立ちたいです。そうすれば困っている人を救うことだって、きっとできますから」ニコッ
大鬼「その人柄の良さは既に多くの者の心を救っていると思うが…いずれにせよガラスの靴を使いこなせば戦いの幅はもちろん、出来る事はぐっと広がる。精進あるのみだな」
シンデレラ「はい。みなさん、アリスさんとの戦いに向けて特訓してるんですから。私も頑張らなくちゃ…!」ウンウン
大鬼「頑張るのは構わないがお前は王妃だ。戦う事を優先にして大切な事が疎かにならないようにな。見てみろ…お前の旦那が微妙な顔をしているぞ」
シンデレラ「あれっ、国王様…?今日は公務がお忙しいと聞いていたのに…」
大鬼「王妃が心配で様子を見に来たというところだろう。怪我ひとつないところを見せてやったらどうだ?」

240 :◆oBwZbn5S8kKC :2015/11/18(水)00:24:05 ID:bpS
シンデレラ「国王様。どうなさいました?今日はお忙しいと聞いていたのに、何か急用でしょうか?」
国王「いや、予定より速く公務が終わってね。時間が取れたからたまには一緒に食事でもと思ったんだ」
シンデレラ「わっ、本当ですか?嬉しいです…!久しぶりですね、国王様と二人で食事なn」パアァァ
国王「大鬼殿、あなたもどうですか?妻が世話になっている礼を兼ねて。構わないだろう、シンデレラ?」
シンデレラ「あっ…、もちろん構いませんよ。いかがですか大鬼さん?予定が無いようでしたらご一緒して欲しいです」
大鬼「…俺は構わないが、王妃はそれでいいのか?国王は多忙故に共に食事をとる事はおろか二人きりの時間が少なく寂しいと先日言っt」
シンデレラ「お、大鬼さん…!声が大きいです…!内緒なんですっ、その事は国王様には内緒ですっ!」ヒソヒソ
大鬼「そうか、すまん。だが王妃よ…夫婦ならば遠慮するような事でも無いだろう。隣に居てくれと言えばいいだけだ」ヒソヒソ
シンデレラ「言えませんよ、国王様は優しいから私の本心を知れば無理してでも時間を作ってくれます。お忙しい方なのに無理させて体でも壊してはいけませんから、内緒にしてくださいっ」ヒソヒソ
国王「はははっ、ヒソヒソ話なんてして何の相談だい?どうですか大鬼殿、特に用事がないようなら是非」
大鬼「…そういう事ならば、お言葉に甘えるとするか。ご一緒させて貰おう」
国王「おお、では早速向かうとしよう。是非とも大鬼殿の武勇伝を聞かせていただきたい。それに日ノ本がどのような国なのかとても興味がある、その様子も是非」
大鬼「武勇伝などありはしない…期待させて悪いが俺はしがない悪鬼にすぎないのだ。だが、日ノ本がどのような国であるかは少しならば語れる。それでよければお聞かせしよう」
国王「おぉ、それは楽しみです。シンデレラ、君も異国の民がどのような暮らしをしているのか興味があるだろう?」ワクワク

241 :◆oBwZbn5S8kKC :2015/11/18(水)00:26:24 ID:bpS
シンデレラ「あっ…はい、日ノ本というと桃太郎さんや赤鬼さんの故郷でしたね。きっと皆さん優しい方なんでしょう」ウフフ
シンデレラ(二人きりで食事できると思ったのに残念…国王様もほんの少し…ほんの少しだけ私に時間を割いてくださっても良いのに)
シンデレラ(ううん、そんな事考えちゃいけない。灰かぶりだった私がこうしてお城で立派な生活ができているのも国王様のおかげなんだから、わがまま言ってちゃ罰が当たるよね)
スッ
???「あこがれの王子様と結婚できたのに、好きな人と一緒に居ることすらできないなんて…王妃なんて良いものじゃないね」クスクス
シンデレラ「誰…っ!」バッ
アリス「そうやって自分の気持ちを押さえつけて、幸せかい?シンデレラ」
シンデレラ「あなたは…?この訓練場には誰も入る事は出来ない筈なのに…」
アリス「会うのは初めてだけど、名前くらいは聞いてるんじゃないかな?ボクの名はアリスだ、始めましてシンデレラ王妃」クスクス
シンデレラ「アリスちゃん…!ティンクちゃんや赤ずきんちゃんの世界を消滅させた、今回の件の黒幕の一人…私達の敵!」バッ
アリス「そう身構えないでよ、ボクはキミに用事があって来たんだよ、シンデレラ」
シンデレラ「残念だけど、私はアリスちゃんに用事なんかありません…!大鬼さん!国王様!彼女は危険です、ここは逃げてくださ…」
アリス「フフッ、そんな冷たい言い方しないでよ。ああ、ちなみにその二人は逃げようにも動けないよ?時間を止めたからね」
大鬼・国王「」カチーン
シンデレラ「そんな…っ!国王様!大鬼さん!しっかりして下さい…!」

242 :◆oBwZbn5S8kKC :2015/11/18(水)00:30:18 ID:bpS
アリス「無駄だよ、何をしても気が付く事は無い。でも安心しなよ、死んでいるわけじゃあないんだ。止められた時の中を生きているだけ」
シンデレラ「何故っ…!アリスちゃんは私に用があるんでしょう!?何故、関係の無い二人まで巻き込むの!?」
アリス「厄介だからさ。大鬼も国王もボクの敵じゃないけど相手をするには骨が折れそうだ、キミには強い魔力を持った保護者が居るだろう?彼女の相手は流石に避けたい、だからまとめてこの世界の時を止めた」
アリス「それに兵を呼ばれるのも厄介だ。キミは随分と兵や国民に慕われてるらしいからね、少し前にはキミに金を無心に来た継母を追い払ってくれたらしいとか…随分と人徳のある王妃様だ」クスクス
シンデレラ「そこまで私の周辺の事を知っているなんて…!」
アリス「調べたからね。もう一度言うけれど…ボクが用事があるのは君だけだ。でもキミが大人しく僕の話を聞いてくれないなら……」
アリス「この世界の時をずっと止めたままにするのも悪くない。この世界の住人達は永久に眠りにつかなければいけなくなるけど、ボクには関係ない事だしね」
シンデレラ「そんなこと……っ!」スッ
ビュバッ
シンデレラ「私の大切な人たちに手は出させません…!あなたこそ少し眠って貰います…!」ヒュッ
アリス「情報通りだ。シンデレラはキモオタの仲間の中でも一番の常識人……だけど意外な事に、熱くなると感情的になり易い。そしてすぐに熱くなるような奴の動きを読むより容易い事なんて無いよ、例え高速だとしてもね」ヒュッ
ドゴォ
シンデレラ「ゲホッ…!なんて力なの……」ドサッ
アリス「あぁ、気絶させてしまうなんてやりすぎたな…。まぁいいか、どうせ素直にボクの言う事を聞かないなんて解りきってた事だしね」
アリス「さぁ、シンデレラ。【不思議の国のアリス】の世界に招待するよ……って、聞こえていないか」クスクス

243 :◆oBwZbn5S8kKC :2015/11/18(水)00:32:18 ID:bpS
不思議の国のアリスの世界 ハートの女王の城
・・・
シンデレラ「……っ」ハッ
シンデレラ「私は…確かアリスちゃんの攻撃で気絶して…。さらわれてしまったのかな…ここはどこなんだろう?城の中…?でも、国王様のお城とは違う…」ギギッ
シンデレラ「両腕が縛られてる…!ガラスの靴は無事だけど、これじゃ逃げるどころかろくに身動きをとる事もできない…」ジタバタ
ガタッ
アリス「ようやく気が付いたねシンデレラ。随分と気を失っていたじゃないか、もうすっかり夜中だ」クスクス
シンデレラ「アリスちゃん…!ここはどこなの?私をさらったりして何が目的なの?国王様は…【シンデレラ】の世界のみんなは無事なんでしょう!?」
アリス「ああ、無事だよ。もうキミが居ない事に気が付いて居るかな?」クスクス
シンデレラ「…教えて!一体アリスちゃんは何のために私をさらったりしたの?人質にでもするつもりなの…?」
アリス「あぁ、人質じゃないよ。キモオタの仲間はどいつもこいつも人質には向いていない。裸王も赤鬼も赤ずきんも桃太郎もだけど戦える奴が多いからね、それ以外はちょっとおバカな奴か、逆に頭の切れる褐色娘、それと世界移動出来る妖精だ」
シンデレラ「それじゃあどうして私を…?」
アリス「人質よりももっと有効な方法で、利用させてもらおうと思ってね」ガサッ
スッ
シンデレラ「それは…?ガラスの破片…いえ、鏡の破片……?」
アリス「その通り、鏡の破片だ。でもただの鏡の破片じゃない。悪魔が作った魔法具の鏡…その破片」
アリス「キミをもっと素直にしてくれるすてきな魔法具だ」クスクス

244 :◆oBwZbn5S8kKC :2015/11/18(水)00:38:44 ID:bpS
アリス「この破片を君に突き刺してやれば…君はどうなると思う?」クスクス
シンデレラ「……わからない、でもキモオタさん達を苦しめる為に私を利用するって言うのなら…私はあなたの思い通りにさせるわけにはいかない…!」ググッ
アリス「動けもしないのに健気というか、素直というか…君はどうしてそんなに善人なんだろうね?あんな事があったのに」
シンデレラ「それはどういう意味…?」
アリス「君は今でこそ王妃だが元々は召使い同然の生活を強いられていた灰かぶり…」
アリス「【シンデレラ】は辛く貧しい生活をしていたキミが魔法の力で王子と結婚して幸せになる話だ」
アリス「その結末通り、キミは王妃となりたくさんの仲間に囲まれてめでたしめでたしだ。……でも、忘れたわけじゃないだろう?」
アリス「キミは長く苦しい召使いの生活を送っていた。継母には良いように使われて、姉達には虐められる悲惨な生活…忘れられるはずないだろうね」
シンデレラ「……」
アリス「本来ならばキミは継母達に復讐したっておかしくないんだ、でもキミはそんな事は一切していないそうじゃないか。ボクの密偵が教えてくれたよ」
シンデレラ「復讐なんかしたって何にもならない。確かにあの頃の生活は苦しかったけれど、もう、過ぎた事です」
アリス「過ぎた事?継母は今でも城に金を無心に来るんだろう?姉達に貴族の男を紹介しろと言われたり、美味しい食べ物を寄越せとせびられて随分と困ってるらしいじゃないか」
シンデレラ「なんでそんなことまで知って…」
アリス「本当は憎んでいるんだろう?辛い生活の復讐をしたいだろう?」
アリス「魔法使いは君のボロ着をドレスに変えた。けれどキミの心に根を張った憎しみは変えられなかった…いくら幸せで覆いかくされたとしても憎しみもつらい記憶も確かにそこにある」
アリス「キミの心優しい性格と心の底に残った僅かな憎しみの記憶、利用させてもらうよ。この魔法具を使えば君は自分にもっと素直になれる」
スッ

246 :◆oBwZbn5S8kKC :2015/11/18(水)00:42:06 ID:bpS
今日はここまでです
次回、シンデレラの運命は…?
いままでに登場したおとぎ話紹介はお休み
かぐや姫とオズの魔法使い編 次回に続きます

247 :名無しさん@おーぷん :2015/11/18(水)00:42:24 ID:JhR
アリスど畜生やな

248 :名無しさん@おーぷん :2015/11/18(水)00:42:47 ID:JhR
あ、乙!

249 :名無しさん@おーぷん :2015/11/18(水)00:49:49 ID:Kia
乙です!
アリスゥゥウ!!って感じですね…。
続き待ってます!

270 :◆oBwZbn5S8kKC :2015/11/23(月)00:04:40 ID:Vvg
シンデレラ「……違う。それは違うよ、アリスちゃん」
アリス「違う?キミの心に憎しみの感情はひとかけらも無いとでもいうつもりかい?」
シンデレラ「ううん…あまりこういう事を口にするのは良くない事だけど、昔は私だってお母様やお姉様の事を恨んでた」
シンデレラ「お母様は私から全てを奪って…亡くなった両親から貰った物もお父さんの財産も全て取り上げられてしまったから」
シンデレラ「お姉様は二人して私の事をいじめて、召使いのように扱われた私は…他の女の子のように勉強をしたり遊ぶ時間はおろか休む事すらままならない毎日を過ごしていたもの」
シンデレラ「苦しくて、辛い日々だった。同じ年頃の女の子はおしゃれをして楽しそうに街を歩いているのに、私はいつも薄汚れた灰だらけの洋服で手を真っ赤にしてお掃除や洗濯を済ませるの…ふふっ、何度涙を流したかもう忘れちゃったな」
アリス「ボクには理解出来ない、継母に良いように扱われていたなら普通は復讐のひとつでも考えるだろうに。キミは王妃だ、継母だろうが姉だろうが処刑する事は容易いだろう」
シンデレラ「確かに今の私の立場なら、お母様を処刑しても誰にも文句は言われないと思う。私の境遇を知らない人はきっとこの国には居ないから」
シンデレラ「でも、私はお母様を処刑しない。だって過去の私はお母様を憎んでいたけれど、今の私は…復讐なんか望んでいないから」
アリス「そりゃあそうだね。召使いから一変して今や一国の王妃様…今の裕福で不自由の無い生活が幸せすぎて復讐や憎しみなんかどうでもよくなったって事か」クスクス
シンデレラ「少し違うかな。復讐なんかしなくても、私の心はもう晴れてるの。今の私にはキモオタさんやティンクちゃん、魔法使いさんが与えてくれた人と人との繋がりがあるから…」
シンデレラ「私はもうひとりぼっちの灰かぶりじゃあない。だからもう過去に捕われてお母様を恨み続ける必要なんか、もう無いの」
アリス「…何を言うかと思えばくだらない。友達が側に居れば辛く苦しい思いをした過去の自分は救われるのか?ボクはそうは思わない」
アリス「友人が側に居ようと大好きな世界で過ごそうと…過去に芽生えた復讐心は絶対に消えない」

271 :◆oBwZbn5S8kKC :2015/11/23(月)00:07:26 ID:Vvg
アリス「友達ができた程度で忘れられる過去なら、所詮キミが受けた苦しみなんかその程度のものだったって事だ」
アリス「だけどね、ボクにとってはキミの憎悪の大きさなんかどうだっていいのさ。どんなに小さくても憎しみの心があれば、この魔法具で膨れ上がらせる事が出来るからね」
アリス「【雪の女王】の世界から奪った魔法具・悪魔の鏡の破片…これをキミに突き刺せば、心優しい君の心は真っ黒に染まる…たちまち憎悪が渦巻くようになるんだ」
シンデレラ「それが本当だとして…そんな事をする理由は何?わざわざ私を拘束してまで、私を憎悪に染めようとする理由って…なんなの?」
アリス「駒が欲しいのさ。ボク達は【アラビアンナイト】の結界を破る為の魔法具収集にもスパートをかけるつもりだ、そうなればキミ達は…キモオタ達は黙っていないだろう?」
アリス「あいつはもう、ただの気持ちの悪い現実世界の男じゃない。魔法具も仲間も手に入れたあいつを、ボクはもう十分警戒すべき敵だと認識しているんだよ」
アリス「そうなればキモオタ達を相手に戦う駒が必要だ、出来ればあいつらに有利に戦える駒がね」
シンデレラ「…それが、私だというの?」
アリス「ああ、キミが一番適任だ」
シンデレラ「キモオタさん達は大切な友達なの、例え魔法具を使われたとしても私は決して友達を相手に戦ったりしない…!」
アリス「キミの意思なんか関係無いんだよ。悪魔の鏡の破片が突き刺されば憎悪に支配される、そうすればもうキミは目に見える物すべてが狂おしいほど憎らしく思えて…キミの心は殺意に溢れる」
シンデレラ「例え私がキモオタさん達と戦う事になっても…私は腕力も無ければ魔法も使えないただの人間。ガラスの靴があるとはいえ、キモオタさん達なら私を止めてくれるはずです」
アリス「あはは、随分とキモオタを信頼しているみたいだね。きっと、キモオタ達もシンデレラの事を大切な仲間として、深い信頼をよせているんだろうね」
アリス「でもね、キミが思うよりもずっとガラスの靴は強力な魔法具なのさ。単純な脚力強化に見えるけど、身体能力の飛躍的な強化はむき出しの殺意と相性がいい」
アリス「【マッチ売りの少女】でキミはただの蹴りで王の顎を粉砕しただろう?あの時と違って今の君は鍛錬を積んでいる、殺意のままに蹴りを放てばどうなるかなんて想像するまでも無いだろ。今の君は鬼の一撃を見切るまでに成長しているんだから」
アリス「そんなキミの攻撃を止めるには防戦一方では難しい。でも力でキミをねじ伏せる決断が、キミの大切な友達に出来るだろうか?」クスクス

272 :◆oBwZbn5S8kKC :2015/11/23(月)00:09:35 ID:Vvg
シンデレラ「まさか、アリスちゃんはそれを狙って私を捕えて…!」ゾクッ
アリス「キミは優しい。その優しさに皆が惹かれ、キミが言うようにたくさんの繋がりを与えてくれたんだろう。でも、今回はそれを逆手に取らせてもらう」
アリス「裸王はキミに拳を向けられるか?赤鬼は金棒を振りおろせるか?赤ずきんはマスケットを構える事が出来るか?桃太郎は刃を抜けるか?ラプンツェルはキミを拘束できるか?」
アリス「憎悪に支配されて殺意に満ちた目で襲いかかるキミを、キモオタとティンカーベルは迎え撃つ事が出来るか?」
シンデレラ「みなさんは心優しい方ばかりだから、そんなこと…」
アリス「できない。だろうね、でも魔法具の影響を受けたキミは彼等に全力で襲いかかる。さぁ、彼等は自分が傷付く事とキミを傷付ける事…どっちをとるだろうね?」クスクス
アリス「どっちに転んでもボクにとっては悪い状況にはならない。うまくすれば戦力を削ぐ事が出来る、それが無理でも精神的なダメージは計り知れないだろうからね」
シンデレラ「どうしてあなたは、そんな残酷な手段を平気で…!」
アリス「ボクには目標がある、それを叶えるためにはどんな手段だって使うさ」
アリス「現実はおとぎ話とは違う。夢を持ち続けても、希望を待ち望んでも、清く正しく生きていても、悲しく辛い夜を重ねても…自分から行動しない者は結果なんか得られない」
アリス「どんなに待っていても魔法使いなんか現れないんだ、ドレスも馬車もガラスの靴も努力しない者の前には現れない。まして王子が迎えに来るなんて事は、決してないのさ」
アリス「目標を叶えたいなら、それ以外のものを捨て去る覚悟を持って突き進まなきゃいけない。そうしなけりゃ掴む事が出来ない、それが現実なんだ」
シンデレラ「…アリスちゃん、そんな風になりふり構わずに行動してまで手に入れたい物ってなんなの…?」
アリス「言ってもキミには理解出来ないだろうさ。ただ確実なのは、ボクは目的のためには手段を選ばないし妥協もしない」スッ
シンデレラ「他のもっと平和的な手段じゃアリスちゃんの目標はかなえられないの?自分の目標の為にこんなに多くの犠牲を出して…もうこんな事はやめよう。だって私達は同じおとぎ話の主人公でしょう!?」
アリス「身動きもろくにとれない癖に説教かい?それに…ボクとキミ達が同じおとぎ話の主人公?冗談はやめてくれ、ボクはお前達と同類なんかじゃない」

273 :◆oBwZbn5S8kKC :2015/11/23(月)00:11:45 ID:Vvg
アリス「【不思議の国のアリス】は世界一愛されているおとぎ話だ。それに…キミ達のおとぎ話とは、そもそもの存在意義が違う。生み出された理由もね」
アリス「【シンデレラ】も相当知名度の高いおとぎ話だけれど、所詮は民間伝承が元になった物語の一つにすぎない」
アリス「ルイスが【不思議の国のアリス】を執筆した理由は優しさと愛に満ちてる尊いものだ。消えても構わない他の雑多なおとぎ話と同列のように語られるのは、気分が良くない」
シンデレラ「消えても構わないなんて、そんな言い方……」
アリス「悪いかい?ボクが手を出さなくても現実世界で忘れられたおとぎ話は消えていく、価値の無いおとぎ話は忘れられるのさ。だから【不思議の国のアリス】が消滅していないのは存在する価値があるからだ」
シンデレラ「アリスちゃんが手に入れたいものって…その作者さんやおとぎ話に関係しているものなの?」
アリス「さぁ?その辺りは想像に任せるよ」
シンデレラ「聞かせてアリスちゃん、あなたは……」
ゴーン ゴーン ゴーン
シンデレラ「鐘の音…?」
アリス「時計塔の鐘の音だよ。…もうこんな時間か、少し無駄話が過ぎたみたいだね」
アリス「そろそろ悪魔の鏡の破片をキミの身体に埋め込むとしよう、これ以上キミと問答を繰り返していたって意味がない」ガシッ
シンデレラ「嫌っ、離して…!私は、もう誰も恨んでなんか…!」ジタバタ
アリス「恐れる事は無い、全て魔法だったと思えば諦めもつくさ。王子との恋愛も魔法使いとの親子のような日々も、キモオタや友達との楽しい思い出や強い絆も、全てはただの魔法…そう思えばいい」
アリス「シンデレラに掛けられた素敵な魔法は十二時の鐘とともに消える……キミは孤独でみじめな、薄汚い灰かぶりに戻るだけだ」

274 :◆oBwZbn5S8kKC :2015/11/23(月)00:14:24 ID:Vvg
グシュッ
シンデレラ「うっ、あっあああ……!……違う、違う……!」
アリス「随分と痛みが伴うんだね…魔法の靴で魔力を底上げしてやったせいかな?で…シンデレラ、違うって何がだい?」
シンデレラ「私が……私が国王様や魔法使いさん……キモオタさん達と過ごした日々は……魔法なんかじゃない……!」ゼェゼェ
アリス「そうか、でもそんな事はもうじきどうでもよくなってくるだろうね」
シンデレラ「ゼェゼェ……私は……忘れない、魔法使いさんやキモオタさん達が私を救ってくれた事……」ゼェゼェ
アリス「…ひとつおとぎ話を聞かせてあげるよ、シンデレラ。キミと同じように召使い同然に扱われたみじめな女性のおとぎ話だ」
アリス「その娘はキミと同じように継母や姉に虐められて辛い日々を送っていた。そして同じように、城で舞踏会が開催され…それに向かう事になる」
アリス「けれど彼女の所に魔法使いは現れない。ガラスの靴もカボチャの馬車も与えられない、当然キモオタやティンカーベルと出会う事も無い」
シンデレラ「……どうして、そんなおとぎ話を……私に……うっあああっ……!」ゼェゼェ
アリス「これはね、言わばキミのもう一つの物語…とうの昔に現実世界から忘れ去られた、キミのもう一つの可能性だ」
シンデレラ「私の……私のおとぎ話は【シンデレラ】ただ一つ……別の、物語なんか……あああっ!」ズキズキ
アリス「そのおとぎ話でキミを虐めた姉達は両目を抉られてしまうんだ、それにつま先やかかとを削ぎ落すことにもなったんだったかな。ボクはね、報復が行われるそっちの筋書きの方がずっと現実的だと思うんだよ」
シンデレラ「アリスちゃん……なにを……あっあああ…っ!」ドサッ
アリス「痛みで気を失ったみたいだね…まぁ、いいか。悪魔の鏡の破片はシンデレラの体内に埋め込めた、思い通りに事が運んだというわけだ」
アリス「目を覚ませしたころにはキミはもう生まれ変わっているはずだ。これからは憎悪に忠実に生きればいいんだ、シンデレラ」フフッ

275 :◆oBwZbn5S8kKC :2015/11/23(月)00:16:40 ID:Vvg
翌日
現実世界 キモオタが住む町 TSUTAYA
ティンカーベル「あっ、キモオタ!ほらほら見て見て!シンデレラのポスター貼ってあるよ!」
キモオタ「おおwww以前公開していた実写映画版のシンデレラですなwww遂にレンタル開始でござるかwww借りるでござるか?www」
ティンカーベル「うーん、私達は本物のシンデレラ見たからわざわざ映画観なくても良いような気はするけど…でも興味はあるよ!」
キモオタ「我輩も興味有りですぞwwwガラスの靴やドレスも精巧に出来ているようでござるしなwwwまぁ、女優はシンデレラ殿に全然似てないでござるけどwww」コポォ
ティンカーベル「そーいえばネットの予告編一緒に見たよね、ぶっちゃけ王子も実物の方がずっとイケメンだったよね」
キモオタ「ちょwwwそういう事は言わない方がwwwというかこれ、我々…出てるのでござるかね?www」
ティンカーベル「どーかな…見てみなきゃ何とも言えないよね。あっ、でも貸出中だよ全部!」
キモオタ「人気あるのでござるなぁwww流石はシンデレラ殿www」コポォ
ティンカーベル「……」ジーッ
キモオタ「どうしたでござるかティンカーベル殿www」
ティンカーベル「……ずるい」
キモオタ「ちょwwwレンタルは早い者勝ち、貸出中なのは仕方ないでござるよwww」
ティンカーベル「違うよ!現実世界でこんなに人気があるシンデレラがうらやましいんだよ私は!」プンス

276 :◆oBwZbn5S8kKC :2015/11/23(月)00:18:23 ID:Vvg
キモオタ「ちょwwwいきなり何を言いだすのですかなwww」
ティンカーベル「もうずーっと考えてた事なの!そりゃあ私の【ピーターパン】は消滅してるから人気どころか存在すらしてないけど…」
ティンカーベル「でももしも消えてなかったら【ピーターパン】だって絶対にぜーったいに映画になってたと思うの、そうでしょ!?」
キモオタ「いやwww知らんでござるよwww我輩詳しい内容知らないでござるからwww」
ティンカーベル「んもー!それなのにシンデレラは実写映画にもなりーのアニメ映画にもなりーの…文房具とかあったよこの前!シンデレラの!ノート!ボールペン!」クワッ
キモオタ「なんでそんなに必死なのでござるかwwwそれにきっとその人気っぷり聞いたらシンデレラ殿逆にビビると思うでござるけどwww」
ティンカーベル「しかもシンデレラだけじゃないんだよ…現実世界でおとぎ話が忘れられつつあるって言っても、メジャーな奴は結構人気でしょ?アニメ映画とかやってる奴は特にさ」
キモオタ「そう言えばラプンツェル殿の映画もやってましたなwwwゴーテル殿、めっちゃ悪役でござったけどwww」コポォ
ティンカーベル「ラプンツェルのマグカップとか売ってた時は戦慄したよ…」
キモオタ「ディズニー映画は人気でござるからなwww女子に人気なのでござろうwww」
ティンカーベル「それは良いよ、お姫様は女の子の憧れだからまだ納得は行くよ。でもさぁ!岡山県とか言うところのお土産屋さんに行くと絶対に桃太郎のグッズがあるんでしょ!?ずるいよ!」
ティンカーベル「アリスなんかキモオタがやってるソシャゲーのキャラにもなってる!しかも課金しなきゃとれないの!なんであんな奴が!」ムカムカ
キモオタ「というかなんでそんなにグッズ化にこだわってるのでござるかwww」
ティンカーベル「私もマグカップの柄とかにして欲しいんだよ…!ソシャゲーのキャラとかになりたいんだよ…!」