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キモオタ「我輩がおとぎ話の世界に行くですとwww」ティンカーベル「そう」
Part113


206 :◆oBwZbn5S8kKC :2015/11/13(金)00:14:14 ID:mk2
雪の女王の世界 女王の宮殿前
ビュオオォォォォ
ティンカーベル「到着ー……って寒い!なにこれ…!すっごく寒いよこの世界!すっごい吹雪…!」ブルブル
ヘンゼル「これくらいの吹雪だったらまだ穏やかな方だよ、ひどい時は目の前すら見えないから」
キモオタ「ぶひぃぃぃぃっ!!冷たい冷たい寒い寒い!我輩の脂肪をもってしても太刀打ちできないですとぉ!?こ、凍えるでござるぅー!」ガクガク
ヘンゼル「というか二人とも馬鹿なの?【雪の女王】のおとぎ話知っていれば…いや、タイトルからして極寒の地が舞台だって解るでしょ…なんで準備なしでいきなり来たの?」
ティンカーベル「そ、そんな事今更言ってもし仕方ないいいいででしょ!」ブルブル
ヘンゼル「ほら、僕の服の中に入りなよ…羽が凍りついたって知らないよ?」スッ
ティンカーベル「うぅー、ありがとね!でもなんでヘンゼルは平気なの?」
ヘンゼル「平気ってわけじゃないよ、実際凍えそうなほど寒い。昔はいつも女王に冷気を吸い取って貰っていたから、身体が慣れているのかもね」
キモオタ「れれれれいきにななななれるなどありりええええるのでででで」
ヘンゼル「何言ってるか解らないよ…幸い女王の宮殿のすぐ目の前だ、急ごう」
ティンカーベル「うわーっ、氷で出来た宮殿なんて初めて見たよ…すっごく綺麗だねー。女王が魔法で作ったのかな?確か冷気を操れるんだっけ?」
ヘンゼル「うん、宮殿に着いたら女王に冷気を吸い取って貰おう」
キモオタ「ぜぜぜひひひそそうししてほほほしいいいいででですすぞぞ」ガタガタブルブル

207 :◆oBwZbn5S8kKC :2015/11/13(金)00:17:58 ID:mk2
雪の女王の世界 女王の宮殿
ガチャッ
ヘンゼル「ほら、着いたよキモオタお兄さん。早く入りなよ、温かい飲み物でも入れるよ」
キモオタ「ぶひひぃぃぃぃっ!我輩、今なら冷凍豚肉の気持ちを代弁できますぞ!」ドサーッ
ティンカーベル「うわー、建物の中も氷で出来てるんだ…なんか神秘的って感じだねー、外も中もすごくセンスいいよね!ハイセンス!」
ヘンゼル「それ、女王に直接言ってやると良いよ。きっと喜ぶから」フフッ
スッ
カイ「騒がしいと思ってきてみれば…ヘンゼルじゃねぇか、急に来るなんて珍しいな。どうした?」
ヘンゼル「あぁ、ただいま。女王に話があって来たんだけど…今宮殿に居るかな?」
カイ「さっき帰ってきて今は自分の部屋に居るだろうぜ。お前今日は泊まるのか?急に来るから飯もシチューの残りしかねぇぞ、食うか?」
ヘンゼル「ありがとう。でも食事は済ませてきたしグレーテルもお千代もおいて来てるからさ。話がすんだら今日はすぐに帰るよ」
カイ「そうか。話ってのは…そいつらも関係ある話なんだろ?だったら応接間で待ってろ、女王呼んできてやるから」
ヘンゼル「察しが良くて助かるよ。じゃあ、僕はお茶入れてくるからティンカーベルとキモオタは応接間で待っていてくれるかな、そこの突き当たり右の部屋だから」
キモオタ「わかりましたぞwww我輩のお茶熱々で頼みますぞwww」コポォ
ティンカーベル「さっきの子がカイかな?頼りになりそうな感じだったのに、ヘンゼルってホントに周りに頼ろうとしないんだね」ヒソヒソ
キモオタ「家族だからこそ逆に頼りづらいところもあるのかもしれませんな。ささ、我々は応接間とやらへ急ぐでござるwww何か食べ物も出てくるやもしれませんからなwww」

208 :◆oBwZbn5S8kKC :2015/11/13(金)00:22:07 ID:mk2
女王の宮殿 応接間
ティンカーベル「ねぇねぇ、女王が来たらどーするつもりなの?何からお話するか決めてる?」
キモオタ「そうですなぁ…まずは我輩達の用事を済ませますぞ。アリス殿を止めるべく女王殿も動いているようなので、挨拶しておきたかったでござるしwww」
ヘンゼル「…そうして貰えると助かるかな、いきなり僕の要件を伝えるのはちょっとね…」カチャカチャ
ヘンゼル「グレーテルとお千代を護るための力が欲しい。だから女王に協力してほしい…なんて、やっぱり断られそうで恐いよ」
ティンカーベル「でも、自分の為とか悪い事するわけじゃないんだし、むしろ褒めてくれるんじゃない?妹を護るために頑張るなんて偉いねって!」
キモオタ「確かにそうですなwwwまったくヘンゼル殿は意外とビビリですなwww」コポォ
ヘンゼル「楽観的すぎるよ。女王は優しいけれど厳しいところだってちゃんとあるんだ、それに怒らせたら恐いんだから二人とも失礼な事言わないでよ?」
ティンカーベル「厳しい人なんだ…ちゃんとあいさつしなきゃだからね!キモオタは失礼なことよくするんだから!」
キモオタ「ちょwwwティンカーベル殿wwwそれはお互いさまでござろうwwwっと、噂をすれば来たようでござるぞ…!」
ガチャッ
雪の女王「あぁ、ヘンゼルッ!どうしたんだ急に訪ねてくるなんて、ひょっとして私の顔が見たくなったのか?フフッ、実に可愛い奴だな君は」ナデリナデリ
ヘンゼル「ちょ、女王やめてよ。今日は話があって来たんだよ」グシグシ
雪の女王「なんだそうなのか?だが随分と身体が冷えてしまってるじゃないか…今、冷気を吸い取ってあげよう。さぁ、身体の力を抜いて私に身を委ねると良い」フフッ
ヘンゼル「いや、僕は後で良いから人前でアレするのはやめtむぐっ」バタバタ
ティンカーベル「なんかいきなりヘンゼルが撫でくり回されたかと思ったら今度はキスされてる…!?なにが起こってるのか理解出来てないんだけど…」
キモオタ「我輩もでござるから安心するでござるwwwあれが雪の女王殿www我輩には弟を溺愛してるお姉さんにしか見えないのでござるがwww」コポォ

210 :◆oBwZbn5S8kKC :2015/11/13(金)00:26:17 ID:mk2
ヘンゼル「…どうにかならないのその冷気吸収の方法」キッ
雪の女王「なんだ、照れているのかヘンゼル?フフッ、可愛い奴だ…次は君だティンカーベル、宮殿の外は冷えただろう?ほら、おいで」クスクス
ティンカーベル「えっ、あの、私は恥ずかしいから遠慮しtむぐぐ」バタバタ
キモオタ「なんというか、なかなか愛に溢れた方でござるなwwwお主の家族はwww」
ヘンゼル「…否定はしないよ。両親の居ない僕達を可愛がって養ってくれてるしね、でももう少し人の目とか気にして欲しいんだよ僕は」フゥ
雪の女王「さぁ、これで寒さを感じないだろう。改めて挨拶しておこう、始めまして私が雪の女王だ。今日は私の宮殿にようこそ、好きにくつろいでくれて構わないよ」フフッ
ティンカーベル「あっ!挨拶遅れちゃった!えっと、【ピーターパン】のティンカーベルだよ!色々協力し合う事になると思うからよろしくね女王!」フワフワ
雪の女王「ああ、よろしくティンカーベル。そして、君が…」
キモオタ「お初にお目にかかりますぞwww我輩は現実世界に住むキモオタという者でござるwww女王殿のお噂はかねがねwww」コポォ
雪の女王「フフッ、君の噂も聞かせて貰っているよ。数々のおとぎ話の消滅を食い止めたという二人に会えて、私は嬉しいよ」クスクス
キモオタ「我輩もでござるwwwそれででござるな、少々言いにくいのでござるが…我輩も吹雪に襲われて相当身体が冷えているので、冷気を吸収をしてもらえたらとwww」コポォ
雪の女王「ああ、すまない。厚手のコートを用意したから、君はそれを着こんでくれ」
キモオタ「ちょwwwなんで我輩だけコートwww冷気吸収はwww」
雪の女王「フフッ、私も一応女王だからな。男性相手にみだりに口づけを迫ったりするような淫らな行動は慎まなければならない」クスクス
キモオタ「体よく断られたような気がするでござるwwwまぁコートでも全く問題は無いのでござるがwwwわずかに残るこの仲間はずれ感www」コポォ

212 :◆oBwZbn5S8kKC :2015/11/13(金)00:29:30 ID:mk2
雪の女王「さて、挨拶も済ませた事だ。早速本題に入ろうか、私に話があるんだったな」
ヘンゼル「そうだね、えっと…キモオタお兄さん、お願い」
キモオタ「では早速www女王殿に会いに来たのは他でもない、アリス殿の件についてでござるよwww」
ティンカーベル「そうそう、こないだあの感じ悪い奴と白鳥が私達の所に来て、女王様の事を教えてくれたんだ。女王様もアリスを止めるために頑張ってるって!」
キモオタ「そうでござるwww女王殿と我々は同じ目的でござるし、ここはアリス殿を止めるべくうまく協力したいと思っているわけでござr」
雪の女王「ああ、すまない。違うんだキモオタ、ティンカーベル」
キモオタ「違うとはどういうことでござるかな?」
雪の女王「アリスの件について話したい事は多いが…私がまず聞きたいのは、何故この場にキミが…ヘンゼルが居るのかという事だ」
ヘンゼル「……」
雪の女王「ヘンゼル、私に言いたい事があったから宮殿に来たんだろう?きっとそれは相当大切なことだ、違うか?」
ヘンゼル「……うん、大切なお願いがあって来たんだ」
雪の女王「だろうな、そうでなければキミが現実世界の大人であるキモオタと行動を共にするわけがない」
雪の女王「さぁ、私にお願いしたい事とは何なんだ?言ってみるといい」
キモオタ「ヘンゼル殿、大丈夫でござるか?我輩が時間を稼ぐというのも…」ヒソヒソ
ヘンゼル「いいよ、断られるのを恐れてるようじゃ…不甲斐ない兄のままだから」ボソッ
ヘンゼル「女王、僕はグレーテルとお千代を護る力が欲しい。どんな脅威や悪意からも妹を護れるようになりたい、だからその手助けをして欲しいんだ」

213 :◆oBwZbn5S8kKC :2015/11/13(金)00:35:38 ID:mk2
雪の女王「なるほどな、現実世界に住んでいるとはいえおとぎ話の住人である二人がアリスのたくらみに巻き込まれないとは言い難い」
雪の女王「だから側にいる君が、アリスの脅威から二人を護りたい…そういうことだな、ヘンゼル?」
ヘンゼル「アリスだけじゃない…おとぎ話の世界が混乱に陥ればアリス以外の脅威も生まれる…どんな敵が相手でも、僕は二人を護りたい」コクリ
雪の女王「今、もっとも脅威となるのはアリスだが…彼女は凄まじい戦力を手にしている。魔法具も相当な数を手にしている、キミに強力な魔力が宿っているとはいえ敵う相手じゃない。それは理解しているのか?」
ヘンゼル「…アリスが強かろうと、他の奴らが恐ろしかろうと、僕は強くなりたい。僕は二人の兄だから、だから女王には僕に協力してほしいんだ!」
ヘンゼル「僕はもう妹達が苦しむ姿を見ることしかできない様な弱い子供のままでいるのは嫌なんだ。僕が弱いせいで二人を苦しめてしまいそうにもなった。だから、僕は強くなりたい…!」
雪の女王「そうか、わかった。妹を護れない兄なんて恰好悪いからな、協力してあげるとしよう」スッ
ヘンゼル「えっ…」
ティンカーベル「えっ!?いいの!?なんか思ってたのと違うよ!?」
キモオタ「なんだか拍子抜けなくらいあっさりしてましたなwww」コポォ
雪の女王「そうだヘンゼル、キミに託そうと思っていた魔法具があるんだ。アナスンの書いた【火打ち箱】のおとぎ話は知っているな?そこの主人公の兵隊から火打ち箱を借りて来たんだ、君ならきっと使いこなせる」
ヘンゼル「…女王、なんで僕の頼みを聞いてくれたの?」
雪の女王「フフッ、なんだそれは?断った方が良かったのか?」クスクス
ヘンゼル「そうじゃなくて…絶対、断ると思ってた。僕は散々無茶をしてきたから、きっと女王は僕を止めるって思ってたよ」
雪の女王「なんだ、よくわかってるじゃないか。私も内心、無茶をし過ぎる君にこの魔法具を託すのは心配だ。君は良く暴走するうえに、自分の身を顧みない危うさもある…今この瞬間でもやはりやめた方がいいかもと思っているんだ」クスクス
雪の女王「だが、大切な妹を護れない君の辛さだって理解出来てる。君がその為に強くなりたいというのなら、私はキミに力を貸すよ」
雪の女王「ただ、約束してくれ。全てが終わった時、グレーテルとお千代だけでなく君自身の無事な姿を私に見せてくれるという事をな」

214 :◆oBwZbn5S8kKC :2015/11/13(金)00:37:21 ID:mk2
今日はここまでです
ここまでに出たおとぎ話紹介
【赤ずきん】
世界的におとぎ話の中でも高い知名度を誇る作品。
お婆ちゃんのお見舞いに向かうも言いつけを破って寄り道してしまう少女と、少女を食べようと策を巡らす狼のおとぎ話。詳しくは二冊目参照。
【シンデレラ】と同様にグリム童話版とペロー童話版など複数の展開が存在する。このssでは日本は一般的なグリム童話版をベースとしています
このssでは猟師から託されたマスケットを携え世界を渡る頭巾をかぶり、【赤ずきん】を消滅させたドロシー達への復讐を目的に赤鬼達と旅をしています。
【人魚姫】の世界での一件でお婆ちゃんに教わったおとぎ話の知識が自分自身の武器であると気が付いた彼女は、時折雪の女王の書庫や魔法使いの屋敷に訪れて新たな知識を得ているようです
以前よりも精神的な余裕を持って旅をする事が出来ているようです。
最近後悔している事は、赤鬼達に知られないよう密かにブラックコーヒーを飲む練習をしている事を人魚姫に暴露されて、照れ隠しにマスケットをぶっ放してしまった事
かぐや姫とオズの魔法使い編 次回に続きます

215 :名無しさん@おーぷん :2015/11/13(金)00:46:25 ID:y85
1さん、病み上がりに乙です!
今回も面白くてキモオタの説得シーンと最後の雪の女王の台詞が良かったです
次回も楽しみに待ってます!!
P.S.寒くなって来たのでご自愛下さいませ…

217 :名無しさん@おーぷん :2015/11/13(金)02:21:28 ID:jQO
>>214
ヘンゼルが思い止まってくれてよかった…
本当によかったよう( ノД`)…
>>1さん身体に気をつけて、無理せず頑張ってください!

218 :名無しさん@おーぷん :2015/11/13(金)04:07:16 ID:XrG
乙!
キモオタの煽りは一級品でござるな

230 :◆oBwZbn5S8kKC :2015/11/17(火)23:59:20 ID:eWg
ヘンゼル「…うん、約束するよ。次にこの宮殿に帰ってくる時は三人一緒だ、その時には必ず三人とも元気な姿を女王に見せる」
雪の女王「ああ、その日を楽しみにしておくよ。それと…この約束を破ると悲しむ人間が少なくとも四人いる、それを忘れないようにな?」
ヘンゼル「うん、ありがとう女王。忘れないようにするよ」
雪の女王「よろしい。それじゃあこの魔法具、火打ち箱はキミに託そう。使い方は知っているな?」
スッ
ヘンゼル「うん、知ってる…。これが火打ち箱か…【火打ち箱】のおとぎ話を読んだ事はあるけど、僕に使いこなせるかな…」ゴクリ
雪の女王「使いこなせるさ、私はそう信じている」
ヘンゼル「魔法具が欲しいとは言ったけど、こんなに強力な魔法具を手にする事になるなんてね…扱いには気を付けないと」
キモオタ「ちょwwwどうしたんでござるかヘンゼル殿www珍しく弱気でござるなwwwいつもの自信は何処へ行ったのでござるかwww」コポォ
ティンカーベル「いえてる!なんかビビってる感じだよね!そんなにその火打ち箱って魔法具ってすごいの?」
ヘンゼル「あのさ…二人ともこの火打ち箱がどんな魔法具か知らないのに僕の事煽ってない?」
ティンカーベル「知らない!そのおとぎ話まだ読んだことないしね」
キモオタ「右に同じですぞwwwどんな魔法具なのか教えていただきたいですなwww」
雪の女王「なんだ、現実世界ではあまり有名じゃないのか?ヘンゼル、この二人に火打ち箱がどんな魔法具なのか教えてやるといい」クスクス
ヘンゼル「しょうがないな…火打ち箱はね、一言でいえば召喚装置だよ」
ヘンゼル「この火打ち箱を打ちつければ魔獣を呼び出す事が出来るんだ。主人の命令を忠実にこなす、従順な番犬をね」

231 :◆oBwZbn5S8kKC :2015/11/18(水)00:03:03 ID:bpS
ヘンゼル「一度打ちつければ茶碗程の大きさの瞳を持つ番犬を。二度打ちつければ水車程の大きさの瞳を持つ番犬を呼び出す。三度打ちつければ円塔程の大きさの瞳を持つ番犬だ」
ティンカーベル「えーっ!?茶碗ほどの瞳ってだけでおっきいのに水車とか塔とか…その魔獣めちゃくちゃ目がでかいじゃん!なにそれ、想像しただけでキモイよ…!キモオタの比じゃないよ!?」
キモオタ「魔獣のキモさ比較の為に我輩を引き合いに出すのはやめていただきたいwww」コポォ
ヘンゼル「別に目だけが大きいわけじゃなくてさ、そもそも身体が大きいってのもあるんだよ。それでも異形である事に違いは無いけど」
ティンカーベル「とりあえず私が居ない場所で呼び出してほしいよね…ちょっと怖いよね、魔獣は」
雪の女王「そう怯える事は無いさ、主人が…ヘンゼルが命令しなければ他人に危害は加えない。ただ逆に言えば、ヘンゼルの命令ならばどんな事でも遂行する」
ティンカーベル「どんなことでも?」
雪の女王「ああ、どんな事でもだ。そこに善悪の区別や正義の有無は関係ない、主人の命令に従う事だけが魔獣達のルールだ」
ヘンゼル「実際【火打ち箱】でもこの魔獣達はお姫様を誘拐するのに加担したり、その罪で捕まった主人公の命令で国王や兵士達を噛み殺したしね…使い方を誤れば恐ろしい結果を招く魔法具だ」
ティンカーベル「外見も怖そうだけど命令の為ならなりふり構わないって、恐いね…」
キモオタ「まさに魔獣というわけでござるか…」
雪の女王「だが正しく使えばこれほど頼もしい奴等はいないさ。道具を生かすも殺すも使い手次第、この魔法具はその部分が色濃く出ると言うだけ」
雪の女王「主人であるヘンゼルが善の心を持って正しく使えば恐ろしい事なんて何もない。ただ、ヘンゼルの心が憎しみに染まっていては悲惨な結果は免れないだろうな」フフッ

232 :◆oBwZbn5S8kKC :2015/11/18(水)00:05:18 ID:bpS
ティンカーベル「うーん、でもヘンゼルってそこが一番怪しいよね。過去にいろいろあったから…結構、憎しみに染まってるっぽいし。っていうか染まってる」
キモオタ「ちょwwwティンカーベル殿直球www」コポォ
ヘンゼル「…ティンカーベル。キミは僕の手助けのためにここに来てくれたんじゃなかったの?」
ティンカーベル「心配して言ってるんでしょ!ヘンゼルは大人の事も現実世界の人の事も嫌いだから、その人たちにグレーテルが何かされたら絶対魔獣に襲いかからせるじゃん!」
ヘンゼル「いくらなんでもそこまでしないよ、この魔法具は二人を護るための力だ。報復をする為の力じゃないでしょ」
キモオタ「…いや、ぶっちゃけるとヘンゼル殿は確実に報復のために襲撃させると思うでござるwww」
ヘンゼル「……」
雪の女王「フフッ、キミ達は随分と素直だな。なぁヘンゼル、この二人は本当に君に協力しているのかい?」クスクス
ヘンゼル「…僕が聞きたいよ。どうなってるんだよ僕のイメージ」
雪の女王「だが、私も二人の意見に賛成だ。妹達が傷つけられて頭に血が上ったヘンゼルが魔獣達をけしかける…想像するのは容易いな」クスクス
ヘンゼル「女王まで…。確かに僕が今までしてきた事を考えれば、そう思うのも仕方ないかもしれないけどさ、だからって…」
雪の女王「まぁそう拗ねるなヘンゼル。君の事は信用している、だからこそ…君のそういった部分を治す為にも課題を出そう。その課題が達成できないなら適正なしと判断して火打ち箱は返して貰う、それでどうだい?」
ヘンゼル「課題…嫌な予感しかしないけど、何をさせられるの?」
雪の女王「君に世界移動の手段を与える、そして色々なおとぎ話の世界を周って…その世界の人々と交流する事。それが君の課題だ」

233 :◆oBwZbn5S8kKC :2015/11/18(水)00:08:35 ID:bpS
雪の女王「信用できる相手が家族しか居ないから、結果として誰も頼れず自分ひとりで何とかしようとする…だから余裕がなくなってしまうんだ。信用できる仲間が多く居れば君が道を踏み外しそうになっても正してくれる」
雪の女王「その為には君が他人と交流するところから始めなければな、その為にも様々なおとぎ話に行ってみるんだ」
キモオタ「なんとwwwコミュ症とかヘンゼル殿にとっては難易度くっそ高い奴でござるなそれwww」
ヘンゼル「……信用できるかどうかもわからない他人と交流しろって言うの?」
雪の女王「それは違う。交流して絆が生まれて初めて信用できるというものなんだよ、人間というのはね」
雪の女王「いつまでも家族だけを信じて、他人と触れ合おうとしないキミに本当に信用できる相手なんか永遠に出来やしない。ましてや信用されることなんか不可能だ。そろそろ変わろうとしなければな」
ヘンゼル「……」
雪の女王「それじゃあなければ君の今後の為にならない。これは君のための課題だ、それでも意地を張って家族以外の人間は信用したくないなんて言うなら、その魔法具は残念だけど帰して貰わなくちゃいけないな」クスクス
ヘンゼル「……女王は、僕にそんな事が出来ると思ってるの?ティンカーベルじゃないけど、僕は大人が嫌いだ。結局トラブルを招くかもしれないよ?」
雪の女王「招けばいいさ、それくらいのフォローはしてやれるし、さっき言ったように世界移動の手段だって与える。あとは君がやるかやらないかだ」
ヘンゼル「……」
キモオタ「ヘンゼル殿wwwなんなら難易度低いところで我輩の知り合いの所に尋ねてみるというのはwww例えば裸王殿の所とかどうですかなwww」
雪の女王「私も賛成だな、彼は立派な王だ。君もきっと気にいるさ。どうだ?最初は【裸の王様】の世界で裸王にあってみるというのは」
ヘンゼル「……わかったよ。そうそう簡単にはいかないと思うけど、女王が家族以外の奴らも信用できるようにしろって言うなら努力するよ。本当の所気は進まないけど…」
ヘンゼル「その裸王って人の所に行ってみる。キモオタお兄さん達は僕に協力して来てくれたんだし、女王は僕を信じて火打ち箱を貸してくれたんだ。僕はその信頼に答えなきゃいけないからね」

234 :◆oBwZbn5S8kKC :2015/11/18(水)00:11:26 ID:bpS
雪の女王「フフッ、決まりだな。さて……出ておいで小夜啼鳥、君には今後ヘンゼルのサポートをして貰おう」
小夜啼鳥(サヨナキドリ)「ええ、女王様が命じるのなら。わたくしはその様にいたしましょう」ピチチチチ
ヘンゼル「小夜啼鳥…!」
ティンカーベル「なんかちっちゃい鳥だ!白鳥のほかにも鳥の知り合いが居るなんて女王は顔が広いんだねー」
小夜啼鳥「あなたはティンカーベルさんですね。女王様は様々なおとぎ話の世界に協力を仰いでらっしゃいますから、協力者は人間だけでは無いのですよ」
キモオタ「鳥がしゃべるのにも完璧に慣れましたぞ我輩www」
小夜啼鳥「さぁ、ヘンゼルさん。今後はわたくしと共に世界を飛び回りましょう、この旅はきっとあなたの心を満たしてくれることでしょう」ピチチチチ
ヘンゼル「君が僕に協力してくれるって言うのなら、凄く嬉しいけれど……ねぇ、女王。小夜啼鳥はただの鳥じゃない、僕が連れて歩いていても良いの?」
雪の女王「もちろん。それに彼女は君に協力するだけじゃない、君が道を踏み外しそうになった時導く役目もある。それと、君の素行不良を私に告げ口する役割もね」クスクス
キモオタ「要するに保護者役というわけでござるなwww」
ヘンゼル「いや、でも小夜啼鳥の能力は僕一人の為に使うには過ぎたものだと思うんだけど…」
小夜啼鳥「ヘンゼルさんは私の事を買いかぶりすぎですよ。それとも鳥はお嫌いですか?以前、鳥にパンくずを食べられたせいでひどい目にあったと聞いてますし」
ヘンゼル「いや、嫌いとかじゃなくて…」
小夜啼鳥「ではご一緒させていただきます。安心してくださいヘンゼルさん、あなたが不安や憎しみに駆られようともわたくしが側にいますから」ピチチチチ
ヘンゼル「…うん、ありがとう。よろしく頼むよ、小夜啼鳥」
ヘンゼル(火打ち箱に小夜啼鳥…。過保護が過ぎるよ女王は…でもそこまでされたら、僕も女王の期待に答えなきゃね…)

235 :◆oBwZbn5S8kKC :2015/11/18(水)00:13:54 ID:bpS
雪の女王「さて、それじゃあ決まりだ」
雪の女王「ヘンゼルは小夜啼鳥と一緒に様々なおとぎ話の世界を訪れる事、まずは【裸の王様の】世界だ」
ヘンゼル「うん。でもその為に妹達をほったらかしにしちゃ本末転倒だ、現実世界のお千代の部屋を拠点に定期的に別世界へ行く事にする。それでいいよね、小夜啼鳥?」
小夜啼鳥「もちろんですとも、世界移動の能力が必要な時はいつでも助力いたしますよ」ピチチチチ
雪の女王「魔法具は火打ち箱、そして君自身の成長のためには小夜啼鳥を託した。ヘンゼルが望みはそれで叶えられそうか?」
ヘンゼル「ここまでして貰って叶えられなかったら僕は責められても文句言えないよ。他人を信用するなんて正直まだ気は進まないけど…でも、こうなったらやるだけやってみるよ」
雪の女王「君が更なる力を手にして立派に成長する様、楽しみにしておくよ」クスクス
ティンカーベル「うんうん!良かったねヘンゼル!」
キモオタ「まぁヘンゼル殿にとって他の世界の大人と交流するなどハードル高いでござろうが頑張るでござるよwww我々も応援しているでござるwww」
ヘンゼル「うん、二人には感謝しないとね…ありがとう、ティンカーベル。それとキモオタお兄さんも」フフッ
キモオタ「ちょwwwなんか我輩の方がついでっぽいのでござるけどwww」
雪の女王「さて、次はキモオタ達の話を聞かせて貰おうか。君達も聞きたい事は多いだろうが、私も聞きたい事はたくさんある…少し長くなってしまうだろうが、構わないか?」
キモオタ「もちろん構いませんぞwww女王殿はアリス殿の件でかなり積極的に動いてくださっていると聞きますからなwww親睦を深める意味も込めてwww」コポォ
ティンカーベル「うんうん!ヘンゼルとのやり取りとか見てたら私も雪の女王に興味でてきちゃった!いっぱいお話しようね!」
ヘンゼル「二人の事も心配だけど…アリスの件について深く知っておきたいし、僕も同席させて貰うよ」
雪の女王「フフッ、それならば茶が足りそうにないな。君達は待っているといい、とっておきの紅茶を淹れて来てやろう」フフッ
スタスタ

236 :◆oBwZbn5S8kKC :2015/11/18(水)00:16:21 ID:bpS
雪の女王の宮殿 キッチン
カイ「なんだ。女王、あんたが茶を入れに来るなんて珍しいじゃないか」
雪の女王「流石に客人をキッチンに立たせるわけにもいかないからな。だが丁度良かったよカイ、紅茶を淹れて欲しいんだが構わないか?」
カイ「なんだよ、結局俺が淹れるのか…構わねぇけどよ」
雪の女王「フフッ、そっけない態度をとっているが…私は気が付いているんだぞ?カイ、君は私達の話を立ち聞きしていただろう。弟の事が心配か?」クスクス
カイ「まぁ気が付くよな…そんなんじゃねぇけどよ。でもよかったのか?火打ち箱と小夜啼鳥、ヘンゼルに渡しちまっても」
雪の女王「確かに火打ち箱は私が持つ魔法具の中でも強力なものだ、迷いはしたが…ヘンゼルはもう何度も自分の行動が裏目に出てしまう事を経験してる、恐ろしいほど強い力を渡した方がむしろ慎重になれるだろうさ」
雪の女王「それにそもそも小夜啼鳥には彼等の生活の様子を見守って貰っていたんだから何も変わりはしないさ。その事をヘンゼル達は知らないけれどな」
カイ「……なぁ女王、強力な魔法具や仲間を託すのはなにもヘンゼルの為だけってわけじゃねぇんだろ?」
カイ「何か、理由があるんだよな?」
雪の女王「やれやれ、君には参るな。察しが良すぎるというのも考え物だ」クスクス
カイ「はぐらかすなよ。何か起きてるんだろ?無視できないほど重大な何かがよ」
雪の女王「隠しても仕方がないか…実は私がこの世界を留守にしている間。何者かがこの世界に忍び込んだらしい」

237 :◆oBwZbn5S8kKC :2015/11/18(水)00:19:23 ID:bpS
カイ「…アリスの一派か?」
雪の女王「いいや、アリス本人だ。大方、私の事が邪魔になって始末しに来たんだろうが…不在と知って標的を変えたようだ」
カイ「おい…!まさかアリスの奴、ゲルダを襲いやがったんじゃ…!」
雪の女王「安心するといい、君の親友のゲルダは無事だ。アリスが襲ったのはゲルダじゃない、アリスは君の性格がねじ曲がる原因を作った奴らを襲ったのさ」
カイ「別に親友じゃねぇけど。しかし俺の性格がねじれた原因…悪魔の作った鏡か。アリスは悪魔の連中を襲ったって言うのか?」
雪の女王「ああ、そうだ。悪魔とは言っても事情を知っている連中だから私が不在の間の見張りなんかをかって出てくれていたんだ。悪魔たちもアリスの事は知っていたし、迎え撃つ用意はしていたようだったが…無駄だった」
カイ「アリスが悪魔の連中を襲った理由ってのは…やっぱり、悪魔の鏡か?」
雪の女王「だろうな…。悪魔の鏡は突き刺した人間の心を捻じ曲げる恐ろしい魔法具だ。奪われたのはほんの何粒かのかけらだが…恐ろしい事に変わりは無い」
雪の女王「油断していたわけじゃないが…まさかあの悪魔たちをねじ伏せるほどの力を持っているとは、読みが甘かったようだ」
カイ「どうするんだ?悪魔の鏡の破片を奪われちまったってなら…悪用されちまったら事だぞ?」
雪の女王「今、親指姫と白鳥…その他にも何人もの仲間がその対応にあたってくれてるが…」
カイ「だから、ヘンゼルとグレーテル、お千代を護るために火打ち箱と小夜啼鳥を託したってのか…」
雪の女王「もちろんヘンゼルの為というのが一番の理由ではあるがな。この期に及んで自分の家族の安全を優先にするなど、女王として失格なのだろうが…」
カイ「誰もあんたを責められねぇよ。でもアリスはもう一度この世界に来るだろうぜ?今度こそあんたを始末しにな」
雪の女王「それは何としても阻止する、私が消えてしまえばこの【雪の女王】の世界も消滅する」
雪の女王「それだけは…絶対に防がないといけない。アナスンが生み出したこの世界を消滅させる事だけは…決してあってはいけない」
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