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キモオタ「我輩がおとぎ話の世界に行くですとwww」ティンカーベル「そう」
Part109


58 :◆oBwZbn5S8kKC :2015/10/21(水)23:59:00 ID:6Ma
アリス「あとは人質の管理を頼んでいる女王から話を聞いておきたい、頼めるかな?」
ハートの女王「良いだろう、その為に出向いたのだから。我の担当とは言うが、女王はその様な雑務はせぬものだ。実際は私の部下に任せている、ハートのキングとハートのジャックにな」
帽子屋「あらっ、王様は相変わらず尻に敷かれているのねぇ〜」ブホホホ
ハートの女王「当然だ。そんな事よりも本題に入るが……」
三月ウサギ「あっ、わりぃけどちょっと待って、誰かがこっちに向かってくる足音が聞こえる」
ザッザッザッ
ハートの女王「足音だと?そんな些細なことで我の話を遮るなど、貴様首を刎ねられたいのか!?」ガタッ
ザッ
ブリキ「……」ズシッ
帽子屋「あらっ、ドロシーちゃんのお友達のブリキちゃんじゃないのぉ〜。みんなで魔法具収集に行ったはずでしょお?それとももう終わったのかしら?」ブホホ
ハートの女王「誰かと思えば貴様か、足音の正体もわかったのだ。我は話を続けるぞ」
アリス「……ちょっと待って女王。その前に、どうやら彼はボクに話があるみたいだ」フフッ
ブリキ「…アリス」
アリス「なにかな、ブリキ。今日はドロシーやかかしとライオンとは一緒じゃないのかい?」
ブリキ「…その件で話がある。ここでは何だ、俺と共に来てもらう」

59 :◆oBwZbn5S8kKC :2015/10/22(木)00:00:23 ID:rtm
白ウサギ「ちょ、ちょっと待ってくださいブリキさん!アリスさんは今、みなさんと大切な話し合いをしているところd」
ヒュッ ゴシャアアァァ!!
白ウサギ「ひっ…!て、テーブルが…!」
ブリキ「俺の話の方が優先度が高い。後にしろ、白ウサギ。あるいはこのテーブルのようになりたいのか?」ギロッ
三月ネズミ「っていうか俺のテーブルがああぁぁ!?お前、なんてことするんだよお前!」
ハートの女王「ブリキ!貴様の癇癪のせいで私のティーセットはめちゃくちゃではないか、償いとして割れたカップやらの始末はお前がせよ!断るならば首を刎ねるぞ!」バッ
帽子屋「まぁまぁ女王様落ち着きましょっ?席をひとつずれれば問題ないわよ〜っ?でもブリキちゃん、今のは少し感じ悪いわよぉ?」
ブリキ「俺はお前等に愛想を振りまく為にこの世界に居るわけじゃない」
アリス「ほらほら、みんな喧嘩をするのはやめよう。お茶会は楽しくやるものだ」
ブリキ「…おい、アリス」
アリス「わかっているよ、ボクもキミたち一行には話さないといけない事がある。付き合うとするよ」
白ウサギ「で、ですけどアリスさん!」
アリス「心配いらないよ、彼らと少し話をするだけだから。悪いけれど会議は中断だ、すぐに戻ってくるから少し休憩しているといい」
ブリキ「すぐ帰れると思っているのか?俺達が納得のいく回答をお前が出すまで、俺はお前を解放する気は無いぞ」
アリス「キミにそのつもりが無くても、僕が話を終わらせたければ終わらせる。キミに合わせるつもりは無いよ」
アリス「さぁ、行こうじゃないか。話したい事っていうのは大方…ドロシーの事だろう?」クスクス

60 :◆oBwZbn5S8kKC :2015/10/22(木)00:01:27 ID:rtm
今日はここまでです
ここまでに出たおとぎ話紹介
【シンデレラ】
お姫様が登場するおとぎ話の代名詞ともいえる有名作。
召使い同然の扱いを受けていた娘が魔法使いの協力を得て王子の妃探しの舞踏会へ向かうと言うおとぎ話。詳細は一冊目をどうぞ。
いくつかのバージョンが存在するけどこのssの【シンデレラ】はガラスの靴とカボチャの馬車が登場する日本で一般的なタイプのペロー版です。
このssでは結婚相手の王子が王位を継承した為シンデレラも王妃となっています。
【マッチ売りの少女】の一件と自分自身の境遇から弱い者の立場を考えられるシンデレラは貧しい民衆や孤児への支援協力を積極的に行っており、その信頼は厚いようです。
ただ七冊目でも触れたように【シンデレラ】の世界では『ただの街娘なのにうまいこと王族になった娘が居る』という前例ができた為、玉の輿狙いの女性が急増
婚活女子の間で神格化されているのが近頃の悩みのようです。
かぐや姫とオズの魔法使い編 次回に続きます

62 :名無しさん@おーぷん :2015/10/22(木)00:27:28 ID:zOp
乙です!
ついにアリス側に話が来た!!
続き待ってます!

63 :名無しさん@おーぷん :2015/10/22(木)00:52:55 ID:mVV
ソルサク俺もやってるwwwwwアレのお伽噺でつらいのは白雪姫とヘンゼルとグレーテルやねアレ以外は自業自得の一言で片付けられるから教訓にはなるねwwwww更新乙です、まさか、ドロシーが正気になるなんて、先が楽しみだ

64 :名無しさん@おーぷん :2015/10/22(木)01:05:23 ID:5M3
>>1さん、乙です!
新キャラ続々に加えてドロシーの正体も分かりそうですね…
次回も楽しみです!!

82 :◆oBwZbn5S8kKC :2015/10/25(日)23:51:08 ID:pgu
オズの魔法使い
カンザスという地方にひとつの農家がありました。そこにはドロシーという少女が伯父さんと叔母さんそして愛犬のトトと一緒に暮らしていました。
ある日、ドロシーの家は大きな竜巻に巻き込まれてしまいドロシーとトトはカンザスから遠く離れたオズの国に飛ばされてしまいました。
オズの国に飛ばされた家は偶然にもそこに住む小人を支配していた悪い魔女の上にドスンと落ち、魔女は家の下敷きになって死んでしまいました
悪い魔女から解放された小人たちは大喜び、結果的に魔女を倒したドロシーはとても感謝されました。けれどドロシーはカンザスへ帰りたがっていました、伯父さんと叔母さんが心配していると思ったからです
しかし、オズの国から余所へ向かうにはとても厳しい砂漠を越えて行かなければならず、陸を進んでカンザスまで帰るのはとても無理でした。
そこでエメラルドの都に住むという大魔法使いのオズに出会い、カンザスへと帰る方法を教えて貰う事にしたのです。
ドロシーは悪い魔法使いの持っていた魔法の靴を履いて、トトと一緒にエメラルドの都を目指すのでした。
旅の途中、ドロシーとトトは一体のかかしに出会いました
かかしは毎日毎日鳥達を追い払う日々に退屈していたので、ドロシーはかかしの支え棒をひっこ抜いて自由にしてあげました
かかしは言います「僕の頭には藁が詰まっているだけでものを知らないからいつもカラスに馬鹿にされるんだ、オズに頼めば脳みそを入れてもらえるかな?」
ドロシーは「大魔法使いのオズならそんなことはきっと簡単よ」と答え、一緒にエメラルドの都へと進む事にしました
しばらくしてドロシーとトト、かかしは斧を振り上げたまま止まっているブリキのきこりに出会いました
ブリキは雨にうたれたせいで錆びついて動く事が出来なくなっていたので、ドロシーはブリキの関節に油をさして動けるようにしてあげました
ブリキは言います「僕はブリキの身体だけど、昔は心を持った人間だった。だけどこのブリキの身体になる時に心を失ってしまった。オズに出会えば僕はもう一度心を手に入れられるだろうか?」
ドロシーは「私をカンザスに帰してかかしに脳みそを与えてくれるオズならそんなことは簡単よ」と答え、一緒にエメラルドの都へと進む事にしました
次にドロシーとトト、かかしとブリキが出会ったのは一匹のライオンでした
ライオンは大きな声で吠えながらドロシー達に襲いかかりましたが、愛犬のトトを食べられそうになりドロシーはライオンを叱りつけました。
ライオンは怯えながら言います「僕はライオンだけれどとても臆病なんだ。だからいつも大声で吠えて強いフリをしているんだ、オズさんに出会えば僕にも勇気をくれるかな?」
ドロシーは「私達はみんなオズに願いを叶えて貰いに行くの、あなたの願いも簡単よ」と答え、一緒にエメラルドの都へと進む事にしました
ドロシー達はエメラルドの都へたどり着きオズに謁見しました。オズは悪い魔女を退治してくれたら願いをかなえてやると約束してくれました
魔女を退治するなんてとても大変な事でしたが、ドロシーとトト、かかし、ブリキのきこり、ライオンはそれぞれ力を合わせて魔女を退治しました
しかし、その事をオズに報告すると願いをかなえると言ったオズは言葉を濁します。実はオズは大魔法使いでも何でもないただのペテン師で、ドロシー達の願いを叶える魔法など使えなかったのです。
ドロシー達はがっかりしましたがオズは言います。
かかしはみんなの為に知恵を使って旅を乗り越えた、ブリキは仲間を想う優しい心を持っている、ライオンは敵に立ち向かう勇気を持っている。キミ達の願いはもう叶っているんだよ、と。
願いが叶ったと知った一行は喜びました。カンザスへ帰りたいというドロシーに、オズは気球を用意してくれました。しかし気球が飛び立つ寸前、ドロシーは乗り遅れてしまいました。
そこに良い魔女が現れ、その魔法の靴の踵を打ちならせばあなたはカンザスへと帰る事が出来ると教えてくれたのです
ドロシーは旅を共にした仲間達に別れを告げると魔法の靴を打ちならし、伯父さんと叔母さんの待つカンザスへと帰る事が出来ました。
おしまい

83 :◆oBwZbn5S8kKC :2015/10/25(日)23:53:55 ID:pgu
不思議の国のアリスの世界 ハートの女王の城へ続く道
アリス「どこに連れて行かれるかと思ったけれど、この道を進んでるって事は目的地はハートの女王の城かな?」
ブリキ「…そうだ、城には俺達が間借りしている部屋がある。かかしとライオンが俺の部屋で傷の手当てをしながら待っている」
アリス「かかしとライオンはいいけど、ドロシーはどうしたんだい?頭数に入っていないようだけど」
ブリキ「……」
アリス「ドロシーには内緒なのかな?キミ達は厳しい旅を共にした仲間だというのに、一人仲間はずれなんて可哀そうじゃないか」クスクス
ブリキ「…あいつには聞かせられない話だ」
アリス「あぁ…もしかして、ブリキはまだあの事をドロシーに話していないのか?」
ブリキ「話せるわけがないだろう。かかしにもライオンにも隠している、だがこの二人にはこの後打ち明けるつもりだ。もう隠しきれない」
アリス「まぁ、そうだろうね。それにしてもドロシーは元々争いなんか望まない優しい性格の娘だから、こんな戦いに身を投じていなければずっと平和な生活が送れただろうに」クスクス
ブリキ「お前がそれを言うのか…!ドロシーを戦いに引き込んだのはお前だろう…!」ギロッ
アリス「フフッ、確かに彼女を戦いの場に引き込んだのはボクだ。世界移動もできる強力な魔法の靴を持っている彼女は協力者として適役だったからね」
アリス「だけど、彼女がおとぎ話を襲う事をキミは止めないじゃないか。原因はボクだけど、ドロシーを止める事もせず戦いを続けさせているのはキミだろう?」

84 :◆oBwZbn5S8kKC :2015/10/25(日)23:57:10 ID:pgu
アリス「彼等は驚くんじゃないか?本当は優しいドロシーが好戦的になって戦っている原因が薬。しかもそれを飲ませているのがキミだと知ったら…まずいんじゃないか?」クスクス
ブリキ「構わない。覚悟の上での行動だ、二人に糾弾されようと構わない。これは俺の罪だ」
アリス「キミは難儀な性格をしているよ。キミの行動は一見彼らへの裏切りに見える、だけどその本質はドロシーの為だ。ドロシーの幸せを願うあまり、キミは彼女に戦いを強いている」クスクス
ブリキ「…ドロシーが苦しまないためには、これが現状で出来る一番の対応だ」
アリス「確かに、キミにはドロシーに戦いを続けさせること以外に他に方法が無かったかもしれないね」
ブリキ「事実、こうするしかなかった。この選択が悪手だと解っていても…結局はただの結論の先延ばしにすぎなくても…な」
アリス「キミの選択は博打が過ぎると思うよ」
アリス「キミならばいつでもドロシーを戦いから遠ざける事ができた。彼女に争いの無い平和な生活を送らせる事のできるチャンスは今までに何度もあったよ」
アリス「でもキミはあえてそうしなかった、薬を飲ませてまでドロシーの性格を捻じ曲げて…そのうえかかしとライオンにその事を隠して…ドロシーに戦いを強いる」
アリス「キミはボクに非があるように言うけれど、ドロシーを今までずっと戦いの場に留まらせたのは他でも無いキミだろう、ブリキ」
ブリキ「否定はしない。あいつ等に糾弾されても構わないとさっき言っただろう。俺はどうなってもかまわない、だがドロシーを悲しませないためにはやむを得ない事だ」
アリス「まぁ、ボクはなんだってかまわないよ。さぁそろそろ城だ、かかしとライオンに真実を告げる覚悟をそろそろしておいた方がいいんじゃないかな?」

85 :◆oBwZbn5S8kKC :2015/10/26(月)00:01:51 ID:RAx
ハートの女王の城 客間(ブリキの部屋)
ライオン「えぇーっ!?ドロシーちゃんが今みたいな性格になっているのって薬のせいだったの!?」
ブリキ「そうだ。俺が飲ませていたあの薬はドロシーの本来の性格を捻じ曲げて、今のような好戦的な性格にしてしまう薬だ」
かかし「いや、待て待テ!お前は以前あの薬はドロシーがオズの国で感染した病気を抑える為の薬だと言ったゾ?あれは嘘だったのカ!?」バッ
ブリキ「嘘だ。ドロシーは病気に感染なんかしていないし、あの薬にそんな効能は無い。服用した人間の性格を捻じ曲げるだけだ」
ライオン「えっ、ちょっちょ…ちょっと待ってよ!?なんで?なんでそんな事しちゃったの!?」
かかし「お前はこうも言っていタ。優しかったドロシーが好戦的になったのはオズに騙されたからだト、騙された俺達を想うあまり好戦的になったんだろうト…あれも嘘カ?」
ブリキ「…そうだ」
ライオン「な、なんでそんな事するの!?ぼ、ぼくは前の優しいドロシーちゃんの方が好きだったよ…い、いまのドロシーちゃんも好きだけど…でも、今のドロシーちゃんは時々恐いよ…」
かかし「同感だナ。それでも仲間が詐欺にあっテ、人間不信から性格が荒れてしまったならやむを得なイ。長い時間をかけて改善していこうとおもって居たガ……それも偽りだったわけか」
ブリキ「…黙っていて、すまない」
アリス「フフッ、思った通りのリアクションだ。さぁ、どうするブリキ?このままだとキミはただの裏切り者だ」クスクス
ブリキ「……」

86 :◆oBwZbn5S8kKC :2015/10/26(月)00:03:48 ID:RAx
ブリキ「……アリスが言うように俺はお前達にとって裏切り者だ、そのことを言い訳するつもりなんか無い」
ライオン・かかし「……」
ブリキ「……糾弾してくれて構わない。二人から優しいドロシーを奪ったのは俺だ」
ライオン「ち、ちがうよブリキ!僕達は、その、糾弾なんか…ねっ!僕達が聞きたいのはごめんっていう言葉とかそうじゃなくて…なんでそんなことしたのかって事だよ!」
かかし「……理由を聞かせロ。お前が自分の利益の為にドロシーを利用するわけがなイ、何か理由があるんだろウ。お前がドロシーの性格を捻じ曲げなければならなかった理由、それを聞かせロ」
ブリキ「…結論から言うならば、ドロシーを苦しめない為。ドロシーを護るためだ」
ライオン「ど、ドロシーちゃんを護るため…?で、でも好戦的になっちゃったドロシーちゃんはいろんなおとぎ話を壊して…む、むしろ前より危ない目にあってるよ!?」
かかし「ライオン、ブリキの話を聞こウ。おイ、続けてくレ。何故、その行動がドロシーを護る事につながル?」
ブリキ「話すと長くなってしまうが、わかり易くて確実な事を一つ上げるのなら…今まで散々協力してきたアリスは俺達の味方じゃないって事だ」
アリス「ブリキは本人を目の前にそんな事が良く言えるね。いくらボクでも少し傷付くよ」クスクス
ライオン「そ、そうだよブリキ!ひどいよ、アリスちゃんは僕達やドロシーちゃんの友達だよ?そ、それを悪く言うなんて…」
ブリキ「ひどいというのはこいつみたいなやつに使う言葉だ。アリスは俺達を利用していただけなんだ、ライオン」
かかし「利用、ねェ…」
ブリキ「一番最初にドロシーにこの薬を使っていたのは俺じゃない、このアリスの方だ」

87 :◆oBwZbn5S8kKC :2015/10/26(月)00:05:49 ID:RAx
ブリキ「知ってのとおり、アリスには現実世界を消すという目的がある。その為には数多くの魔法具が必要だ…その点【オズの魔法使い】の俺達は利用しやすかったんだろう」
ライオン「え、えぇっ!?それってどういう…」
かかし「ドロシーの魔法の靴は相当な魔力を含ム。悪い魔女の呪いを受けたブリキモ、かかしなのに自我を持つ俺モ、魔力を帯びてるって点では魔法具と変わらなイ。それに俺達はドロシー以外最低限の戦闘が可能ダ」
かかし「欲しい魔力モ、戦いに必要な戦力も一度に手に入ル。その上、俺達とドロシーの絆をうまく利用すれバ…意のままに動かす事だって出来ル」
アリス「フフッ、かかしは相変わらず察しが良いね。オズが言っていた通り持ってるじゃないか、脳みそ」クスクス
かかし「否定しないって事は俺の予想がそのまま真実だって考えてもいいんだナ?」
アリス「ああ、構わないよ。僕はキミ達を利用する為に近づいたんだ、思ったよりもずっと役に立ってくれてボクは嬉しい」クスクス
かかし「…ブリキ、そしてお前はその事を知っていタ。その上でアリスに利用される事を選んだって訳だナ?」
ブリキ「ああ、そうだ。それが現状できる最善の手段だと思ったからだ」
ライオン「ちょ、ちょっとまって!アリスちゃんが僕達の事を利用してたなんて信じられないし、あの、その、え、えっと…なんでブリキはその事を知っていたのに僕達に黙っていたの?あ、あの言ってくれも良かったんじゃないかな…?」
ブリキ「アリスに従っていなければ薬を手に入れる事は出来ないからだ」
ライオン「で、でもその薬って…性格を変えちゃうだけの…」
アリス「薬と言っても、正確にはそんな大層なものじゃないけれどね」
アリス「【不思議の国のアリス】の世界の笑顔になるキャンディと不機嫌になるコショウ、ただそれを砕いただけの代物だ。それでも一度に摂取する量が結構なものだからね、精神に与える影響は計り知れない」
アリス「フフッ、それにしても興味深いね。ボクもあんな風な性格になる事は予想できなかった。笑顔と快楽が憎悪と怒りと混ざり合えば、ああなってしまうんだね」クスクス

88 :◆oBwZbn5S8kKC :2015/10/26(月)00:08:41 ID:RAx
かかし「こいツ……ッ!」グッ
ブリキ「やめろ、かかし。ここは抑えてくれ…頼む」
かかし「……いいだろウ、こいつを今すぐにでもぶん殴ってやりたいガ…お前がそういうのならナ」
ブリキ「さっきも言ったが、ドロシーに最初に薬を使ったのはアリスだ」
ブリキ「だから俺が気が付いたときにはもう、ドロシーはあの好戦的な性格になってしまっていて。既にいくつも世界を消して……何人もの人間を殺していた」
かかし「なるほどナ、気が付いたときにはもうドロシーは引き返せない場所に居た訳カ……」
ブリキ「ライオンもかかしもドロシーが本当はどんな奴だったか知ってるだろ。あいつは優しくて気が弱いところもある癖に仲間の為には危機にも立ち向かう勇気もある」
ライオン「う、うん。ドロシーちゃんは初めてあった時、みんなに襲いかかった僕の事を叱ってくれた…あの時は僕の事臆病なライオンだなんて知らなかったのに、仲間の為に猛獣の僕に立ち向かったんだ…」
ブリキ「だが基本的にはただの女の子だ、それに争いを好む奴じゃない。そんな奴が、自分の知らないところでいくつもの世界を滅ぼして数え切れないほどの殺人まで犯したと知ったらどうなる?」
かかし「想像したくも無いナ…あいつの笑顔が曇る事は確実ダ」
アリス「フフッ、だが都合のいい事にドロシーは好戦的な性格の時の自分の行動は全て夢だと信じている。まぁ、まさか自分の性格が魔法によって捻じ曲げられてやりたい放題してるなんて思わないから当然と言えば当然だ」
ライオン「じゃ、じゃああまり長い間元の性格に戻っちゃってたらいつかは真実を知っちゃうかもって事だね……も、もしも真実を知っちゃったらドロシーちゃんは……」
かかし「…それは避けたいところだナ」
ブリキ「だが一つだけ手段がある、薬が利いている好戦的な性格のままならば…ドロシーが真実を知る事は無い。ずっと悪夢だと思い続けるだけだ」
ブリキ「絶えず薬を飲ませ、常に好戦的なドロシーでいさせれば…あいつが傷付く事も悩む事もない、だから俺はそれを選んだ」

89 :◆oBwZbn5S8kKC :2015/10/26(月)00:10:54 ID:RAx
かかし「だがそれはその場しのぎでしかないゾ、根本の解決にはならなイ」
ブリキ「わかってる。そうやって時間を稼いでいるうちに状況を打破する魔法具が手に入ればいいと思っていた。願いが叶う魔法具や、記憶を消す魔法具を」
アリス「でも見つからない、そううまくはいかないさ」クスクス
ライオン「そ、それにドロシーちゃんを護るためだからって言ってもそれって他のおとぎ話を犠牲にしてたくさんの人をドロシーちゃんが傷付け続けるってことだよね…?そ、それって、よくないよ…」
かかし「それに尽きるナ、今までやってきた事も償って償いきれるもんじゃねェ…まァ、俺はそれなりの覚悟でやってきたガ…それでも褒められたもんじゃあねぇヨ」
ブリキ「…俺は他のおとぎ話を犠牲にしてでもドロシーに辛い思いをさせたくなかった。それほど、俺の中であいつは大切な存在」
ブリキ「【オズの魔法使い】で俺を変えてくれたのは俺自身でもなければオズでもない、ドロシーだからだ」
ブリキ「何を犠牲にしてでも、俺はドロシーを苦しめたくない…それがどんなに自分勝手で周囲を顧みない行為だとしてもだ」
かかし・ライオン「……」
ブリキ「とはいえ俺の選択は無関係の連中を巻き込む。だからお前達には言わなかった。言えば、共犯になる。この事で他のおとぎ話の連中に恨まれても狙われても実行犯が俺だけならば、ドロシーやお前達は見逃して貰えるかもしれない」
ブリキ「心優しいドロシーやかかしやライオンと違って俺には心が無い。だからこんな卑劣な事だって平然と出来る」
ブリキ「誰に責められても苦しむ心を持っていない、どんなに攻められてもブリキの身体なら生身よりは多少何とかなる…この役目を負うのは俺が適任だ」
かかし「ブリキ、お前って奴ハ……」
ライオン「こ、心が無いなんて嘘ばっかりだよ。ドロシーちゃんや僕等をを大切に思ってるから自分ひとりで抱えようとしてるだよ…も、もっと早く相談してくれればいいのに」
アリス「だけど、もうそんな事も言っていられなくなった……そうだろう?」
ブリキ「……」

90 :◆oBwZbn5S8kKC :2015/10/26(月)00:12:55 ID:RAx
ブリキ「…ああ、だから二人にも打ち明けた」
ブリキ「ドロシーに薬を飲ませ続けているうちに…次第に効きが悪くなっていった。効果が持続している時間が毎回少しずつ短くなっていった」
ブリキ「遂には【人魚姫】や【青ひげ】の世界では、戦いの最中に薬の効果が切れて本当の性格のドロシーが表れてしまった」
アリス「フフッ、何度も使っているうちに身体が慣れてしまったんだろう。ボクは専門じゃないからわからないけれど常態的に使うべきじゃなかったんだろうね」
ブリキ「…だが、今更ドロシーに真実を告げるなんて事は絶対に出来ない」
かかし「そうだナ…こうなったら状況を打破できる魔法具を探すしかないだろウ」
ブリキ「アリス、俺がお前を攻撃しないのはそういう訳だ。その代わり、願いを叶える魔法具や記憶を消す魔法具が手に入ったらこっちに廻してもらう」
アリス「なるほど、キミ達は僕が敵だと解っている…でもドロシーの為にボクに利用され続ける事を選択したわけだ。思い切った選択だね」
ブリキ「言っただろう、何を犠牲にしてもあいつに辛い思いはさせたくない」
アリス「だけどかかしとライオンはどうかな、キミと同じ考えでいてくれるだろうか」フフッ
かかし「依存は無イ、ブリキ一人に罪を着せてどうするってんダ。俺も同じ考えダ」
ライオン「ぼ、僕は正直に言うと、なんていうか恐いけど…でも、ブリキやかかしが良いって言うならきっと大丈夫だから…」
アリス「大切な仲間の為とはいえ、その上利用されている事をわかった上でボクにつくなんてね」クスクス
アリス「フフッ、キミ達は相当に難儀な性格をしているよ」クスクス

91 :◆oBwZbn5S8kKC :2015/10/26(月)00:14:36 ID:RAx
ブリキ「とにかくだ、この事はドロシーには絶対に秘密だ。あいつに真実を知られる事は絶対に避ける」
ブリキ「俺達はドロシーが苦しまずに元の性格に戻れる方法を探す、そのためにはなりふり構っていられない。今まで通りアリスには従う、だからアリス、お前は今まで通り薬も戦闘に必要な魔法具も手配してもらう」
アリス「…待って、何か物音が聞こえた」スッ
ガッシャーン!!
ライオン「う、うわあぁぁあぁ!?な、なんなの今の音!?恐い怖い怖いっ!」ビクッ
アリス「噂をすれば…だな。今の音、ドロシーの部屋の方からじゃないか?」
ブリキ「かかし!ドロシーは一人のはずだな!?」バッ
かかし「あァ!【青ひげ】の世界で相当混乱してたからな、部屋で休むって言ってたゾ!」
ブリキ「アリス!お前、ドロシーに手を出すよう誰かに命じたりしていないな?」ギロッ
アリス「そう睨むなよブリキ、ボクに従うんじゃなかったのかい?どちらにしろボクはドロシーになにもしていない、無関係さ」
ライオン「は、はやくドロシーちゃんの所へ急ごうよ…!なにがあったのか、わ、わからないけど…でも何かあった事は確かだよ」オロオロ
ブリキ「その通りだ、ドロシーの部屋へ急ぐぞ。アリス、お前にも来てもらおう」
アリス「やれやれ、ボクはお茶会に戻りたいんだけどな。仕方ない、ドロシーにもあっておきたいし丁度良いか」スッ

92 :◆oBwZbn5S8kKC :2015/10/26(月)00:17:02 ID:RAx
ハートの女王の部屋 客間(ドロシーの部屋)
バタバタバタッ
かかし「クソッ!鍵がかかってやがル!」ガチャガチャ
ライオン「ドロシーちゃん!僕達だよっ、と、扉を開けて欲しいな…」
ガタガタガタッ ガシャーンッ!
アリス「そんな悠長にしている場合かな?穏やかじゃない物音が聞こえるけど」
ブリキ「どいていてくれ、俺が扉をぶち破る…!」グググッ
バーンッ
ブリキ「ドロシー!何が起きた!?」バーンッ
ライオン「う、うわぁあ!?な、なんなのこれ…!?ゆ、床じゅうが血だらけだよ!?」ビクビク
かかし「誰か倒れているゾ!?あの髪の色はドロシーじゃなイ、おイ!あんた何者なんダ!」
新妻「……ゲホゲホッ、あぁ…!た、助けてください……あの娘さんが……私達を……」ゲホゲホ
ドロシー「あっれー?みんなそろってどーしたのん?もしかしてドロシーちゃんの事が心配で来ちゃった感じ?でもごめーんね!こいつ隙を見て逃げようとしたからさ、先に始末するよ〜」ヘラヘラ
新妻「あ、あぁ…!や、やめてください……!私は、に、逃げたわけじゃ……!」
ドロシー「魔法の靴を履いてる私から逃げられるわけないじゃーん!せっかく頭が付いてて脳みそあってもそんな事も考えつかない頭なら、いらないよねぇ?」ヘラヘラ
新妻「や、やめてくだs」
ガッ グシャッ
ライオン「あぁぁ……あわわわわっ!あ、あの人……あ、頭が……!」
ドロシー「うっわ…靴汚れちゃったー……あぁ、かかしー!ちょーっと踏みつけちゃったけど脳みそいるー?でもあんまり出来が良い脳みそじゃないみたいだけど」ヘラヘラ

93 :◆oBwZbn5S8kKC :2015/10/26(月)00:19:21 ID:RAx
アリス「ブリキ、彼女も持っていたみたいだね。薬」フフッ
ブリキ「…なんてことだ、目を離したすきに一人で【青ひげ】の世界へ戻ったのか、さっきの仕返しでもする為か…」ギギッ
ドロシー「ねぇねぇどうなのよ、かかしー?」
かかし「……いヤ、必要無イ」
ドロシー「そっかー、まぁそうだよねーん♪さてさて、まだあいつへの仕返しが途中だったからそっちもやんなきゃねー」フンフーン
ガシッ
青ひげ「ぐぐ、ゲホゲホッ……小娘、貴様何者だ……先ほどとはまるで別人……我々を追い回す執念も、その足技も…まるで別人ではないか……!」グッタリ
ドロシー「そんなことないけどさ、さっきのは私のクッソ弱い方って感じかな?まぁ、反吐が出るけどあの雑魚なドロシーもドロシーちゃんなんだよねぇ〜……まァそんな事はいいよ」ブンッ
青ひげ「ぐおっ……き、貴様何をするつもりだ…!」ドサッ
ドロシー「駄目じゃーん、もっと愛してる奥さんの事見ててあげなきゃ〜!お揃いの殺し方してあげるドロシーちゃんの優しさに感謝しながら死んじゃってよ、青ひげのおっさん♪」ヒュッ
青ひげ「……っ!」
ガッ グシャアッ
かかし「……っ」
アリス「へぇ、今日のドロシーは随分とえげつないね。腹にすえかねている事でもあったかな?」フフッ