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キモオタ「我輩がおとぎ話の世界に行くですとwww」ティンカーベル「そう」
Part106


779 :◆oBwZbn5S8kKC :2015/10/04(日)00:12:47 ID:CBX
桃太郎「いかにも。拙者の治癒の力は身体を蝕む病や毒を討ち払い、傷や怪我を癒す。故に身体に感じる違和感も、その大本から取り払えるはずなのだが…」
キモオタ「たまたま調子が悪くてうまく治癒ができなかったとかwwwそういうのではないのですかなwww」
桃太郎「拙者の治癒能力は天より授かりし能力。桃から生まれし数奇な運命によって拙者に与えられた、人智を超えし能力……故に日によって冴えたり錆びついたりするような不安定なものではないのだ」
ティンカーベル「そっかー、なんでかなー?司書さんはおとぎ話に詳しいからなにかわかんない?」
司書「そうですね、【ラプンツェル】にもその様な場面はなかったと思うから…考えられるとしたら、ラプンツェルさんを傷付けたその剣かな…?」
ラプンツェル「あの剣がどーかしたー?っていうかもう、すっごく痛かったよ!もうね、うっかりフライパンを足に落としちゃった時の百万倍は痛かったよー!」
ティンカーベル「ひゃ、百万倍……っ!」ゴクリ
キモオタ「ティンカーベル殿wwwそこ食い付かなくていいでござるwwwで、その剣がどうかしたんでござるか?www」コポォ
ヘンゼル「……ラプンツェルを刺した剣、あれに原因があるんじゃないかって、お千代は言いたいんでしょ?」
司書「うん、あの剣はたんなる剣じゃないみたいだから」
桃太郎「単なる剣では無いと?うむ…ラプンツェルの腹部に突き刺さっていたのはこの剣だ。刃として見ても相当な業物だと言う事がわかるが…司書といったな?お主はこれに原因があると言うのか?」
司書「はい。私も実物を見た事があるわけでは無いんですけど…その意匠を見る限り、その刀は……」
ズイッ
玉龍「センパイセンパイ、あの剣ってもしかしてお師匠様が言っていた七星剣じゃないッスか?」

780 :◆oBwZbn5S8kKC :2015/10/04(日)00:14:31 ID:CBX
孫悟空「玉龍もそう思うか、俺もそうじゃねぇかと睨んでたところだ。北斗七星の意匠があるってこたぁ間違いねぇだろうがな」
キモオタ「七星剣…?そういえば先ほど司書殿も口走っておりましたな、一体どのような武器なのでござるか?」
司書「【西遊記】に登場する金角銀角が所有する武器です。作中ではこれといって特別な能力を持っている武器とは明言されていませんけど」
ティンカーベル「じゃあただの剣って事?それだったらこれに原因があるって考えるのはちょっと考え過ぎじゃない?」
司書「紅瓢もそうですが七星剣も元々は天界にあった道具なんです。仙人様が作り出した天界の魔法具…それを金角銀角が持ちだしたんです」
桃太郎「仙人が作りし魔法具故、斬りつけられたラプンツェルの身体に異変を及ぼしたというのか?しかし仙人だの天界だの……にわかには信じられぬな」
孫悟空「信じられねぇっつってもそいつぁ事実だぜ?天界は不老不死だのなんでもありだからよぉ、剣に魔法妖術で細工がしてあるくらい不思議な事じゃねぇよ」
桃太郎「……」スッ
孫悟空「あぁ?オイ、んだテメェ…桃太郎とかいったよな?どうかしたのかよ、突然黙っちまってよぉ?」ズイッ
桃太郎「何でもない、気にするな。……いや、何でもないので気にしなくても大丈夫だ」
ティンカーベル「あはは、言い変えてるー!もしかして桃太郎、悟空が乱暴そうな外見だからってビビってるんj」モガモガ
グイッ
桃太郎「ちょ…そう言う事言うのやめろよティンク!司書殿もヘンゼルとグレーテルも別の世界のおとぎ話の住人なんだろ!?なんつぅか桃太郎のイメージってもんがあるだろおぉぉ!」ヒソヒソヒソヒソ
キモオタ「まぁ悟空殿はあきらかに外見がヤカラですからなwwwあの顔を見てチビってもしかたないですなwww」ヒソヒソコポォ
桃太郎「チビってねぇよ!拙者がああいうなんかいかにも『戦いを好んでます』的な奴苦手なの察しがつくだろ!ちょっと配慮するとかしてくれてもいいだろぉぉ!気を使わせて悪いけど頼むってぇぇ!」ヒソヒソ

781 :◆oBwZbn5S8kKC :2015/10/04(日)00:16:49 ID:CBX
ティンカーベル「うわー、鬼退治成功させた英雄のくせにださいよねー?」ケラケラ
桃太郎「ティンクお前…!ダサいとかあれだぞ、いくらなんでもあれだぞお前…!言い過ぎだぞお前…!」ヒソヒソヒソヒソ
孫悟空「テメェ等なにヒソヒソと話してんだ?おい、桃太郎…俺の話気いてやがったのか?」
桃太郎「も、もちろん。その、なんだ、悟空さん……いや、悟空はラプンツェルに突き刺さった七星剣は天界の魔法具…故に、魔法や妖術で何らかの細工がされている可能性があると言いたいわけだな?」
孫悟空「おう、その通りだぜ。なんだ、ちゃんと聞いてやがるじゃねぇかよ。ヒソヒソ話なんかしてやがるからどうしたのかと思っちまったぜ」
玉龍「まぁ【西遊記】が消滅した今、細工をしてるだろうってのも想像になっちゃうッスけどね。でもその可能性は十分にあるッスよ。なにせ仙人がわざわざ作った武器ッス、ただの剣とは考えられないッスよ」
キモオタ「平たく言えば、RPGなどでいう所の追加効果という奴ですなwww物理攻撃しつつ相手を毒にするとかマヒにするとかwwwそんな感じでござろうかwww」
桃太郎「なるほど、拙者の治癒はあくまで肉体の傷や病気を癒すもの。魔法、妖術の類を打ち消したり…呪いを解くような力は無い」
桃太郎「魔法妖術の力で武器に負荷させた効果がラプンツェルの身体に違和感を与えているのであれば、それを取り払う事が出来ないと言うのも納得がいく」
グレーテル「それじゃあ……ラプお姉ちゃんのキズは治ったけど……なにかの魔法が掛けられちゃってる可能性があるって事だね……可哀そう……」
司書「私は魔法には詳しくないですけど、魔法使いさんや魔女さんや…魔法を扱える人物なら、ラプンツェルさんの違和感を取り除くことができるんじゃないかな」
キモオタ「それもそうですなwwwこういう時、つくづく自らの人脈に惚れ惚れしますぞwwwなにしろ知人に二人も魔法の専門家が居るんですからなwww」コポォ
ティンカーベル「そうだねっ!それじゃさっそく、ゴーテルにお願いしにいk」
ラプンツェル「…っ!ママは駄目だよっ!えっとえっと、それじゃあさ、【シンデレラ】の魔法使いの所に行こっ!そうしよっ!」グイグイ
桃太郎「いや、むしろゴーテル殿の方が適任ではないのか…?お主の母親は魔法植物の権威と聞いたぞ。以前ゴーテル殿と話した折、薬学は専門外などと言っていたが…薬草にも造詣が深いように感じたが」
ラプンツェル「ママには心配かけたくないんだってば!だからママには私が怪我した事内緒だよっ!あ、でもでも私が頑張ったおかげで悟空を助けた事は報告してもいいよっ!」フンス

782 :◆oBwZbn5S8kKC :2015/10/04(日)00:18:31 ID:CBX
桃太郎「しかし、拙者は日ノ本の侍。たとえ友の頼みであろうとも隠し事をするというのは…」
キモオタ「そこは柔軟に行くでござるよ桃太郎殿wwwぶっちゃけ、この事バレたら我輩とティンカーベル殿がどうなるか想像に容易いでござるしwww」コポォ
ティンカーベル「そ、そうだよ桃太郎!ゴーテルには内緒にしようよ!」
桃太郎「しかし、ゴーテル殿には世話になっている身。悪意なくとも欺くなど不義理ではないだろうか…」
ティンカーベル「もーっ!桃太郎は私が死んじゃってもいいの!?」クワッ
キモオタ「ティンカーベル殿必死すぎワロタwww」コポォ
ティンカーベル「こぽぉじゃないよ!キモオタだって他人事じゃないんだからね!きっと滅茶苦茶怒って、野菜の肥料とかに変えられちゃうんだよ…!」ガクブル
桃太郎「おびえ過ぎではないか?素直に事情を話せばゴーテル殿は怒ったりしないと思うが。それに大概、親というものは子供の隠し事などお見通しというもの。拙者にも覚えがある故」
キモオタ「まぁ、実際のところいつまでも隠し通せるとは思いませんがなwww相手は魔女でござるしwww」
ラプンツェル「ママはあんな風に言ってたけどお仕置きなんかしないと思うよ?」
ティンカーベル「そりゃあラプンツェルにはね…私達は塵にされるけどね」ビクビク
ラプンツェル「されないよー!でもきっとママは私の事もだけどキモオタやティンクの事も心配してくれてるよ?だからこれ以上は不安にさせたくないんだ、私ママの事大好きだもん」
桃太郎「…いいだろう。ゴーテル殿を欺くなど気が進まぬが、お主の母親を想っての気持ちを無下にするというのも日ノ本の侍らしからぬ無粋な行為。ラプンツェルの意思を尊重するとしよう」
ラプンツェル「本当っ!?やっぱり桃太郎は優しいさむらいだよーっ!」ピョンピョン
桃太郎「という訳だキモオタよ、拙者はラプンツェルを連れて魔法使い殿の元へ向かう。そうすればラプンツェルの身体の違和感も解消するだろう」

783 :◆oBwZbn5S8kKC :2015/10/04(日)00:21:49 ID:CBX
キモオタ「魔法使い殿にお任せすれば万事解決でござるなwww頼みましたぞwww」コポォ
ティンカーベル「じゃあさじゃあさ!私が一緒に行くよ!私の世界移動の力を使えばびゅーんとひとっ飛びだよ!」
キモオタ「ナイスアイディアですなwww二人は世界移動の術を持ってませんからなwwwそう言う事ならば我輩も一緒に行きますぞwww」
ティンカーベル「ううん、キモオタはやらなきゃいけない事あるでしょ!司書さんやヘンゼルとグレーテルをそのまま帰らせるつもり?もうお外は真っ暗なんだよ!」プンス
キモオタ「おおっとwww確かにそうですな、我輩とした事が…ジェントルマンが聞いて呆れますなwww」コポォ
司書「あっ、私達は本当に大丈夫ですよ、三人も居ますから。だからキモオタさん、桃太郎さんとティンクちゃん達と一緒に行ってあげてください」
キモオタ「いやいや、ラプンツェル殿には日ノ本一の侍と空を駆ける妖精がついて居るので大丈夫でござるよwww故に我輩が責任を持って司書殿達を自宅までお送りしますぞwww大船に乗ったつもりで帰ると良いですぞwww」
グレーテル「キモオタお兄ちゃん……優しいね、とても紳士的なの……」
ヘンゼル「どうかな…キモオタお兄さんの方が警察に捕まるんじゃない?職務質問とかで」
キモオタ「ちょwwwリアルにありそうなのでやめていただきたいwww」
司書「うふふ、それならお言葉に甘えて送ってもらう事にします。よろしくお願いしますね」ウフフ
玉龍「おおっと!キモオタもなかなか策士ッス!親切を装って司書を送ると見せかけて……これが噂の送り狼ッスねー!?」ウヒョーッ
ヘンゼル「送り狼って確か……ああ、ねぇ、お千代。やっぱりやめておこうよ」
孫悟空「玉龍!ガキの目の前で何言ってんだテメェは!ヘンゼルが警戒しちまっただろうが……おい、それじゃあ俺と玉龍もついて行く、それなら問題ねぇだろヘンゼル。聞きてぇ事もあるしな」
ヘンゼル「まぁ、キモオタお兄さん一人だけよりは安心だね。僕はそれで構わないよ」
キモオタ「ちょwww我輩の信用度の低さwwwとにかくそうときまれば早速帰りますかな、いつまでも廃墟にたむろしていてはそれこそ補導されますぞwww」コポォ

784 :◆oBwZbn5S8kKC :2015/10/04(日)00:24:03 ID:CBX
現実世界 司書の部屋への帰り道
グレーテル「真っ暗だね……それに私……すっごく眠い……」グシグシ
司書「お家まで我慢できそう?私がおぶってあげてもいいけど、どうする?」
グレーテル「ううん……お千代ちゃんも疲れてるから、私も頑張って歩く……でも帰ったらすぐにお布団に入るね……」ネムネム
ヘンゼル「歩きながら寝ないようにね、グレーテル」
グレーテル「うん……大丈夫……」グシグシ
玉龍「しっかし驚きッスよねー、いきなり捕まえられてなんとか逃げだしたら今度はいろんなおとぎ話の登場人物が一か所に居るんスから!」
孫悟空「まぁ、な。偶然なのか運命の導きなのか知らねぇけどな…【西遊記】【ラプンツェル】【ヘンゼルとグレーテル】【キジも鳴かずば】【ピーターパン】【ルンペンシュティルツヒェン】あと【桃太郎】か」
キモオタ「そうやってタイトルを並べると凄まじいですなwwwしかし我輩としては司書殿がおとぎ話の主人公だと言う事の方が驚きでしたぞwww」
司書「すいません、あまり人にいうものでもないかなと思ったので…それに言ったところで変な顔をされるから現実世界では隠していたんです」ペコッ
キモオタ「いやいや、謝らないでいただきたい。責めているわけではないのでwwwまぁ隠して当然みたいなところありますぞwww」
玉龍「まぁ普通はそうッスよね。自分がおとぎ話の世界の住人だなんて公言するもんじゃないッスよ、キモオタの言うとおり隠して当然ッスね。玉龍ちゃんのセンパイへの想いは包み隠してなんかないそのままの気持ちッスけどね!」ドヤァ
孫悟空「ところで司書、俺ぁお前に聞きてぇことがあんだ。聞いても構わねぇか?」
玉龍「華麗に受け流すとは先輩も手厳しいッスー!そういうクールなところにもしびれるッスー!」タハーッ
司書「えっと、それは構わないんですが、玉龍さんの事ほったらかしでいいんですか…?なんだか身悶えしてますけど…」
孫悟空「おう、アレは居ないものとして考えてくれ。気色悪ぃからな。それでだな、俺がお前に聞きたい事ってのは……」
孫悟空「アリスの瞬間移動の事だ。テメェなら知ってるんだろ、あの瞬間移動の正体をよぉ」

785 :◆oBwZbn5S8kKC :2015/10/04(日)00:30:01 ID:CBX
司書「あれは瞬間移動なんかじゃありません。でもどう説明すればわかり易いかな……」
キモオタ「ほうwww瞬間移動ではないとwww我輩は何かの魔法具だと思っていたのでござるがなwww」
ヘンゼル「アリスのあの動きは魔法具なんかじゃないよ、そんなのよりももっと手に負えない力だ」
玉龍「手に負えないとは大きく出たッスねー!瞬間移動とまでいかなくても身軽な私やセンパイなら似たような事なら出来るッスよ?」
孫悟空「似たような事ならな、だが移動している最中の姿を一切見る事が出来ないってのはおかしな話だ。俺にも玉龍にもそんな芸当は無理だからなぁ」
孫悟空「どんなに素早い奴でも目的の場所に移動するには動く必要がある、そうなると移動途中の姿を全く見られないなんてのは本来は不可能だ」
司書「これならわかり易いかな……孫悟空さん、キモオタさん、ひとつだけなぞなぞに付き合って下さい。アリスさんが瞬間移動にどんな方法を使ったか解るはずです」
司書「例えば、ですよ。私の部屋から図書館までは歩いて15分ほどかかるんですけど…正午ちょうどに私の部屋を出発して、正午ちょうどに図書館にたどり着く方法……わかります?」
キモオタ「ちょwwwなぞなぞでござるかwwwしかしそれ確実に無理でござろうwwwそれこそ瞬間移動をするしか方法が無いですぞwww」コポォ
司書「それじゃだめです、瞬間移動以外の方法を考えて見てください」
孫悟空「しかしよぉ、俺も同意見だぜ、正午に出発して正午にたどり着くってのはどんな神仏にだって無理だ」
玉龍「フフーン!二人とも頭が硬いッスね!玉龍ちゃんは簡単にわかっちゃったっすよ!ズバリ……時間を止めればいいんスよ!」ドヤァ
玉龍「司書の家で時間を止める、それからゆっくり歩いて図書館に着いたらお茶でも飲んで一息ついてそれから時間停止を解除するッス!これでなんちゃって瞬間移動の出来上がり……ん?どうしたッス、センパイ。そんな恐い顔して……」
孫悟空「……おい、司書ォ!この謎掛けはアリスの瞬間移動のカラクリを説明する為のもんだって言ったよなぁ!?」
司書「はい、そうですね。それに玉龍さんの回答は、大正解です」
孫悟空「おいおい、本気かよ…」
キモオタ「ちょ、ちょっと待っていただきたい。それはつまり、アリス殿は……!」
司書「時間を止めて、制止した時の中を移動している。それがアリスさんの瞬間移動の正体です」

786 :◆oBwZbn5S8kKC :2015/10/04(日)00:36:36 ID:CBX
キモオタ「アリス殿は時を止める事が出来る……ですとぉ!?」
孫悟空「んな無茶苦茶な事までできるってのかあの小娘…!そんなもんお師匠どころかお釈迦さまだってできやしねぇぞ!?」
司書「【不思議の国のアリス】には数え切れないほどの不思議な出来事が詰まっています。時間を操る力もその一つ、アリスさんの物語の中にちゃんと登場しますよ」
グレーテル「うん、確かお茶会のおはなし……帽子屋さんと三月ウサギさんとヤマネさん……ずーっとお茶の時間のまま止まったその場所で、終わらないお茶会するの……」グシグシ
ヘンゼル「七章目の『狂ったお茶会』に時を操る云々の話は登場するんだったかな」
キモオタ「そう言えばそんなお話もありましたな…恥ずかしながらあんまり覚えてなかったでござるwww」ドゥフ
司書「えっとですね。アリスさんは迷い込んだ不思議の国で、お茶会をしている帽子屋さん達に会うんです。
ですけど帽子屋さんはおかしなことを口にしたり、答えの無いなぞなぞをしてみたりしていて、アリスさんは次第に呆れてしまってこう言うんです「もっと有効な時間の使い方をしたらどう?もったいないわよ」と」
司書「すると帽子屋さんはこう言うんです。「私ほど時間と仲が良ければ、もったいないだなんて彼の事をもののように扱ったりしないよ」と」
キモオタ「時間の事を彼とは…いわゆる擬人化というやつですかな?」
司書「少し違いますね。帽子屋さんが言うには時間と仲良くしていれば、彼は自分の好きなように時計を動かしてくれるそうです。
授業が始まる午前九時、そっと時間に耳打ちをすればたちまち時計はお昼ご飯の時間を指すんです。お腹が空いていなければまた時間に耳打ち、そうすればお腹がすくまで…」
司書「時間は、そのまま時を止めておいてくれる。なにしろ時間とは仲良しなんですから、時間は自分の言う事を聞いてくれる…そういう理屈なんですね」
孫悟空「無茶苦茶に聞こえるが、それがあいつのおとぎ話【不思議の国のアリス】の内容である以上、あいつがその能力を使える事に何ら不思議はねぇな」
キモオタ「しかし、魔法具なら奪うとか壊すとかできそうでござるが。時間殿とアリス殿の絆が原因とあらば、それこそ対抗策を練る事が出来ないのでは…」
司書「いいえ、アリスさんから時間を止める能力を奪う事はきっと簡単です。でも、それはアリスさんと対峙している場面で無いと出来ませんし、それに……」
司書「アリスさんの事で、もう一つ気になる事があるんです」

787 :◆oBwZbn5S8kKC :2015/10/04(日)00:39:31 ID:CBX
キモオタ「気になる事…でござるか?」
司書「はい。話すと長くなっちゃうんですけど……あるおとぎ話に、本来は登場しない少女が登場するんです」
司書「それは日本の昔話なんです。それなのに金髪で洋服を着た、瞳の色の違う少女……そのおとぎ話には『有巣』という名前で登場していました」
キモオタ「それはまさしくアリス殿ではござらんか…!おとぎ話を消して周っているというのに、なぜそのおとぎ話だけは消さずにいるのでござろうか…司書殿、そのおとぎ話はなんというタイトルでござるか?」
司書「【浦島太郎】という日本の昔話です。その中にアリスさん、いえ有巣という少女として登場していてですね…」
ヘンゼル「盛り上がっているところ悪いけどさ、もう部屋に着いたよ?グレーテルもギリギリみたいだし、今日はもう話を切り上げてしまってよ」
司書「あっ…本当だ。えっと、キモオタさん…申し訳ないんですけどこの続きは…」
キモオタ「いいですぞいいですぞwww明日にでもまた図書館に行くのでその時に教えていただきたいwww」
司書「はい、わかりました。キモオタさん、悟空さん、玉龍さん。ありがとうございました」
孫悟空「おう、アリスが時間を止められるって事教えてくれてありがとよ」
玉龍「玉龍ちゃん、お千代ちゃんにちょーっと興味湧いちゃったッス!だからまた今度女子会するッス!」
司書「うふふ、玉龍さん、女子会…ですか?」ウフフ
グレーテル「……お千代ちゃん……眠い……早く入ろ……」グシグシ
司書「うんうん、ごめんね。ではみなさん、また」フリフリ

788 :◆oBwZbn5S8kKC :2015/10/04(日)00:42:16 ID:CBX
キモオタ「アリス殿の瞬間移動がまさか時間停止を利用したものだったとは…」
孫悟空「時間停止ってぇと相当だぞ、なにしろこっちが気がつかないうちにアリスはあれこれし放題だってんだからな」
玉龍「けどそれって変じゃないッスか?」
孫悟空「あぁ?なにがおかしいってんだ?」
玉龍「もし時間が止められるなら止めている間にキモオタやセンパイに攻撃を仕掛ける事も、なんなら殺す事だってできるッスよね?玉龍ちゃんももし時間が止められたならセンパイの側に行くだけじゃなくあんなことやこんな事するッスからねー」
孫悟空「テメェはこんな時まで軽口叩きやがって…しかしまぁ、そりゃあ道理だな。時間停止中に攻撃出来ない理由でもあんのかもな」
キモオタ「司書殿も時間停止能力を奪う事は容易いと言っていましたからなwww」
孫悟空「まぁ、考えたって仕方ねぇや。俺達は元居たおとぎ話に帰るぜ、そのおはなしウォッチとかいうの使えば離れていても会話できるんだろ?司書から何か情報を手に入れたら俺にも教えてくれや」
キモオタ「もちろん、構いませんぞwww」
孫悟空「悪いな、なんつーかテメェには助けられちまったしな。これからは何か困った事がありゃあ声掛けてくれや、そうすりゃあ飛んでいってやるからよぉ!」
玉龍「玉龍ちゃんもまぁ協力してやらない事もないッスよ?その代わり、センパイとの仲を取り持つことが条件ッス」
キモオタ「それは心強いですなwwwぜひともお願いしますぞwww時に、悟空殿達が居たおとぎ話とは?もう【西遊記】は消滅しているでござるよね」
孫悟空「ああ、そうだな…教えてやっても言いが、ただ教えるのも面白くねぇな」
孫悟空「今回の礼に、そのうちお前とティンクをそのおとぎ話に招待してやるよ。たいした事はできねぇがうまい飯くらいはごちそうしてやるぜ、なんておとぎ話かはそのときのお楽しみって奴だ」
キモオタ「それは何よりの褒美ですなwww楽しみにしているでござるよwww」
孫悟空「おう、それじゃあまたな、いろいろとありがとうなキモオタ!よし、玉龍…あいつの無事も確認したいし急ぐぜ」
玉龍「わかったッス!じゃあ可愛い女の子の姿とはしばしお別れッスね」シュルルルル
孫悟空「あいつもおとぎ話も無事だと思うが…アリスがグレーテルの火炎を防いだ魔法具はどう考えても、あの魔法具だ…間違いなくあの世界にアリスは来たって事になるからな、油断はできねぇぞ」
玉龍「火炎を防ぐ魔法具…あっ、『火鼠の皮衣』ッスか…そりゃあちょっと気になるっすね。よーし、じゃあ急ぐッスよーっ!」
ヒュンッ
キモオタ「行ってしまいましたな…さて、我輩も帰るとしますかなwww」

789 :◆oBwZbn5S8kKC :2015/10/04(日)00:44:24 ID:CBX
シンデレラの世界 魔法使いの屋敷
魔法使い「……事情はわかった。しかし、母親に内緒と言うのは感心せんなラプンツェル」
ラプンツェル「お願いだよー、魔法使いだってシンデレラに余計な心配かけたくないって思う事あるでしょ?それと同じだからー」
ティンカーベル「そうだよ!お願い魔法使い!私達の命もかかってるからね、これっ!」
魔法使い「……いいだろう、気持ちはわからんでも無い。しかしゴーテルに知られたとしてもワシは一切庇わんからそのつもりでな。しかし、桃太郎はこんな事をしていていいのか?剣術指南の約束をしているのではなかったか?」
桃太郎「あぁ…友の危機故、事情を説明して待ってもらっている。この後向かう予定にしている故、心配なされぬよう」
ラプンツェル「鍛錬?桃太郎も修行するのー?剣術の修行ー?」
桃太郎「うむ、拙者も特別な鍛錬に取り組みたいと思い立ってな…先日、赤ずきんと赤鬼に相談したのだ。なんと赤ずきんには異国の王子と親交があるらしくてな」
桃太郎「その王子には『鉄』の二つ名を持つ剣術に長けた忠臣が居るらしい、その者に異国の剣術を指南してもらえるように頼みこんだのだ。拙者にとって良い刺激となるだろう」
ラプンツェル「へぇーっ!桃太郎も頑張ってるんだね!じゃあ私も頑張ってアリスの事やっつけられるくらいに強くなるよっ!」フンス
ティンカーベル「私だって強くなるんだからねっ!あいつらには絶対に負けないよっ!」
魔法使い「これこれ、意気込みが十分なのは構わんが無茶はいかん。特にラプンツェルは今日一日は部屋から出ないように、ワシの約束が守れないなら魔法も解かぬしゴーテルに報告するからそのつもりでいるんだぞ」
ラプンツェル「えーっ!?一日も!?それより言う事聞かないとママに告げ口するとかそういうのずるいよ!」プンス
魔法使い「ズルイとはなんじゃ。それにワシとて万能ではないのじゃ、慣れない異国の妖術を解くなんぞ容易くは無い。それくらいの時間は貰うぞ」
ラプンツェル「長いよー、それにやっぱりママに言うって脅すのズルいー」プクー
桃太郎「膨れるな、ラプンツェルよ。一日の遅れなど、お主に強い意志があればすぐにでも取り返せるだろう。共にアリスを倒す為、協力して鍛錬に励むとしよう」
ラプンツェル「むーっ、わかった!ちゃちゃっと治してバーッと練習して、たくさん強くなるよっ!」フンス
ティンカーベル「うんうん!みんなで一緒に頑張ろーっ!」ニコニコ
青い鳥「……」バッサバッサ

790 :◆oBwZbn5S8kKC :2015/10/04(日)00:47:37 ID:CBX
青い鳥「ふぅ、さっきは驚いたなぁ…」
青い鳥「この【シンデレラ】の世界に偵察に来たらあのクソ妖精が居たから驚いたよ。あいつらに僕達の考えがバレたのかと思ったけど、単なる偶然だったみたいだ」
青い鳥「まぁ、あのクソ妖精なんか簡単に始末できるけどさ。だけど油断はいけない、僕にはシンデレラが住んでいる城の侵入経路を探るっていう立派な任務があるんだから」
青い鳥「うーん、でもこのまま城の周りを飛ぶのは危険かもしれないな。桃太郎やラプンツェル、クソ妖精が城に来るかもしれないし…シンデレラも青い鳥である僕の事を聞いているかもしれない…なにかいい方法は無いかな?」
「おーい、新入りー!角のパン屋に運ぶ小麦粉もしっかり荷車に積んでおけよー」
「へーい、親方ー!」
「急げよー、あんまり時間ねぇぞー!」
青い鳥「小麦粉か…よしっ、あれを変装に使おう。ちょっと水浴びしてから小麦粉の袋に飛び込んで…と」バサバサー
バフッバフバフバフッ
白い小鳩?「ケホケホッ…ちょっと小麦粉を浴び過ぎたかも…ケホケホッ」
白い小鳩?「…でもこれでよし、小麦粉のおかげで前進真っ白。僕は幸運を運ぶ青い鳥なんかには見えない、どこからどう見ても白い小鳩だね。これなら城の周りを飛んでも怪しくないな」バサッ
白い小鳩?「さて、さっさと城に忍び込もうかな。それにしてもあの方はとんでもない事を思いつくよ、しかもそれを行動に移すのがとにかく早い。あいつらはこんなこと夢にも思っていないだろうなぁ、クソ妖精が驚く顔が目に浮かぶよ」
白い小鳩?「さぁ頑張って侵入経路を探ろう。城の警備を掻い潜ってうまくシンデレラをさらってしまわないといけないからね」クスクス
バッサバッサ

791 :◆oBwZbn5S8kKC :2015/10/04(日)00:48:25 ID:CBX
現実世界 事件の翌朝 司書の部屋
チュンチュン チュンチュン
ヘンゼル「お千代、朝食は食べないの?簡単なもの用意したけど…って無理だね、その様子じゃ」クスクス
バタバタ
司書「折角作ってくれたのにごめんねヘンゼル、今日は朝ご飯食べてる時間が無いんよ…!うぅ、もうこんな時間…急がないと遅刻しちゃうんよ!」バタバタ
ヘンゼル「昨日遅かったから仕方ないね、グレーテルはまだ夢の中だし。それよりお千代…この世界じゃその喋り方はしないんじゃなかったの?」
司書「そうだったんよ…!あ、じゃなくて、そうだったね。現実世界に居る時はきちんと標準語、喋らないとだね」ウンウン
ヘンゼル「僕は前の喋り方の方が好きだけどね」
司書「私もそうだけど、あの喋り方は寂しさを紛らわせるためにお母さんの喋り方を真似してて、それが癖になっちゃったものだから…現実世界では使わないようにしてるの」
司書「見知らぬ世界で一人でも頑張るって決めたからねっ、だからもう亡くなったお母さんやお父さんの事で悲しむのも、面影にすがったりもしないんだ。そう決めたから」ニコッ
ヘンゼル「そっか。お千代も強くなってるんだね、僕が気がついていなかっただけで」フフッ
ヘンゼル「…弱い子供のままなのは。僕だけだ」ボソッ
司書「ヘンゼル?何か言った?ちょっと聞こえなかったんだけど」
ヘンゼル「なにも言ってないよ。それより時間は大丈夫なの?」
司書「大丈夫じゃない…っ!ご、ごめんねヘンゼル!お仕事行ってきます!あ、お昼ご飯は冷蔵庫に…」
ヘンゼル「いいから、適当に済ませるよ。気を付けてね、慌てて事故にあったりしたら馬鹿馬鹿しいよ」
司書「うん、それじゃああとお願いね、ヘンゼル。いつもの時間には帰るからね」ガチャッ
ヘンゼル「うん、いってらっしゃい」
パタン

792 :◆oBwZbn5S8kKC :2015/10/04(日)00:51:45 ID:CBX
ヘンゼル「……」
ヘンゼル「……グレーテル、お兄ちゃんはなにもできなかったよ」
グレーテル「…zzz」スヤスヤ
ヘンゼル「お千代が誘拐されて、廃墟に行ったは良いけど何もできずに捕まって…結局、お千代を救う事も出来ず」
ヘンゼル「それどころかお前を危険な目にあわせてしまった」
ヘンゼル「……」
ヘンゼル「悟空はみんなを信じて紅瓢に吸い込まれる覚悟をしたし、ラプンツェルだって刺されているっていうのに悟空を助ける事を優先した」
ヘンゼル「あのキモオタお兄さんですら、グレーテルを助けてくれた……それなのに僕は、結局何も出来てない。護る護ると口だけだ、あの日から何も変わっていない」
ヘンゼル「……」スッ
ヘンゼル「あの時アリスが言っていた言葉…」
ーーアリス「ボクはキミの味方だ。キミと同じで現実世界や作者の存在を憎んでいるんだ。だから、またすぐにキミに会いに行くよ。それまでに考えておいてよ、なんだって協力はしてあげるから。ボクはキミに仲間になって欲しいんだ」ヒソヒソ
ヘンゼル「アリス……あいつはグレーテルに酷い事をしようとした奴だ。でも……」
ヘンゼル「僕と同じ憎しみを持っているあいつなら、悟空やラプンツェルを蹴散らせるほどのあいつと一緒に居れば……僕は変われるだろうか」
ヘンゼル「アリスといっしょに居れば僕は強くなれるかもしれない……魔法具を借りて、大人になることだって……強い武器を手にすることだって……今度こそ妹達を護ることだって……できるかもしれない」
ヘンゼル「アリスと一緒に居れば僕は、グレーテルやお千代に胸を張れるお兄ちゃんに……まだなれるかもしれないんだ」

793 :◆oBwZbn5S8kKC :2015/10/04(日)00:53:03 ID:CBX
ヘンゼルとグレーテル。キジも鳴かずば編 おしまい

794 :◆oBwZbn5S8kKC :2015/10/04(日)00:58:22 ID:CBX
おつきあいありがとうございました
本日で七冊目は終了です、レス支援ありがとう!
八冊目は七冊目その2みたいな感じなので孫悟空とかまた出てきますー
もう少しで完結なので頑張る
青い鳥の動向はどうなる?
浦島太郎とアリスの関係とは?
思いつめるヘンゼルの選択は?
八冊目
かぐや姫とオズの魔法使い編 へ続きます

795 :名無しさん@おーぷん :2015/10/04(日)01:42:51 ID:BIv
>>1さん、七冊目完結お疲れ様でした!!
八冊目【かぐや姫とオズの魔法使い編】が待ち遠しいです!!
マメに当スレをチェックしますが、新スレのアップが決まったらリンクを載せて下さい。よろしくお願いします…
何度もすみませんが本当にお疲れ様でした。そして、ありがとうございました!!
新スレを楽しみに待ってます!!

796 :名無しさん@おーぷん :2015/10/04(日)06:08:46 ID:jrz
ヘンゼルが闇堕ちフラグ立ってたorz

797 :名無しさん@おーぷん :2015/10/04(日)06:29:10 ID:jZC
乙!
思い詰めたヘンゼルにアリスが言った言葉、まさに悪魔の囁きだな…

798 :名無しさん@おーぷん :2015/10/04(日)06:45:56 ID:7XU
乙です!
ヘンゼルには雪の女王のおしおきが必要ですな!1人で思い詰めるとろくな事考えないからなー

799 :名無しさん@おーぷん :2015/10/04(日)11:36:02 ID:ATE
青い鳥が自らファミチキの下ごしらえしててわろたw
カラッと揚げられても文句は言えまい