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キモオタ「我輩がおとぎ話の世界に行くですとwww」ティンカーベル「そう」
Part104


692 :◆oBwZbn5S8kKC :2015/09/21(月)23:57:35 ID:1F9
ルンペン「他人の為に身を危険にさらすなんざ馬鹿げた事だよなぁ。あのブーツを履いた猫の剣士もしっぺい太郎とか呼ばれていた犬だか狼だかもよぉ、その犬の話は俺様も聞いた事あったぜ。確かなぁ…」
ヘンゼル「……その話はしなくていい」
ルンペン「あぁ?なんだテメェ、俺様がそこのデブに親切に教えてやってるってのによぉ!」
司書「【しっぺい太郎】は人身御供の被害を受けた人々の話、私の父さんも同じだから…ヘンゼルは私の事気にしていってくれたんだよね?でも、大丈夫。私は気にしないから」ニコッ
ヘンゼル「……」
ティンカーベル「ねぇ、でもさ…これだけたくさんの人が捕まってるって事はだよ?その人たちが居たおとぎ話の世界ってやっぱり……」
孫悟空「まぁ、消えちまってると考えるのが自然だろうな」
ルンペン「だがよぉ、どうやらアリスの目的ってのはおとぎ話の消滅だけじゃねぇんだなぁ。こいつも和尚に聞いた話だから確実だぜぇ?」
キモオタ「…なんですと!?そんなことまで知っているとは…!」
ルンペン「やっぱりテメェはあいつの真の目的は知らないって事か。そんならこいつはとっておきの情報になっちまうからな、別料金ってやつだぜ。俺が仕入れたあいつの目的を知りたけりゃあ…今すぐ俺を解放しろっ!」
キモオタ「ぐぬぬ…参りましたな。ルンペン殿の話は信憑性ありそうでござるし、ぜひ聞いておきたいでござるが……」
ティンカーベル「足元見てきたよこいつ!教えてくれたっていいのに!」
孫悟空「おい、キモオタ。そればっかりは流石に見過ごせねぇぞ、諦めろ」
ルンペン「いいのかぁ?ここで俺様を逃がしてでも聞いておかないと次のチャンスはいつになるかわからねぇぜ?」クックック
???「現実世界の消滅。それがボクの目的だよ」
キモオタ「…っ!?この声は…っ!?」バッ
アリス「随分と大げさに驚くねキミは。久しぶりだねキモオタ、この世界でキミに会う事になるとは思ってなかったよ」クスクス

693 :◆oBwZbn5S8kKC :2015/09/22(火)00:00:12 ID:tMO
キモオタ「どうしてアリス殿が現実世界に…!魔法具を集めアラビアンナイトの結界を破る事がお主の目的だったはずでござる!現実世界に来る意味など……まさかもう結界を破ったでござるか!?」
アリス「物知りだね。残念だけどまだだ、思ったよりシェヘラザード達が作り出した結界は強固だ。一筋縄じゃいかない」
ティンカーベル「じゃあなんで現実世界に来たのさ!」
アリス「ボクだってこんな世界に来たくなかったけどね、ハートの女王の牢屋から逃げだした奴が居たから調査させてたら…驚く事にこの現実世界にまで逃げて来てるって言うじゃないか」
アリス「そこで偵察を送ったら現実世界に意外な人物までいる事がわかってね、それに……」チラッ
ヘンゼル「……?」
アリス「僕に似た思想の人間もいるという情報まで入った。だからボクが直接赴いたってわけさ。うちの偵察役は優秀でね、単なる平和の象徴なんかじゃないってわけさ」クスクス
ティンカーベル「ファミチキ…!あいつがこっそり私達の事スパイしてたってこと!?ホントにあの鳥趣味悪いよね!大嫌いだよ私!」
青い鳥「聞こえてるよ。僕もお前は大嫌いだ、この世界に来て『ファミチキ』の意味がわかったしね…本当に失礼な奴だよ君は、僕は平和の象徴でも食料でも無いんだ」パタパタ
ティンカーベル「黙れバーカ!揚げられろ!バーカ!」
キモオタ「それよりもお主、先ほど言いましたな…現実世界の消滅が目的だと。それは本当なのでござるか?何のためにそんな事を!」
アリス「事実だよ、理由は言えないけどね。こんなことでまたルンペンシュティルツヒェンを逃がされても困るし…それにキミ達なら言わなくてももうそろそろたどり着けると思っていたから、ボクが教えてやった方が手っ取り早いと思ってね」
ティンカーベル「それって、私達があんたの本当の目的を知ってもどうにもできないって思ってるって事でしょ!」
アリス「フフッ、言わないであげたのに自分でいってしまうんだね?その通りだ、今になってはもう知られてもさほど困らないからね」
アリス「でも残念だけど現実世界に来たのはキミ達とお話しする為じゃないんだ」
アリス「どうやらこの場には、ボクが会いたかったおとぎ話の住人が何人かいるみたいだから。ぜひ挨拶をしておきたい、今後の為にもね」

694 :◆oBwZbn5S8kKC :2015/09/22(火)00:02:07 ID:tMO
アリス「それにしても不思議な光景だよ。現実世界だと言うのに一か所に七つものおとぎ話の登場人物が揃っているんだから」クスクス
キモオタ「気を付けるでござるよ!アリス殿は数々のおとぎ話を消滅させ、数え切れないほどの魔法具を奪っている張本人でござる!」バッ
アリス「随分な紹介だね?ボクは【不思議の国のアリス】の主人公、アリスだ。キモオタが紹介したように、様々なおとぎ話を消して周っている。今後ともよろしくお願いするよ」
スッ
孫悟空「なにがよろしくだテメェ…よくもぬけぬけと俺の目の前に現れたもんだな…!」
アリス「驚いた。結構離れた場所に居たのに、一瞬で距離を詰めてくるなんて…流石はおとぎ話界最強の孫悟空だ。あぁそうそう、お師匠様はお元気かい?お会いした事は無いけど、あれだけトランプ兵を送り込んだんだからただじゃあ済まなかっただろうね」クスクス
孫悟空「やっぱりテメェの仕業だったってか…!覚悟しやがれテメェ…!」ググッ
アリス「しないよ。戦う気は無いんだ、今日はね。キミがどれだけ素早くても、どんなに強くても……ボクには触れられない」
孫悟空「俺も随分と舐められたもんだなぁ!そっちがそのつもりだってならガキだろうが容赦しねぇぞ!あの小娘を叩きのめせっ!伸びろ…如意棒ッッ!!」ビュバッ
スカッ
キモオタ「アリス殿の姿が……!」
孫悟空「っ!?消えやがっただと…!俺の目にも止まらぬ速さで移動できるやつなんかいるってのか…!?」
スッ
アリス「フフッ、始めましてラプンツェル。キミには一度会いに行ったんだけど会えなくてね……それにしても見惚れてしまうほど長くて美しい髪だね」サワッ
孫悟空「あいつ…っ!俺なんざ相手にしてねぇってのか……!」
アリス「クスクス、そうだよ孫悟空。例えキミが最強だとしても戦いさえしなければボクはキミには負けない、まぁ戦ったとしても簡単には負けないと思うけどね?」クスクス

695 :◆oBwZbn5S8kKC :2015/09/22(火)00:05:07 ID:tMO
アリス「どちらにしろボクは今、彼女と話をしてるんだ。キミの相手はまた後でしてあげるよ孫悟空」
孫悟空「テメェ…!それで俺がはいそうですかって諦めるとでも思ってんのか!構わねぇ、何度でもやってやるぜ!行くぜ如意棒ッ!」ビュババッ
アリス「まったく…ボクは今女の子同士の会話を楽しもうとしてるのに…何百年も生きてると言うのに無粋な男だ」
スッ
孫悟空「あいつまた別の間所に移動しやがった…っ!どういう事だ、移動してる姿をみる事すらできねぇ…」ギリッ
アリス「だから言ったじゃないか、ボクはキミとは戦わない。しつこい男にはなにも捕まえられないよ?敵の姿も、女性の心もね」クスクス
ラプンツェル「……私聞いたよ?アリスって女の子は、ママに酷いことしたって」
アリス「ああ、そう言えばそんなこともあったね。ゴーテルは随分と老体だろうにキミを護るために懸命に応戦していたよ、結局ボクのコショウで憎しみを植え付けられてしまったけどねフフフッ」
ラプンツェル「笑わないでっ!私はもう気にしてないけどママはずっと気にしてるんだよ!?あれは魔法具のせいだけど…私の事を娘じゃないって怒鳴った事、今でも謝ってくるもん!」
アリス「へぇ、でもそれはキミ達親子の問題だ。ボクは関係ないだろう?」
ラプンツェル「関係あるよ!アリスがママに魔法具使わなきゃあんなことにならなかったんだよ!」
ラプンツェル「私はママも王子もパパも王子ママも大好きだし、友達の事もみんな大好きだよ!だからみんながニコニコして居られない様な事するアリスは…嫌い!」キッ
アリス「随分と嫌われてるね。できればキミの事も捕えようと思ってたけどやめておこう、聞いた話だとキミは少しおバカなようだ。そういう奴は突拍子もない事をするから手に負えない」
ラプンツェル「悟空!私がアリスの事縛るよ!だからその間ににょいぼーでバーンってやっちゃえ!」
孫悟空「おう、任せやがれ!だがそいつの動き、読めねぇから気をつけやがれ!」ググッ
アリス「フフッ、その髪で僕を縛れれば孫悟空は何も言わなくても追撃してくれるだろうにね。それに気付かずに考えを大声で言うからキミはおバカなんだよ、ラプンツェル」フフッ

696 :◆oBwZbn5S8kKC :2015/09/22(火)00:07:30 ID:tMO
ラプンツェル「私の魔法の髪の毛っ!アリスは悪い子だよっ!だからグルグルに縛って動けないようにしちゃえ!」ファサッ
アリス「思ったより速いんだねその髪の毛。少し予想外だったよ、直接見られて良かった」
スッ
ラプンツェル「んもぉ!避けられちゃったっ!悟空ー!もう一回だよっ、今度こそアリスの事捕まえるからっ!」プンス
孫悟空「いや、待てラプ公……またあいつが移動する姿が見えなかった。あれじゃあまるで瞬間移動だ、魔法具の仕業かなにかしらねぇがその仕掛けが見敗れるまでは闇雲に動くのはやめだ、こっちが消耗しちまう」
ラプンツェル「ええっー?でも逃げちゃったりしたら困るよ!」
キモオタ「いや、大丈夫でござろう……無理に攻勢に出るよりも防御に備えるべきですぞ、ラプンツェル殿。あの者は何をするかわからんでござる」
アリス「見かけによらず知恵を使った戦いもできるんだね、キモオタも孫悟空も。さて、次は…キミ達だなお千代にヘンゼルとグレーテル」フフッ
司書「あなたが【不思議の国のアリス】のアリスさん…私の事、知ってるんですね?」
アリス「言っただろう、うちの優秀な偵察役が頑張ってくれたんだ。お父さんの事は大変だったね、それにしてもあんな事があったのに喋る事を封じず読み聞かせしてるんだって?」クスクス
グレーテル「やめて……お千代ちゃんに嫌な事言うの……私、許さないから……それ以上嫌なことしたらかまど、だからね……」
アリス「キミの言うかまどって言葉は確か焼き殺すって意味だったかな?聞いた通り大人しげなのに言動に躊躇が無いね、グレーテルは」
ヘンゼル「妹に近寄るな、それに僕達を巻き込まないでよ。あんたが何を企んでようと、それはあんたとキモオタお兄さん達の問題でしょ」
アリス「違う、これはおとぎ話の世界すべての問題。いや、この現実世界を含めたこの世に存在するすべての世界の問題だ。キミはもう巻き込まれてる」
ヘンゼル「勝手な事言わないでほしいな、僕は家族と幸せに暮らしたいだけだ。おかしな事に巻き込まれるなんてごめんだ」
アリス「キミも聞いた通りだね。でも青い鳥の得た情報によると冷静な君もこうすると、情熱的になるんじゃなかったかな?」クスクス
スッ
グレーテル「……っ!」ギュッ

697 :◆oBwZbn5S8kKC :2015/09/22(火)00:10:06 ID:tMO
ヘンゼル「グレーテルに触るな!それ以上僕の妹に何かしたら…僕はお前を絶対に許さない」ゴゴゴゴゴ
アリス「それがキミの魔力ってやつか、確かに凄まじいね。でも安心しなよ、ボクはグレーテルにキャンディをプレゼントしようとしただけさ」グイッ
グレーテル「放して……っ!」ジタバタ
司書「グレーテルから離れて!アリスさんの持つそのキャンディ…【不思議の国のアリス】の世界のものだと言うなら…ただのキャンディじゃない!」
アリス「へぇ流石詳しいね、ボクの世界のキャンディは特別製だ。一粒食べれば必ず笑顔になれる、二粒食べれば陽気になれる魔法のキャンディだ。…さぁ、十粒まとめて食べさせたらグレーテルはどうなるかな?」クスクス
ヘンゼル「そんなこと試させないし試せない!人の姿のままでいたいならグレーテルから……離れろ!」ゴゴゴゴ
ドゴシャアッ
ヘンゼル「…っ!あいつ、この至近距離でなんで避けられるんだ…!」バキベキッ
スッ
アリス「キミは酷いお兄ちゃんだね。陽気になりすぎて完全に自我を失ってヘラヘラと笑うだけのグレーテルの姿…きっとかわいらしいだろうけど、そんなに見たいのかい?」クスクス
ヘンゼル「やめろ!やめてくれっ!なんでどいつもこいつも罪の無いグレーテル達ばかり狙うんだ!こいつがお前に何をしたって言うんだ!」
アリス「そうだな、彼女は悪くないしボクもキミにはあまり嫌われたく無い。だけど力の誇示っていうのは必要だと思うんだ、だから諦めてそこで見てると良いよ」
グレーテル「……助けて……!お兄ちゃん……!」
ヒュッ
ドンッ バラバラバラッ
アリス「……っ」
キモオタ「ゼェゼェ……特訓したとはいえ短距離の移動は慣れませんな。速度の調整、シンデレラ殿にコツを聞いてみますかな……」ゼェゼェ
ティンカーベル「……っ!キモオタ!」
アリス「……何をするんだキモオタ、キャンディがこぼれてしまったじゃないか」フゥ

698 :◆oBwZbn5S8kKC :2015/09/22(火)00:15:19 ID:tMO
キモオタ「ゼェゼェ……ドゥフwww不意打ち成功ですなwww」コポォ
孫悟空「どういうことだ!?俺にも今のキモオタの動きは見えた、俺の如意棒が避けられてあいつの突進が避けられない理由なんざねぇだろ…!」
アリス「やられたな、いくらキミがシンデレラのように素早く動けたとしても気がついてさえいれば避けられたのに。不意を付いて突き飛ばされちゃあ避けようが無い」
キモオタ「お主のその瞬間移動じみた動きのカラクリは解らんでござるが…少なくとも気が付いていない動きに対しては対応できないということですなwww」コポォ
アリス「そりゃあね、見えていればどんなものでも避けられるけど。どんくさいキミの事なんかマークしてなかった、これはボクのミスだね。キミはブラフしか能が無いと思っていたけど」
キモオタ「そのどんくさいキモオタにお主はしてやられたわけでござるよwww」コポォ
アリス「そうだね、ちょっと馬鹿にし過ぎていたよ。今のキミにはそんな事が出来る魔法具があるんだね、そうかそうか……シンデレラが履くガラスの靴の俊敏さ、ねぇ…。もしかしてその魔法具ってさ」
アリス「桃太郎の剣技とか……赤ずきんの射撃能力とか……そういうのがキミに身に付いたりするのかな?」
キモオタ「どうですかなwwwそれは見てのお楽しみという事でwww」コポォ
キモオタ(我輩の挑発など意に介さず冷静な分析、それも的を得ているとは…我輩の突進作戦が成功したのは完全に不意打ちだったからでござるな、ラッキーパンチもいいとこでござる。おそらく二度目はないでござろう)
孫悟空「って事はよぉ、予想できない攻撃には対応が遅れるってことだ。数の優位はこっちにあるんだ、キモオタ、ラプンツェル、三方向から攻めりゃあなんとかなるかもしれねぇ!
ラプンツェル「わかったよーっ!じゃあたしあっちからアリスの事捕まえるからねっ!」タッタッタ フンス
アリス「クスクス、困ったな…今のでボクを倒せると思っちゃったかな?流石に二度目はないよ、今度はキモオタも戦えるって解ったからね」クスクス
キモオタ「アリス殿からお褒めの言葉がwwwメルシーボークーwww恐縮のいたりwww」コポォ
アリス「でも言ったよ僕は、戦う気は無いってね。でも一方的な攻撃は、戦いにはカウントされないかな?」フフッ

699 :◆oBwZbn5S8kKC :2015/09/22(火)00:18:35 ID:tMO
孫悟空「ゴチャゴチャとうるせぇ奴だ!どうせ避けられちまうだろうが、だからって加減する理由にはならねぇからなぁ!」シュバッ
スッ
アリス「流石だね、早い早い。数多の妖怪共をねじ伏せたその技を間近で見られると思うと少し心躍るよ」クスクス
孫悟空「いつまでも余裕持ってられると思うんじゃねぇぞ!今の俺には動きを制限するもんなんかなにもねぇ!人質も無ぇしお師匠の経も無ぇ!全力でテメェをぶっ飛ばしてやらぁ!」ヒュッ
アリス「そんなにボクと戦いたいっていうならさ、相手になってあげるよ。さぁ、かかっておいでよ……孫悟空!」カチャッ
孫悟空「おう、望むところだ!こっちは端っからそのつもりなんだよぉ!」シュバッ
アリス「ああ、ありがとう。でも残念だけどもう終るよ、孫悟空」スッ
ヒュオオオォォォォォ
孫悟空「……な、なんだこりゃあっ!?俺の身体が、何かに引きずられやがる……っ!」
キモオタ「ご、悟空殿!?悟空殿が何かに吸い寄せられているでござる!」
孫悟空「クソッ…!踏ん張りが効かねぇ…!伸びやがれ如意棒ッ!伸びて伸びて…俺を支える柱になれッ!」ビューン
ギシギシッ…ベキベキベキ
孫悟空「駄目か…!どういうことだ…!如意棒がどれだけ重いと思ってやがる!その上天井と床にがっちり固定したってのに…競り負けてるだと!?」グヌヌ
アリス「キミがおとぎ話界最強だろうと如意棒がどれだけ重く強固だろうと、孫悟空はもう逃れられない。さっきキミはボクの『呼びかけに応じた』じゃないか」
孫悟空「呼びかけに応じた……だとっ!?テメェ、まさかあの魔法具を奪いやがったってのか!」ギリッ
アリス「その通り、でも今更気がついても遅いよ」
カランッ
アリス「この魔法具……発動条件を満たした『紅瓢(べにひさご)』からは何者も逃れられない、それがどんなに機敏な相手でも重く巨大な相手だとしてもね」

700 :◆oBwZbn5S8kKC :2015/09/22(火)00:24:19 ID:tMO
今日はここまでです もう今回の話も佳境です!
紅瓢(べにひさご)
【西遊記】に登場する魔法具
名前を呼びかけたり問いかけたりして、それに返事をした相手を吸引して溶かすという瓢箪の形をした魔法具。
発動条件さえ満たせば機敏さ重さ大きさなど無視して吸引できる為、初見殺し性能が非常に高い。
このssではこの漢字でいきます。
ヘンゼルとグレーテル。キジも鳴かずば編 次回に続きます

701 :名無しさん@おーぷん :2015/09/22(火)00:25:45 ID:E2W
乙です!!
続きがすっごく気になる!!
続き待ってます!

702 :名無しさん@おーぷん :2015/09/22(火)01:05:58 ID:ZEb
>>1さん乙です!
アリスの登場とバトルシーンはたまらなかったです!!
今回は後味悪目な終わり方だったけど、次回でお千代や他の誰かによって、紅瓢から孫悟空を助け出しますように…
回を増すごとに楽しくなる七冊目、もう佳境なのですね…
いつもチーターなアリスを、最後に出し抜いてのハッピーエンドに期待しています

703 :名無しさん@おーぷん :2015/09/22(火)13:08:00 ID:9AM
乙!
アリス強すぎで、どうなってしまうんだ…

728 :◆oBwZbn5S8kKC :2015/09/27(日)23:29:22 ID:ZEZ
おとぎ話【西遊記】が消滅するずっと前……
西遊記の世界 五行山(悟空が封印されていた山)
孫悟空「ぐあああぁぁぁっ!なんだこりゃあ…!頭が割れそうに痛ぇ!ぐあああ、痛ぇぇぇ!!」ガシャーン
三蔵法師「まったく…呆れた者ですね。数々の悪行と狼藉を繰り返し、その結果としてお釈迦様に五百年もの間封じられ…そして私がその封を解くとこれ幸いと逃げ出そうとするなど……」
孫悟空「おいハゲェ!この忌々しい輪っかを外しやがれっ!この輪っか、テメェが珍妙な経を唱えると頭を締め付けやがる!」
三蔵法師「忌々しい輪っかではなく緊箍児(きんこじ)というあなたの成長を助ける道具です」
孫悟空「あぁ?成長だぁ?俺様にはもう敵なんざいねぇんだ!天界にも地上にも俺様に敵う奴なんざいやしねぇからよぉ!だからもう成長なんざ必要ねぇんだよ、いいから外せハゲ!」
三蔵法師「いいえ、あなたには内面の成長が必要です。先ほど伝えた通り、天竺への旅の共をしてもらいますよ。我が守護者として」
孫悟空「ゴチャゴチャ抜かしてねぇで外せって言ってんだよ!」グイッ
三蔵法師「…ナムナムナム…緊箍児よ、その未熟な暴れ猿の性根を正したまえ…ナムナム…」
孫悟空「ぬあああぁぁぁーっ!テ、テメェ…汚ねぇぞ!こんな輪っか無けりゃあテメェなんざ今頃塵ほどの跡形もなく消しちまってるのよぉ!」ガシャーン
三蔵法師「あなたが真面目に私の守護者として旅をするならば、私はむやみに緊箍児を締め付けたりしません」
孫悟空「……クソッ、この俺様を脅して従わせるなんざいい度胸じゃねぇか!それが僧のやる事か!」
三蔵法師「脅して従わせるなどそんなつもりはありません。しかし力を貸してほしいというのは嘘偽りない本音です…私は悪しき妖怪共に命を狙われている身、あなたの力が必要なのです」
孫悟空「……仕方ねぇ、五百年の封印から解き放ってくれた礼の代わりだ。テメェが妖怪に狙われるってならそいつら相手に人暴れできそうだ、しばらくその旅につきあってやらぁ!」
三蔵法師「助かります。あなたの力があれば、必ずや私達は天竺への旅を成功させる事が出来るでしょう。しかしですね、悟空よ…旅の前に言っておく事があります。ナムナムナム……」
孫悟空「アアァーッ!痛ぇ!なんでだ!?なんで協力するって誓ったのに輪っか締め付けるんだテメェー!」ドガシャーン
三蔵法師「二度と私をハゲなどと呼ばぬよう。私の事はお師匠と呼びなさい、わかりましたね?悟空」

729 :◆oBwZbn5S8kKC :2015/09/27(日)23:32:31 ID:ZEZ
・・・
三蔵法師「……というわけです。理解出来ましたか悟空?」
孫悟空「いやいや、待ちやがれ!確かにあんたの守護者になってやるってのは認めたがよぉ、この世界がおとぎ話のひとつだと?そんな突拍子もない話信じられるわけねぇだろハゲ!」
三蔵法師「…ハゲ?」スッ
孫悟空「わ、悪ぃ…お師匠。でもよぉ、さすがに信じられねぇよ。俺達が過ごしてる世界が現実世界の人間に作られた話だってのか?」
三蔵法師「信じられないでしょうが事実です。ですから酷い無茶をして物語を消してしまわないよう、あなたには物語の大まかな流れを説明したのです」
孫悟空「未だに飲み込み切れてねぇけどな。まぁむやみに殺しちまったり、魔法具とかいう不思議な道具を壊したりするなって事でいいんだろ?」
三蔵法師「そうです。特に注意すべきは魔法具の類ですね…不思議な力を持つ物は代用が利かないものが多いです、中でも金角銀角という妖怪が持つ紅瓢という魔法具は貴重な逸品でありながら危険な道具です。
呼びかけに応じただけで瓢箪に吸い込んでしまい、溶かして酒にしてしまうのです。その紅瓢の対処法ですが…」
孫悟空「おい、ちょっと待ってくれお師匠!対処方法なんざ言わねぇでくれ」
三蔵法師「? しかし、物語の細かい内容を知っていればそれだけこのおとぎ話が消えてしまう事を防ぐことが可能なのです、だから知っておくべきです。現にあなたは紅瓢に吸い込まれてしまうわけですし」
孫悟空「だから展開言うなって言ってんだろ!だいたいなぁ、どんな敵が待ち構えていてそいつがどれくれぇ強いとか、どんな不思議な武器を持ってるかなんて前もって聞いちまったらつまらねぇだろ?」
三蔵法師「悟空、これはつまるつまらないの問題ではありません。私達にはこの【西遊記】を滞りなく進め、天竺へとたどり着くという使命があるのです」
孫悟空「その辺はお師匠がうまい事やってくれんだろ?俺様は守護者だ、テメェに襲い来るもんは災厄だろうが妖怪だろうがまとめて叩きつぶしてやらぁ!どんな妖怪相手に大暴れできるのか今からワクワクしちまうぜぇ!」
三蔵法師「悟空……あなた、まさか戦いを望んでいるのではありませんね?暴れる事が出来て幸いだと考えているのでは……?」スッ
孫悟空「な、なわきゃねぇだろうが!俺様は純粋に守護者としてだなぁ……おい!経を唱える準備するのはやめろ!」
孫悟空「……まぁ良いでしょう。異変が起きさえしなければ、我々は天竺へ向かう事が出来ます。戦いに関してはあなたに任せますが、くれぐれもやりすぎる事の無いように」
・・・

730 :◆oBwZbn5S8kKC :2015/09/27(日)23:34:40 ID:ZEZ
現代
現実世界 廃墟
ヒュオオォォォォォ
孫悟空「ぐっ…話には聞いちゃいたが、流石は仙人が作った魔法具だぜ。これ以上持ちこたえるのは難しいみてぇだ」ヒュオォォ
孫悟空(あの時、お師匠に紅瓢の対策聞いてりゃあ良かったか…なんて言っても始まらねぇか。さて考えろ孫悟空、どうやってこの窮地を切り抜ける…!)
孫悟空(お師匠が言うには俺たち一行は【西遊記】の結末で天竺にたどり着く事が出来る。って事はその道中で紅瓢を持った妖怪に一行は襲われてるはずだ!)
孫悟空(なら俺はその時、紅瓢の対抗策を考えついてるって事になる。それなら今思いつかない道理がねぇ、考えろ…どうやってあの強力な魔法具を攻略すりゃあいいか…)ヒュオオォォ
ラプンツェル「悟空っ!私の髪の毛に捕まって!頑張って引っ張るからっ!」バッ
孫悟空「よせっ!ラプ公!俺の如意棒ですら紅瓢には対抗できねぇんだ、下手に手を出せばテメェも巻き込まれて吸い込まれちまうかもしれねぇ!」ヒュオオォォ
ティンカーベル「でもっ!このままじゃ悟空吸い込まれちゃうよ!?アリスに捕まっちゃうよ!」
孫悟空「心配いらねぇよ。それに吸い込まれちまうってのも一つの手だな、一度吸い込まれれば吸引は収まる。それから脱出すりゃあ丸く収まるってわけだ」ヒュオオォォ
アリス「へぇ、敢えて吸い込まれるって事は紅瓢の中から逃げられる算段があるって事かな?」クスクス
孫悟空「こちとら伊達に妖怪共との戦いに明け暮れてるわけじゃねぇんだよアリス!だがこの方法は俺一人じゃあ無理なんでな、つぅわけでよぉテメェに頼るぜ司書」ググッ
司書「私…ですか?あの、私戦いの経験もないし魔法も使えないから悟空さんの力には…」
孫悟空「テメェの腕力になんざ期待してねぇよ、だがよぉ【西遊記】の内容を知るテメェなら紅瓢に吸い込まれた俺がどんな思考するか、わかるんじゃねぇのか?」
司書「それなら…わかりますっ!私は司書ですから、知らないおとぎ話はありません。もちろん【西遊記】の内容も全て覚えています、だからわかります。悟空さんの考えっ!」
孫悟空「そりゃあ頼もしいこったな、悪ぃが頼むぜ?脱出さえ出来りゃあ後は俺の独壇場だ、如意棒片手に大暴れしてやるぜ!楽しみにしてな、アリス!」ニッ
アリス「…フフッ、随分な自信だね。孫悟空」
孫悟空「つーわけだ!後は任せるぜ、司書!キモオタ!」バッ
ヒュウウウウウ スポン

731 :◆oBwZbn5S8kKC :2015/09/27(日)23:38:24 ID:ZEZ
アリス「随分手間取ってしまったな…しかし流石は孫悟空だ、如意棒を持っているとはいえあそこまで持ちこたえるとは驚いたよ。紅瓢は魔法具の中でも能力の高い部類なのにね」クスクス
ティンカーベル「あんな不意打ちみたいな魔法具使うなんて性格の悪さが良く出てるよねっ!ホントにズルイ奴!」プンスカ
アリス「ズルイなんて酷い言い草だね。紅瓢は確かに強力だけど返事さえしなければただの瓢箪だ、敵の呼びかけに不用意に返事を返す方が間抜けなのさ」
キモオタ「強力な魔法具ではあるものの、発動条件がある以上ネタが割れてしまえば吸い込まれる前の対策自体は簡単でござるしな…」
アリス「だけどこうして悟空は紅瓢に吸引された。あとは酒になるのを待つだけ…一度敢えて吸い込まれるって言うのは対策としては理にかなっているけど、脱出できなければ意味が無い」
司書「出来ますよ、悟空さんは紅瓢から脱出できます…いいえ、私達が必ず悟空さんを救いだします」
アリス「クスクス…いいや、出来ないよ。キミ達が紅瓢から悟空を救いだそうとしてると知って、ボクがわざわざキミ達の相手をすると思ってるの?」クスクス
アリス「悟空と直接対決していればいろいろと面倒な事になっていただろうしね、労せず邪魔者が捕えられたなら結果としては上々だ。あとはルンペンシュティルツヒェンを連れて帰るだけだ」
ルンペン「チッ…こいつらうまい事丸め込んでやろうと思ったってのにとんだ邪魔が入りやがった……」
ティンカーベル「あっ!アリス逃げるつもりなの!?」ブーブー
アリス「逃げるも何も、用事を済ませたから帰るだけさ。それに意味の無い勝負はしたくないんだ。さぁボクについて来てもらうよ、ルンペンシュティルツヒェン」スッ
キモオタ「おおっとwwwさせませんぞwww悟空殿を連れ帰られるわけにはいかないのでwwwこの者を連れて帰りたければ我々を倒す事ですぞwww」ガシッ
ルンペン「テメェ…この俺様をアリスを引きとめる為のダシに使いやがったな!?」
アリス「へぇ、そうくるんだ。別にボク個人としてはルンペンシュティルツヒェンはどうでもいいんだけど…近頃がめつい魔女を引き入れたから、黄金を生成できるそいつは取り返しておかないと後が面倒だ」フゥ
キモオタ「ほうwww悪事を繰り返すお主にも味方をしてくれる魔女が居たとは驚きですなwww」コポォ
アリス「金で雇ってるだけの魔女さ。【シンデレラ】の魔法使いやゴーテルのように善意で味方をしてくれてるわけじゃない、ビジネスの関係だよ。まぁ、そんな事はどうだっていい」
アリス「ボクに立ち向かうつもりなら早くおいで、相手をしてあげるよ。あまりこの世界には長居したくないから手短に済ませよう」スッ

732 :◆oBwZbn5S8kKC :2015/09/27(日)23:41:16 ID:ZEZ
キモオタ「ふぅ…なんとかアリス殿を引きとめることには成功しましたな…」
ティンカーベル「でもどうする?司書さんには悟空を助ける考えがあるんだよね?」
司書「助けると言うより悟空さんの脱出を手助けするだけですけどね。やること自体は簡単な事だけど、アリスさん警戒してるだろうから成功させるのは難しいかも…」
ラプンツェル「むむむ…それにあの紅瓢とかいうまほーぐ恐いよね!だって、名前呼ばれて返事しちゃったら吸い込まれちゃうんだよ?みんな気をつけようねっ!」
ヘンゼル「…アリスはもう紅瓢を使うつもり無いと思うけどね」
ラプンツェル「えーっ?なんで?あんなに強いまほーぐだったらアリスはいっぱい使った方がいいんじゃないのかな?」
ヘンゼル「使えない理由があるんだよ。使えるならもう僕達に使ってるはずだよ?気をつけようとか言いながらうっかり返事しちゃいそうな奴も一人いる事だしね、ラプンツェル」
ラプンツェル「あははっ、そんなうっかりさん居ないよー」ニコニコ
キモオタ「ラプンツェル殿wwwそれ怒るところですぞwwwしかし、アリス殿が魔法具を使えない理由とは?」
司書「えっとですね、紅瓢は瓢箪型の魔法具で…栓がありますよね?例え呼びかけに返事をしても栓が開いてなければ吸引されないんです。だけど今のアリスさんは栓を開ける事が出来ないんです」
キモオタ「栓を開ける事ができない?なにか不都合な事があるのですかな?」
グレーテル「【西遊記】のおとぎ話でも……悟空さんは紅瓢の中に吸い込まれちゃうの……でも、ちゃんと出られたよ……」
司書「紅瓢は吸引した相手を溶かしてお酒にする魔法具です。だから吸引された悟空さんは自分の髪の毛で作った身代りを溶かさせて、自分自身は小さな虫に化けたんです」
司書「そして紅瓢を持つ金角銀角が瓢箪の中の様子を覗こうとして栓を開けた隙に、紅瓢の中から抜け出したんです」
司書「きっと悟空さんはその時と同じ方法で紅瓢から抜け出すつもりです。だから私達がすべき事は、紅瓢の栓を抜くこと…!」

733 :◆oBwZbn5S8kKC :2015/09/27(日)23:43:26 ID:ZEZ
キモオタ「なるほど、アリス殿もその事を知っているからこそ紅瓢を使わないのですな。いや、使えないと言う方が正しいでござるか」
司書「でもアリスさんだって紅瓢を狙われる事はわかってるから、きっと紅瓢を護ります。それを掻い潜って栓を抜くのは…」
グレーテル「きっと難しいね……でも悟空さんあいつに利用されてただけで……ホントは良い人、だから助けるよ……私、頑張る……」
ラプンツェル「私もやるよっ!難しくってもやることが決まってるんだったら、あとは頑張ってそれをすればいいだけだもんねっ!きっとできるよ!」フンス
ティンカーベル「ふふんっ!こういうのは隙を付いたり素早い動きするのがが重要だからね!そーいうのは私一番得意だから!よーし、活躍するよ!」
ヘンゼル「僕も手伝おう。アリスはグレーテルに手を出したんだ、悟空を捕えてあいつを連れ帰って…なんでもあいつの思い通りに事が進むのは良い気がしないからね」スッ
アリス「フフッ、ボクが直接戦うなんて久しぶりだ。さぁボクの可愛いフラミンゴにハリネズミ達、大きくなって一緒にあいつ等を始末しよう」スッ
フラミンゴ「クエクエッ」モシャモシャ
ハリネズミ「フシュフシュ」モグモグ
ムクムクムク
ラプンツェル「すごい…!キノコ食べたら大きくなったよっ!でもアリスはあれどーするつもりなのかな?あれで戦うのかな?」
キモオタ「ラプンツェル殿、油断してはいけませんぞ。あのフラミンゴを槌代わりにしてハリネズミを打ち出してきますぞ!」
司書「槌代わりのフラミンゴ、ハリネズミの球に食べると大きくなるキノコ…アリスさんは【不思議の国のアリス】での不思議な出来事の数々を武器にしてるってことですね?キモオタさん」
キモオタ「そうですな、他にトランプの兵士を使役してきますぞ!所有している魔法具については数が多すぎる故、割愛しますぞ!」スッ
司書「アリスさんは【不思議の国のアリス】での不思議を武器にしてる。そうだとしたら……悟空さんでも軌道が読めないアリスさんの素早い動きの正体って……」
アリス「そうか、キミはおとぎ話に詳しいんだったね。現実世界での生活が長いなら、おとぎ話の世界では知る事が出来ない事も知っているだろうね」
アリス「余計な事を吹き込まれても面倒だ。まずはキミに味わってもらおうかな、女王陛下式のクロッケーを」スッ