宝物の鉛筆削り
Part11:コンピュータ:10/11/1 00:03 ID:to5MX79lO.
つまりは無題ってことだ。
仮題として
宝物の鉛筆削り
ってことで。
さぁ、駄文の始まりだっ!
あ、微ファンタジーっぽいの入ってます。
2:コンピュータ:10/11/1 00:05 ID:to5MX79lO.
宝物箱の中身。
小さい頃、誕生日に貰ったオルゴール。
壊れてしまって、今はもう動かない。
最初の小学校から引っ越す時にもらったメッセージカード。
色あせてしまって読みにくい事この上無い。
そして最後に、鉛筆削り。小型で長方形。ゴミ箱やティッシュの上で削る様なやつ。
錆びてしまってはいるけれども、まだまだ使える。
なぜなら、魔法がかかっているから。
これは、三番目の小学校から引っ越す時に、彼から貰った鉛筆削り。
私の一番大事な宝物。
3:コンピュータ:10/11/1 00:08 ID:to5MX79lO.
あの頃の私の家は父さんと母さんの喧嘩が絶えず、
一日中,家の中がギスギスしていた。
小さかった私はそんな家に帰るのが嫌で、
いつも遅くまで教室に一人、ポツンと座っていた。
家の事情で引っ越しが多かったため、
私は友達を作ることをすっかり諦めてしまっていたのだ。
友達なんか作っても別れる時に辛くなるだけだと思い込んで。
若いながら、俗に言う厨二病だった。
4:コンピュータ:10/11/1 00:14 ID:to5MX79lO.
それでも、時たま、
本当に時たまだけど、
私に色々話しかけてくる物好きはいた。
とは言っても、最初の小学校では
保育園からの繰り上がりでの友達も
いるにはいた。
みよちゃんと、ちせちゃん。
この二人だけだったけど。
初めての引っ越しの時に泣き叫んだ事をよく覚えている。
映画みたいに車の窓から顔を出していたっけか。
危ないって怒られたけど。
そして二番目の小学校では……あまり思い出したくないので、割愛。
そして三番目の小学校であった人。
初めて出会った物好きが、彼だった。
5:コンピュータ:10/11/1 00:25 ID:to5MX79lO.
「なんでいつも一人で教室にいるの?」
彼が私にそう話しかけてきたのは、
引っ越して来て2、3カ月が経った頃の放課後だったように思う。
思い返してみれば、初対面にしては随分と唐突で失礼な質問だ。
「私は独りが好きなの。放っておいて」
私はこのように答えた。一字一句合っている確証は無いが、
意味合いとしては間違いなくこのように答えた……はずだ。
「ふーん……じゃあ、僕が友達になってあげるんだよ!」
この時は、訳が分からなかった。
なにが『じゃあ』なのか、
なぜ『友達になってあげる』という思考に結び付いたのか、
この男子はだれなのか、
語尾の「だよ」ってなんだ、etc……
様々な疑問が頭の中で渦巻き、混乱していると、突然手を引っ張られた。
言うまでもないがあの話しかけてきた男の子に、だ。
その頃の私は(今もあまり変わっていないが……)
そこまで恥ずかしがりや、というわけでは無かった。多分。
しかし、なぜか手を繋いでいる、という事実だけで顔が真っ赤になり、
それを隠そうとただ俯いていた。
声を出そうものなら震えたみっともない声が出るのは分かりきっていたので、
止めて、の一言すらも言うことは出来なかった。
6:pc:10/11/1 00:32 ID:to5MX79lO.
「ほら、着いたんだよ」
どれほど引っ張り回された頃だったろうか。
それまでかなり足早だった男の子の足が突然止まり、
声をかけてきた。
「ここは……」
そこは、学校近くのわりと大きな公園だった。
ちらほらとウチの学校の生徒と思わしき人影が見える。
「着いてくるんだよ」
そう言うと男の子はスタスタと歩き出す。
ここまで来たときと同じように早足で。
「……っ」
仕方なく私も彼の後に続く。
ここで置いていかれたら帰り道が分からないじゃない、
なんてブツブツ言いながら。
本当は通学路の途中で見知った道だから帰れるんだけれども、
彼が何を私に見せようとしているのか、
という事に興味をひかれた。
7:pc:10/11/1 00:35 ID:to5MX79lO.
彼はずんずんと進んでいった。
時折何もないところで曲がったり、
ブランコの周りを一周してまた元の来た道を戻ったり、
とデタラメに。
後日聞いたところ、
ちゃんとした道順があるらしかったが、
結局理解することはなかった。
8:pc:10/11/1 00:37 ID:to5MX79lO.
男の子が不意に止まったのは、
公園の植え込みの間の小さな隙間だった。
「あぶだかたぶらーちんからほいっ!」
男の子はそう唱えると隙間へと入っていった。
私も慌てて後を追おうとするが、
隙間に入って直ぐのところにいた男の子に止められてしまった。
「あいことばをとなえないとこの中には入れないんだよ」
「え?なんで?」
「ひみつきちにはあいことばがつきものなんだよ。男のろまんってやつだよ」
「あたし、女なんだけど……」
「……ろまんは男も女もかんけいないんだよ。うん。かんけいないんだよ」
「……」
こうなっては付き合うしかないと私は判断した。
それでも多少の恥ずかしさはあったので、
なるべく小さな声で言うことで私はささやかな抵抗を示した。
我ながら幼い。
「ちなみにねーあいことばはねー「…アブラカタブラチンカラホイ」なんだよ……ってなんで知ってるの!?えすぱー!?」
「……自分でさっき言ってたじゃん」
「えすぱーじゃないのか……」ガッカリ
「そんなにがっかりしなくても……」
「ま、いいんだよ。んじゃ、ひみつきちにしゅっぱつ」
手をこっちに向けてくる。あぁわかったよ、言えば良いんだろ、言えば。
「……しんこー」
この言葉を合図に、私達は植え込みの奥へと歩き始めた。
9:pc:10/11/1 00:38 ID:to5MX79lO.
「ふーふーふーんふーふーふ~♪」
鼻唄まじりに男の子はずんずんと植え込みの奥へ奥へと進んでいく。
「ちょ、まっ」
私も必死に付いていくが、髪の毛を木の枝に引っ掻けてしまったり、
飛び出ている木の根に足を引っ掻けたりして、
なかなか思うようには歩けなかった。
実際、何度も転びかけた。
それでも男の子は立ち止まる事もせずにずんずんと進んでいく。
私も必死になってついていった。
10:pc:10/11/1 00:39 ID:to5MX79lO.
しばらく歩くと突然、視界が開けた。
周りを木に囲まれた広場。広さはだいたいウチの小学校の体育館と同じくらい。雑草が青々と茂っていた。
その中心辺りにポツンと小屋が一つ。
「ここは……」
「僕のひみつきちなんだよ。きれいでしょ」
彼の言う通り、綺麗な場所だった。
草は青々と茂り、所々に名前はわからないけど綺麗な花が咲いていた。
よく見ると小さな川まで流れている。
色鮮やかな蝶々も、忙しそうに花から花へと飛び回っていた。
「……」
言葉が出ないとはこういう事をいうのだろうな、
などと思いながら、私はこの広場を見つめていた。
「……どうしたの?」
男の子の声に我に帰る。
「ううん、綺麗な場所だなって」
「でしょ!ぼくの宝物なんだよ!」
「でも、こんな場所どうやって見つけたの?」
「おばあちゃんに教えて貰ったんだよ。おばあちゃんは魔法使いなんだよ」
11:pc:10/11/1 00:53 ID:to5MX79lO.
魔法使い?そんなのいるわけ無いじゃない。
ここに来る前の私だったら間違いなく、
こう言って男の子を笑い飛ばしていただろう。
しかし、この景色を見てしまったらその言葉も信じることが出来る。
それほどにその場所は美しかった。
「そうなんだ」
「……笑わないの?」
男の子は不安そうにこちらを見て聞いてくる。
「なんで?」
私は聞き返す。
「前にこの事言ったらみんなにバカにされたから……」
まぁ分からないでもない。
五年生にまでなって魔法使いを信じているヤツはそういないだろう。
まったく、夢のないやつらだ。
私は数分前の自分を棚に上げ、そう思った。
「大丈夫。信じる」
だからこう答えられる。
12:p:10/11/1 00:55 ID:to5MX79lO.
「……本当に?」
半べそをかきながら男の子はこっちを向く。
今思ったけど相当可愛い顔をしている。
男のくせに。変だけど。
その顔でその表情は反則だろう……
私は可愛い物好きなのだ……
「本当だよ」
「本当の本当に?」
少し近付いて訪ねて来る。
少し心が揺らぐ。
「本当の本当に」
「本当の本当の本当に?」
また近付いてくる。
うわ、近すぎるだろ……
あ……
いい匂いまで……
プッツンしても、いいですか?良いよね?
うん、良いってさ。
「……」ガバッ
「ふぇっ!?な、なにをするんだよ!?」
「……ちょっと考えたらわかる」
「わ、わからないんだよ!離すんだよ!」
13:pc:10/11/1 01:00 ID:to5MX79lO.
「うん、それ無理」
腕に力を入れてちょっとだけ強く抱きしめる。
なんでこいつこんなにふわふわしてるんだよ。
男のくせに。
なんか変なくせに。
14:pc:10/11/1 01:04 ID:to5MX79lO.
ここで書きためが尽きました。
即興でも良いかと思ったりするんですが
延長されたみたいなので、またしっかり書きためてきます。
なんかすいません。
このssを面白いと思ってくれる人が
一人でもいれば幸いです。
15:名無しさん:10/11/1 14:15 ID:Ys95BYJrH.
面白い…
16:名無しさん:10/11/3 00:39 ID:Sl1w3Jp5.o
やべぇぇぇ
おもろい
すきだわこれ!!!!!!!
がんばるのだよ!!
17:緑メ:10/11/3 01:17 ID:AZN8vEPq8w
いいね、なんか可愛くて好き。
続き期待なんだよ!
18:pc:10/11/6 13:01 ID:to5MX79lO.
読んでくれた人たちありがとうございます
もうしばらくお付き合いください
この投下の次の投下ででラストになるかと思います
多分。それではごゆるりと。
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