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女「あの、顔色悪いけど大丈夫ですか?」 男「・・・え?」

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Part1
1 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2015/07/26(日) 17:42:14.90 ID:ABv1zFOB0
女「もう講義終わりましたよ?」
男「あ、ああ」
・・・外を見ていた。
空はいつのまにか茜色をしていた。
時計を見ると5時近い。
講義はとっくに終わっていたようだ。
3階41講義室に残っているのは、オレと、オレに話しかけてきた女だけだった。
男「あ、すみません。ちょっとボーっとしてました。もう帰るんで」
女「あの・・・余計なお世話かもしれませんけど、そのまま外にはいかない方がいいと思いますよ」
男「えっ?」
なぜだか分からないが、シャツの襟が濡れていた。
男「・・・すみません」
女「あの・・・結構前から気になってたんです。全然講義聞いてないみたいですし、あまりに・・」
男「いえ、大したことじゃないんで大丈夫です」

2 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2015/07/26(日) 17:43:12.92 ID:ABv1zFOB0
そう言うとオレは、机に出しっぱなしになっていた経済原論の教科書を鞄に仕舞った。
外からは他の学生たちの声が聞こえる。
なんだかいつもより騒がしいな、と思った。
男「じゃあオレはこれで」
女「待ってください」
男「?」
女「あの・・・初対面の人にいきなりこんなこと言うの失礼かもしれませんが、もしよかったらあなたがいつも外を見ている理由を教えてください」
男「・・・」
女「誰かに話すことで、少しは気持ちが晴れることだってあると思います」
男「あなたには・・関係のないことですから」
女「そうかもしれません・・・でもあなたの尋常じゃない様子が気になって私も講義に集中できないんです。服が乾くまででいいですから」
男「・・・」
確かに初対面の人間にしては、他人の領域に踏み込みすぎだと思った。
だが、その真剣な表情は、言葉とは裏腹に、見ず知らずの人間を本当に心配しているようにも見えた。
・・・人の好意は素直に受けるべきだと思った。
そういう訳でオレは、本当に気まぐれに、名前も知らない女に、おそらくは面白くもない話をすることにした。
男「長くなるけどいいですか?」
女「はい」

3 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2015/07/26(日) 17:43:48.32 ID:ABv1zFOB0
***
***
ピンポンパンポーン
校内放送『2年C組の男君、昼休みに生徒会室に来てください』 
「おーい、お前呼ばれてるぞ」
男「はぁー・・なんだよ。飯食う時間無くなるじゃん」
「じゃあオレら今日は先購買行ってるからな」
男「あー・・じゃあさなんかついでに買っといてくんねー?」
「しょうがねーな。何がいいんだ?」
男「甘くないのなら何でもいい」
「オッケー」
コンコン
男「しつれいしまーす」
ガラガラ
「ん?君誰?」
男「なんか校内放送でここに来いって言われたんですけど」
「?誰か呼んだの?」

4 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2015/07/26(日) 17:44:18.27 ID:ABv1zFOB0
女「あ、会長。私が呼びました」
「あ、女さん。どうしたの?」
女「彼のノートを拾ったので」
「そうだったんだ。あ、3年生午後プールだから僕たちもう行くけど、任せていい?」
女「はい。お疲れ様です」
ガラガラ・・・バタン
男「あ、ノート拾ってくれたんですか。すいません」
女「・・ええ。コレ、返します」
男「どーも。じゃあオレもう行くんで」
女「ちょっと待ちなさい」
男「?」
女「あなたに言っておきたいことが3つあります」
男「は?」

5 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2015/07/26(日) 17:44:51.98 ID:ABv1zFOB0
女「まず、名前はノートの表面に書きなさい。中に書いたら内容を確認しなければ誰のだかわかりません」
女「次に、ノートに落書きをするのはやめなさい。ノートは勉強のためにあるものです」
女「最後に、もっときれいな字で書きなさい。復習するとき自分で書いた字が読めないんじゃないのかしら?」
男「・・・・は?余計なお世話だし」
女「それともう一個。部屋に入る時のノックは3回、あるいは4回です。2回は“入っていますか?”ですから」
男「・・・・うるせーな」
女「あなたの将来のために言っているんだけど?」
男「ッチ」
ガラガラ・・・バタン!


6 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2015/07/26(日) 17:45:24.50 ID:ABv1zFOB0
男「・・・」
「お、早かったな」
男「あーすまん」
「ほれ、サンドイッチ」
男「サンキュー・・・・はぁムカつくなー」
「なんかあったのか?」
男「あー・・・生徒会の女が超うざかった」
「マジ?3年?」
男「いや、リボン緑だから2年だな」
「2年で生徒会の女ってA組の女さんか?」
男「知らねーよ。名前なんて」
「眼鏡かけてて髪長い奴」
男「あー・・たぶんそれだわ」
「ウザいってどんな感じだったんだ?」
男「良く知りもしねーオレのノートの書き方に文句言いやがった」
「意味わからん」
男「いや、オレも分かんねーよ」

7 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2015/07/26(日) 17:45:57.71 ID:ABv1zFOB0
「あれじゃね?セーリで機嫌悪かったとか」
男「はー、キモイわ」
「はは・・相当イラついてんなー」
男「・・・」
「ま、女さんって車椅子だし、虫の居所悪いこともあるんだろ」
男「ん?車椅子?」
「あれ?車椅子乗ってなかった?」
男「いや、普通に椅子座ってたけど」
「そうか?まあいいや。俺食いおわったからちょっとフットサルしてくるわ」
男「ああ、俺も食いおわったら行く」
「おー」
サンドイッチを齧りながら、さっきの生徒会室の様子を思い出した。
そう言えば、部屋の隅に車椅子あったな。
車椅子に乗ってる人にさっきの言い方は無かったかな、とも思った。
が、あれだけ初対面の人間に悪態つける奴に、同情はいらないと、オレはなんとなく納得した。

12 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2015/07/26(日) 20:43:56.55 ID:ABv1zFOB0
ーーーーーある日の朝。
男「朝から集会ウゼー」
「ねみーよな」
男「せめて椅子用意しろよな。そしたら眠れるのに」
「そうだな、てかお前立ったまま寝てることあるだろ」
男「マジ?ばれてた?」
「はははっ」
『・・・これで生徒集会を終わります』
「おい、教室行こうぜ」
男「ああ・・・・」
「ん?どうした?・・・・ああ。ほら、あれだろ。A組の。な、車椅子だろ?」
男「ああ・・・行こうぜ」
「おう」
壇上の生徒会役員たちの中に、一人だけ覚束ない足取りの女生徒がいた。
しかしその女生徒は、誰の手も借りず、しかしゆっくりと壇下に置いてある車椅子まで歩を進めていた。
長い黒髪が、しっかりと伸びた背筋を覆いながら静かに揺れ動いていた。
凛としていた。

13 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2015/07/26(日) 20:44:43.15 ID:ABv1zFOB0
「おーい男」
男「なんすかキャプテン」
「明日の放課後予算会議あるんだけどさ、悪いんだけどお前行ってくれない?」
男「えーマジっすか?オレ何していいか分かんないすよ」
「ただ座ってるだけでいいから。行かないと予算減らされるんだよ」
男「はー了解っす」
「ワリィな」
***
「それでは、予算会議を始めます。まず昨年度の資料をご覧ください・・」
男(はー・・眠ぃ)
男「・・・ZZZ」
「では、次は会計から今年度予算配分の報告です」
女「はい、会計の女です・・・報告の前に。サッカー部の男さん、起きなさい!」
男「おわっ?!」
女「会議中は寝ないように。では、報告です」
「くすくす」
男「・・・チッ」
「それでは、これで予算会議を終わります。お疲れ様でした」

14 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2015/07/26(日) 20:45:18.97 ID:ABv1zFOB0
男「・・・おい」
女「何?私に用?」
男「何?じゃねーよ。お前さ、オレに恨みでもあんの?」
女「は?何言ってるの?さっきのはあなたが悪いんでしょ」
男「だからってあの場で怒鳴ることねーだろ」
女「あそこで起きなければ、あの後の会議聞いてなかったでしょ?」
男「チッ・・・うるせー奴」
女「あなたね、もうちょっと真面目になりなさい」
男「だから、そういうとこがウゼーんだよ」
女「・・いい加減にそこ退いてくれない?あなたがそこにいると、私手をつくところが無くて立ち上がれないの」
男「・・・チッ」
すっ
女「あなたの生活態度を見てると、いくらでも文句を言いたくなってしまうから、私はこれで戻ります。さようなら」
男「・・・」

15 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2015/07/26(日) 20:46:00.56 ID:ABv1zFOB0
「男ーこの前は予算会議出てくれてありがとな」
男「キャプテン・・オレ、今後あの会議には出たくないです」
「ん?何かあった?予算別に減ってないと思うけど」
男「なんかスゲームカつく奴いるんで」
「??まあいいや。てか予算会議は年に2回しかないから。次回は俺が行くよ」
男「そうしてもらえると助かります」
「おし、じゃあランニングから始めるか」
「うーっす!」
男(かったりーな)
「イチニ、ソーレ!!イチニ、ソーレ・・・」
男「はっ・・はっ・・・・(たりーからゆっくりいこう)」
男「・・・・・ん?」
男(あの窓って確か生徒会室か・・・何覗いてやがるんだよ、あの女)
女「・・・・ふん」ぷいっ
男「・・チッ」

16 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2015/07/26(日) 20:46:36.48 ID:ABv1zFOB0
「最近お前不機嫌だなー」
男「そう見えるか?」
「見えるわー」
男「A組の女がムカつく。とにかくムカつく」
「ん?あれ以来なんか絡みあったのか?」
男「部活のとき、生徒会室からオレの事見てやがる」
「は?なにそれ。ラブコメかよ」
男「は、死ねよ?」
「おい、冗談だよ。てかなんでお前の事見てるの?」
男「・・・知らねーよ」
「てかさ、別にお前の事見てる訳じゃないんじゃないのか?」
男「は?」
「女さんって足悪いんだろ?よく知らねーけど」
男「・・ああ」
「運動できねーから、運動部のこと見てるんじゃないのか」
男「・・・」

17 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2015/07/26(日) 20:47:10.13 ID:ABv1zFOB0
ーーーーーある日の放課後。
女「・・・・」ぼーっ
コンコンコン
女「あ、ハイどうぞ」
ガラガラ
男「・・・」
女「わっ!」
男「・・あ?」
女「・・なんでもないわ。生徒会に何か用ですか?」
男「いや、別に」
女「?用がないならあなたが来る必要はないですよ」
男「お前さ、なんでいつも放課後に外見てんの?」
女「・・別に見ていないわ」
男「嘘つけよ。じゃあなんで窓際に椅子置いてんだよ」
女「・・別にいいでしょう。あなたには関係ありません」

18 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2015/07/26(日) 20:47:43.67 ID:ABv1zFOB0
男「関係はないけど、練習してるときチラチラ見られると気が散るんだよ」
女「そんな事を言うなら、もっとマジメに練習に取り組んだらどうなの?あなた、ランニングするとき明らかに手を抜いてるでしょう」
男「やっぱり見てんじゃねーか」
女「そ・・それに今日はどうしたの?練習をさぼってこんなとこに来ていていいの?」
男「昨日の練習で足突き指したんだよ」
女「あ・・・そうなの。ごめんなさい」
男「・・・・はぁ」
女「・・・とりあえずドアの前にいつまでも立っていないで、椅子に座ったらどうなの・・・足、痛いんでしょう?」
男「・・・じゃあ」
がたっ
女「・・・お茶でも入れますか?」
男「あ、わりーよ・・てかお前も・・その、動くのめんどうだろ」
女「大丈夫よ。歩けるときは歩くことにしてるの」
そう言うと女は、机に手をついて立ち上がり、ゆっくりとポットと急須の方に向かって歩き出した。

19 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2015/07/26(日) 20:48:19.55 ID:ABv1zFOB0
女「どうぞ」
男「あ、どうも」
ずずっ
女「・・・」
てく・・てく・・てく
男「・・・」
がしっ
女「何をしているの?」
男「椅子おさえてるから、座れよ」
女「別にそんな事してもらわなくても自分で座れますから」
男「危なっかしくて見てらんねーんだよ。てか、目の前で転ばれたら困る」
女「・・・どうも」
とさっ

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