ディオ「そんな貴様が嫌いだったよ」
Part1
1 :以下、名無しが深夜にお送りします:2013/04/02(火) 02:02:37 ID:IfPui0ww
ジョナサン「…うっ………あ、れ…?……僕は…一体…眠って、いたのか…?」
ジョナサン「ここは…どこなんだ?…うぅっ、酷く不快な気分だ。痛いとも違う、苦しいとも違う、これは、この感覚は一体…」
ジョナサン「確か…僕はエリナと客船に……エリナ…そうだ、エリナ!ああエリナ!君を守らなくては、エリナ…!」
ディオ「……うるさいぞ、ジョジョ」
ジョナサン「ッ!?ディオ?ディオなのか、どこだ、どこに居る?」
2 :以下、名無しが深夜にお送りします:2013/04/02(火) 02:05:57 ID:IfPui0ww
ジョナサン「…おかしい…何かがおかしい……ディオ、その声は感じられる。姿形も感じられる。なのに…"聞こえない"、"見えない"?」
ジョナサン「耳に届かない、目に映る事がない。これは…なんなんだ!?奇妙ッ!実に奇妙!この奇妙な状況は一体ッッ!?」
ディオ「フン…当たり前だろう、そんな事」
ディオ「お前は自分の顔を見られるか?自分の声を聞く事が出来るのか?」
ジョナサン「………?」
ディオ「例えば、そう、"鏡"だ」
ディオ「穏やかに流れる小川でもいい、それらに自分の姿は映るだろう」
ディオ「しかしはたして、それは自分の本当の姿だろうか?」
ディオ「鏡が真実を映していると、一体誰が証明できよう」
3 :以下、名無しが深夜にお送りします:2013/04/02(火) 02:10:11 ID:IfPui0ww
ディオ「小川など石を投げてしまえば、その水面は簡単に揺らぎ散る」
ディオ「フッ、俺を苦しめてくれた"波紋"によって」
ジョナサン「……?ディオ…何が…言いたいんだ?」
ディオ「なぁジョジョ…人は自分の姿を見る手立てなど、ひとつも持っていないというのが、これでわからないか」
ディオ「自分は認識できる。自分を認識しなければ、自分でいられないからだ」
ディオ「だからお前には俺のを声を、姿を感じられる。だが、聞く事は出来ない。見る事も出来ない。それは何故か?」
ディオ「何故ならば……」
ジョナサン「ッ!!?あ…あああ……ああぁッ…!?」
ディオ「お前は俺であり、俺はお前だからだ」
4 :以下、名無しが深夜にお送りします:2013/04/02(火) 02:15:21 ID:IfPui0ww
ジョナサン「い…今ッ!はっきりと"感じ取れた"ッ!!僕の中にディオが!いや、ディオの中にも僕が!あああ…こんな…こんな事って……ッ!!」
ディオ「危なかった…まさに間一髪というヤツだ。あの大爆発の最中、俺はなんとか貴様の首を切り落とし、その肉体を奪った」
ディオ「微かに残った生命エネルギーを使い、爆風に煽られ焼かれながら、無様にも埃だらけの床を芋虫のように這って、棺桶に入り込んだ…」
ディオ「この屈辱は絶対に忘れん」
ディオ「蓋を閉めるとほぼ同時に、またも凄まじい大爆発が起きてな」
5 :以下、名無しが深夜にお送りします:2013/04/02(火) 02:20:27 ID:IfPui0ww
ディオ「棺桶は海へと投げ出された。このディオとあろう者が、フフ、随分と肝を冷やしたぞ。何せ貴様の体に残るエネルギーは微量、海水が入って来ないよう鍵をかけるにも、力が入らず指が震えて……」
ジョナサン「………」
ディオ「おい。聞いているのか?」
ジョナサン「………」
ディオ「…フン。まあいい。しかし貴様は本当にしぶといヤツだな。まさか精神…心とでもいうのか、それが残っていて、こうして対話出来るとは」
ディオ「本当に忌々しいものだ」
ディオ「昔からそうだったな…ここぞという時にこそ、お前は食らいついてくる。俺の足を引っ張って邪魔をする」
ジョナサン「………」
ディオ「そんな貴様が嫌いだったよ」
6 :以下、名無しが深夜にお送りします:2013/04/02(火) 02:25:04 ID:IfPui0ww
ディオ「腑抜けの間抜けの腰抜けジョナサン。鬱陶しくて仕方がなかった、邪魔で目障りで仕方がなかった」
ジョナサン「………」
ディオ「ああ、だからといって、勘違いはしてくれるなよ」
ディオ「貴様はとんでもなく人が好い、おめでたい頭の持ち主だからな。念のため断っておかんと、後々どう解釈されるかわからん」
ディオ「嫌い"だった"、とは言ったが」
ディオ「今現在も勿論嫌いだ」
ディオ「未来永劫、貴様が嫌いだ」
ディオ「認めてやらん事もない部分はあるが……とにかく。だから、気安く擦り寄ってはくるなよ」
ジョナサン「………」
ディオ「………フン」
7 :以下、名無しが深夜にお送りします:2013/04/02(火) 02:31:53 ID:IfPui0ww
ディオ「……しかし、退屈なものだな」
ディオ「体は眠りにつかせている。だが精神だけが違う…ジョジョ、貴様という異物のせいだ。貴様の甘ったれた心が、俺に退屈を感じさせるのだ」
ディオ「俺は人間を辞めた。頂点に立てる存在だ。こんな不愉快な感情だって、人間である事と共に捨てたのだ」
ジョナサン「………」
ディオ「ジョジョ……お前のせいだ」
ディオ「自分の姿を見る術も持たない下等な生き物が、弱っちい生き物が、このディオを不快にさせるなど百年早い」
ジョナサン「………」
ディオ「……フン」
ディオ「全く、忌々しい」
9 :以下、名無しが深夜にお送りします:2013/04/02(火) 02:34:50 ID:IfPui0ww
ディオ「静かだ」
ディオ「何も聞こえない」
ディオ「何も見えない」
ディオ「これが永遠なのか。そうとすら感じられる」
ディオ「暗いとも違う」
ディオ「黒いとも違う」
ディオ「光や色などではなく」
ディオ「時だけが……」
ディオ「………」
ジョナサン「………」
8 :以下、名無しが深夜にお送りします:2013/04/02(火) 02:34:46 ID:iOGSFZfE
支援するけどDIOじゃない?
10 :以下、名無しが深夜にお送りします:2013/04/02(火) 02:43:23 ID:IfPui0ww
>>8
支援ありがとうございます。ジョナサンとの対話としてディオと表記してます。
ー
ディオ「昔読んだ本の内容を思い出している」
ディオ「しかし同時に引き出される、何故だ、あのクズが」
ディオ「読書の邪魔をして、煩わしい、耳障りな咳が、痰の絡む汚ならしい声が、垢の臭いが!」
ディオ「ひとつ咳をする度に心臓が昂る。背筋に冷たいものが走る。心地好くはない、しかし気は急くばかりで、本の内容はちっとも頭に入らない」
ディオ「気づくと同じ行ばかりを目で追っている」
ジョナサン「………」
ディオ「薬を催促する声が響く」
ディオ「おかげで本が読めやしない」
11 :以下、名無しが深夜にお送りします:2013/04/02(火) 02:50:06 ID:IfPui0ww
ディオ「人は鏡を使い、自分の姿を見る」
ディオ「時に小川で、時に窓で、時に他人の瞳で」
ディオ「しかし、はたしてそれは本当に"自分"なのか?」
ディオ「自分の姿とは、自分とは、何だ?」
ディオ「鏡に映った姿が真実なのだと、誰が決められようか。偽りかもしれぬ姿を見て、一喜一憂して。くだらんな」
ディオ「人間は、自分すらもわからない生き物なんだ」
ディオ「俺は、だから人間を辞めた。人間は無力だ。人間は愚かだ」
ディオ「俺は俺だとわかる。これは素晴らしい事だぞ、ジョジョ」
ディオ「今のお前ならば、この素晴らしさが理解できよう。俺と一体化したお前なら」
ディオ「光栄に思えよ。お前は俺であり、俺はお前なのだからな!」
ジョナサン「………」
ディオ「………」
ディオ「……………フン」
12 :以下、名無しが深夜にお送りします:2013/04/02(火) 02:56:23 ID:IfPui0ww
ディオ「…エネルギーが足りん。ボディが眠ったまま目覚めない」
ディオ「ここから出る事が出来たら…まずは食事だな。エネルギーを得て…体をなじませないと」
ディオ「貴様がワンチェンを倒したから、全く面倒で敵わんな」
ジョナサン「………」
ディオ「まあいい…時間はたっぷりある。面倒を楽しむのも一興、か」
ジョナサン「………」
ディオ「………」
ディオ「(…それから、エリナだ)」
ディオ「(あの女からは、微弱だがもうひとつの生命エネルギーを感じた)」
ディオ「(もしかすると…身籠っているかもしれん…ジョナサンの子を。こいつの血を受け継いだ……。……イヤな予感がする。確認を…しなければ)」
ジョナサン「………」ピクッ
ジョナサン「………」
ジョナサン「(………エリナ)」
ディオ「………」
13 :以下、名無しが深夜にお送りします:2013/04/02(火) 04:02:17 ID:TffcU4to
いいな、これ
支援します
14 :以下、名無しが深夜にお送りします:2013/04/02(火) 05:03:52 ID:9OWfp8JQ
頑張れ!
15 :以下、名無しが深夜にお送りします:2013/04/02(火) 11:09:38 ID:IfPui0ww
支援ありがとうございます。
ー
ディオ「(………それにしても、ジョジョが結婚、か)」
ディオ「(グズでノロマで馬鹿がつくほどのお人好し、学生時代も浮いた話のひとつも出てきやしなかったというのに)」
ディオ「(まぁ、出たところで、俺が潰してやったが)」
ディオ「(………ジョジョ、らしい。そう評価する以外、適切なものが浮かばん。ずっとエリナを思っていたのだろうな)」
ディオ「……………ククッ」
ディオ「このディオに言わせれば、それはまるで、そう、ままごと…だな。児戯そのものだ」
ディオ「(しかし、何故だろう)」
ディオ「("ああ、やっぱりな"……"そうでなくては"………そんな事ばかりが浮かぶ)」
ディオ「(これは、安堵…か?このディオとあろうものが、まさか)」
ディオ「(微笑ましく、暖かい。そんなものを…?ーー有り得ん。有り得ん。有り得ん有り得ん!!不愉快だ、吐き気を催す!頭を掻きむしり、そのまま脳髄をも抉り出したい程の不快感!!)」
ジョナサン「………」
ディオ「………馬鹿馬鹿しいッ!」
16 :以下、名無しが深夜にお送りします:2013/04/02(火) 11:13:22 ID:IfPui0ww
ディオ「……エリナ、か…」
ジョナサン「!!」
ジョナサン「……エリナ」
ディオ「ああ。いたのか、ジョジョ」
ディオ「もうとっくに消滅したと思っていたぞ」
ジョナサン「エリナ、エリナは無事なのか?彼女は無事に逃げたのか?」
ディオ「さぁなぁ~ッ……どうなったのやら…」
ジョナサン「お願いだ、ディオ!君が何かを見たなら教えてくれ!僕は、最期辺り、目が見えていなくて…気がついたらこんな状態で」
ジョナサン「エリナ、ああエリナ……彼女は無事なのか…あの赤ん坊は……あぁ…エリナ、君は無事なのかい…?」
ディオ「……鬱陶しいぞ、ジョジョ。…フン。あの女なら逃げていったさ。何かを抱えてな」
ジョナサン「!! それは本当か、ディオ!」
ディオ「その後の事は知らん、もしかして爆風に煽られてでもし、それとも海に沈んだかもしれんぞ?」
ジョナサン「……それでも…それでも、僕は、エリナ、君を信じている…きっと、エリナ、君なら…」
ジョナサン「…父さん……どうか、どうかエリナをお守りください」
ディオ「………そこで神にすがらないのが、お前らしくもあるのか」
17 :以下、名無しが深夜にお送りします:2013/04/02(火) 11:15:45 ID:IfPui0ww
ジョナサン「今は一体何時で、いや、何月……何年なんだろう?」
ディオ「さあな。一万を数えた辺りで飽いたから、わからん。もっとも、呆けていた貴様に教えてやる程、この俺が親切だと思うか?」
ジョナサン「天地がひっくり返っても、ないだろうね」
ディオ「………フン」
ジョナサン「そもそも、こうなって君はどうする気だったんだ?今こうして身動きひとつ取れない、寝返りどころか指の一本動かせやしない、無計画って騒ぎじゃないよ。なんというか…君らしくもない」
ディオ「貴様が無駄な抵抗をせず、素直に俺を受け入れていれば良かったんだ。そうしていれば、こんなところ、一万を数える前に脱出していた」
ジョナサン「僕が素直に君に従うと思ったのかい?それこそ、君らしくもないね。間抜け、とでも言おうか」
ディオ「………」
ジョナサン「ジョークだよ」
ディオ「昔、紳士を目指すのだと、耳にタコが出来る程聞かされたように思うのだが」
ジョナサン「紳士だってジョークくらいたしなむさ」
ディオ「黙ってろ」
18 :以下、名無しが深夜にお送りします:2013/04/02(火) 11:18:55 ID:IfPui0ww
ジョナサン「エリナ……こんな事になってしまって、すまない…」
ディオ「………」
ジョナサン「せめてもう一度、君に会いたい…もうこんな状態じゃ会えないとわかっているけれど、でも、それでも…」
ジョナサン「ああ僕はなんて弱いのだろう!守るものが出来れば強くなれると思っていた、なのに…僕は弱くなってしまった」
ディオ「…ピーピーとうるさいぞ、ジョジョォ~…女の名前をぶつぶつ呟いて、女々しいヤツだ」
ジョナサン「散々僕を起こそうと泣きついていたヤツの台詞と思えないな」
ディオ「誰が泣きついた!……クソッ、思い出したぞ。そういえば少年時代、貴様に泣かされた事があったな」
ジョナサン「君からその話を振るなんて、意外だな。あの時は…僕も文字通りに若かったから。怒りに任せて拳を奮って」
ジョナサン「もっとも、それは今も変わっていないけれど。ディオ、君に向かう時は大半、僕は怒っていた」
ジョナサン「紳士として恥ずべき事だ…私欲のままに、怒り、悲しみ、恨みを晴らす為に、がむしゃらに突っ込んで」
ディオ「なんなら今ここで決着をつけても構わんのだぞ」
ディオ「時間は…いくらでもあるのだからな」
19 :以下、名無しが深夜にお送りします:2013/04/02(火) 11:22:51 ID:IfPui0ww
ジョナサン「…遠慮しておくよ、それこそ無駄な行為だ。第一、どうやって君に触れられるというのか」
ジョナサン「君の声を感じる、姿形を感じる、しかし聞こえない、見えない。そこにあって、ここにない。…自分で自分を殴ればいいのかな?やっぱり御免被るよ、僕の拳は痛い、それは君自身が一番よく知っているだろう」
ジョナサン「なにせ、こちらが罪悪感を抱くほどに泣いてしまったのだからね。抱き締めてやるわけにもいかないから、ハハ、とても困ったものだ」
ディオ「ジョジョォォーッッ!!!…貴様は紳士とは程遠いッ!恥を知れいッッ!!」
ジョナサン「全くだね。反省文を書いて提出するよ、よく父さんにも書かされたっけ」
ジョナサン「………」
ジョナサン「道は違えど僕らは立派な大人になったのに、何故だろう。今は…君と出会った頃の時に思える」
ジョナサン「…僕がよく見えない。僕がよく聞こえない……不思議だな」
20 :以下、名無しが深夜にお送りします:2013/04/02(火) 11:27:35 ID:IfPui0ww
ジョナサン「今は何時で、何月で、何年なんだろう」
ジョナサン「エリナ…君は無事なのか…」
ジョナサン「………幸せになって欲しい、そう思った、心から願ったよ。あの時は」
ジョナサン「でも、今は………」
ジョナサン「………」
ジョナサン「………ごめんよ…エリナ」
ジョナサン「すまない……」
21 :以下、名無しが深夜にお送りします:2013/04/02(火) 11:30:48 ID:IfPui0ww
ジョナサン「腹も空かないんだな…実に奇妙な感覚だ。代わりにとても寒気を感じる。外気ではない、内から込み上げる不快な寒気を。内側から肌に、肉に爪を立てられているような…おぞましい感覚」
ジョナサン「これが吸血鬼の空腹ならば、ディオ、君の選択は、今もはっきりと言えるよ、間違っている」
ディオ「フン。貴様は食い意地が張っていたからな」
ディオ「勉学は義父さんに言われて、心底面倒だったし嫌だったが、俺も教えてやったからこそ身に付いていったが」
ディオ「テーブルマナーだけは最後の最後、ギリギリまで身に付かなかったな」
ジョナサン「だって、美味しいんだから仕方ないだろ」
ジョナサン「口の中の味が消えてしまう前に、次の味を堪能したいじゃないか。それに満腹になった、あの幸福感。膨れた腹を抱えてベッドに沈む充足感を、君は知っているかい?ディオ。これを幸せと言わずしてなんと言う?」
ディオ「下品」
ジョナサン「なんとも言えない」
22 :以下、名無しが深夜にお送りします:2013/04/02(火) 16:28:10 ID:Hsh1RoZY
なんとも言えない雰囲気がいい
23 :以下、名無しが深夜にお送りします:2013/04/02(火) 19:11:27 ID:IfPui0ww
ありがとうございます!
ー
ジョナサン「腑に落ちない点がひとつあるんだ」
ジョナサン「少年時代、君はとっても嫌なヤツだと、怒りや悲しみ…不信感ばかりが渦巻いて、そう思っていた。けれど…ある日を境に、君とはとても仲良くなれた。なのに、君と過ごす時間を1日また1日と重ねるごとに、心に渦巻く風穴が色を濃くしていくんだ」
ジョナサン「はたしてどちらが本当のディオだったのか…ううん、今の君を見れば、作ったものなのだろうと思える。でも、どうしても…気になって仕方がないんだ」
ディオ「………。……フー………ジョジョォ…だから貴様は甘ちゃんなんだ。反吐が出る程に、甘ったれで純粋で。とても食えたものじゃない」
ディオ「作ったもの?ハッ、わかっているじゃないか。俺は反省し、成長したんだ。その時までの自分を鑑みて、作り上げた。完成したからこそ、ここまで…ジョジョ、貴様は間抜け面を晒せたのだろう?」
ジョナサン「………」
24 :以下、名無しが深夜にお送りします:2013/04/02(火) 19:12:57 ID:IfPui0ww
ジョナサン「………そう、だな」
ジョナサン「君の言葉を借りれば、すると僕はいつまでたっても成長しない、子供のままだ」
ジョナサン「だからこうして、今ここにいるのだろう。反省も成長もできない子供だから」
ジョナサン「昔は、君と比べられるのがとても悔しくて、悲しかったよ。どうして僕ばっかり、このまま涙に濡れて誰にも気にされないまま死んでいくんだ、そんな風に悲観的にもなったさ」
ジョナサン「勉強をすれば君は僕よりいい点数を取って、友達だっていなくなって、ダニーも、エリナも……家に帰っても休まらない、常に背中を針で刺されているような。何をしてもディオ、君と比べられる」
ジョナサン「そんな君が嫌いだったよ」
25 :以下、名無しが深夜にお送りします:2013/04/02(火) 19:14:30 ID:IfPui0ww
ジョナサン「残酷で冷血で非道なディオ。君が憎くて仕方がなかった、敵わない自分が嫌で仕方がなかった」
ジョナサン「仲良くなればなる程、疑念が渦巻いて…辛かった」
ジョナサン「君はこんなにも、いいヤツなのに、って。昔の事は勘違いなんだ、なのに、どうしても、って」
ディオ「………」
ジョナサン「…ああ、だからといって、勘違いはしないでくれよ」
ジョナサン「君はひねくれている、悲しい人だからね。念のため断っておかないと、後々どう解釈されるかわからない」
ジョナサン「嫌い"だった"、とは言ったけど」
ジョナサン「今現在も勿論嫌いだ」
ジョナサン「未来永劫、君が嫌いだ」
26 :以下、名無しが深夜にお送りします:2013/04/02(火) 19:15:33 ID:IfPui0ww
ジョナサン「………」
ディオ「………」
ジョナサン「………でも、」
ジョナサン「僕は、君と友達になりたかったよ」
27 :以下、名無しが深夜にお送りします:2013/04/02(火) 19:16:04 ID:9BbQcDY.
そういえばディオっていつも本読んでるイメージだが何の本読んでるんだろうか?
28 :以下、名無しが深夜にお送りします:2013/04/02(火) 19:16:17 ID:ibOjA1wg
なんか涙が出てきた…
30 :以下、名無しが深夜にお送りします:2013/04/02(火) 19:22:26 ID:IfPui0ww
>>27
一部の頃から本がお供ってイメージ。DIOの館も不思議ですね。
>>28
勿体無い。ありがとうございます。
29 :以下、名無しが深夜にお送りします:2013/04/02(火) 19:17:39 ID:IfPui0ww
ジョナサン「不思議だな。あんなに必死になって、命のやり取りをしたのにさ」
ジョナサン「いざ、こうして落ち着いてみれば…素直になんでも話せる」
ディオ「…フン。貴様のどうしようもない点、弱さのひとつが、それだろう。その底抜けなまでの純粋さ、素直さ。だから俺に隙を突かれたんだ、何度も。面白いくらいにな」
ジョナサン「違いない」
ディオ「成長の出来ぬそれが貴様の弱さだ、ジョジョ」
ジョナサン「時を巻き戻せるならば、やり直したいくらいだよ」
ジョナサン「そうすれば、こんな事にはならなかったろうな」
ジョナサン「君と友達になれたろうに」
ジョナサン「…本当の」
ディオ「………」
ジョナサン「………」
31 :以下、名無しが深夜にお送りします:2013/04/02(火) 19:24:25 ID:IfPui0ww
ジョナサン「………」
ジョナサン「………あ」
ジョナサン「今なら言えるよ、今、この状態なら」
ディオ「なんだ」
ジョナサン「思い出したんだ」
ジョナサン「貸した時計、いい加減返してくれないか?」
ジョナサン「勿論、壊したなら弁償して返しておくれよ。じゃなきゃ父さんに言いつけてやるぞ」
ディオ「今言うか」
ジョナサン「ただのジョークさ」
ディオ「暇ならそのジョークの笑える部分を探しておけよ」
32 :以下、名無しが深夜にお送りします:2013/04/02(火) 19:26:52 ID:SUYp/Umk
穏やかに会話するDIOさまって面白いな
33 :以下、名無しが深夜にお送りします:2013/04/02(火) 19:49:43 ID:Vs/J9odI
>>32
ブッチ神父とは穏やかに話してたからそれみたいなもんじゃね?
34 :以下、名無しが深夜にお送りします:2013/04/02(火) 20:36:31 ID:IfPui0ww
最高にハイ!!なDIO様も面白い。
落ち着いて喋る時も結構多いかと思います。
35 :以下、名無しが深夜にお送りします:2013/04/02(火) 20:38:11 ID:IfPui0ww
ジョナサン「今は何時で、…何日で、何月で、…何年なんだろう」
ジョナサン「ディオの言うとおりだ。一万数えた辺りで飽きる」
ジョナサン「………」
ディオ「………」
ディオ「………」
ディオ「………フー……」
ディオ「………咳が、聞こえる…」
ジョナサン「…うっ………あ、れ…?……僕は…一体…眠って、いたのか…?」
ジョナサン「ここは…どこなんだ?…うぅっ、酷く不快な気分だ。痛いとも違う、苦しいとも違う、これは、この感覚は一体…」
ジョナサン「確か…僕はエリナと客船に……エリナ…そうだ、エリナ!ああエリナ!君を守らなくては、エリナ…!」
ディオ「……うるさいぞ、ジョジョ」
ジョナサン「ッ!?ディオ?ディオなのか、どこだ、どこに居る?」
2 :以下、名無しが深夜にお送りします:2013/04/02(火) 02:05:57 ID:IfPui0ww
ジョナサン「…おかしい…何かがおかしい……ディオ、その声は感じられる。姿形も感じられる。なのに…"聞こえない"、"見えない"?」
ジョナサン「耳に届かない、目に映る事がない。これは…なんなんだ!?奇妙ッ!実に奇妙!この奇妙な状況は一体ッッ!?」
ディオ「フン…当たり前だろう、そんな事」
ディオ「お前は自分の顔を見られるか?自分の声を聞く事が出来るのか?」
ジョナサン「………?」
ディオ「例えば、そう、"鏡"だ」
ディオ「穏やかに流れる小川でもいい、それらに自分の姿は映るだろう」
ディオ「しかしはたして、それは自分の本当の姿だろうか?」
ディオ「鏡が真実を映していると、一体誰が証明できよう」
3 :以下、名無しが深夜にお送りします:2013/04/02(火) 02:10:11 ID:IfPui0ww
ディオ「小川など石を投げてしまえば、その水面は簡単に揺らぎ散る」
ディオ「フッ、俺を苦しめてくれた"波紋"によって」
ジョナサン「……?ディオ…何が…言いたいんだ?」
ディオ「なぁジョジョ…人は自分の姿を見る手立てなど、ひとつも持っていないというのが、これでわからないか」
ディオ「自分は認識できる。自分を認識しなければ、自分でいられないからだ」
ディオ「だからお前には俺のを声を、姿を感じられる。だが、聞く事は出来ない。見る事も出来ない。それは何故か?」
ディオ「何故ならば……」
ジョナサン「ッ!!?あ…あああ……ああぁッ…!?」
ディオ「お前は俺であり、俺はお前だからだ」
4 :以下、名無しが深夜にお送りします:2013/04/02(火) 02:15:21 ID:IfPui0ww
ジョナサン「い…今ッ!はっきりと"感じ取れた"ッ!!僕の中にディオが!いや、ディオの中にも僕が!あああ…こんな…こんな事って……ッ!!」
ディオ「危なかった…まさに間一髪というヤツだ。あの大爆発の最中、俺はなんとか貴様の首を切り落とし、その肉体を奪った」
ディオ「微かに残った生命エネルギーを使い、爆風に煽られ焼かれながら、無様にも埃だらけの床を芋虫のように這って、棺桶に入り込んだ…」
ディオ「この屈辱は絶対に忘れん」
ディオ「蓋を閉めるとほぼ同時に、またも凄まじい大爆発が起きてな」
5 :以下、名無しが深夜にお送りします:2013/04/02(火) 02:20:27 ID:IfPui0ww
ディオ「棺桶は海へと投げ出された。このディオとあろう者が、フフ、随分と肝を冷やしたぞ。何せ貴様の体に残るエネルギーは微量、海水が入って来ないよう鍵をかけるにも、力が入らず指が震えて……」
ジョナサン「………」
ディオ「おい。聞いているのか?」
ジョナサン「………」
ディオ「…フン。まあいい。しかし貴様は本当にしぶといヤツだな。まさか精神…心とでもいうのか、それが残っていて、こうして対話出来るとは」
ディオ「本当に忌々しいものだ」
ディオ「昔からそうだったな…ここぞという時にこそ、お前は食らいついてくる。俺の足を引っ張って邪魔をする」
ジョナサン「………」
ディオ「そんな貴様が嫌いだったよ」
ディオ「腑抜けの間抜けの腰抜けジョナサン。鬱陶しくて仕方がなかった、邪魔で目障りで仕方がなかった」
ジョナサン「………」
ディオ「ああ、だからといって、勘違いはしてくれるなよ」
ディオ「貴様はとんでもなく人が好い、おめでたい頭の持ち主だからな。念のため断っておかんと、後々どう解釈されるかわからん」
ディオ「嫌い"だった"、とは言ったが」
ディオ「今現在も勿論嫌いだ」
ディオ「未来永劫、貴様が嫌いだ」
ディオ「認めてやらん事もない部分はあるが……とにかく。だから、気安く擦り寄ってはくるなよ」
ジョナサン「………」
ディオ「………フン」
7 :以下、名無しが深夜にお送りします:2013/04/02(火) 02:31:53 ID:IfPui0ww
ディオ「……しかし、退屈なものだな」
ディオ「体は眠りにつかせている。だが精神だけが違う…ジョジョ、貴様という異物のせいだ。貴様の甘ったれた心が、俺に退屈を感じさせるのだ」
ディオ「俺は人間を辞めた。頂点に立てる存在だ。こんな不愉快な感情だって、人間である事と共に捨てたのだ」
ジョナサン「………」
ディオ「ジョジョ……お前のせいだ」
ディオ「自分の姿を見る術も持たない下等な生き物が、弱っちい生き物が、このディオを不快にさせるなど百年早い」
ジョナサン「………」
ディオ「……フン」
ディオ「全く、忌々しい」
9 :以下、名無しが深夜にお送りします:2013/04/02(火) 02:34:50 ID:IfPui0ww
ディオ「静かだ」
ディオ「何も聞こえない」
ディオ「何も見えない」
ディオ「これが永遠なのか。そうとすら感じられる」
ディオ「暗いとも違う」
ディオ「黒いとも違う」
ディオ「光や色などではなく」
ディオ「時だけが……」
ディオ「………」
ジョナサン「………」
8 :以下、名無しが深夜にお送りします:2013/04/02(火) 02:34:46 ID:iOGSFZfE
支援するけどDIOじゃない?
10 :以下、名無しが深夜にお送りします:2013/04/02(火) 02:43:23 ID:IfPui0ww
>>8
支援ありがとうございます。ジョナサンとの対話としてディオと表記してます。
ー
ディオ「昔読んだ本の内容を思い出している」
ディオ「しかし同時に引き出される、何故だ、あのクズが」
ディオ「読書の邪魔をして、煩わしい、耳障りな咳が、痰の絡む汚ならしい声が、垢の臭いが!」
ディオ「ひとつ咳をする度に心臓が昂る。背筋に冷たいものが走る。心地好くはない、しかし気は急くばかりで、本の内容はちっとも頭に入らない」
ディオ「気づくと同じ行ばかりを目で追っている」
ジョナサン「………」
ディオ「薬を催促する声が響く」
ディオ「おかげで本が読めやしない」
11 :以下、名無しが深夜にお送りします:2013/04/02(火) 02:50:06 ID:IfPui0ww
ディオ「人は鏡を使い、自分の姿を見る」
ディオ「時に小川で、時に窓で、時に他人の瞳で」
ディオ「しかし、はたしてそれは本当に"自分"なのか?」
ディオ「自分の姿とは、自分とは、何だ?」
ディオ「鏡に映った姿が真実なのだと、誰が決められようか。偽りかもしれぬ姿を見て、一喜一憂して。くだらんな」
ディオ「人間は、自分すらもわからない生き物なんだ」
ディオ「俺は、だから人間を辞めた。人間は無力だ。人間は愚かだ」
ディオ「俺は俺だとわかる。これは素晴らしい事だぞ、ジョジョ」
ディオ「今のお前ならば、この素晴らしさが理解できよう。俺と一体化したお前なら」
ディオ「光栄に思えよ。お前は俺であり、俺はお前なのだからな!」
ジョナサン「………」
ディオ「………」
ディオ「……………フン」
12 :以下、名無しが深夜にお送りします:2013/04/02(火) 02:56:23 ID:IfPui0ww
ディオ「…エネルギーが足りん。ボディが眠ったまま目覚めない」
ディオ「ここから出る事が出来たら…まずは食事だな。エネルギーを得て…体をなじませないと」
ディオ「貴様がワンチェンを倒したから、全く面倒で敵わんな」
ジョナサン「………」
ディオ「まあいい…時間はたっぷりある。面倒を楽しむのも一興、か」
ジョナサン「………」
ディオ「………」
ディオ「(…それから、エリナだ)」
ディオ「(あの女からは、微弱だがもうひとつの生命エネルギーを感じた)」
ディオ「(もしかすると…身籠っているかもしれん…ジョナサンの子を。こいつの血を受け継いだ……。……イヤな予感がする。確認を…しなければ)」
ジョナサン「………」ピクッ
ジョナサン「………」
ジョナサン「(………エリナ)」
ディオ「………」
13 :以下、名無しが深夜にお送りします:2013/04/02(火) 04:02:17 ID:TffcU4to
いいな、これ
支援します
14 :以下、名無しが深夜にお送りします:2013/04/02(火) 05:03:52 ID:9OWfp8JQ
頑張れ!
15 :以下、名無しが深夜にお送りします:2013/04/02(火) 11:09:38 ID:IfPui0ww
支援ありがとうございます。
ー
ディオ「(………それにしても、ジョジョが結婚、か)」
ディオ「(グズでノロマで馬鹿がつくほどのお人好し、学生時代も浮いた話のひとつも出てきやしなかったというのに)」
ディオ「(まぁ、出たところで、俺が潰してやったが)」
ディオ「(………ジョジョ、らしい。そう評価する以外、適切なものが浮かばん。ずっとエリナを思っていたのだろうな)」
ディオ「……………ククッ」
ディオ「このディオに言わせれば、それはまるで、そう、ままごと…だな。児戯そのものだ」
ディオ「(しかし、何故だろう)」
ディオ「("ああ、やっぱりな"……"そうでなくては"………そんな事ばかりが浮かぶ)」
ディオ「(これは、安堵…か?このディオとあろうものが、まさか)」
ディオ「(微笑ましく、暖かい。そんなものを…?ーー有り得ん。有り得ん。有り得ん有り得ん!!不愉快だ、吐き気を催す!頭を掻きむしり、そのまま脳髄をも抉り出したい程の不快感!!)」
ジョナサン「………」
ディオ「………馬鹿馬鹿しいッ!」
16 :以下、名無しが深夜にお送りします:2013/04/02(火) 11:13:22 ID:IfPui0ww
ディオ「……エリナ、か…」
ジョナサン「!!」
ジョナサン「……エリナ」
ディオ「ああ。いたのか、ジョジョ」
ディオ「もうとっくに消滅したと思っていたぞ」
ジョナサン「エリナ、エリナは無事なのか?彼女は無事に逃げたのか?」
ディオ「さぁなぁ~ッ……どうなったのやら…」
ジョナサン「お願いだ、ディオ!君が何かを見たなら教えてくれ!僕は、最期辺り、目が見えていなくて…気がついたらこんな状態で」
ジョナサン「エリナ、ああエリナ……彼女は無事なのか…あの赤ん坊は……あぁ…エリナ、君は無事なのかい…?」
ディオ「……鬱陶しいぞ、ジョジョ。…フン。あの女なら逃げていったさ。何かを抱えてな」
ジョナサン「!! それは本当か、ディオ!」
ディオ「その後の事は知らん、もしかして爆風に煽られてでもし、それとも海に沈んだかもしれんぞ?」
ジョナサン「……それでも…それでも、僕は、エリナ、君を信じている…きっと、エリナ、君なら…」
ジョナサン「…父さん……どうか、どうかエリナをお守りください」
ディオ「………そこで神にすがらないのが、お前らしくもあるのか」
17 :以下、名無しが深夜にお送りします:2013/04/02(火) 11:15:45 ID:IfPui0ww
ジョナサン「今は一体何時で、いや、何月……何年なんだろう?」
ディオ「さあな。一万を数えた辺りで飽いたから、わからん。もっとも、呆けていた貴様に教えてやる程、この俺が親切だと思うか?」
ジョナサン「天地がひっくり返っても、ないだろうね」
ディオ「………フン」
ジョナサン「そもそも、こうなって君はどうする気だったんだ?今こうして身動きひとつ取れない、寝返りどころか指の一本動かせやしない、無計画って騒ぎじゃないよ。なんというか…君らしくもない」
ディオ「貴様が無駄な抵抗をせず、素直に俺を受け入れていれば良かったんだ。そうしていれば、こんなところ、一万を数える前に脱出していた」
ジョナサン「僕が素直に君に従うと思ったのかい?それこそ、君らしくもないね。間抜け、とでも言おうか」
ディオ「………」
ジョナサン「ジョークだよ」
ディオ「昔、紳士を目指すのだと、耳にタコが出来る程聞かされたように思うのだが」
ジョナサン「紳士だってジョークくらいたしなむさ」
ディオ「黙ってろ」
18 :以下、名無しが深夜にお送りします:2013/04/02(火) 11:18:55 ID:IfPui0ww
ジョナサン「エリナ……こんな事になってしまって、すまない…」
ディオ「………」
ジョナサン「せめてもう一度、君に会いたい…もうこんな状態じゃ会えないとわかっているけれど、でも、それでも…」
ジョナサン「ああ僕はなんて弱いのだろう!守るものが出来れば強くなれると思っていた、なのに…僕は弱くなってしまった」
ディオ「…ピーピーとうるさいぞ、ジョジョォ~…女の名前をぶつぶつ呟いて、女々しいヤツだ」
ジョナサン「散々僕を起こそうと泣きついていたヤツの台詞と思えないな」
ディオ「誰が泣きついた!……クソッ、思い出したぞ。そういえば少年時代、貴様に泣かされた事があったな」
ジョナサン「君からその話を振るなんて、意外だな。あの時は…僕も文字通りに若かったから。怒りに任せて拳を奮って」
ジョナサン「もっとも、それは今も変わっていないけれど。ディオ、君に向かう時は大半、僕は怒っていた」
ジョナサン「紳士として恥ずべき事だ…私欲のままに、怒り、悲しみ、恨みを晴らす為に、がむしゃらに突っ込んで」
ディオ「なんなら今ここで決着をつけても構わんのだぞ」
ディオ「時間は…いくらでもあるのだからな」
19 :以下、名無しが深夜にお送りします:2013/04/02(火) 11:22:51 ID:IfPui0ww
ジョナサン「…遠慮しておくよ、それこそ無駄な行為だ。第一、どうやって君に触れられるというのか」
ジョナサン「君の声を感じる、姿形を感じる、しかし聞こえない、見えない。そこにあって、ここにない。…自分で自分を殴ればいいのかな?やっぱり御免被るよ、僕の拳は痛い、それは君自身が一番よく知っているだろう」
ジョナサン「なにせ、こちらが罪悪感を抱くほどに泣いてしまったのだからね。抱き締めてやるわけにもいかないから、ハハ、とても困ったものだ」
ディオ「ジョジョォォーッッ!!!…貴様は紳士とは程遠いッ!恥を知れいッッ!!」
ジョナサン「全くだね。反省文を書いて提出するよ、よく父さんにも書かされたっけ」
ジョナサン「………」
ジョナサン「道は違えど僕らは立派な大人になったのに、何故だろう。今は…君と出会った頃の時に思える」
ジョナサン「…僕がよく見えない。僕がよく聞こえない……不思議だな」
20 :以下、名無しが深夜にお送りします:2013/04/02(火) 11:27:35 ID:IfPui0ww
ジョナサン「今は何時で、何月で、何年なんだろう」
ジョナサン「エリナ…君は無事なのか…」
ジョナサン「………幸せになって欲しい、そう思った、心から願ったよ。あの時は」
ジョナサン「でも、今は………」
ジョナサン「………」
ジョナサン「………ごめんよ…エリナ」
ジョナサン「すまない……」
ジョナサン「腹も空かないんだな…実に奇妙な感覚だ。代わりにとても寒気を感じる。外気ではない、内から込み上げる不快な寒気を。内側から肌に、肉に爪を立てられているような…おぞましい感覚」
ジョナサン「これが吸血鬼の空腹ならば、ディオ、君の選択は、今もはっきりと言えるよ、間違っている」
ディオ「フン。貴様は食い意地が張っていたからな」
ディオ「勉学は義父さんに言われて、心底面倒だったし嫌だったが、俺も教えてやったからこそ身に付いていったが」
ディオ「テーブルマナーだけは最後の最後、ギリギリまで身に付かなかったな」
ジョナサン「だって、美味しいんだから仕方ないだろ」
ジョナサン「口の中の味が消えてしまう前に、次の味を堪能したいじゃないか。それに満腹になった、あの幸福感。膨れた腹を抱えてベッドに沈む充足感を、君は知っているかい?ディオ。これを幸せと言わずしてなんと言う?」
ディオ「下品」
ジョナサン「なんとも言えない」
22 :以下、名無しが深夜にお送りします:2013/04/02(火) 16:28:10 ID:Hsh1RoZY
なんとも言えない雰囲気がいい
23 :以下、名無しが深夜にお送りします:2013/04/02(火) 19:11:27 ID:IfPui0ww
ありがとうございます!
ー
ジョナサン「腑に落ちない点がひとつあるんだ」
ジョナサン「少年時代、君はとっても嫌なヤツだと、怒りや悲しみ…不信感ばかりが渦巻いて、そう思っていた。けれど…ある日を境に、君とはとても仲良くなれた。なのに、君と過ごす時間を1日また1日と重ねるごとに、心に渦巻く風穴が色を濃くしていくんだ」
ジョナサン「はたしてどちらが本当のディオだったのか…ううん、今の君を見れば、作ったものなのだろうと思える。でも、どうしても…気になって仕方がないんだ」
ディオ「………。……フー………ジョジョォ…だから貴様は甘ちゃんなんだ。反吐が出る程に、甘ったれで純粋で。とても食えたものじゃない」
ディオ「作ったもの?ハッ、わかっているじゃないか。俺は反省し、成長したんだ。その時までの自分を鑑みて、作り上げた。完成したからこそ、ここまで…ジョジョ、貴様は間抜け面を晒せたのだろう?」
ジョナサン「………」
24 :以下、名無しが深夜にお送りします:2013/04/02(火) 19:12:57 ID:IfPui0ww
ジョナサン「………そう、だな」
ジョナサン「君の言葉を借りれば、すると僕はいつまでたっても成長しない、子供のままだ」
ジョナサン「だからこうして、今ここにいるのだろう。反省も成長もできない子供だから」
ジョナサン「昔は、君と比べられるのがとても悔しくて、悲しかったよ。どうして僕ばっかり、このまま涙に濡れて誰にも気にされないまま死んでいくんだ、そんな風に悲観的にもなったさ」
ジョナサン「勉強をすれば君は僕よりいい点数を取って、友達だっていなくなって、ダニーも、エリナも……家に帰っても休まらない、常に背中を針で刺されているような。何をしてもディオ、君と比べられる」
ジョナサン「そんな君が嫌いだったよ」
25 :以下、名無しが深夜にお送りします:2013/04/02(火) 19:14:30 ID:IfPui0ww
ジョナサン「残酷で冷血で非道なディオ。君が憎くて仕方がなかった、敵わない自分が嫌で仕方がなかった」
ジョナサン「仲良くなればなる程、疑念が渦巻いて…辛かった」
ジョナサン「君はこんなにも、いいヤツなのに、って。昔の事は勘違いなんだ、なのに、どうしても、って」
ディオ「………」
ジョナサン「…ああ、だからといって、勘違いはしないでくれよ」
ジョナサン「君はひねくれている、悲しい人だからね。念のため断っておかないと、後々どう解釈されるかわからない」
ジョナサン「嫌い"だった"、とは言ったけど」
ジョナサン「今現在も勿論嫌いだ」
ジョナサン「未来永劫、君が嫌いだ」
26 :以下、名無しが深夜にお送りします:2013/04/02(火) 19:15:33 ID:IfPui0ww
ジョナサン「………」
ディオ「………」
ジョナサン「………でも、」
ジョナサン「僕は、君と友達になりたかったよ」
27 :以下、名無しが深夜にお送りします:2013/04/02(火) 19:16:04 ID:9BbQcDY.
そういえばディオっていつも本読んでるイメージだが何の本読んでるんだろうか?
28 :以下、名無しが深夜にお送りします:2013/04/02(火) 19:16:17 ID:ibOjA1wg
なんか涙が出てきた…
30 :以下、名無しが深夜にお送りします:2013/04/02(火) 19:22:26 ID:IfPui0ww
>>27
一部の頃から本がお供ってイメージ。DIOの館も不思議ですね。
>>28
勿体無い。ありがとうございます。
29 :以下、名無しが深夜にお送りします:2013/04/02(火) 19:17:39 ID:IfPui0ww
ジョナサン「不思議だな。あんなに必死になって、命のやり取りをしたのにさ」
ジョナサン「いざ、こうして落ち着いてみれば…素直になんでも話せる」
ディオ「…フン。貴様のどうしようもない点、弱さのひとつが、それだろう。その底抜けなまでの純粋さ、素直さ。だから俺に隙を突かれたんだ、何度も。面白いくらいにな」
ジョナサン「違いない」
ディオ「成長の出来ぬそれが貴様の弱さだ、ジョジョ」
ジョナサン「時を巻き戻せるならば、やり直したいくらいだよ」
ジョナサン「そうすれば、こんな事にはならなかったろうな」
ジョナサン「君と友達になれたろうに」
ジョナサン「…本当の」
ディオ「………」
ジョナサン「………」
31 :以下、名無しが深夜にお送りします:2013/04/02(火) 19:24:25 ID:IfPui0ww
ジョナサン「………」
ジョナサン「………あ」
ジョナサン「今なら言えるよ、今、この状態なら」
ディオ「なんだ」
ジョナサン「思い出したんだ」
ジョナサン「貸した時計、いい加減返してくれないか?」
ジョナサン「勿論、壊したなら弁償して返しておくれよ。じゃなきゃ父さんに言いつけてやるぞ」
ディオ「今言うか」
ジョナサン「ただのジョークさ」
ディオ「暇ならそのジョークの笑える部分を探しておけよ」
32 :以下、名無しが深夜にお送りします:2013/04/02(火) 19:26:52 ID:SUYp/Umk
穏やかに会話するDIOさまって面白いな
33 :以下、名無しが深夜にお送りします:2013/04/02(火) 19:49:43 ID:Vs/J9odI
>>32
ブッチ神父とは穏やかに話してたからそれみたいなもんじゃね?
34 :以下、名無しが深夜にお送りします:2013/04/02(火) 20:36:31 ID:IfPui0ww
最高にハイ!!なDIO様も面白い。
落ち着いて喋る時も結構多いかと思います。
35 :以下、名無しが深夜にお送りします:2013/04/02(火) 20:38:11 ID:IfPui0ww
ジョナサン「今は何時で、…何日で、何月で、…何年なんだろう」
ジョナサン「ディオの言うとおりだ。一万数えた辺りで飽きる」
ジョナサン「………」
ディオ「………」
ディオ「………」
ディオ「………フー……」
ディオ「………咳が、聞こえる…」
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