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勇者「淫魔の国の王になったわけだが」
ワルキューレ編

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Part1
1 : ◆1UOAiS.xYWtC :2012/03/26(月) 05:09:57.67 ID:5OyPL7Mao
勇者:文字通り。魔王を倒した後、淫魔の国の王になる。ムダに強い。
堕女神:淫魔の国の王の身の回りの世話をしている。態度が硬いが、実はキス魔。料理も得意な元・”愛”の女神。
サキュバスA:おちょくるような態度を取るお姉さんタイプのサキュバス。実はMの20942歳。
サキュバスB:精神年齢低めのサキュバス。王にガチ惚れしてて色々悩む。3418歳。
隣女王:隣国の淫魔を統べる女王。幼い姿のまま成長しない特性を持つ、褐色銀髪ついでに貧乳の15歳。真面目だが本性は……
魔王:最終決戦後、勇者を淫魔の国の王へと据えて消滅。
オーク:レイプ要員。空気も読める。
ローパー:触手要員。ちょっとだけ芸もできる。
隣国の淫魔達:幼女の姿で歳を取る。おしなべて殺人的に淫乱。サキュバスAがドン引きするレベル。
・本編完結後の後日談となります。
・色々オムニバス形式で書いていきます。前スレでのリクエストには、全てとはいきませんがお応えする予定です。
・毎日更新は多分できませんが、できる限り頑張ります。
・質問には可能な限りお答えいたします。ご指摘、ご感想お待ちしています。

2 : ◆1UOAiS.xYWtC :2012/03/26(月) 05:11:47.05 ID:5OyPL7Mao
遅くなって申し訳ない
完結まで行けたので、また時間も開いてしまったのでワルキューレ編を全編投下し直します
若干修正ありで

3 : ◆1UOAiS.xYWtC :2012/03/26(月) 05:12:35.25 ID:5OyPL7Mao
就任から三年後、とある日
勇者「ワルキューレを捕まえた?」
堕女神「はい、陛下。隣国との国境付近で捕縛しました」
勇者「なんだってそんなのがわざわざ」
堕女神「それをこれから取り調べるのです」
勇者「人数は一人だけか?」
堕女神「いえ、二人です。一人は隣国へと引き渡しました」
勇者「…………ご愁傷様、って感じだなぁ」
堕女神「………同感です」
勇者「で、そいつは今どこに?」
堕女神「午後にでも、こちらへ到着します。地下牢に収監する予定です」
勇者「で、色々やって口を割らせる、と」
堕女神「はい。……一応ローパーの準備も」
勇者「流石は堕女神だな」
堕女神「……お褒めにあずかり、光栄です」

4 : ◆1UOAiS.xYWtC :2012/03/26(月) 05:13:05.56 ID:5OyPL7Mao
勇者「しかし、ワルキューレってかなり強いだろ。地下牢に大人しく入れられるのか?」
堕女神「大丈夫です。私が彼女の力をほぼ完全に封印いたしますので」
勇者「そんな事できんのか?」
堕女神「朝飯前です。同時に筋力も封じますので、あとはご随意に」
勇者「万能すぎる」
堕女神「堕ちても女神ですから」
勇者「嫌味なぐらい何でもこなすな、お前は」
堕女神「陛下の、そして陛下の国の為なら、私に出来る事なら何でもいたします」
勇者「……その割に、夜はやたら甘えてくるのが更にいい」
堕女神「…………そんな事はありません」
勇者「いや、だってお前……唇が磨り減って無くなるかと思ってんだぞ、いつも」
堕女神「昼食の準備が整っております。その話はまた今度」
勇者「(……ムリヤリ誤魔化しやがった)」

5 : ◆1UOAiS.xYWtC :2012/03/26(月) 05:14:26.51 ID:5OyPL7Mao
午後、勇者が昼餉を終えて少し経った頃に件の彼女が城へと到着した。
蝙蝠の翼を持つサキュバス達が、凛とした白い肌の戦乙女達を、強引にエントランスへと連れ込む。
表情は誇り高きワルキューレの矜持を崩さず、今なお闘志を湛えていた。
翼飾りのついたサークレット、黄金色に輝くキュイラス、脚甲と手甲も同様に、触れがたく神々しく輝いていた。
ワルキューレ「穢らわしい淫魔どもめ!私に触れるな!」
後ろ手に縛られ、武器たる槍も没収された今では、それは虚勢にしか聞こえない。
事実、彼女はもう抵抗の術などない。
脇を固めるのは、魔界でも高位の存在である淫魔達。
いくら彼女といえど、この差を引っくり返す事などできはしない。
堕女神「……それでは…」
言って、吹き抜けから降りて行こうとする彼女を制した。
堕女神「……?」
勇者「まぁ、待てって」
そして、ひとり階段を降りていく。
忍び笑いを浮かべながら、悪巧みをしている盗賊のような表情だ。
堕女神は、彼が何をしようとしているのか、まるで理解できない様子で。


6 : ◆1UOAiS.xYWtC :2012/03/26(月) 05:15:08.77 ID:5OyPL7Mao
ゆっくりと近寄るたびに、ワルキューレの顔が憎悪に歪む。
何がしかの意図があって淫魔の国へ潜り込んだ。
そこには、恐らく穏やかではない何かがある。
拘束され、膝をついて二人の淫魔に挟まれている彼女へ近づき、同じく膝をついて目線を合わせた。
彼女が仮に何かしようとすれば、即座に両側の淫魔が彼女を始末するはずだ。
エントランスの広間には、ぴりぴりと緊張した空気が漂う。
勇者「………何をしに来たんだ?」
ワルキューレ「貴様……![ピーーー]なら、殺せ!」
勇者「[ピーーー]?……もったいないだろ?…この、美しい顔。……耐えられないなぁ」
手で彼女の顎先を軽く持ち上げ、わざとらしく粘りつくような声色で言う。
触れた瞬間、彼女が非常に小さくその身を震わせたのを見逃さない。
口では抵抗しながらも、誇り高き戦乙女とはいえ、この状況に恐怖を感じない訳は無いのだから。
ワルキューレ「……外道が……!」
勇者「ああ、知ってる。……それで、どっちがいい?」
ワルキューレ「…何だと?」
勇者「俺に身も心も捧げて忠誠を誓うか?……それとも、淫魔たちの玩具にされて……」
そこまで言った所で、彼女が唾を勇者の顔面に目掛けて吐きかけた。
頬に浴びたのが何か、勇者はすぐに理解したようだ。
彼は意外にも怒りではなく、どこかしら悦に入った笑顔を浮かべている。

7 : ◆1UOAiS.xYWtC :2012/03/26(月) 05:15:43.75 ID:5OyPL7Mao
勇者「……堕女神」
堕女神「はい」
呼び寄せる必要もなく、勇者の傍らに立っていた。
凍り付くような空気が、先ほどに相まって広間に満ちている。
その根源は、言うまでもなく堕女神。
ワルキューレは無論、淫魔、果ては勇者までも、彼女の醸し出す空気に圧されそうになる。
体の奥まで冷え凍え、その顔を見る事など、できるわけもない。
見た瞬間に魂を抜かれそうなほど、恐ろしく、マグマのように沸き立つ感情を封じ込められていた。
勇者「………やれ」
その場から立ち上がると、入れ替わるように堕女神が進み出でた。
ワルキューレはそれでも虚勢を張ろうとしているのか、キッと彼女を睨みつける。
ワルキューレ「……何をしようと言うんだ?……淫魔め。貴様らなど……!?」
言い切る事もなく、ぐるんと真上を向かされた。
堕女神が彼女の髪を引っつかみ、強制的に真上に向けたのだ。
反るように無理な姿勢で首を動かされたため、首から背骨にかけて鈍く痛みが走る。
堕女神「これから、貴女の力を奪います。……斧槍を持ち上げる事すらできない、無力な存在へと堕ちなさい」
ワルキューレ「…何、を……!」
堕女神「…暴れないでください。……手元が狂ってしまいます」
左手で彼女の髪を掴んだまま、右手全体に仄暗い力がまとわれる。
黒色の火花が舞い散り、邪悪な妖精が舞っているかのように禍々しい。

8 : ◆1UOAiS.xYWtC :2012/03/26(月) 05:16:18.99 ID:5OyPL7Mao
ワルキューレ「やめろ!……クソ淫魔どもが!こんな事をしてただで済むと……!」
堕女神「…はしたないですね。……この状況で逃げられると、本気で思っているのですか?」
黒く輝く右手が、ワルキューレの口元を塞ぐ。
直後、哀れな戦乙女の体がびくんと震えた。
目尻には涙さえ浮かべながら、持続的にガクガクと体を震えさせる。
言葉にならない叫びを上げている。
それは悲鳴か、あるいは命乞いなのか。
全身を黒い粒子が包み込み、彼女の体を満たす祝福の力をこそげ取り、
堕女神の右手へと運ばれて吸い込まれていく。
それでも逃れようとするも、力を現在進行形で吸われ、拘束されている状況では望めない。
巨人に押さえつけられているかのように、体がぴくりとも動かない。
もがこうと試みる間にも、力が激しく吸い上げられる喪失感。
例えば手首から血が勢いよく噴出して失われていくのを、ただ見ているような恐怖心と絶望。
どちらかといえば後者に、戦乙女の瞳から涙が零れ落ちる。
何よりも――自分の力を吸収している、相手が怖かった。
有り余る敵意、いや殺意を向けられたその目がただ恐ろしかった。
暫くして堕女神が手を離すと、ワルキューレの体が前のめりに倒れた。
全身を打つ痛みにも反応が無い。
精気の宿っていない瞳が、冷たい床をただ見つめる。
穢された生娘のように、放心している。

9 : ◆1UOAiS.xYWtC :2012/03/26(月) 05:16:47.19 ID:5OyPL7Mao
ワルキューレ「か……えせ……」
うわごとのように、彼女の唇が力なく動いた。
ワルキューレ「私の……力……かえし……て……」
地に頭を擦り付けるような姿勢での懇願に、堕女神は黙って、怒りを孕んだ視線を向ける。
彼女がここまで分かりやすく敵意を露わにするのを、勇者は見た事が無い。
堕女神「寒さに凍え、怯えながら省みなさい。……この城の門をくぐった時、全ての希望を捨てておくべきでしたね」
底冷えのする言い方で返し、傍らの淫魔二人に、ワルキューレを移送するよう命じる。
引きずられるように消えていく彼女に、最後まで、睨みつけるような視線を向けていた。
勇者「怖いなぁ、お前」
堕女神「…申し訳ありません。つい……頭に血が上ってしまって」
勇者「いや、俺はいいんだけどさ」
堕女神「それより、何故あのような事を?……本心ではないのでしょう?」
勇者「何の事だ?」
堕女神「先ほどの掛け合いです。例え敵の間諜でも、あのような二択を迫る方ではないでしょう、陛下は」
勇者「……一度、思いっきり『悪役の演技』に陶酔してみたくて。いやぁ、まさか唾まで吐かれるとは。感動したよ」
堕女神「………」
勇者「いいよね、こういうの。なんかもう、いかにも悪役っぽくてちょっと我ながら興奮したよ」
堕女神「……………っ」
勇者「おい、引くなよ!!」

10 : ◆1UOAiS.xYWtC :2012/03/26(月) 05:18:39.35 ID:5OyPL7Mao
堕女神「…彼女は、どうしましょうか」
勇者「だから近づいてこいって。任せられそうな奴は?」
堕女神「はい。サキュバスAなどは。彼女は尋問にも拷問にも長じております」
勇者「じゃぁ、ヤツに頼もう。……あまり手荒な事はさせないように。淫魔の国らしくな」
堕女神「はい、承知しました」
勇者「…頼むぞ」
サキュバスA「お呼びですか?」
勇者「いつからいたんだよ」
サキュバスA「陛下が哀れな虜を嬲っていたあたりから、面白くて見ていましたわ」
勇者「面白いのかよ」
サキュバスA「お気持ち、分かりますわ。ああいう気高い種族は、ついイジメたくなりますもの」
勇者「………お前もか」
サキュバスA「それで、どうします?……壊しちゃってよろしいのですか?」
勇者「いや、乱暴な事はするなよ。サキュバスらしくやれ」
サキュバスA「はぁい。……それでは、さっそく…今夜から取り掛かります」
勇者「頼んだ。……念入りにな?」
サキュバスA「うふふ、陛下もお好きですわね」

11 : ◆1UOAiS.xYWtC :2012/03/26(月) 05:19:14.27 ID:5OyPL7Mao
地下牢にワルキューレが投獄されている。
力をほぼ完全に奪われ、もはや抵抗する気力も無く手枷をはめられ、跪くような姿勢で天井から吊られて。
身を包むものは全て剥がされ、ボロ布一歩手前の粗末な貫頭衣のみ。
かつて恩寵を纏っていた天界の戦士の面影は、すでにない。
流れるような肩までの金髪と白い肌は美しさを保っているが、それだけに、痛々しい。
地下の寒さに小刻みに震える姿は、まるで賎民へと堕とされ、売り飛ばされた貴族の娘のようだ。
そんな彼女に哀れみの視線を向けながら、一人の淫魔が地下牢へとやってきた。
サキュバスA「あら、いい光景。……意識はありますの?」
苛めるような口ぶりで、話しかける。
ワルキューレの眼が僅かに動き、彼女へ敵意の眼差しを向けた。
サキュバスA「お元気ですわね。さて、これから……貴女をたっぷりとイジメちゃう訳ですけれど」
ワルキューレ「……好きにしろ。貴様らに屈するものか」
サキュバスA「そう。……そのぐらいでないと、堕としがいがありませんわ」
腰を落とし、視線を合わせる。
サキュバスAは、しばしの間、うっとりと彼女の瞳を見つめた。
驚くべき事に、今でも諦めていないのだ。
ここから逆転の余地があるかのように、闘志を秘めたまま、瞳の奥が燃え盛っていた。
事実、サキュバスAにも緊張が走った。
気を抜けば、脱出されてしまいそうだ。
力を奪われている事に違いは無いが、だからといって、安心できるものではない。
繋がれ、昂ぶった野獣を前にしているのと同じ気持ちだろうか。
その態度は、ワルキューレにとっては全く不幸な事に。
サキュバスAをも燃え上がらせるための、火種にしかならなかった。

12 : ◆1UOAiS.xYWtC :2012/03/26(月) 05:19:42.73 ID:5OyPL7Mao
サキュバスA「さて。とりあえず、お聞きしましょうか?」
大袈裟に手を振りながら近づき、腰を落としてワルキューレの耳元に口を寄せる。
サキュバスA「ねぇ。……あなた、『処女』?」
ぞわりと寒くなるうなじの感覚が、全身に広がった。
一音一音がはっきりと聞こえる、歯切れ良い淫魔の囁きが全身の細胞へ染み込む。
一種の呪文かとも疑うほどに、感覚を極めて鋭敏にさせる韻律。
ワルキューレ「なっ……!何を……貴様っ!!」
サキュバスA「顔を真っ赤にさせちゃって……ふふ、可愛いわぁ。さて、本題に入りましょうね」
ワルキューレ「何だと……?」
サキュバスA「私達の国で、何をしてたのかしら?……まぁ、私としては吐かないでくれたほうが楽しいけれど」
ワルキューレ「…ふん。それが人に物を尋ねる態度か」
サキュバスA「あらあら。……やっぱり血の巡りが悪いのねぇ」
頬に優しく手を添えられる。
認めたくはないが、冷え切った肌にじんわりと暖かい。
淫魔の手に、温もりを感じてしまったのだ。
驚きながら、その瞳を覗き込んでしまう。
――そう、『淫魔』の瞳を。
サキュバスA「質問でも尋問でもないの。――これは、『拷問』なのよ?」

13 : ◆1UOAiS.xYWtC :2012/03/26(月) 05:20:17.36 ID:5OyPL7Mao
拷問、という言葉に身を震わせる。
恐ろしげな言葉が、冷え切った陰鬱な空間と相まって、残酷な実感を湧かせた。
よく見れば、周囲の空間にはいくつもの恐ろしげな器具が並んでいた。
血糊が膠のように張り付いた布をかぶせられた、棺のような物体。
内側にいくつもの刃が取り付けられている、人が一人やっと入れる程度の鳥かご。
びっしりと棘を生やした、拘束具つきの椅子。
万力と鉄仮面が一体となったような、おぞましく、それでいて用途が容易く見て取れる器具。
少し離れた机の上には、鈍く輝くハサミ、焼き鏝、ペンチなどが無造作に置かれていた。
視線が一巡してそれらを認識したあと、再び、淫魔の顔へと戻った。
恐ろしい。
ただただ、何もかもが恐ろしい。
なのに何故、この淫魔はこんなに――『優しい』眼をしているのか。
疑問すら差し挟む間もなく、彼女の心の奥に途方も無い安心感が湧いて出た。
恐怖が解けてなくなり、地下の寒さも少しずつ感じなくなり。
やがて視界が潤み、心臓の鼓動がペースを上げ始めた。
呼吸は浅く短く、溺れかけているかのように調子を崩す。
サキュバスA「…どうしたの?もしかして……興奮しちゃった、かしら?」
ワルキューレ「ふざ、けるな……誰が……」
サキュバスA「それとも怖いの?最初は、そうね。爪をベリベリと引き剥がして、真っ赤に焼けた針を刺していくの。きっと楽しいわ」
あえて身近で、想像しやすそうな例を挙げる。
ワルキューレは靄がかかったような意識の中、リアルな痛みを創造し、生唾を飲んで固まってしまった。
そして、そんな隙を見逃される訳が無い。

14 : ◆1UOAiS.xYWtC :2012/03/26(月) 05:21:04.42 ID:5OyPL7Mao
サキュバスA「うふふ……今、怖がらせちゃった?ごめんなさいね、可愛くてつい」
小馬鹿にするかのように、ゆるく抱き締めて彼女の後頭部に手を当てる。
まるで、泣く子をあやすかのようだ。
嘲弄するかのような仕草にも、もはや反応できない。
目の前にいる淫魔の、本心が見えないからだ。
本当に拷問を加えてくるようにも思える。
ただ反応を楽しんでいるだけにも思える。
どちらにも、絞れない。
サキュバスA「心配しなくても、『今日は』痛い事なんてしないわ」
ワルキューレは深く恥じ入る。
―――その言葉に、安堵してしまったから。
―――冷えた身体に、肌の温もりを感じてしまったから。
サキュバスA「そうね。差し当たって……ここから始めましょうか?」
優しく抱きしめたままの左手をゆっくりと下ろし、膝立ちの姿勢の彼女の尻を優しく撫でた。
ワルキューレ「ひゃっ……!」
こそばゆい感触が突き抜け、背筋がぴんと伸びる。
じゃらり、と手枷につながった鎖が揺れ、音を立てた。
サキュバスA「ふふ……感じやすいのね。小さくて可愛いお尻……」
撫で回しながら、更にいたぶるような言葉を連ねる。
鍛えられ、引き締まったヒップラインから太腿。
足指の先までも、隙なく美しい脚線。
小ぶりだが感度が良く、手に吸い付くような尻肉。
健康的な、淫魔とも違う魅力を備えた肢体は、不幸な事に淫魔の眼鏡にかなってしまった。
嫌悪感を滲ませながら逃れようと身体を揺するが、力を吸収され、更に抱き締められていては無駄な抵抗にすらならない。

15 : ◆1UOAiS.xYWtC :2012/03/26(月) 05:21:53.63 ID:5OyPL7Mao
ワルキューレ「やめ……離、せ……っ!」
サキュバスA「ダメよ。……本当に、可愛いわぁ。どうイジメてあげようかしら?」
陶酔するように、好き勝手に尻肉を揉みしだく。
その度に荒く息が漏れ、嫌悪とも違う感情が、薄ら寒い地下牢へ漏れ出していく。
感じるのは異常なまでの、『背徳』の快楽。
力を吸い取られて淫魔の城に監禁されている。
手枷をはめられ、衣服を剥ぎ取られ、奴隷のような粗末な衣を着せられている。
寒い地下牢で、淫魔の責め苦を受けている途中。
抵抗しても意味は無く、誰も助けにきてはくれない。
本来ならば、絶望と恐怖でしかない状況。
それでも、彼女は心のどこかでこの状況を俯瞰し、味わってもいた。
無論、平素の彼女に被虐趣味などない。
主神の意思に従い、戦う事こそが存在の意義。
その彼女の心を曇らせたのは、淫魔の『眼』である。
彼女は、力を吸収された状態で、淫魔の眼を見てしまった。
幾度と無く迷える民を魅了し、堕落させていった魔眼。
直視してしまった事で、彼女の心に、気持ちばかりの亀裂が入ってしまった。
その亀裂から、まるで隙間風のように吹き込んでくる被虐心。
――彼女は、それに怯えていた。
サキュバスA「……この姿勢もつらいでしょう?床は冷たいもの」
言って、おもむろに手を離し、立ち上がる。
撫でられていた尻からも、抱き締められていた身体からも、温もりを届けてくれる淫魔の腕が消えた。
刹那に感じたのは、極めて小さな喪失感。
別れを惜しむような小さな息が漏れ、サキュバスAは僅かに口角を持ち上げる。
それに気付き、彼女はすぐに気持ちを引き締め直した。
淫魔に弱みなど見せるか、とでも言いたげに。
虚勢、という以外、説明に適した言葉は無い。

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