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ショートストーリー

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Part2
30 :以下、\(^o^)/でVIPがお送りします:2017/03/22(水) 22:27:43.576 ID:Z6ZkKQNa0
虎「ガルルルル……!」
一休「マジかよ……」
一休(これが虎か……現物を見るのは初めてだが、なんつう威圧感だ……)ゴクッ
一休(冷や汗が止まらねえ……だがッ!)
一休「面白くなってきた……。将軍、レフェリーを頼む」
将軍「おお、さすがは一休。よい覚悟だ」
将軍「レディ~……」
将軍「ファイッ!!!」
カーンッ!

31 :以下、\(^o^)/でVIPがお送りします:2017/03/22(水) 22:31:35.545 ID:Z6ZkKQNa0
虎「ガァァァァァッ!!!」ダッ
一休(速い……が、しょせん獣だな。まっすぐ突っ込んでくるだけか)
一休(カウンターで一撃で沈めてやるッ!)ブンッ
虎「…………」ピタッ
一休「な……フェイント!?」
ザシュッ!
一休「ぐ、は……!(胸を切り裂かれた……!)」
一休「この虎……知能が高いッ! 単なる獣じゃねえな!?」
虎「その通り」ニヤッ

32 :以下、\(^o^)/でVIPがお送りします:2017/03/22(水) 22:32:30.623 ID:04xoGeD20
期待

33 :以下、\(^o^)/でVIPがお送りします:2017/03/22(水) 22:32:43.409 ID:9nXhGIK90
なんで核ミサイルは見たことあって虎はねえんだよ

34 :以下、\(^o^)/でVIPがお送りします:2017/03/22(水) 22:34:38.261 ID:Z6ZkKQNa0
一休「虎がしゃべった!?」
虎「私をただの虎だと思ったら、大間違いだッ!」
虎「ゆくぞッ!」
虎「春の訪れを感じさせる軽快なフットワークからーー」タンッタンッ
虎「しなやかな肢体から放たれる、機関銃のようなジャブ!」
スパパパパァンッ!
一休「ぐっ……!」ヨロッ…
虎「人間は武器を持ってはじめて猛獣と対等ッ! つまり素手では絶対私には勝てぬ!」


35 :以下、\(^o^)/でVIPがお送りします:2017/03/22(水) 22:39:26.875 ID:Z6ZkKQNa0
一休「ナメんなァ!!!」
ドズッ!
虎「ぐっ!?」
一休「だらぁぁぁぁぁっ!!!」
ドドドドドドドドドッ!
虎「がはぁっ……」ドザッ
一休「ダウンしたところへダメ押しィィィッ!」
ドゴッ! ドゴッ! ドゴォッ!
一休「強烈な正拳突きから、全身の急所へ九連打、さらにダメ押しの踏みつけ三回!」
一休「これぞ俺の必殺技……“一・九・三”」
一休「将軍、カウントしな」パチンッ
将軍「ワン! ……ツー! ……スリー!」
一休(もっとも……永久に起きることはねェだろうがな)

36 :以下、\(^o^)/でVIPがお送りします:2017/03/22(水) 22:42:35.941 ID:Z6ZkKQNa0
将軍「フォー! ファイ……!」
虎「ぬおおおおおっ!」ガバッ
一休「な……立ちやがった!?」
虎「ハァ、ハァ、ハァ……」
将軍「やれるか!?」
虎「やれます!」
一休「くっ……!」
将軍「ファイッ!」
一休(マジかよ……信じらんねえ)
一休「だったら……もう一回“一・九・三”を喰らわせてやるぜ!」

37 :以下、\(^o^)/でVIPがお送りします:2017/03/22(水) 22:45:20.899 ID:Z6ZkKQNa0
一休「喰らえッ!」ギュオッ
虎「さっきの連撃……見事だった。黄泉の国にほんの少しだけ不法滞在してしまったよ」
虎「しかし私にも……必殺技はある!」シュザッ
一休(なんだあの構え……アッパーか!? いや……ただのアッパーじゃねえ!)
一休(この技はーー)
虎「タイガーアパカ!!!」
グシャアッ!!!
一休「ぐはぁぁぁぁぁ……っ!」ドザァッ
一休(顎が……砕けた!)

38 :以下、\(^o^)/でVIPがお送りします:2017/03/22(水) 22:49:23.361 ID:Z6ZkKQNa0
一休「この技はムエタイの……ッ!」
虎「そう……ムエタイの必殺技、タイガーアッパーカット」
虎「私は中国出身だが、タイでムエタイの帝王に弟子入りし、この技を会得したのだ」
虎「そしてもちろん……会得したのはアッパーだけではない!」
虎「我が鍛え抜かれた脚から放たれる、骨をも砕く蹴りの暴風雨を受けてみよ!」
ベシィッ! バキッ! ベキィッ!
一休(ムエタイの蹴り……なんて重さだ! このままじゃやべえ!)
一休(クリンチだ!)ガシッ
虎「ぬう……ッ!」
将軍「ブレイク!!!」

39 :以下、\(^o^)/でVIPがお送りします:2017/03/22(水) 22:50:20.286 ID:iHb1ibMVr
ブレイク!じゃねーよww

40 :以下、\(^o^)/でVIPがお送りします:2017/03/22(水) 22:52:14.544 ID:PhGDlJx3d
正直面白い

41 :以下、\(^o^)/でVIPがお送りします:2017/03/22(水) 22:53:59.265 ID:Z6ZkKQNa0
虎「太平洋戦争の幕開けとなった真珠湾攻撃の如き、三連打を受けてみるがいい」
虎「トラ・トラ・トラ!!!」
バキッ! ガキッ! ドゴォッ!
一休「ぐはぁっ!」ドサッ
将軍「ダウン! コーナーに戻って!」
虎「はい」
一休「げほ、げほっ!」
一休(強ええ……! 俺はこの虎に勝てないのか……ッ!)
「一休よ……」
一休(こ、この声は!?)

44 :以下、\(^o^)/でVIPがお送りします:2017/03/22(水) 22:56:33.769 ID:Z6ZkKQNa0
一休「和尚様!」
和尚「一休よ……ようやった。しかし、あの虎はおぬしにはまだ荷が重い」
和尚「後はワシがなんとかしよう。タッチするがよい」
一休「…………」
一休「……それはできません」
和尚「ほう?」
一休「だってここでずっと休んじまったら……俺はもう“一休”を名乗れねえ!」
一休「だから……タッチはしません」
和尚(でかくなったな……一休よ)
和尚「ならばゆけいッ! 骨は拾ってやる!!!」
一休「押忍!!!」

45 :以下、\(^o^)/でVIPがお送りします:2017/03/22(水) 23:00:19.937 ID:Z6ZkKQNa0
虎「まだ来るか……よかろう」
虎「勇ましい君の命、せめて苦しまぬよう安らかに散華させてやろう」
一休(さっきからいちいちくさいポエムみたいなセリフを吐きやがって……!)
一休(ーーん?)
一休(そういやこいつ、さっき中国出身っていってたよな……)
一休(んで、ポエムときたら……)
一休(まさか……こいつは……)ポクポクポクポク…
一休(こいつの正体が分かった!!!)チーン

46 :以下、\(^o^)/でVIPがお送りします:2017/03/22(水) 23:03:30.233 ID:Z6ZkKQNa0
一休「おい……虎」
虎「む?」
一休「俺にはあんたの正体が分かっちまったぜ」
虎「な、なんだと!?」
一休「あんた……中国が唐だった頃、詩人を目指してたが、挫折して虎になったっていうーー」
一休「李徴だろ?」
虎「!!!」

47 :以下、\(^o^)/でVIPがお送りします:2017/03/22(水) 23:09:06.931 ID:Z6ZkKQNa0
虎「…………」
虎「その通りだ」
ザワッ……
将軍「な、なんと!」
和尚「あの伝説の……李徴殿だったのか」
虎「日本人がなぜ私のことを知っている?」
一休「あんた……日本じゃ超有名人……おっと超有名虎だぜ」
一休「中島敦って高名な小説家が『山月記』で、あんたの物語を書いたおかげでな」
虎「どんな形であろうと後世に名が残ったのは光栄だ」

48 :以下、\(^o^)/でVIPがお送りします:2017/03/22(水) 23:12:09.512 ID:Z6ZkKQNa0
一休「しかし、どうして屏風の中なんかに?」
虎「私は友と別れてから、さっきいったようにタイへ行きムエタイを習い」
虎「その後、ひょんなことから屏風に閉じ込められてしまったのだ」
一休「一番重要なところをひょんなことで済ます……あんた、最高だぜ」
虎「謝謝(ありがとう)」
一休「だけどよォ……ガッカリだなァ~~~~~」
虎「なんだと?」

49 :以下、\(^o^)/でVIPがお送りします:2017/03/22(水) 23:15:49.438 ID:Z6ZkKQNa0
一休「だってよ……あんたはかつての友に自分は人食い虎になり下がるといってたはず」
一休「しかし、今のあんたはどうだ?」
一休「たしかに見た目は虎だが、言葉を話すし、ムエタイするし、全然虎じゃねえ!」
一休「中途半端なんだよッ!」
一休「あんたは詩人にも虎にもなりきれねえ、半端者なんだッ!!!」
虎「…………ッッ!」
虎「この私を侮辱するとは……許さん!」ビキビキッ…
虎「その尊大なる脳みそ、この私が丸ごとかじりとってくれようぞ!」
虎「グオオオオオオオオッ!!!」グワッ!
将軍「いかん!」
和尚「一休ッ!」

50 :以下、\(^o^)/でVIPがお送りします:2017/03/22(水) 23:19:29.330 ID:Z6ZkKQNa0
一休「かかったな」
虎「!?」
一休「口を大きく開けちまって……スキだらけだぜ」グオオオッ!
虎「し、しまっーー!」
将軍「口の中に頭突きをッ!?」
和尚「考えたな一休! いかに屈強な虎とはいえ、口の中までは鍛えられん!」
一休「俺の石頭……望み通り喰わせてやるッ!」
一休「これが俺の……トンチだァァァァァッ!!!」
ズガァンッ!!!

51 :以下、\(^o^)/でVIPがお送りします:2017/03/22(水) 23:21:23.734 ID:Z6ZkKQNa0
虎「…………」ピクピク…
一休「……ふうっ。冷静にムエタイで攻められてたら、やられてたかもな」
将軍「……一本ッ!!!」
将軍「虎退治、成功ッ!!!」
ワアァァァァァ……! ワアァァァァァ……!


53 :以下、\(^o^)/でVIPがお送りします:2017/03/22(水) 23:25:31.945 ID:Z6ZkKQNa0
……
…………
虎「グッ……!」ガバッ
一休「おお、さすがだな。もう目を覚ましたのか」
虎「私は……負けたのか……」
一休「ああ、紙一重だったがな。こっちもあんたに蹴られたところが腫れまくってるぜ」
虎「ならば、私は去るとしよう」
一休「どこ行くんだ」
虎「君のいうとおり、私は詩人にも虎にもなれなかった半端者だ……」
虎「ならばせめて、いさぎよく自害して幕を引きたいと思う」
一休「……待てよ、李徴さん」
一休「詩人にも虎にもなれなかったあんただが……」ポクポクポクポク…
一休「まだ道はあるぜ!!!」チーン

54 :以下、\(^o^)/でVIPがお送りします:2017/03/22(水) 23:27:12.789 ID:547Cqsycr
チーン

55 :以下、\(^o^)/でVIPがお送りします:2017/03/22(水) 23:29:40.702 ID:Z6ZkKQNa0
一休「詩人も虎もダメだったなら、“詩虎”になればいいじゃあねえか!」
和尚「おおっ、なるほど! さすがは一休! ナイストンチ!」
虎「面白い提案だが、虎となった私の詩を読んでくれる人などーー」
将軍「ゴホンゴホン」
虎「?」
将軍「ちょうど今……我が幕府に専属の詩人が欲しかったんだよなぁ……」チラッ
将軍「なんだったら、虎でもいいかなぁ~」チラッチラッ
虎「将軍様……!」
一休「ふっ、見直したぜ、将軍」
将軍「か、勘違いしないでよねっ! 別に李徴を助けたいわけじゃないんだから!」

57 :以下、\(^o^)/でVIPがお送りします:2017/03/22(水) 23:33:38.453 ID:bZhZ/oaS0
将軍良い人w

58 :以下、\(^o^)/でVIPがお送りします:2017/03/22(水) 23:35:28.087 ID:Z6ZkKQNa0
……
将軍「一休よ、ありがとう」
将軍「おかげで虎は退治されたし、素晴らしい詩人……じゃなく詩虎を城に招くことができた」
虎「これからは将軍様のもとで、たくさん詩を書きます!」
一休「頑張れよ。詩集が出たら買ってやるぜ」
和尚「臆病な自尊心と尊大な羞恥心を克服した今のおぬしなら、いい詩が書けるじゃろうよ」
虎「はいっ!」
虎「ところで一休さん、あなたはこれからどうするんです?」
一休「俺か? へっ、なんたって俺は“一休さん”だぜ?」
一休「一休みするに決まってんだろ!」
おわり

59 :以下、\(^o^)/でVIPがお送りします:2017/03/22(水) 23:36:34.325 ID:KRUBiYgQ0
お休み

60 :以下、\(^o^)/でVIPがお送りします:2017/03/22(水) 23:38:07.865 ID:bZhZ/oaS0
乙でした

61 :以下、\(^o^)/でVIPがお送りします:2017/03/22(水) 23:46:04.260 ID:547Cqsycr
とんちって凄い

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