ある日の保健室のできごと
Part2
29 : ◆gvDwHmHzw6:2016/05/30(月) 18:25:10.56 ID:yXYbFCMWO
保健教師「……ったくよ、お前の推薦誰が認めさせたと思ってるんだよ」
女子生徒「欠席見なきゃ成績は充分だと思いますよ」
保健教師「あほかよ。お前の担任すらせめて他のやつにって言ってたんだぞ?」
女子生徒「あの人は来年からいじめられそーですね」
保健教師「……そうなりゃあいつ辞めんだろな。アタシみたいに教頭どついときゃなんとかなるけどよ」
女子生徒「……別に良いんじゃないですか? 私には殆ど関係ない人ですから」
保健教師「まあ、アタシにもカンケーないけどな」
30 : ◆gvDwHmHzw6:2016/05/30(月) 18:30:39.32 ID:yXYbFCMWO
女子生徒「それよりも彼の進学先先生知りませんか?」
保健教師「あ? あー、あいつか。知らね。どーでもいいわ」
女子生徒「でも化学と生物教えてましたよね。公立ですか?」
保健教師「だから知らねーって。てかお前やっぱりここに来ても寝てねーだろ」
女子生徒「そんな事ないですよ? 彼が来てないときはそれはもう爆睡ってレベルじゃないですよ?」
保健教師「本当かよ。それより窓閉めてくれ。さみい」
女子生徒「はーい。……それで? どこなんですか?」
保健教師「……言わねえ。私は生徒の秘密は守るいい教師だからな」
女子生徒「もー、なんで言ってくれないんですか。意地悪ですよ、本当に」
31 : ◆gvDwHmHzw6:2016/05/30(月) 18:32:34.26 ID:yXYbFCMWO
保健教師「いいか、はっきり言うが、お前がどうこうとか知らない。奴の行くとこ知りたきゃお前さん自身が聞け。面倒なんだよ」
女子生徒「……わかりました。しつこく聞いてごめんなさい。帰りますね」
保健教師「いいよ。まぁ、とりあえず出席はしてた事にしといてやるよ。あいつど突くけば言う事聞くし」
女子生徒「いじめよくないです」
保健教師「お前のクラス全員に言ってから私に意見しろ」
女子生徒「……」
保健教師「……ったく、なんでこんなに羊の丸焼きばっかりなんだろうな。世の中は」
32 : ◆gvDwHmHzw6:2016/05/30(月) 18:33:42.66 ID:yXYbFCMWO
女子生徒「……じゃあ、帰ります。さようなら」ガラガラ
保健教師「おー。じゃーな」
33 : ◆gvDwHmHzw6:2016/05/30(月) 18:36:02.91 ID:yXYbFCMWO
男子生徒「……そりゃ、ロビンソンクルーソーがお金持ちではお金が意味を成さないように、その意味を作るために生贄をつくるんですよ。豚かどうかはわかんないですけど」
保健教師「……現代はシャイロックが正義なんだよ。帰れって言っただろクソガキ」
男子生徒「今じゃ顔真っ赤にみんな否定して無視して生きてますけど、本当は彼ららの為に必要を担う事は難しいんですよ」
保健教師「……」
男子生徒「ガラス瓶の如く割れやすくって、でもそいつが汚いが為に、綺麗だから、そいつを割っては作り直して壊しては焼き直して処理していくんですよ」
保健教師「時代はポストストラクチャリズムだぞ」
男子生徒「そんなことは欧州の一部が話しあっとけば良いんですよ。黄色い猿なんてまだまだ村社会から抜け出せないんですから」
34 : ◆gvDwHmHzw6:2016/05/30(月) 18:36:52.55 ID:yXYbFCMWO
保健教師「お前は色々感化されすぎだ。そんな手前味噌なお勉強知識を持ったまま成人するとちっせぇ可哀想な人間になる」
男子生徒「じゃあ、どうしろと? 僕だって彼女だってどうにかして生贄から抜けようとして、替わりを見つけようとするほど切羽詰っているのに、思想に耽ることも許されないんですか?」
保健教師「だめだよ。そんなの許されねぇ」
男子生徒「……先生は、なんとなく分かってくれてる人だと思ってたんですけどね。やっぱり大人はずるいですね」
保健教師「あんなぁ、ちげーんだよ。お前が学びたいことなんて大学いきゃ幾らでもできる。はっきり言えば知識つけるんだけなら大学行かなくたって自分でできる」
35 : ◆gvDwHmHzw6:2016/05/30(月) 18:37:58.52 ID:yXYbFCMWO
男子生徒「勉強も否定ですか?なんなんですか?そうやって子供を虐めて何が楽しいんですか?訳がわからないですよ。いい加減にして下さいよ!なんで、なんで僕だけみんなと同じように楽しい世界にいちゃいけないんですか!?ふざけんなよ!」
保健教師「……それだけか?」
男子生徒「それだけか?だって?なに上から目線で喋ってんだよ!お前だってどうせグレて結局まともなとこにも取ってもらないで泣きで公務員試験通ったくせにふざけやがって!見下してんのもいい加減にしろよ!」
保健教師「……で? つまり、何が言いたいんだ? アタシへの当てつけで満足か?」
男子生徒「ーークソがぁ!死んでしまえよ全員!俺を認めろよ死んで詫びろよゴミ野郎!」
保健教師「威勢のいいこった。とりあえず涙拭けよ。男の子がしちゃいけない顔になってんぞ」ポイッ
男子生徒「……ありがとう、ございます」
保健教師「終わりか。じゃあ窓開けんぞ」
36 : ◆gvDwHmHzw6:2016/05/30(月) 18:39:29.68 ID:yXYbFCMWO
男子生徒「……先生はやっぱり他の大人と同じなんですか?」
保健教師「そりゃ、どの点で同じか、を教えてくれなきゃ答えられないな」シュボッ
男子生徒「それは……先生も見て見ぬ振りで済ます人なのかってとこですかね」
保健教師「そうだな、答えはちょっと違うがアタシはお前を助けられる人間じゃねーって点は同じかね」スパー
男子生徒「ケホッケホッ……ちょっと、外に向かって吐いて下さいよ」
保健教師「おお、すまんすまん。なんだ、お前、助けて欲しいのか?」
男子生徒「……いや、多分違うと思います」
保健教師「他の奴らを黙らす方法なら教えられるけどよ」スパー
男子生徒「……多分それも違うと思います」
37 : ◆gvDwHmHzw6:2016/05/30(月) 18:40:35.00 ID:yXYbFCMWO
保健教師「じゃあ、何がお望みだ? こんなヤニカスで良ければ可能なことだけは叶えてやる手引きくらいはチラ見させてやるよ」
男子生徒「……大人になる方法を教えて下さい」
保健教師「……ぷっ、だははははは!!!アホだこいつ!やーいバーカ!バカがいるぜおいおい!」スパー
男子生徒「言う相手が間違ってました。二度と聞きません」
保健教師「そりゃそうだ。お前、聞く相手間違えすぎだよ。それこそ大人になりたいんだったら担任の奴に聞いてみろ。ちゃーんと大人とはなんぞやから子供から大人への成長過程が知識として塗りこませてくれるぞ」
男子生徒「そんなのエミールの復唱で理解なんて可能じゃないですか」
保健教師「それが現代日本に通用するかは知らんがな」スパー
38 : ◆gvDwHmHzw6:2016/05/30(月) 18:41:42.37 ID:yXYbFCMWO
男子生徒「分かって言ってますよね?」
保健教師「いんや。エミールってなんだかすら知らん。覚えてねーよんな古典の文章なんてよ」
男子生徒「分かってるじゃないですか。次は何を読めばいいですか?」
保健教師「橋爪も今村もどうせ読んでんだろうから、ここはどうだ? あんな堅っ苦しい文章より、文学の世界に飛んでみるのはどうよ」
男子生徒「ヘッセや有島やモームとかは読みましたよ」
保健教師「んな死にそうな顔してる文学読んでどうすんだよ。もっとこう、頭の転換が楽しい……アシモフとかマープルとかどうよ。なんなら貸してやるぞ」
男子生徒「……? それって推理小説ですか? 先生が推理小説読むなんて意外ですね」
39 : ◆gvDwHmHzw6:2016/05/30(月) 18:43:36.05 ID:yXYbFCMWO
保健教師「あ? お前人の趣味にケチつける気か?」
男子生徒「そんな事ないですよ。ちょっと、なんかかわいいなって思って」
保健教師「……」カチッ
男子生徒「……?」
保健教師「スー…っと」フーッ
男子生徒「うわぁ!な、ケホッなに、ケホッゲホッ、何すんですかタバコ臭い!」
保健教師「色気づいてんじゃねーぞクソガキ」スパー
男子生徒「そんなことしてないですよ……」
40 : ◆gvDwHmHzw6:2016/05/30(月) 18:44:36.72 ID:yXYbFCMWO
保健教師「ほれ、もういいだろう。もう他の奴らも帰ったし、平和に帰れんぞ」
男子生徒「あ、いつの間にか5限も終わってる……」
保健教師「だからお前らは何しに学校来てんだよ……全く」スパー
男子生徒「ら?」
保健教師「なんでもねーよ。あと、お前はあと5日しかないからな留年まで」
男子生徒「えっ、僕ほぼ毎日来てるはずなんですけど……」
保健教師「お前どんだけ遅刻と早退してるか分かってねーのかよ。もういっそ退学しろ退学」スパー
男子生徒「そりゃ、無理ですね。親はどうしても大学行かせたいみたいですし」
保健教師「お前は?」
41 : ◆gvDwHmHzw6:2016/05/30(月) 18:47:00.05 ID:s/shtp8hO
男子生徒「どういう意味ですか?」
保健教師「お前は大学行きたくねーのかって聞いてんだ」
男子生徒「どうでしょうね。あんまり行っても良いことなさそうですし」
保健教師「そうでもないぞ。人生の中の夏休みだありゃ。一人でいても楽しいことありゃしない。ダチが居ればより楽しい」スパー
男子生徒「友達は……出来なさそうですけどね」
保健教師「んなことねーよ。お前さんは気の利くやつだ。今の奴らには手も及ばないとこ行くんだ。1からスタート切りゃ良いんだよ」
男子生徒「簡単に言いますね……」
保健教師「そりゃ他人事だからな」スパー
42 : ◆gvDwHmHzw6:2016/05/30(月) 18:47:59.00 ID:s/shtp8hO
男子生徒「やっぱり先生は狡い大人ですね。……それじゃあ帰ります」
保健教師「おう。帰れ帰れ……そういや」
男子生徒「はい?」
保健教師「あいつもお前と志望校同じだよ。まぁ、あいつはもう決まってるからあとはお前さん次第だが」
男子生徒「あいつ?」
保健教師「……お前はダメな男だな。まあいいや、じゃあな」
男子生徒「なんでそうなるんですか……まぁ、ありがとうございました。それでは」
保健教師「ほいさ」スパー
43 : ◆gvDwHmHzw6:2016/05/30(月) 18:48:57.07 ID:s/shtp8hO
いつの間にか、桜のつぼみも膨れてきて
女子生徒「先生○○君に勝手に私の学校教えましたね」
保健教師「おうよ」スパー
女子生徒「それに、先生かわいいって言われたらしいじゃないですか」
保健教師「おうよ」スパー
女子生徒「……否定しないんですね。ずるいですよ」
保健教師「なんでアタシが嫉妬されなきゃならんのさ。それこそずるいぞお前」
女子生徒「だって彼、私にすらかわいいって言ってくれないんですよ?」
保健教師「はぁ? それこそ知らねーよ。てかお前くらいなら普通言われんだろ。ましてやあの野郎だぞ」スパー
女子生徒「あの野郎じゃないです。○○君です。私には……綺麗としか言ってくれません」
保健教師「良いことじゃねーか? それはよ」
44 : ◆gvDwHmHzw6:2016/05/30(月) 18:50:44.82 ID:s/shtp8hO
女子生徒「良くないですよ。女の子はかわいいって言われたいものなんですよ」
保健教師「そうかいそうかい。アタシは綺麗って言われた方が嬉しいけどね」グリグリ
女子生徒「嘘ですね。絶対」
保健教師「嘘じゃねーよ。かわいいなんて言い慣れたこと言われて大人が喜ぶと思ってんのかよ」
女子生徒「うわ、この人今さり気なく自慢しましたよ。自分がかわいいって、ドン引きですよ」
保健教師「嫉妬乙。じゃあ聞くけど、お前は客からかわいいって言われて嬉しいか?」
女子生徒「……さあ? もうあのお店辞めたんで分かんないです」
保健教師「じゃあ経験談でいいよ。どうせバイトはしてんだろ?」
45 : ◆gvDwHmHzw6:2016/05/30(月) 18:51:46.65 ID:s/shtp8hO
女子生徒「まぁ、今はコンビニのバイトですけど、この前告白されましたけど断りましたよ」
保健教師「お前こそ自慢話じゃねーか。アタシはここ50年は告白されてねーぞ」
女子生徒「……先生30いってないですよね?」
保健教師「さあね。女性に年齢を聞くなボケ」
女子生徒「ピチピチ度では完勝ですかね」フンッ
保健教師「何ドヤ顔してんだよ。マセガキが」
女子生徒「勝った暁として彼のヒミツを教えて下さい」
保健教師「火くれたらいいぜ。どうせお前ライターもう持ってないだろうし」トントン
46 : ◆gvDwHmHzw6:2016/05/30(月) 18:53:36.58 ID:s/shtp8hO
女子生徒「はい、どうぞ?」カチッ
保健教師「……なんでだよ」スパー
女子生徒「まぁ、その、なんででしょうか。仕事で吸ってたら止められなくなったってとこですかね?」
保健教師「バカ野郎。野郎じゃねーけどよ、お前もうすぐで卒業なんだから退学になるようなことだけは止めてくれよ。バレたらどうすんだよ」
女子生徒「そしたら○○君に養ってもらいます」
保健教師「……あいつまだ合格も決まってねーぞ」スパー
女子生徒「大丈夫ですよ。先生がちゃんと教えていたじゃないですか。多分今頃したり顔で帰ってきてるんじゃないですか?」
47 : ◆gvDwHmHzw6:2016/05/30(月) 18:55:55.71 ID:s/shtp8hO
保健教師「そういや今日か、試験日。まさかあいつもお前もアタシと同じとこに行くとは思いもしなかったよ」スパー
女子生徒「ああ、だから私も彼も面倒見てくれたんですね」
保健教師「別に他意はねーよ。ただ推薦の面接官や出題傾向知ってるだけだ」
女子生徒「それだけでも、とってもありがたいですよ。……先生が居なかったらどうなってたことか」
保健教師「おお、お前にゃ珍しく感謝の言葉が出るとはな」スパー
女子生徒「いつも言ってますよ?」
保健教師「口だけでな」
女子生徒「バレてましたか」
48 : ◆gvDwHmHzw6:2016/05/30(月) 18:59:14.90 ID:s/shtp8hO
保健教師「大人にゃなんでもお見通しだよ。……さて、今期最後の会議でも行ってきますかね」グリグリ
女子生徒「まだ子供ですか? 私達。というか会議ってありましたっけ?今日来てない先生の方が多い……」ピローン
保健教師「子供だよ。子供も子供。ケツは青いは拭けねーわで手間が掛かって仕方ねー」ッポイ
女子生徒「……もう結婚だって出来るんですよ? 江戸時代前ならもう既に行き遅れのババアですよ?」
保健教師「うるせー。ここは現代21世紀のJapanだよ。最後の鍵閉めだけ宜しくな」
女子生徒「んー……納得いきませんけど、わかりました。締めときます」
保健教師「……今日はこの一階の教室誰もいねーし、少しぐらい誤魔化してやるからな。最後だぞ」
女子生徒「……」
49 : ◆gvDwHmHzw6:2016/05/30(月) 19:00:10.34 ID:s/shtp8hO
保健教師「本当はホテルだの家だのでやって欲しいけどよ。んなこと出来ねーだろあいつは」
女子生徒「……はて。なんのはなしやら」
保健教師「あいつはなんにも手ぇ出してこねぇぞ。めんどい男だ。お前からいけ。あとは知らん」
女子生徒「……ありがとうございます」
保健教師「……おう」
女子生徒「……本気ですよ?」
保健教師「わかってるよ。じゃあな。お幸せに」
女子生徒「ーーありがとう、ごさいます」
保健教師「……」ガラガラ
50 : ◆gvDwHmHzw6:2016/05/30(月) 19:01:04.78 ID:s/shtp8hO
保健教師「……」ピシャリ
男子生徒「……あ、先生」
保健教師「……その顔なら大丈夫だ。ちょっと不安ぐらいが1番結果が良いんだ。今日はたっぷり休んでいけ」
男子生徒「……なんか優しいですね」
保健教師「言う相手が毎回違うんだよ。……最後だからな、保健室登校は」
男子生徒「ーーはい。ありがとうごさいます。……あのっ」
保健教師「知ってっか? オンナは優しくして欲しい時より求めて欲しい時があんだ。腹決めろよ。……じゃあな、ガキ」トコトコ
男子生徒「? どういうことですかって……結局ガキから抜け出せなかったか」
51 : ◆gvDwHmHzw6:2016/05/30(月) 19:02:02.11 ID:s/shtp8hO
男子生徒「まぁ、いいや。失礼しまーす」ガラガラ
女子生徒「……試験お疲れ様。○○君」
男子生徒「あれ? ××さん? 今日って登校日じゃないはずだけど……」
女子生徒「うん。知ってる。でも、来るって思ったから」
男子生徒「それはどういう……」
女子生徒「えへへ。やっぱりあの人の言う通りだ」
男子生徒「ごめん。全然わからない」
女子生徒「ねぇ、○○君は私のこと、どう思ってる?」
男子生徒「え!? いや、あのその、綺麗だと思うよ。他の子達よりも」
女子生徒「……むー」
男子生徒「え、ごめん。なんか変なこと言った?」
52 : ◆gvDwHmHzw6:2016/05/30(月) 19:02:58.33 ID:s/shtp8hO
女子生徒「違う」
男子生徒「何が?」
女子生徒「……もう、こっち来て」
男子生徒「え、うん」
女子生徒「……」
男子生徒「……えー、と?」
女子生徒「……えへっ」ギュッ
男子生徒「えっ、ちょ、ちょっと○○さん?」ドサッ
女子生徒「ーーーー」
53 : ◆gvDwHmHzw6:2016/05/30(月) 19:03:52.82 ID:s/shtp8hO
男子生徒「ーーーーっぷは。な、な何を」
女子生徒「ねぇ、私のこと、どう思う?」
男子生徒「……かわいい、と思う、よ」
女子生徒「……ありがとう。でも押し倒されちゃった」
男子生徒「それは○○さんが……○○さん」
女子生徒「なーに?」
男子生徒「……好きだよ」
女子生徒「……私も」
男子生徒「……愛してる」
女子生徒「……私もだよ」
男子生徒「……痛かったらごめんね」
女子生徒「……だいじょーぶ。好きだから。愛してるから」
男子生徒「ありがとう」
女子生徒「どういたしまして」
54 : ◆gvDwHmHzw6:2016/05/30(月) 19:04:58.24 ID:s/shtp8hO
ーー時を同じくして2階の職員室
教頭「……という事で、来年は違う学校に異動に決まったからな」
保健教師「うぃーっす」
教頭「君もいい加減にしないか。教員として不真面目すぎるよ。タバコを吸うなとは言わないが、学校で吸うなんてなんども言うが言語道断だぞ!」
55 : ◆gvDwHmHzw6:2016/05/30(月) 19:06:23.27 ID:s/shtp8hO
保健教師「しゃーないっす。ヤニカスなんでーす」
教頭「いい加減にしろ!お前はもう子供じゃないんだ!決められたことくらい守れなくて何が教員だ!ふざけるのもいい加減にしろ!何回教育委員会からお叱りを受けたと思ってるんだ!」
保健教師「んなの無視すりゃいーじゃないすかー」
教頭「だから真面目に話を聞け!いいか、お前が教職としてやっていけるのは誰のおかげだと思ってるんだ!」
保健教師「アタシのおかげでーす」
56 : ◆gvDwHmHzw6:2016/05/30(月) 19:07:19.91 ID:s/shtp8hO
他の教師「……なぁ、あんた、さっきからちゃんと反省しろよ。こっちもうざったいんだよテメーみたいなゴミカスが同じ部屋にいると吐き気がするんだよ」
保健教師「……あぁ? なんだとテメーおい、ツラ貸しやがれよ。二度と援交出来ねーようにタマ潰すぞこのハゲ猿がよ」
他の教師「ざけてんじゃねーぞ! テメーのせいでいらねーイライラまで背負ってるこっちの身にもなってみろこのクソビッチが」
保健教師「拳一個も敵に当てらんねーお猿さんのわめき声を聞いてもなんにも理解出来ねーんだけどなぁ?」
他の教師「ざけんな!ぶん殴るぞ!」
保健教師「殴ってみろよ。おめーもアタシと共に教員生活終了だ。おらやってみろよタマなし野郎」
他の教師「……このブス野郎が!ぶっ殺してやる!」
57 : ◆gvDwHmHzw6:2016/05/30(月) 19:11:00.67 ID:s/shtp8hO
保健教師「……」ドカッ バキッ メキャッ
教頭「やめろ!お前らやめてくれ!」
保健教師「(あいつら早く帰んねーかな。おかわりとかしてねーでピロトも無しで宜しく頼むわーそろそろ殴んのも面倒だわ)」
保健教師「(……まぁ、いいっか。こんなような大人っぽく振舞ってるだけの奴らにだけはなんなよ。命令だ。届かんけど)」
桜の花が散る頃、春の終わりの長い夕陽がまた保健室に射し込んでくる。
オレンジ色の時計が掛けられた壁が、いつの日か、また、白から薄茶色に変化してしまうのはまだまだ先のお話。
終わり
58 : ◆gvDwHmHzw6:2016/05/30(月) 19:12:04.76 ID:s/shtp8hO
終わりです
割と短かった
何かあれば答えます
59 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします:2016/05/30(月) 19:13:01.87 ID:7yVcmeE/O
保健教師強い........強くない?
60 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします:2016/05/30(月) 19:15:12.19 ID:7yVcmeE/O
言い忘れた
乙!
61 : ◆gvDwHmHzw6:2016/05/30(月) 19:32:38.70 ID:s/shtp8hO
>>59
ニコチン切れると女々しくなります
読んでくれてありがとう
保健教師「……ったくよ、お前の推薦誰が認めさせたと思ってるんだよ」
女子生徒「欠席見なきゃ成績は充分だと思いますよ」
保健教師「あほかよ。お前の担任すらせめて他のやつにって言ってたんだぞ?」
女子生徒「あの人は来年からいじめられそーですね」
保健教師「……そうなりゃあいつ辞めんだろな。アタシみたいに教頭どついときゃなんとかなるけどよ」
女子生徒「……別に良いんじゃないですか? 私には殆ど関係ない人ですから」
保健教師「まあ、アタシにもカンケーないけどな」
30 : ◆gvDwHmHzw6:2016/05/30(月) 18:30:39.32 ID:yXYbFCMWO
女子生徒「それよりも彼の進学先先生知りませんか?」
保健教師「あ? あー、あいつか。知らね。どーでもいいわ」
女子生徒「でも化学と生物教えてましたよね。公立ですか?」
保健教師「だから知らねーって。てかお前やっぱりここに来ても寝てねーだろ」
女子生徒「そんな事ないですよ? 彼が来てないときはそれはもう爆睡ってレベルじゃないですよ?」
保健教師「本当かよ。それより窓閉めてくれ。さみい」
女子生徒「はーい。……それで? どこなんですか?」
保健教師「……言わねえ。私は生徒の秘密は守るいい教師だからな」
女子生徒「もー、なんで言ってくれないんですか。意地悪ですよ、本当に」
31 : ◆gvDwHmHzw6:2016/05/30(月) 18:32:34.26 ID:yXYbFCMWO
保健教師「いいか、はっきり言うが、お前がどうこうとか知らない。奴の行くとこ知りたきゃお前さん自身が聞け。面倒なんだよ」
女子生徒「……わかりました。しつこく聞いてごめんなさい。帰りますね」
保健教師「いいよ。まぁ、とりあえず出席はしてた事にしといてやるよ。あいつど突くけば言う事聞くし」
女子生徒「いじめよくないです」
保健教師「お前のクラス全員に言ってから私に意見しろ」
女子生徒「……」
保健教師「……ったく、なんでこんなに羊の丸焼きばっかりなんだろうな。世の中は」
32 : ◆gvDwHmHzw6:2016/05/30(月) 18:33:42.66 ID:yXYbFCMWO
女子生徒「……じゃあ、帰ります。さようなら」ガラガラ
保健教師「おー。じゃーな」
33 : ◆gvDwHmHzw6:2016/05/30(月) 18:36:02.91 ID:yXYbFCMWO
男子生徒「……そりゃ、ロビンソンクルーソーがお金持ちではお金が意味を成さないように、その意味を作るために生贄をつくるんですよ。豚かどうかはわかんないですけど」
保健教師「……現代はシャイロックが正義なんだよ。帰れって言っただろクソガキ」
男子生徒「今じゃ顔真っ赤にみんな否定して無視して生きてますけど、本当は彼ららの為に必要を担う事は難しいんですよ」
保健教師「……」
男子生徒「ガラス瓶の如く割れやすくって、でもそいつが汚いが為に、綺麗だから、そいつを割っては作り直して壊しては焼き直して処理していくんですよ」
保健教師「時代はポストストラクチャリズムだぞ」
男子生徒「そんなことは欧州の一部が話しあっとけば良いんですよ。黄色い猿なんてまだまだ村社会から抜け出せないんですから」
保健教師「お前は色々感化されすぎだ。そんな手前味噌なお勉強知識を持ったまま成人するとちっせぇ可哀想な人間になる」
男子生徒「じゃあ、どうしろと? 僕だって彼女だってどうにかして生贄から抜けようとして、替わりを見つけようとするほど切羽詰っているのに、思想に耽ることも許されないんですか?」
保健教師「だめだよ。そんなの許されねぇ」
男子生徒「……先生は、なんとなく分かってくれてる人だと思ってたんですけどね。やっぱり大人はずるいですね」
保健教師「あんなぁ、ちげーんだよ。お前が学びたいことなんて大学いきゃ幾らでもできる。はっきり言えば知識つけるんだけなら大学行かなくたって自分でできる」
35 : ◆gvDwHmHzw6:2016/05/30(月) 18:37:58.52 ID:yXYbFCMWO
男子生徒「勉強も否定ですか?なんなんですか?そうやって子供を虐めて何が楽しいんですか?訳がわからないですよ。いい加減にして下さいよ!なんで、なんで僕だけみんなと同じように楽しい世界にいちゃいけないんですか!?ふざけんなよ!」
保健教師「……それだけか?」
男子生徒「それだけか?だって?なに上から目線で喋ってんだよ!お前だってどうせグレて結局まともなとこにも取ってもらないで泣きで公務員試験通ったくせにふざけやがって!見下してんのもいい加減にしろよ!」
保健教師「……で? つまり、何が言いたいんだ? アタシへの当てつけで満足か?」
男子生徒「ーークソがぁ!死んでしまえよ全員!俺を認めろよ死んで詫びろよゴミ野郎!」
保健教師「威勢のいいこった。とりあえず涙拭けよ。男の子がしちゃいけない顔になってんぞ」ポイッ
男子生徒「……ありがとう、ございます」
保健教師「終わりか。じゃあ窓開けんぞ」
36 : ◆gvDwHmHzw6:2016/05/30(月) 18:39:29.68 ID:yXYbFCMWO
男子生徒「……先生はやっぱり他の大人と同じなんですか?」
保健教師「そりゃ、どの点で同じか、を教えてくれなきゃ答えられないな」シュボッ
男子生徒「それは……先生も見て見ぬ振りで済ます人なのかってとこですかね」
保健教師「そうだな、答えはちょっと違うがアタシはお前を助けられる人間じゃねーって点は同じかね」スパー
男子生徒「ケホッケホッ……ちょっと、外に向かって吐いて下さいよ」
保健教師「おお、すまんすまん。なんだ、お前、助けて欲しいのか?」
男子生徒「……いや、多分違うと思います」
保健教師「他の奴らを黙らす方法なら教えられるけどよ」スパー
男子生徒「……多分それも違うと思います」
37 : ◆gvDwHmHzw6:2016/05/30(月) 18:40:35.00 ID:yXYbFCMWO
保健教師「じゃあ、何がお望みだ? こんなヤニカスで良ければ可能なことだけは叶えてやる手引きくらいはチラ見させてやるよ」
男子生徒「……大人になる方法を教えて下さい」
保健教師「……ぷっ、だははははは!!!アホだこいつ!やーいバーカ!バカがいるぜおいおい!」スパー
男子生徒「言う相手が間違ってました。二度と聞きません」
保健教師「そりゃそうだ。お前、聞く相手間違えすぎだよ。それこそ大人になりたいんだったら担任の奴に聞いてみろ。ちゃーんと大人とはなんぞやから子供から大人への成長過程が知識として塗りこませてくれるぞ」
男子生徒「そんなのエミールの復唱で理解なんて可能じゃないですか」
保健教師「それが現代日本に通用するかは知らんがな」スパー
38 : ◆gvDwHmHzw6:2016/05/30(月) 18:41:42.37 ID:yXYbFCMWO
男子生徒「分かって言ってますよね?」
保健教師「いんや。エミールってなんだかすら知らん。覚えてねーよんな古典の文章なんてよ」
男子生徒「分かってるじゃないですか。次は何を読めばいいですか?」
保健教師「橋爪も今村もどうせ読んでんだろうから、ここはどうだ? あんな堅っ苦しい文章より、文学の世界に飛んでみるのはどうよ」
男子生徒「ヘッセや有島やモームとかは読みましたよ」
保健教師「んな死にそうな顔してる文学読んでどうすんだよ。もっとこう、頭の転換が楽しい……アシモフとかマープルとかどうよ。なんなら貸してやるぞ」
男子生徒「……? それって推理小説ですか? 先生が推理小説読むなんて意外ですね」
39 : ◆gvDwHmHzw6:2016/05/30(月) 18:43:36.05 ID:yXYbFCMWO
保健教師「あ? お前人の趣味にケチつける気か?」
男子生徒「そんな事ないですよ。ちょっと、なんかかわいいなって思って」
保健教師「……」カチッ
男子生徒「……?」
保健教師「スー…っと」フーッ
男子生徒「うわぁ!な、ケホッなに、ケホッゲホッ、何すんですかタバコ臭い!」
保健教師「色気づいてんじゃねーぞクソガキ」スパー
男子生徒「そんなことしてないですよ……」
40 : ◆gvDwHmHzw6:2016/05/30(月) 18:44:36.72 ID:yXYbFCMWO
保健教師「ほれ、もういいだろう。もう他の奴らも帰ったし、平和に帰れんぞ」
男子生徒「あ、いつの間にか5限も終わってる……」
保健教師「だからお前らは何しに学校来てんだよ……全く」スパー
男子生徒「ら?」
保健教師「なんでもねーよ。あと、お前はあと5日しかないからな留年まで」
男子生徒「えっ、僕ほぼ毎日来てるはずなんですけど……」
保健教師「お前どんだけ遅刻と早退してるか分かってねーのかよ。もういっそ退学しろ退学」スパー
男子生徒「そりゃ、無理ですね。親はどうしても大学行かせたいみたいですし」
保健教師「お前は?」
41 : ◆gvDwHmHzw6:2016/05/30(月) 18:47:00.05 ID:s/shtp8hO
男子生徒「どういう意味ですか?」
保健教師「お前は大学行きたくねーのかって聞いてんだ」
男子生徒「どうでしょうね。あんまり行っても良いことなさそうですし」
保健教師「そうでもないぞ。人生の中の夏休みだありゃ。一人でいても楽しいことありゃしない。ダチが居ればより楽しい」スパー
男子生徒「友達は……出来なさそうですけどね」
保健教師「んなことねーよ。お前さんは気の利くやつだ。今の奴らには手も及ばないとこ行くんだ。1からスタート切りゃ良いんだよ」
男子生徒「簡単に言いますね……」
保健教師「そりゃ他人事だからな」スパー
42 : ◆gvDwHmHzw6:2016/05/30(月) 18:47:59.00 ID:s/shtp8hO
男子生徒「やっぱり先生は狡い大人ですね。……それじゃあ帰ります」
保健教師「おう。帰れ帰れ……そういや」
男子生徒「はい?」
保健教師「あいつもお前と志望校同じだよ。まぁ、あいつはもう決まってるからあとはお前さん次第だが」
男子生徒「あいつ?」
保健教師「……お前はダメな男だな。まあいいや、じゃあな」
男子生徒「なんでそうなるんですか……まぁ、ありがとうございました。それでは」
保健教師「ほいさ」スパー
43 : ◆gvDwHmHzw6:2016/05/30(月) 18:48:57.07 ID:s/shtp8hO
いつの間にか、桜のつぼみも膨れてきて
女子生徒「先生○○君に勝手に私の学校教えましたね」
保健教師「おうよ」スパー
女子生徒「それに、先生かわいいって言われたらしいじゃないですか」
保健教師「おうよ」スパー
女子生徒「……否定しないんですね。ずるいですよ」
保健教師「なんでアタシが嫉妬されなきゃならんのさ。それこそずるいぞお前」
女子生徒「だって彼、私にすらかわいいって言ってくれないんですよ?」
保健教師「はぁ? それこそ知らねーよ。てかお前くらいなら普通言われんだろ。ましてやあの野郎だぞ」スパー
女子生徒「あの野郎じゃないです。○○君です。私には……綺麗としか言ってくれません」
保健教師「良いことじゃねーか? それはよ」
44 : ◆gvDwHmHzw6:2016/05/30(月) 18:50:44.82 ID:s/shtp8hO
女子生徒「良くないですよ。女の子はかわいいって言われたいものなんですよ」
保健教師「そうかいそうかい。アタシは綺麗って言われた方が嬉しいけどね」グリグリ
女子生徒「嘘ですね。絶対」
保健教師「嘘じゃねーよ。かわいいなんて言い慣れたこと言われて大人が喜ぶと思ってんのかよ」
女子生徒「うわ、この人今さり気なく自慢しましたよ。自分がかわいいって、ドン引きですよ」
保健教師「嫉妬乙。じゃあ聞くけど、お前は客からかわいいって言われて嬉しいか?」
女子生徒「……さあ? もうあのお店辞めたんで分かんないです」
保健教師「じゃあ経験談でいいよ。どうせバイトはしてんだろ?」
45 : ◆gvDwHmHzw6:2016/05/30(月) 18:51:46.65 ID:s/shtp8hO
女子生徒「まぁ、今はコンビニのバイトですけど、この前告白されましたけど断りましたよ」
保健教師「お前こそ自慢話じゃねーか。アタシはここ50年は告白されてねーぞ」
女子生徒「……先生30いってないですよね?」
保健教師「さあね。女性に年齢を聞くなボケ」
女子生徒「ピチピチ度では完勝ですかね」フンッ
保健教師「何ドヤ顔してんだよ。マセガキが」
女子生徒「勝った暁として彼のヒミツを教えて下さい」
保健教師「火くれたらいいぜ。どうせお前ライターもう持ってないだろうし」トントン
46 : ◆gvDwHmHzw6:2016/05/30(月) 18:53:36.58 ID:s/shtp8hO
女子生徒「はい、どうぞ?」カチッ
保健教師「……なんでだよ」スパー
女子生徒「まぁ、その、なんででしょうか。仕事で吸ってたら止められなくなったってとこですかね?」
保健教師「バカ野郎。野郎じゃねーけどよ、お前もうすぐで卒業なんだから退学になるようなことだけは止めてくれよ。バレたらどうすんだよ」
女子生徒「そしたら○○君に養ってもらいます」
保健教師「……あいつまだ合格も決まってねーぞ」スパー
女子生徒「大丈夫ですよ。先生がちゃんと教えていたじゃないですか。多分今頃したり顔で帰ってきてるんじゃないですか?」
47 : ◆gvDwHmHzw6:2016/05/30(月) 18:55:55.71 ID:s/shtp8hO
保健教師「そういや今日か、試験日。まさかあいつもお前もアタシと同じとこに行くとは思いもしなかったよ」スパー
女子生徒「ああ、だから私も彼も面倒見てくれたんですね」
保健教師「別に他意はねーよ。ただ推薦の面接官や出題傾向知ってるだけだ」
女子生徒「それだけでも、とってもありがたいですよ。……先生が居なかったらどうなってたことか」
保健教師「おお、お前にゃ珍しく感謝の言葉が出るとはな」スパー
女子生徒「いつも言ってますよ?」
保健教師「口だけでな」
女子生徒「バレてましたか」
48 : ◆gvDwHmHzw6:2016/05/30(月) 18:59:14.90 ID:s/shtp8hO
保健教師「大人にゃなんでもお見通しだよ。……さて、今期最後の会議でも行ってきますかね」グリグリ
女子生徒「まだ子供ですか? 私達。というか会議ってありましたっけ?今日来てない先生の方が多い……」ピローン
保健教師「子供だよ。子供も子供。ケツは青いは拭けねーわで手間が掛かって仕方ねー」ッポイ
女子生徒「……もう結婚だって出来るんですよ? 江戸時代前ならもう既に行き遅れのババアですよ?」
保健教師「うるせー。ここは現代21世紀のJapanだよ。最後の鍵閉めだけ宜しくな」
女子生徒「んー……納得いきませんけど、わかりました。締めときます」
保健教師「……今日はこの一階の教室誰もいねーし、少しぐらい誤魔化してやるからな。最後だぞ」
女子生徒「……」
保健教師「本当はホテルだの家だのでやって欲しいけどよ。んなこと出来ねーだろあいつは」
女子生徒「……はて。なんのはなしやら」
保健教師「あいつはなんにも手ぇ出してこねぇぞ。めんどい男だ。お前からいけ。あとは知らん」
女子生徒「……ありがとうございます」
保健教師「……おう」
女子生徒「……本気ですよ?」
保健教師「わかってるよ。じゃあな。お幸せに」
女子生徒「ーーありがとう、ごさいます」
保健教師「……」ガラガラ
50 : ◆gvDwHmHzw6:2016/05/30(月) 19:01:04.78 ID:s/shtp8hO
保健教師「……」ピシャリ
男子生徒「……あ、先生」
保健教師「……その顔なら大丈夫だ。ちょっと不安ぐらいが1番結果が良いんだ。今日はたっぷり休んでいけ」
男子生徒「……なんか優しいですね」
保健教師「言う相手が毎回違うんだよ。……最後だからな、保健室登校は」
男子生徒「ーーはい。ありがとうごさいます。……あのっ」
保健教師「知ってっか? オンナは優しくして欲しい時より求めて欲しい時があんだ。腹決めろよ。……じゃあな、ガキ」トコトコ
男子生徒「? どういうことですかって……結局ガキから抜け出せなかったか」
51 : ◆gvDwHmHzw6:2016/05/30(月) 19:02:02.11 ID:s/shtp8hO
男子生徒「まぁ、いいや。失礼しまーす」ガラガラ
女子生徒「……試験お疲れ様。○○君」
男子生徒「あれ? ××さん? 今日って登校日じゃないはずだけど……」
女子生徒「うん。知ってる。でも、来るって思ったから」
男子生徒「それはどういう……」
女子生徒「えへへ。やっぱりあの人の言う通りだ」
男子生徒「ごめん。全然わからない」
女子生徒「ねぇ、○○君は私のこと、どう思ってる?」
男子生徒「え!? いや、あのその、綺麗だと思うよ。他の子達よりも」
女子生徒「……むー」
男子生徒「え、ごめん。なんか変なこと言った?」
52 : ◆gvDwHmHzw6:2016/05/30(月) 19:02:58.33 ID:s/shtp8hO
女子生徒「違う」
男子生徒「何が?」
女子生徒「……もう、こっち来て」
男子生徒「え、うん」
女子生徒「……」
男子生徒「……えー、と?」
女子生徒「……えへっ」ギュッ
男子生徒「えっ、ちょ、ちょっと○○さん?」ドサッ
女子生徒「ーーーー」
53 : ◆gvDwHmHzw6:2016/05/30(月) 19:03:52.82 ID:s/shtp8hO
男子生徒「ーーーーっぷは。な、な何を」
女子生徒「ねぇ、私のこと、どう思う?」
男子生徒「……かわいい、と思う、よ」
女子生徒「……ありがとう。でも押し倒されちゃった」
男子生徒「それは○○さんが……○○さん」
女子生徒「なーに?」
男子生徒「……好きだよ」
女子生徒「……私も」
男子生徒「……愛してる」
女子生徒「……私もだよ」
男子生徒「……痛かったらごめんね」
女子生徒「……だいじょーぶ。好きだから。愛してるから」
男子生徒「ありがとう」
女子生徒「どういたしまして」
54 : ◆gvDwHmHzw6:2016/05/30(月) 19:04:58.24 ID:s/shtp8hO
ーー時を同じくして2階の職員室
教頭「……という事で、来年は違う学校に異動に決まったからな」
保健教師「うぃーっす」
教頭「君もいい加減にしないか。教員として不真面目すぎるよ。タバコを吸うなとは言わないが、学校で吸うなんてなんども言うが言語道断だぞ!」
55 : ◆gvDwHmHzw6:2016/05/30(月) 19:06:23.27 ID:s/shtp8hO
保健教師「しゃーないっす。ヤニカスなんでーす」
教頭「いい加減にしろ!お前はもう子供じゃないんだ!決められたことくらい守れなくて何が教員だ!ふざけるのもいい加減にしろ!何回教育委員会からお叱りを受けたと思ってるんだ!」
保健教師「んなの無視すりゃいーじゃないすかー」
教頭「だから真面目に話を聞け!いいか、お前が教職としてやっていけるのは誰のおかげだと思ってるんだ!」
保健教師「アタシのおかげでーす」
56 : ◆gvDwHmHzw6:2016/05/30(月) 19:07:19.91 ID:s/shtp8hO
他の教師「……なぁ、あんた、さっきからちゃんと反省しろよ。こっちもうざったいんだよテメーみたいなゴミカスが同じ部屋にいると吐き気がするんだよ」
保健教師「……あぁ? なんだとテメーおい、ツラ貸しやがれよ。二度と援交出来ねーようにタマ潰すぞこのハゲ猿がよ」
他の教師「ざけてんじゃねーぞ! テメーのせいでいらねーイライラまで背負ってるこっちの身にもなってみろこのクソビッチが」
保健教師「拳一個も敵に当てらんねーお猿さんのわめき声を聞いてもなんにも理解出来ねーんだけどなぁ?」
他の教師「ざけんな!ぶん殴るぞ!」
保健教師「殴ってみろよ。おめーもアタシと共に教員生活終了だ。おらやってみろよタマなし野郎」
他の教師「……このブス野郎が!ぶっ殺してやる!」
57 : ◆gvDwHmHzw6:2016/05/30(月) 19:11:00.67 ID:s/shtp8hO
保健教師「……」ドカッ バキッ メキャッ
教頭「やめろ!お前らやめてくれ!」
保健教師「(あいつら早く帰んねーかな。おかわりとかしてねーでピロトも無しで宜しく頼むわーそろそろ殴んのも面倒だわ)」
保健教師「(……まぁ、いいっか。こんなような大人っぽく振舞ってるだけの奴らにだけはなんなよ。命令だ。届かんけど)」
桜の花が散る頃、春の終わりの長い夕陽がまた保健室に射し込んでくる。
オレンジ色の時計が掛けられた壁が、いつの日か、また、白から薄茶色に変化してしまうのはまだまだ先のお話。
終わり
58 : ◆gvDwHmHzw6:2016/05/30(月) 19:12:04.76 ID:s/shtp8hO
終わりです
割と短かった
何かあれば答えます
59 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします:2016/05/30(月) 19:13:01.87 ID:7yVcmeE/O
保健教師強い........強くない?
60 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします:2016/05/30(月) 19:15:12.19 ID:7yVcmeE/O
言い忘れた
乙!
61 : ◆gvDwHmHzw6:2016/05/30(月) 19:32:38.70 ID:s/shtp8hO
>>59
ニコチン切れると女々しくなります
読んでくれてありがとう
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