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幽霊「殺されました」

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Part1
1 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします :2013/08/11(日) 00:39:54.57 ID:NyG5oMTU0
このSSには殺人、流血、カニバリズム等の表現が含まれています。
基本的にゆっくりとしたガールズトークです。

2 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします :2013/08/11(日) 00:40:29.21 ID:MHpJnXQ+0

幽霊「殺されました」
女「はい」
幽霊「なので」
女「はい」
幽霊「仇をとってください」
女「丁重にお断りさせていただきます」

3 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします :2013/08/11(日) 00:40:54.18 ID:MHpJnXQ+0

幽霊「何故です」
女「その前に、言葉遣い崩していいですか? 丁寧語は苦手なもので」 
幽霊「お構いなく」
女「ありがとう。で、まずあなた誰?」
幽霊「これは失礼。生前は佐野舞子と名乗っていました。戒名はまだです」
女「あたしは樋口ゆかり。佐野さんは最近死んだばかりなの?」
幽霊「そうです、七日前に」
女「ここらへんで殺人事件とか事故とか、なかった気がするんだけど」
幽霊「発覚していないだけです」
女「マジか」
幽霊「マジです」

4 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします :2013/08/11(日) 00:41:32.65 ID:MHpJnXQ+0

女「佐野さんは人知れず死んで、遺体もまだ見つかっていないと」
幽霊「そうなりますね」
女「それは……まあ、御愁傷様です」
幽霊「いえいえ。もう終わりましたから」
女「うわぁ…なんというか胸が苦しい」
幽霊「そんなに気にしないでください。こちらも困りますので」
女「どこで死んだの?」
幽霊「え?」
女「犯人を捕まえることはできないかもだけど、身体ぐらいなら発見して通報できるよ」
幽霊「ありがとうございます。でも、ちょっと難易度が高いですよ」

5 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします :2013/08/11(日) 00:42:04.75 ID:MHpJnXQ+0

女「山? 海?」
幽霊「それならまだ良かったんですけどね」
女「というと?」
幽霊「犯人のおなかの中です」
女「お、おなか」
幽霊「はい」
女「おなかって、ぽんぽんのことだよね?」
幽霊「ぽんぽんですね」
女「それってつまりはカニバリズム……!」
幽霊「ソニー・ビーン一族とかアルバート・フィッシュのあれですね」
女「いや知らないけど」


6 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします :2013/08/11(日) 00:42:31.13 ID:MHpJnXQ+0

幽霊「知らなくてもちゃんと生きていけますので問題ないです」
女「はぁ」
幽霊「骨はまだかろうじて残っているんでしょうかね。後は煮込まれたり焼かれたり」
女「おええぇぇ」
幽霊「ごめんなさい。ああ、さする手がないのは不便ですね…」

7 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします :2013/08/11(日) 00:42:58.33 ID:MHpJnXQ+0

女「復活。だけどトラウマ間違いなし」
幽霊「どうもすみませんでした」
女「とにかく、ここまでの話を整理しよう」
幽霊「ええ」
女「犯人はカニバリズム趣味を持ち、佐野さんは殺されて食べられている」
幽霊「そうなりますね」
女「佐野さんの身体は犯人の家にあるってことでいいの?」
幽霊「はい」
女「ますます仇とか討ちたくないよ…。食べられちゃうじゃん」
幽霊「しかし、早めに対処しないといずれ樋口さんも食べられるんじゃないかと」

8 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします :2013/08/11(日) 00:43:42.10 ID:MHpJnXQ+0

女「なぜに私が」
幽霊「犯人、このアパートの隅っこに暮らしていますから」
女「それって」
幽霊「あなたの隣の隣に住んでいることになります」
女「嘘だと言ってよバーニィ」
幽霊「残念ながらこれ現実なんですよね」
女「あの人温厚で優しいのに…そんなことするようには思えない」
幽霊「しかし実際に私は殺されてしまったわけですし」
女「というか、気づかなくてごめんなさい」
幽霊「いいえ。声潰されてましたから叫べませんでしたし、距離だって一部屋ぶんあいてますし」
女「いろいろ重い」

9 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします :2013/08/11(日) 00:44:49.58 ID:MHpJnXQ+0

幽霊「今まであなたに手を出していないのは、新たな失踪者がこのアパートから出るとまずいんからだと思いますよ」
女「私が突然いなくなったら警察がこのアパートを調べたり聞き込みをしたりするからかな」
幽霊「おそらくは」
女「あれ?」
幽霊「はい?」
女「新たな失踪者って、まさか佐野さんの前にも何人か…」
幽霊「いました。犯人が自分で五人殺したと言っていましたし」
女「し、新聞! アイフォンでもいいや! どこだ!」
幽霊「散らかってますからねぇ」
女「ない! どこにいったんだアイフォン!」
幽霊「ここに」
女「サンキュ!」
幽霊「いえいえ」

10 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします :2013/08/11(日) 00:45:27.24 ID:MHpJnXQ+0

女「えっと記事は…これか。この市と、隣の市町の失踪者の数……この半年で四人。警察は事件性があるとみて捜査を……ありありだよ!」
幽霊「あれ、失踪者リストに私も含まれているみたいですから数が合わないですね」
女「もしかしたら誰かの捜索願が出されてないだけかもしれない。うわぁ、どうしよう」
幽霊「失踪事件の犯人が同じアパートに住んでいるってどんな気持ち? ねえねえどんな気持ち?」
女「塩撒くぞ」
幽霊「ごめんなさい」
女「分かればいい」
幽霊「ありがたきしあわせ」

11 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします :2013/08/11(日) 00:46:11.58 ID:NyG5oMTU0
10
女「うわああ、もう無理無理無理、これからどうやってあの人と話せばいいの」
幽霊「腹をくくるしかありません。私は首をくくられましたが」
女「それジョークだと思ったら大間違いだからね?」
幽霊「やはり。死んでからというものの急激に空気が読めなくなりました」
女「まあ現世から卒業したようなものだからね…」
幽霊「早く常世に行きたいものです」
女「成仏しないの?」
幽霊「犯人に仕返しするまではこの世界にしがみ付いて見せます」
女「そうですか」

12 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします :2013/08/11(日) 00:47:30.40 ID:NyG5oMTU0
11
女「警察に通報…しても信じてもらえないか」
幽霊「証拠があれば一発なんですけど」
女「よしちょっと自分の体持ってきてよ」
幽霊「それが出来たら苦労しません」
女「ですよねー」
幽霊「あの人たまに食べきれない部分とかをゴミ出ししているんですよ。そこを激写してゴミ袋開けて」
女「可憐な乙女に死体の入った袋を開けろと申されるか」
幽霊「ふぁーいとっ! たたかうっきみっのうたをっ!」
女「この野郎、人ごとだと思いやがって…」
幽霊「じゃあなんですか、犯人に直接インタビューですか」
女「なんでキレてるの?」
幽霊「ちょっと殺された時のことを思い出して無性に腹が立ちました」

13 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします :2013/08/11(日) 00:48:15.42 ID:NyG5oMTU0
12
女「まあ、その気持ちはわかるかもしれない」
幽霊「食べられながら殺されたといいますか、殺されながら食べられたといいますか」
女「一思いに死にたいものだね」
幽霊「まったくです」
女「はあ……写真の件は、ゴミの日は明後日だからちょっと考えさせてよ」
幽霊「はい」
女「あたしはあたしなりに調べる。佐野さんがあたしの幻覚って言うこともあり得るから」
幽霊「なんと変なところで疑い深いお方」
女「じゃあ、夜も遅いからまた明日ね。おやすみ」
幽霊「はい、おやすみなさい」

21 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします :2013/08/12(月) 16:43:47.11 ID:i0vNqOgb0
13
幽霊「樋口さんはお休み中です、と誰にともなく呟いてみます」
幽霊「ん…こんばんは」
幽霊「えっと。どちらさまでしょうか、武者のお方」
幽霊「!?」
幽霊「は、話せばわかります! 話せば分かりますから! だから刀を下ろしてください!」
幽霊「違います、私悪いものじゃありません。はい、はいそうです」
幽霊「分かってもらえて何よりです…」
幽霊「見る限り…あなた様は樋口さんの守護霊ですか?」
幽霊「ああ、ご先祖様ですか。これはどうもです」

22 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします :2013/08/12(月) 16:44:26.13 ID:i0vNqOgb0
14
幽霊「樋口さんは私のことが見えていますが、あなた様は?」
幽霊「見えるけど普段は隠れている? それはまた、どうして」
幽霊「…子供の時に大泣きされたからですか。もう彼女は大人ですけど…」
幽霊「嫌われるのが怖いと。見た目と違ってかなりナイーブな方なのですね」
幽霊「私ですか? 年が近くて同性だからかと思われます」
幽霊「はい」
幽霊「霊の性転換とか誰の得になるんですか」
幽霊「落ち着いてください」
幽霊「『こっちのほうの刀はもう使わない』?」
幽霊「下品なネタはやめてください」

23 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします :2013/08/12(月) 16:44:56.98 ID:i0vNqOgb0
15
幽霊「落ち着かれたようで何よりです」
幽霊「…え?」
幽霊「それは、その……」
幽霊「確かに、彼女を犯人を捕まえるために使うのは心苦しいです」
幽霊「危険だって…あるかもしれません。だけど」
幽霊「あの男、樋口さんを」
女「んー…」
幽霊「……寝相変えただけですね。びっくりした」
幽霊「あ、はい。続けます。樋口さんも狙っているみたいで」
幽霊「そう話してました。私の肉削ぎながら」
幽霊「痛いというか、そのころにはもう感覚なかったんで」

24 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします :2013/08/12(月) 16:46:51.47 ID:i0vNqOgb0
16
幽霊「『彼女の肉もおいしそう』とか言ってたんです」
幽霊「そうですね、変態です」
幽霊「時期が来たら、いずれ私――私たちと同じように食べられてしまうでしょう」
幽霊「だから、これ以上あんな思いする人を出してはいけないから」
幽霊「警告半分、見つけてほしい半分で樋口さんに接触したわけです。触れてはいませんが」
幽霊「…私のせいで彼女が死んだ場合?」
幽霊「その時は…私が責任を持ちます」
幽霊「どうやって? それは……」
幽霊「……」
幽霊「そうですね。すべては樋口さんの判断にゆだねます」
幽霊「彼女が拒否したなら、私はもう関わりません。警告だけして去ります」
幽霊「はい」
幽霊「お気遣いありがとうございます」
幽霊「――もうすぐ朝ですね。寒そうな天気です。もう分からないのが残念ですが」
幽霊「分かりました、よろしく言っておきます」

25 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします :2013/08/12(月) 16:48:13.20 ID:i0vNqOgb0
17
女「ふわ…」
幽霊「早起きですね」
女「あのさ」
幽霊「どうしましたか」
女「胸の上で正座するのだけはやめて」
幽霊「体育座りは」
女「そういう問題じゃない。どけぃ」
幽霊「所詮霊魂ですからぶつかりませんし、無視して起き上がってもいいかと」
女「気分の問題」
幽霊「そういうものですか」
女「そういうものです」

26 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします :2013/08/12(月) 16:49:34.74 ID:i0vNqOgb0
18
女「ともあれ、おはよう」
幽霊「おはようございます」
女「あ…幻覚が未だに消えていない」
幽霊「まだそれを言いますか」
女「正直そろそろ現実から目背けるのも無理な気がしてきたんだよね」
幽霊「といいますと」
女「悲しいけどきみを幽霊として認定しよう」
幽霊「わーい」
女「とりあえず朝ごはん食べよう。牛乳っと…あれ、牛乳がない」
幽霊「そんな絶望的な顔をしなくても」
女「牛乳のないコーンフレークなんてただのぱりぱりしたコーンフレークだ!」
幽霊「コンビニに買いに行けばいいじゃないですか」
女「せっかくの休みは引きこもるって決めていたのに…」
幽霊「ダメ人間ですね」
女「自覚はしている」

27 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします :2013/08/12(月) 16:50:15.06 ID:i0vNqOgb0
19
女「うー、寒い……」
幽霊「寒いですか。私にはさっぱり分か――…犯人の登場です」
女「お、おはようございます」
犯人「ああ、樋口さんおはようございます。寒いですね」
女「寒い、ですね」
犯人「学生はもう冬休みなんでしょうね。僕ら社会人としては羨ましいことです」
女「ですね…とても、うらやま、しい、です」
犯人「どうかしたんですか?」
女「あ、その、ガス止めたか気になってきちゃって」
犯人「あはは、確認してきたほうがいいですよ。じゃあまた」
女「はい、また」


28 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします :2013/08/12(月) 16:52:12.09 ID:i0vNqOgb0
20
女「これほど自分の家に入って安堵したことない!」
幽霊「おつかれさまでした」
女「もうなんなの、ミステリー小説で最初から犯人分かってるみたいなこの感じ!」
幽霊「事実その通りでしょう」
女「もうお外出たくない怖い」
幽霊「それで、牛乳はどうするんですか?」
女「あっ」
幽霊「……」
女「……どうする?」
幽霊「私には関係ありませんし」
女「うううー、買いに行こう…」
幽霊「よっぽどパリパリが駄目なんですね」

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