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士郎「衛宮さんちの美味しんぼ」

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Part2
22 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2018/06/27(水) 02:52:54.14 ID:B36hnpLHO
 【柳洞寺】
桜「キャスターさん、こんにちは」
キャスター「あら、あなたたち……。何の用かしら」
士郎「キャスター……。その、悪いんだが……」
士郎「こうこうこういうわけがあってーー」
キャスター「……それで、うちの豆腐が欲しいと」
士郎「ああ」
桜「柳洞寺に、豆腐……ですか?」
士郎「ああ。お寺といったら精進料理。豆腐もそこに含まれる」
士郎「柳洞寺では豆腐も自分で作っているんだ。そうだろ、キャスター」
キャスター「え、ええ……。確かにそうだけど」
士郎「柳洞寺の菜園で育てられた大豆ーー精進料理という特性上、無農薬・オーガニックだ。そんな質のいい大豆からできた豆腐は実に美味しい。大豆の芳醇なうま味をそのままに、とろけるような、そんなクリーミーさを持っている」
士郎「そのクリーミーさは、麻婆豆腐の辛さによく溶ける。そして調和を生むんだ」
士郎「ーーというわけで、豆腐を譲ってくれないか?」

23 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2018/06/27(水) 02:56:21.27 ID:B36hnpLHO
キャスター「そうね……。タダで譲るわけにはいかないわ」
士郎「もちろん金は払うさーー経費で」
桜(経費で落とせるのでしょうか……。豆腐……)
キャスター「いいえ、別にお金はいらないわ。お金に困っているわけじゃないし」
士郎「そ、それじゃどうすればいいんだよ……」
キャスター「最上の豆腐と同じ価値のもの……。それと交換っていうのはどうかしら」
キャスター(セイバーちゃんとかセイバーちゃんとかセイバーちゃんとか)
士郎「ーー葛木先生の秘蔵ブロマイドセット」
キャスター「グリフィンドォォォォォォォル!!!!!!!!!!」
桜「……よし(適当)」

24 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2018/06/27(水) 02:58:14.43 ID:B36hnpLHO
士郎「さて、キャスターから豆腐だけじゃなく野菜・米も譲ってもらえることになった」
桜「幸先がいいですね!」
士郎「ああ。豆腐と同じく質がいいから問題はない」
桜「そうですね。あとはーー」
士郎「ひき肉だ」
桜「どこか、あてはあるんでしょうか?」
士郎「うーん、そうだな……」

25 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2018/06/27(水) 03:16:55.51 ID:B36hnpLHO
 【とある肉屋】
士郎「ここはどうだろう」
桜「いかにも、専門店という風格が漂っていますね」
士郎「そうだな……。さて、入ってみるか……」
???「いらっしゃい(イケボ)」
士郎「あのー、ひき肉はーーって、どうしてこの店にいるんだ!? アーチャー」
アーチャー「衛宮士郎……と、間桐桜か……」
桜「こんにちは、アーチャーさん」
アーチャー「……これは厄介なことになったな」
士郎「おい、客に向かって『厄介』はないだろ?」
アーチャー「……いや、嫌な予感がしたんでね」
士郎「バイトでも始めたのか?」
アーチャー「それを説明すると、ちょうど一本の映画が見られるくらいの時間になるが」
士郎「単に説明するのが面倒なだけなんじゃないか……?」
士郎「……もしかして、遠坂絡みとか?」
アーチャー「いや……」
凛「ーー私をお呼びかしら?」

26 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2018/06/27(水) 03:20:23.45 ID:B36hnpLHO
士郎「と、遠坂!?」
桜「姉さん!?」
アーチャー「……やれやれ、災厄は避けられなかったか」
士郎「どうして遠坂がここにいるんだ?」
士郎「……遠坂も肉を買いに来たのか?」
凛「そう見えるかしらーーあなたのお家でご馳走になってる私が」
士郎「だ、だよな……。じゃ、じゃあ、とうとう家計が瀬戸際になってアーチャーと一緒にアルバイト……とか?」
凛「し、失礼ね! 私の仕事のこと知ってるでしょ!?」
士郎「あー、ええと……」
桜「……もしかして姉さん、このお店の経営も始めたとか? ですか?」
凛「さすが桜ね、ご名答よ」


27 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2018/06/27(水) 03:23:15.69 ID:B36hnpLHO
士郎「は? ええ!? どういうことだ!?」
アーチャー「正確には『ぶんどった』という言葉がふさわしいだろう」
凛「ちょっとアーチャー、怒るわよ?」
アーチャー「もともとは諸事情あって私がこの店を手伝ったことから始まった」
アーチャー「この店の主人とその妻の共同経営だったんだが、ご高齢ということもあり、廃業を視野に入れていたらしい」
アーチャー「ーーそして、私に『後を継いでくれないか』と申し出てきたんだ」
士郎「す、凄いな……」
アーチャー「私は困惑したのだが、そんな時に目をつけてきたのがこちらのハイエナお嬢さんだ」
凛「ちょっとアーチャー、私をどこかの傲慢成金当主みたいに言わないでくれる!?」
桜「どういうことでしょうか?」
凛「いわゆる買収よ、買収」
士郎「ハイエナじゃないか……(困惑)」
凛「な!? 士郎まで!?」
桜(姉さんは魔術師ですが、副業として企業の管理・運営を行っている実業家でもあります)

28 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2018/06/27(水) 03:26:44.29 ID:B36hnpLHO
アーチャー「まあ、廃業の危機にあった肉屋をリンが買い取って、リニューアルしたということだ」
凛「そういうことよ! 決して強引に奪い取ったわけじゃないんだから! ご夫妻も快諾してくれたし!」
士郎「なんだ、言ってくれれば良かったのに」
凛「それは……。べ、別に仕事の成果をあれこれ吹聴する必要はないじゃない……」
アーチャー「店を買収した後ろめたさがあるに違いない」
凛「……アーチャー?」ピキッ
士郎「ま、まあまあ二人とも……!」
士郎「ーーということは、アーチャーはそのまま店員になったってことか?」
アーチャー「店長とは名ばかりで、荷馬車のように働かされているよ」
凛「人聞きの悪いこと言わないで」
桜「サーヴァントだけに、使役されているということですね!」ドヤッ

29 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2018/06/27(水) 03:29:23.70 ID:B36hnpLHO
アーチャー「……」
凛「今の時代、魔術師だけじゃどうにもならないのよ。これからはマネージメント能力が一層必要なわけ」
士郎「なるほどなーーそれで、この店のオーナーである遠坂がここにいる理由はどうしてだ?」
凛「これからの作戦会議と、あとはお店をリニューアルしたから、その様子を見に来たの」
士郎「そうか……。まあ、遠坂らしいと言えば遠坂らしいな。さすがだよ」
凛「ほ、褒めてもサービスなんてしてあげないわよ……//」
士郎「あ、そうだーー遠坂、ひき肉が欲しいんだけど」シレッ
凛「ひき肉? 今晩の献立に必要なの?」
士郎「いや、そうじゃなくて……」
桜「ーーそれは、こうこうこういうわけがあったんです」
凛「はあ、こうこうこういうわけがあったのね……」
士郎「それで、最高の食材を探しているんだ」
凛「そうね……。士郎、あなたがこのお店に来たのはさすがの嗅覚と言わざるを得ないわね」

30 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2018/06/27(水) 03:33:57.09 ID:B36hnpLHO
士郎「……どういうことだ?」
凛「あなたなら分かるはずよーー周りを見てみなさい?」
士郎「……ッ」
士郎「こ、これは……」
桜「先輩……?」
士郎「肉のクオリティーーどれをとっても上等じゃないか! それにラインナップも相当充実している!」
桜「本当だ……! 牛・豚・鶏はもちろんのこと、羊や山羊、あとは……」
桜「い、猪や鹿、馬のお肉まで!?」
凛「そうよ。この高品質・豊富な品揃えのお店は周辺でもここくらいじゃないかしら」
士郎「でも、需要はあるのか? どれも高そうだぞ?」
凛「ええーーもちろん、普段使いのお客様をターゲットにしたリーズナブルなお肉も豊富に揃っているわ」
凛「けれど、一部の物好きや品質・安全重視の人、高級志向の人、あとは諸事情あって特定のお肉しか食べられない人をターゲットにした商品も仕入れているの」
士郎「この街も外国出身の人が増えてきたからな……。なるほど、それじゃ山羊や羊の肉も需要がありそうだな」
凛「ええ。意外と売れているのよ? 中東系やアフリカ系の料理店に卸したりしているし」
士郎「なるほどなぁ……」
凛「それで、ひき肉だったわね? これとかどう?」
凛「ひき肉といえば、価値が低いくず肉が使われることが多いけど、これは価値がある部位をわざわざミンチにしたものよ」
士郎「おお、いいんじゃないか……?」
桜「そうですね、申し分ないと思います!」
凛「お眼鏡にかなったようで幸栄だわ」
士郎「ありがとうーーあと、鶏ガラって置いてあるか?」

31 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2018/06/27(水) 03:36:32.76 ID:B36hnpLHO
凛「鶏ガラねぇ……」
桜(さすがに骨はーー)
アーチャー「もちろんあるぞ」
士郎「オイオイオイ、本当か?」
凛「近くのラーメン屋にも卸しているし、もちろんあるわよ」
アーチャー「ほら、この通りだ」
桜「凄い……! さすが姉さんです!」
凛「だ、だから褒めても安くしてあげないんだからね……//」
士郎「よし、これで食材面もクリアだな!!」
桜「はい!」

32 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2018/06/27(水) 03:38:40.94 ID:B36hnpLHO
 【言峰飯店】
士郎(そして、なんやかんや準備とかなんかやって、勝負当日を迎えた)
士郎「麻婆豆腐は頼んだ」
綺礼「ふん、お安い御用だ」
綺礼「この食材を使えば良いのだな?」
士郎「ああ。鶏ガラスープは?」
綺礼「長時間煮込んで完成させておいたぞ」
士郎「さすがだ……。それじゃあ、さっそくとりかかろうか」
綺礼「ふっ、まさか君に協力する日が来ようとはな」
士郎「……俺も驚いているよ」
綺礼「はっきり言って意味が分からないが、料理の研鑽のためと思えば、まあ良いだろう」
綺礼「ーーそれと、あの日のお代を払ってくれ」
士郎「あんたは麻婆豆腐を、俺たちは麺を作る。それじゃあ任せた」
綺礼「お代……」
綺礼「……ふっ」

33 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2018/06/27(水) 03:42:21.09 ID:B36hnpLHO
桜「ーーそれで先輩、行程はどのように?」
士郎「あの小麦粉を丸めて、寝かせておいたのがこれだ」ドンッ
桜「つまり、これを今から手打ちするということですね?」
士郎「ああ」
桜(先輩、まさかラーメンの麺まで作れたなんて……!!)
桜(凄いです……//)
士郎「ーーじゃあ頼んだ、バーサーカー」
桜「え?」
バーサーカー「えっす!!」ドン!
桜「え……。え……!?」
士郎「ああ。バーサーカーの武器というか麺棒、あれデカすぎて俺たちじゃ使えないだろ? だから本人に打ってもらうことにしたんだ」
桜「えぇ……!?」
士郎「ああ大丈夫大丈夫。イリヤにも許可取ってきたから」
バーサーカー「えっす!!」
桜「……」
士郎「お!? もうできたのか!?」
バーサーカー「えっす!!」
士郎「よし、厚さも均一だ!!」
士郎「やはり香りもいい。小麦本来の香りだ!! 俺の見立てに狂いはなかった」
バーサーカー「えっす!!」
士郎「おう、ありがとなバーサーカー」
桜(意思疎通ができている……?)

34 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2018/06/27(水) 03:45:24.26 ID:B36hnpLHO
士郎「よし、あとは……」
桜「これを切って麺にする行程ですね」
士郎「その通りーー頼んだぞ、セイバー」
セイバー「承知しました、マスター……!!」スッ
桜「えっ? えっ!?」
士郎「ああ、麺を切るのはセイバーに任せることにしたんだ」
セイバー「見て下さい桜。私のエクスカリバーを麺切り包丁にしてみました」ドヤッ
桜(どうしよう、私ツッコミキャラじゃないんだけどな)
士郎「やはり達人に任せた方が確実だろ? セイバーは切ることに関しては達人だからな」
セイバー「やめてくださいシロウ……// 私はまだまだ修行の身……」
セイバー「ですが、これを最高の麺に仕上げてみせましょう……!!」
セイバー「エクス……」
セイバー「カリバアアアアアアアアアアア!!!!!!!!!!」
士郎「おお!? さすがだセイバー!! 完璧な太麺があっという間に出来上がったぞ!!」
セイバー「これくらい、朝飯前というものです!!」ドヤッ
士郎「よし、これで麺は完成だ!!」

35 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2018/06/27(水) 03:50:45.49 ID:B36hnpLHO
士郎「あとはーー」
アサシン(Mr.佐々木)「私に任せてもらおう……!!」
桜(もう何が来ても驚きません)
桜「あの……。アサシンさん? は確か柳洞寺の……」
士郎「ああそうだ。このアサシンこそ切る達人かと思ったがーー」
アサシン「拙者、『湯』切りに覚えあり……!!」シュッ
士郎「そう、彼は湯を切るスペシャリスト!! 麺の茹では任せた!!」
桜「あの、柳洞寺から出られないって設定は……」
アサシン「あぁ~いッッッッッッッッッッ!!!!!!!!!!」シャッ! シャッ!
士郎「なんという湯切り……!! 麺が輝いている……!!」
アサシン「へいお持ちぃッ!!」ザッ!
士郎「よし! 最高の麺が仕上がったぞ!」
綺礼「こちらも、最高の麻婆豆腐の出来上がりだ……!!」ドンッ!
士郎「最高の麻婆豆腐と、最高の中華麺をドッキングしてーーおあがりよ!!」
イリヤ「ーーわぁー、いい香りだわぁ~!」
凛「士郎、彼が来たみたいよ!!」
士郎「イリヤ、遠坂……!?」

36 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2018/06/27(水) 03:54:51.23 ID:B36hnpLHO
士郎「くっ、ちょうど来やがったかーーあのじいさん」
舞弥「ーー失礼します」スッ
切嗣「……」ズオォォオオ
切嗣「これはこれは……。揃いも揃って、壮観なことだね」
イリヤ「……」ゴゴゴゴゴゴゴ
セイバー「……」ゴゴゴゴゴゴ
綺礼「……」ゴゴゴゴゴゴゴゴ
切嗣「どれどれ、究極の麻婆ラーメンとやらを頂いてみようじゃないか」
士郎「ーーほらよ。これが俺たちの麻婆ラーメンだ」バァン!
切嗣「ふん……。本来なら料理とも言えないこんな低俗なものなど見たくもなかった」
切嗣「こんなものは、そこのかわいい騎士王さん()が食べるような下等な代物だとーー」
セイバー「……な!? それは聞き捨てなりません!!」
切嗣「ーーそのように言ってくれないか、舞弥」
舞弥「自分で伝えなさい」
切嗣「まあいいや……。いただきます」
舞弥「……」ピキッ
舞弥(切嗣……。ちゃんと『いただきます』が言えましたね。それで許してあげましょう)

37 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2018/06/27(水) 04:01:47.58 ID:B36hnpLHO
士郎「……」
桜「……」
綺礼「……」
イリヤ「……」
セイバー「……」
切嗣「……ほう」コトン
切嗣「この麻婆豆腐、アレとアレがこうでなんかこうグワッとしたうま味がちゃんとあるじゃないか」
切嗣「絶妙に調和した二種類の辛み。そこに鶏ガラのうま味、豆腐のまろやかさ、ひき肉の脂が溶けて、ハーモニーを生む(語彙不足)」
切嗣「そしてこの麺、太麺にすることで麻婆豆腐がよく絡む。そして手打ちのようだなーー適度なコシがあり食べ応えがあるし、小麦の香りが鼻から抜ける。どうやら小麦粉もいいものを使っているようだ」
士郎(よし……!!)
イリヤ「ーーほんとだ! 辛いけどどんどん食べちゃうー!」ズルズル
セイバー「おかわりっ!!」
綺礼「ふむ……。これは愉悦……」
凛「私、中華にはうるさいつもりだったけど……。悔しい、これは何も言えないわね」
桜「麺が変わるだけで、味もこんなに変わるなんて……!」ズルッ
切嗣「ーーまあ、よくやったと褒めてはあげようじゃないか」
舞弥(切嗣、ちゃんと褒めることができるようになりましたね)
士郎「……ふっ」
士郎「お粗末!!」ドンッ
桜(先輩、やりましたねっ!)

38 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2018/06/27(水) 04:06:45.90 ID:B36hnpLHO
切嗣「ーーだが」
士郎「……ッ!!」
桜「……!?」
切嗣「士郎、君は重大なミスを犯したようだ」
士郎「な、なん……だと……!?」
桜「そんな……!! 皆さんの反応を見ても、この麻婆ラーメンは完璧だったはずです!!」
イリヤ「そうよ……!! なんでもかんでも批判しないと気がすまないなんて、老害よ老害!!」
セイバー「死ね(直球)」ボソッ
凛「……もしかして」
桜「姉さん!?」
切嗣「ほう、気付いたかい」
凛「ええ……。確かにこの麻婆ラーメンは完璧よ。ええ、それはもう……」
士郎「それじゃ、なぜ……?」
凛「でも、この麻婆ラーメンはそもそもーー」
切嗣「ラーメンじゃない」ドンッ

39 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2018/06/27(水) 04:10:07.68 ID:B36hnpLHO
一同「……ッ!?」
士郎「な……!? いや、そんなはずは……!!」
切嗣「士郎、君の考えを当ててあげようじゃないか」
切嗣「麻婆豆腐そのものはなかなかのものだった」
綺礼「……//」
切嗣「だが、問題はこの麺だ」
士郎「そんな……!! 最高の道具、最高の食材で仕上げた麺だぞ……!?」
切嗣「麺を手打ちにし、適度なコシと小麦本来の風味を再現したことは評価する」
切嗣「だがーー士郎、君はかん水を使っていないね」
士郎「……ッ!!」
桜「……!!」
切嗣「さしずめ、『かん水を使うと麺の風味が落ちるから』と考えたのだろう」
切嗣「どうだい? 当たっているだろう?」
士郎「ぐっ……!!」
切嗣「しかし、君は根本的なことを分かっていないようだ」
士郎「……!?」

40 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2018/06/27(水) 04:12:57.01 ID:B36hnpLHO
切嗣「この日本では、麺を分類するための規約がある」
切嗣「その規約を簡単に言うなら、かん水を使っているかどうかだ」
切嗣「つまり、かん水を使っているものは『中華麺』、使っていないものは『うどん・そば』といった形に表記する決まりなんだ」
士郎「なっ!?」
桜「ということは……」
切嗣「そう。かん水を使っていないこの麺は、そもそもラーメンとは呼べない決まりなんだ」ドヤッ
切嗣「これは麻婆ラーメンじゃないーー麻婆うどんだ!!」ドヤッ
一同「ナ、ナンダッテエエエエエエエエエエエエ!?」

41 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2018/06/27(水) 04:16:20.17 ID:B36hnpLHO
士郎「く……!! そんな……!!」
切嗣「この時代、かん水を悪者にしたり、業務用スープを全否定したり、化学調味料の全てに文句をつける馬鹿者がいる。食通を気取ってね」
切嗣「もちろん健康志向などそういった背景もあるが、そんなものは勝手にすればいい」
切嗣「だが、自分たちがその恩恵にあずかっていることも知らずに批判するなど、お門違いも甚だしい」
桜(あれ……? 随分前にラーメンとかジャンクなものを批判してませんでしたっけ?)
切嗣「士郎、君もまだまだ修行が足りないな」
士郎「く、くそ……!!」
切嗣「だが、麻婆ラーメンという新たな可能性を垣間見た」
切嗣「それだけでも、収穫としよう」
切嗣「行こう、舞弥」ガララッ
舞弥「ま、待って下さい切嗣(私はまだ食べていません)」
切嗣「ーー士郎」
士郎「……」
士郎「なんだよ、じいさん……」
切嗣「……」
切嗣「ジャンクフード、最高ーー」ガララッ
桜「エエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエ!?」


42 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2018/06/27(水) 04:18:15.06 ID:B36hnpLHO
士郎「……」
綺礼「……」
綺礼「……」
綺礼「……お代」ボソッ

43 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2018/06/27(水) 04:21:06.98 ID:B36hnpLHO
 【その後、冬木新聞社】
桜「先輩、お疲れ様です」
士郎「……あぁ」
桜「先輩……」
士郎「……」
桜「よ、良かったですね!」
士郎「……?」
桜「今回のコラムも無事に収めることができましたし、副部長も上機嫌ですよ!」
桜「読者の反応も上々みたいです!」
士郎「ああ……」
桜「そ、それにーーこの前の料理番組で、ケリィさんも麻婆ラーメンの魅力について語っていました! 先輩の頑張りはしっかりと評価されているってことじゃないでしょうか!?」
士郎「あのおやじ……。俺の成果を横取りしやがって……」
桜「ま、まぁまぁ……!」

44 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2018/06/27(水) 04:25:52.55 ID:B36hnpLHO
桜「ーー先輩」
士郎「……?」
桜「明日は休日ですし……。今日は一杯、行きましょうか?」
士郎「……お!! いくか!?」
桜「はい!」
桜「……残りの仕事、終わらせてしまいましょう!」
士郎「そうだな。ありがとう、桜!」
桜「はい!」
士郎「……」
士郎「マ、ママァ~!!」
桜「もう~、先輩ったら//」
士郎(確かに、色々と大変な毎日だがーー)
士郎(桜のバブみ、ヤバいな)
続 かない

45 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2018/06/27(水) 04:27:03.81 ID:B36hnpLHO
ありがとうございました。

46 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2018/06/27(水) 05:14:47.01 ID:0SuTxn480
何故料理知識も語彙もないのに料理ネタ書いてしまったのか
面白かったよ乙

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