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灰原「今までありがとう、江戸川君」

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Part2
27 : 以下、名無しが深夜にお送りします :2015/04/16(木) 02:35:44 3QkDZ92Y
コナン「なにこれ」
灰原「ああ、あなたにはまだ言っていなかったわね」
沖矢「私たち結婚したんです」
コナン「はあ!?」
ドゴッ
沖矢「~~~~っ」
灰原「そういう博士レベルの冗談いいから」

28 : 以下、名無しが深夜にお送りします :2015/04/16(木) 02:37:12 3QkDZ92Y
灰原「昴さんに、ここに住んでもらうことにしたの」
コナン「」
灰原「小学生が一人暮らしじゃ何かと不便でしょ。世間体もあるしね」
コナン「オメー昴さんのことめちゃくちゃ警戒してたじゃねーか」
灰原「何よ、彼を『ホームズフリークに悪い奴ァいない』とかいうわけわかんない理論で信用してたのは工藤君じゃない」
灰原「私が正体不明の彼に怯えていても、まともに取り合ってもくれないし……」
コナン「や、だってよそれは昴さんが……」
灰原「……それはもう知ってるわよ。でももう少しきちんと説明して欲しかったわ」
灰原「何も知らされないまま、一人で馬鹿みたいに警戒して……心細かったんだから」
コナン「悪かったよ……」
灰原「……まあ、それはいいのよ。私の身の安全を考えてのことだと思うから……」
コナン「……」
灰原「それにね……あなたが信頼しているから、私も少しは信じてみようって思えたのよ?」ボソ
コナン「えっ?」
灰原「……何でもないわ」

29 : 以下、名無しが深夜にお送りします :2015/04/16(木) 02:38:24 3QkDZ92Y
灰原「せっかく組織の鎖が断ち切れて、自由の身になったんだもの」
灰原「私も、前を向いて歩く覚悟を決めたの」
灰原「実らない初恋をいつまでも引きずってちゃいけないってね」
コナン「な……それって……」
灰原「勘違いしないでよね。あくまでも『灰原哀』の初恋だから」
灰原「だけど、私もまだ人を好きになれるんだってこと……工藤君、あなたが教えてくれたのよ」
コナン「ーー灰原、まさかオメー俺のこと」

30 : 以下、名無しが深夜にお送りします :2015/04/16(木) 02:39:27 3QkDZ92Y
灰原「ふふ、でももう遅いからね? 女の子の気持ちには鈍感な名探偵さん?」
コナン「……!!」
灰原「吉田さんが好きなんでしょ? 簡単に諦めるんじゃないわよ」
灰原「今まで、私を守ってくれてありがとう。ーー江戸川君」
コナン「はい、ばら……」
灰原「じゃあ、私は出かける準備するから……」
コナン「……」
タンタンタン……
沖矢「……」

31 : 以下、名無しが深夜にお送りします :2015/04/16(木) 02:40:22 3QkDZ92Y
コナン「……」
コナン(灰原が普通の幸せを見つけたんなら、よかったじゃねーか)
コナン(これからはあんまり頼らないようにしねーと……)
コナン(……)
コナン(俺、ことあるごとに灰原に頼りっぱなしだったんだな……)
コナン(……)
コナン(俺って……本当は灰原のこと……)
コナン(クソ、何なんだよこれ!! 何なんだよ、俺は!!)


32 : 以下、名無しが深夜にお送りします :2015/04/16(木) 02:41:31 3QkDZ92Y
沖矢「目をつけた女性に振られ続け、ようやく彼女の存在の大きさがわかったというところですか」
コナン「……!!」
沖矢「最低ですね、彼女は最後まで坊やのことを想っていたのに」
コナン「んなこと言ったって、まさかあの灰原がそんな」
沖矢「鈍感でデリカシーのない男が何故かモテる時代は終わったということです」
コナン「なっ……誰のことだよ!!」

33 : 以下、名無しが深夜にお送りします :2015/04/16(木) 02:42:18 3QkDZ92Y
沖矢「ま、さすがにかわいそうなので用意しておきましたよ」
コナン「はあ?」
沖矢「みt……黒幕を炙り出すスイッチです。これを使えば何かが変わるかもしれません」
コナン「何だよ、これ……」
沖矢「さあ? 私にもよくわかりませんが、くれぐれも悪用はしないで下さいね」
沖矢「では私はこれから姫とデートなので……失礼」

34 : 以下、名無しが深夜にお送りします :2015/04/16(木) 02:42:59 3QkDZ92Y
ー帰り道ー
コナン「……今更光彦が何だって言うんだよ」
コナン「……」ポチポチポチポチポチ

35 : 以下、名無しが深夜にお送りします :2015/04/16(木) 02:43:45 3QkDZ92Y
??「あぢぢぢぢぢぢぢぢっ!?」
コナン「!?」
光彦「なっ、何てことしてくれるんですかコナン君!! 服が全部燃えつきちゃったじゃないですか!」パチパチパチ
コナン「オメーどこから出てきたんだよ!!」
光彦「ハッハッハ、バレちゃしょうがないですね!」プスプスプス
光彦「僕はあなたの影に潜んでいたんですよ!!」

36 : 以下、名無しが深夜にお送りします :2015/04/16(木) 02:45:03 3QkDZ92Y
コナン「はあ……? 話についていけねえんだけど」
光彦「僕は博士の作った数多の光彦虐待スイッチのせいで完全に死にました」
光彦「しかし! その副作用で僕の周りの世界をちょっとだけ作り変える力を手に入れたんです!!」
コナン「なんだそりゃ、安いSFじゃあるまいし」
光彦「あなたに言われたくありませんよ!!」
光彦「とにかく、素晴らしい力を手に入れた僕がやることはひとつ」
光彦「僕を酷い目に合わせた奴らへの復讐です!!」
光彦「主犯である博士は変質者として逮捕され、あとはスイッチを悪用しまくったあなただけ」
コナン「……」
光彦「ふふふ、どうです? 愛する人が次から次へと他の男に奪われる気持ちは」
コナン「なーー!!」

37 : 以下、名無しが深夜にお送りします :2015/04/16(木) 02:45:45 3QkDZ92Y
光彦「僕はね、ずっと思っていたんです」
光彦「なぜいつも鈍感でデリカシーの欠片もない男ばかりがモテるのかと」
光彦「僕のように女性に対してきちんと配慮し、女性から頂いた好意は漏らさず気付き」
光彦「この胸でしっかりと受け止め、育み、倍にしてお返しする」
光彦「そんな紳士な男のハーレムってないと思いませんか?」
光彦「それはなぜかーーまあ、理由なんか今は関係ないです」

38 : 以下、名無しが深夜にお送りします :2015/04/16(木) 02:46:43 3QkDZ92Y
光彦「とにかく僕はコナン君、主人公というだけでモテまくるあなたが憎かった」
光彦「あなたの灰原さんに対する数々の失礼な所業……許せるものではありません」
光彦「なのに、なぜか灰原さんはあなたに好意を抱き続けている!!」
光彦「歩美ちゃんは初恋をこの世に存在し得ない男に捧げ!!」
光彦「青春の大事な時期に放置された蘭お姉さんは、子守に追われ新たな恋も出来やしない!!」
光彦「こんなクズ男にばかり都合の良い世界、あっちゃいけないんです!!」
光彦「だからあんたのフラグを全部折らせていただいたんですよ!! あははははははははは」

39 : 以下、名無しが深夜にお送りします :2015/04/16(木) 02:47:32 3QkDZ92Y
コナン「なん……だと……」
コナン「オメー正気かよ!?」
光彦「僕はいつでもマトモですよ! あんたよりはね!!」
光彦「だからマトモな理由で振られまくったじゃないですか!」
光彦「理不尽に嫌われるよりずっとキツかったでしょう!? リアルでね!!」
光彦「アタシのハツコイなの~、なんて言われたって何のオカズにもなりませんしねぇ!! あはっ」
コナン「ーー!!」ギリッ
光彦「ああっ、最高ですよコナン君、今の君の顔!! 興奮しすぎて射精ちゃいそうです!!」
光彦「あーっはっはっはっはっはっはっは」

40 : 以下、名無しが深夜にお送りします :2015/04/16(木) 02:48:26 3QkDZ92Y
コナン「……」
コナン「オメーは……それでいいのかよ」
光彦「!?」
コナン「こんなことしたって! 結局オメーは誰からも愛されてねーじゃねーか!!」
光彦「……いいんですよ、僕はどうせ死んでますから」
光彦「あなた達のせいでね」
光彦「どうせ歩美ちゃんも灰原さんもそばかすだらけの僕に振り向いてくれることなんてないんです」
光彦「あなた達のせいでね!!」
光彦「僕は博士とコナン君さえ不幸になればそれで十分なんですよ!!」

41 : 以下、名無しが深夜にお送りします :2015/04/16(木) 02:49:47 3QkDZ92Y
コナン「……」
コナン「それは違うんじゃねーか? 光彦」
コナン「オメーだって、幸せになりたかったんだろ?」
コナン「オメーは本当は良い奴だよ。だって俺と博士以外の奴は幸せにしてやっただろ」
コナン「世界をめちゃくちゃにすることもできたはずなのに、な」
光彦「……」
コナン「博士にそそのかされてスイッチ押しまくったのは……悪かった」
コナン「オメーがそんなに苦しんでたなんて知らなかったんだ」
コナン「俺、これからは心を入れ替えるよ」
光彦「コナン君……」グズッ

42 : 以下、名無しが深夜にお送りします :2015/04/16(木) 02:50:36 3QkDZ92Y
コナン「だから、全部元に戻そう」
コナン「俺も……オメーも真っ当に幸せになれる、本当の世界に」
光彦「……コナン君」
光彦「ありがとうございます」
光彦「でも、どうすればいいのかわからないんです」

43 : 以下、名無しが深夜にお送りします :2015/04/16(木) 02:51:18 3QkDZ92Y
コナン「え……? オメー、世界を作り替えられるんだよな?」
光彦「あれは、コナン君を絶望させるための嘘なんです」
コナン「は!?」
光彦「よく考えてみてくださいよ」
光彦「あなたの周りで起きたことは、博士の逮捕と僕の死さえあれば自然に起こり得る出来事でしかなかったんです」
光彦「博士が逮捕されたのだって、どう考えても自然の摂理でしょ?」
光彦「別に誰かが意図的に手を下すまでもなく、ね」

44 : 以下、名無しが深夜にお送りします :2015/04/16(木) 02:52:22 3QkDZ92Y
コナン(なんだと……)
コナン(……)
コナン(確かに、黒の組織が博士の逮捕なんていうアホな理由で潰れたせいで)
コナン(ドサクサに紛れて逃げ果せたジンが用務員として蘭と出会ったし)
コナン(歩美が元太にほだされたのはこいつらが同時にいなくなった寂しさからだ)
コナン(そしてロリコンは犯罪者の代わりに灰原の保護者の座を……)
コナン「……」
コナン「待て、そっちの方が絶望するんだけど」

45 : 以下、名無しが深夜にお送りします :2015/04/16(木) 02:52:55 3QkDZ92Y
光彦「とにかくそういうことなので、僕に何かできるかどうか……」
コナン「……」
コナン「もう一度これを使ってみよう」スッ
光彦「ひ……っ!! スイッチ!! い、嫌です!! もうあんな風に苦しみたくない!!」ガタガタガタ

46 : 以下、名無しが深夜にお送りします :2015/04/16(木) 02:53:44 3QkDZ92Y
コナン「落ち着け、光彦」
コナン「これを作ったのはショタコンこじらせた博士じゃねえ、オメーになんか興味ないただのロリコンだ」
コナン「だからさっきも服が燃えて全裸になる程度で済んだだろ?」
光彦「た、確かにそうですけど……でも……」
コナン「大丈夫、俺たちならできるさ」
コナン「博士がオメーを虐待しない、オメーも苦しんで死んだりしない」
コナン「みんなが幸せになれる世界に、戻すことがな!!」
光彦「コナン君……!!」
コナン「行くぞ……」


47 : 以下、名無しが深夜にお送りします :2015/04/16(木) 02:55:06 3QkDZ92Y
コナン・光彦「せーの!!」
ポチッ
ゴオオオオオオオオオ
コナン「光彦ォォォ!!」
光彦「ーーああ、心地良い炎です」
光彦「コナン君……ありがとうございます」
光彦「僕も……僕たちも……幸せになっていいんですよね……」

48 : 以下、名無しが深夜にお送りします :2015/04/16(木) 02:55:41 3QkDZ92Y
コナン「光彦の中からたくさんの光彦が炙り出されている……」
コナン「光彦が……浄化されているのか……?」
コナン「熱っ……!!」





49 : 以下、名無しが深夜にお送りします :2015/04/16(木) 02:56:24 3QkDZ92Y
蘭「コナンくーん! 早く起きなきゃ遅刻しちゃうよー!」
コナン「……!!」ハッ
コナン「夢……」
カチャ
コナン「……?」
コナン「これは……スイッチ? 焦げてるけど……」
コナン「夢じゃなかったのか……?」




50 : 以下、名無しが深夜にお送りします :2015/04/16(木) 02:57:43 3QkDZ92Y
コナン(世界は元に戻っていた)
コナン(まるで、長い長い悪夢から醒めたように)
コナン(蘭は新一を健気に待ってくれているし、歩美は俺を慕い、元太はうな重一筋)
コナン(光彦は少年探偵団の仲間として、みんなと仲良く過ごしている)
コナン(博士が善良な真人間であるだけで、世界はこんなにも美しくなるんだ)
コナン(ま、お陰で組織の問題は全く解決していないが、謎は俺が自分の力で必ず解いてみせる)
コナン(ーーきっとこれが、この世界のあるべき姿なのだろう)
コナン(ただ一つだけ変わったのは、俺が自分の本当の気持ちに気付いたことーー)


51 : 以下、名無しが深夜にお送りします :2015/04/16(木) 02:58:49 3QkDZ92Y
灰原「おはよ……」フワアアア
コナン「おいおい、また寝不足かあ?」
灰原「しょうがないでしょ、解毒薬の研究とかいろいろ忙しいのよ」
コナン「あんまり無理すんなよ? オメーが倒れちゃ元も子もねーんだから」
灰原「あら、心配してくれてるの? 今日は台風でも来るのかしら」クスッ
コナン「バーロ、心配するに決まってんだろ」
灰原「えっ……」ドキ

52 : 以下、名無しが深夜にお送りします :2015/04/16(木) 02:59:38 3QkDZ92Y
コナン「だってよ、俺はオメーのことーー」
??「哀さん、体操着忘れてますよ」スッ
コナン「は?」
灰原「やだ、気づかなかったわ」
コナン「なんでオメーの忘れ物を昴さんが持ってくるんだよ!?」
灰原「そういえばあなたには言っていなかったわね」
沖矢「私たち結k」スネゲシッ
沖矢「~~~~っ」

53 : 以下、名無しが深夜にお送りします :2015/04/16(木) 03:00:37 3QkDZ92Y
灰原「博士ってば、クライアントの開発室に一ヶ月ほど泊まり込まなきゃいけなくなって」
沖矢「隣人の私が博士の留守を預かることになったんです」
コナン「」
灰原「私は一人で大丈夫だって言ったのに、博士が勝手に頼んだのよ……」ハァァァァ
沖矢「……そこまで嫌そうな顔されたら、いくら私でも傷つきますよ」
灰原「あら、そういう扱いがお好きなんだと思ってたけど」ジト
沖矢「やだなあ、私そんな変態に見えます?」
コナン「……」

54 : 以下、名無しが深夜にお送りします :2015/04/16(木) 03:01:39 3QkDZ92Y
灰原「ま、一人でいて博士に心配かけるよりはマシだから……仕方なくよ、仕方なく!!」
  歩美「コナンくーん! 哀ちゃーん!! 早く行こー!!」
灰原「ほら、工藤君も行くわよ……ありがと、昴さん」
沖矢「いえいえ。お気をつけて、姫」ヒラヒラ
灰原「姫はやめなさいって言ってるでしょ! このロリコンッ///」タタタタッ

55 : 以下、名無しが深夜にお送りします :2015/04/16(木) 03:02:43 3QkDZ92Y
コナン「……」
コナン「……おい、どういうつもりだよ」
沖矢「おや、言いませんでしたっけ?」
沖矢「鈍感でデリカシーのない男が何故かモテる時代は終わった、ってね」
コナン「ーー!!」
沖矢「女性に好かれたいのなら、せいぜい努力することですね。主人公さん?」ニッコリ
沖矢「では、私は姫のために半日かけてビーフシチューを作りますので、これで」
コナン「なっ……な……」ワナワナ

56 : 以下、名無しが深夜にお送りします :2015/04/16(木) 03:04:13 3QkDZ92Y
沖矢「ああそうそう、忘れるところでした」
沖矢「博士から預かっていたんです、君にって」
沖矢「くれぐれも悪用しないように……とのことですよ」
コナン「……」
コナン「……」
コナン「……」ポチポチポチポチポチポチポチ


58 : 以下、名無しが深夜にお送りします :2015/04/16(木) 11:20:40 tnbwdIcU

くれあく

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