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ブラックホール「なにぶん、悪気や悪意はないもので」
Part2


10 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2019/01/19(土) 21:44:44.14 ID:PudWixl40
「あー……飲み過ぎた」
「大丈夫? 気持ち悪いの?」
「ちょっと、ヤバいかも」
「じゃあ、トイレに行こ」
成人式の後、中学の同窓会が行われた。
そこで久しぶりに会った男友達と意気投合。
なんたってスーツが似合っていた。素敵だ。
しかも、三揃いだ。スリーピースだった。
スーツはいい。三揃い最高。ウェーイ!
などと有頂天になり、おかわりをしまくって。
楽しく、ぐびぐびお酒を飲んでいたのだけど。
「私のペースに付き合わせちゃって、ごめん」
ペースが速かったらしく男友達はダウンした。
「いや、こっちこそ、面目ない……うぷっ」
吐きそうな彼に肩を貸し、トイレに向かうと。
「すごい行列だね」
「……俺の命運も、ここまでか」
トイレには長蛇の列が出来ていて、使用不可。
「諦めちゃダメだよ!」
男友達の手を引き、外へ出て、側溝まで誘導。
「はい、ゲーして」
「おえっ! おろろろろろろろろろろろろっ!」
男友達の吐瀉物はちょっと美味しそうだった。

11 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2019/01/19(土) 21:46:48.23 ID:PudWixl40
「大丈夫?」
「申し訳ない……申し訳ない」
心底申し訳なさそうな男友達を見て胸が弾む。
弱っている男の人は、可哀想で、可愛かった。
なにせスリーピーススーツ。上着は脱いでる。
ベストの背中はツルツルした生地だったので。
思わず、ナデナデするとまた身体が強張って。
「んぷっ! おろろろろろろろろろろろろっ!」
ビチャビチャ、ゲロを吐き出す姿にときめく。
「まだ出そう?」
「うぅ……ごめんなさい、ごめんなさい」
「そんなに謝らなくていいよ」
「だって、俺、情けなくて……ぐすんっ」
泣き出した男友達を、私は優しく抱きしめる。
「大丈夫だよ。大丈夫だから」
「嫌いに、なってない……?」
「なるわけないじゃん」
「ほんとに……?」
「うん。だからほら、もっと吐いて」
気が緩んだ隙をついて、鳩尾に拳を入れる。
「ぐふぇっ!? おろろろろろろろろろろっ!」
おっと。つい、やり過ぎてしまった。反省。

12 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2019/01/19(土) 21:48:43.53 ID:PudWixl40
「ごめんね、でも君の為だから」
「う、うん……わかってるよ」
言い訳は完璧。これで無問題。さて、お次は。
「ついでに、おしっこもしといたら?」
「えっ?」
「せっかくだしさ」
「あ、ああ……そうだね」
こちらに背を向け、用を足そうとする男友達。
そうじゃない。それでは見えない。苛々する。
待て待て。落ち着け。深呼吸だ。焦りは禁物。
ひとまず冷静に、さりげなく、補助をしよう。
「チャック、下ろしてあげる」
「えっ? いや、自分で出来るから……」
「大丈夫。暗くて何も見えないよ」
見えないから、セーフ。チャックを下ろした。
「持っててあげるね」
「いや! それは流石に……!」
「支えが必要でしょ?」
「自分で出来るから!」
「じゃあ、手を重ねてもいい?」
「まあ、そのくらいなら……」
「やった!」
彼の手に私の手が重なり、発射準備は完了だ。

13 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2019/01/19(土) 21:50:55.25 ID:PudWixl40
「そろそろ、出そうなんだけど……?」
「早すぎ。我慢して」
「も、もーいいかい?」
「まーだだよ」
「うぅ……もう、限界だってば」
「泣いたって、ダメ」
泣きべそをかく彼の耳元で、待てと命じる。
「お願いします……どうか、おしっこを……」
「あーもう! うるさいなぁ!」
「ひっ!?」
「どう? おしっこ、引っ込んだ?」
「か、勘弁してくださいよぅ」
「やだ」
こんな愉しい事、やめられるわけないじゃん。
「そんなに出したいの?」
「はい……出したいです」
「でも、出したら私に嫌われちゃうよ?」
「き、嫌わないで、ください」
「どうして嫌われたくないの?」
「それは、その……」
「もしかして、私に気がある、とか?」
「はい……その通りです」
誘導尋問をすると、すんなりゲロってくれた。

14 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2019/01/19(土) 21:52:25.92 ID:PudWixl40
「ふーん。君って、私のことが好きなんだ」
「……はい」
「じゃあ、好きって、ちゃんと言葉にして」
「……好き、です」
「私のこと、愛してる?」
「はい……愛しています」
「そっかぁ! 私も君が大好き! 愛してる〜!」
ぎゅっとハグしつつ、膀胱を圧迫してやると。
「ふあっ!?」
ちょろっと、私に何の断りもなく尿が漏れた。
「えっ? ちょっと待って。なに、今の?」
「今のは、その……」
「あのさぁ……誰が出していいって言ったの?」
「ご、ごめんなさい!」
まったく、先が思いやられる。躾が、必要だ。
「私は節操のない駄犬は嫌いなの!」
「は、はい! 肝に銘じておきます!」
「犬の返事は、わん! でしょ?」
「わん!」
元気の良い返事で、少しだけ溜飲が下がった。

15 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2019/01/19(土) 21:53:55.55 ID:PudWixl40
「今日から君は私の犬だから。わかった?」
「わん!」
「よろしい」
これにて躾は完了。犬にはご褒美をあげよう。
「よーし、出せ!」
「わん!」
ちょろろろろろろろろろろろろろろろろんっ!
「いっぱい出たね、偉いぞ」
「わん! わん!」
よしよしと撫でてやると、とても嬉しそうだ。
「それじゃあ、交代ね」
「えっ?」
「今度は私が犬役をやるから」
「えっ? えっ?」
こういうのはどっちも愉しまないと損なのだ。

16 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2019/01/19(土) 21:55:12.60 ID:PudWixl40
「えっと……どうしたらいいんですかね?」
「私に命令して」
「命令って、たとえば?」
「そこで、うんちしろ、とか」
「おっ?」
さりげなく、自分の望む方向へ、誘導すると。
「そうすると、どうなるんですか?」
「ここで、うんちするよ」
「この側溝で?」
「うん。君のゲロとおしっこの上にね」
彼はポカンとしながらも、私にこう命令した。
「じゃあ……うんちして」
「わん!」
下着を脱いでしゃがみ込むと、彼は豹変した。
「おいおい、どんだけ糞がしたかったんだ?」
そう言って、私のお尻をぺチンと叩いてきた。
「ひぅっ!?」
「はっ! 可愛い悲鳴だな、この雌犬がっ!」
どうやら天性の飼い主の才能があったらしい。

17 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2019/01/19(土) 21:56:28.08 ID:PudWixl40
「や、優しくして……」
「うるせぇ! 犬の癖に喋んな!」
「くぅ〜ん」
「おら、尻を出せ。ぶっ叩いてやっからよ!」
「きゃんっ!」
パンパンお尻を叩かれて、キャンキャン鳴く。
「そりゃ! おりゃ!」
「きゃうん! きゃうん!」
「これで、どうだ!」
「わぉ〜ん!」
遠吠えと共に、ぷりっと、私は、脱糞をした。
「ん? なんだ、これは?」
「くぅ〜ん」
「これは糞か!? 漏らしたのか!?」
「……わん」
彼の手のひらに付着した便を認めて、頷くと。
「フハッ!」
彼は嗤い。高らかに哄笑して、愉悦に浸った。
「フハハハハハハハハハハハハハッ!!!!」
「んんっ……それ……好きぃ」
愉しそうな彼と同じく、私も愉しくて幸せだ。

18 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2019/01/19(土) 21:57:55.92 ID:PudWixl40
「ふぅ……愉しかった」
「私も、とっても愉しかった」
あらかじめ用意していたビニール袋を活用し。
とりあえず拾える分の汚物は回収しておいた。
彼にポケットティッシュでお尻を拭いて貰う。
「綺麗になったよ」
「ん……ありがと」
「お尻、痛くない?」
「ジンジンするけど……嬉しい」
「それなら、良かった」
笑顔で感謝を告げると、手を差し伸べられた。
「さあ、飲み直そう」
「また吐いちゃうよ?」
「その時は、また頼む」
「うん! 私に任せて!」
曲がったネクタイを直してから上着を手渡し。
彼の手を取り、にっこり嗤う。この先ずっと。
彼は私の犬で。私は彼の犬だ。大団円である。
互いが飼い主の私たちは未来永劫、愛し合う。
【吐いて、漏らして、うんちして】
FIN

19 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2019/01/20(日) 14:51:50.38 ID:IAYFHBfJo
キン肉マンじゃないのか…