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転校生に恋をした一年間

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Part4
123 :名無しさん@おーぷん :2014/11/20(木)01:39:50 ID:jCMhcynqF
11月13日〜12月1日(115日目〜133日目)
俺と長井、予定が合えばどちらかの家に行くという日々が続いた。

124 :名無しさん@おーぷん :2014/11/20(木)01:41:22 ID:jCMhcynqF
12月2日(134日目)
この日も夜遅くまで長井と電話で話していた。
俺「明日は俺んちで遊ぶから、また何か作ってやるよ」
長井「うん・・・。ねえ安藤君」
俺「ん?」
長井「明日渡したいものがある」
俺「おっ、なになに?」
長井「教えない。ただ安藤君にしか渡さないもの」
俺「俺だけ!?」
長井「そう」
もうね、超嬉しかったね。
長井の中で俺が特別になったような気がして。
何を渡すのかは謎だけど。

125 :名無しさん@おーぷん :2014/11/20(木)01:43:19 ID:jCMhcynqF
俺「ヒントちょうだい」
長井「私の大切なもの」
俺「うーん・・・」
俺は長井の家に代々伝わる家宝的なものだと思った。
俺「売ったら高い?」
長井「ほしい人なんていないよww」
ほしい人がいないものをなぜ俺にあげのか。
俺「さっぱりわからん」
長井「明日のお楽しみ」
俺「くっそー気になるな」
いくら考えてもわかりそうになかったから
俺の中で長井が子供のころ大切にしていたおもちゃということにした。

126 :名無しさん@おーぷん :2014/11/20(木)01:45:48 ID:jCMhcynqF
俺「早く明日になってほしいからもう寝るよ。眠さも限界だし」
長井「えーもう寝るの?」
俺は部屋の電気を消しベッドに横になった。
俺「おやすみ」
長井「ちょっと待って!私ポリアンナ弾けるようになったよ」
俺「マジで!?」
長井「今から弾くね」
俺「おう聴かせて」

127 :名無しさん@おーぷん :2014/11/20(木)01:46:24 ID:jCMhcynqF
少し間が空いたあと、ポリアンナのあのイントロが聞こえ始めた。
ところどころ詰まってはいるが立派な演奏だ。
長井が弾くからか、心に響く。
俺はどんどん夢の中へと入っていった。


128 :名無しさん@おーぷん :2014/11/20(木)01:48:20 ID:jCMhcynqF
12月3日(135日目)
気付くと朝だった。
今日も長井の夢を見た。
初めて長井の家に行ったあたりから毎日長井が夢に出てくる。
やっぱり常に考えていたからだろうな。
いつも通り長井にモーニングコールをして学校に行った。

129 :名無しさん@おーぷん :2014/11/20(木)01:50:06 ID:jCMhcynqF
放課後、長井と一緒に俺の家へ行った。
学校では昨夜俺が電話中に寝てしまったことを長井に笑われた。
約束通りこの日も長井に料理を作ってやったが何を作ったか覚えてない。
ただおいしいと言って食べてくれたことは覚えてる。

130 :名無しさん@おーぷん :2014/11/20(木)01:52:47 ID:jCMhcynqF
昼ご飯を食べ終わってゲームをしている時も、
俺は長井からのプレゼントがいつもらえるのかワクワクしていた。
とてもじゃないが「プレゼントはまだ?」なんて図々しくて言えない。
それとも長井は何かタイミングを見計らっているのか?
長井「そうだ!安藤君に渡すものがあったんだ」
忘れてただけかーい!
でも待ってました!

131 :名無しさん@おーぷん :2014/11/20(木)01:53:10 ID:aBzurA7Pt
待ってました

132 :名無しさん@おーぷん :2014/11/20(木)01:54:14 ID:jCMhcynqF
長井「はい」
長井はカバンから取り出したものを俺に見せた。
それは赤い液体が入った小さなビンだった。
俺「長井・・・これ、何?」
訊かなくても分かる。
これは血だ。

133 :名無しさん@おーぷん :2014/11/20(木)01:55:50 ID:aBzurA7Pt
うっ…

134 :名無しさん@おーぷん :2014/11/20(木)01:56:05 ID:jCMhcynqF
長井「私の血だよ」
俺「・・・」
俺は頭の中がパニックになって何も言えなかった。
長井「今回は首を切ったの」
長井は髪をかきあげ、俺に首を見せた。
そこには何本もの傷跡が残っていた。
今回?首?切る?
俺はますますパニックに陥った。

135 :名無しさん@おーぷん :2014/11/20(木)01:57:44 ID:jCMhcynqF
俺「今回ってことは、ほかにもどっか切ってるのか?」
長井「あとは左手首」
俺は長井の左手の袖をまくった。
やはりそこにも何本もの傷跡があった。
長井「だから私は夏でも長袖なの」
そういえばそうだ。
出会ってから一度も長井が半袖の服を着ているところを見たことがない。
俺「・・・いつから?」
長井「中学から」
俺「そんなに前から・・・」

136 :名無しさん@おーぷん :2014/11/20(木)02:00:05 ID:jCMhcynqF
長井「受け取ってくれる?」
俺「・・・うん」
長井「ありがと」
長井を安心させるために俺はビンを受け取った。
そしてそれを机の引き出しの中に入れた。
俺「なあ長井、自分を切るなんてやめろよ」
長井「無理だよ・・・切らないと落ち着かない」
俺「・・・そっか」
長井「私がリスカをしていることを知った人は、みんな私から離れていくの」
長井が悲しそうな声で言った。
俺「大丈夫、俺はずっとお前のそばにいるよ」
あきらめない。絶対にやめさせてやる。
俺にしかできないんだ。
本気でそう思った。

137 :名無しさん@おーぷん :2014/11/20(木)02:03:43 ID:jCMhcynqF
12月4日〜12月20日(136日目〜152日目)
俺が血を受け取ってから、長井の行動は少しずつエスカレートしていった。
「吐いた」や「死にたい」と毎晩言ってきたり、
経血の画像をメールで送ってきたりした。
もちろんリスカも続けていて、
そのたびに俺はやめるよう説得した。
ただ俺と遊ぶ時は切らなかった。
長井なりに遠慮したんだろうな。
こういう日々が続いて、俺はますます長井を助けたくなった。

138 :名無しさん@おーぷん :2014/11/20(木)02:04:23 ID:jCMhcynqF
うわっもう2時じゃん
朝はやいからもう寝るよ
昼間とか時間があるときにまた淡々と張っていきまっす。

139 :名無しさん@おーぷん :2014/11/20(木)02:05:45 ID:aBzurA7Pt
>>1おつ

140 :名無しさん@おーぷん :2014/11/20(木)11:31:14 ID:jCMhcynqF
時間ができたから少し書いてく

141 :名無しさん@おーぷん :2014/11/20(木)11:32:22 ID:jCMhcynqF
12月21日(153日目)
明日から冬休み。
長井とあさっての23日に長井の家で遊ぶ約束をして
学校から家に帰った。

142 :名無しさん@おーぷん :2014/11/20(木)11:33:38 ID:jCMhcynqF
12月22日(154日目)
長井「今日も手首切った」
この日も電話でそう言われた。
俺「・・・長井、自分を大切に思ってくれている人に申し訳ないと思わないのか?家族とか」
家族だけじゃなく俺も入っているけどな。
いつもの長井なら俺の説得に対してはぐらかすような答えをしていたけど今回は違った。


143 :名無しさん@おーぷん :2014/11/20(木)11:36:11 ID:jCMhcynqF
長井「はあ、また説教?」
俺「えっ、違う、俺はただ・・・」
長井「そういうのもういいから」
ほんとこの時は悲しかったね。
長井のためと思ってやってきたことが全部無駄だったんだから。
いや、むしろ長井はそれをうっとおしく感じてたんだから。
やっと理解したよ。
長井は自傷行為を悪いことと思っていなかったことが。
そして相手の気持ちを考えずに都合がいいことばっかり言ってきた自分のあほらしさに。

144 :名無しさん@おーぷん :2014/11/20(木)11:36:51 ID:jCMhcynqF
俺「・・・わかった。もうお前のリスカをやめさせようとしないよ・・・」
長井「そうして」
俺は自分の心に何か違和感を覚えたが、気にしないことにした。

145 :名無しさん@おーぷん :2014/11/20(木)11:39:56 ID:jCMhcynqF
12月23日(155日目)
長井と遊ぶのは二人のスケジュール上年内最後だった。
いつものようにゲームなどをして遊んで神社に行こうとしたとき長井が言った。
長井「昨日、安藤君私のリスカをとめないって言ったよね」
俺「・・・うん」
なるべく昨夜のことは話題に出してほしくなかった。
長井「じゃあ私今からリスカするけど、とめないでね」
長井はテーブルの上にあったペン立ての中からカッターを取り出し、左手首を切り始めた。
俺「・・・」
目の前で一番大切な人が自分自身を傷つけているというのに
何もできない自分が歯がゆくて、悔しかった。
そして俺は涙を流していた。
自分でもびっくりするくらいに自然に。
長井よりもいち早くそれに気付き、後ろを向いて涙をふいた。
泣いているところなんて恥ずかしくて絶対見られたくない。

146 :名無しさん@おーぷん :2014/11/20(木)11:42:46 ID:jCMhcynqF
長井はリスカを終えると次にこう言った。
長井「私首絞められるのが好きなの。殺さないように絞めて」
俺「・・・ああ、いいよ」
昨夜俺は眠れずにずっと考えていた。
長井のために何ができるか。
しかし一つしか思いつかなかった。
それは長井を喜ばせること。
そのためならなんだってしよう。
俺は少しでも楽しそうに長井の首を絞めた。
心の中にあった違和感は確実に大きなっていたがやはり無視した。
この違和感は今の長井との関係を壊すかもしれないってわかっていたから。

147 :名無しさん@おーぷん :2014/11/20(木)11:45:03 ID:jCMhcynqF
12月24日(156日目)
街に集まり、
クラスの男連中だけでボーリングやゲーセンに行った。
ハマー主催の彼女がいないやつだらけの慰め会みたいなやつだ。
朝から夜まで最高に盛り上がった。
解散前に打ち合わせをして、次遊ぶ時はカラオケに行くことになった。
みんなと別れたあと、俺は長井のクリスマスプレゼントを買うため本屋へ行った。
最初はアクセサリーか何かにしようと思ったけど、
長井が「本を大切にしている」って言っていたのを思い出してブックカバーとしおりにした。

148 :名無しさん@おーぷん :2014/11/20(木)11:48:48 ID:jCMhcynqF
きれいにラッピングされたプレゼントを持って夜の街を歩いた。
長井は喜んでくれるだろうか。
次、長井と会うのは年が明けてからだ。
俺は待ち遠しくて仕方がなかった。
と、その時雪が降ってきた。
夜の都会で見る雪は初めてだったからあまりの美しさに感動した。
長井と仲良くなっていろいろなことに心が動くようになった。
そう考えると今までの俺の人生はしょうもないもののように感じる。
この時どっかの電光掲示板から
ブリトニー・スピアーズの『My Only Wish This Year』が流れていた。
今でもこの曲は大好きだ。

149 :名無しさん@おーぷん :2014/11/20(木)11:49:22 ID:jCMhcynqF
このプレゼントはドラファングッズのようにサプライズで長井に渡そう。
そう決めて長井が驚いた顔を思い浮かべた。
まあ、結局このプレゼントを渡す日は来ないんだけどね。

150 :名無しさん@おーぷん :2014/11/20(木)11:55:21 ID:aBzurA7Pt
ohh....

151 :名無しさん@おーぷん :2014/11/20(木)12:23:21 ID:jCMhcynqF
12月27日(159日目)
俺は短期のバイトで工場の中でおせちなどのお正月商品を箱に詰めていた。
短期だから30日までのたった4日間の仕事だ。
俺はこうやって長い連休は短期バイトをしてお金を稼いでいた。
長期のバイトは面倒くさくてなかなか踏み出せなかった。
でももし長井に紹介されたバイト先が家から近かったら絶対始めていたと思う。
このバイトで、俺はなおちゃんという一つ年下の女の子と仲良くなった。
周りがおじさんやおばさんしかいなかったから、若い者同士自然にくっついた。

152 :名無しさん@おーぷん :2014/11/20(木)12:26:22 ID:jCMhcynqF
なおちゃんは長井と真逆のような人間で、明るくてスポーティーな感じの子だった。
俺たちは初めて会ったとは思えないくらいすぐに打ち解け、休憩中なんかもずっとしゃべっていた。
いろいろな短期バイトをしたが、こうして誰かと仲良くなるのは初めてだった。
これも長井のおかげだろう。
彼女がいる時の方がいない時よりもモテるみたいな感じ。
この時の俺は尋常じゃないほどのコミュ力だった。
長井は彼女じゃないけど。

153 :名無しさん@おーぷん :2014/11/20(木)12:28:37 ID:jCMhcynqF
なおちゃん「安藤さんも自転車通勤だったよね」
仕事が終わり作業服を脱いでいる時だった。
俺「うん」
なおちゃん「じゃあこのあと一緒にご飯食べに行こ」
俺「えっと、ちょっと待って」
長井のことが頭に浮かんだ。
そういえば長井とどこかに遊びに行ったことがない。常にどちらかの家だ。
ここで行くと長井に対する裏切りのような感じがする。
しかしすぐに冷静になった。
馬が合う友達とご飯を食べに行く。その友達がたまたま女の子ってだけじゃないか?
実際俺はなおちゃんに対して恋愛感情を持っていないし、今日会ったばかりだから向こうもそうだろうと。
俺「よし、行くか」
俺たちは近所のファミレスに行った。

154 :名無しさん@おーぷん :2014/11/20(木)12:29:50 ID:jCMhcynqF
12月28日(160日目)
この日もなおちゃんとバイト終わりにご飯を食べに行った。
たしかどっかのハンバーガー店。
モスだったかな。
俺たちはさらに仲良くなった。

155 :名無しさん@おーぷん :2014/11/20(木)12:35:56 ID:jCMhcynqF
12月29日(161日目)
なおちゃんとカラオケに行った。
みんなが言うには俺は音痴らしいんだ。
自分の中ではプロみたいに歌えてるんだけど相当外してるらしい。
だからなおちゃんにも笑われた。
そういう千佳ちゃんもすっげえ音痴で、笑ってやったら叩かれた。

156 :名無しさん@おーぷん :2014/11/20(木)12:36:41 ID:jCMhcynqF
千佳ちゃんって誰だよwww
なおちゃんね

157 :名無しさん@おーぷん :2014/11/20(木)12:37:39 ID:jCMhcynqF
12月30日(162日目)
バイト最終日
「今日はどこに行く?」と千佳ちゃんに訊くと、「ラーメン食べに行きたい」と言われた。
そこで俺が一番好きなラーメン屋へ連れて行った。
長井にもこうして自分のおすすめの店に連れていきたいな
なんて考えながら。

158 :名無しさん@おーぷん :2014/11/20(木)12:39:56 ID:jCMhcynqF
ラーメンは相変わらずおいしかった。
店を出るとあたりは真っ暗。
なおちゃんとご飯を食べた後はいつもこんな感じだ。
自転車に乗り発進しようとしたところでなおちゃんが言った。
なおちゃん「安藤さん、私と付き合って」
俺「・・・マジ?」
なおちゃん「うん」
不意打ちだった。

159 :名無しさん@おーぷん :2014/11/20(木)12:41:40 ID:aBzurA7Pt
おい

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