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同僚女「うちから、ウォリアー取っちゃダメだよ」

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前回の記事 同僚女「やっぱり二人っきりになっちゃったね」
Part3


114 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/04/21(火) 14:26:22.02 ID:ZyrkDBLnP
――5/19、日曜 8:00 神楽坂作業室

女「ごちそーさまでしたっ♪」
男「ごちそーさま。たまに食うと朝マックうまいな」
C男「俺が買ってきたのに」

女「なんか云った?」
C男「……」

男「えーっと」

女「いや、ひどいよ。男。これはゆゆしき事態ですよ?
 うちさ、これでもやっぱり先輩としてさ?
 C男を、うちなりにちゃんと育ててきた訳ですよ。
 この表情の読めない廃棄星人をですよ」

C男「……」

女「それを事もあろうに、こやつ、私を捨てようと
 してた訳ですよっ! 下克上ですよっ!
 最近妙に修行チックで腕を上げてきたなと思えばこれですよ
 先輩を追い落としてその地位を
 簒奪するつもりだった訳ですよっ」


117 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/04/21(火) 14:34:49.18 ID:ZyrkDBLnP
C男「捨てたい……」
男「いや、女先輩? それはちょっと違うんじゃないかな」

女「どこが違うんですかっ?
 うちは捨てられようとしてた訳ですよ。
 うわ、、むかつくっ! なんか付き合ってもいないヤツに
 フラれたような気分をなんでうちが感じなきゃいけないっ!?
 捨てるってなんか酷い言葉ですよ、まったくっ」

男「えーっと、そう言うんじゃなくて、C男としては」

女「謀反ですよ、本能寺ですよ。
 じゃーんじゃーん孔明の策略だ。
 呂不様がまた裏切ったぞーですよ。竜騎士カインですよ」

男「えーっと」
C男「俺を捨てたい」

男「女先輩、女先輩ちょっと」
女「なに? おとこ。いっとくけど、
 うちの心は深く深く傷ついてるんよ? 繊細なハートに
 茨のようなひびが入ってるんよ?」

男「C男がパーティーバーレルおごるそうですよ」

女「よし許す」


172 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/04/21(火) 20:02:28.02 ID:ZyrkDBLnP
――5/22、水曜日 18:00 神楽坂作業室

男「んっと。おーい野郎どもー。進捗確認」
新人女「予定より先行で、んっと半日くらいです。
 ファイルは48」

女「う~。遅延~。一日くらい」
C男「ファイル24。ちょうど」

男「で、俺がぎりぎりオンタイムっと。女先輩が遅延か」
女「面目ない」

新人女「割り振りが大きかったですから」

C男 こくり

男「うん、まだ許容できるんで、後で辻褄あわせましょう」

新人女「はい」

C男「了解」
女「がんばる~」


176 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/04/21(火) 20:07:04.44 ID:ZyrkDBLnP
男「んで、もうそろそろ良い時間なので、本日は解散気味で」
新人女「はい。さすがにちょっとへこたれました」
C男「勤務を捨てよう」ふらり

男「はいはい、おつかれー」

新人女「えっと、男さんは?」
男「俺は、もう一息。後始末してあがります」

新人女「私も残りましょうか?」
C男「妖怪マネジは捨てよう」

男「いや、みんなも体力レッドランプでしょ。そろそろ
 大変だよ。俺も後始末だけやったらあがるからさ」

女「うん、早くあがって休むのも仕事のうちだよ~」

新人女「はい……。ではお言葉に甘えて」
C男 こくり

新人女「では、お先します~」
C男「また明日」こくり


178 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/04/21(火) 20:10:44.48 ID:ZyrkDBLnP
――5/22、水曜日 22:30 神楽坂作業室

男「――なんてね。そんな話してると」
女「こんな時間になる訳だ」

男:カタカタカタカタカタカタカタ
女:カタカタカタカタカタカカタ

男「うっし、もうちょい。もう一息」
女「その台詞、1時間くらい前にも聞いた」
男「う~」
女「リアクションが薄いぞ~」

男:カタカタカタカタカタカタカタ
女:カタカタカタカタカタカカタ

男「先輩だって突っ込みぬるいですよ」
女「やっぱ体力切れると鈍るね」

男:カタカタカタカタカタカタカタ
女:カタカタカタカタカタカカタ

男「帰る時間になるとさ」



179 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/04/21(火) 20:15:24.75 ID:ZyrkDBLnP
女「ん?」

男:カタカタカタカタカタカタカタ
女:カタカタカタカタカタカカタ

男「なんかこう、考えちゃうでしょ。ああ、いま会社を出たら
 家に着くのは午前様で、7時に出なきゃならないから4時間
 しか寝れないなぁ、とか」
女「あー、あるねー」

男:カタカタカタカタカタカタカタ
女:カタカタカタカタカタカカタ

男「そーなるともう、いっそ泊まった方が楽かもみたいな」
女「なるなる。その方が寝られるじゃん。みたいなね」

男:カタカタカタカタカタカタカタ
女:カタカタカタカタカタカカタ

男「実際には、同じ時間寝ても会社だと回復しないんだけど」
女「やっぱりどろどろ畳とか、会議室の段ボールとか、
 机の下とか、そういうのだとね~」


181 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/04/21(火) 20:20:11.73 ID:ZyrkDBLnP
女「うはは。相当に惨めな話してるね、うちら」
男「まったくだよ」

男:カタカタカタカタカタカタカタ
女:カタカタカタカタカタカカタ

女「うちなんかさ。やっぱ女だし。毎日同じ服って訳にも
 いかないしさ。会社に着替え持ち込んじゃったよ」
男「あー。やっぱし。そんな気配してた」

男:カタカタカタカタカタカタカタ
女:カタカタカタカタカタカカタ

女「ばれてた?」
男「そりゃ、四六時中一緒だから。……やっぱり給湯室?」

女「うんうん。給湯室で、洗面器にお湯張って身体だけ拭く」
男「わー」

男:カタカタカタカタカタカタカタ
女:カタカタカタカタカタカカタ

男「合コンじゃ絶対に言えない話題だね」
女「うち、そんなの出たこと無いから平気!」

男「平気なのかなぁ、それ」
女「ま、他所様に言える話じゃないよね」


183 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/04/21(火) 20:25:25.32 ID:ZyrkDBLnP
男「先輩。先輩~」
女「なにー? おとこー」

男:カタカタカタカタカタカタカタ
女:カタカタカタカタカタカカタ

男「先輩、そろそろ終電じゃない?」
女「あー」
男「?」

男:カタカタカタカタカタカタカタ
女:カタカタカタカタカタカカタ

女「男は泊まるつもりでしょ? いいよ、うちもそうする」
男「帰らないと、回復しないよ」
女「だって、面倒くさい……」
男「面倒じゃないでしょ。そんな負け犬台詞」

男:カタカタカタカタカタカタカタ
女:カタカタカタカタカタカカタ

女「聞いてよ、男」
男「あー。はいはい?」

男:カタカタカタカタカタカタカタ
女:カタカタカタカタカタカカタ


185 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/04/21(火) 20:29:55.23 ID:ZyrkDBLnP
女「うちね、うちねっ」
男「はぁ?」
女「もう、2月からゴミ捨ててない」
男「へ?」

男:カタカタカタカタカタカタカタ
女:カタカタカタカタカタカカタ

女「だって生活不規則だし。ゴミの曜日なんて覚えてられんし。
 ――夜中にだすと五月蠅いしね。うちの部屋、ポリ袋あるん」
男「えーっと」

男:カタカタカタカタカタカタカタ
女:カタカタカタカタカタカカタ

女「あ。別に量は多くないんよ? 3つだけで、カピカピで。
 汚い訳でもなくて、そもそも家で出るゴミってコンビニの
 袋だけだしね……ってそういう話じゃないんじゃーっ」
男「いや、自己切れされても」

女「別に、困る訳でもないんやけどね。なんてぇかね」
男「ふむ」

女「駅から家まで、歩くじゃないですか?」
男「はぁ」


187 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/04/21(火) 20:35:06.19 ID:ZyrkDBLnP
女「そん時、何とも言えない気分なるんよ。
 『うちゴミ部屋に帰る女なんやな……』って。
 判る? その切なさ、むなしさっ?」
男「ゴミ捨てなよ」

男:カタカタカタカタカタカタカタ
女:カタカタカタカタカタカカタ

女「彼氏が待ってたり子いぬが待ってたりとか、
 そんなささやかな夢を追いかけてる訳じゃないんやけどね。
 それでも年頃の女として、家で待っててくれてるのが
 ポリ袋ってのはやっぱりね」
男「いや、だからゴミの日にだせばいいじゃない」

男:カタカタカタカタカタカタカタ
女:カタカタカタカタカタカカタ

女「いっそゴミ袋達に名前つけようとも思うん。
 アルファ、ブラボー、チャーリーって
 そうしたらこのささくれた気持ちにも潤いが戻る気がする」

男「なんで特殊部隊のABCネームなんですか」

女「そうしたら会社に行くときもお見送りしてもらえてさ」
男「俺にはむなしさ倍増計画に聞こえるんだけど」



188 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/04/21(火) 20:39:44.09 ID:ZyrkDBLnP
女「ぐはぁ! 男はそれでもマネジですか!」
男「は、はいっ!?」

男:カタカタカタカタカタカタカタ
女:カタカタカタカタカタカカタ

女「もっとこう、部下の気持ちを盛り上げて。
 能力を引き出す戦い方をですね」
男「そんなこと云われても、いまの話題って
 励ませる要素が微塵もないじゃないですかっ」

男:カタカタカタカタカタカタカタ
女:カタカタカタカタカタカカタ

女「まぁ、そんな部屋で待つ三人のことを考えると」
男「スルーだよ」

女「会社に泊まっちゃうのも悪くないよなとか
 思えて来ちゃうんだよ。青春って怖いね」
男「青春と接続!?」

男:カタカタカタカタカタカタカタ
女:カタカタカタカタカタカカタ

女「だからうちも、泊まるよ」


189 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/04/21(火) 20:45:40.70 ID:ZyrkDBLnP

男「だーめ。女先輩も限界近いんだから」
女「むー。男の方が一杯仕事してる」

男「それは体力の問題でしょ。女先輩の武器は
 集中力なんだから、自分で自分の武器鈍らせて
 どうするんです」

男:カタカタカタカタカタカタカタ
女:カタカタカタカタカタカカタ

女「そんなこと云ったって、現に池袋の分は二人合わせても
 四日分遅延してるよ。ううん、シビアに見積もれば
 一週間分くらい遅延してるかも」
男「週末どうにかしますよ」

男:カタカタカタカタカタカタカタ
女:カタカタカタカタカタカカタ

女「そんな無茶な。うちも泊まってやってく」
男「ダメです。今日のところは」

女「たんま」


203 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/04/21(火) 21:16:58.44 ID:ZyrkDBLnP
男「強制仕切り直しってことで」
女「それ『最後の弾薬を再配分せよ』みたいだなぁ」

男「仕事の指示もだしたっと。撤収しますよ、女先輩」
女「んー」

男「どうしたんです」
女「いいのかなぁ。まだまだ仕事終わってないのに。
 佳境モードなのにさ」

男「んな二ヶ月も続く佳境なんかありますか。
 こんな地獄はただの日常ですってば」

女「うはは。余計に救われないね」

男「イイから帰りますよ。駅までちゃんと連行しますからね」
女「うーん」
男「乗り気じゃないですね」

女「ほら、やはり三人の留守番が」
男「だからゴミくらいだそうよ」


204 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/04/21(火) 21:18:02.80 ID:b5IgE6W30
三人の留守番は捨てよう


205 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/04/21(火) 21:22:06.43 ID:ZyrkDBLnP
女「結局4時間くらいだし、睡眠」

男「先輩、家遠いんでしたっけ」
女「結構ね。駅から徒歩15分。その分ちょっと広い」

男「この生活だと広くてもね」

女「まぁね。うちよりアルファとブラボートチャーリーの
 方が家にいる時間長いくらいだしね」

男「そいつら24時間引きこもりじゃないですか」

女「女は何かと身支度とか時間かかって
 面倒くさくてやんなっちゃうね~」
男「そっか。そういうのもあるかぁ」

女「電気けしたよー」
男「了解-。んじゃ撤収しますよ」

 ガチャリ


207 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/04/21(火) 21:27:30.00 ID:ZyrkDBLnP
――駅への路上

女「明日は暑くなるってね」
男「そろそろ夏の気配だね。梅雨っぽいのはさっぱりだ」
女「うっわぁ、ラッシュ電車で出社も萎えるな」
男「そーなるね」

女「男、すごいイヤそうな顔」
男「いやだもん」
女「うちもだけどさ」

男「どこか寄る? 終電まではあと30分くらいだから
 牛丼屋くらいならいけるよ?」
女「んー。アイス食いたい」
男「真夜中にアイス!?」

女「だってやけくそっぽい気持ちでしょ?」
男「まぁ、そういう気分の時もあるけどね」

女「あーーー!」
男「へ?」
女「ああああーーー!!」
男「?」
女「アイス食おう! うん、そうしよう」にこーっ


209 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/04/21(火) 21:33:34.36 ID:ZyrkDBLnP
コンビニ店員「ありがとうございましたー」

女「テイクアウト~」にこっ
男「何で上機嫌かな」
女「ナイスなアイデアがあるから」

男「なんです?」
女「なんと8時間寝れる孔明の策」
男「マジでっ!?」
女「はい」

男「――だまし?」
女「騙してません」

男「――びっくり?」
女「ヘッドロココより誠実」

男「なんだかなぁ」

女「こっちこっち」
男「へいへい」

女「ここを曲がる」
男「え? ええ!?」



214 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/04/21(火) 21:38:15.17 ID:QBe1LsTn0
新宿横の風俗街、だっけ

215 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/04/21(火) 21:40:21.52 ID:ZyrkDBLnP
――5/22、水曜日 23:30 いわゆるそんなホテル

女「ワリカンだからね。一人4000円くらいね」
男「えええー!?」
女「移動距離15分! トイレ浴室完備!」

男「おーい正気残ってますかー」
女「眠るためならうちは正気なんて悪魔に売りわたす」

男「いや。売っちゃダメだよ」
女「ふわーっはっはっは」わきわき
男「――そのポーズ、何?」

女「ドクター・ヘルの地球侵略の笑い」
男「ある意味安心するなぁ。女先輩といると」

女「さ、入ろ」
男「う。うう~」

女「なんですか男。初心者でもあるまいし」
男「女先輩。流石にこういうのは」

女「部屋選ばせてあげるよ?」


216 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/04/21(火) 21:43:38.50 ID:/rixeXHY0
わっふるわっふる!


217 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/04/21(火) 21:46:01.34 ID:ZyrkDBLnP
男「……えーっと」
女「選んで良いぞ? お部屋。マニアックなのでもうちは良いぞ?」

男「えー」

女「往生際が悪いなぁ。寝るだけだよ。
 もしかしてなんか意識してるのか? うちを」

男「イヤ全然。さっぱり。ラブホの前でマジンガーに
 殴られるあしゅら男爵の小芝居出来る人間には
 萌えられません」

女「――っ。……でしょでしょ?
 ざばーっと風呂に入って、アイスとおにぎり食べて、
 ぱりっとシーツですぱっと寝るだけ。
 電車で移動しないで済むから8時間睡眠。ばっちり!」

男「……」

女「足を伸ばせる風呂はいいよ? うちも男もアパートだし
 ユニットでしょ。ゆったりつかると、疲れが取れるよ」
男「えーっと」

女「ちょっと魅力あるしょ?」
男「確かに」


221 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/04/21(火) 21:51:35.95 ID:ZyrkDBLnP
女「それに、あれだ」
男「?」

女「男が彼女もちなら、絶対に何にも無いとは言え
 彼女さんに悪いから誘わないけどさ。
 いまはいないって話だし、迷惑もかからないし。
 っていうか話してたらだんだん腹が立ってきた。
 うちの睡眠欲をなんだと心得る。
 これでも天王寺第三で知られたわがままボディなんだぞ。
 覚悟を決めてさっさと半額払いなさい。
 むしろ払え。うちの快適睡眠のために」

男「ぇー。そう云われると逆らいたく」

女「払っえっ。うちはこのままじゃ
 満足にお風呂にも入れない三日ぱんつの女として
 花のような青春をくさいという評価で過ごす羽目になる。
 それはぜんぶマネジの責任っ。
 だからお風呂をワリカンするのは当然っ」



226 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/04/21(火) 21:57:21.41 ID:ZyrkDBLnP
男「そうかなぁ。なんか論理が歪んでるような」

女「は、ら、えっ」ぎりぎり

男「痛っ。――りょ、了解」

女「うんっ。偉いぞっ」にこっ
男「――かなわんなぁ」

女「選んでいいぞ?」
男「あー、もう。これで」
女「2、0、3っと」

がちゃこん

女「よし、さっさといこう!」
男「はいはい」

女「早くしないと、アイス溶ける」


233 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/04/21(火) 22:04:01.68 ID:ZyrkDBLnP
――5/22、水曜日 23:30 存外おとなしめの部屋

女「おー。思ったより広い」
男「ほんとだー」

女「空調効いてるし、これは良いね」
男「たしかに。その辺は認めざるを得ないですね」

女「――とりあえず、お風呂張ろう」
男「あー。いいですいいです。俺がやりますから。
 女先輩はアイス溶けるんで食っててください」

女「む。いいの? 普通は女がやったりしない?」

男「何いってんですか、今更。
 変に手間取るのだるいでしょ。
 二人とも眠すぎて頭痛始まってるのに」

女「それもそっか。マネジ了解。アイス食べてます」

男「んーっと。捻るだけね。……うっわ。装備満載だな。
 ……えーっと。隠しておこう。はしゃがれても、困る」


234 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/04/21(火) 22:09:24.29 ID:ZyrkDBLnP
女「もぐもぐ」
男「……」

女「もっぐもっぐ」
男「えーっと、先輩? なんで正座して食べてるんです?」

女「ぬっ! ――いや、うちの部屋、布団だから。
 なんかボヨンボヨンのベッドスプリングに、
 思わず正座をしてしまった」

男「はぁ……。まぁ、おにぎり食いますか」
女「うん、食べよう~」

男「いっただきます」
女「いただきまーっす」

男「……もぐもぐ。ん」
女「もぐ……」

男「割といけますよ、新作」
女「野沢菜らっけ?」

男「はい……もぐ」


238 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/04/21(火) 22:14:36.89 ID:ZyrkDBLnP
女「なんか二人で向かい合って」
男「?」
女「ベッドの上で正座でおにぎりってシュールだ」

男「足を崩せば?」

女「崩したところでシュールさはもはや薄れない」
男「つまり手遅れって事ですね」

女「んだね。疲れてるとき煮物食べると、スゴイ視野狭窄だ。
 手元しか見えない感じ。周辺真っ暗」
男「それ、末期症状だよ」

女「幻聴とか聞こえたり?」
男「それは薬がきまってる」

女「んっ。っと」ぺろっ
男「指舐めたりしないの」
女「だって、ご飯粒着いてた」

男「はしたない」
女「いいじゃん。自分の指くらい」


242 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/04/21(火) 22:19:42.93 ID:ZyrkDBLnP
男「先輩はそういうところはお子様だ」

女「いいの。うちにはうちの流儀があるのっ。
 ごちそーさまでしたっ!」
男「ごちそうさまでした」

女「男だって、自分がご飯食べ終わってても、相手が
 食べ終わるまで待ってからごちそうさまするじゃない。
 それも絶対に」
男「うん。そうだけど?」

女「だれでも流儀というものがあるのです」
男「そんな大層な話じゃないよ。全然。あ、そういや」
女「?」

男「もうお風呂は入れるよ?」
女「へ? まだ10分くらいだよ?」

男「こういうところはセントラルで沸かして
 いきなりお湯で張るからね。早いんだよ」

女「すごい慣れてない?」

男「普通だよ」
女「またまたぁ!」


248 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/04/21(火) 22:24:56.86 ID:ZyrkDBLnP
男「いや、そういう親父的な微笑みとか突っ込みは良いから」
女「一応、礼儀かなぁと」

男「いいからお風呂入ってきてくださいよ。女先輩」
女「うち先!?」

男「何びっくりしてるの」
女「い、いや。てっきり男が先に入るのかと」

男「なんで?」
女「え。いや……。理由は別にないけど」

男「ま。先輩お先にどうぞ。一応女性だし。さくっと入って
 さくっと寝ちゃうと良いですよ。せっかく睡眠時間確保
 する作戦なんだから」

女「そ、それはそうだけど」
男「?」

女「や。うん……おっし」ばしばし!
男「気合い入れてかかるほどのことか?」

女「い、行きますっ!」


252 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/04/21(火) 22:30:23.42 ID:ZyrkDBLnP
――5/22、水曜日 深夜 むやみにゆったりした風呂

女「……。ん。ん」

女「普段とシャンプー違うと、なんか変な気分」

女「……でも、広いなぁ。
 ユニットバスと比べると雲泥やね。つか、ユニットバスは
 シャワールームって名前変えるべきやと思うわ、うち」

女「……♪ ……♪」にへらっ

女「む。うち、いま、顔ゆるんでなかった?
 ゆるんでなかったか? いかん。
 そんな甘いことではなめられてまう。
 ここは毅然とした態度で睡眠をっ」

女「ま、そのまえにリンスもね」

女「……♪ ……♪」にへらっ

女「い、いかんいかん。うちにも先輩の威厳がっ」


257 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/04/21(火) 22:35:26.78 ID:ZyrkDBLnP
ぶくぶくぶくぶくっ!!

女「お、おおっ!? 泡が出るっ」

女「お、おとこー。おとこー」

  男「なんですかー。ったく」

女「あわっ……えっと、なんでもなーい」

  男「はーい」

女「浮かれすぎだ。私」

ちゃぷん。ちゃぷん。

女「小娘でもあるまいし。たかがこの程度で
 はしゃぐなんてアホだ。デスマの最中だって」

女「だいたい、男はうちと、そう言うんじゃない。
 そんなのじゃないんやしっ」

女「うち、ウォリアーなんやし」


264 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/04/21(火) 22:41:28.76 ID:ZyrkDBLnP
――5/22、水曜日 深夜 未経験なほどでかいベッド

女「お風呂有りがとさんっ」
男「あがりました?」

女「うん、広くてよかったよー。さっぱりした」

男「んじゃ俺も行ってこようかな」
女「行っておいでー」

男「先輩、気にしないで寝ちゃって良いですからね?
 手前の方の端っこあけといてくれれば」

女「うわ。ここは、ほら。ソファで寝るとか床で寝るとか
 譲り合いというか、騎士道精神というかでぐだぐだする
 場面ちがうの?」

男「ヤですよ。半額払ったのに。そもそもなんでここに
 来たかって手足伸ばして寝るためでしょうが」
女「正論だ」

男「寝ちゃってて良いですよ」
女「うち、髪の毛乾かさないと眠れんし」
男「ああ、そか」


269 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/04/21(火) 22:46:51.42 ID:ZyrkDBLnP
がー。ががおー。がー。

女「こんなもんかなっ。わ。枝毛だ」

女「美容室もいってないもんなー。そら枝毛もあるかー」

女「ま。そのキャラはしゃぁない。うちは、無理やね。
 そういうのはちっこくて、目が大きくて、
 栗色の髪でふわーっとした感じのさ」

(一人前にはほど遠いんですけど、数のうちというか
 戦力として数えてくれたので……)

女「……うん、担当。違うんよね」

女「その辺は適性無いからしかたない。
 うちは、うちの担当分を確実にこなす。
 おけー。ばっちり!」

女「……担当分が寂しいとか、考えちゃいけません」

女「よし。布団入ろう。男が上がってくると、恥ずかしいし」


277 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/04/21(火) 22:52:05.20 ID:ZyrkDBLnP
もそもそ

女「うっわぁ。シーツぱりっとしてて、さわさわってしてて」

女「これは大正解じゃないですか? 慧眼ですよ。
 すごく贅沢気分ですよ。わー、脚とか、すべすべだ」

もそもそ

女「やー。いいな。メイド萌えとか判るよなー。
 毎日ご飯作ってもらって、こんなシーツの
 ベッド用意されてたら、普通に惚れるわ。
 かなりマジで。勉強になるなぁ。
 人間生理的欲求には勝てないや」もぞもぞ

 ざーっ。ざざーっ。

女「――おとこのお風呂の音だ。む?」

 ぶくぶくぶく。

女「ふふふ。男も泡に気づいたな」

女「泡はいいなー。背中に当たって、肩こりのとこが
 ほぐれて軽くなって」うっとり


280 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/04/21(火) 22:58:03.80 ID:ZyrkDBLnP
 ざーっ。ざざーっ。

女「そろそろ、あがりかな」

女「……なんだかな」

女「うち緊張してるんか?」

女「え? ええっ? まじでっ? 緊張?」

女「というか、むしろ照れてるのか」かぁーっ

男「お風呂あがりましたよー」

女「そんなわけあるかーっ。
 うちは北斗ウォリアー拳目録の腕じゃーっ」

男「は、はいっ」

女「……」
男「……」

女「いえ、すいません。興奮してました」


286 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/04/21(火) 23:04:05.65 ID:ZyrkDBLnP
男「ほら、そっちいって」
女「うん」

もそもそ

男「なんか、風呂入ったらすげー眠くなって来ちゃいましたよ」
女「あー、身体が温まって、血液が疲労物質を
 洗い流し始めてるんだよ」
男「そうなの?」
女「よく判らないけど」

男「わぁ」
女「な? な? ちょっと感動するでしょ?」
男「かなりね」

女「風呂上がりで、ぱりっとしたシーツにすべりこむとさ、
 シーツが素肌をくすぐるんよ。贅沢でしょ」
男「うん」

女「ほら、こっちこっち」もぞもぞ
女「ここも、すべすべだから、ちょっと来てみ?」

男「ん」
女「ほらな?」
男「って乗せられるかっ」


293 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/04/21(火) 23:12:25.43 ID:ZyrkDBLnP
男「ったく。女先輩は、はしゃぎすぎ」ぺち
女「む、やったな」ぺちっ

男「おでこはないでしょ」ぺちぺちっ
女「二回すること無いでしょ」ぺちぺちっ

男「ったく。眠くてまぶたくっつきそうなくせに」
女「男だってそうでしょ。眠そうな顔して」

男「先輩ほどじゃないです」
女「そうさ。眠いさ。眠くて何が悪いのさっ」

男「開き直ったよ。この人」

女「ああ。眠いさ。眠いとも。
 高さは東京タワーにして四本分、量にいたっては
 後楽園ドーム18杯を埋め尽くすほど眠いさっ。
 なんか文句があるのかねっ」

男「全く無意味な場面で格好良いなぁ。女先輩」

女「眠いぞぅ!」
男「それは判りましたから」


305 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/04/21(火) 23:18:30.00 ID:ZyrkDBLnP

女「寝るから」
男「はいはい、お休みなさい」

女「ん……」きゅ
男「先輩?」

女「……人見知りの男でも、うちとなら寝れるのしってる」
男「……」

女「うち、身内に入れてもらっとるもんね。
 警戒心の内側だから」にぱ

男「……別にそんなに神経質じゃないです」

女「安心して寝て良いよ。うちは、男に悪いこと、しない」
男「……」

女「……噛まないから、安心しろ?」
男「そんなこと。コタツの猫みたいな顔で云われても」

女「むー。気むずかしいなぁ」
男「……」


314 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/04/21(火) 23:24:51.52 ID:ZyrkDBLnP
女「後頭部撫でてあげるから」
男「なんですかそれ」

女「これすると、くつろぐ」
男「そうなの?」

女「うちが」
男「意味ないじゃないですかっ。つか、いいですよ。
 触わったりするのはNGですからね……。
 ったく。眠いってのに……ふわぁあ」

女「……ほら、男も、もう眠い」
男「そら……」

女「感染したでしょ……。ん?」
男「これは感染じゃなくて、最初から眠いの……」

女「偉いぞ……。すぅ……」
男「意味通ってないですよ……」

女「おやすみ……」
男「おやすみなさい……」


318 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/04/21(火) 23:32:06.69 ID:ZyrkDBLnP
うっす、区切り良いとこまで来ました。
おいらも男並みにねむねむっす、
ちょこっと仮眠取ってきます。
観てくれた人、ありがとうございました。
支援と保守も感謝。ママレードサンドのお礼です。
残ってたら明日も出来ます。
おやすみなさい。

でも、こいつは唐揚げ女。萌えナッシング。
戦場豚の悲鳴が聞こえるぜ。ハンバーガーヒルだぜ。

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