サシャ「……興味ないです」
Part1
1 : ◆H4iwFNXQsw:2013/07/11(木) 18:36:42 ID:D8EEnAIQ
・1『サシャ「キスの味、私に教えてください」』
2『サシャ「この味は、ウソをついてる味ですね」』
3『サシャ「二人だけの、秘密の味です」』
4『サシャ「とくと味あわせてあげましょう!」』
5『サシャ「同じ味を、知りたいですから」』
6『サシャ「味気なくなんかないですよ?」』の続きです
・たぶんネタバレなし。今回はちょっとサシャ成分薄めです
・各人の性癖は、書き手の妄想によるものです。ご注意ください
2 : ◆H4iwFNXQsw:2013/07/11(木) 18:37:12 ID:D8EEnAIQ
ーー 夜 消灯時間前 ユミルたちの部屋
サシャ「……」カキカキ
ミカサ「……」
サシャ「……」カキカキ...
ミカサ「……」
サシャ「……」
ミカサ「……」
サシャ「……zzz」
ミカサ「サシャ、起きて」ユサユサ
3 : ◆H4iwFNXQsw:2013/07/11(木) 18:37:47 ID:D8EEnAIQ
サシャ「ふぁっ!? ……あ、すみません」
ミカサ「今日はもうやめにする?」
サシャ「いえ……時間ギリギリまでやります……」メモトゴシゴシ
ミカサ「わかった。なら頑張って」
サシャ「はい……また寝そうになったら、起こしてくださいね!」ガッツポーズ
ミカサ「……ところで、ユミルとクリスタはどこに行ったの?」
サシャ「そういえば、お風呂からまだ帰ってきませんね。どこにいったんでしょう……zzz」ウツラウツラ
ミカサ「サシャ、起きて」ユサユサ
4 : ◆H4iwFNXQsw:2013/07/11(木) 18:38:34 ID:D8EEnAIQ
ーー 夜 消灯時間前 ミカサたちの部屋
ユミル「ーーあいつらにあすなろ抱きをさせたいんだ」キリッ
アニ「……何しに来たの? 部屋に戻れば?」
ユミル「芋女が今日は部屋で勉強してんだよ。おかげで無駄話もできやしねえ」ケッ
クリスタ「ごめんね、突然押しかけてきちゃって……」シュン
ミーナ「いいよいいよ、気にしないで! どうせ暇だもん、みんなでお話しよ!」ニコニコ
アニ「それで、あす……何だって?」
ユミル「あすなろ抱きな」
アニ「あすなろって確か……木の名前でしょ。それが何か関係あるの?」
ユミル「知らん」キッパリ
アニ「……」イラッ
ミーナ「アニ、抑えて抑えて」
5 : ◆H4iwFNXQsw:2013/07/11(木) 18:39:04 ID:D8EEnAIQ
クリスタ「でも、私も名前しか知らないんだよね。どういう抱き方なの?」
ユミル「どうって、ただ単に後ろから抱きしめるだけだよ。因みに『女がされたら恥ずかしいが、一度はやられてみたい抱きしめかたナンバーワン』だ。覚えておけ」キリッ
アニ「無防備に相手に背中を見せる奴の気が知れないね。きっとそいつは死に急ぎ野郎だ」
クリスタ「もう……アニったら、情緒がなさ過ぎるよ」ハァ
アニ「私は恋愛してるほど暇じゃないんだよ、悪いね」ペラッ
ミーナ「と言いながら雑誌を逆さまに持ってるアニでした、っと」
アニ「……」アタフタアタフタ
6 : ◆H4iwFNXQsw:2013/07/11(木) 18:39:45 ID:D8EEnAIQ
ユミル「なぁアニ、クールな顔してるけど本当は興味あるんだろ? な?」ニヤニヤ
アニ「……別にないってば」イライラ
ユミル「そういうのはな、むっつりスケベって言うんだぞ? ん?」ニヤニヤ
アニ「…………」イライライライラ
ユミル「まあ、混ざりたくなったらいつでも混ぜてやるよ。私は優しいからな」ニヤニヤ
ユミル「ーーというわけで作戦会議を始めるぞ。まずはシチュエーションだな。何か案があったら出すように」
クリスタ「シチュエーションかぁ……」ウーン
ミーナ「うーん……あすなろ抱きって結構難易度高いよね。私たちでどうにかできるような状態じゃない気がするなぁ」ウーン
7 : ◆H4iwFNXQsw:2013/07/11(木) 18:40:26 ID:D8EEnAIQ
アニ「……ねえ、疑問なんだけど。なんでそんなに必死になってるの?」
クリスタ「見たいから!」
ユミル「雑誌読むより勉強になるから!」
ミーナ「私たちは女の子だから!!」
アニ「うん。ミーナの理由だけよくわからないけど大体把握したよ。……それってハンナとフランツじゃダメなの?」
クリスタ「ダメに決まってるでしょ!」バンッ!!
ユミル「ただイチャコラしているバカップルなんざぁ見てても楽しくねぇんだよ!」クワッ!!
ミーナ「もう甘ったるい話は聞き飽きたの! 甘酸っぱい話が聞きたいの!!」ダンッ!!
アニ「ご、ごめん。悪かったよ……」ビクビク
ユミル「ったく、わかりゃいいんだよ。それじゃあ続きをーー」
「……ちょっと待った」ガチャッ...
8 : ◆H4iwFNXQsw:2013/07/11(木) 18:41:19 ID:D8EEnAIQ
ミーナ「ミカサ、お疲れさまー」フリフリ
ミカサ「ただいま」フリフリ
ユミル「ん? 芋女はどうした。お前が教えてたんだろ?」
ミカサ「あとは一人で頑張ると言ったので切り上げてきた」
ミカサ「というか、ユミル。……そういうのはあまり感心しない」
ユミル「なんだよ、お前もやってることだろ?」
ミカサ「私は状況は作っているけれど、直接的な後押しはしていない。こういうことは自然の成り行きに任せるべき」
ユミル「未だに本音で話せてねえ奴が、これからなんとかできると思うのか?」
ミカサ「サシャは少しずつ前に進んでいる。……横からちょっかいを出すのは私が許さない。過度な思いやりは、相手のためにはならないから」
アニ「……エレンはいいの? あんたの普段の行動は、充分過度な思いやりに見えるけど」
ミカサ「エレンは別」キリッ
アニ「……あっそ」
9 : ◆H4iwFNXQsw:2013/07/11(木) 18:42:07 ID:D8EEnAIQ
ミカサ「それと、東洋にはこんなことわざがある」
ミカサ「人の恋路を邪魔する奴はーー」
クリスタ「ーー馬に蹴られて地獄に落ちろっ!」ハイッ!
ミカサ「……よくできました。クリスタに十点あげよう」パチパチ
クリスタ「わーい!」バンザイ
ミカサ「というか、最近はみんなサシャの件ではしゃぎすぎている気がする。特にクリスタ」
クリスタ「うっ、褒めてから落とすなんて……で、でも私だって恋バナしたいよ! させてよ!」ブンブン
ミカサ「気持ちはわかる。けど、サシャはみんなのおもちゃじゃない。あまりにも度が過ぎるようなら……削ぐ」ギラッ
ミーナ「ちょっと待ってよ、サシャはミカサだけのものじゃないでしょ! 私たちの共有財産であると主張します!」ハイッ
アニ(……不毛だから早く終わらないかな、この話)ペラッ
10 : ◆H4iwFNXQsw:2013/07/11(木) 18:42:42 ID:D8EEnAIQ
ユミル「……なあ、ミカサ。お前はそうやってすましてるけどよ……見たくねえのか? あすなろ抱き」
ユミル「それとも、エレンとしょっちゅうやってるから関係ありませんってか?」
ミカサ「……あすなろ抱きは知っているけれど、エレンとしたことはない」
アニ(へえ、ないんだ……意外)
ミカサ「それに、その抱き方を特に魅力的に感じたことはない」
ユミル「……ほお、言ってくれるじゃねえか。ーーよーしクリスタ、私の前に座れ」
クリスタ「え? ……何するの?」
ユミル「決まってんだろ。あすなろ抱きの素晴らしさを我らが首席様にご教授してやるのさ」ニヤッ
クリスタ「……変なことしないでよ?」
ユミル「そりゃ首席様次第だな。理解が早いと助かるんだがね」
11 : ◆H4iwFNXQsw:2013/07/11(木) 18:43:17 ID:D8EEnAIQ
クリスタ「よいしょっと……こんな感じ?」チョコン
ユミル「よしよし、まずはこう、後ろからギュッと抱き寄せてだな……」ムギュッ
クリスタ「きゃっ……」ポスッ
ミーナ「わ、わあ……結構身体が密着するんだね……///」ドキドキ
ユミル「それが醍醐味だからなー。あすなろ抱きの利点はこの距離感だ。それに、普段は見えない相手の隠れたところがよく見える。耳の裏とかな」ヒョイッ
クリスタ「やぁっ、ユミルってば、髪触らないでよ……くすぐったいよぉ……っ///」
アニ「…………」チラッチラッ
ミカサ「……」ジーッ
12 :以下、名無しが深夜にお送りします:2013/07/11(木) 18:43:52 ID:wOkw0GMY
待ってました
13 : ◆H4iwFNXQsw:2013/07/11(木) 18:43:53 ID:D8EEnAIQ
ユミル「身長差はあればあるだけいいな。……あれ? クリスタ、毛先傷んでるぞ?」クルッ
クリスタ「えっ……? そ、そうかな……?」モジモジ
アニ(指に毛先を絡めてる……///)チラッチラッ
ミーナ(なんだかとっても手慣れてるんですけど……?///)ドキドキ
ミカサ「……」ジーッ
ユミル「おっと……肌も少し荒れてるな。ちょっと夜更かししすぎなんじゃないのか?」ボソッ
クリスタ「きゃっ、ちょっと、耳元で囁かないでぇ……っ!」
ユミル「……ダメだろー? 女神クリスタ様が夜更かしなんていけないことしちゃ」ボソボソ
クリスタ「あうう……ご、ごめんなさい……///」
ユミル「わかればいいんだよわかれば」ナデナデ
ミカサ「……」ジーッ
14 : ◆H4iwFNXQsw:2013/07/11(木) 18:44:34 ID:D8EEnAIQ
ミカサ「……やはり、魅力的には感じられない。そもそも私とエレンの身長は同じくらい」ムー...
ユミル「そうだな、身長が近い場合は後ろの奴が膝立ちするってのもアリだな。……うりゃうりゃ」グリグリ
クリスタ「ひゃあっ! ゆ、ユミル、顎が刺さって痛いよう!」ジタバタジタバタ
アニ(…………ちょっと楽しそう)チラッチラッ
ミーナ(私もやってもらおうかな……///)ドキドキ
ミカサ「……それもスキンシップというよりは、嫌がらせにしか見えないけれど」
ユミル「わかってねぇなあミカサは。お前はこの体勢を見て他に何も思わないのか?」ハァ
ミカサ「……?」
15 : ◆H4iwFNXQsw:2013/07/11(木) 18:45:18 ID:D8EEnAIQ
ユミル「いいか? ーー私はクリスタの顔が見えないし、クリスタは私の顔が見えない」
ユミル「お互いの相手の顔が見えないってことは、次に相手が何をするか、自分が何をされるかわからないってことだ」
ユミル「アニも言ってたが……こんなことやろうと思う奴は、やっぱりマトモじゃないんだろうよ」
ユミル「だからこの体勢、あすなろ抱きの根底には……深い信頼関係がある。それがなけりゃ成立しない」
ミカサ「深い、関係……」ゴクッ
ユミル「そう。……つまり、あすなろ抱きっていうのは、相手との信頼の深さの証でもあるわけだ。ーー燃えるだろ?」
ミカサ「……」
16 : ◆H4iwFNXQsw:2013/07/11(木) 18:46:21 ID:D8EEnAIQ
ミカサ「……」
ミカサ「…………」ゴソゴソガチャガチャ
ミカサ「……」シュッ
\ エレンエレーン!! /
クリスタ「…………行っちゃったよ?」
ユミル「よーし、じゃあ帰るか」スッ
ミーナ「ええ? いいの?」
ユミル「いいんだよ。はしゃぎすぎって言われた仕返しだ」ケケケ
アニ(根に持ってたんだ……)
ユミル「芋女も勉強に飽きてそろそろ寝てる頃合いだしな。ちょうどいいだろ」
17 : ◆H4iwFNXQsw:2013/07/11(木) 18:46:59 ID:D8EEnAIQ
ミーナ「……ところでユミル、さっきのはどこで覚えてきたの?」ジトメ
ユミル「全部雑誌に書いてあった」パラッ
ミーナ「わぁ。雑誌って便利」
ユミル「……」
ミーナ「……」
ユミル「……」
ミーナ「……やっぱりこれ、あの二人にやらせるにはちょっとハードル高すぎない?」
ユミル「言うな。話してる途中で私も気づいてたけど言うな」
クリスタ(あすなろ抱きかぁ……私も誰か男の子にやってもらいたいなぁ……///)ボンヤリ
アニ「……」ペラッペラッペラッ
18 : ◆H4iwFNXQsw:2013/07/11(木) 18:48:00 ID:D8EEnAIQ
ーー 同刻 男子寮 エレンたちの部屋
ジャン「ーー妹萌えだ」キリッ
ライナー「いきなり乗り込んできて何を言ってるんだお前は」
エレン「えー……お前母親に興奮すんの?」ドンビキ
ジャン「違ぇよ妹だって言ってんだろ!! い・も・う・と!!」ダンッ!!
コニー「? どこが違うんだよ、身内じゃん」
ジャン「だから違ぇんだって!! なんでわかんねぇんだよ!!」ジタバタ
ライナー「……大変だったんだな、マルコ」
マルコ「うん、僕一人じゃちょっとね……ところでアルミンは?」
ベルトルト「あそこで本読んでるよ。邪魔はしないほうがいいと思うな」
アルミン「……」ペラッ
19 : ◆H4iwFNXQsw:2013/07/11(木) 18:48:42 ID:D8EEnAIQ
ライナー「……ところで、ジャンって妹好きだったのか?」ヒソヒソ
マルコ「いや、ジャンの好みはコロコロ変わるんだよ。最終的にはいつも黒髪に戻ってくるんだけど」ヒソヒソ
ライナー「……一途なのか見境がないのかわからん奴だな」ヒソヒソ
エレン「いやでも妹だろ? 家族だろ? ……ないなー」ウーン
コニー「ねえよなー」ウーン
ベルトルト「家族をそういう対象に見るのはちょっとね……」
ジャン「……」ピクッ
20 : ◆H4iwFNXQsw:2013/07/11(木) 18:49:38 ID:D8EEnAIQ
ジャン「おいおいベルトルト。お前がそんな態度を取るなんてなぁ、がっかりしたぜ……」ユラァ...
ベルトルト「え? ……僕?」ビクッ
ジャン「だってよぉ、お前はこっち側の人間だろ……?」
ジャン「この前お前から借りた、金髪貧乳のエロ本……妹ものだったよなぁー……?」
ベルトルト「そ、そうだったかなー……?」フイッ
ジャン「しらばっくれてんじゃねえよ……! いいか、俺とお前は仲間だベルトルト! 認めやがれ!!」ギロッ
ベルトルト「えっ……僕も仲間になっていいの……?」ソワソワ
ライナー「待て待てベルトルトそっちの道は間違ってるぞ! 戻ってこい!」ユサユサ
21 : ◆H4iwFNXQsw:2013/07/11(木) 18:50:32 ID:D8EEnAIQ
ライナー「……それで、ジャンはどうしたいんだ? 妹好きの仲間を増やしに来たのか?」ハァ
ジャン「ミカサに『お兄ちゃん』って呼んでもらうにはどうしたらいいか一緒に考えてくれ」キリッ
マルコ「って言われたんだけど僕一人じゃ無理だからアルミンになんとかしてもらおうと思って」
ライナー「アルミンか……」チラッ
ベルトルト「今日は無理じゃないかなー……」チラッ
アルミン「……」ペラッ
エレン「? 普通にミカサに頼めばいいだろ? 『呼んでくれ』って」キョトン
コニー「ミカサに頼めばやってくれるのか?」
エレン「やってくれるだろ。たぶん」
ライナー「お前らは……ったく、そういうことをさせるんじゃない」
22 : ◆H4iwFNXQsw:2013/07/11(木) 18:51:35 ID:D8EEnAIQ
ライナー「そもそも、同期の女に自分のことを兄貴呼びさせるなんて、そんな変態じみたことーー」ハッ
ーー……じゃあ、ライナーお兄ちゃん?
ーーでも色々言ってる割にやっぱり優しいですよね。ライナーお兄ちゃん?
ライナー「…………」ダラダラダラダラ
コニー「? ライナー、汗かいてんぞ? 暑いのか?」
ライナー「……ああ、ちょっと暑いな」ダラダラダラダラ
ライナー(…………やってたな…………そういえば…………)アタマカカエ
ライナー(いや、でも俺が呼べって強要した訳じゃないしな……うん……)
ライナー(一応、ジャンにはバレないように気をつけるか……)
・1『サシャ「キスの味、私に教えてください」』
2『サシャ「この味は、ウソをついてる味ですね」』
3『サシャ「二人だけの、秘密の味です」』
4『サシャ「とくと味あわせてあげましょう!」』
5『サシャ「同じ味を、知りたいですから」』
6『サシャ「味気なくなんかないですよ?」』の続きです
・たぶんネタバレなし。今回はちょっとサシャ成分薄めです
・各人の性癖は、書き手の妄想によるものです。ご注意ください
2 : ◆H4iwFNXQsw:2013/07/11(木) 18:37:12 ID:D8EEnAIQ
ーー 夜 消灯時間前 ユミルたちの部屋
サシャ「……」カキカキ
ミカサ「……」
サシャ「……」カキカキ...
ミカサ「……」
サシャ「……」
ミカサ「……」
サシャ「……zzz」
ミカサ「サシャ、起きて」ユサユサ
3 : ◆H4iwFNXQsw:2013/07/11(木) 18:37:47 ID:D8EEnAIQ
サシャ「ふぁっ!? ……あ、すみません」
ミカサ「今日はもうやめにする?」
サシャ「いえ……時間ギリギリまでやります……」メモトゴシゴシ
ミカサ「わかった。なら頑張って」
サシャ「はい……また寝そうになったら、起こしてくださいね!」ガッツポーズ
ミカサ「……ところで、ユミルとクリスタはどこに行ったの?」
サシャ「そういえば、お風呂からまだ帰ってきませんね。どこにいったんでしょう……zzz」ウツラウツラ
ミカサ「サシャ、起きて」ユサユサ
4 : ◆H4iwFNXQsw:2013/07/11(木) 18:38:34 ID:D8EEnAIQ
ーー 夜 消灯時間前 ミカサたちの部屋
ユミル「ーーあいつらにあすなろ抱きをさせたいんだ」キリッ
アニ「……何しに来たの? 部屋に戻れば?」
ユミル「芋女が今日は部屋で勉強してんだよ。おかげで無駄話もできやしねえ」ケッ
クリスタ「ごめんね、突然押しかけてきちゃって……」シュン
ミーナ「いいよいいよ、気にしないで! どうせ暇だもん、みんなでお話しよ!」ニコニコ
アニ「それで、あす……何だって?」
ユミル「あすなろ抱きな」
アニ「あすなろって確か……木の名前でしょ。それが何か関係あるの?」
ユミル「知らん」キッパリ
アニ「……」イラッ
ミーナ「アニ、抑えて抑えて」
5 : ◆H4iwFNXQsw:2013/07/11(木) 18:39:04 ID:D8EEnAIQ
クリスタ「でも、私も名前しか知らないんだよね。どういう抱き方なの?」
ユミル「どうって、ただ単に後ろから抱きしめるだけだよ。因みに『女がされたら恥ずかしいが、一度はやられてみたい抱きしめかたナンバーワン』だ。覚えておけ」キリッ
アニ「無防備に相手に背中を見せる奴の気が知れないね。きっとそいつは死に急ぎ野郎だ」
クリスタ「もう……アニったら、情緒がなさ過ぎるよ」ハァ
アニ「私は恋愛してるほど暇じゃないんだよ、悪いね」ペラッ
ミーナ「と言いながら雑誌を逆さまに持ってるアニでした、っと」
アニ「……」アタフタアタフタ
ユミル「なぁアニ、クールな顔してるけど本当は興味あるんだろ? な?」ニヤニヤ
アニ「……別にないってば」イライラ
ユミル「そういうのはな、むっつりスケベって言うんだぞ? ん?」ニヤニヤ
アニ「…………」イライライライラ
ユミル「まあ、混ざりたくなったらいつでも混ぜてやるよ。私は優しいからな」ニヤニヤ
ユミル「ーーというわけで作戦会議を始めるぞ。まずはシチュエーションだな。何か案があったら出すように」
クリスタ「シチュエーションかぁ……」ウーン
ミーナ「うーん……あすなろ抱きって結構難易度高いよね。私たちでどうにかできるような状態じゃない気がするなぁ」ウーン
7 : ◆H4iwFNXQsw:2013/07/11(木) 18:40:26 ID:D8EEnAIQ
アニ「……ねえ、疑問なんだけど。なんでそんなに必死になってるの?」
クリスタ「見たいから!」
ユミル「雑誌読むより勉強になるから!」
ミーナ「私たちは女の子だから!!」
アニ「うん。ミーナの理由だけよくわからないけど大体把握したよ。……それってハンナとフランツじゃダメなの?」
クリスタ「ダメに決まってるでしょ!」バンッ!!
ユミル「ただイチャコラしているバカップルなんざぁ見てても楽しくねぇんだよ!」クワッ!!
ミーナ「もう甘ったるい話は聞き飽きたの! 甘酸っぱい話が聞きたいの!!」ダンッ!!
アニ「ご、ごめん。悪かったよ……」ビクビク
ユミル「ったく、わかりゃいいんだよ。それじゃあ続きをーー」
「……ちょっと待った」ガチャッ...
8 : ◆H4iwFNXQsw:2013/07/11(木) 18:41:19 ID:D8EEnAIQ
ミーナ「ミカサ、お疲れさまー」フリフリ
ミカサ「ただいま」フリフリ
ユミル「ん? 芋女はどうした。お前が教えてたんだろ?」
ミカサ「あとは一人で頑張ると言ったので切り上げてきた」
ミカサ「というか、ユミル。……そういうのはあまり感心しない」
ユミル「なんだよ、お前もやってることだろ?」
ミカサ「私は状況は作っているけれど、直接的な後押しはしていない。こういうことは自然の成り行きに任せるべき」
ユミル「未だに本音で話せてねえ奴が、これからなんとかできると思うのか?」
ミカサ「サシャは少しずつ前に進んでいる。……横からちょっかいを出すのは私が許さない。過度な思いやりは、相手のためにはならないから」
アニ「……エレンはいいの? あんたの普段の行動は、充分過度な思いやりに見えるけど」
ミカサ「エレンは別」キリッ
アニ「……あっそ」
9 : ◆H4iwFNXQsw:2013/07/11(木) 18:42:07 ID:D8EEnAIQ
ミカサ「それと、東洋にはこんなことわざがある」
ミカサ「人の恋路を邪魔する奴はーー」
クリスタ「ーー馬に蹴られて地獄に落ちろっ!」ハイッ!
ミカサ「……よくできました。クリスタに十点あげよう」パチパチ
クリスタ「わーい!」バンザイ
ミカサ「というか、最近はみんなサシャの件ではしゃぎすぎている気がする。特にクリスタ」
クリスタ「うっ、褒めてから落とすなんて……で、でも私だって恋バナしたいよ! させてよ!」ブンブン
ミカサ「気持ちはわかる。けど、サシャはみんなのおもちゃじゃない。あまりにも度が過ぎるようなら……削ぐ」ギラッ
ミーナ「ちょっと待ってよ、サシャはミカサだけのものじゃないでしょ! 私たちの共有財産であると主張します!」ハイッ
アニ(……不毛だから早く終わらないかな、この話)ペラッ
10 : ◆H4iwFNXQsw:2013/07/11(木) 18:42:42 ID:D8EEnAIQ
ユミル「……なあ、ミカサ。お前はそうやってすましてるけどよ……見たくねえのか? あすなろ抱き」
ユミル「それとも、エレンとしょっちゅうやってるから関係ありませんってか?」
ミカサ「……あすなろ抱きは知っているけれど、エレンとしたことはない」
アニ(へえ、ないんだ……意外)
ミカサ「それに、その抱き方を特に魅力的に感じたことはない」
ユミル「……ほお、言ってくれるじゃねえか。ーーよーしクリスタ、私の前に座れ」
クリスタ「え? ……何するの?」
ユミル「決まってんだろ。あすなろ抱きの素晴らしさを我らが首席様にご教授してやるのさ」ニヤッ
クリスタ「……変なことしないでよ?」
ユミル「そりゃ首席様次第だな。理解が早いと助かるんだがね」
11 : ◆H4iwFNXQsw:2013/07/11(木) 18:43:17 ID:D8EEnAIQ
クリスタ「よいしょっと……こんな感じ?」チョコン
ユミル「よしよし、まずはこう、後ろからギュッと抱き寄せてだな……」ムギュッ
クリスタ「きゃっ……」ポスッ
ミーナ「わ、わあ……結構身体が密着するんだね……///」ドキドキ
ユミル「それが醍醐味だからなー。あすなろ抱きの利点はこの距離感だ。それに、普段は見えない相手の隠れたところがよく見える。耳の裏とかな」ヒョイッ
クリスタ「やぁっ、ユミルってば、髪触らないでよ……くすぐったいよぉ……っ///」
アニ「…………」チラッチラッ
ミカサ「……」ジーッ
12 :以下、名無しが深夜にお送りします:2013/07/11(木) 18:43:52 ID:wOkw0GMY
待ってました
13 : ◆H4iwFNXQsw:2013/07/11(木) 18:43:53 ID:D8EEnAIQ
ユミル「身長差はあればあるだけいいな。……あれ? クリスタ、毛先傷んでるぞ?」クルッ
クリスタ「えっ……? そ、そうかな……?」モジモジ
アニ(指に毛先を絡めてる……///)チラッチラッ
ミーナ(なんだかとっても手慣れてるんですけど……?///)ドキドキ
ミカサ「……」ジーッ
ユミル「おっと……肌も少し荒れてるな。ちょっと夜更かししすぎなんじゃないのか?」ボソッ
クリスタ「きゃっ、ちょっと、耳元で囁かないでぇ……っ!」
ユミル「……ダメだろー? 女神クリスタ様が夜更かしなんていけないことしちゃ」ボソボソ
クリスタ「あうう……ご、ごめんなさい……///」
ユミル「わかればいいんだよわかれば」ナデナデ
ミカサ「……」ジーッ
14 : ◆H4iwFNXQsw:2013/07/11(木) 18:44:34 ID:D8EEnAIQ
ミカサ「……やはり、魅力的には感じられない。そもそも私とエレンの身長は同じくらい」ムー...
ユミル「そうだな、身長が近い場合は後ろの奴が膝立ちするってのもアリだな。……うりゃうりゃ」グリグリ
クリスタ「ひゃあっ! ゆ、ユミル、顎が刺さって痛いよう!」ジタバタジタバタ
アニ(…………ちょっと楽しそう)チラッチラッ
ミーナ(私もやってもらおうかな……///)ドキドキ
ミカサ「……それもスキンシップというよりは、嫌がらせにしか見えないけれど」
ユミル「わかってねぇなあミカサは。お前はこの体勢を見て他に何も思わないのか?」ハァ
ミカサ「……?」
15 : ◆H4iwFNXQsw:2013/07/11(木) 18:45:18 ID:D8EEnAIQ
ユミル「いいか? ーー私はクリスタの顔が見えないし、クリスタは私の顔が見えない」
ユミル「お互いの相手の顔が見えないってことは、次に相手が何をするか、自分が何をされるかわからないってことだ」
ユミル「アニも言ってたが……こんなことやろうと思う奴は、やっぱりマトモじゃないんだろうよ」
ユミル「だからこの体勢、あすなろ抱きの根底には……深い信頼関係がある。それがなけりゃ成立しない」
ミカサ「深い、関係……」ゴクッ
ユミル「そう。……つまり、あすなろ抱きっていうのは、相手との信頼の深さの証でもあるわけだ。ーー燃えるだろ?」
ミカサ「……」
16 : ◆H4iwFNXQsw:2013/07/11(木) 18:46:21 ID:D8EEnAIQ
ミカサ「……」
ミカサ「…………」ゴソゴソガチャガチャ
ミカサ「……」シュッ
\ エレンエレーン!! /
クリスタ「…………行っちゃったよ?」
ユミル「よーし、じゃあ帰るか」スッ
ミーナ「ええ? いいの?」
ユミル「いいんだよ。はしゃぎすぎって言われた仕返しだ」ケケケ
アニ(根に持ってたんだ……)
ユミル「芋女も勉強に飽きてそろそろ寝てる頃合いだしな。ちょうどいいだろ」
17 : ◆H4iwFNXQsw:2013/07/11(木) 18:46:59 ID:D8EEnAIQ
ミーナ「……ところでユミル、さっきのはどこで覚えてきたの?」ジトメ
ユミル「全部雑誌に書いてあった」パラッ
ミーナ「わぁ。雑誌って便利」
ユミル「……」
ミーナ「……」
ユミル「……」
ミーナ「……やっぱりこれ、あの二人にやらせるにはちょっとハードル高すぎない?」
ユミル「言うな。話してる途中で私も気づいてたけど言うな」
クリスタ(あすなろ抱きかぁ……私も誰か男の子にやってもらいたいなぁ……///)ボンヤリ
アニ「……」ペラッペラッペラッ
18 : ◆H4iwFNXQsw:2013/07/11(木) 18:48:00 ID:D8EEnAIQ
ーー 同刻 男子寮 エレンたちの部屋
ジャン「ーー妹萌えだ」キリッ
ライナー「いきなり乗り込んできて何を言ってるんだお前は」
エレン「えー……お前母親に興奮すんの?」ドンビキ
ジャン「違ぇよ妹だって言ってんだろ!! い・も・う・と!!」ダンッ!!
コニー「? どこが違うんだよ、身内じゃん」
ジャン「だから違ぇんだって!! なんでわかんねぇんだよ!!」ジタバタ
ライナー「……大変だったんだな、マルコ」
マルコ「うん、僕一人じゃちょっとね……ところでアルミンは?」
ベルトルト「あそこで本読んでるよ。邪魔はしないほうがいいと思うな」
アルミン「……」ペラッ
19 : ◆H4iwFNXQsw:2013/07/11(木) 18:48:42 ID:D8EEnAIQ
ライナー「……ところで、ジャンって妹好きだったのか?」ヒソヒソ
マルコ「いや、ジャンの好みはコロコロ変わるんだよ。最終的にはいつも黒髪に戻ってくるんだけど」ヒソヒソ
ライナー「……一途なのか見境がないのかわからん奴だな」ヒソヒソ
エレン「いやでも妹だろ? 家族だろ? ……ないなー」ウーン
コニー「ねえよなー」ウーン
ベルトルト「家族をそういう対象に見るのはちょっとね……」
ジャン「……」ピクッ
20 : ◆H4iwFNXQsw:2013/07/11(木) 18:49:38 ID:D8EEnAIQ
ジャン「おいおいベルトルト。お前がそんな態度を取るなんてなぁ、がっかりしたぜ……」ユラァ...
ベルトルト「え? ……僕?」ビクッ
ジャン「だってよぉ、お前はこっち側の人間だろ……?」
ジャン「この前お前から借りた、金髪貧乳のエロ本……妹ものだったよなぁー……?」
ベルトルト「そ、そうだったかなー……?」フイッ
ジャン「しらばっくれてんじゃねえよ……! いいか、俺とお前は仲間だベルトルト! 認めやがれ!!」ギロッ
ベルトルト「えっ……僕も仲間になっていいの……?」ソワソワ
ライナー「待て待てベルトルトそっちの道は間違ってるぞ! 戻ってこい!」ユサユサ
ライナー「……それで、ジャンはどうしたいんだ? 妹好きの仲間を増やしに来たのか?」ハァ
ジャン「ミカサに『お兄ちゃん』って呼んでもらうにはどうしたらいいか一緒に考えてくれ」キリッ
マルコ「って言われたんだけど僕一人じゃ無理だからアルミンになんとかしてもらおうと思って」
ライナー「アルミンか……」チラッ
ベルトルト「今日は無理じゃないかなー……」チラッ
アルミン「……」ペラッ
エレン「? 普通にミカサに頼めばいいだろ? 『呼んでくれ』って」キョトン
コニー「ミカサに頼めばやってくれるのか?」
エレン「やってくれるだろ。たぶん」
ライナー「お前らは……ったく、そういうことをさせるんじゃない」
22 : ◆H4iwFNXQsw:2013/07/11(木) 18:51:35 ID:D8EEnAIQ
ライナー「そもそも、同期の女に自分のことを兄貴呼びさせるなんて、そんな変態じみたことーー」ハッ
ーー……じゃあ、ライナーお兄ちゃん?
ーーでも色々言ってる割にやっぱり優しいですよね。ライナーお兄ちゃん?
ライナー「…………」ダラダラダラダラ
コニー「? ライナー、汗かいてんぞ? 暑いのか?」
ライナー「……ああ、ちょっと暑いな」ダラダラダラダラ
ライナー(…………やってたな…………そういえば…………)アタマカカエ
ライナー(いや、でも俺が呼べって強要した訳じゃないしな……うん……)
ライナー(一応、ジャンにはバレないように気をつけるか……)
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