サシャ「どんな味でも構いません」
Part7
139 : ◆H4iwFNXQsw:2014/02/09(日) 22:25:23 ID:BCi7cAmc
アニ「……あんたが私とベルトルトの出身を一緒にしたがってるのはわかったよ。けどね、今の話だけじゃ根拠が足りなさ過ぎるんじゃない? そこまで言い切るからには、もっと決定的なことがあるんでしょ」
サシャ「ありますよ。ーー 例えば、そこの器」
ベルトルト「……これが何?」
サシャ「言わなきゃわかりませんか? 私には、食べ残した骨の重ね方が全く同じように見えるんですが。……あまり見ない重ね方ですよね、それ」
アニ「……」
ベルトルト「……」
サシャ「前に四人でお菓子を食べに行った時も、食器の持ち方が同じでしたよね。忘れてません、よく覚えてますよ」
アニ「それだけで同じ村に住んでたって決めつけるのは無理やりすぎるね。単なる偶然って可能性も捨てきれない」
サシャ「まあ、それはそうですね。食事の作法なんて、それこそ近くの村なら全く同じってこともありえるでしょうし。ーーところでお二人は知ってます? 同じ動物でも、住んでいる地域によって行動に大きな違いが出るんですよ。山一つ離れてたら地形なんてガラッと変わっちゃいますから、当然といえば当然なんですけど」
アニ「持って回ったような言い方は嫌いだよ。はっきり言いな」
サシャ「後ろから見るといろんなことがわかりますよね。……歩き方なんかは、特に」
140 : ◆H4iwFNXQsw:2014/02/09(日) 22:26:13 ID:BCi7cAmc
サシャ「私の村もかなり人里から離れたところにあったんですけどね、はじめて近くの村に下りた時、お父さんに教えてもらったんです。『同じ動物でも生活している場によって行動に大きな差が出る。それは人間でも変わらない』って。獲物を狩る時はよーく相手を観察しておけってしつこく言われました」
アニ「へえ、獲物ね。……なら今も、あんたは私たちのことを観察してるのかな」
サシャ「はい、その通りです。ベルトルトはそろそろ汗を拭いたほうがいいですよ。ハンカチはなくても、体を拭く布くらいは持ってきてますよね?」
ベルトルト「……ある、けど」
アニ「それで、私たちを今日一日後ろから観察して何か成果はあった?」
サシャ「ええ、ありましたよ。お二人とも、歩く時に靴底を地面に擦るクセがありますよね。雪道だとはっきり跡が残るのでよくわかりました」
ベルトルト「……それこそ、僕とアニに限った話じゃないだろ」
サシャ「そうですね、ライナーも同郷ですもんね。仲間はずれにしたらかわいそうです」
141 : ◆H4iwFNXQsw:2014/02/09(日) 22:27:19 ID:BCi7cAmc
サシャ「ちなみにそっくりだったのは足跡だけじゃありませんよ? 防寒着を着ているとはいえ体の動きはわかりますからね、手足の運び方や体重の移動加減も見比べての話です」
アニ「よくそんなに細かく見る余裕があったもんだね。暇だったの?」
サシャ「はい、暇でしたね。でもそちらは歩きなれない山道で大変だったでしょう? 後ろ姿を見ただけでわかりましたよ。しかもいつもより早いペースで歩かされたんですからね、結構疲れが溜まってるんじゃないですか? ウサギ鍋をこんなに綺麗に平らげちゃって、早く横になりたいと思うくらいには」
ベルトルト「……もしかして、今日ここまで順調すぎたのは」
サシャ「感謝してくださいよ? 今回の山岳訓練、公表されてませんが規定時間より早く着くと追加で点数がもらえるらしいんです。……まあ、私もユミルに聞いただけなんですけどね」
アニ「……へえ、驚いた。あんた馬鹿だと思ってたけど、なかなか面白い冗談言うんだね」
サシャ「あはは、ありがとうございます。冗談じゃないんですけどね」
アニ「……」
ベルトルト「……」
サシャ「それで私、お二人に改めて聞きたいことがあるんですが……この期に及んで冗談だってはぐらかそうとするのはどうしてなんでしょうかね?」
サシャ「もしかしてーー同じ村に住んでいたってことが知られると、何か不都合でもあるんですか?」
142 : ◆H4iwFNXQsw:2014/02/09(日) 22:28:14 ID:BCi7cAmc
サシャ「……空気が変わりましたね。この感じ、よく知ってます。本当にみなさんそっくりなんですね」
アニ「ねえ……あんた、本当にサシャ?」
サシャ「はい、私はサシャ・ブラウス本人ですよ? 見てわかりませんか?」
ベルトルト「君、頭の回転は鈍いほうだと思ってたんだけどな」
サシャ「ああ、それは間違ってませんよ。私は見たままを受け入れて、見たままを話しているだけですから、何も難しいことはしてません。さっきも言いましたけど、考えるのってあまり得意じゃないんですよ」
アニ「……『馬鹿と天才は紙一重』ってよく言ったもんだね」
サシャ「あはは、アニってば面白いこと言いますね。これくらいで天才なら、コニーは貴族の家庭教師になれちゃいますよ。ーーそれで、私の質問には答えてくれないんですか? それとも答えられないんですか?」
アニ「……そんなに知りたい?」
サシャ「はい、知りたいです。だって普通に考えたら、同じ出身だからってそこまで神経質に隠す必要はないでしょう? 今の三人の関係を見る限り、特別仲が悪かったわけでもなさそうですし。第一ベルトルトとライナーは同郷だって周りに明かした上で仲良くしてますからね。それなのに、アニとだけ訓練所で知らんぷりしあうなんてどう考えてもおかしいです。変ですよ」
アニ「むさい男どもと一緒くたにされるのが嫌だったんだよ。周りの人間に騒ぎ立てられるのは好きじゃないからね。……正直、あんたが今やってることも不快かな」
サシャ「そこは本当に申し訳ないと思ってます。ですから、きちんと答えてくれたらもう追求しませんよ。約束します」
アニ「今答えたよ。『むさい男どもと一緒くたにされたくなかったから』」
サシャ「嘘ですね。誤魔化すにしてももう少しマシな理由を考えたらどうですか?」
143 : ◆H4iwFNXQsw:2014/02/09(日) 22:28:56 ID:BCi7cAmc
ベルトルト「……あのさ二人とも、もうその辺に」
アニ「あんたは黙ってな」
サシャ「ベルトルトは黙っててください」
ベルトルト「…………はい」
アニ「あんたは面白半分で藪を突いてるつもりなんだろうけどね。あまり叩きすぎて、蛇やウサギ以外の物が出てきても知らないよ」
サシャ「今日のアニはよく喋りますね」
アニ「忠告してあげてるんだ。……聞き分けな」
サシャ「嫌です。むしろ蛇やウサギ以外のものが出てくるなら、こちらは望むところですよ。危険もなしにおいしいものが手に入るわけありませんから」
アニ「ふぅん……あんたには、あいつがそんなにおいしそうな獲物に見えたわけだ。だったらあいつも災難だね。骨の髄まであんたにしゃぶりつくされそうで、なんだかかわいそうだよ」
サシャ「大丈夫ですよ、残さず全部いただくつもりですから」
アニ「……あんたさ、危険は望むところだって言ったよね。その危険の大きさもちゃんと考えた上でこんな話をしてるわけ?」
サシャ「もちろんですよ。狩人は一つ一つの狩りが直接生活に繋がってくるんですからね、損得勘定ができない人間にはやれない仕事です」
アニ「そう。ーー ならこの場合、あんたにとっての危険ってのは何かな」
サシャ「お二人にここで消されることです」
144 : ◆H4iwFNXQsw:2014/02/09(日) 22:29:40 ID:BCi7cAmc
ベルトルト「……」
アニ「……へえ? 随分簡単に言うんだね」
サシャ「簡単ですよ。私は一人、あなたたちは二人です。ベルトルトの腕力には到底敵いませんし、アニの格闘術を私がなんとかできるわけありません。三人しかいない今なら、事故に見せかけて始末することも難しくないはずです」
ベルトルト「始末って……ちょっと待ってよ、なんでそんな話に、」
サシャ「例えばこの後、私が寝てしまってから荷物をまとめてこの場を立ち去ればいいんです。いくら私でも、装備と地図とコンパスがない状態では下山できませんからね。幸いこの洞窟はルートより少し外れたところにありますから、教官に報告する時はもう少し近い位置を指示すると完璧でしょう。悪くない手だと思いません? この方法なら自分の手を汚さずに済みますし」
ベルトルト「……」
アニ「……」
サシャ「別に遠慮しなくていいんですよ? 私のほうがよっぽど二人に酷いことしてますからね、反撃するのはむしろ当然のことです。野生の動物だって追い詰められたら暴れだすものですよ」
アニ「……あんた、自殺願望でもあるわけ?」
サシャ「あるわけないじゃないですか。せめてお腹いっぱい牛肉食べるまでは死にたくありません」
ベルトルト「だったらどうして……そこまで自分を賭けられるんだ」
サシャ「獲物を狩るのに作法が必要ですか? ……卒業試験が終わったらすぐ解散式ですからね、こっちももう余裕がないんです。なりふり構ってられないんですよ」
145 : ◆H4iwFNXQsw:2014/02/09(日) 22:30:18 ID:BCi7cAmc
アニ「なりふり構ってられないなら、あんたの好きな男を締め上げればいい話でしょ? そっちのほうが今の状況より何倍も楽だったんじゃない?」
サシャ「それが駄目なんですよ。これまでも何度か聞こうとしたんですけどね、どうも自分から話してくれる気配が全くないんです。だから同郷のお二人に聞いてみようと思ったんですが、どうやら教えてもらえないみたいですね。残念です」
ベルトルト「……どうしてサシャは、僕たちがその理由を知ってると思ったの?」
サシャ「だってライナーは自分よりも他人の都合を優先して考える人でしょう? 自分一人だけの問題で済むならとっくの昔に話してくれてると思うんですよ。ですからきっと、誰か別な人が関わってるのかなぁって考えまして」
ベルトルト「……それが僕たちだって言いたいのかな」
サシャ「だって他にいます? そんな人」
アニ「さっきから大した自信だね、あんた」
146 : ◆H4iwFNXQsw:2014/02/09(日) 22:31:06 ID:BCi7cAmc
サシャ「目と耳がいいことだけが私の武器ですからね。狩人が自分の武器を信じられなくなったら仕事はできませんよ」
アニ「ならその武器は取り替えたほうがいいね。あんたがさっきから言ってるのは全部見当外れだから」
サシャ「本当にそう思います?」
アニ「……」
ベルトルト「……」
サシャ「お二人よりも付き合いは短いですけどね、わかっちゃうんですよ。もう……ずっと隣にいましたから、ちょっとの変化くらいすぐわかるんです」
サシャ「お二人は気づいていないかもしれませんが……ライナーがそういうちょっとした変化を見せるのは、あなたたち二人と話してる時だけです。ベルトルトもアニもそこは同じです。話すのが苦手って言ってる割に、ライナーとは普通に話してますよね。……ちゃんと、見てましたよ。知ってます」
サシャ「ずっと見てましたから、アニとベルトルトが必要としてるのはわかってるんです。……でも、私もどうしても欲しいんですよ。二人を陥れて、自分が危険な目に遭っても構わないくらいには」
サシャ「だからお願いします。ライナーを、私にください。そのためなら……どんな目に遭ったって、構いません」
147 : ◆H4iwFNXQsw:2014/02/09(日) 22:32:26 ID:BCi7cAmc
ベルトルト「……」
ベルトルト(……どうしよう、この状況)
ベルトルト(もう誤魔化せるような段階じゃない。サシャは僕らが何か知ってるって確信を持った上で、本気で問い詰めにきてる。……だけど、正直に話すわけにもいかない)
ベルトルト(「始末する」なんて選択肢は論外だ。教官の目は欺けても、きっとライナーは気づくに決まってる。気づいた時にどんな行動を取るかは……考えたくないな)
ベルトルト(……いや待てよ? そもそも決定的な何かを知られたわけじゃないんだ。同郷だってことはもう否定しきれないだろうけど、この状況だけはまだなんとかできるかもしれない。僕が……僕らだけで、なんとかできればーー)
アニ「なるほどね。……あんたの言い分はわかった」スクッ
ベルトルト「えっ、アニ……? なんで立ち上がってーー」
148 : ◆H4iwFNXQsw:2014/02/09(日) 22:33:06 ID:BCi7cAmc
サシャ「そうですか。それで、教えてくれる気になってくれましたか?」
アニ「いいや違うよ。あんたの大好きなお父さんからは教わらなかった? ーー欲しいものがあるなら力尽くで取れってさ」スッ...
ベルトルト「は……? ちょっ、ちょっとアニ、何を、」
サシャ「わかりました。でしたら自力でぶん取ります」スクッ
ベルトルト「なっ……!? 待った待った、待って二人とも! 少し落ち着いて!」グイグイ
アニ「私は落ち着いてるよ。売られた喧嘩を買ってるだけだ」
ベルトルト「喧嘩って……いや、喧嘩する話じゃなかっただろ!? ちょっと待ってよ!! サシャも座ってくれ、お願いだ!」
サシャ「ベルトルトが教えてくれるならいいですよ。私は別に殴りあいたいわけじゃありませんし」
ベルトルト「それは……」
149 : ◆H4iwFNXQsw:2014/02/09(日) 22:34:20 ID:BCi7cAmc
ベルトルト(……駄目だ。ライナーやアニがここまで隠してきたのに、僕が言ってしまうわけにはいかない)
ベルトルト「ごめん。……話せない」
サシャ「それなら邪魔しないでください。私はアニと話し合いますから」
ベルトルト「だから待ってくれ。……アニと話し合う前に、僕の話も聞いてくれないかな」
サシャ「え? ベルトルトの……?」
ベルトルト「さっきは黙れって言われたけど、僕にだって言いたいことはある。……少なくとも、黙ってこの状況を見てるわけにはいかないよ」
サシャ「……わかりました、いいですよ。ベルトルトの話を聞きましょう」ストンッ
ベルトルト「ありがとう。……ほら、アニも座って」
アニ「……」
ベルトルト「頼むよ。ーー 二人に怪我でもさせたら、ライナーに何言われるかわかったもんじゃない」
アニ「怪我ね……確かに、荷物の他に怪我人背負えってあんたに言うのも酷だね」
ベルトルト「アニ」
アニ「冗談だよ、ちゃんとやめる。……あんたが言いたいことがあるって言い出すのは珍しいからね。静かにしてるよ」ストンッ
ベルトルト「……うん。取り敢えず、悪いことにはしないから」
150 : ◆H4iwFNXQsw:2014/02/09(日) 22:35:27 ID:BCi7cAmc
ベルトルト「前置きしても仕方がないから簡潔に言うよ。サシャが言う通り、僕とライナーとアニは同じ村で育った。それは本当だ」
アニ「……ちょっと」
ベルトルト「ごめんアニ、ずっと隠してたのに……でも、この場は僕に任せてほしい。お願いだ」
アニ「……いいよ、わかった。続けて」
ベルトルト「ありがとう。……それでね、サシャ。僕やアニがそのことを隠してた詳しい理由は、どうしても君には明かせない。ライナーも、きっと話さないと思う。これからもずっと」
サシャ「……それは、私のことが信用できないからですか」
ベルトルト「そうじゃないよ、そういうことじゃない。……僕たち三人には、やらなきゃいけないことがある。他の何を犠牲にしてでも、やり遂げなきゃいけないことがあるんだ。そのためには、どうしても僕たちが同郷だってことは知られるわけにいかなかった」
サシャ「でも、ベルトルトとライナーは同郷だって周りの人たちに言っちゃってるじゃないですか。アニも一緒だとどうして駄目なんですか?」
ベルトルト「……それも話せない。ごめんね」
サシャ「みなさん、隠しごとが多すぎですよ……」
ベルトルト「そうだね。……自分でも、そう思うよ」
サシャ「そう思うなら直す努力をしましょうよ。……まあ、私も隠しごとしてますから、人のことを言えるわけじゃないですけど」
151 : ◆H4iwFNXQsw:2014/02/09(日) 22:36:27 ID:BCi7cAmc
ベルトルト「……話を戻すよ。君がさっき言った通り、ライナーは自分のための嘘は吐かない人間だ。それでも隠しごとをしているってことは、他に理由があるってことだ」
サシャ「じゃあやっぱり、」
ベルトルト「でもそれは、僕やアニのためじゃない。君のためだよ」
サシャ「……私の?」
ベルトルト「そうだよ。『僕たちが同郷であることを知っていた』だけで、将来君によくないことが起こるかもしれない。……本当はこうやって話してることさえ危ないんだ。ライナーがいたらきっと怒られただろうね。『余計なことを話すな』って」
サシャ「……」
ベルトルト「僕の言ってることが信じられないならそれでもいいよ。でも、ライナーのことは信じてあげてくれないかな。君に信じてもらえてないって知ったら、きっとライナーは傷つくと思うから」
サシャ「……そんな嘘を吐かれても、ちっとも嬉しくないです。私は守られたいんじゃなくて、隣で支えてあげたいんですよ」
ベルトルト「そうだね、その気持ちは僕もわかるよ。でも、それこそ僕たちに言っても仕方がない。ライナー本人に直接言わないとね」
サシャ「……それもそうですね。ベルトルトの言うとおりです」
ベルトルト「とにかく、僕から言えるのはこれだけだ。ーーこれで納得できないなら、僕が二人の間に入って止めるよ。どっちの味方もしない、喧嘩両成敗だ。どうする?」
152 : ◆H4iwFNXQsw:2014/02/09(日) 22:37:42 ID:BCi7cAmc
ベルトルト(……これでなんとか収まってくれるといいんだけど)
サシャ「……」チラッ
アニ「……」チラッ
ベルトルト「……」
サシャ「……ベルトルトにそこまで言われちゃ仕方がありませんね。やめましょう」
アニ「そうだね。……ボロボロになったベルトルトを担いで下りるのは嫌だし」
ベルトルト「えっ? ……い、嫌ってどういう」
サシャ「そうですね、やりたくないです」
ベルトルト「」
サシャ「この場は私の負けでいいです。……アニ、すみませんでした。嫌な思いさせて」
アニ「いいよ別に。……あまり見ない姿も見られたしね」
アニ(ベルトルトだって、やればできるんじゃないか……いつもああやって話せばいいのに)チラッ
153 : ◆H4iwFNXQsw:2014/02/09(日) 22:38:34 ID:BCi7cAmc
ベルトルト「……」ズーン...
アニ(あれ? なんで落ち込んでるの?)
サシャ「ベルトルト? どうしました?」
ベルトルト「そうだよね、僕みたいな奴担いで帰るの嫌だよね、二人とも……」ショボン...
サシャ「はい? ……あっ、いえ、そういうことではなくてですね」オロオロ
アニ「あのさベルトルト、嫌っていうのはほら、あんた重たいし体も大きいからやりたくな……大変だなってだけで、別にそういう意味で言ったんじゃ」アセアセ
ベルトルト「いいよ、無理に元気づけようとしなくてもさぁ……自分が情けない男なのはわかってるしぃ……」イジイジ
アニ「だからごめんってば、悪い意味じゃないから、悪い意味っていうか体格的に無理っていうか」ユサユサ
サシャ「ベルトルトー、すみませんってばぁー」ユサユサ
ベルトルト「黙ってろって言われたもんね、もう黙ってるよ……もういいよ……」ブツブツ...
154 : ◆H4iwFNXQsw:2014/02/09(日) 22:39:13 ID:BCi7cAmc
ーー 同刻 とある洞窟
ユミル「ところでライナーさんよ。お前、いつサシャと夜の対人格闘する予定なんだ?」
ライナー「……あのなユミル。お前も女なんだから、そういう話は大声でするな。やめろ」
ユミル「こんな時まで紳士にならなくていいっての。どうせベルトルさんとは普通にそういう話してんだろ?」
ライナー「隣で寝てるクリスタのことはいいのか? 生々しい話は聞かせたくないんだろ?」
ユミル「生々しいことあったのか?」
ライナー「いや…………それはないが」
ユミル「半年以上ダラダラ過ごしてまだないのかよ……それで? 結局お前らどうすんだ? 告白だのなんだのはしないのか?」
ライナー「……少なくとも、俺から言うつもりはない」
ユミル「ふうん。それじゃ、あっちから言ってきたらどうするつもりだ?」
ライナー「……それは」
ユミル「ああ、勘違いするなよ? 別に私はお前らに『付き合え』って言ってるわけじゃないんだ。お前が今の関係のままでいたいってんならそれもアリだろ。無理強いはしねえよ」
ライナー「……」
ユミル「……? なんだよ、私の顔に何かついてるか?」
155 : ◆H4iwFNXQsw:2014/02/09(日) 22:40:24 ID:BCi7cAmc
ライナー「前々から気にはなっていたんだがな。……お前のそれはどういう風のふき回しだ? ユミル」
ユミル「なんだなんだ、急に改まって。告白する相手なら間違ってんぞ? 私にはクリスタがいるからな、お前の気持ちには答えられん」
ライナー「それだ。以前のお前は、クリスタと自分以外の人間なんかどうでもいいように振る舞っていたはずだよな。……いや、それは今でもそうか。お前が本気を出すのはクリスタが絡んでいる時だけだ。違うか?」
ユミル「それがどうかしたか?」
ライナー「妙な話だよな。そんなお前がどうしてそこまで俺たちのことに口出しをする? 無償で誰かに協力するほど、お前は献身的な人間じゃなかったはずだ」
ユミル「乙女に向かってひでえ言い様だな。傷つくぞ」
ライナー「これでも人を見る目はあるつもりだ。……思えば最初からそうだったな。普通に考えれば男子を女子寮に手引きなんかしないだろ。第一あそこはクリスタの部屋でもあるんだぞ。そんな場所に気軽に男を入れるか?」
ユミル「まあ、普通に考えたら入れないだろうな。お前以外の男だったら締め出してたよ」
ライナー「……お前、いったい何を考えている?」
ユミル「何言ってんだ。答えはもう出てるだろ? ……私は最初から最後までこいつのことしか考えてねえよ」ポン
156 : ◆H4iwFNXQsw:2014/02/09(日) 22:41:18 ID:BCi7cAmc
ーー 回想 春 兵舎の食堂
ベルトルト『ーーで、ここがこうなるから、答えは1になるんだ』カキカキ...
ユミル『ほー……なるほどなぁ。お前って案外教えるの上手いんだな、ベルトルト』
ベルトルト『……どうも』
ユミル『……』
ベルトルト『……』
ユミル『終わりかよ』
ベルトルト『え? ……ああ、ごめん』
ユミル『……ったく、お前って本当に無口だよな。人と話をしようって気がないのか?』
ベルトルト『いや、ないわけじゃないけど……まあ、一歩退いちゃうところがあるのは自覚してるよ』
ユミル『ふーん……一歩退く、ねぇ』
ベルトルト『君には違うように見える?』
ユミル『そうだな。ーー私には、何か秘密を隠していて、それを喋ってしまわないように自制しているように見える』
ベルトルト『……』
ユミル『この訓練兵団はスネに傷持った奴らがかなり多いが……お前とお前のお友だちの隠しごとは、その比じゃないみたいだよなぁ? ベルトルト』
157 : ◆H4iwFNXQsw:2014/02/09(日) 22:42:08 ID:BCi7cAmc
ユミル『他人の秘密は放っとくのがいいんだろうが……私の身の周りに関わることならそうはいかない。迫ることがわかってる危険は事前に排除しないとな』
ベルトルト『……危険人物はどう見ても君だろ』
ユミル『はは、言ってくれるね。こんなかわいい女の子捕まえてさ』
ベルトルト『……』
ユミル『冗談は置いといてだな。ーーこの二年間で、表に見える脅威は私があらかた叩き潰した。見えない脅威もある程度探りはついてる。だが……その見えない脅威の中でも、お前らは異質だ。一番得体がしれない』
ユミル『特にお前のお友だちは不気味だな。実直だし人当たりがいいんでみんな騙されがちだが、何やら大事なところには指一本触れさせねえときてる。……まだ他人と距離置いてるお前のほうがわかりやすいよ。そこまで突き放されたら何かあるんだろうなってこっちも思うもんな』
ベルトルト『……ライナーは、違うよ。少なくとも君の脅威にはならない』
ユミル『とぼけるな。ーーあいつがクリスタを見て鼻の下伸ばしてるの、私は何度か見たんだよ』
ベルトルト『……待って、クリスタは君の一部なの?』
ユミル『はぁ? 今更何言ってんだ、当たり前だろ?』
ベルトルト『……それなら大丈夫だよ。少なくとも、君が心配してる事態にはならないと思うから』
ユミル『どーだかなぁ。ーー信用ができないのはお前も一緒だからな、何の保証にもなりゃしねえ』
ベルトルト『……』
158 : ◆H4iwFNXQsw:2014/02/09(日) 22:43:29 ID:BCi7cAmc
ユミル『……そうだベルトルト。いっちょ賭けでもしないか?』
ベルトルト『賭け? ……賭けって、チェスでもやるの?』
ユミル『違ぇよ。ーーあの芋女がライナーを落とせるかどうかを賭けるんだ』
ベルトルト『……は? 落とすって、どういうーー』
ユミル『落とすっつったら1つしかねえだろ。ーー私が勝ったら、お前は秘密を話すこと。お前が勝ったら、私は私の秘密を話してもいい』
ベルトルト『君の秘密なんか知っても、僕には何の得にもならないんだけど……』
ユミル『有益であることは約束するよ。……そもそも情報ってのは、扱う奴次第で金にも泥にも化けるからな。お前が私の持っている情報を泥としてしか扱えなかったら、お前がそこまでの奴だったってだけだ』
ベルトルト『……その情報が、金なのか泥なのかは置いておこうか。僕には、君のほうが分の悪い賭けに聞こえるよ』
ユミル『心配してくれるのかい? 嬉しいねえ……お前、賭け事はあまりしたことないな?』
ベルトルト『僕は君みたいにスレてないからね』
ユミル『ははっ、真面目ちゃんめ。ーーあのな。賭け事ってのは、傍目に見て明らかに負けそうな奴が勝っちまうから面白いんだよ。そして私は、負ける賭けをしない』
ベルトルト『……変なあだ名で呼ぶ割には、サシャのことを随分買ってるね』
ユミル『まぁな。ーーあいつもお前と一緒で、私たちとは一線引いてる感じはするけどよ。根性だけは人一倍だ。死ぬ寸前までくそまじめに走る馬鹿正直だ』
ユミル『そんでもってーーあいつは、やるときゃやる女なんだよ』
159 : ◆H4iwFNXQsw:2014/02/09(日) 22:44:17 ID:BCi7cAmc
ベルトルト『……僕には、あの子がそんなすごい子には見えないけどな。度胸はあると思うけど』
ユミル『芋女だしな。……そうだ、お前のこともあだ名で呼んでやろうか? 賭けのことを忘れないようにさ』
ベルトルト『いらないよ。そもそも、僕は賭けに乗るとは言ってない。それに、ライナーやサシャが君のおもちゃにされてるみたいでかわいそうだよ』
ユミル『安心しろ、今日何もなかったら諦めるさ。そこまで無理強いはしねえし、今の賭けもなかったことにしていい。ーーその代わり、今日あいつらに何かあったら、私は何がなんでも二人をくっつける』
ベルトルト『……やっぱりおもちゃじゃないか』
ユミル『じゃあお前らが隠してること教えてくれるのか?』
ベルトルト『……』
ユミル『ベルトルト……いや、ベルトルさんはお友だちと同じで真面目ちゃんだもんなぁ。こういうことは気が引けるか』
ベルトルト『……その呼び方、やめてくれないかな』
ユミル『いいや、やめないね。ーー私がお前のことをあだ名で呼ぶ度に、賭けのことを思い出せ。忘れるなよ?』
アニ「……あんたが私とベルトルトの出身を一緒にしたがってるのはわかったよ。けどね、今の話だけじゃ根拠が足りなさ過ぎるんじゃない? そこまで言い切るからには、もっと決定的なことがあるんでしょ」
サシャ「ありますよ。ーー 例えば、そこの器」
ベルトルト「……これが何?」
サシャ「言わなきゃわかりませんか? 私には、食べ残した骨の重ね方が全く同じように見えるんですが。……あまり見ない重ね方ですよね、それ」
アニ「……」
ベルトルト「……」
サシャ「前に四人でお菓子を食べに行った時も、食器の持ち方が同じでしたよね。忘れてません、よく覚えてますよ」
アニ「それだけで同じ村に住んでたって決めつけるのは無理やりすぎるね。単なる偶然って可能性も捨てきれない」
サシャ「まあ、それはそうですね。食事の作法なんて、それこそ近くの村なら全く同じってこともありえるでしょうし。ーーところでお二人は知ってます? 同じ動物でも、住んでいる地域によって行動に大きな違いが出るんですよ。山一つ離れてたら地形なんてガラッと変わっちゃいますから、当然といえば当然なんですけど」
アニ「持って回ったような言い方は嫌いだよ。はっきり言いな」
サシャ「後ろから見るといろんなことがわかりますよね。……歩き方なんかは、特に」
140 : ◆H4iwFNXQsw:2014/02/09(日) 22:26:13 ID:BCi7cAmc
サシャ「私の村もかなり人里から離れたところにあったんですけどね、はじめて近くの村に下りた時、お父さんに教えてもらったんです。『同じ動物でも生活している場によって行動に大きな差が出る。それは人間でも変わらない』って。獲物を狩る時はよーく相手を観察しておけってしつこく言われました」
アニ「へえ、獲物ね。……なら今も、あんたは私たちのことを観察してるのかな」
サシャ「はい、その通りです。ベルトルトはそろそろ汗を拭いたほうがいいですよ。ハンカチはなくても、体を拭く布くらいは持ってきてますよね?」
ベルトルト「……ある、けど」
アニ「それで、私たちを今日一日後ろから観察して何か成果はあった?」
サシャ「ええ、ありましたよ。お二人とも、歩く時に靴底を地面に擦るクセがありますよね。雪道だとはっきり跡が残るのでよくわかりました」
ベルトルト「……それこそ、僕とアニに限った話じゃないだろ」
サシャ「そうですね、ライナーも同郷ですもんね。仲間はずれにしたらかわいそうです」
141 : ◆H4iwFNXQsw:2014/02/09(日) 22:27:19 ID:BCi7cAmc
サシャ「ちなみにそっくりだったのは足跡だけじゃありませんよ? 防寒着を着ているとはいえ体の動きはわかりますからね、手足の運び方や体重の移動加減も見比べての話です」
アニ「よくそんなに細かく見る余裕があったもんだね。暇だったの?」
サシャ「はい、暇でしたね。でもそちらは歩きなれない山道で大変だったでしょう? 後ろ姿を見ただけでわかりましたよ。しかもいつもより早いペースで歩かされたんですからね、結構疲れが溜まってるんじゃないですか? ウサギ鍋をこんなに綺麗に平らげちゃって、早く横になりたいと思うくらいには」
ベルトルト「……もしかして、今日ここまで順調すぎたのは」
サシャ「感謝してくださいよ? 今回の山岳訓練、公表されてませんが規定時間より早く着くと追加で点数がもらえるらしいんです。……まあ、私もユミルに聞いただけなんですけどね」
アニ「……へえ、驚いた。あんた馬鹿だと思ってたけど、なかなか面白い冗談言うんだね」
サシャ「あはは、ありがとうございます。冗談じゃないんですけどね」
アニ「……」
ベルトルト「……」
サシャ「それで私、お二人に改めて聞きたいことがあるんですが……この期に及んで冗談だってはぐらかそうとするのはどうしてなんでしょうかね?」
サシャ「もしかしてーー同じ村に住んでいたってことが知られると、何か不都合でもあるんですか?」
142 : ◆H4iwFNXQsw:2014/02/09(日) 22:28:14 ID:BCi7cAmc
サシャ「……空気が変わりましたね。この感じ、よく知ってます。本当にみなさんそっくりなんですね」
アニ「ねえ……あんた、本当にサシャ?」
サシャ「はい、私はサシャ・ブラウス本人ですよ? 見てわかりませんか?」
ベルトルト「君、頭の回転は鈍いほうだと思ってたんだけどな」
サシャ「ああ、それは間違ってませんよ。私は見たままを受け入れて、見たままを話しているだけですから、何も難しいことはしてません。さっきも言いましたけど、考えるのってあまり得意じゃないんですよ」
アニ「……『馬鹿と天才は紙一重』ってよく言ったもんだね」
サシャ「あはは、アニってば面白いこと言いますね。これくらいで天才なら、コニーは貴族の家庭教師になれちゃいますよ。ーーそれで、私の質問には答えてくれないんですか? それとも答えられないんですか?」
アニ「……そんなに知りたい?」
サシャ「はい、知りたいです。だって普通に考えたら、同じ出身だからってそこまで神経質に隠す必要はないでしょう? 今の三人の関係を見る限り、特別仲が悪かったわけでもなさそうですし。第一ベルトルトとライナーは同郷だって周りに明かした上で仲良くしてますからね。それなのに、アニとだけ訓練所で知らんぷりしあうなんてどう考えてもおかしいです。変ですよ」
アニ「むさい男どもと一緒くたにされるのが嫌だったんだよ。周りの人間に騒ぎ立てられるのは好きじゃないからね。……正直、あんたが今やってることも不快かな」
サシャ「そこは本当に申し訳ないと思ってます。ですから、きちんと答えてくれたらもう追求しませんよ。約束します」
アニ「今答えたよ。『むさい男どもと一緒くたにされたくなかったから』」
サシャ「嘘ですね。誤魔化すにしてももう少しマシな理由を考えたらどうですか?」
143 : ◆H4iwFNXQsw:2014/02/09(日) 22:28:56 ID:BCi7cAmc
ベルトルト「……あのさ二人とも、もうその辺に」
アニ「あんたは黙ってな」
サシャ「ベルトルトは黙っててください」
ベルトルト「…………はい」
アニ「あんたは面白半分で藪を突いてるつもりなんだろうけどね。あまり叩きすぎて、蛇やウサギ以外の物が出てきても知らないよ」
サシャ「今日のアニはよく喋りますね」
アニ「忠告してあげてるんだ。……聞き分けな」
サシャ「嫌です。むしろ蛇やウサギ以外のものが出てくるなら、こちらは望むところですよ。危険もなしにおいしいものが手に入るわけありませんから」
アニ「ふぅん……あんたには、あいつがそんなにおいしそうな獲物に見えたわけだ。だったらあいつも災難だね。骨の髄まであんたにしゃぶりつくされそうで、なんだかかわいそうだよ」
サシャ「大丈夫ですよ、残さず全部いただくつもりですから」
アニ「……あんたさ、危険は望むところだって言ったよね。その危険の大きさもちゃんと考えた上でこんな話をしてるわけ?」
サシャ「もちろんですよ。狩人は一つ一つの狩りが直接生活に繋がってくるんですからね、損得勘定ができない人間にはやれない仕事です」
アニ「そう。ーー ならこの場合、あんたにとっての危険ってのは何かな」
サシャ「お二人にここで消されることです」
ベルトルト「……」
アニ「……へえ? 随分簡単に言うんだね」
サシャ「簡単ですよ。私は一人、あなたたちは二人です。ベルトルトの腕力には到底敵いませんし、アニの格闘術を私がなんとかできるわけありません。三人しかいない今なら、事故に見せかけて始末することも難しくないはずです」
ベルトルト「始末って……ちょっと待ってよ、なんでそんな話に、」
サシャ「例えばこの後、私が寝てしまってから荷物をまとめてこの場を立ち去ればいいんです。いくら私でも、装備と地図とコンパスがない状態では下山できませんからね。幸いこの洞窟はルートより少し外れたところにありますから、教官に報告する時はもう少し近い位置を指示すると完璧でしょう。悪くない手だと思いません? この方法なら自分の手を汚さずに済みますし」
ベルトルト「……」
アニ「……」
サシャ「別に遠慮しなくていいんですよ? 私のほうがよっぽど二人に酷いことしてますからね、反撃するのはむしろ当然のことです。野生の動物だって追い詰められたら暴れだすものですよ」
アニ「……あんた、自殺願望でもあるわけ?」
サシャ「あるわけないじゃないですか。せめてお腹いっぱい牛肉食べるまでは死にたくありません」
ベルトルト「だったらどうして……そこまで自分を賭けられるんだ」
サシャ「獲物を狩るのに作法が必要ですか? ……卒業試験が終わったらすぐ解散式ですからね、こっちももう余裕がないんです。なりふり構ってられないんですよ」
145 : ◆H4iwFNXQsw:2014/02/09(日) 22:30:18 ID:BCi7cAmc
アニ「なりふり構ってられないなら、あんたの好きな男を締め上げればいい話でしょ? そっちのほうが今の状況より何倍も楽だったんじゃない?」
サシャ「それが駄目なんですよ。これまでも何度か聞こうとしたんですけどね、どうも自分から話してくれる気配が全くないんです。だから同郷のお二人に聞いてみようと思ったんですが、どうやら教えてもらえないみたいですね。残念です」
ベルトルト「……どうしてサシャは、僕たちがその理由を知ってると思ったの?」
サシャ「だってライナーは自分よりも他人の都合を優先して考える人でしょう? 自分一人だけの問題で済むならとっくの昔に話してくれてると思うんですよ。ですからきっと、誰か別な人が関わってるのかなぁって考えまして」
ベルトルト「……それが僕たちだって言いたいのかな」
サシャ「だって他にいます? そんな人」
アニ「さっきから大した自信だね、あんた」
146 : ◆H4iwFNXQsw:2014/02/09(日) 22:31:06 ID:BCi7cAmc
サシャ「目と耳がいいことだけが私の武器ですからね。狩人が自分の武器を信じられなくなったら仕事はできませんよ」
アニ「ならその武器は取り替えたほうがいいね。あんたがさっきから言ってるのは全部見当外れだから」
サシャ「本当にそう思います?」
アニ「……」
ベルトルト「……」
サシャ「お二人よりも付き合いは短いですけどね、わかっちゃうんですよ。もう……ずっと隣にいましたから、ちょっとの変化くらいすぐわかるんです」
サシャ「お二人は気づいていないかもしれませんが……ライナーがそういうちょっとした変化を見せるのは、あなたたち二人と話してる時だけです。ベルトルトもアニもそこは同じです。話すのが苦手って言ってる割に、ライナーとは普通に話してますよね。……ちゃんと、見てましたよ。知ってます」
サシャ「ずっと見てましたから、アニとベルトルトが必要としてるのはわかってるんです。……でも、私もどうしても欲しいんですよ。二人を陥れて、自分が危険な目に遭っても構わないくらいには」
サシャ「だからお願いします。ライナーを、私にください。そのためなら……どんな目に遭ったって、構いません」
147 : ◆H4iwFNXQsw:2014/02/09(日) 22:32:26 ID:BCi7cAmc
ベルトルト「……」
ベルトルト(……どうしよう、この状況)
ベルトルト(もう誤魔化せるような段階じゃない。サシャは僕らが何か知ってるって確信を持った上で、本気で問い詰めにきてる。……だけど、正直に話すわけにもいかない)
ベルトルト(「始末する」なんて選択肢は論外だ。教官の目は欺けても、きっとライナーは気づくに決まってる。気づいた時にどんな行動を取るかは……考えたくないな)
ベルトルト(……いや待てよ? そもそも決定的な何かを知られたわけじゃないんだ。同郷だってことはもう否定しきれないだろうけど、この状況だけはまだなんとかできるかもしれない。僕が……僕らだけで、なんとかできればーー)
アニ「なるほどね。……あんたの言い分はわかった」スクッ
ベルトルト「えっ、アニ……? なんで立ち上がってーー」
148 : ◆H4iwFNXQsw:2014/02/09(日) 22:33:06 ID:BCi7cAmc
サシャ「そうですか。それで、教えてくれる気になってくれましたか?」
アニ「いいや違うよ。あんたの大好きなお父さんからは教わらなかった? ーー欲しいものがあるなら力尽くで取れってさ」スッ...
ベルトルト「は……? ちょっ、ちょっとアニ、何を、」
サシャ「わかりました。でしたら自力でぶん取ります」スクッ
ベルトルト「なっ……!? 待った待った、待って二人とも! 少し落ち着いて!」グイグイ
アニ「私は落ち着いてるよ。売られた喧嘩を買ってるだけだ」
ベルトルト「喧嘩って……いや、喧嘩する話じゃなかっただろ!? ちょっと待ってよ!! サシャも座ってくれ、お願いだ!」
サシャ「ベルトルトが教えてくれるならいいですよ。私は別に殴りあいたいわけじゃありませんし」
ベルトルト「それは……」
149 : ◆H4iwFNXQsw:2014/02/09(日) 22:34:20 ID:BCi7cAmc
ベルトルト(……駄目だ。ライナーやアニがここまで隠してきたのに、僕が言ってしまうわけにはいかない)
ベルトルト「ごめん。……話せない」
サシャ「それなら邪魔しないでください。私はアニと話し合いますから」
ベルトルト「だから待ってくれ。……アニと話し合う前に、僕の話も聞いてくれないかな」
サシャ「え? ベルトルトの……?」
ベルトルト「さっきは黙れって言われたけど、僕にだって言いたいことはある。……少なくとも、黙ってこの状況を見てるわけにはいかないよ」
サシャ「……わかりました、いいですよ。ベルトルトの話を聞きましょう」ストンッ
ベルトルト「ありがとう。……ほら、アニも座って」
アニ「……」
ベルトルト「頼むよ。ーー 二人に怪我でもさせたら、ライナーに何言われるかわかったもんじゃない」
アニ「怪我ね……確かに、荷物の他に怪我人背負えってあんたに言うのも酷だね」
ベルトルト「アニ」
アニ「冗談だよ、ちゃんとやめる。……あんたが言いたいことがあるって言い出すのは珍しいからね。静かにしてるよ」ストンッ
ベルトルト「……うん。取り敢えず、悪いことにはしないから」
150 : ◆H4iwFNXQsw:2014/02/09(日) 22:35:27 ID:BCi7cAmc
ベルトルト「前置きしても仕方がないから簡潔に言うよ。サシャが言う通り、僕とライナーとアニは同じ村で育った。それは本当だ」
アニ「……ちょっと」
ベルトルト「ごめんアニ、ずっと隠してたのに……でも、この場は僕に任せてほしい。お願いだ」
アニ「……いいよ、わかった。続けて」
ベルトルト「ありがとう。……それでね、サシャ。僕やアニがそのことを隠してた詳しい理由は、どうしても君には明かせない。ライナーも、きっと話さないと思う。これからもずっと」
サシャ「……それは、私のことが信用できないからですか」
ベルトルト「そうじゃないよ、そういうことじゃない。……僕たち三人には、やらなきゃいけないことがある。他の何を犠牲にしてでも、やり遂げなきゃいけないことがあるんだ。そのためには、どうしても僕たちが同郷だってことは知られるわけにいかなかった」
サシャ「でも、ベルトルトとライナーは同郷だって周りの人たちに言っちゃってるじゃないですか。アニも一緒だとどうして駄目なんですか?」
ベルトルト「……それも話せない。ごめんね」
サシャ「みなさん、隠しごとが多すぎですよ……」
ベルトルト「そうだね。……自分でも、そう思うよ」
サシャ「そう思うなら直す努力をしましょうよ。……まあ、私も隠しごとしてますから、人のことを言えるわけじゃないですけど」
151 : ◆H4iwFNXQsw:2014/02/09(日) 22:36:27 ID:BCi7cAmc
ベルトルト「……話を戻すよ。君がさっき言った通り、ライナーは自分のための嘘は吐かない人間だ。それでも隠しごとをしているってことは、他に理由があるってことだ」
サシャ「じゃあやっぱり、」
ベルトルト「でもそれは、僕やアニのためじゃない。君のためだよ」
サシャ「……私の?」
ベルトルト「そうだよ。『僕たちが同郷であることを知っていた』だけで、将来君によくないことが起こるかもしれない。……本当はこうやって話してることさえ危ないんだ。ライナーがいたらきっと怒られただろうね。『余計なことを話すな』って」
サシャ「……」
ベルトルト「僕の言ってることが信じられないならそれでもいいよ。でも、ライナーのことは信じてあげてくれないかな。君に信じてもらえてないって知ったら、きっとライナーは傷つくと思うから」
サシャ「……そんな嘘を吐かれても、ちっとも嬉しくないです。私は守られたいんじゃなくて、隣で支えてあげたいんですよ」
ベルトルト「そうだね、その気持ちは僕もわかるよ。でも、それこそ僕たちに言っても仕方がない。ライナー本人に直接言わないとね」
サシャ「……それもそうですね。ベルトルトの言うとおりです」
ベルトルト「とにかく、僕から言えるのはこれだけだ。ーーこれで納得できないなら、僕が二人の間に入って止めるよ。どっちの味方もしない、喧嘩両成敗だ。どうする?」
152 : ◆H4iwFNXQsw:2014/02/09(日) 22:37:42 ID:BCi7cAmc
ベルトルト(……これでなんとか収まってくれるといいんだけど)
サシャ「……」チラッ
アニ「……」チラッ
ベルトルト「……」
サシャ「……ベルトルトにそこまで言われちゃ仕方がありませんね。やめましょう」
アニ「そうだね。……ボロボロになったベルトルトを担いで下りるのは嫌だし」
ベルトルト「えっ? ……い、嫌ってどういう」
サシャ「そうですね、やりたくないです」
ベルトルト「」
サシャ「この場は私の負けでいいです。……アニ、すみませんでした。嫌な思いさせて」
アニ「いいよ別に。……あまり見ない姿も見られたしね」
アニ(ベルトルトだって、やればできるんじゃないか……いつもああやって話せばいいのに)チラッ
153 : ◆H4iwFNXQsw:2014/02/09(日) 22:38:34 ID:BCi7cAmc
ベルトルト「……」ズーン...
アニ(あれ? なんで落ち込んでるの?)
サシャ「ベルトルト? どうしました?」
ベルトルト「そうだよね、僕みたいな奴担いで帰るの嫌だよね、二人とも……」ショボン...
サシャ「はい? ……あっ、いえ、そういうことではなくてですね」オロオロ
アニ「あのさベルトルト、嫌っていうのはほら、あんた重たいし体も大きいからやりたくな……大変だなってだけで、別にそういう意味で言ったんじゃ」アセアセ
ベルトルト「いいよ、無理に元気づけようとしなくてもさぁ……自分が情けない男なのはわかってるしぃ……」イジイジ
アニ「だからごめんってば、悪い意味じゃないから、悪い意味っていうか体格的に無理っていうか」ユサユサ
サシャ「ベルトルトー、すみませんってばぁー」ユサユサ
ベルトルト「黙ってろって言われたもんね、もう黙ってるよ……もういいよ……」ブツブツ...
154 : ◆H4iwFNXQsw:2014/02/09(日) 22:39:13 ID:BCi7cAmc
ーー 同刻 とある洞窟
ユミル「ところでライナーさんよ。お前、いつサシャと夜の対人格闘する予定なんだ?」
ライナー「……あのなユミル。お前も女なんだから、そういう話は大声でするな。やめろ」
ユミル「こんな時まで紳士にならなくていいっての。どうせベルトルさんとは普通にそういう話してんだろ?」
ライナー「隣で寝てるクリスタのことはいいのか? 生々しい話は聞かせたくないんだろ?」
ユミル「生々しいことあったのか?」
ライナー「いや…………それはないが」
ユミル「半年以上ダラダラ過ごしてまだないのかよ……それで? 結局お前らどうすんだ? 告白だのなんだのはしないのか?」
ライナー「……少なくとも、俺から言うつもりはない」
ユミル「ふうん。それじゃ、あっちから言ってきたらどうするつもりだ?」
ライナー「……それは」
ユミル「ああ、勘違いするなよ? 別に私はお前らに『付き合え』って言ってるわけじゃないんだ。お前が今の関係のままでいたいってんならそれもアリだろ。無理強いはしねえよ」
ライナー「……」
ユミル「……? なんだよ、私の顔に何かついてるか?」
155 : ◆H4iwFNXQsw:2014/02/09(日) 22:40:24 ID:BCi7cAmc
ライナー「前々から気にはなっていたんだがな。……お前のそれはどういう風のふき回しだ? ユミル」
ユミル「なんだなんだ、急に改まって。告白する相手なら間違ってんぞ? 私にはクリスタがいるからな、お前の気持ちには答えられん」
ライナー「それだ。以前のお前は、クリスタと自分以外の人間なんかどうでもいいように振る舞っていたはずだよな。……いや、それは今でもそうか。お前が本気を出すのはクリスタが絡んでいる時だけだ。違うか?」
ユミル「それがどうかしたか?」
ライナー「妙な話だよな。そんなお前がどうしてそこまで俺たちのことに口出しをする? 無償で誰かに協力するほど、お前は献身的な人間じゃなかったはずだ」
ユミル「乙女に向かってひでえ言い様だな。傷つくぞ」
ライナー「これでも人を見る目はあるつもりだ。……思えば最初からそうだったな。普通に考えれば男子を女子寮に手引きなんかしないだろ。第一あそこはクリスタの部屋でもあるんだぞ。そんな場所に気軽に男を入れるか?」
ユミル「まあ、普通に考えたら入れないだろうな。お前以外の男だったら締め出してたよ」
ライナー「……お前、いったい何を考えている?」
ユミル「何言ってんだ。答えはもう出てるだろ? ……私は最初から最後までこいつのことしか考えてねえよ」ポン
156 : ◆H4iwFNXQsw:2014/02/09(日) 22:41:18 ID:BCi7cAmc
ーー 回想 春 兵舎の食堂
ベルトルト『ーーで、ここがこうなるから、答えは1になるんだ』カキカキ...
ユミル『ほー……なるほどなぁ。お前って案外教えるの上手いんだな、ベルトルト』
ベルトルト『……どうも』
ユミル『……』
ベルトルト『……』
ユミル『終わりかよ』
ベルトルト『え? ……ああ、ごめん』
ユミル『……ったく、お前って本当に無口だよな。人と話をしようって気がないのか?』
ベルトルト『いや、ないわけじゃないけど……まあ、一歩退いちゃうところがあるのは自覚してるよ』
ユミル『ふーん……一歩退く、ねぇ』
ベルトルト『君には違うように見える?』
ユミル『そうだな。ーー私には、何か秘密を隠していて、それを喋ってしまわないように自制しているように見える』
ベルトルト『……』
ユミル『この訓練兵団はスネに傷持った奴らがかなり多いが……お前とお前のお友だちの隠しごとは、その比じゃないみたいだよなぁ? ベルトルト』
157 : ◆H4iwFNXQsw:2014/02/09(日) 22:42:08 ID:BCi7cAmc
ユミル『他人の秘密は放っとくのがいいんだろうが……私の身の周りに関わることならそうはいかない。迫ることがわかってる危険は事前に排除しないとな』
ベルトルト『……危険人物はどう見ても君だろ』
ユミル『はは、言ってくれるね。こんなかわいい女の子捕まえてさ』
ベルトルト『……』
ユミル『冗談は置いといてだな。ーーこの二年間で、表に見える脅威は私があらかた叩き潰した。見えない脅威もある程度探りはついてる。だが……その見えない脅威の中でも、お前らは異質だ。一番得体がしれない』
ユミル『特にお前のお友だちは不気味だな。実直だし人当たりがいいんでみんな騙されがちだが、何やら大事なところには指一本触れさせねえときてる。……まだ他人と距離置いてるお前のほうがわかりやすいよ。そこまで突き放されたら何かあるんだろうなってこっちも思うもんな』
ベルトルト『……ライナーは、違うよ。少なくとも君の脅威にはならない』
ユミル『とぼけるな。ーーあいつがクリスタを見て鼻の下伸ばしてるの、私は何度か見たんだよ』
ベルトルト『……待って、クリスタは君の一部なの?』
ユミル『はぁ? 今更何言ってんだ、当たり前だろ?』
ベルトルト『……それなら大丈夫だよ。少なくとも、君が心配してる事態にはならないと思うから』
ユミル『どーだかなぁ。ーー信用ができないのはお前も一緒だからな、何の保証にもなりゃしねえ』
ベルトルト『……』
158 : ◆H4iwFNXQsw:2014/02/09(日) 22:43:29 ID:BCi7cAmc
ユミル『……そうだベルトルト。いっちょ賭けでもしないか?』
ベルトルト『賭け? ……賭けって、チェスでもやるの?』
ユミル『違ぇよ。ーーあの芋女がライナーを落とせるかどうかを賭けるんだ』
ベルトルト『……は? 落とすって、どういうーー』
ユミル『落とすっつったら1つしかねえだろ。ーー私が勝ったら、お前は秘密を話すこと。お前が勝ったら、私は私の秘密を話してもいい』
ベルトルト『君の秘密なんか知っても、僕には何の得にもならないんだけど……』
ユミル『有益であることは約束するよ。……そもそも情報ってのは、扱う奴次第で金にも泥にも化けるからな。お前が私の持っている情報を泥としてしか扱えなかったら、お前がそこまでの奴だったってだけだ』
ベルトルト『……その情報が、金なのか泥なのかは置いておこうか。僕には、君のほうが分の悪い賭けに聞こえるよ』
ユミル『心配してくれるのかい? 嬉しいねえ……お前、賭け事はあまりしたことないな?』
ベルトルト『僕は君みたいにスレてないからね』
ユミル『ははっ、真面目ちゃんめ。ーーあのな。賭け事ってのは、傍目に見て明らかに負けそうな奴が勝っちまうから面白いんだよ。そして私は、負ける賭けをしない』
ベルトルト『……変なあだ名で呼ぶ割には、サシャのことを随分買ってるね』
ユミル『まぁな。ーーあいつもお前と一緒で、私たちとは一線引いてる感じはするけどよ。根性だけは人一倍だ。死ぬ寸前までくそまじめに走る馬鹿正直だ』
ユミル『そんでもってーーあいつは、やるときゃやる女なんだよ』
ベルトルト『……僕には、あの子がそんなすごい子には見えないけどな。度胸はあると思うけど』
ユミル『芋女だしな。……そうだ、お前のこともあだ名で呼んでやろうか? 賭けのことを忘れないようにさ』
ベルトルト『いらないよ。そもそも、僕は賭けに乗るとは言ってない。それに、ライナーやサシャが君のおもちゃにされてるみたいでかわいそうだよ』
ユミル『安心しろ、今日何もなかったら諦めるさ。そこまで無理強いはしねえし、今の賭けもなかったことにしていい。ーーその代わり、今日あいつらに何かあったら、私は何がなんでも二人をくっつける』
ベルトルト『……やっぱりおもちゃじゃないか』
ユミル『じゃあお前らが隠してること教えてくれるのか?』
ベルトルト『……』
ユミル『ベルトルト……いや、ベルトルさんはお友だちと同じで真面目ちゃんだもんなぁ。こういうことは気が引けるか』
ベルトルト『……その呼び方、やめてくれないかな』
ユミル『いいや、やめないね。ーー私がお前のことをあだ名で呼ぶ度に、賭けのことを思い出せ。忘れるなよ?』
サシャ「どんな味でも構いません」
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