サシャ「落ち着く味だといいですね」
Part4
79 : ◆H4iwFNXQsw:2013/10/05(土) 10:20:39 ID:zUVEe6QU
サシャ「……」
サシャ(よし。みなさん行っちゃいましたね)
サシャ「……隣、失礼しますね」ポスッ
サシャ(よくもまあ、座ったまま眠れますね……それだけ疲れてたってことなんでしょうけど)
ライナー「……zzz」グラッ
サシャ「っ!?」ガシッ
サシャ(よ、寄りかかられると重いです……! くぅ……っ!)ギギギギギ
サシャ(よいしょっと……膝枕にしちゃいましたけど、よかったんですかね)
サシャ(……結構べたべた触ったのに、全然起きませんね。本当は起きてたり……は、なさそうですね)ノゾキコミ
80 : ◆H4iwFNXQsw:2013/10/05(土) 10:21:28 ID:zUVEe6QU
サシャ(……ということは、今は何やってもバレませんよね)
サシャ(…………つまり、頭を触ってもわかりませんよね)
サシャ(『そう簡単には触らせない』……そう言ってましたが、私もまさかこんなに早くチャンスが巡ってくると思いませんでした)
サシャ(ふっふっふ……では、失礼します!)サワッ
サシャ(……おおー)サワサワ ナデナデ
サシャ(コニーの頭とも違いますし、何とも言えない感触ですね、これは……)サワサワ
サシャ「……」サワサワ
サシャ(止めどきが見つかりません……どうしましょう……)
サシャ(どうせだからやれること全部やっときましょうかね。こんな機会滅多にないですし)
81 : ◆H4iwFNXQsw:2013/10/05(土) 10:22:29 ID:zUVEe6QU
サシャ(……寝顔、見ちゃいますかね)
サシャ(夏にお見舞いに行った時は時間もあまりありませんでしたし、この前の山岳訓練の時はエレンと話し込んじゃって無理でしたけど……誰もいないし、いいですよね?)
サシャ(よーし、しっかり焼き付けておきましょう……)ジーッ...
サシャ「……」
サシャ「……///」カァッ...
サシャ(ちっ……近い近い近い近い!! よく考えたらこれってほぼゼロ距離じゃないですか!!)
サシャ(や、やっぱり無理です、恥ずかしくてみてられません……無防備すぎますし……)
サシャ(……寝顔だけで満足できるなんて、私もユミルのこと笑ってられませんね)
82 : ◆H4iwFNXQsw:2013/10/05(土) 10:23:37 ID:zUVEe6QU
サシャ(仕方がないですね……チラ見だけにしておきますか)チラッチラッ
サシャ(でも、なかなか貴重な光景ではありますよね……口が半開きのライナーなんて滅多に見られませんよ)ニヤニヤ
サシャ(まゆげ……も触ってみたいですけど、たぶん起きちゃいますよね、目に近いですし)
サシャ(……あ、涎垂れそう)
サシャ(えーっと、ハンカチハンカチ……)フキフキ
サシャ(……なるほど、こういう心境になるわけですか。いつまでも子ども扱いされるわけですね)
サシャ(でも、こうして世話焼くのって楽しいですね。いつもは私が焼かれてばっかりですし、たまにはいいですよね)ニヘラ
サシャ(そもそもライナーは私のこと子ども扱いしすぎなんですよ。年だって一つしか違わないのに大人ぶっちゃって、ずるいですよ)ムー...
サシャ(……そういえば、ライナーの誕生日っていつなんでしょう? 聞いたことないですけど、意外と近かったりして)
サシャ(一日でも私のほうが早かったら、同い年の期間が少しあるってことですよね)
サシャ(……同じ年)
83 : ◆H4iwFNXQsw:2013/10/05(土) 10:24:39 ID:zUVEe6QU
サシャ「……」
サシャ(さっきエレンやアルミンとはしゃいでる時に、止める気にならなかったのは)
サシャ(……あれがライナーの素の表情なのかもしれないって、思ったからで)
サシャ(いつも一歩退いて、みんなのこと見てくれて……そのことを、今まで深く考えたりしませんでしたけど)
サシャ(本当は、さっきみたいに……もっと一緒に遊びたいんじゃないでしょうか)
サシャ(お父さんとかお兄ちゃんとか散々言ってきましたけど……こうして見ると、寝顔はちゃんと十七歳の男の子……ですもんね)
サシャ(一人の男の子で………………私の、好きな人)
84 : ◆H4iwFNXQsw:2013/10/05(土) 10:25:49 ID:zUVEe6QU
ーー ざーっ……
ライナー(雨、じゃないな……何の音だ……?)
ライナー(川…………釣り………………!?)
ライナー(ーーやべえ、寝ちまった!!)ガバッ!!
ーー がつんっ!!
ライナー「ぐおっ!?」
サシャ「ふぐぁっ!?」
ライナー「いってえぇぇぇ……! サシャ、お前、頭固すぎるぞ……」ヒリヒリ
サシャ「そ、そんなわけないじゃないですか……教官はいつも脳なしって私のこと言いますもん……うぐぐぐぐ……」ヒリヒリ
85 : ◆H4iwFNXQsw:2013/10/05(土) 10:27:17 ID:zUVEe6QU
ライナー「……すまん、大丈夫か? 思いっきり頭突きしちまったが」
サシャ「はい、平気です…………きっとバチがあたったんでしょう」ボソッ
ライナー「バチ? 何の話だ?」
サシャ「なんでもないですよ。……それより、よく眠れましたか?」
ライナー「どうも爆睡してたみたいだな。体中痛ぇ……」ギシギシ
サシャ「相当深く寝てたみたいですね。まあ、口から涎垂らしてるくらいでしたし」
ライナー「な……っ!? う、嘘だろ!?」フキフキゴシゴシ
サシャ「もう拭いちゃいました」
ライナー「……迷惑かけた」
サシャ「いえいえ。ーーいつもは私がかけてるので、これでおあいこですね」
86 : ◆H4iwFNXQsw:2013/10/05(土) 10:28:15 ID:zUVEe6QU
ライナー「この上着とマフラーは……お前のだよな。寒かっただろ?」
サシャ「平気ですよ。こう見えて私、寒さには強いんですよ? 夏生まれなんですけどね」
ライナー「奇遇だな。俺も夏生まれだ」
サシャ「そうなんですか? 私は7月26日なんですけど、ライナーはいつですか?」
ライナー「8月1日だ。結構近いな」
サシャ「ということは、一つ違いですから……同い年の日が6日間はあるってことですよね?」
ライナー「そうだな。そういうことになる」
サシャ「同い年……」
ライナー「……? なんだその顔」
サシャ「いえ、なんでもないです。……今年はもう過ぎちゃったのが残念ですね。お祝いしたかったです」
ライナー(お祝いしたかったって顔には見えないんだが……まあいいか)
87 : ◆H4iwFNXQsw:2013/10/05(土) 10:29:18 ID:zUVEe6QU
ライナー「そういえば、エレンたちはどうした? 姿が見えないが」キョロキョロ
サシャ「先に帰らせましたよ。ライナーがいつ起きるかわかりませんでしたからね」
ライナー「なら、俺たちも戻ろう。あいつらにも迷惑かけたし、謝らないとな」スクッ
サシャ「えっ……帰っちゃうんですか? もう?」
ライナー「なんだ? まだ何かやり残したことがあるのか?」
サシャ「あの、もうちょっとだけお話ししません? ……少しでいいんです」
ライナー「悪いがそんな暇はない。……わがまま言ってないで行くぞ。暗くなっちまう」スタスタ...
サシャ「ーー私と一緒にいるの、そんなに嫌ですか?」
ライナー「……」ピタッ
サシャ「すみません、いじわるな言い方しました」
ライナー「……あのなぁ、サシャ」
サシャ「本当に、ほんのちょっとでいいんです。嫌になったら途中で帰っていいですから、お願いします」
ライナー「……五分だけな」
サシャ「ありがとうございます。それでいいです」
88 : ◆H4iwFNXQsw:2013/10/05(土) 10:30:57 ID:zUVEe6QU
サシャ「あの、単刀直入に聞きますけど……今、悩みごとありますよね。それも、一つじゃなくて何個か」
ライナー「……隠しても仕方ないな。あるぞ」
サシャ「昨日はそのせいで眠れなかった、って考えてもいいですか?」
ライナー「間違ってはないな」
サシャ「それは、私に言えないことなんですよね」
ライナー「そうだな。……言えないものもいくつかある」
サシャ「その悩みとは別にーー私に隠してること、ありますよね。しかも、かなり深刻なことで」
ライナー「……ああ、ある」
89 : ◆H4iwFNXQsw:2013/10/05(土) 10:31:37 ID:zUVEe6QU
サシャ「……やっぱり、そうだったんですね」
ライナー「……」
サシャ「あの、勘違いしないでくださいね。中身を無理に聞き出したいわけじゃないんです。前にも話したことありますけど、私だってライナーに言えないこといっぱいありますから」
サシャ「今は、そういう何かがあるってことをもう一回確認したかっただけです。……すみません、変なこと聞いて」
サシャ「本当は、そういうことには踏み込まないでおこうって思ってたんですけどね。でも、それがライナーの負担になってるっていうのならやっぱり無理です。黙って見てるのは性に合いません」
ライナー「……なら、お前はどうするつもりだ?」
90 : ◆H4iwFNXQsw:2013/10/05(土) 10:32:27 ID:zUVEe6QU
サシャ「そうですね……じゃあ、もう少し休憩したら街に戻って、何かおいしいもの食べに行きましょっか。今ならお給金でちょこっと懐も潤ってますから、私が奢りますよ」
ライナー「おいしいものって……帰る頃には夕飯だぞ?」
サシャ「いいじゃないですか。どうせ訓練所の食事は量が少ないですし、あそこの食事は詰め込むだけだってライナーが言ったんですよ?」
ライナー「まあ……奢ってもらえるのは嬉しいけどな。そんな調子だからすぐ懐が寒くなるんだぞ? わかってるか?」
サシャ「私の懐で済む話なら安い物ですよ。痛くもかゆくもありません」
サシャ「本当は……もっと色々、何かしてあげたいんですけどね。ライナーがいつも頑張ってるの知ってますから」
サシャ「その悩みを解消してあげられたら一番いいんですけど、中身を知らないのでどうしようもありませんし……だから、おいしいもの食べて、少しだけ幸せな気分になってから帰りませんか? あれこれずーっと悩んでるより、そっちのほうがいいですよ」
91 : ◆H4iwFNXQsw:2013/10/05(土) 10:33:21 ID:zUVEe6QU
ライナー「でもなぁ……逃げてるみたいじゃないか? その考え方」
サシャ「別に『考えるな』とか『逃げろ』とか、『忘れろ』なんて言ってるわけじゃないですよ。まずは目の前のことを大切にしましょう、ってことを私は言いたいんです」
サシャ「まあ……この考え方は私じゃなくて、ミカサに教えてもらったんですけどね」
ライナー「ミカサに?」
サシャ「はい。ーー私も、色々悩んでた時期があったんですよ。その時ミカサに話を聞いてもらったんです」
サシャ「全部投げ出して、やめちゃおうと思ったんですけど……やるべきことがわかってるなら、今を見なきゃダメだって。ミカサが私に教えてくれたんです」
サシャ「この先なんて、今の行動でいくらでも変わってくんですからね。先読みのしすぎなんて意味がないですよ」
サシャ「だからーー食べられるかわからない明日のご馳走を想像するより、今目の前にあるパンを食べて幸せになりましょうって提案しているわけです。そのほうが絶対幸せですからね!」
92 : ◆H4iwFNXQsw:2013/10/05(土) 10:34:06 ID:zUVEe6QU
サシャ「なんちゃって。……私も柄じゃないこと話しちゃいましたね。おあいこです」
ライナー「……」
サシャ「……えっと」
ライナー「……」
サシャ「……」
ライナー「……できれば串物が食いたいんだが、何かアテはあるのか?」
サシャ「おおっ、いいですね! 私、安くておいしい店知ってますよ! まだ開いてるでしょうから行きましょう!」
93 : ◆H4iwFNXQsw:2013/10/05(土) 10:35:04 ID:zUVEe6QU
ライナー(この先じゃなくて、今のことをもっと見ろ、か)
ライナー(見透かしてんだか、適当に言ってるんだか……変な奴だ、本当に)
ライナー(でも……こいつが隣にいてくれて、よかったな)
ライナー(せめて、今だけでも……一緒にいるくらい、いいよな)
ライナー「ところで、お前は食いたいもんないのか?」
サシャ「はい、ありますよ。ーーちょうど目の前に」
ライナー「……奢ってもらうんだから、俺がお預けするわけにはいかないな」
94 : ◆H4iwFNXQsw:2013/10/05(土) 10:36:01 ID:zUVEe6QU
ーー しばらく後 森の中
\ガサガサ.../
クリスタ「……みーちゃったーみーちゃったー」ガサガサ
コニー「いやー、たまげたなー」ガサガサ
アルミン「ミカサ、もうエレンの口から手を離していいよ」ガサガサ
ミカサ「うん。わかった」ガサガサ パッ
エレン「……」
ミカサ「エレン。もう喋ってもいい」
95 : ◆H4iwFNXQsw:2013/10/05(土) 10:37:01 ID:zUVEe6QU
エレン「……」
ミカサ「……? エレン、どうしたの?」
エレン「……お前ら、見たか?」
エレン「ライナーと! サシャが! チューしてたぞチュー!!」
アルミン「してたねー」
ミカサ「してた」
コニー「してたな」
クリスタ「してたよねぇ」
96 : ◆H4iwFNXQsw:2013/10/05(土) 10:38:19 ID:zUVEe6QU
エレン「しっ、しかも、あれ……普通の、き、キスじゃねえだろ……?///」カアアアアッ...
ミカサ「エレン、照れなくてもいい。あれは俗に言うべろちゅー」
アルミン「うんまあその通りなんだけど、ミカサはもう少し言葉の慎みを持とうか」
ミカサ「わかった。努力しよう」
アルミン「そもそももっとすごいこと前からしてるよ? あの二人」
エレン「はぁっ!? マジかよ……大人だなあいつら」
ミカサ「エレン。私があなたを大人にしてあげよう」
エレン「それは別にいらん」
ミカサ「……」シュン
アルミン「もっとミカサの話を真剣に聞いてあげようね、エレン。あまり軽くあしらってるといい加減ミカサがかわいそうだよ?」
エレン「だってよ、食堂で大きい声で話すからさ……俺はてっきりミカサの冗談だと思ってたのに……」ブツブツ
97 : ◆H4iwFNXQsw:2013/10/05(土) 10:39:25 ID:zUVEe6QU
クリスタ「いいなぁ……サシャ幸せそうでいいなぁ……」ウットリ
コニー「そうかぁ? 俺は罪悪感半端ねえよ……明日からあの二人の前で普通でいられっかなー」
アルミン「だから先に帰っててもいいって言ったのに……コニーは律儀だなぁ」
コニー「おいおい、森に慣れてない奴らを置いて帰れるわけねえだろ? 今の時期暗くなるの早ぇんだぞ?」
クリスタ「やだ……コニーったら男前……///」ポッ
ミカサ「あと素早い……///」ポッ
アルミン「実は弟属性に見せかけたお兄ちゃん……///」ポッ
コニー「な、なんだよ褒めるなよ」テレテレ
エレン「坊主頭だけどなー」
98 : ◆H4iwFNXQsw:2013/10/05(土) 10:40:51 ID:zUVEe6QU
ミカサ「しかし、もったいないことをした……せっかくライナーが寝てるんだから、サシャもいろいろすればよかったのに」
クリスタ「うん。ちょっとだけ眺めて、後はずっとぼーっとしてたよね」
コニー「せいぜい頭を撫でてたくらいだったよなー。落書きでもしてやりゃあよかったのに。……あ、でもペンも何もないか」
アルミン「その後の話の内容は全然聞こえなかったけど、何話してたんだろうね。エレンは聞こえた? ……エレン?」
エレン「お前ら、なんでそんな冷静に話しあってんだよ……あいつら付き合ってたんだぞ? 驚かないのか?」
アルミン「付き合ってないよ。あの二人」
エレン「……は?」
アルミン「だから、付き合ってないんだってば」
エレン「え……え? 付き合ってねえの? あれで? なんで??」
アルミン「だから面白いんじゃないか」アハハ
ミカサ「見ててとても楽しい」ウフフ
99 : ◆H4iwFNXQsw:2013/10/05(土) 10:41:51 ID:zUVEe6QU
アルミン「さて、二人の姿も見えなくなったし……そろそろ帰ろうか」
コニー「そうだな。これ以上は灯りがないと無理だ。さっさと帰ろうぜ」
クリスタ「それに二人が戻ってきた時に私たちがいないんじゃ、余計な心配かけちゃうもんね」
エレン「マジかよ……ええ……? でもなぁ……」ブツブツ
コニー「おいエレン、帰るぞ。俺が前歩くからお前が一番後ろ歩けよ?
エレン「ええー……? あれで付き合ってないのかぁ……?」ブツブツ
ミカサ「そうだ、どうせなら人数が多いので狐走りをしよう」ニンニン
アルミン「ごめんねミカサ。今回はやってる暇ないよ」
ミカサ「……」シュン
100 : ◆H4iwFNXQsw:2013/10/05(土) 10:43:38 ID:zUVEe6QU
ーー 夜 女子寮 ユミルたちの部屋
ユミル「サシャ」
サシャ「はい」
ユミル「クリスタを先に風呂に行かせて、お前をここに残した理由は……説明しなくてもわかるよな?」
サシャ「……まあ、一応」
ユミル「あのな、クリスタはな、帰って来たら真っ先に風景の素晴らしさを語るような奴なんだよ。森の緑が美しかったとか、川のせせらぎが気持ちよかったとか……まあそんなことを嬉しそうに喋るわけだよ、私に」
サシャ「はい、そうですね。そういう人ですよね」
ユミル「そうなんだよ。開口一番に魚のハラワタをうまく抜けるようになったことを報告してくるような奴じゃないんだよ、クリスタは」
サシャ「堕天使ということで」
ユミル「サシャ?」
サシャ「はいすみませんごめんなさいもうしわけありません」ペコペコ
ユミル「お前がやったのか?」
サシャ「えっと……………………………………………………………………………………主にコニーのせいです」
ユミル「コニーイイイイイイ!!! お前の罪を数えろおおおおおっ!!」バンッ!!
サシャ「あわわわわ……行っちゃいました……」ガタガタガタガタ
101 : ◆H4iwFNXQsw:2013/10/05(土) 10:44:41 ID:zUVEe6QU
ミカサ「……今のユミルは何事?」ヒョコッ
サシャ「あ、ミカサ……いらっしゃいませ。ユミルはちょっと暴走してるだけですから気にしなくていいですよ」
ミカサ「そう。ならば気にしない」
サシャ「そうだ、お風呂まだなら一緒に行きませんか? クリスタが行っちゃったから一人なんですよね」
ミカサ「デートのお誘いなら喜んで付き合おう。……その前に、これ」スッ
サシャ「……? 手鏡ですか? これ」
ミカサ「古いもので申し訳ないけど、貸してあげる」
サシャ「えっ、いいんですか?」
ミカサ「うん。実際に使ってみないと、どういうものがいいのかわからないと思う。持ち運びやすさとか鏡の大きさとか、こだわるポイントは人によって違う。ので、次に出かける時までに考えておいて」
サシャ「わかりました、じゃあ、ありがたく借りちゃいますね」
102 : ◆H4iwFNXQsw:2013/10/05(土) 10:45:56 ID:zUVEe6QU
ミカサ「今日は楽しかった? サシャ」
サシャ「はい、とても。……ミカサのおかげで、言いたいことも伝えられましたし」
ミカサ「そうなの? ……なら、嬉しい」
サシャ「ミカサはどうでした? 今日出かけて」
ミカサ「……行ってよかった」
サシャ「ならよかったです。……そうだミカサ。今日は一緒に寝たいんですけどいいですか? 聞いてもらいたい話があるんです」
ミカサ「……なんと。この私がナンパされるとは思わなかった」
サシャ「やっぱりダメですかね?」
ミカサ「ううん、そんなことはない」
ミカサ「ーーあなたと一緒にいると、落ち着くから」
おわり
103 : ◆H4iwFNXQsw:2013/10/05(土) 10:47:51 ID:zUVEe6QU
というわけで今回でシリーズ20作目になりました 長い!
1作目から付き合ってくださっている方もまとめサイト様からいらっしゃった方も、いつも読んでくださってありがとうございます
恐ろしいことにまだ冬編が残ってるんですがたぶん年内には終わるんじゃないかなー(適当)と思ってるのでもう少しお付き合いください
104 : ◆H4iwFNXQsw:2013/10/05(土) 10:50:42 ID:zUVEe6QU
ちなみに釣りの知識は適当なので鵜呑みにしないでくださいね
途中で作ってたパンは「棒焼きパン」や「棒巻きパン」で検索してください
今回うっかり重くしすぎたので次回は頭が軽い感じになると思います
というわけで次は予告通りお祭りです 色々ネタぶち込みすぎてちゃんとまとまるか今から不安ですがなんとかします それでは!
105 :以下、名無しが深夜にお送りします:2013/10/05(土) 10:52:08 ID:Wcl5a9rE
乙!ハッピーエンドだといいなあ…原作設定がアレだから難しいだろうけど。
107 :以下、名無しが深夜にお送りします:2013/10/05(土) 10:59:35 ID:vwKCqZ.I
乙!
相変わらずあったかいなぁ。そして甘酸っぱくて良い。
108 :以下、名無しが深夜にお送りします:2013/10/05(土) 12:11:33 ID:rGQhZaNU
寝てる間にちゅーしろよ!って思いながら読んでたら、起きてからしてた
しかも濃厚なの
けしからんもっとやれ
乙です
サシャ「……」
サシャ(よし。みなさん行っちゃいましたね)
サシャ「……隣、失礼しますね」ポスッ
サシャ(よくもまあ、座ったまま眠れますね……それだけ疲れてたってことなんでしょうけど)
ライナー「……zzz」グラッ
サシャ「っ!?」ガシッ
サシャ(よ、寄りかかられると重いです……! くぅ……っ!)ギギギギギ
サシャ(よいしょっと……膝枕にしちゃいましたけど、よかったんですかね)
サシャ(……結構べたべた触ったのに、全然起きませんね。本当は起きてたり……は、なさそうですね)ノゾキコミ
80 : ◆H4iwFNXQsw:2013/10/05(土) 10:21:28 ID:zUVEe6QU
サシャ(……ということは、今は何やってもバレませんよね)
サシャ(…………つまり、頭を触ってもわかりませんよね)
サシャ(『そう簡単には触らせない』……そう言ってましたが、私もまさかこんなに早くチャンスが巡ってくると思いませんでした)
サシャ(ふっふっふ……では、失礼します!)サワッ
サシャ(……おおー)サワサワ ナデナデ
サシャ(コニーの頭とも違いますし、何とも言えない感触ですね、これは……)サワサワ
サシャ「……」サワサワ
サシャ(止めどきが見つかりません……どうしましょう……)
サシャ(どうせだからやれること全部やっときましょうかね。こんな機会滅多にないですし)
81 : ◆H4iwFNXQsw:2013/10/05(土) 10:22:29 ID:zUVEe6QU
サシャ(……寝顔、見ちゃいますかね)
サシャ(夏にお見舞いに行った時は時間もあまりありませんでしたし、この前の山岳訓練の時はエレンと話し込んじゃって無理でしたけど……誰もいないし、いいですよね?)
サシャ(よーし、しっかり焼き付けておきましょう……)ジーッ...
サシャ「……」
サシャ「……///」カァッ...
サシャ(ちっ……近い近い近い近い!! よく考えたらこれってほぼゼロ距離じゃないですか!!)
サシャ(や、やっぱり無理です、恥ずかしくてみてられません……無防備すぎますし……)
サシャ(……寝顔だけで満足できるなんて、私もユミルのこと笑ってられませんね)
82 : ◆H4iwFNXQsw:2013/10/05(土) 10:23:37 ID:zUVEe6QU
サシャ(仕方がないですね……チラ見だけにしておきますか)チラッチラッ
サシャ(でも、なかなか貴重な光景ではありますよね……口が半開きのライナーなんて滅多に見られませんよ)ニヤニヤ
サシャ(まゆげ……も触ってみたいですけど、たぶん起きちゃいますよね、目に近いですし)
サシャ(……あ、涎垂れそう)
サシャ(えーっと、ハンカチハンカチ……)フキフキ
サシャ(……なるほど、こういう心境になるわけですか。いつまでも子ども扱いされるわけですね)
サシャ(でも、こうして世話焼くのって楽しいですね。いつもは私が焼かれてばっかりですし、たまにはいいですよね)ニヘラ
サシャ(そもそもライナーは私のこと子ども扱いしすぎなんですよ。年だって一つしか違わないのに大人ぶっちゃって、ずるいですよ)ムー...
サシャ(……そういえば、ライナーの誕生日っていつなんでしょう? 聞いたことないですけど、意外と近かったりして)
サシャ(一日でも私のほうが早かったら、同い年の期間が少しあるってことですよね)
サシャ(……同じ年)
83 : ◆H4iwFNXQsw:2013/10/05(土) 10:24:39 ID:zUVEe6QU
サシャ「……」
サシャ(さっきエレンやアルミンとはしゃいでる時に、止める気にならなかったのは)
サシャ(……あれがライナーの素の表情なのかもしれないって、思ったからで)
サシャ(いつも一歩退いて、みんなのこと見てくれて……そのことを、今まで深く考えたりしませんでしたけど)
サシャ(本当は、さっきみたいに……もっと一緒に遊びたいんじゃないでしょうか)
サシャ(お父さんとかお兄ちゃんとか散々言ってきましたけど……こうして見ると、寝顔はちゃんと十七歳の男の子……ですもんね)
サシャ(一人の男の子で………………私の、好きな人)
ーー ざーっ……
ライナー(雨、じゃないな……何の音だ……?)
ライナー(川…………釣り………………!?)
ライナー(ーーやべえ、寝ちまった!!)ガバッ!!
ーー がつんっ!!
ライナー「ぐおっ!?」
サシャ「ふぐぁっ!?」
ライナー「いってえぇぇぇ……! サシャ、お前、頭固すぎるぞ……」ヒリヒリ
サシャ「そ、そんなわけないじゃないですか……教官はいつも脳なしって私のこと言いますもん……うぐぐぐぐ……」ヒリヒリ
85 : ◆H4iwFNXQsw:2013/10/05(土) 10:27:17 ID:zUVEe6QU
ライナー「……すまん、大丈夫か? 思いっきり頭突きしちまったが」
サシャ「はい、平気です…………きっとバチがあたったんでしょう」ボソッ
ライナー「バチ? 何の話だ?」
サシャ「なんでもないですよ。……それより、よく眠れましたか?」
ライナー「どうも爆睡してたみたいだな。体中痛ぇ……」ギシギシ
サシャ「相当深く寝てたみたいですね。まあ、口から涎垂らしてるくらいでしたし」
ライナー「な……っ!? う、嘘だろ!?」フキフキゴシゴシ
サシャ「もう拭いちゃいました」
ライナー「……迷惑かけた」
サシャ「いえいえ。ーーいつもは私がかけてるので、これでおあいこですね」
86 : ◆H4iwFNXQsw:2013/10/05(土) 10:28:15 ID:zUVEe6QU
ライナー「この上着とマフラーは……お前のだよな。寒かっただろ?」
サシャ「平気ですよ。こう見えて私、寒さには強いんですよ? 夏生まれなんですけどね」
ライナー「奇遇だな。俺も夏生まれだ」
サシャ「そうなんですか? 私は7月26日なんですけど、ライナーはいつですか?」
ライナー「8月1日だ。結構近いな」
サシャ「ということは、一つ違いですから……同い年の日が6日間はあるってことですよね?」
ライナー「そうだな。そういうことになる」
サシャ「同い年……」
ライナー「……? なんだその顔」
サシャ「いえ、なんでもないです。……今年はもう過ぎちゃったのが残念ですね。お祝いしたかったです」
ライナー(お祝いしたかったって顔には見えないんだが……まあいいか)
87 : ◆H4iwFNXQsw:2013/10/05(土) 10:29:18 ID:zUVEe6QU
ライナー「そういえば、エレンたちはどうした? 姿が見えないが」キョロキョロ
サシャ「先に帰らせましたよ。ライナーがいつ起きるかわかりませんでしたからね」
ライナー「なら、俺たちも戻ろう。あいつらにも迷惑かけたし、謝らないとな」スクッ
サシャ「えっ……帰っちゃうんですか? もう?」
ライナー「なんだ? まだ何かやり残したことがあるのか?」
サシャ「あの、もうちょっとだけお話ししません? ……少しでいいんです」
ライナー「悪いがそんな暇はない。……わがまま言ってないで行くぞ。暗くなっちまう」スタスタ...
サシャ「ーー私と一緒にいるの、そんなに嫌ですか?」
ライナー「……」ピタッ
サシャ「すみません、いじわるな言い方しました」
ライナー「……あのなぁ、サシャ」
サシャ「本当に、ほんのちょっとでいいんです。嫌になったら途中で帰っていいですから、お願いします」
ライナー「……五分だけな」
サシャ「ありがとうございます。それでいいです」
88 : ◆H4iwFNXQsw:2013/10/05(土) 10:30:57 ID:zUVEe6QU
サシャ「あの、単刀直入に聞きますけど……今、悩みごとありますよね。それも、一つじゃなくて何個か」
ライナー「……隠しても仕方ないな。あるぞ」
サシャ「昨日はそのせいで眠れなかった、って考えてもいいですか?」
ライナー「間違ってはないな」
サシャ「それは、私に言えないことなんですよね」
ライナー「そうだな。……言えないものもいくつかある」
サシャ「その悩みとは別にーー私に隠してること、ありますよね。しかも、かなり深刻なことで」
ライナー「……ああ、ある」
89 : ◆H4iwFNXQsw:2013/10/05(土) 10:31:37 ID:zUVEe6QU
サシャ「……やっぱり、そうだったんですね」
ライナー「……」
サシャ「あの、勘違いしないでくださいね。中身を無理に聞き出したいわけじゃないんです。前にも話したことありますけど、私だってライナーに言えないこといっぱいありますから」
サシャ「今は、そういう何かがあるってことをもう一回確認したかっただけです。……すみません、変なこと聞いて」
サシャ「本当は、そういうことには踏み込まないでおこうって思ってたんですけどね。でも、それがライナーの負担になってるっていうのならやっぱり無理です。黙って見てるのは性に合いません」
ライナー「……なら、お前はどうするつもりだ?」
90 : ◆H4iwFNXQsw:2013/10/05(土) 10:32:27 ID:zUVEe6QU
サシャ「そうですね……じゃあ、もう少し休憩したら街に戻って、何かおいしいもの食べに行きましょっか。今ならお給金でちょこっと懐も潤ってますから、私が奢りますよ」
ライナー「おいしいものって……帰る頃には夕飯だぞ?」
サシャ「いいじゃないですか。どうせ訓練所の食事は量が少ないですし、あそこの食事は詰め込むだけだってライナーが言ったんですよ?」
ライナー「まあ……奢ってもらえるのは嬉しいけどな。そんな調子だからすぐ懐が寒くなるんだぞ? わかってるか?」
サシャ「私の懐で済む話なら安い物ですよ。痛くもかゆくもありません」
サシャ「本当は……もっと色々、何かしてあげたいんですけどね。ライナーがいつも頑張ってるの知ってますから」
サシャ「その悩みを解消してあげられたら一番いいんですけど、中身を知らないのでどうしようもありませんし……だから、おいしいもの食べて、少しだけ幸せな気分になってから帰りませんか? あれこれずーっと悩んでるより、そっちのほうがいいですよ」
91 : ◆H4iwFNXQsw:2013/10/05(土) 10:33:21 ID:zUVEe6QU
ライナー「でもなぁ……逃げてるみたいじゃないか? その考え方」
サシャ「別に『考えるな』とか『逃げろ』とか、『忘れろ』なんて言ってるわけじゃないですよ。まずは目の前のことを大切にしましょう、ってことを私は言いたいんです」
サシャ「まあ……この考え方は私じゃなくて、ミカサに教えてもらったんですけどね」
ライナー「ミカサに?」
サシャ「はい。ーー私も、色々悩んでた時期があったんですよ。その時ミカサに話を聞いてもらったんです」
サシャ「全部投げ出して、やめちゃおうと思ったんですけど……やるべきことがわかってるなら、今を見なきゃダメだって。ミカサが私に教えてくれたんです」
サシャ「この先なんて、今の行動でいくらでも変わってくんですからね。先読みのしすぎなんて意味がないですよ」
サシャ「だからーー食べられるかわからない明日のご馳走を想像するより、今目の前にあるパンを食べて幸せになりましょうって提案しているわけです。そのほうが絶対幸せですからね!」
92 : ◆H4iwFNXQsw:2013/10/05(土) 10:34:06 ID:zUVEe6QU
サシャ「なんちゃって。……私も柄じゃないこと話しちゃいましたね。おあいこです」
ライナー「……」
サシャ「……えっと」
ライナー「……」
サシャ「……」
ライナー「……できれば串物が食いたいんだが、何かアテはあるのか?」
サシャ「おおっ、いいですね! 私、安くておいしい店知ってますよ! まだ開いてるでしょうから行きましょう!」
93 : ◆H4iwFNXQsw:2013/10/05(土) 10:35:04 ID:zUVEe6QU
ライナー(この先じゃなくて、今のことをもっと見ろ、か)
ライナー(見透かしてんだか、適当に言ってるんだか……変な奴だ、本当に)
ライナー(でも……こいつが隣にいてくれて、よかったな)
ライナー(せめて、今だけでも……一緒にいるくらい、いいよな)
ライナー「ところで、お前は食いたいもんないのか?」
サシャ「はい、ありますよ。ーーちょうど目の前に」
ライナー「……奢ってもらうんだから、俺がお預けするわけにはいかないな」
94 : ◆H4iwFNXQsw:2013/10/05(土) 10:36:01 ID:zUVEe6QU
ーー しばらく後 森の中
\ガサガサ.../
クリスタ「……みーちゃったーみーちゃったー」ガサガサ
コニー「いやー、たまげたなー」ガサガサ
アルミン「ミカサ、もうエレンの口から手を離していいよ」ガサガサ
ミカサ「うん。わかった」ガサガサ パッ
エレン「……」
ミカサ「エレン。もう喋ってもいい」
95 : ◆H4iwFNXQsw:2013/10/05(土) 10:37:01 ID:zUVEe6QU
エレン「……」
ミカサ「……? エレン、どうしたの?」
エレン「……お前ら、見たか?」
エレン「ライナーと! サシャが! チューしてたぞチュー!!」
アルミン「してたねー」
ミカサ「してた」
コニー「してたな」
クリスタ「してたよねぇ」
96 : ◆H4iwFNXQsw:2013/10/05(土) 10:38:19 ID:zUVEe6QU
エレン「しっ、しかも、あれ……普通の、き、キスじゃねえだろ……?///」カアアアアッ...
ミカサ「エレン、照れなくてもいい。あれは俗に言うべろちゅー」
アルミン「うんまあその通りなんだけど、ミカサはもう少し言葉の慎みを持とうか」
ミカサ「わかった。努力しよう」
アルミン「そもそももっとすごいこと前からしてるよ? あの二人」
エレン「はぁっ!? マジかよ……大人だなあいつら」
ミカサ「エレン。私があなたを大人にしてあげよう」
エレン「それは別にいらん」
ミカサ「……」シュン
アルミン「もっとミカサの話を真剣に聞いてあげようね、エレン。あまり軽くあしらってるといい加減ミカサがかわいそうだよ?」
エレン「だってよ、食堂で大きい声で話すからさ……俺はてっきりミカサの冗談だと思ってたのに……」ブツブツ
97 : ◆H4iwFNXQsw:2013/10/05(土) 10:39:25 ID:zUVEe6QU
クリスタ「いいなぁ……サシャ幸せそうでいいなぁ……」ウットリ
コニー「そうかぁ? 俺は罪悪感半端ねえよ……明日からあの二人の前で普通でいられっかなー」
アルミン「だから先に帰っててもいいって言ったのに……コニーは律儀だなぁ」
コニー「おいおい、森に慣れてない奴らを置いて帰れるわけねえだろ? 今の時期暗くなるの早ぇんだぞ?」
クリスタ「やだ……コニーったら男前……///」ポッ
ミカサ「あと素早い……///」ポッ
アルミン「実は弟属性に見せかけたお兄ちゃん……///」ポッ
コニー「な、なんだよ褒めるなよ」テレテレ
エレン「坊主頭だけどなー」
98 : ◆H4iwFNXQsw:2013/10/05(土) 10:40:51 ID:zUVEe6QU
ミカサ「しかし、もったいないことをした……せっかくライナーが寝てるんだから、サシャもいろいろすればよかったのに」
クリスタ「うん。ちょっとだけ眺めて、後はずっとぼーっとしてたよね」
コニー「せいぜい頭を撫でてたくらいだったよなー。落書きでもしてやりゃあよかったのに。……あ、でもペンも何もないか」
アルミン「その後の話の内容は全然聞こえなかったけど、何話してたんだろうね。エレンは聞こえた? ……エレン?」
エレン「お前ら、なんでそんな冷静に話しあってんだよ……あいつら付き合ってたんだぞ? 驚かないのか?」
アルミン「付き合ってないよ。あの二人」
エレン「……は?」
アルミン「だから、付き合ってないんだってば」
エレン「え……え? 付き合ってねえの? あれで? なんで??」
アルミン「だから面白いんじゃないか」アハハ
ミカサ「見ててとても楽しい」ウフフ
アルミン「さて、二人の姿も見えなくなったし……そろそろ帰ろうか」
コニー「そうだな。これ以上は灯りがないと無理だ。さっさと帰ろうぜ」
クリスタ「それに二人が戻ってきた時に私たちがいないんじゃ、余計な心配かけちゃうもんね」
エレン「マジかよ……ええ……? でもなぁ……」ブツブツ
コニー「おいエレン、帰るぞ。俺が前歩くからお前が一番後ろ歩けよ?
エレン「ええー……? あれで付き合ってないのかぁ……?」ブツブツ
ミカサ「そうだ、どうせなら人数が多いので狐走りをしよう」ニンニン
アルミン「ごめんねミカサ。今回はやってる暇ないよ」
ミカサ「……」シュン
100 : ◆H4iwFNXQsw:2013/10/05(土) 10:43:38 ID:zUVEe6QU
ーー 夜 女子寮 ユミルたちの部屋
ユミル「サシャ」
サシャ「はい」
ユミル「クリスタを先に風呂に行かせて、お前をここに残した理由は……説明しなくてもわかるよな?」
サシャ「……まあ、一応」
ユミル「あのな、クリスタはな、帰って来たら真っ先に風景の素晴らしさを語るような奴なんだよ。森の緑が美しかったとか、川のせせらぎが気持ちよかったとか……まあそんなことを嬉しそうに喋るわけだよ、私に」
サシャ「はい、そうですね。そういう人ですよね」
ユミル「そうなんだよ。開口一番に魚のハラワタをうまく抜けるようになったことを報告してくるような奴じゃないんだよ、クリスタは」
サシャ「堕天使ということで」
ユミル「サシャ?」
サシャ「はいすみませんごめんなさいもうしわけありません」ペコペコ
ユミル「お前がやったのか?」
サシャ「えっと……………………………………………………………………………………主にコニーのせいです」
ユミル「コニーイイイイイイ!!! お前の罪を数えろおおおおおっ!!」バンッ!!
サシャ「あわわわわ……行っちゃいました……」ガタガタガタガタ
101 : ◆H4iwFNXQsw:2013/10/05(土) 10:44:41 ID:zUVEe6QU
ミカサ「……今のユミルは何事?」ヒョコッ
サシャ「あ、ミカサ……いらっしゃいませ。ユミルはちょっと暴走してるだけですから気にしなくていいですよ」
ミカサ「そう。ならば気にしない」
サシャ「そうだ、お風呂まだなら一緒に行きませんか? クリスタが行っちゃったから一人なんですよね」
ミカサ「デートのお誘いなら喜んで付き合おう。……その前に、これ」スッ
サシャ「……? 手鏡ですか? これ」
ミカサ「古いもので申し訳ないけど、貸してあげる」
サシャ「えっ、いいんですか?」
ミカサ「うん。実際に使ってみないと、どういうものがいいのかわからないと思う。持ち運びやすさとか鏡の大きさとか、こだわるポイントは人によって違う。ので、次に出かける時までに考えておいて」
サシャ「わかりました、じゃあ、ありがたく借りちゃいますね」
102 : ◆H4iwFNXQsw:2013/10/05(土) 10:45:56 ID:zUVEe6QU
ミカサ「今日は楽しかった? サシャ」
サシャ「はい、とても。……ミカサのおかげで、言いたいことも伝えられましたし」
ミカサ「そうなの? ……なら、嬉しい」
サシャ「ミカサはどうでした? 今日出かけて」
ミカサ「……行ってよかった」
サシャ「ならよかったです。……そうだミカサ。今日は一緒に寝たいんですけどいいですか? 聞いてもらいたい話があるんです」
ミカサ「……なんと。この私がナンパされるとは思わなかった」
サシャ「やっぱりダメですかね?」
ミカサ「ううん、そんなことはない」
ミカサ「ーーあなたと一緒にいると、落ち着くから」
おわり
103 : ◆H4iwFNXQsw:2013/10/05(土) 10:47:51 ID:zUVEe6QU
というわけで今回でシリーズ20作目になりました 長い!
1作目から付き合ってくださっている方もまとめサイト様からいらっしゃった方も、いつも読んでくださってありがとうございます
恐ろしいことにまだ冬編が残ってるんですがたぶん年内には終わるんじゃないかなー(適当)と思ってるのでもう少しお付き合いください
104 : ◆H4iwFNXQsw:2013/10/05(土) 10:50:42 ID:zUVEe6QU
ちなみに釣りの知識は適当なので鵜呑みにしないでくださいね
途中で作ってたパンは「棒焼きパン」や「棒巻きパン」で検索してください
今回うっかり重くしすぎたので次回は頭が軽い感じになると思います
というわけで次は予告通りお祭りです 色々ネタぶち込みすぎてちゃんとまとまるか今から不安ですがなんとかします それでは!
105 :以下、名無しが深夜にお送りします:2013/10/05(土) 10:52:08 ID:Wcl5a9rE
乙!ハッピーエンドだといいなあ…原作設定がアレだから難しいだろうけど。
107 :以下、名無しが深夜にお送りします:2013/10/05(土) 10:59:35 ID:vwKCqZ.I
乙!
相変わらずあったかいなぁ。そして甘酸っぱくて良い。
108 :以下、名無しが深夜にお送りします:2013/10/05(土) 12:11:33 ID:rGQhZaNU
寝てる間にちゅーしろよ!って思いながら読んでたら、起きてからしてた
しかも濃厚なの
けしからんもっとやれ
乙です
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