サシャ「……知りたくない味でしたね」
Part3
50 : ◆H4iwFNXQsw:2013/09/26(木) 21:31:49 ID:oz0os7JY
ーー 夕方
エレン「この辺でいいんじゃねえか? 今日の野営地」
サシャ「そうですね。あまり上に行っても風が強いですし、この辺りが妥当だと思います」
ライナー「第二候補のルートで問題なく回れたな。残り3つは明日か」バサッ
ミカサ「うん。このまま山頂付近のオミナエシに向かったら、今日寝る場所の確保が難しくなる。ので、後は夜に寝る準備をするべき」ユビサシ
エレン「……よし。俺、少し下って水の確認してくる。確か川があったよな?」ドサッ
ミカサ「位置は確認した。エレンには私がついていく。二人は少し待っててほしい」ドサッ
ライナー「了解。……気をつけろよ?」
ミカサ「私の特技は肉を削ぎ落とすことです」キリッ
ライナー「……間違って人を削ぐなよ。近くに他の仲間もいるかもしれないからな」
ミカサ「善処しよう」
ライナー「エレン、お前ちゃんとミカサを止めろよ?」
エレン「わかってるって。ーー行くぞミカサ」スタスタ...
51 : ◆H4iwFNXQsw:2013/09/26(木) 21:32:45 ID:oz0os7JY
ライナー「……」
サシャ「……」
ライナー「……火でもおこすか」
サシャ「そうですね。手伝います」
ライナー「この辺りにクマはいると思うか?」
サシャ「なんとも言えないですね。さっきのも、指定された立ち入り禁止区域が縄張りだと仮定した上での最低範囲ですから……実際、どこに現れても不思議じゃないと思います。ここまで離れてもやっぱり不安は残りますね」
ライナー「そうか……なら、火の番は二人のほうがいいな」
サシャ「はい。ーーそれと、ご飯もここから離れたところで取ったほうがいいですね。食料の匂いを嗅ぎつけてクマが来る可能性がありますから。山菜は食べきれる量を採ってきましたけど、使った麻袋も念のために離して置いて、それとーー」ブツブツ
ライナー「……」
サシャ「? どうしました?」キョトン
52 : ◆H4iwFNXQsw:2013/09/26(木) 21:33:38 ID:oz0os7JY
ライナー「いや……あの後結局休みが取れなかったからな。今日は歩きっぱなしで疲れただろ? せめて、まとめて睡眠を取れるように配慮する」
サシャ「えっ? ……そんなの三人に悪いですよ。それに、なんだか贔屓されてるみたいで嬉しくないです」ムッ
ライナー「いや、贔屓してるわけじゃないぞ? クマの痕跡なんか、俺たち三人だけなら気づいてなかったかもしれないからな。危険を事前に回避できたと考えれば当然の対価だろ。こんなの安いもんだ」
サシャ「……私、みなさんの役に立ちました?」
ライナー「ああ。……だが、そういう褒め方は好みじゃないな」
サシャ「好み?」
ライナー「そういう言い方だと、まるで損得勘定で言ってるみたいだろ?」
サシャ「……じゃあライナーの言葉で褒めてください」
ライナー「なら、そうだな……お前のおかげで助かったぞ、サシャ」
サシャ「……私のおかげ、ですか」
ライナー「ああ。よくやったな」
サシャ「……なんだか嬉しいです。隣にいる感じがします」エヘヘ
ライナー「……? 今も隣にいるだろ?」
サシャ「例えですよ、例え」
53 : ◆H4iwFNXQsw:2013/09/26(木) 21:34:55 ID:oz0os7JY
エレン「おーい、戻ったぞー」ガサガサ
ライナー「おう。水はどうだった?」
ミカサ「問題ない。……あと、お客さんを連れてきた」
サシャ「お客さん?」
\ガサガサッ/
コニー「よっ!」ヒョコッ
アルミン「やあ、ライナーにサシャ。今日もお疲れ様」
ミーナ「こんにちは! ……あれ? こんばんはかな?」
ユミル「どっちでもいいだろ、挨拶なんか」
54 : ◆H4iwFNXQsw:2013/09/26(木) 21:35:47 ID:oz0os7JY
サシャ「おおっ、四人とも近くに来てたんですね! ……ところでコニー、クマには遭いませんでした?」
コニー「クマか……あいつは俺が天才すぎるからビビってどっか行っちまったよ」キリッ
ユミル「馬鹿なこと言ってんじゃねえよ。全部アルミンが仕切ったおかげだろ」
コニー「あぁ? 俺だって先回りして道の確認とかしたっての!」プンスカ
サシャ「アルミンがクマの痕跡を見つけたんですか?」
アルミン「ううん、僕が見つけたのはミカサが残した暗号だよ。大雑把だったけどクマがいそうな範囲を教えてもらえたから、おかげですぐにルートを組み直せたんだ」
ライナー「……あれがわかったのか?」
アルミン「まあね」ニンニン
ミカサ「やはり符牒を残してきて正解だった」ドヤァ
エレン「得意げだな、ミカサ」
55 : ◆H4iwFNXQsw:2013/09/26(木) 21:36:48 ID:oz0os7JY
ーー 夕食後
コニー「さてと。……どうせだから夜の火の番は全員でローテーション組もうぜ。せっかく合流できたんだしよ」
サシャ「そんなことしてもいいんですか? こちらとしても、助け合うのは大歓迎ですけど……」
アルミン「大丈夫だと思うよ。チェックポイントにある植物の譲渡・交換はダメだけど、他の班と協力しちゃいけないだなんて一言も書いてなかったからね」
ミーナ「……そんなこと、書いてたっけ?」
ミカサ「アルミンは優秀」キリッ
ライナー「まあ……いつも通りならともかく、クマがいるとなったら話は別だよな。ーー交替は三時間でいいか?」
エレン「そうだな、あまり短い間隔だと疲れも取れねえしな……じゃあ、組み合わせはじゃんけんで決めるか!」グーパー
ミーナ「よーっし、負けないよー!」グーパー
ミカサ「……勝負ではない。組み分け」グーパー
56 : ◆H4iwFNXQsw:2013/09/26(木) 21:37:53 ID:oz0os7JY
ユミル「ちょい待ち。……言い忘れてたが、アルミンとミーナはじゃんけんに参加しなくていいぞ。とっとと寝ろ」
ミーナ「えっ? みんなに任せてちゃ悪いし、私も参加するよ?」
ユミル「体力ねえ奴にそうやって頑張られても困るんだよ。ーーなあアルミン、座学トップのお前なら、この訓練の目的くらい気づいてるんだろ?」
アルミン「……まあ、一応」
ユミル「つまり、体力ない奴をある奴がフォローするのも折り込み済みってこった。ーーわかったらおとなしく休め。そして明日の私とコニーの負担を少しでも減らせ」
ミーナ「で、でも……」オロオロ
57 : ◆H4iwFNXQsw:2013/09/26(木) 21:38:54 ID:oz0os7JY
ユミル「納得いかないなら、私がお前らに任務をくれてやる。夜明け前に私たち全員を起こせ。できるな?」
ミーナ「……はぁーい、わかりました。ーーじゃあみんな、ごめんね? おやすみなさい……」モソモソ
アルミン「僕もお言葉に甘えさせてもらうね。ーーおやすみ、みんな」
ミカサ「うん、お休みなさい」
ユミル「……とまあ、そういうわけだからな。お前ら体力馬鹿の四人と合流できたのはこっちにとっちゃ渡りに舟だ。せいぜい利用させてもらうぞ? まさか成績優秀なお前らが、私たちのフォローはできませんなんてことはないよな?」
ライナー「安心しろ。そんなことはない」
サシャ(全くもう……素直じゃないんですから、ユミルってば)クスッ
ユミル「……何笑ってんだ、サシャ」ギロッ
サシャ「いいえ、なんでもないですよ?」
58 : ◆H4iwFNXQsw:2013/09/26(木) 21:39:59 ID:oz0os7JY
ーー エレン・サシャ組
サシャ「……ライナー、いびきかいてますね」クスクス
エレン「周りが静かだとうるさいな」
サシャ「みんな疲れて爆睡しちゃってますもんね。まあ、コニーたちの班も予定外のルートを歩いて疲れたんでしょうから、無理もないですけど」
エレン「そういやサシャ、今日はありがとうな。おかげでクマに襲われずに済んだ」
サシャ「いえいえ、お安いご用ですよ。訓練も無事に終わりそうですし、よかったです」
エレン「おいおい、気が早いぞ? 無事に兵舎に帰るまでが訓練だろ?」
サシャ「それはそうなんですけど……なんだか、気が抜けちゃって」
エレン「気が抜けたって……思ってるより疲れてんじゃねえか? 結局お前、あれからぶっ通しで歩いてたしな」
サシャ「あれくらいは余裕ですよ。心配されるほど疲れてないです。それにこの後は夜明けまでずっと眠れますしね。……でも、帰ったらおいしいもの食べたいですね。山菜だと口は満足してもお腹いっぱいにはならないので……」ショボン...
エレン「そうだな、兵舎のメシじゃ物足りねえもんなー……魚、食いたかったよなー」
サシャ「ああ……私は見ませんでしたけど、この前の野原の奥に川があるんでしたっけ?」
エレン「そうそう。魚も泳いでたから期待してたんだけどなー……時間が足りなくて残念だ」
59 : ◆H4iwFNXQsw:2013/09/26(木) 21:41:35 ID:oz0os7JY
サシャ「それなら今度釣りに行きます? コニーとも行きたいって話してたんですよね」
エレン「おおっ、それいいな! 行くか!」
サシャ「おっさかなおっさかなー♪」シュッシュッ
エレン「さっかなをくうとーつーよくっなるー♪」シュッシュッ
サシャ「こーぶーなーつーりしーいっぽんづーりー♪」シュッシュッ
エレン「……一本釣り?」
サシャ「え? 違うんですか?」
エレン「だってその前が『うさぎ追いしかの山』だろ? 『小ブナ釣りし一本釣り』って変じゃねえか?」
サシャ「そうですか? 『うさぎ美味しい鹿の山』だから……やっぱり『小ブナ釣り師一本釣り』だと思ったんですが」
エレン「……あとでアルミンに聞くか」
サシャ「そうしましょうか」
60 : ◆H4iwFNXQsw:2013/09/26(木) 21:42:28 ID:oz0os7JY
アルミン「……んぅ」モゾモゾ
エレン「」ピクッ
サシャ「」ピクッ
アルミン「んー……」スースー
エレン「……噂をすれば」
サシャ「……何とやら」
エレン「……」
サシャ「……」
エレン「……静かにしような」シーッ
サシャ「……ですね」シーッ
61 : ◆H4iwFNXQsw:2013/09/26(木) 21:43:32 ID:oz0os7JY
エレン「そういやアルミンから聞いたんだけどよ。鮎や鮭って、今の時期になると海から川に渡って来るんだってさ」
サシャ「……ウミ」
エレン「ああ。……知ってるか? この世界の大半は、その『海』っていう水で大半を覆われてるんだぜ?」
サシャ「!? なんですって……!? なら、鮭が食べ放題じゃないですか!!」ジュルリ
エレン「……お前すぐそっちに行くよな。別にいいけど」
サシャ「ねえエレン。よかったら……私にウミのこととか、壁の外の話を教えてくれますか?」
エレン「……俺は語るぞ?」
サシャ「はい、聞きたいです。……どうせ暇ですしね」クスッ
エレン「言ってろ。暇だなんて思わなくしてやるよ」ニッ
62 : ◆H4iwFNXQsw:2013/09/26(木) 21:44:41 ID:oz0os7JY
ーー 一時間後
サシャ「へー……海って山よりも高いんですか……」
エレン「高いってか深い、だな。ーーあー語った語った」スッキリ
サシャ「……エレンは、調査兵団に入るんでしたよね」
エレン「ああ。ーーいつか巨人を駆逐して、ミカサやアルミンと一緒に外の世界を探険するんだ」
サシャ「じゃあ、ミカサやアルミンも……当然、調査兵団ですよね?」
エレン「……あいつらには好きな道を進んでほしいけどな、俺としては」
サシャ「でも、壁外を冒険する約束したんでしょう? だったら調査兵団に入らないと……」
エレン「アルミンが技巧の道に進みたいっていうなら、それもアリだろ。俺が口出しする権利はねえよ」
サシャ「……エレンはそれでいいんですか?」
エレン「目指してるものは一緒なんだから、いつか合流できるだろ。例えば……俺が巨人を駆逐した後に、アルミンが作ったすっげえ馬車に乗って壁外を探険するとかさ」
サシャ「すっげえ馬車って……曖昧すぎですよ」クスクス
エレン「……うっせえな、すげえもんはすげえんだよ。アルミンならいつかきっとやってくれるさ」
63 : ◆H4iwFNXQsw:2013/09/26(木) 21:45:34 ID:oz0os7JY
サシャ「じゃあ、ミカサはどうするんです?」
エレン「……知らねえ。憲兵団にでも行くんだろ」
サシャ「おや、投げやりですね」
エレン「少なくとも調査兵団はねえよ。……あいつ、小さい頃から調査兵団はやめたほうがいいって俺に言ってたからな」
サシャ「それは……エレンを心配してるんだと思いますけど」
エレン「でもよ、んなこと言ってたら探険なんてできねえだろ?」
サシャ「……まあ、怪我を恐れてたら狩りなんてできませんしね」
エレン「あいつは母さんの言いつけを守ってるだけなんだよ。ミカサの奴、ここに入ってすぐの頃は俺たちにべったりだったし……せっかく開拓地から出られたんだから、もう少し自由に生きろっての。ったく」ブツブツ
サシャ「……エレンは、ミカサに世話を焼かれるのがただ単に嫌なんだと思ってました。ちゃんとミカサのこと考えてるんですね」
エレン「そりゃあ、たまに鬱陶しいこともあるけどよ……嫌いなわけじゃねえよ」
サシャ(……ミカサが聞いたら一時間くらい小躍りするでしょうね)
64 : ◆H4iwFNXQsw:2013/09/26(木) 21:47:02 ID:oz0os7JY
サシャ「じゃあ、あんなに反発することないじゃないですか。ミカサだってあまり拒絶されたら傷つきますよ?」
エレン「……男が女に守られちゃかっこ悪いだろ」ボソッ
サシャ「エレンはいいかっこしいだったんですか。知りませんでした」
エレン「違っ……あー、もういいよ。それで」ポリポリ
サシャ「意地ばっかり張ってると、ミカサに見捨てられちゃうかもしれませんよー?」クスクス
エレン「あっちがいつまでもガキ扱いするから悪いんだって。何かと言えば世話焼こうとするしよ……口ぐらい自分で拭けるっての」ブツブツ
サシャ「……」
サシャ(そっか、口を拭かれてるってことは子ども扱いされてることと同じですよね……)
サシャ(……これからは気をつけましょう。うん)
65 : ◆H4iwFNXQsw:2013/09/26(木) 21:48:37 ID:oz0os7JY
エレン「今のところ、調査兵団志望ってはっきり言ってる奴って俺ぐらいしかいねえんだよなー……ライナーとか、調査兵団に入ってくれねえかな? そしたらすっげえ心強いんだけどな」
サシャ「……エレンは、ライナーがどこの兵団希望か聞いてないんですか?」
エレン「いいや? ……そういや話したことないな。勝手に憲兵団だと思ってたけど」
サシャ「私も、そう思い込んでましたけど……どうなんでしょうね」
エレン「……」
サシャ「……」
エレン「……そろそろ交替だな」
サシャ「そうですね、二人を起こしましょうか」
66 : ◆H4iwFNXQsw:2013/09/26(木) 21:49:45 ID:oz0os7JY
ーー ライナー・ミカサ組
ミカサ「……」
ライナー「……」
ミカサ「……どうしてエレンじゃないの」ジトッ...
ライナー「俺に言うなよ。……それより見ろよミカサ、月が綺麗だぞ。今日は満月だったんだな」
ミカサ「……言う相手を間違っている」
ライナー「は? ただの感想に相手も何もないだろ?」
ミカサ「東洋では、それは『あなたが好きです』という意味だとアルミンに聞いた」
ライナー「……さっきの言葉は撤回していいか?」
ミカサ「ぜひそうしてほしい。私はエレンに言ってもらおうと決めているから」
68 : ◆H4iwFNXQsw:2013/09/26(木) 21:51:19 ID:oz0os7JY
ミカサ「……まあ、それはともかく。あなたと一緒の組になれたのは、ある意味好都合」
ミカサ「そして、エレンとサシャを一緒の組にして、一番最初にしたのもよかった……素晴らしい判断。私の経験上、これでエレンは朝までぐっすり。もう起きないはず」
ライナー「……俺はサシャをゆっくり休ませたかっただけなんだが」
ミカサ「建前はその辺にしよう、ライナー。私たちの利害は一致してるはず。偽る必要は一切ない。こんな機会はお互い滅多にないのだから、協力しあうべき」
ライナー「……そうだな」
ミカサ「私たちは、わかりあえると思う」
ライナー「ああ、同感だ」
ミカサ「なら、はじめよう……寝顔ウォッチングを」キリッ
ライナー「ーーよし、やるか」キリッ
69 : ◆H4iwFNXQsw:2013/09/26(木) 21:52:19 ID:oz0os7JY
ミカサ「……」コソコソ
ライナー「……」コソコソ
エレン「……zzz」スピー...
サシャ「……zzz」スヤスヤ
ミカサ「……」
ライナー「……」
ミカサ「ふふふっ、見てライナー……この、エレンの最高にだらしない寝顔を……!」ニヤニヤ
ライナー「馬鹿言え、どう見てもサシャのこの愛くるしい寝顔にはかなわんだろうが」ニヤニヤ
ミカサ「エレンは熟睡している時に鼻がピクピク動くクセがある。ーーこれは、幼馴染の私だからわかること」ドヤァ
ライナー「年数だけで愛は語れねえぞミカサ……見てろよ、この機会にそのクセとやらを探してみせる……!」
ミカサ「一晩じゃそれは無理。もう少し堅実な方法に留めるべき」
70 : ◆H4iwFNXQsw:2013/09/26(木) 21:53:31 ID:oz0os7JY
サシャ「んぅ……」モゾモゾ
ライナー「!! 寝言か……よし、言え! 記録しといてやる!」サッ
ミカサ「あらかじめ書き留める用意をしてきたのは、いい心がけ……でも、開拓地でコツコツ書きためてきた私のエレン寝言全集には敵わない!」キリッ
ライナー「なぁに、これから追い越してやるさ……! 今日はその記念すべき一ページ目だ……!」
サシャ「らいなぁー……もっとぉ……」
ミカサ「ーー!? なんてこと……!? 寝言で名前を呼ぶのは、かなり得点が高い……っ!」ギリッ...
サシャ「おしり……さわらないでくださいよぉ……」ムニャムニャ
ミカサ「」
ライナー「」
71 : ◆H4iwFNXQsw:2013/09/26(木) 21:54:22 ID:oz0os7JY
ライナー「……」
ミカサ「……」
ライナー「……」
ミカサ「ひゅーひゅー、お熱いこったぁ」ポンッ
ライナー「」ビクッ
ミカサ「旦那、顔が真っ赤っかですぜ! まるで火が点いたみてえだ!」バシバシ
ライナー「……」ダラダラダラダラ
ミカサ「……それで、何をもっとなの? サシャに何をしたの?」メキィッ...
ライナー「いえ、あの……ちょっとわからないです……」
ミカサ「なるほど……自覚がないということ……?」チャキッ
72 : ◆H4iwFNXQsw:2013/09/26(木) 21:55:37 ID:oz0os7JY
ライナー「待て待て待て、俺はサシャの前でケツの話なんかしたことないぞ!?」
ミカサ「自覚もなしに触ったの? ならば尚更危険」
ライナー「いや、まだ腰から下は触ってないはず……」ブツブツ
ミカサ「……なら、胸は?」
ーー え? 触りたいんですか? ならどうぞ
ライナー「……」
ミカサ「……ライナー?」
ライナー(どうせ削がれるなら、いっそ揉むくらいはしとけばよかった……)ズーン...
73 : ◆H4iwFNXQsw:2013/09/26(木) 21:56:45 ID:oz0os7JY
ミカサ「それにしても……初回で名前を呼ばれるとは正直羨ましい。エレンは私の名前をちっとも呼んでくれない。アルミンの名前は今まで136回も呼んでいるのに、私はたった57回。羨ましい……」
ライナー「……」
ミカサ「……? どうしたの?」
ライナー「いや……名前を呼ばれるとは思わなかったから、その……正直、混乱してるというか」
ミカサ「あなたは開き直り方が足りない。もっと精進するべき」ハァ
ライナー「ベテランのお前と一緒にするなよ」
ミカサ「……サシャを起こしてみる?」
ライナー「やめてくれ」
ミカサ「そう……とても残念。せめて夢の内容だけは後で聞いておこう」
ライナー「……俺も知りたい」
ミカサ「教えなーい」プイッ
ライナー「お前なぁ……」
74 : ◆H4iwFNXQsw:2013/09/26(木) 21:58:09 ID:oz0os7JY
\ガサガサッ/
ミカサ「……」ピクッ
ライナー「……」ピタッ
\グルルルル.../
ミカサ「……ヤマイヌが、前方から二匹」
ライナー「おそらく残飯目当てだろうな。……ここにはないってのに、馬鹿な奴らだ」
ミカサ「ねえライナー……ヤマイヌは、食べられると思う?」
ライナー「まあ……食えるんじゃないか? 焼けば」
ミカサ「ならよかった……これで、エレンをお腹いっぱいにしてあげることができる……」ジャキンッ!!
ライナー「サシャも喜ぶだろうな……あいつの笑った顔を見るのが楽しみだ……!」ジャキンッ!!
75 : ◆H4iwFNXQsw:2013/09/26(木) 21:59:34 ID:oz0os7JY
\クゥーン.../
ライナー「おいおい、みっともねえ声で喚くなよ……サシャが起きちまうだろうが……!!」ギロッ
ミカサ「先に喉を掻き切ろう……それからゆっくり調理すればいい」
\ガサガサッ/
ミカサ「……逃げた」チッ
ライナー「意気地のない奴め」チッ
76 : ◆H4iwFNXQsw:2013/09/26(木) 22:00:48 ID:oz0os7JY
ーー コニー・ユミル組
ユミル「……うー、寒っ」ブルッ
コニー「あれ? お前マフラー持ってなかったか? この前巻いてたろ」
ユミル「なくしたくないから置いてきたんだよ……」サスサス
コニー「ふーん……ほい、飲みもん入れたからやる」スッ
ユミル「どうも。……これお茶か?」ズズッ
コニー「ローズマリーだ」
ユミル「……なんだって?」
コニー「だからローズマリーだって。来る途中に生えてたんだよ」
ユミル「……」
コニー「乾燥させるとくせが強いんだけどな。生葉だと結構いけるだろ?」
ユミル「……変な味」ズズッ
コニー「そりゃ美味いって解釈でいいのか?」ニシシ
ユミル「……好きに取ればいいだろ」ズズッ
77 : ◆H4iwFNXQsw:2013/09/26(木) 22:01:52 ID:oz0os7JY
ーー 翌日朝 移動中
サシャ「……ミカサ、ご機嫌ですね」テクテク...
ミカサ「昨日はいいことがあった。……サシャはどう? よく眠れた?」テクテク...
サシャ「はい! 今朝は気持ちよく起こしてもらえましたから体調はいいですよ! 体力もばっちり回復してます!」グッ
ミカサ「それはよかった」
エレン「アルミンって昔から人を起こすの上手だよなー、不思議だ」
ミカサ「アルミンは人を気持ちよく起こす才能がある」キリッ
エレン「なんだそりゃ」
サシャ「……」チラッ
サシャ(ライナー、遅れてますけど何かあったんでしょうか……さっきから地図の裏ばっかり見てますし……)
ーー 夕方
エレン「この辺でいいんじゃねえか? 今日の野営地」
サシャ「そうですね。あまり上に行っても風が強いですし、この辺りが妥当だと思います」
ライナー「第二候補のルートで問題なく回れたな。残り3つは明日か」バサッ
ミカサ「うん。このまま山頂付近のオミナエシに向かったら、今日寝る場所の確保が難しくなる。ので、後は夜に寝る準備をするべき」ユビサシ
エレン「……よし。俺、少し下って水の確認してくる。確か川があったよな?」ドサッ
ミカサ「位置は確認した。エレンには私がついていく。二人は少し待っててほしい」ドサッ
ライナー「了解。……気をつけろよ?」
ミカサ「私の特技は肉を削ぎ落とすことです」キリッ
ライナー「……間違って人を削ぐなよ。近くに他の仲間もいるかもしれないからな」
ミカサ「善処しよう」
ライナー「エレン、お前ちゃんとミカサを止めろよ?」
エレン「わかってるって。ーー行くぞミカサ」スタスタ...
51 : ◆H4iwFNXQsw:2013/09/26(木) 21:32:45 ID:oz0os7JY
ライナー「……」
サシャ「……」
ライナー「……火でもおこすか」
サシャ「そうですね。手伝います」
ライナー「この辺りにクマはいると思うか?」
サシャ「なんとも言えないですね。さっきのも、指定された立ち入り禁止区域が縄張りだと仮定した上での最低範囲ですから……実際、どこに現れても不思議じゃないと思います。ここまで離れてもやっぱり不安は残りますね」
ライナー「そうか……なら、火の番は二人のほうがいいな」
サシャ「はい。ーーそれと、ご飯もここから離れたところで取ったほうがいいですね。食料の匂いを嗅ぎつけてクマが来る可能性がありますから。山菜は食べきれる量を採ってきましたけど、使った麻袋も念のために離して置いて、それとーー」ブツブツ
ライナー「……」
サシャ「? どうしました?」キョトン
52 : ◆H4iwFNXQsw:2013/09/26(木) 21:33:38 ID:oz0os7JY
ライナー「いや……あの後結局休みが取れなかったからな。今日は歩きっぱなしで疲れただろ? せめて、まとめて睡眠を取れるように配慮する」
サシャ「えっ? ……そんなの三人に悪いですよ。それに、なんだか贔屓されてるみたいで嬉しくないです」ムッ
ライナー「いや、贔屓してるわけじゃないぞ? クマの痕跡なんか、俺たち三人だけなら気づいてなかったかもしれないからな。危険を事前に回避できたと考えれば当然の対価だろ。こんなの安いもんだ」
サシャ「……私、みなさんの役に立ちました?」
ライナー「ああ。……だが、そういう褒め方は好みじゃないな」
サシャ「好み?」
ライナー「そういう言い方だと、まるで損得勘定で言ってるみたいだろ?」
サシャ「……じゃあライナーの言葉で褒めてください」
ライナー「なら、そうだな……お前のおかげで助かったぞ、サシャ」
サシャ「……私のおかげ、ですか」
ライナー「ああ。よくやったな」
サシャ「……なんだか嬉しいです。隣にいる感じがします」エヘヘ
ライナー「……? 今も隣にいるだろ?」
サシャ「例えですよ、例え」
53 : ◆H4iwFNXQsw:2013/09/26(木) 21:34:55 ID:oz0os7JY
エレン「おーい、戻ったぞー」ガサガサ
ライナー「おう。水はどうだった?」
ミカサ「問題ない。……あと、お客さんを連れてきた」
サシャ「お客さん?」
\ガサガサッ/
コニー「よっ!」ヒョコッ
アルミン「やあ、ライナーにサシャ。今日もお疲れ様」
ミーナ「こんにちは! ……あれ? こんばんはかな?」
ユミル「どっちでもいいだろ、挨拶なんか」
54 : ◆H4iwFNXQsw:2013/09/26(木) 21:35:47 ID:oz0os7JY
サシャ「おおっ、四人とも近くに来てたんですね! ……ところでコニー、クマには遭いませんでした?」
コニー「クマか……あいつは俺が天才すぎるからビビってどっか行っちまったよ」キリッ
ユミル「馬鹿なこと言ってんじゃねえよ。全部アルミンが仕切ったおかげだろ」
コニー「あぁ? 俺だって先回りして道の確認とかしたっての!」プンスカ
サシャ「アルミンがクマの痕跡を見つけたんですか?」
アルミン「ううん、僕が見つけたのはミカサが残した暗号だよ。大雑把だったけどクマがいそうな範囲を教えてもらえたから、おかげですぐにルートを組み直せたんだ」
ライナー「……あれがわかったのか?」
アルミン「まあね」ニンニン
ミカサ「やはり符牒を残してきて正解だった」ドヤァ
エレン「得意げだな、ミカサ」
ーー 夕食後
コニー「さてと。……どうせだから夜の火の番は全員でローテーション組もうぜ。せっかく合流できたんだしよ」
サシャ「そんなことしてもいいんですか? こちらとしても、助け合うのは大歓迎ですけど……」
アルミン「大丈夫だと思うよ。チェックポイントにある植物の譲渡・交換はダメだけど、他の班と協力しちゃいけないだなんて一言も書いてなかったからね」
ミーナ「……そんなこと、書いてたっけ?」
ミカサ「アルミンは優秀」キリッ
ライナー「まあ……いつも通りならともかく、クマがいるとなったら話は別だよな。ーー交替は三時間でいいか?」
エレン「そうだな、あまり短い間隔だと疲れも取れねえしな……じゃあ、組み合わせはじゃんけんで決めるか!」グーパー
ミーナ「よーっし、負けないよー!」グーパー
ミカサ「……勝負ではない。組み分け」グーパー
56 : ◆H4iwFNXQsw:2013/09/26(木) 21:37:53 ID:oz0os7JY
ユミル「ちょい待ち。……言い忘れてたが、アルミンとミーナはじゃんけんに参加しなくていいぞ。とっとと寝ろ」
ミーナ「えっ? みんなに任せてちゃ悪いし、私も参加するよ?」
ユミル「体力ねえ奴にそうやって頑張られても困るんだよ。ーーなあアルミン、座学トップのお前なら、この訓練の目的くらい気づいてるんだろ?」
アルミン「……まあ、一応」
ユミル「つまり、体力ない奴をある奴がフォローするのも折り込み済みってこった。ーーわかったらおとなしく休め。そして明日の私とコニーの負担を少しでも減らせ」
ミーナ「で、でも……」オロオロ
57 : ◆H4iwFNXQsw:2013/09/26(木) 21:38:54 ID:oz0os7JY
ユミル「納得いかないなら、私がお前らに任務をくれてやる。夜明け前に私たち全員を起こせ。できるな?」
ミーナ「……はぁーい、わかりました。ーーじゃあみんな、ごめんね? おやすみなさい……」モソモソ
アルミン「僕もお言葉に甘えさせてもらうね。ーーおやすみ、みんな」
ミカサ「うん、お休みなさい」
ユミル「……とまあ、そういうわけだからな。お前ら体力馬鹿の四人と合流できたのはこっちにとっちゃ渡りに舟だ。せいぜい利用させてもらうぞ? まさか成績優秀なお前らが、私たちのフォローはできませんなんてことはないよな?」
ライナー「安心しろ。そんなことはない」
サシャ(全くもう……素直じゃないんですから、ユミルってば)クスッ
ユミル「……何笑ってんだ、サシャ」ギロッ
サシャ「いいえ、なんでもないですよ?」
58 : ◆H4iwFNXQsw:2013/09/26(木) 21:39:59 ID:oz0os7JY
ーー エレン・サシャ組
サシャ「……ライナー、いびきかいてますね」クスクス
エレン「周りが静かだとうるさいな」
サシャ「みんな疲れて爆睡しちゃってますもんね。まあ、コニーたちの班も予定外のルートを歩いて疲れたんでしょうから、無理もないですけど」
エレン「そういやサシャ、今日はありがとうな。おかげでクマに襲われずに済んだ」
サシャ「いえいえ、お安いご用ですよ。訓練も無事に終わりそうですし、よかったです」
エレン「おいおい、気が早いぞ? 無事に兵舎に帰るまでが訓練だろ?」
サシャ「それはそうなんですけど……なんだか、気が抜けちゃって」
エレン「気が抜けたって……思ってるより疲れてんじゃねえか? 結局お前、あれからぶっ通しで歩いてたしな」
サシャ「あれくらいは余裕ですよ。心配されるほど疲れてないです。それにこの後は夜明けまでずっと眠れますしね。……でも、帰ったらおいしいもの食べたいですね。山菜だと口は満足してもお腹いっぱいにはならないので……」ショボン...
エレン「そうだな、兵舎のメシじゃ物足りねえもんなー……魚、食いたかったよなー」
サシャ「ああ……私は見ませんでしたけど、この前の野原の奥に川があるんでしたっけ?」
エレン「そうそう。魚も泳いでたから期待してたんだけどなー……時間が足りなくて残念だ」
59 : ◆H4iwFNXQsw:2013/09/26(木) 21:41:35 ID:oz0os7JY
サシャ「それなら今度釣りに行きます? コニーとも行きたいって話してたんですよね」
エレン「おおっ、それいいな! 行くか!」
サシャ「おっさかなおっさかなー♪」シュッシュッ
エレン「さっかなをくうとーつーよくっなるー♪」シュッシュッ
サシャ「こーぶーなーつーりしーいっぽんづーりー♪」シュッシュッ
エレン「……一本釣り?」
サシャ「え? 違うんですか?」
エレン「だってその前が『うさぎ追いしかの山』だろ? 『小ブナ釣りし一本釣り』って変じゃねえか?」
サシャ「そうですか? 『うさぎ美味しい鹿の山』だから……やっぱり『小ブナ釣り師一本釣り』だと思ったんですが」
エレン「……あとでアルミンに聞くか」
サシャ「そうしましょうか」
60 : ◆H4iwFNXQsw:2013/09/26(木) 21:42:28 ID:oz0os7JY
アルミン「……んぅ」モゾモゾ
エレン「」ピクッ
サシャ「」ピクッ
アルミン「んー……」スースー
エレン「……噂をすれば」
サシャ「……何とやら」
エレン「……」
サシャ「……」
エレン「……静かにしような」シーッ
サシャ「……ですね」シーッ
61 : ◆H4iwFNXQsw:2013/09/26(木) 21:43:32 ID:oz0os7JY
エレン「そういやアルミンから聞いたんだけどよ。鮎や鮭って、今の時期になると海から川に渡って来るんだってさ」
サシャ「……ウミ」
エレン「ああ。……知ってるか? この世界の大半は、その『海』っていう水で大半を覆われてるんだぜ?」
サシャ「!? なんですって……!? なら、鮭が食べ放題じゃないですか!!」ジュルリ
エレン「……お前すぐそっちに行くよな。別にいいけど」
サシャ「ねえエレン。よかったら……私にウミのこととか、壁の外の話を教えてくれますか?」
エレン「……俺は語るぞ?」
サシャ「はい、聞きたいです。……どうせ暇ですしね」クスッ
エレン「言ってろ。暇だなんて思わなくしてやるよ」ニッ
62 : ◆H4iwFNXQsw:2013/09/26(木) 21:44:41 ID:oz0os7JY
ーー 一時間後
サシャ「へー……海って山よりも高いんですか……」
エレン「高いってか深い、だな。ーーあー語った語った」スッキリ
サシャ「……エレンは、調査兵団に入るんでしたよね」
エレン「ああ。ーーいつか巨人を駆逐して、ミカサやアルミンと一緒に外の世界を探険するんだ」
サシャ「じゃあ、ミカサやアルミンも……当然、調査兵団ですよね?」
エレン「……あいつらには好きな道を進んでほしいけどな、俺としては」
サシャ「でも、壁外を冒険する約束したんでしょう? だったら調査兵団に入らないと……」
エレン「アルミンが技巧の道に進みたいっていうなら、それもアリだろ。俺が口出しする権利はねえよ」
サシャ「……エレンはそれでいいんですか?」
エレン「目指してるものは一緒なんだから、いつか合流できるだろ。例えば……俺が巨人を駆逐した後に、アルミンが作ったすっげえ馬車に乗って壁外を探険するとかさ」
サシャ「すっげえ馬車って……曖昧すぎですよ」クスクス
エレン「……うっせえな、すげえもんはすげえんだよ。アルミンならいつかきっとやってくれるさ」
63 : ◆H4iwFNXQsw:2013/09/26(木) 21:45:34 ID:oz0os7JY
サシャ「じゃあ、ミカサはどうするんです?」
エレン「……知らねえ。憲兵団にでも行くんだろ」
サシャ「おや、投げやりですね」
エレン「少なくとも調査兵団はねえよ。……あいつ、小さい頃から調査兵団はやめたほうがいいって俺に言ってたからな」
サシャ「それは……エレンを心配してるんだと思いますけど」
エレン「でもよ、んなこと言ってたら探険なんてできねえだろ?」
サシャ「……まあ、怪我を恐れてたら狩りなんてできませんしね」
エレン「あいつは母さんの言いつけを守ってるだけなんだよ。ミカサの奴、ここに入ってすぐの頃は俺たちにべったりだったし……せっかく開拓地から出られたんだから、もう少し自由に生きろっての。ったく」ブツブツ
サシャ「……エレンは、ミカサに世話を焼かれるのがただ単に嫌なんだと思ってました。ちゃんとミカサのこと考えてるんですね」
エレン「そりゃあ、たまに鬱陶しいこともあるけどよ……嫌いなわけじゃねえよ」
サシャ(……ミカサが聞いたら一時間くらい小躍りするでしょうね)
64 : ◆H4iwFNXQsw:2013/09/26(木) 21:47:02 ID:oz0os7JY
サシャ「じゃあ、あんなに反発することないじゃないですか。ミカサだってあまり拒絶されたら傷つきますよ?」
エレン「……男が女に守られちゃかっこ悪いだろ」ボソッ
サシャ「エレンはいいかっこしいだったんですか。知りませんでした」
エレン「違っ……あー、もういいよ。それで」ポリポリ
サシャ「意地ばっかり張ってると、ミカサに見捨てられちゃうかもしれませんよー?」クスクス
エレン「あっちがいつまでもガキ扱いするから悪いんだって。何かと言えば世話焼こうとするしよ……口ぐらい自分で拭けるっての」ブツブツ
サシャ「……」
サシャ(そっか、口を拭かれてるってことは子ども扱いされてることと同じですよね……)
サシャ(……これからは気をつけましょう。うん)
65 : ◆H4iwFNXQsw:2013/09/26(木) 21:48:37 ID:oz0os7JY
エレン「今のところ、調査兵団志望ってはっきり言ってる奴って俺ぐらいしかいねえんだよなー……ライナーとか、調査兵団に入ってくれねえかな? そしたらすっげえ心強いんだけどな」
サシャ「……エレンは、ライナーがどこの兵団希望か聞いてないんですか?」
エレン「いいや? ……そういや話したことないな。勝手に憲兵団だと思ってたけど」
サシャ「私も、そう思い込んでましたけど……どうなんでしょうね」
エレン「……」
サシャ「……」
エレン「……そろそろ交替だな」
サシャ「そうですね、二人を起こしましょうか」
66 : ◆H4iwFNXQsw:2013/09/26(木) 21:49:45 ID:oz0os7JY
ーー ライナー・ミカサ組
ミカサ「……」
ライナー「……」
ミカサ「……どうしてエレンじゃないの」ジトッ...
ライナー「俺に言うなよ。……それより見ろよミカサ、月が綺麗だぞ。今日は満月だったんだな」
ミカサ「……言う相手を間違っている」
ライナー「は? ただの感想に相手も何もないだろ?」
ミカサ「東洋では、それは『あなたが好きです』という意味だとアルミンに聞いた」
ライナー「……さっきの言葉は撤回していいか?」
ミカサ「ぜひそうしてほしい。私はエレンに言ってもらおうと決めているから」
68 : ◆H4iwFNXQsw:2013/09/26(木) 21:51:19 ID:oz0os7JY
ミカサ「……まあ、それはともかく。あなたと一緒の組になれたのは、ある意味好都合」
ミカサ「そして、エレンとサシャを一緒の組にして、一番最初にしたのもよかった……素晴らしい判断。私の経験上、これでエレンは朝までぐっすり。もう起きないはず」
ライナー「……俺はサシャをゆっくり休ませたかっただけなんだが」
ミカサ「建前はその辺にしよう、ライナー。私たちの利害は一致してるはず。偽る必要は一切ない。こんな機会はお互い滅多にないのだから、協力しあうべき」
ライナー「……そうだな」
ミカサ「私たちは、わかりあえると思う」
ライナー「ああ、同感だ」
ミカサ「なら、はじめよう……寝顔ウォッチングを」キリッ
ライナー「ーーよし、やるか」キリッ
69 : ◆H4iwFNXQsw:2013/09/26(木) 21:52:19 ID:oz0os7JY
ミカサ「……」コソコソ
ライナー「……」コソコソ
エレン「……zzz」スピー...
サシャ「……zzz」スヤスヤ
ミカサ「……」
ライナー「……」
ミカサ「ふふふっ、見てライナー……この、エレンの最高にだらしない寝顔を……!」ニヤニヤ
ライナー「馬鹿言え、どう見てもサシャのこの愛くるしい寝顔にはかなわんだろうが」ニヤニヤ
ミカサ「エレンは熟睡している時に鼻がピクピク動くクセがある。ーーこれは、幼馴染の私だからわかること」ドヤァ
ライナー「年数だけで愛は語れねえぞミカサ……見てろよ、この機会にそのクセとやらを探してみせる……!」
ミカサ「一晩じゃそれは無理。もう少し堅実な方法に留めるべき」
70 : ◆H4iwFNXQsw:2013/09/26(木) 21:53:31 ID:oz0os7JY
サシャ「んぅ……」モゾモゾ
ライナー「!! 寝言か……よし、言え! 記録しといてやる!」サッ
ミカサ「あらかじめ書き留める用意をしてきたのは、いい心がけ……でも、開拓地でコツコツ書きためてきた私のエレン寝言全集には敵わない!」キリッ
ライナー「なぁに、これから追い越してやるさ……! 今日はその記念すべき一ページ目だ……!」
サシャ「らいなぁー……もっとぉ……」
ミカサ「ーー!? なんてこと……!? 寝言で名前を呼ぶのは、かなり得点が高い……っ!」ギリッ...
サシャ「おしり……さわらないでくださいよぉ……」ムニャムニャ
ミカサ「」
ライナー「」
ライナー「……」
ミカサ「……」
ライナー「……」
ミカサ「ひゅーひゅー、お熱いこったぁ」ポンッ
ライナー「」ビクッ
ミカサ「旦那、顔が真っ赤っかですぜ! まるで火が点いたみてえだ!」バシバシ
ライナー「……」ダラダラダラダラ
ミカサ「……それで、何をもっとなの? サシャに何をしたの?」メキィッ...
ライナー「いえ、あの……ちょっとわからないです……」
ミカサ「なるほど……自覚がないということ……?」チャキッ
72 : ◆H4iwFNXQsw:2013/09/26(木) 21:55:37 ID:oz0os7JY
ライナー「待て待て待て、俺はサシャの前でケツの話なんかしたことないぞ!?」
ミカサ「自覚もなしに触ったの? ならば尚更危険」
ライナー「いや、まだ腰から下は触ってないはず……」ブツブツ
ミカサ「……なら、胸は?」
ーー え? 触りたいんですか? ならどうぞ
ライナー「……」
ミカサ「……ライナー?」
ライナー(どうせ削がれるなら、いっそ揉むくらいはしとけばよかった……)ズーン...
73 : ◆H4iwFNXQsw:2013/09/26(木) 21:56:45 ID:oz0os7JY
ミカサ「それにしても……初回で名前を呼ばれるとは正直羨ましい。エレンは私の名前をちっとも呼んでくれない。アルミンの名前は今まで136回も呼んでいるのに、私はたった57回。羨ましい……」
ライナー「……」
ミカサ「……? どうしたの?」
ライナー「いや……名前を呼ばれるとは思わなかったから、その……正直、混乱してるというか」
ミカサ「あなたは開き直り方が足りない。もっと精進するべき」ハァ
ライナー「ベテランのお前と一緒にするなよ」
ミカサ「……サシャを起こしてみる?」
ライナー「やめてくれ」
ミカサ「そう……とても残念。せめて夢の内容だけは後で聞いておこう」
ライナー「……俺も知りたい」
ミカサ「教えなーい」プイッ
ライナー「お前なぁ……」
74 : ◆H4iwFNXQsw:2013/09/26(木) 21:58:09 ID:oz0os7JY
\ガサガサッ/
ミカサ「……」ピクッ
ライナー「……」ピタッ
\グルルルル.../
ミカサ「……ヤマイヌが、前方から二匹」
ライナー「おそらく残飯目当てだろうな。……ここにはないってのに、馬鹿な奴らだ」
ミカサ「ねえライナー……ヤマイヌは、食べられると思う?」
ライナー「まあ……食えるんじゃないか? 焼けば」
ミカサ「ならよかった……これで、エレンをお腹いっぱいにしてあげることができる……」ジャキンッ!!
ライナー「サシャも喜ぶだろうな……あいつの笑った顔を見るのが楽しみだ……!」ジャキンッ!!
75 : ◆H4iwFNXQsw:2013/09/26(木) 21:59:34 ID:oz0os7JY
\クゥーン.../
ライナー「おいおい、みっともねえ声で喚くなよ……サシャが起きちまうだろうが……!!」ギロッ
ミカサ「先に喉を掻き切ろう……それからゆっくり調理すればいい」
\ガサガサッ/
ミカサ「……逃げた」チッ
ライナー「意気地のない奴め」チッ
76 : ◆H4iwFNXQsw:2013/09/26(木) 22:00:48 ID:oz0os7JY
ーー コニー・ユミル組
ユミル「……うー、寒っ」ブルッ
コニー「あれ? お前マフラー持ってなかったか? この前巻いてたろ」
ユミル「なくしたくないから置いてきたんだよ……」サスサス
コニー「ふーん……ほい、飲みもん入れたからやる」スッ
ユミル「どうも。……これお茶か?」ズズッ
コニー「ローズマリーだ」
ユミル「……なんだって?」
コニー「だからローズマリーだって。来る途中に生えてたんだよ」
ユミル「……」
コニー「乾燥させるとくせが強いんだけどな。生葉だと結構いけるだろ?」
ユミル「……変な味」ズズッ
コニー「そりゃ美味いって解釈でいいのか?」ニシシ
ユミル「……好きに取ればいいだろ」ズズッ
77 : ◆H4iwFNXQsw:2013/09/26(木) 22:01:52 ID:oz0os7JY
ーー 翌日朝 移動中
サシャ「……ミカサ、ご機嫌ですね」テクテク...
ミカサ「昨日はいいことがあった。……サシャはどう? よく眠れた?」テクテク...
サシャ「はい! 今朝は気持ちよく起こしてもらえましたから体調はいいですよ! 体力もばっちり回復してます!」グッ
ミカサ「それはよかった」
エレン「アルミンって昔から人を起こすの上手だよなー、不思議だ」
ミカサ「アルミンは人を気持ちよく起こす才能がある」キリッ
エレン「なんだそりゃ」
サシャ「……」チラッ
サシャ(ライナー、遅れてますけど何かあったんでしょうか……さっきから地図の裏ばっかり見てますし……)
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