サシャ「無意味じゃありません!」
Part3
48 : ◆H4iwFNXQsw:2013/09/02(月) 19:34:57 ID:YGRfFQo.
ミカサ「……つまり、どういうこと?」
アルミン「えっと、サシャのほうから誘うだけ誘って、肝心の部分はお預け、っていう可能性があるってことかな……?」
ジャン「…………マジかよ」
ユミル「ちょいと……いや、だいぶ抜けてるしなあいつ。なくはない話だと思うぞ」
アルミン「そうなったら、もうなんか……色々ぶち壊しだね」
ユミル「そもそも夜の立体機動に突入するっていうありえない前提が必要だけどなー。まあ、仮の話な、仮の話」
49 : ◆H4iwFNXQsw:2013/09/02(月) 19:36:09 ID:YGRfFQo.
ーー 同刻 納屋
ライナー「……キスしていいか? サシャ」
サシャ「えっ……?」ピクッ
ライナー「……やっぱり嫌か?」
サシャ「いえ、そうじゃなくて……びっくりしただけです。だって、ライナーから言ってくれたのはじめてですよね?」
ライナー「今日はそういう気分なんだよ。……いいか?」
サシャ「確認しなくても、いつもしてるじゃないですか……いいですよ、どうぞ」
50 : ◆H4iwFNXQsw:2013/09/02(月) 19:37:55 ID:YGRfFQo.
ライナー「……今日は肩と首、どっちがいい?」
サシャ「じゃあ……首で、お願いします。キスマーク、肩だと隠すの大変なので」
ライナー「わかった。……髪あげるぞ? 邪魔だからな」サラッ
サシャ「邪魔ならまとめます?」
ライナー「いや、このままでいい。……おい、耳真っ赤だぞ?」
サシャ「だって、くすぐったいんですもん……」
ライナー(……上着、邪魔だな。脱がしちまうか)グイッ
サシャ「」ピクッ
ライナー「」ピタッ
51 : ◆H4iwFNXQsw:2013/09/02(月) 19:38:42 ID:YGRfFQo.
サシャ「……」
ライナー「……」
サシャ「……何してるんですか?」
ライナー「……いや、上着を脱がそうかと」
サシャ「……」
ライナー「……」
サシャ「……正座」
ライナー「……はい」
52 : ◆H4iwFNXQsw:2013/09/02(月) 19:40:01 ID:YGRfFQo.
サシャ「……なんで脱がそうとしたんですか? 上着」
ライナー「……」
サシャ「ライナー? 黙ってちゃわかりませんよ?」
ライナー「…………すみません」
サシャ「さっき、ここを出るまで上着貸してくれるって言ったじゃないですか」
ライナー「…………………………ん?」
サシャ「なんで取り上げようとしたんですか? ……やっぱり、寒くなっちゃったんですか?」
ライナー「……そっちか?」
サシャ「そっち? 何がです?」キョトン
ライナー「あー……だから……その……」モニョモニョ
サシャ「?」
53 : ◆H4iwFNXQsw:2013/09/02(月) 19:41:22 ID:YGRfFQo.
ライナー「さっき、その……嫌じゃなかったのか?」
サシャ「嫌って……?」
ライナー「だからな、後ろからこう、ほら、抱いたりとかな、そういうのだ」
サシャ「んん……? どうして私が嫌がるんですか?」
ライナー「どうしてってそりゃあ……」
サシャ「ライナーになら何されてもいいですよ、私」
ライナー「」
54 : ◆H4iwFNXQsw:2013/09/02(月) 19:42:22 ID:YGRfFQo.
ライナー「……あのな、例えばだぞ? 例えばの話だが」
サシャ「はぁ。なんですか?」
ライナー「俺が、その……胸、触らせてくれって言ったら、お前はどうするんだ……?」
サシャ「え? 触りたいんですか? ならどうぞ」
ライナー「……」
サシャ「でも胸触って楽しいんですかね? これ、立体機動のベルト巻く時に地味に邪魔なんですよ?」フニフニ
ライナー「……」プイッ
サシャ「あれ? ライナーどうしました? なんで壁のほう見てるんです? もしもーし?」ツンツン
55 : ◆H4iwFNXQsw:2013/09/02(月) 19:43:14 ID:YGRfFQo.
ライナー「……サシャ、正座」
サシャ「はーい」ペタン
ライナー「まず、俺は男でお前は女だ。ここまではいいな?」
サシャ「なんですかそれ。そこまで馬鹿じゃないですよ」
ライナー「そこまで馬鹿だからこういうことになってるんだろ。……いいか? 俺は紳士じゃないし、お前が思ってるほど大人じゃない。わかるか?」
サシャ「あ、それは知ってます。結構子どもっぽいところありますよね、ライナーって。この前ハンバーグ待ってる時なんかちっちゃい子どもみたいでしたよ?」
ライナー「……」
56 : ◆H4iwFNXQsw:2013/09/02(月) 19:44:05 ID:YGRfFQo.
サシャ「でも、それとは別にちゃーんとかっこいいこと知ってますから安心してください!」
ライナー「……」
サシャ「?」
ライナー「そうだよな……すっかり忘れてたが、お前は頭のネジぶっ飛んでるんだもんな……」
サシャ「もしもーし? 大丈夫ですかー?」ツンツン
ライナー「入団式に芋食ったりな……メシのこと以外なーんにも考えてないもんな……」
サシャ「失礼ですよ」ブーブー
ライナー「事実だろ」
57 : ◆H4iwFNXQsw:2013/09/02(月) 19:45:38 ID:YGRfFQo.
ライナー「あのな、この際だから言わせてもらうけどな。……お前にそんなつもりがなくても、もうさっきから誘ってるようにしか聞こえないんだよ。もうちょっと言葉選べ」
サシャ「誘う……?? どこかに行くんですか?」キョトン
ライナー「ああああああああああああもおおおおおおおおおおおおおおっ!!」バンバンバンバン!!
サシャ「え? え?」オロオロ
ライナー「いいか!? お前は年頃の娘なんだからもう少し慎みを持ちなさい!!」バンッ!!
サシャ「なんかお父さんみたいですよライナー」
ライナー「誰のせいだ誰の!! ……もしかしてさっきみたいなこと、誰にでも喋ってるんじゃないだろうな!?」
サシャ「そんなまさかぁ。ライナーだけですよ?」
ライナー「それにしたってお前は身持ちが緩々すぎる! 正直見てて不安だ、もうちょっと自分を大事にしろ!!」
サシャ「あーっ! その言葉ライナーだけには言われたくありませんよ! さっきは寒くて私に抱きついてきたんでしょう? ライナーこそ、もうちょっと自分を大事にしてくださいよ!」
58 : ◆H4iwFNXQsw:2013/09/02(月) 19:47:04 ID:YGRfFQo.
ライナー「……」ゼエゼエ
サシャ「……」ムー...
ライナー「……わかった。もう俺の負けでいい」
サシャ「私が勝ったんですか?」
ライナー「お前じゃない。勝ったのは俺の上着だ」
サシャ「はあ。そうですか」
ライナー「……それで、どこまでならいいんだ? さっきいいって言ったよな?」
サシャ「そ、それを私に言わせるんですか!?」
ライナー「言うまで兵舎に返さん」ズイッ
サシャ「必死すぎません!?」
ライナー「あのなぁ、これでも俺は我慢してるんだぞ!? 色々!!」
サシャ「我慢は体によくないですよ?」
ライナー「ああー……もう、なんで俺は同期の女にこんな情けない説教してるんだ……」グッタリ
サシャ「ええっと……なんか、すみません。よくわからないですけど」
59 : ◆H4iwFNXQsw:2013/09/02(月) 19:48:09 ID:YGRfFQo.
ーー 数十分後 納屋の前
ユミル「……止んだなー、雨」
クリスタ「通り雨みたいでよかったねえ。結局一時間ずっと降ってたけど」
ユミル「……で、私たちの目の前には、行方不明者二人の声が聞こえてくる納屋があるわけだが」
ミカサ「それでは突入する」ジャキンッ!!
コニー「なあミカサ、なんで立体機動装置持ってきたんだ?」
ミカサ「状況によっては削ぎ落とす必要があるかもしれない。ので、持ってきた」
クリスタ「何を削ぐの?」
ユミル「クリスタは知らなくていいから」
ミカサ「……準備はいい? ユミル」
ユミル「へいへい。いつでもどうぞ」
ーー メキメキッ ガチャッ...
60 : ◆H4iwFNXQsw:2013/09/02(月) 19:49:51 ID:YGRfFQo.
ライナー「ーーってさっきから何回も何回も言ってるだろ! 大体な、上着の一枚や二枚で喚くなよガキじゃあるまいし!」
サシャ「だから、子どもっぽいのはライナーだって同じでしょう!? ていうかさっき人のこと捕まえて迷子って言いましたよね!? ちゃんと聞いてたんですからね私!!」
ライナー「それがどうした、訓練所で遭難する馬鹿のほうが数倍悪いだろ!!」
サシャ「ひっ、酷い……っ! もういいです、ライナーなんか知りません!!」
ライナー「あーそうだな、こっちだってもう知らん! とっとと上着置いてどっかに行け!!」
サシャ「嫌です上着は渡しません! 絶対に返しませんからね!!」ギューッ!!
ライナー「返せって、そんなに引っ張れば皺になるだろ!!」グイグイ
サシャ「いーやーでーすー!! 一人で寒くなってればいいんですライナーなんかぁっ!」ジタバタジタバタ
61 : ◆H4iwFNXQsw:2013/09/02(月) 19:50:54 ID:YGRfFQo.
ミカサ「……」バタンッ
コニー「? おいミカサ、なんで閉めちゃったんだよ」
ユミル「……どうだった?」
ミカサ「膝を突き合わせて、お互いに罵りあっている」
ユミル「……よし、帰るか」スタスタ...
ミカサ「うん」スタスタ...
クリスタ「コニー、工具箱取りに行こうか」
コニー「え? 二人を呼びにきたんじゃねえの? おい?」
クリスタ「夫婦喧嘩は食べられないんだよ、コニー」
コニー「はぁ? ……ってあれ? 扉の蝶番ぶっ壊れてねえ? 今朝つけたばっかりだったのに」
ミカサ「……気のせい。最初から壊れてた」
コニー「えー……? そうだったかぁ……?」ウーン...
62 : ◆H4iwFNXQsw:2013/09/02(月) 19:51:55 ID:YGRfFQo.
ーー 夜 男子寮 エレンたちの部屋
エレン「ライナーの奴遅いなー」ゴロゴロ
アルミン「うん。全然帰ってこないね」
ベルトルト「お風呂に行ったきりだね」
アルミン「きっとトイレにも行っただろうね」
ベルトルト「……どっちが先かな。賭ける?」
アルミン「心底どうでもいい賭けだよね。僕はトイレに明日の夕食のパン一つ」
ベルトルト「じゃあ僕はお風呂に賭けるね。後で問い質そう」
エレン「トイレかー。体冷えて腹でも壊したのかなー?」ゴロゴロ
アルミン「そうだね。それでいっか、もう」
ベルトルト「いいよもうそれで。取り敢えずライナーは近いうち僕が説教しておくから」
アルミン「ベルトルトが怒ったら怖そうだなぁ」
ベルトルト「そんなことないよ。優しくするさ」
63 : ◆H4iwFNXQsw:2013/09/02(月) 19:52:44 ID:YGRfFQo.
ーー 同刻 女子寮 ユミルたちの部屋
サシャ「……」グスッ
クリスタ「よしよし、泣かないの」ナデナデ
サシャ「らいなーのばかぁー……」プクーッ
クリスタ「拗ねてるねぇ」ツンツン プニプニ
ユミル「で? あの納屋で何やってきたんだよ、サシャ」
サシャ「……何もしてないです」
ユミル「何もしねえであの純情男と喧嘩になるわけないだろ。いいからとっとと吐け」
サシャ「……だってライナーが上着取ろうとするんですもん」ボソッ
ユミル「……………………は? 上着?」
サシャ「貸してくれるって言ったのにぃ……」ギューッ
クリスタ「取られちゃったの?」ナデナデ
サシャ「取られそうになったんですぅ……」グスグス
ユミル「……」
64 : ◆H4iwFNXQsw:2013/09/02(月) 19:54:28 ID:YGRfFQo.
ユミル「えーっと……あいつが、お前の上着を取ろうと……いや、脱がそうとしたんだよな?」
サシャ「……そうですけど」
ユミル「いきなり? その前に何か言われなかったか?」
サシャ「……き、キスしていいかって、聞かれました」カァッ...
ユミル「……あのさ、この前の夜間忍耐訓練の時にさ、あの眼鏡の臨時教官が言ってたろ。ズッコンバッコン開拓地送りって」
サシャ「そういえば、そういうこと言ってましたね」グスッ
ユミル「ズッコンバッコンの意味、わかってるか?」
サシャ「……? 新種のダイコンの名前じゃないんですか?」
クリスタ「私もそう思ってたんだけど……ユミルは知ってるの?」
ユミル「…………あー、なるほどなぁ……やっぱりかぁ……」
ユミル(ライナーの奴、自分の上着に負けたのか……かわいそうに……)
65 : ◆H4iwFNXQsw:2013/09/02(月) 19:55:42 ID:YGRfFQo.
ユミル「いやー……お前が思ってるよりもかなり酷いことしてんぞ、サシャ」
サシャ「……どうしましょう、ユミルぅ」グスグス
ユミル「たぶんお前が一発好きって言ってやりゃあ済む話だと思うけどなぁ」
サシャ「いっ、言えませんよぉ……恥ずかしいですもん……」ボフッ
クリスタ「ダメだよサシャ、布団に泣いた顔押しつけたら」
ユミル「んじゃあれだ、抱きしめてやれ。ぎゅーっと」
サシャ「今日やりましたよ……やってもらったほうですけど……」グリグリグリグリ
クリスタ「サシャ、こすっちゃダメだってばー」クイクイ
ユミル「他にはそうだな…………ん? 待て、まだ好きとか嫌いとかそういう話してないのか? 一度も? 一切?」
サシャ「? してませんけど……」
ユミル「……あっちからも?」
サシャ「ないです」
66 : ◆H4iwFNXQsw:2013/09/02(月) 19:56:38 ID:YGRfFQo.
ユミル「……ダメだこりゃ。あっちもこっちもドツボにハマっちまったパターンだわ。ご愁傷様だな」
サシャ「ところで、ズッコンバッコンってどういう意味なんですか……?」グスッ
ユミル「私じゃなくてライナーに教えてもらいな。実技込みで」
サシャ「しばらく顔合わせられませんよぉ……やっぱり、謝ったほうがいいと思います?」クスン
ユミル「あっちがもっと惨めになるからそれだけはやめてさしあげなさい」
クリスタ「ねえねえユミル、私にもズッコンバッコンの意味教えて?」クイクイ
ユミル「クリスタはさっさと寝なさい。そんな爛れた知識は必要ありません」
67 : ◆H4iwFNXQsw:2013/09/02(月) 19:58:28 ID:YGRfFQo.
ユミル(しっかしこいつら、マジでまだ告白もしてなかったのか……たまげたなぁ……)
ユミル(そもそも、サシャも恥ずかしがるところ違うだろ……なんでキスができて告白できねえんだよ……)
サシャ「クリスタぁ、さみしいのでぎゅってしてくださいぃ……」
クリスタ「はいはい、いいよー」ギューッ
サシャ「うぅー……」グスグス ギューッ
クリスタ「よしよし、サシャは甘えんぼさんだねー」ナデナデ
ユミル(……よくよく考えてみりゃあ、あのクソマジメで正直者の純情男が、どうでもいい女を襲ったりはしないよなぁ)チラッ
ユミル「……ま、何にせよ」
ユミル「……今までのお前の努力は、無意味なんかじゃなかったってことだな。うん」ナデナデ
サシャ「?」
おわり
68 : ◆H4iwFNXQsw:2013/09/02(月) 19:59:33 ID:YGRfFQo.
というわけで終わりです。読んでくださった方ありがとうございました!
きちんと描写できてるかどうかは別として、やっとまともにあすなろ抱き書けたので>>1は大変満足しました。ごちそうさまです
というわけで次回はベルトルトに説教という名のダブルデートしてもらう予定です
お相手は次回のお楽しみ
69 :以下、名無しが深夜にお送りします:2013/09/02(月) 20:01:18 ID:YFbXnWf6
乙でした! 何かだんだんライナーが可哀そうになってきたw
70 :以下、名無しが深夜にお送りします:2013/09/02(月) 20:33:56 ID:w4JgjuzU
乙!我慢したライナー偉い!
でもちょっと可哀想www
71 :以下、名無しが深夜にお送りします:2013/09/02(月) 23:30:19 ID:vfr/rPpI
全くけしからんな!かわいい!
ミカサ「……つまり、どういうこと?」
アルミン「えっと、サシャのほうから誘うだけ誘って、肝心の部分はお預け、っていう可能性があるってことかな……?」
ジャン「…………マジかよ」
ユミル「ちょいと……いや、だいぶ抜けてるしなあいつ。なくはない話だと思うぞ」
アルミン「そうなったら、もうなんか……色々ぶち壊しだね」
ユミル「そもそも夜の立体機動に突入するっていうありえない前提が必要だけどなー。まあ、仮の話な、仮の話」
49 : ◆H4iwFNXQsw:2013/09/02(月) 19:36:09 ID:YGRfFQo.
ーー 同刻 納屋
ライナー「……キスしていいか? サシャ」
サシャ「えっ……?」ピクッ
ライナー「……やっぱり嫌か?」
サシャ「いえ、そうじゃなくて……びっくりしただけです。だって、ライナーから言ってくれたのはじめてですよね?」
ライナー「今日はそういう気分なんだよ。……いいか?」
サシャ「確認しなくても、いつもしてるじゃないですか……いいですよ、どうぞ」
50 : ◆H4iwFNXQsw:2013/09/02(月) 19:37:55 ID:YGRfFQo.
ライナー「……今日は肩と首、どっちがいい?」
サシャ「じゃあ……首で、お願いします。キスマーク、肩だと隠すの大変なので」
ライナー「わかった。……髪あげるぞ? 邪魔だからな」サラッ
サシャ「邪魔ならまとめます?」
ライナー「いや、このままでいい。……おい、耳真っ赤だぞ?」
サシャ「だって、くすぐったいんですもん……」
ライナー(……上着、邪魔だな。脱がしちまうか)グイッ
サシャ「」ピクッ
ライナー「」ピタッ
51 : ◆H4iwFNXQsw:2013/09/02(月) 19:38:42 ID:YGRfFQo.
サシャ「……」
ライナー「……」
サシャ「……何してるんですか?」
ライナー「……いや、上着を脱がそうかと」
サシャ「……」
ライナー「……」
サシャ「……正座」
ライナー「……はい」
52 : ◆H4iwFNXQsw:2013/09/02(月) 19:40:01 ID:YGRfFQo.
サシャ「……なんで脱がそうとしたんですか? 上着」
ライナー「……」
サシャ「ライナー? 黙ってちゃわかりませんよ?」
ライナー「…………すみません」
サシャ「さっき、ここを出るまで上着貸してくれるって言ったじゃないですか」
ライナー「…………………………ん?」
サシャ「なんで取り上げようとしたんですか? ……やっぱり、寒くなっちゃったんですか?」
ライナー「……そっちか?」
サシャ「そっち? 何がです?」キョトン
ライナー「あー……だから……その……」モニョモニョ
サシャ「?」
ライナー「さっき、その……嫌じゃなかったのか?」
サシャ「嫌って……?」
ライナー「だからな、後ろからこう、ほら、抱いたりとかな、そういうのだ」
サシャ「んん……? どうして私が嫌がるんですか?」
ライナー「どうしてってそりゃあ……」
サシャ「ライナーになら何されてもいいですよ、私」
ライナー「」
54 : ◆H4iwFNXQsw:2013/09/02(月) 19:42:22 ID:YGRfFQo.
ライナー「……あのな、例えばだぞ? 例えばの話だが」
サシャ「はぁ。なんですか?」
ライナー「俺が、その……胸、触らせてくれって言ったら、お前はどうするんだ……?」
サシャ「え? 触りたいんですか? ならどうぞ」
ライナー「……」
サシャ「でも胸触って楽しいんですかね? これ、立体機動のベルト巻く時に地味に邪魔なんですよ?」フニフニ
ライナー「……」プイッ
サシャ「あれ? ライナーどうしました? なんで壁のほう見てるんです? もしもーし?」ツンツン
55 : ◆H4iwFNXQsw:2013/09/02(月) 19:43:14 ID:YGRfFQo.
ライナー「……サシャ、正座」
サシャ「はーい」ペタン
ライナー「まず、俺は男でお前は女だ。ここまではいいな?」
サシャ「なんですかそれ。そこまで馬鹿じゃないですよ」
ライナー「そこまで馬鹿だからこういうことになってるんだろ。……いいか? 俺は紳士じゃないし、お前が思ってるほど大人じゃない。わかるか?」
サシャ「あ、それは知ってます。結構子どもっぽいところありますよね、ライナーって。この前ハンバーグ待ってる時なんかちっちゃい子どもみたいでしたよ?」
ライナー「……」
56 : ◆H4iwFNXQsw:2013/09/02(月) 19:44:05 ID:YGRfFQo.
サシャ「でも、それとは別にちゃーんとかっこいいこと知ってますから安心してください!」
ライナー「……」
サシャ「?」
ライナー「そうだよな……すっかり忘れてたが、お前は頭のネジぶっ飛んでるんだもんな……」
サシャ「もしもーし? 大丈夫ですかー?」ツンツン
ライナー「入団式に芋食ったりな……メシのこと以外なーんにも考えてないもんな……」
サシャ「失礼ですよ」ブーブー
ライナー「事実だろ」
57 : ◆H4iwFNXQsw:2013/09/02(月) 19:45:38 ID:YGRfFQo.
ライナー「あのな、この際だから言わせてもらうけどな。……お前にそんなつもりがなくても、もうさっきから誘ってるようにしか聞こえないんだよ。もうちょっと言葉選べ」
サシャ「誘う……?? どこかに行くんですか?」キョトン
ライナー「ああああああああああああもおおおおおおおおおおおおおおっ!!」バンバンバンバン!!
サシャ「え? え?」オロオロ
ライナー「いいか!? お前は年頃の娘なんだからもう少し慎みを持ちなさい!!」バンッ!!
サシャ「なんかお父さんみたいですよライナー」
ライナー「誰のせいだ誰の!! ……もしかしてさっきみたいなこと、誰にでも喋ってるんじゃないだろうな!?」
サシャ「そんなまさかぁ。ライナーだけですよ?」
ライナー「それにしたってお前は身持ちが緩々すぎる! 正直見てて不安だ、もうちょっと自分を大事にしろ!!」
サシャ「あーっ! その言葉ライナーだけには言われたくありませんよ! さっきは寒くて私に抱きついてきたんでしょう? ライナーこそ、もうちょっと自分を大事にしてくださいよ!」
58 : ◆H4iwFNXQsw:2013/09/02(月) 19:47:04 ID:YGRfFQo.
ライナー「……」ゼエゼエ
サシャ「……」ムー...
ライナー「……わかった。もう俺の負けでいい」
サシャ「私が勝ったんですか?」
ライナー「お前じゃない。勝ったのは俺の上着だ」
サシャ「はあ。そうですか」
ライナー「……それで、どこまでならいいんだ? さっきいいって言ったよな?」
サシャ「そ、それを私に言わせるんですか!?」
ライナー「言うまで兵舎に返さん」ズイッ
サシャ「必死すぎません!?」
ライナー「あのなぁ、これでも俺は我慢してるんだぞ!? 色々!!」
サシャ「我慢は体によくないですよ?」
ライナー「ああー……もう、なんで俺は同期の女にこんな情けない説教してるんだ……」グッタリ
サシャ「ええっと……なんか、すみません。よくわからないですけど」
59 : ◆H4iwFNXQsw:2013/09/02(月) 19:48:09 ID:YGRfFQo.
ーー 数十分後 納屋の前
ユミル「……止んだなー、雨」
クリスタ「通り雨みたいでよかったねえ。結局一時間ずっと降ってたけど」
ユミル「……で、私たちの目の前には、行方不明者二人の声が聞こえてくる納屋があるわけだが」
ミカサ「それでは突入する」ジャキンッ!!
コニー「なあミカサ、なんで立体機動装置持ってきたんだ?」
ミカサ「状況によっては削ぎ落とす必要があるかもしれない。ので、持ってきた」
クリスタ「何を削ぐの?」
ユミル「クリスタは知らなくていいから」
ミカサ「……準備はいい? ユミル」
ユミル「へいへい。いつでもどうぞ」
ーー メキメキッ ガチャッ...
60 : ◆H4iwFNXQsw:2013/09/02(月) 19:49:51 ID:YGRfFQo.
ライナー「ーーってさっきから何回も何回も言ってるだろ! 大体な、上着の一枚や二枚で喚くなよガキじゃあるまいし!」
サシャ「だから、子どもっぽいのはライナーだって同じでしょう!? ていうかさっき人のこと捕まえて迷子って言いましたよね!? ちゃんと聞いてたんですからね私!!」
ライナー「それがどうした、訓練所で遭難する馬鹿のほうが数倍悪いだろ!!」
サシャ「ひっ、酷い……っ! もういいです、ライナーなんか知りません!!」
ライナー「あーそうだな、こっちだってもう知らん! とっとと上着置いてどっかに行け!!」
サシャ「嫌です上着は渡しません! 絶対に返しませんからね!!」ギューッ!!
ライナー「返せって、そんなに引っ張れば皺になるだろ!!」グイグイ
サシャ「いーやーでーすー!! 一人で寒くなってればいいんですライナーなんかぁっ!」ジタバタジタバタ
61 : ◆H4iwFNXQsw:2013/09/02(月) 19:50:54 ID:YGRfFQo.
ミカサ「……」バタンッ
コニー「? おいミカサ、なんで閉めちゃったんだよ」
ユミル「……どうだった?」
ミカサ「膝を突き合わせて、お互いに罵りあっている」
ユミル「……よし、帰るか」スタスタ...
ミカサ「うん」スタスタ...
クリスタ「コニー、工具箱取りに行こうか」
コニー「え? 二人を呼びにきたんじゃねえの? おい?」
クリスタ「夫婦喧嘩は食べられないんだよ、コニー」
コニー「はぁ? ……ってあれ? 扉の蝶番ぶっ壊れてねえ? 今朝つけたばっかりだったのに」
ミカサ「……気のせい。最初から壊れてた」
コニー「えー……? そうだったかぁ……?」ウーン...
62 : ◆H4iwFNXQsw:2013/09/02(月) 19:51:55 ID:YGRfFQo.
ーー 夜 男子寮 エレンたちの部屋
エレン「ライナーの奴遅いなー」ゴロゴロ
アルミン「うん。全然帰ってこないね」
ベルトルト「お風呂に行ったきりだね」
アルミン「きっとトイレにも行っただろうね」
ベルトルト「……どっちが先かな。賭ける?」
アルミン「心底どうでもいい賭けだよね。僕はトイレに明日の夕食のパン一つ」
ベルトルト「じゃあ僕はお風呂に賭けるね。後で問い質そう」
エレン「トイレかー。体冷えて腹でも壊したのかなー?」ゴロゴロ
アルミン「そうだね。それでいっか、もう」
ベルトルト「いいよもうそれで。取り敢えずライナーは近いうち僕が説教しておくから」
アルミン「ベルトルトが怒ったら怖そうだなぁ」
ベルトルト「そんなことないよ。優しくするさ」
63 : ◆H4iwFNXQsw:2013/09/02(月) 19:52:44 ID:YGRfFQo.
ーー 同刻 女子寮 ユミルたちの部屋
サシャ「……」グスッ
クリスタ「よしよし、泣かないの」ナデナデ
サシャ「らいなーのばかぁー……」プクーッ
クリスタ「拗ねてるねぇ」ツンツン プニプニ
ユミル「で? あの納屋で何やってきたんだよ、サシャ」
サシャ「……何もしてないです」
ユミル「何もしねえであの純情男と喧嘩になるわけないだろ。いいからとっとと吐け」
サシャ「……だってライナーが上着取ろうとするんですもん」ボソッ
ユミル「……………………は? 上着?」
サシャ「貸してくれるって言ったのにぃ……」ギューッ
クリスタ「取られちゃったの?」ナデナデ
サシャ「取られそうになったんですぅ……」グスグス
ユミル「……」
64 : ◆H4iwFNXQsw:2013/09/02(月) 19:54:28 ID:YGRfFQo.
ユミル「えーっと……あいつが、お前の上着を取ろうと……いや、脱がそうとしたんだよな?」
サシャ「……そうですけど」
ユミル「いきなり? その前に何か言われなかったか?」
サシャ「……き、キスしていいかって、聞かれました」カァッ...
ユミル「……あのさ、この前の夜間忍耐訓練の時にさ、あの眼鏡の臨時教官が言ってたろ。ズッコンバッコン開拓地送りって」
サシャ「そういえば、そういうこと言ってましたね」グスッ
ユミル「ズッコンバッコンの意味、わかってるか?」
サシャ「……? 新種のダイコンの名前じゃないんですか?」
クリスタ「私もそう思ってたんだけど……ユミルは知ってるの?」
ユミル「…………あー、なるほどなぁ……やっぱりかぁ……」
ユミル(ライナーの奴、自分の上着に負けたのか……かわいそうに……)
65 : ◆H4iwFNXQsw:2013/09/02(月) 19:55:42 ID:YGRfFQo.
ユミル「いやー……お前が思ってるよりもかなり酷いことしてんぞ、サシャ」
サシャ「……どうしましょう、ユミルぅ」グスグス
ユミル「たぶんお前が一発好きって言ってやりゃあ済む話だと思うけどなぁ」
サシャ「いっ、言えませんよぉ……恥ずかしいですもん……」ボフッ
クリスタ「ダメだよサシャ、布団に泣いた顔押しつけたら」
ユミル「んじゃあれだ、抱きしめてやれ。ぎゅーっと」
サシャ「今日やりましたよ……やってもらったほうですけど……」グリグリグリグリ
クリスタ「サシャ、こすっちゃダメだってばー」クイクイ
ユミル「他にはそうだな…………ん? 待て、まだ好きとか嫌いとかそういう話してないのか? 一度も? 一切?」
サシャ「? してませんけど……」
ユミル「……あっちからも?」
サシャ「ないです」
66 : ◆H4iwFNXQsw:2013/09/02(月) 19:56:38 ID:YGRfFQo.
ユミル「……ダメだこりゃ。あっちもこっちもドツボにハマっちまったパターンだわ。ご愁傷様だな」
サシャ「ところで、ズッコンバッコンってどういう意味なんですか……?」グスッ
ユミル「私じゃなくてライナーに教えてもらいな。実技込みで」
サシャ「しばらく顔合わせられませんよぉ……やっぱり、謝ったほうがいいと思います?」クスン
ユミル「あっちがもっと惨めになるからそれだけはやめてさしあげなさい」
クリスタ「ねえねえユミル、私にもズッコンバッコンの意味教えて?」クイクイ
ユミル「クリスタはさっさと寝なさい。そんな爛れた知識は必要ありません」
67 : ◆H4iwFNXQsw:2013/09/02(月) 19:58:28 ID:YGRfFQo.
ユミル(しっかしこいつら、マジでまだ告白もしてなかったのか……たまげたなぁ……)
ユミル(そもそも、サシャも恥ずかしがるところ違うだろ……なんでキスができて告白できねえんだよ……)
サシャ「クリスタぁ、さみしいのでぎゅってしてくださいぃ……」
クリスタ「はいはい、いいよー」ギューッ
サシャ「うぅー……」グスグス ギューッ
クリスタ「よしよし、サシャは甘えんぼさんだねー」ナデナデ
ユミル(……よくよく考えてみりゃあ、あのクソマジメで正直者の純情男が、どうでもいい女を襲ったりはしないよなぁ)チラッ
ユミル「……ま、何にせよ」
ユミル「……今までのお前の努力は、無意味なんかじゃなかったってことだな。うん」ナデナデ
サシャ「?」
おわり
というわけで終わりです。読んでくださった方ありがとうございました!
きちんと描写できてるかどうかは別として、やっとまともにあすなろ抱き書けたので>>1は大変満足しました。ごちそうさまです
というわけで次回はベルトルトに説教という名のダブルデートしてもらう予定です
お相手は次回のお楽しみ
69 :以下、名無しが深夜にお送りします:2013/09/02(月) 20:01:18 ID:YFbXnWf6
乙でした! 何かだんだんライナーが可哀そうになってきたw
70 :以下、名無しが深夜にお送りします:2013/09/02(月) 20:33:56 ID:w4JgjuzU
乙!我慢したライナー偉い!
でもちょっと可哀想www
71 :以下、名無しが深夜にお送りします:2013/09/02(月) 23:30:19 ID:vfr/rPpI
全くけしからんな!かわいい!
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